JP2014520097A - メタクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、メタクリル酸エステルの加水分解に基づく、メタクリル酸の製造方法に関する。

Description

本発明は、メタクリル酸エステルの加水分解に基づく、メタクリル酸の製造方法に関する。
従来技術から、メタクリル酸の製造方法は多くのものが公知である。
通常の手法は、炭化水素ガス(例えばプロピレン又はブチレン)の制御された酸化において行われる。この方法の欠点は、これにより得られる収率が、総体的に見て低いことである。
さらにメタクリル酸は、メタクリルアミドと水との反応によって得ることができる。この方法は、特にUS 7,253,307に記載されている。この文献によれば、メタクリルアミドと水素との反応は、撹拌槽型反応器内、又は管型反応器内で行うことができる。この反応は好適には、3.65〜7.70barの範囲の圧力、及び50〜210℃の範囲の温度で行われる。
US 7,253,307に記載されたメタクリル酸の製造方法によって既に、高純度で良好な収率につながる。ただしメタクリル酸は化学工業にとって重要な製品であり、多くの重要な生成物にとっての出発物質として用いられる。このため、低い製造コストでの最大の収率及び非常な高純度が、このような製造プロセスを経済的に行うためには重要となる。収率、プラントの耐久性、又はこれらに似た方法的な特徴に関して比較的僅かな改善であっても、廃棄量と製造コストという観点からは、重要な進歩につながる。
同様にα−ヒドロキシイソ酪酸は、メタクリル酸を製造する出発物質として用いることができる。このような方法は例えばUS 3,487,101に記載されており、これは液相中の2−ヒドロキシイソ酪酸(HIBS)から出発する多様なメタクリル酸誘導体(特にメタクリル酸とメタクリル酸エステル)の製造方法であって、その特徴は、溶解された塩基性触媒の存在下、180〜320℃の高温で高沸点性エステル(例えばフタル酸ジメチルエステル)、及び内部由来の無水物(例えば無水フタル酸)の存在下でHIBSを反応させて、メタクリル酸にすることである。この特許によれば90%超のHIBS転化率が、98%のメタクリル酸(MAS)選択性で達成される。液状触媒溶液の長時間安定性、特に使用される無水物の枯渇については、何ら言及されていない。
DE-OS 1 191 367は、液相でHIBSから出発するメタクリル酸(MAS)の製造方法に関し、その特徴は、重合阻害剤(例えば銅粉末)の存在下、かつ金属ハロゲン化物、及びアルカリ金属ハロゲン化物から成る触媒混合物の存在下、180〜220℃の高温でHIBSを反応させて、メタクリル酸にすることである。この特許によれば90%超のHIBS転化率が、99%超のメタクリル酸(MAS)選択性で達成される。最良の結果は、臭化亜鉛と臭化リチウムから成る触媒混合物によって達成される。一般的に高温下でハロゲン化物含有触媒を用いる場合、使用される材料に厳しい要求が課され、蒸留液中に存在し、抜き取られるハロゲン化された副生成物についての問題は、後続のプラント部分でも生じることが、一般に知られている。
EP 0 487 853は、アセトンシアンヒドリン(ACH)から出発したメタクリル酸の製造方法を記載しており、その特徴は、第一工程においてACHを水と、適度な温度で不均一系加水分解触媒の存在下で反応させ、第二工程においてα−ヒドロキシイソ酪酸アミドと、ギ酸メチル又はメタノール/一酸化炭素とを反応させ、この際にホルムアミド及びヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HIBSM)が生成し、第三工程においてHIBSMを不均一系イオン交換体の存在下で、水で鹸化してHIBSにし、第四工程において、液相中で高温下、溶解性アルカリ金属塩の存在下で反応させることにより、HIBSを脱水することである。HIBSからのメタクリル酸の製造は、99%という高い転化率で、多かれ少なかれ定量的な選択性で記載されている。多くの必要な反応工程、及び各中間体の中間異性体化の必要性、特に高圧での各方法工程の実施も方法を複雑化するため、最終的には不経済になる。さらに、必ずホルムアミドが生じ、この化合物は多くの面で不所望の副生成物とされ、高い処理コストがかかる。
