以下の説明は、概して、基板材料を対象とし、特に、電子デバイスの製造において用いることができる、半導体材料から形成される基板を対象とする。より詳細には、本明細書における実施形態の基板は、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオード(LD)の形成に用いられる場合がある。その実施形態の基板は、例えば、窒化ガリウム(GaN)を含むIII−V族材料を含むことができる。III−V族材料に対する参照は、元素の周期表のIII族からの少なくとも1つの元素と、元素の周期表のV族からの少なくとも1つの元素とを有する化合物を含むことは理解されるであろう。
図1は、本発明による、その上に電子デバイスを製造するのに適している半導体材料を備える半導体基板を形成する方法を示す流れ図を含む。図示されるように、そのプロセスは、ステップ101において、テンプレート基板とも呼ばれる基板を用意することによって開始される。テンプレート基板は、その上に形成された複数の層を支持するのに適する構造体とすることができ、その上に複数の層を形成するためのヘテロエピタキシャル支持構造体としての役割を果たす。
一実施形態によれば、テンプレート基板は、無機材料とすることができる。幾つかの適切な無機材料には、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、オキシ炭化物、オキシホウ化物、オキシ窒化物、及びその組合せを含めることができる。場合によっては、テンプレート基板はアルミナを含むことができ、より具体的には、単結晶アルミナ(すなわち、サファイア)を含む場合がある。一実施形態は、基本的にサファイアからなる基板を利用する。
そのプロセスは、ステップ103において、基板の上に重なるバッファ層を形成することによって継続する。図2Aを手短に参照すると、実施形態による半導体基板200が示される。とりわけ、半導体基板200は、基板201(すなわち、テンプレート基板)と、基板201の上に重なるバッファ層203とを含むことができる。具体的には、バッファ層203は、基板201の上側主面の上に重なることができ、より具体的には、バッファ層203は、基板201の上側主面に直に接触することができる。
バッファ層203を形成することは、堆積プロセスを含むことができる。例えば、基板は反応チャンバに装填され得、反応チャンバ内で適切な環境を与えた後に、基板上にバッファ層が堆積され得る。一実施形態によれば、適切な堆積技法は、化学気相成長を含むことができる。特定の事例では、堆積プロセスは、金属有機化学気相成長(MOCVD)を含むことができる。
バッファ層203は複数の薄膜から形成されてもよい。例えば、図2Aに示されるように、バッファ層203は、薄膜204と、薄膜206とを含むことができる。一実施形態によれば、薄膜のうちの少なくとも1つは、結晶材料を含むことができる。より具体的な事例では、薄膜204は、基板201の表面に直に接触することができ、シリコンを含むことができ、基本的にシリコンからなる場合がある。薄膜204は、基板201と、本明細書において説明されるような薄膜204の上に重なる半導体層との分離を容易にすることができる。
図2Aに示されるように、薄膜206は薄膜204の上に重なることができ、より具体的には、薄膜204と直に接触することができる。薄膜206は、その上に形成される後続の層のエピタキシャル形成に適した結晶学的特徴を有することができる。とりわけ、一実施形態では、薄膜204は半導体材料を含むことができる。適切な半導体材料は、III−V族化合物材料を含むことができる。1つの特定の事例では、薄膜206は窒化物材料を含むことができる。別の例では、薄膜206は、ガリウム、アルミニウム、インジウム、及びその組合せを含むことができる。さらに、1つの特定の実施形態では、薄膜206は窒化アルミニウムを含むことができ、より具体的には、薄膜206は、基本的に窒化アルミニウムからなることができる。
例示的な構造では、バッファ層203は、薄膜204がシリコンを含み、基板201の主面と直に接触しているように形成され得る。さらに、薄膜206は、薄膜204の或る表面と直に接触することができ、III−V族材料を含む。
ステップ103においてバッファ層を形成した後に、そのプロセスはステップ105において、バッファ層203の上に重なる基層を形成することによって継続することができる。図2Aを手短に参照すると、半導体基板200は、バッファ層203の上に重なる基層205を含むことができる。具体的には、基層205は、バッファ層203の或る表面の上に重なるように形成され得、より具体的には、基層はバッファ層203の薄膜206と直に接触することができる。
本明細書における実施形態による半導体基板の形成は、必ずしも、真性マスクを作製することなく、又は溝切り若しくは粗面化により基板の表面を変更することなく、又はエッチング技法を利用することなく、達成される場合があることも理解されるであろう。
一実施形態によれば、バッファ層203を適切に形成すると、基板201及びバッファ層203は反応チャンバ内に置かれ、エピタキシャル成長プロセスを実施することができる。その成長プロセスは、チャンバから工作物(例えば、半導体基板)を取り出すことなく、単一のチャンバ内で実行される連続エピタキシャル成長プロセスとすることができる。より具体的には、その連続成長プロセスは、水素化気相エピタキシー(hydride vapor phase epitaxy、以下、HVPEと称する)を含むことができる。
例えば、基層205は、水素化気相エピタキシー(HVPE)などのエピタキシャル成長プロセスを通して形成され得る。1つの特定の事例では、基層205はIII−V族材料から形成され得る。幾つかの適切なIII−V族材料は窒化物材料を含むことができる。さらに、基層205は、ガリウムを含む場合がある。特定の事例では、基層205は窒化物ガリウム(GaN)を含む場合があり、より具体的には、基本的に窒化ガリウムからなることができる。