DE-OS 1 768 253は、HIBSの脱水によるメタクリル酸の製造方法を記載しており、その特徴は、HIBSを液相中で少なくとも160℃の温度で、HIBSの金属塩から成る脱水触媒の存在下、反応させることである。この場合に特に適切なのは、HIBSのアルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩であり、これらはHIBS溶融物中で、適切な金属塩の反応により、その場で(in situ)製造される。この特許によれば、HIBSからのMAS収率は最大95%であることが記載されており、ここで連続的な方法のフィードは、HIBSと、HIBSアルカリ金属塩約1.5質量%から成る。
RU 89631は、液相中での水の脱離による、HIBSから出発したメタクリル酸の製造方法に関し、この反応は触媒の不在下で、HIBS水溶液を用いて(水中でHIBSが最大62質量%)加圧下、200〜240℃の温度で行うことを特徴とする。
さらに熱心に調査されてきたのは、プロペンを基礎原料として用いることであり、ここではイソ酪酸のためのヒドロカルボニル化工程と、脱水性の酸化工程によって適度な収率でメタクリル酸にされる。
プロパナール又はプロピオン酸(エチレンとC1構成要素(例えば一酸化炭素)から出発して工業的な手法で手に入る)を基礎原料として用いることは、公知である。これらのプロセスでは、ホルムアルデヒドとのアルドール化反応で、その場で発生するβ−ヒドロキシカルボニル化合物を脱水しながら反応させて、対応するα,β−不飽和化合物にする。メタクリル酸と、メタクリル酸エステルの慣用の製造方法についての概観は、Weissermel, Arpe "Industrielle organische Chemie", VCH, Weinheim 1994, 4. Auflage, p.305以降、又はKirk Othmer "Encyclopedia of Chemical Technology", 3. Ausgabe, Vol. 15, p 357に見られる。
従って本発明の課題は、メタクリル酸を製造するための新規方法を提供することであって、この方法は上記欠点をもはや有さず、特に酸の廃棄量がより少なく、エネルギー消費がより少なく、またより収率が高く、かつ最終生成物における水含分が低いものである。
上記課題は、以下の工程を有するメタクリル酸の製造方法によって解決される:
a)アセトンシアンヒドリンを用意する工程、
b)アセトンシアンヒドリンを反応させて、メタクリルアミドにする工程、
c)アルカノールの存在下、メタクリルアミドをエステル化して、対応するメタクリル酸エステルにする工程、
d)メタクリル酸エステルを加水分解して、メタクリル酸にする工程。
意外なことに本発明による方法によって、大規模工業で容易に実現可能なメタクリル酸合成法を提供可能なことが判明した。この方法の特徴は、上記利点に加えて、副生成物類が少ないことである。こうして得られるメタクリル酸は、純度が99.5%以上である。
加水分解工程d)における不均一系触媒の使用によって、触媒を分離するための分離工程が省略され、また硫酸の使用を省くこともできるので、これらと結びついた腐食の問題が最小化され、廃棄する酸の生成が防止される。
さらに、ACH使用量に対して、メタクリル酸の収率が高まることが判明した。
シアン化水素とアセトンからアセトンシアンヒドリンを作製することは公知であり、例えばEP 1 171 420と、DE 102006058250に記載されている。引き続きアセトンシアンヒドリンを反応させてメタクリルアミドにすることは、例えばWO 2008/068064に記載されている。
メタノールの存在下、メタクリルアミドをエステル化してメチルメタクリレートにすることは、同様に従来技術であり、例えばWO 2008/068063に記載されている。ここで挙げた文献は、開示内容の一部とする。
工程a)アセトンシアンヒドリンの作製
アセトンシアンヒドリン(α−ヒドロキシイソブチロニトリル)は、メタクリル酸のあらゆる誘導体、特にそのエステルにとって、最も重要な出発生成物である。工業的にはアセトンシアンヒドリンは、塩基性触媒を用いて、シアン化水素(青酸)をアセトンに付加することにより製造される。中性の範囲、及び特にアルカリ性の範囲では、アセトンシアンヒドリンは、その出発成分と平衡である。慣用の方法は主に液相法を利用し、触媒(例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム溶液、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム/酢酸、ピリジン/酢酸、並びにアニオン交換樹脂)の存在下、40℃未満の温度で、非連続的にも、また連続的にも行われる。その例として、Rohm and Haasの方法を指摘しておく(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 5th ed. (1985), p91 -92参照)。この方法では、液状の青酸、アセトン、及び塩基性触媒を連続的に反応器に導入し、引き続き反応混合物を硫酸で安定化させ、触媒を濾過した後、二段階の蒸留によってまず未反応の青酸とアセトンを除去し、それから水を除去する。第一の蒸留工程からの排ガスを、反応器へと循環させ、純粋な安定化されたアセトンシアンヒドリンを第二蒸留工程の塔底で取り出す。この方法の欠点は、シアン化水素含有ガス(例えばシアン化水素を製造するためのBMA法又はAndrussow法からの粗製ガス)から、シアン化水素を液状化しなければならないことである。
また、液状化された青酸の代わりに、シアン化水素と不活性ガスを含有するガス混合体(例えばコークス炉ガス)を、アセトンシアンヒドリンを製造するための方法で使用することも公知である。Reinpreussen AG社の方法では(Ullmann's Encyklopedie der Technischen Chemie, 4. Auflage, Band 7, p34-35参照)、シアン化水素を含有するコークス炉ガスを、炭酸カリウムで洗浄後に連続的に向流で、水を10%含有するアセトンで洗浄し、アセトンシアンヒドリンへの反応を、塩基性触媒の存在下、2つの相互に接続されたガス洗浄塔で行う。アセトンシアンヒドリンを含有する反応混合物の後処理は、2つのアセトン塔と、アセトンシアンヒドリンを精製するための2つの塔を有する。
EP 1 171 420からは、アセトンシアンヒドリンの連続的な製造方法が公知であり、この方法は、シアン化水素とアセトンとを、塩基性触媒及びアセトンシアンヒドリンの存在下、気液反応器内で反応させる工程(当該反応器にシアン化水素と不活性ガスとを含有するガス混合体及びアセトンが連続的に供給され、かつ前記反応器から、アセトンシアンヒドリンを含有する液相と、不活性ガスを含有する気相とが排出される)、及び揮発性成分を液相から蒸留により分離する工程を有するものであり、この方法の特徴は、反応器から排出された気相を、100〜200℃(常圧)で沸騰する溶剤を用いて、又は安定化された純粋なアセトンシアンヒドリンを負荷するガス洗浄器を用いて、未反応のシアン化水素とアセトンを除去し、得られた油相を気液反応器に供給する。この方法では好適には、BMA粗製ガス又はAndrussow粗製ガスが用いられる。シアン化水素を製造するための上記通常の方法から生じるガス混合物は、そのまま、又は酸洗浄後に使用することができる。BMA法からの粗製ガス(メタンとアンモニアから、実質的には青酸と水素から合成される)は、Ullmanns's Encyclopedia of Technical Chemistry, 5th ed. (1987), Vol. A8, p.161-163によれば通常、HCNを22.9体積%、H2を71.8体積%、NH3を2.5体積%、N2を1.1体積%、及びCH4を1.7体積%含有する。
公知のAndrussow法では、メタン、アンモニア、及び空気中の酸素から、青酸と水が合成される。Andrussow法の粗製ガスは、酸素源として空気中の酸素を用いた場合、上記文献によれば通常、HCNを8体積%、H2を22体積%、N2を46.5体積%、H2Oを15体積%、COを5体積%、NH3を2.5体積%、及びCH4とCO2をそれぞれ0.5体積%含有する。
反応器から取り出した粗製アセトンシアンヒドリン(粗製ACH)の後処理は、当業者に公知の方法で行う。まず粗製ACHを、酸の添加により安定化し、それから低沸点性のHCN、アセトン、及び水を一段階、又は多段階で留去する。粗製ACHを後処理するための適切な構成は、EP 0 421 237から行うことができる。