基層205を形成する特定の方法を行うことができる。例えば、種々の成長モードにおいて基層205のエピタキシャル成長が実施され得、基層205の下側領域208が第1のモードにおいて成長することができ、基層205の上側領域210が第1のモードとは異なる第2のモードにおいて成長することができる。例えば、一実施形態では、基層205は最初に3次元(3D)成長モードにおいて成長したエピタキシャル層として形成され得、それにより、基層205の下側領域208は3D成長モードにおいて形成される場合がある。3D成長モードは、複数の結晶学的方向に沿った基層205の材料の同時成長を含むことができる。3D成長プロセスは、バッファ層203上の島機構の自然発生的形成を含むことができる。自然発生的に形成された島機構はバッファ層203上にランダムに位置決めされ得、複数のファセットを有する種々のメサと、メサ間の谷部とを画定する。
それとは別に、又はそれに加えて、基層205は、2次元(2D)エピタキシャル成長モードを用いて形成され得る。2D成長モードは、1つの結晶学的方向における材料の優先的成長と、他の結晶学的方向に沿った結晶材料の限られた成長とによって特徴付けられる。例えば、一実施形態では、2D成長モードにおけるGaNを含む基層205の形成は、c面(0001)におけるGaNの優先的成長を含み、それにより、基層材料の縦方向の成長は、横方向の成長よりも安定化され得る。
先に示されたように、基層205は、3D成長モード及び2D成長モードの組合せを用いて形成され得る。例えば、基層205の下側領域208は、3D成長モードにおいて最初に形成されることができ、そのモードでは、島機構がバッファ層203上に不連続な材料層として自然発生的に形成され、ランダムに配列され、実質的に不均一な厚みを有する層を画定することができる。3D成長モード後に、成長パラメータが変更され、2D成長モードに変更することができ、横方向成長よりも縦方向成長が加速される。このようにして、基層205の上側領域210は、2D成長モードを通して形成され得る。3D成長モードから2D成長モードに切り替わると、自然発生的に形成された島機構が部分的に、又は全体的に合体することができる。場合によっては、2D成長は、島機構が全体的に合体して概ね均一な厚みの単一の連続層になるのを助長するほど十分に長く実施され得る。3D成長モード及び2D成長モードを組み合わせることは、基層205の転位密度の減少、及び基層205上の内部歪みの変更(例えば、増加)を容易にすることができる。
基層205の形成は、成長モードの複数の変更を含むことができることは理解されるであろう。例えば、一実施形態では、基層は初期の3D成長モードと、その後の2D成長モードと、3D成長モードにおけるさらなる成長とによって形成され得る。
成長モード間の切替えは、成長温度、成長速度、気相反応物材料及び非反応物材料の圧力、反応雰囲気内の反応物材料と非反応物材料との比、成長チャンバ圧、並びにその組合せを含む、特定の成長パラメータの変更によって完了される場合がある。本明細書における反応物材料への参照は、アンモニアなど、窒素含有材料などの反応物材料を含む。他の反応物材料は、例えば、塩化ガリウムなどの金属ハロゲン化物成分を含む、ハロゲン化物相成分を含むことができる。非反応物材料は、例えば、希ガス、不活性ガスなどを含む、特定のタイプのガスを含むことができる。特定の事例では、非反応物材料は、窒素及び/又は水素などのガスを含むことができる。
3D成長モードにおける基層205の作製を含む基層205の形成中に、成長温度は少なくとも約750℃とすることができる。他の実施形態では、成長温度は、少なくとも約800℃、少なくとも約850℃、少なくとも約875℃、少なくとも約900℃、さらには少なくとも約925℃などとさらに高くすることができる。1つの形成方法によれば、基層205の形成中の成長温度は、1200℃以下、例えば、約1150℃以下、約1125℃以下、約1050℃以下、さらには約1000℃以下などとすることができる。成長温度は、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの間の範囲内に入ることができることは理解されるであろう。
特定のプロセスの場合、成長温度が変更され、3D成長モードと2D成長モードとの間の変更を容易にすることができる。一実施形態では、成長温度の変更は、3D成長モードから2D成長モードに変更するために成長温度を上げることを含むことができる。例えば、3D成長モードから2D成長モードに変更する際に、その温度は、少なくとも約5℃、例えば、少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、少なくとも約20℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、さらには少なくとも約40℃などと変更可能である。さらに他の実施形態では、3D成長モードから2D成長モードに変更する際に、成長温度は、約100℃以下、例えば、約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、さらには約60℃以下などと変更可能である。成長温度の変更は、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの間の範囲内に入ることができることは理解されるであろう。
実施形態によれば、基層205を形成するプロセスは、少なくとも毎時50ミクロン(ミクロン/hr)の成長速度で実施され得る。他の実施形態では、基層205の形成速度は、少なくとも毎時75ミクロン、少なくとも毎時100ミクロン、少なくとも毎時150ミクロン、少なくとも毎時200ミクロン、さらには少なくとも毎時約250ミクロンなどとさらに速くすることができる。別の実施形態では、基層205を形成するプロセスは、毎時約1mm以下、例えば、毎時750ミクロン以下、毎時500ミクロン以下、さらには毎時約300ミクロン以下などの速度で実施され得る。基層を形成するプロセスは、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの間の範囲内の速度で実施され得ることは理解されるであろう。
特定のプロセスの場合、成長速度が変更され、3D成長モードと2D成長モードとの間の変更を容易にすることができる。例えば、成長速度は、3D成長モードから2D成長モードに変化する際に下げられることができる。具体的には、3D成長モードから2D成長モードへの変更は、少なくとも毎時約5ミクロン(すなわち、ミクロン/hr)、例えば、少なくとも毎時約10ミクロン、少なくとも毎時約15ミクロン、少なくとも毎時約20ミクロン、少なくとも毎時約40ミクロン、少なくとも毎時約50ミクロン、さらには少なくとも毎時約75ミクロンなどと成長速度を変更することを含むことができる。さらに他の実施形態では、3D成長モードから2D成長モードに変更する際に、成長速度は、毎時約200ミクロン以下、例えば、毎時約175ミクロン以下、毎時約150ミクロン以下、毎時約125ミクロン以下、さらには毎時約100ミクロン以下などと変更可能である。成長速度の変更は、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの間の範囲内に入ることができることは理解されるであろう。成長速度の変更は、3D成長モードから2D成長モードに変更するときに、成長速度を下げることとすることができることは理解されるであろう。
他の実施形態によれば、3D成長モードから2D成長モードに変更するプロセスは、少なくとも2倍に成長速度を変更することによって引き起こされる場合がある。例えば、成長速度は、3D成長モードから2D成長モードに変更する際に少なくとも2分の1に下げられることができる。他の実施形態では、成長速度は、少なくとも約3分の1、少なくとも約4分の1、さらには少なくとも約5分の1に下げられてもよい。特定の事例では、成長速度の下げは、約8分の1以下、約7分の1以下、又は約6分の1以下である。
成長速度を変更する際に、先に特定された因子のうちの1つ又は複数が変更され得ることは理解されるであろう。例えば、成長温度が変更可能であるが、成長速度は安定した状態に保たれる。代替的には、成長速度が変更可能であるが、成長温度は保持される。さらに別の実施形態では、成長速度及び成長温度の両方が変更され、成長モードの変更を達成することができる。
基層205を適切に形成した後に、基層205の平均厚は約5mm以下とすることができる。他の実施形態では、基層205の平均厚は、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、さらには約1.5mm以下などとさらに薄くすることできる。さらに、基層205は、少なくとも約0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.5mm、少なくとも0.8mm、さらには少なくとも1mmの平均厚を有するように形成され得ることは理解されるであろう。基層205は、例えば、0.1mmから約5mmの間の範囲内を含む、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの間の範囲内の平均厚を有することができることは理解されるであろう。
基層205は、特定の転位密度を有するように形成され得る。基層205の転位密度は、形成時に基層の上側表面において測定可能である。転位密度を測定する適切な方法は、室温において操作されるカソードルミネッセンス顕微鏡と、10KeV電子ビーム、スポットサイズ70において、モノクロメータを用いない多色光検出とを使用することを含み、その機器は、JEOL Corporationから市販されるSEM JSM−5510である。約108cm−2の転位密度測定値の場合、倍率は4000Xであり、面積は通常700μm2である。約106cm−2の転位密度測定値の場合、倍率は通常500〜1000Xであり、面積は通常0.1mm2である。
一実施形態によれば、基層205は、基層205の上側表面において測定されるときに、約1×108転位/cm2以下の転位密度を有することができる。他の実施形態では、基層205の転位密度は、約1×107転位/cm2以下、約6×106転位/cm2以下、さらには約1×106転位/cm2以下などとさらに小さくすることができる。さらに、基層205は、少なくとも約1×105転位/cm2、例えば、少なくとも2×105転位/cm2、少なくとも3×105転位/cm2、さらには少なくとも5×105転位/cm2などの転位密度を有することができる。基層は、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの範囲内の転位密度を有することができることは理解されるであろう。
ステップ105において基層を形成した後に、そのプロセスはステップ107において基層を冷却することによって継続することができる。冷却することは、基層205を形成するために利用された成長温度から成長チャンバ内の温度を下げることを含むことができる。また、冷却することは、半導体基板200(すなわち、基板201、バッファ層203及び基層205)の温度を下げることも含むことができ、それは必然的に成長チャンバを冷却することを含む場合もあるが、必ずしも成長チャンバを冷却することを含まない場合もある。例えば、半導体基板200が成長チャンバから取り出される場合があり、一方、成長チャンバは成長温度に、又はその付近の温度に保たれる。
冷却することは、成長チャンバ又は半導体基板200の温度を冷却温度まで下げることを含むことができる。冷却温度は、エピタキシャル成長のために用いられた成長温度よりも著しく低くすることができる。例えば、冷却温度は、成長温度より少なくとも約100℃低くすることができる。場合によっては、冷却温度は、成長温度よりも、少なくとも約150℃、例えば、少なくとも約200℃、少なくとも約250℃、少なくとも約300℃、少なくとも約350℃、少なくとも約400℃、少なくとも約450℃、さらには少なくとも約500℃など、低くすることができる。