本発明と関連して使用できるさらなる方法要素の範囲では、予備貯蔵の段階で、例えばアセトンと青酸との反応から得られたアセトンシアンヒドリンを、蒸留による後処理に供することができる。
工程b)アセトンシアンヒドリンを反応させて、メタクリルアミドにする工程
さらなる方法工程の範囲では、第一の工程で製造されるアセトンシアンヒドリンを、加水分解に供する。この際に、様々な温度段階で一連の反応の後に、生成物としてメタクリルアミドが形成される。
この反応は当業者に公知の方法で、濃硫酸とアセトンシアンヒドリンとの反応によって起こる。この反応は発熱性であるため、例えば反応制御のために系からの反応熱を排出することができる。
工程c)メタノールの存在下でメタクリルアミドをエステル化して、メチルメタクリレートにする工程
さらなる本発明による工程は、メタクリルアミドをアルコール分解して、対応するメタクリル酸エステルにすることである。このために基本的には、炭素数が1〜4の任意のアルカノールが適しており、当該アルカノールは直鎖状若しくは分枝鎖状、飽和若しくは不飽和であってよく、特に好ましいのはメタノールである。同様にこのアルカノールは、メタクリル酸エステルとともに使用することができ、これは特にエステル交換の場合に当てはまる。アミド溶液とアルカノールの量は、アミドの、アルカノールに対する総モル比が1:1.4〜1:1.6であるように制御する。アルカノールは釜のカスケード上に、第一反応器中でモル比が1:1.1〜1:1.4であるように、そして後続の反応段階で、全アミド流に対して1:0.05〜1:0.3のモル比に調整されるように分配することができる。エステル化に供給されるアルカノールは、「新鮮なアルカノール」、また後処理工程の循環流からのアルカノールから、そして必要な場合には、生成物接続部の下流工程の循環流からのアルカノールから構成されていてよい。
メタクリル酸エステルは重合傾向が著しいので、このような重合が阻害されるように注意することが有利である。
重合を阻害するために、物質流の最適化を行うことが有利であり得る。一方では、メタクリル酸エステルの流速を最適化することができる。加えて、メタクリル酸エステル流に適切な安定剤を加えて、重合を充分に抑制することが有利であり得る。
エステル化と引き続く予備精製の範囲で得られるMMA、又はメタクリル酸エステルは、引き続きさらなる処理に供給される。エステル化からは残存物質として希硫酸が生じ、これは同様にさらなる使用に供給することができる。
メタクリル酸エステルの精製
できるだけ純粋な生成物を得るため、粗製メタクリル酸又は粗製メタクリル酸エステルは基本的に、さらなる精製に供することができる。精製のためのこの選択的な方法工程は、例えば一段階であり得る。しかしながら多くの場合において、このような精製は少なくとも2つの段階を有することが有利であると判明している。低沸点成分の分離による予備精製後に、引き続き、高沸点成分を分離するための蒸留によって主精製を行うことが推奨される。
工程d)メタクリル酸エステルを加水分解して、メタクリル酸にする工程
さらなる本発明による方法工程は、上記メタクリル酸エステルを加水分解して、メタクリル酸にすることである。この方法工程の原料(メタクリル酸エステルと水)は、一緒に供給され、反応混合物を適切な温度にする。圧力と温度についての反応条件は、当業者に公知の方法で、使用するメタクリル酸エステルのアルコール成分に適合させることができる。特に好適には、本発明による方法でメチルメタクリレートを使用する。加水分解は、不均一系触媒の存在下で行う。適切な触媒は、ゼオライト、イオン交換樹脂、及び非晶質の酸触媒の群から選択される。
多数の適切な触媒が、EP 1 352 891から当業者に公知である。特に好ましいのは、カチオン性のイオン交換樹脂である。適切な触媒は、イオン交換樹脂、例えばLewatit K1221(Lanxess AG社)、Lewatit K2629(Lanxess AG社)、Dowex CM-4(Dow Chemical社)、Dowex M-31(Dow Chemical社)、Dowex M-3 MS(Dow Chemical社)、Amberlyst 39 Wet(Rohm & Haas社)、Amberlyst CSP2(Rohm & Haas社)、Amberlyst CSP3(Rohm & Haas社)、DIAION PK208(Mitsubishi Chemicals社)、DIAION PK216(Mitsubishi Chemicals社)、DIAION PK228(Mitsubishi Chemicals社)である。極めて特に好ましい触媒は、Lewatit K2431(Lanxess AG社)である。