特定の事例では、冷却温度は、少なくとも約0℃、例えば、少なくとも約20℃、少なくとも約50℃、少なくとも約80℃、少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃、さらには少なくとも約300℃などとすることができる。冷却温度は、約700℃以下、例えば、約650℃以下、約600℃以下、約500℃以下、約400℃以下、さらには約350℃以下などとすることができる。冷却温度は、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの範囲内に入ることができることは理解されるであろう。
基層205を形成するプロセス中に、半導体基板200は、基層205内の内部歪みに起因して湾曲するか、又は撓む場合がある。冷却プロセスは、湾曲を減少させるために行われる場合がある。また、冷却することは、形成プロセス中に蓄積される、基層205内の歪みも減少させることができる。
特定の事例では、冷却することは、基層205の亀裂を助長することができ、基層205内の内部歪みの減少を容易にすることができる。図2Aに示されるように、冷却中に基層205内に亀裂255が形成される場合がある。亀裂は基層205の体積空間を通って延びることがあり、基層205とバッファ層203との間の界面から開始されるか、又は基層205とバッファ層203との間の界面で終端される場合がある。幾つかの実施形態において、基層205内の少なくとも1つの亀裂255は、基層205の厚みのかなりの部分を通って延びることがある。
一実施形態によれば、冷却することは、歪みの減少を容易にし、亀裂を引き起こすために、特定の冷却速度において反応チャンバ又は半導体基板200(すなわち、基板201、バッファ層203及び基層205)の温度を変更することを含むことができる。例えば、冷却速度は、少なくとも約100℃/hrとすることができる。他の実施形態では、冷却速度は、少なくとも約200℃/hr、例えば、少なくとも約300℃/hr、少なくとも約400℃/hr、少なくとも約500℃/hr、さらには少なくとも約600℃/hrなどとすることができる。さらに、冷却速度は、約2000℃/hr以下、例えば、約1000℃/hr以下、さらには約800℃/hr以下などとすることができる。冷却速度は、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの範囲内に入ることができることは理解されるであろう。
冷却プロセスは、異なる冷却速度を利用することができる。例えば、最初に、冷却速度は冷却プロセスの終了時に用いられる冷却速度よりも速くすることができる。そのようなプロセスは、材料内に、亀裂などの望ましい機構を形成するのを助長することができる。代替的には、例えば、冷却サイクルの初期段階又は中間段階における狭い温度範囲を含む、特定の温度範囲にわたって、特に速い冷却速度が利用される場合がある。
冷却プロセスは、反応チャンバ内に特定の冷媒を導入することによって助長される場合がある。例えば、1つの特定の冷媒はガス状材料を含む。冷媒は、エピタキシャル成長プロセス中の反応チャンバの温度よりも低い温度を有することができる。
それに加えて、又はその代わりに、冷却中に反応チャンバ内の雰囲気が制御され得る。例えば、冷却雰囲気が反応チャンバ内に供給され、半導体基板200の冷却を助長することができる。幾つかの適切な冷却雰囲気は、還元性雰囲気、酸化性雰囲気又は不活性雰囲気を含むことができる。特に適切なガス状材料は、窒素、又はアルゴン若しくはヘリウムなどの希ガスを含むことができる。特定の事例では、冷却雰囲気は、例えば、アンモニア(NH3)、水素(H2)及びその組合せを含む、水素含有組成物などの水素含有ガスを含むことができる。例えば、冷却雰囲気は窒素及びアンモニアの混合物を含むことができる。1つの特定の実施形態によれば、冷却雰囲気はアンモニア及び水素ガスの混合物を含むことができる。代替の実施形態では、冷却雰囲気はヘリウム及び水素含有ガスの混合物を含むことができる。
反応チャンバを冷却する他の手段は、チャンバの構造に対して冷却手段を適用することを含むことができる。例えば、チャンバは、オプションで、制御されながら反応チャンバの構造を冷却するように設計された冷却システムを有することができる。
ステップ107において冷却プロセスを行った後に、そのプロセスはステップ109において、基層の上に重なるバルク層を形成することによって継続することができる。とりわけ、反応チャンバ内の成長プロセスが継続可能である。したがって、バルク層を形成するプロセスは、それらのプロセスのために反応チャンバ内の温度を上げることによって開始されることができ、冷却は反応チャンバの温度を下げることを含む。
図2Bを手短に参照すると、半導体基板260は、バッファ層203及び基板201の上に重なる基層205上に形成されるバルク層265を含むことができる。具体的には、バルク層265は、基層205の表面の上に重なるように形成されることができ、より具体的には、バルク層265は、基層205と直に接触することができる。
バルク層265を形成するプロセスは、本明細書において言及されるような1つ又は複数の成長モードを利用するエピタキシャル成長プロセスを含むことができる。しかしながら、特定の事例では、バルク層265の形成は、3D成長モードを通しての形成を含むことができる。より具体的には、バルク層265の形成は、3D成長モードで完了され得る。3D成長モードにおけるバルク層265の形成は、本明細書における他の実施形態の他の特徴と組み合わせられるときに、意外にも、歪みが制限されるか、又は歪みが全くない層を形成することがわかった。バルク層265は、ほとんど、又は全く湾曲しないか、又は撓まない厚い材料層に形成され得る。とりわけ、3D成長モードにおけるバルク層265の成長は、複数のファセットを有する複数のメサと、メサ間の谷部とによって画定されるバルク層265の上側表面を助長することができる。
バルク層265は、冷却中に基層205内に形成された亀裂がバルク層265の中に必ずしも伝搬しないように形成され得る。すなわち、バルク層265の成長プロセスは、基層205内の亀裂が基層205及びバルク層265の界面において終端し、亀裂がバルク層265の体積空間の中に延在しないように実施され得る。したがって、半導体基板260内で、亀裂は主に基層205内に存在することができ、より具体的には、亀裂は基層205内にだけ存在することができる。
特定の事例では、バルク層265は、III−V族材料を含むことができる。特定の事例では、バルク層265は、窒化物材料を含むことができる。さらに別の実施形態では、バルク層265はガリウムを含むことができ、より具体的には、窒化ガリウムを含むことができる。例えば、バルク層265は、基本的に窒化ガリウムからなることができる。
さらに、バルク層265の形成は、最終的に形成された半導体基板が電子デバイスを製造する際に用いるのに適した特性を有するように、ドーパント材料を与えることを含むことができる。幾つかの適切なドーパント材料は、C、Mg、Zn、Si、Sn、O、Fe、Ge及びその組合せなどの元素を含むことができる。場合によっては、バルク層265は、約2×1018cm−3未満のドーパント濃度を有することができる。他の事例では、より高い導電率を得るために、ドーパント濃度は、5×1019cm−3程度に高くすることができる。基層205及びバルク層265内のドーパント濃度は概ね同じにすることができ、より具体的には、剥離層207内のドーパント濃度よりも著しく低くすることができる。
実施形態によれば、バルク層265は、基層205と概ね同じ速度で成長することができる。バルク層265は、基層205の平均厚よりも著しく厚い平均厚を有するように形成されることができる。例えば、バルク層265は、少なくとも約1mmの平均厚を有するように形成され得る。他の実施形態では、平均厚は、少なくとも約1.5mm、少なくとも約2mm、少なくとも約2.5mm、少なくとも約3mm、少なくとも約4mm、さらには少なくとも約5mmなどとより厚くすることができる。さらに、バルク層265は、約10mm以下、さらには約8mm以下の平均厚を有するように形成され得る。バルク層265は、先に言及された最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚を有することができることは理解されるであろう。
バルク層265は、上側表面において測定されるときに、特定の転位密度を有するように形成されることができる。特定の実施形態では、バルク層265は、約1×107転位/cm2以下、さらには約1×106転位/cm2以下など、約1×108転位/cm2以下の転位密度を有することができる。他の実施形態では、バルク層265は、少なくとも2×105転位/cm2、さらには少なくとも5×105転位/cm2など、少なくとも約1×105転位/cm2である転位密度を有することができる。バルク層265は、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの間の範囲内の転位密度を有することができることは理解されるであろう。
形成プロセス中に、基層205及びバルク層265は、基板201から分離され得る。その分離は、バッファ層203の一部、特にバッファ層203内の薄膜の解離によって助長され得る。一実施形態によれば、バッファ層203はシリコンを含む薄膜(例えば、薄膜204)を含むことができ、エピタキシャル成長プロセス中に利用される高い温度において、その薄膜は熱的に解離される。熱解離は、基板201と、バッファ層203の上に重なる複数の半導体層(すなわち、基層205及びバルク層265)との間の分離を容易にする。したがって、連続成長プロセスの完了時に、基層205及びバルク層265は基板201から完全に除去され得る。
図2Cを参照すると、基層205及びバルク層265を含む複数の半導体層を有する半導体基板270が示される。半導体基板270から基板201を剥離した後に、さらなる処理が完了される場合がある。具体的には、バルク層265を形成した後に、そのプロセスはステップ111において、基層205からバルク層265を除去することによって継続することができる。1つのそのようなプロセスは、半導体基板270を研削して、半導体層(すなわち、基層205及びバルク層265)の全厚を薄くすることを含むことができる。具体的には、基層205を除去することは、研削、ラップ仕上げ及び/又は研磨プロセスを用いて基層205を除去する背面研削プロセスを含むことができる。さらに、上側表面271を平滑化し、バルク層265の厚みを薄くするのを容易にするために、バルク層265の上側表面271は、研削、ラップ仕上げ及び/又は研磨を含む材料除去プロセスを受けることができる。とりわけ、バルク層265から形成された基板に鏡面仕上げを与えるために、少なくとも上側表面271の研磨が行われる場合がある。
バルク層265から基層205を除去し、バルク層265の上側表面271から材料を除去することは、基板270の厚みを薄くするのを助長する。とりわけ、バルク層265は、バルク層265内の領域275によって画定される特定の厚みまで薄くされる場合があり、その領域は、最終的に形成される半導体基板を形成するのに適した対象領域とされる場合がある。
図2Dは、本明細書における実施形態に従って形成された半導体基板の断面図を含む。最終的に形成される半導体基板280は、図2Cに示されるバルク層265の領域275から形成され得る。半導体基板280は、バルク層265と同じ属性を有することができる。
一実施形態によれば、半導体基板280は、窒化物、より具体的には窒化ガリウムを含み、さらに具体的には、基本的に窒化ガリウムからなる主部285を有することができる。
半導体基板280の主部285は、約1×108転位/cm2以下、例えば、約1×107転位/cm2以下、さらには約1×106転位/cm2以下などの転位密度を有することができる。他の実施形態では、半導体基板280の主部285は、少なくとも約1×105転位/cm2、例えば、少なくとも2×105転位/cm2、さらには少なくとも5×105転位/cm2などの転位密度を有することができる。主部285は、先に言及された最大値及び最小値のいずれかの間の範囲内の転位密度を有することができることは理解されるであろう。
半導体基板280の主部285は、少なくとも約100ミクロンの平均厚281を有するように形成されることができる。他の事例では、主部285の平均厚281は、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約250ミクロン、さらには少なくとも約300ミクロンなどとより厚くすることができる。さらに、主部285の平均厚281は、約700ミクロン以下、例えば、約600ミクロン以下、さらには約500ミクロン以下などとすることができる。主部285は、先に言及された最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚281を有することができることは理解されるであろう。
一般的に、半導体基板280は、円板形の形状を有する主部285を有することができる。主部285は、少なくとも約4cm、例えば、少なくとも約5cm、少なくとも約6cm、少なくとも約6.5cm、さらには少なくとも約8cmなどの直径又は幅282を有することができる。場合によっては、主部285の直径は約20cm以下とすることができる。
とりわけ、半導体基板280の主部285は、特定の湾曲を有するように形成されることができる。その湾曲は、基板の表面に対する最良の最小二乗当てはめ(least squared fit)として定義される平面からの表面の最大偏差として測定される。すなわち、例えば、主部285の曲率はとりわけ小さくすることができ、それは湾曲がほとんどないか、全くないことを示す。一実施形態によれば、主部285は、約200ミクロン未満の湾曲を有することができる。他の事例では、湾曲は、約100ミクロン以下、約75ミクロン以下、約50ミクロン以下、約25ミクロン以下、さらには約10ミクロン以下などとより小さくすることができる。
湾曲は差:zC−0.25x(zS+zN+zE+zW)として測定され、ただし、zCは主部285の中心に位置する点の高さであり、表記zS、zN、zE及びzWは中心点から24mmに位置し、かつ中心点の周りに90度ずつ一定の間隔で配置された4つの点の高さを表す。高さは、その基板の中心において基板285の表面に対して概ね垂直な軸zに沿って測定される。基板直径に比べて湾曲値が非常に小さいので、垂直方向は、その上に基板が置かれる測定機器の基準面に対する法線とすることができる。
主部285は、少なくとも約2インチ、例えば、少なくとも約3インチ、少なくとも約4インチ、少なくとも約5インチ、及び少なくとも約6インチなどの直径を有することができる。特定の事例では、主部285は、約15インチ以下の直径を有することができる。
場合によっては、主部285の湾曲は、少なくとも約1.5mの曲率半径に相当することができる。他の場合には、主部285の湾曲は、少なくとも約1.8m、少なくとも約2m、少なくとも約2.5m、少なくとも約3m、少なくとも約5m、さらには少なくとも約10mの曲率半径に相当することができる。
とりわけ、半導体基板280の主部285は、特定の結晶湾曲(crystalline bow)を有するように形成されることができる。結晶湾曲は、完全に平坦な結晶形態からの偏差として、半導体基板の主部内の結晶材料の曲率として測定される。結晶の測定は、曲率半径を導出するための公式4.12 R=(X1−X2)/(ω1−ω2)に基づいて、Paul F. Fewsterの著書「X−ray scattering from semiconductors」の4.3.5章において開示される方法によるX線回折によって実行される。すなわち、例えば、主部285の曲率はとりわけ小さくすることができ、それは湾曲がほとんどないか、又は全くないことを示す。一実施形態では、主部285は、約200ミクロン未満の結晶湾曲を有することができる。他の事例では、湾曲は、約100ミクロン以下、約75ミクロン以下、約50ミクロン以下、約25ミクロン以下、さらには約10ミクロン以下などとより小さくすることができる。
本明細書における実施形態に記述される処理の方法によれば、特定の半導体基板が特定の結晶学的特徴を有することができることがわかった。とりわけ、半導体基板280の主部285は、デュアルピークシグネチャを有するX線回折走査プロファイルを有することができる。X線回折走査プロファイルは、主部285の上側表面283(すなわち、Ga面)上の中心を通って延在する線上の少なくとも8個の異なる点の走査を含む。X線回折走査プロファイルは、45kV/40mAにおいて運用されるX線源においてコリメーションスリットを用いることなくCuKα1線を用いる商業的設定(Pananalytical X’Pert PRO MRD)を用いて記録される。(0002)反射を得るために種々の場所において、ロッキング曲線ω走査プロファイルが記録される。
デュアルピークシグネチャは、主部285の表面上の同じ走査点に対して2つの異なるピーク又は最大値を有するX線回折走査プロファイルの単一の曲線によって特徴付けられることができる。とりわけ、デュアルピークシグネチャは、同じ曲線の一部である第1のピーク及び第2のピークを有することができ、第1のピーク及び第2のピークは、その曲線の、概ね0又は背景強度を横切る部分間に配置される。デュアルピークシグネチャは、X線回折走査プロファイル上に、異なる平均を有する二峰性分布を有する曲線として現れることができる。
一実施形態によれば、デュアルピークシグネチャは、互いに離間して配置される第1のピーク及び第2のピークを有する。第1のピーク及び第2のピークは、約2度以下互いから離間して配置され得る。第1のピークと第2のピークとの間の分離は、第1のピーク及び第2のピークを規定する最大値間のx軸に沿った距離として測定される。他の実施形態では、デュアルピークシグネチャの第1のピーク及び第2のピークは、約1度以下、約0.5度以下、約0.3度以下、さらには約0.2度以下互いから離間して配置され得る。さらに、第1のピークと第2のピークとの間の間隔は、少なくとも約0.005度など、少なくとも約0.001度とすることができる。デュアルシグネチャピークの第1のピークと第2のピークとの間の間隔は、先に言及された最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内で離間して配置され得ることは理解されるであろう。
デュアルピークシグネチャは、第1の強度を有する第1のピークと、第1の強度とは著しく異なる第2の強度を有する第2のピークとを含むことができる。一実施形態では、第1のピーク強度(PI1)及び第2のピーク強度(PI2)は、式ΔPI=[(PI1−PI2)/PI1]x100%に基づいて、少なくとも5%異なる強度値を有することができ、ただし、PI1はPI2より大きい。他の事例では、第1のピーク強度(PI1)と第2のピーク強度(PI2)との間の差は、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約12%、少なくとも約16%、少なくとも約18%、少なくとも約22%、少なくとも約24%、少なくとも約28%、さらには少なくとも約30%などとすることができる。場合によっては、第1のピーク強度(PI1)と第2のピーク強度(PI2)との間の差は、約95%以下、例えば、約90%以下、約85%以下、約80%以下、又は約75%以下などとすることができる。第1のピーク強度(PI1)と第2のピーク強度(PI2)との間の差は、先に言及された最小値及び最大値のパーセンテージのいずれかの間の範囲内に入ることができることは理解されるであろう。
半導体基板280の主部285は、デュアルピークシグネチャから離間して配置される少なくとも1つのシングルピークシグネチャを有するX線回折走査プロファイルによって特徴付けられることができる。例えば、X線回折走査プロファイルのプロットを精査すると、主部285は、主部285の表面283上の1つの測定点に関連付けられるデュアルピークシグネチャと、主部285の表面283に沿った別の測定点に関連付けられるシングルピークシグネチャとを有することができる。一実施形態によれば、シングルピークシグネチャは、約180秒角(0.050度)以下の全幅の最大値の半分(full−width half maximum value)を有することができる。
さらに、半導体基板280の主部185は、X線回折走査プロファイル上のデュアルピークシグネチャとシングルピークシグネチャとの間に特定の分離を有することができる。デュアルピークシグネチャとシングルピークシグネチャとの間の分離は、デュアルピークシグネチャの最大値とシングルピークシグネチャを定義付ける最大値との間の最近接距離として測定される。一実施形態では、デュアルピークシグネチャとシングルピークシグネチャとの間の分離距離は、少なくとも約0.01度、例えば、少なくとも約0.05度、少なくとも約0.08度、少なくとも約0.1度、さらには少なくとも約0.3度などとすることができる。さらに、デュアルピークシグネチャとシングルピークシグネチャとの間の分離は、約2度以下、約1.5度以下、さらには約1度以下とすることができる。デュアルピークシグネチャとシングルピークシグネチャとの間の間隔は、先に言及された最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内に入ることができることは理解されるであろう。
さらに、デュアルピークシグネチャは、デュアルピークシグネチャの第2のピーク(すなわち、最大値)よりも著しく大きな強度を有する第1のピーク(すなわち、最大値)を有することができる。一実施形態では、デュアルピークシグネチャの第1のピークの強度は、同じX線回折走査プロファイル内の任意のシングルピークシグネチャのピークに関連付けられる強度よりも著しく低い値を有することができる。著しく異なるピーク強度は、X線回折走査プロファイルから実証されるようなピーク強度の測定可能な差とすることができる。1つの特定の事例では、デュアルピークシグネチャの第1のピークの強度とシングルピークシグネチャのピークの強度との間の強度差は、少なくとも約1%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約7%、さらには少なくとも約10%などとすることができる。場合によっては、第1のピーク強度と、単一ピークシグネチャのピーク強度との間の差は、約98%以下、例えば、約95%以下、約90%以下、約85%以下、又は約75%以下などとすることができる。第1のピーク強度と、シングルピークシグネチャのピーク強度との間の差は、先に言及された最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内に入ることができることは理解されるであろう。
サファイア基板上にMOVPEによって2つの部分バッファ層を最初に成長させることによって、一実施形態によるサンプルが形成される。バッファ層はサファイア基板上に直に存在する第1のシリコン層と、その後にエピタキシャル成長するAlNとを含む。MOVPE反応器内にサファイア基板を装填した後に、サファイア基板は、シリコン膜を成長させる前に、N2下でアニールされなければならない。好ましくは、その温度は870℃である。100torrにおけるN2雰囲気内でのシランの熱分解から、約0.4ミクロンの厚みまでのシリコン成長が形成される。
温度は約1140℃まで上げられ、成長蒸気は70torrにおいて純粋なN2のままである。最初にNH3が反応チャンバ内に導入され、その後、TMAl有機金属材料が導入され、シリコン上にAlN層を形成し始める。約20分の成長後に、Si層の上に0.2μm厚のAlN層が堆積され、バッファ層を形成する。
HVPEによってAlN層上にGaNを成長させることによって基層の製造が開始される。成長は、約150μm/hの成長速度で950℃において実施される3D成長モードにおいて開始される。成長チャンバ内の圧力は約200torrであり、V/III比は約10である。
3D成長モードにおけるGaN成長を十分に形成した後に、約950℃の一定の低温において3D成長モードから2D成長モードへの移行が達成され、成長チャンバ内のGaCl部分蒸気圧を減圧することによって、成長速度は5分の1〜6分の1減速される。成長チャンバ内の全圧は一定に保たれる。
成長モードは、以下のシーケンスを用いて約1mm厚の基層が形成されるように交互に行われる:350μm3D+50μm2D+350μm3D+50μm2D+200μm3D。
基層を形成した後に、反応チャンバを約200℃/hrの冷却速度で室温まで冷却することによって、GaN基層が冷却され得る。冷却中に、反応チャンバ内のNH3の圧力が保持され、GaN基層の熱分解を避ける。
冷却後に、反応チャンバは再び加熱され、基層の上に重なるGaNバルク層の最終的なHVPE成長を実施する。バルク層に対する厚みはピット深さによって決定され得る。一般的に、GaNバルク層は3D成長モードにおいて少なくとも3.5mmの厚みまで成長し、ピットを十分な程度まで充填する。バルク層に対する成長条件は、約150μm/hの成長速度、950℃の成長温度、10のV/III比、及び200torrの圧力を含む。
実施例1のサンプルは、亀裂が入ったブランク上で測定された、50ArcSecのFWHMを有する(0002)のXRDロッキング曲線を示した。本明細書において記述された方法によるカソードルミネッセンス走査を用いて、3x106cm−2において、貫通転位も測定された。
図3は、実施例1の基板の場合のデュアルピークシグネチャを有するX線回折走査プロファイルを含む。図示されるように、実施例1の半導体基板は、それぞれ301、302、303、304、305、306、307、308及び309を付される9個の異なるピーク曲線を示す。9個のピーク曲線はそれぞれ、本明細書において言及された方法に従ってX線回折測定が行われた、実施例1の基板の表面上の9個の異なる場所を表す。ピーク曲線304及び305はデュアルピークシグネチャを表す。具体的には、ピーク曲線304は第1のピーク314及び第2のピーク315を有する。第1のピーク314は41248の強度を有し、第2のピーク315は15349の強度を有する。したがって、第1のピーク314及び第2のピーク315は約63%の強度値差を有する。ピーク314は62.855度に位置し、ピーク315は62.793度に位置する。したがって、デュアルピークシグネチャのピーク314と315との間の分離は、約0.062度である。
X線回折走査プロファイルのピーク曲線305は、第1のピーク325及び第2のピーク326を有するデュアルピークシグネチャを表す。第1のピーク325は41524の強度を有し、第2のピーク326は18723の強度を有する。したがって、第1のピーク325及び第2のピーク326は約55%の強度値差を有する。ピーク325は62.881度に位置し、ピーク326は62.936度に位置する。したがって、ピーク325と326との間の分離は約0.055度である。
ピーク曲線301、302、303、306、307、308及び309は全て、実施例1の基板のX線回折走査プロファイルのシングルピークシグネチャを表す。ピーク曲線301、302、303、306、307、308及び309のシングルピークシグネチャはそれぞれ単一の最大値を有し、単一の平均を規定する。各シングルピークシグネチャのピーク曲線301、302、303、306、307、308及び309は、ピーク314、315、325又は326の強度値よりも著しく高い強度値(それぞれの最大値において測定されるとき)を有する。ピーク301、302、303、306、307、308及び309の強度値はそれぞれ53284、53866、52623、47055、46437、43693及び50755である。さらに、ピーク301、302、303、306、307、308及び309のFWHM(度単位)はそれぞれ0.041、0.040、0.041、0.048、0.048、0.056及び0.043である。
本明細書における実施形態は、最新技術からの脱却を表す。これまでもエピタキシャル技法を通してバルクGaN基板が形成されてきたが、そのようなプロセスは通常、層状の物品の中に著しい歪みを引き起こし、結果として基板が著しく湾曲する。本出願は、限定はしないが、当該技術分野において認識されていない、例えば種々の成長モードの利用、成長モードの特定の順序の利用、亀裂を引き起こす特定の冷却処理及び仕上げプロセスの組合せを含む、半導体基板(例えば、GaN)を形成するプロセスを開示する。それらの実施形態において開示される特定の成長プロセスは、限定はしないが、特定の転位密度を有する基板、ほとんど又は全くない湾曲、特定の厚み、及びデュアルピークシグネチャを含む、複数の特徴の組合せを有する半導体基板の形成を助長する。
先に開示された主題は例示と見なされるべきであり、限定するものと見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に入る、全てのそのような変更形態、改善形態、及び他の実施形態を包含することを意図している。したがって、法律によって許される最大限の範囲で、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の最も広い容認可能な解釈によって決定されるべきであり、これまでの詳細な説明によって限定又は制限されるべきでない。
要約書及び開示は特許法に準拠するために提供されており、特許請求の範囲又は請求項の意味を解釈又は制限するために用いられないという了解の下で提示される。さらに、これまでの詳細な説明において、本開示を簡素化する目的で、種々の特徴は群にまとめられる場合があるか、又は単一の実施形態において説明される場合がある。本開示は、特許請求される実施形態が各請求項において明記される特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明内容は、開示される実施形態のいずれかの実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴に向けられる場合がある。添付の特許請求の範囲は詳細な説明に組み込まれており、各請求項はそのままで別々に特許請求される発明内容を規定するものとして有効である。