使用するモノマー混合物の重合傾向、触媒の種類、及び/又は触媒床の大きさに応じて、触媒床の貫流を上方から、又は下方から行うのが有利なことが判明した。下方から流すのが好ましい。
メタクリル酸エステルの加水分解は、50〜200℃、好適には70〜150℃、特に好適には90〜120℃、極めて特に好適には100〜110℃の温度で行う。
好適には同時に過圧で、好適には0.1〜9barの過圧、特に好適には2〜4barの過圧で作業する。圧力は反応器内において、同じ圧力が反応器出口で測定されるように調整する。
メタクリル酸エステルと水との原料流の組成は好ましくは、メタクリル酸エステルの、水に対する比の値が、0.5〜5、好ましくは1〜4、特に好ましくは1.5〜3である。
滞留時間(触媒と空間体積に基づき計算して)は、10〜120分、好ましくは30〜90分、特に好ましくは45〜75分である。
循環流(2)の、フィード流(1)に対する質量比又は体積比は、好ましくは5〜50、特に好ましくは15〜30である。
方法の説明
工程a)アセトンシアンヒドリンの用意
アセトンシアンヒドリンの用意は、一般的な手法に従って行う(例えばUllmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, 4. Auflage, Band 7参照)。ここで反応対象としてアセトンと青酸を使用する。この反応は、発熱反応である。この反応領域で形成されるアセトンシアンヒドリンの分解を防ぐため、通常は反応熱を適切な装置によって排出する。ここでこの反応は、基本的にバッチ法として、又は連続法として行うことができるが、連続的な運転法が好ましい場合、この反応はしばしば、適切に備え付けられたループ型反応器で行う。
高収率で所望の生成物にする運転法の主な特徴は、充分な反応時間で反応生成物を冷却し、反応平衡を反応生成物の方向に移行させることである。反応生成物にはさらに、総収率という利点のためにしばしば、適切な安定剤が加えられ、これにより後の後処理における出発物質への分解が防止される。
反応対象であるアセトンと青酸との混合は、基本的に任意の方法で行うことができる。混合の種類は、非連続的な運転方法(例えばバッチ式反応器)、又は連続的な運転方法(例えばループ型反応器)を選択するかどうかに特に依存している。
基本的には、洗浄塔を有する受け器を介して、アセトンを反応に給送することが有利である。アセトンと青酸とを含有する排気につながる脱気管は、例えばこの受け器を通じて送ることができる。受け器に接続された洗浄塔では、受け器から抜け出た排気をアセトンで洗浄することができ、これによって青酸が排気から除去され、工程に返送される。このためには例えば、受け器から反応に導入されるアセトン量の一部を、部分流で冷却器を介して、好適にはブライン冷却器を介して、洗浄塔の塔頂に送り、これにより所望の結果が達成される。
最終生成物の生成量のボリュームに応じて、アセトンを1つより多い受け器から反応に供給することが有利であり得る。ここで、2つ以上の受け器のそれぞれが、適切な洗浄塔を有することができる。しかしながら多くの場合には、適切な洗浄塔を有する1つの受け器が備えられていれば充分である。しかしながらこの場合にはしばしば、アセトンと青酸を輸送可能な適切な排気用ラインがこの容器を介して、又はこの洗浄塔を介して送られることが有利である。
受け器におけるアセトンの温度は基本的に、アセトンが相応する温度で液状で存在している限り、実質的に任意の領域内部に存在することができる。しかしながらこの温度は有利には、受け器内で0〜20℃である。
洗浄塔内では、洗浄のために使用するアセトンを適切な冷却器によって、例えば食塩水を有するプレート型冷却器によって、0〜10℃の温度に冷却する。従って、洗浄塔に入る際のアセトンの温度は、例えば2〜6℃である。
反応の範囲で必要な青酸は、液状又は気体状で反応器に導入することができる。これは例えば、BMA法又はAndrussow法からの粗製ガスであってよい。
シアン化水素は例えば液状化することができ、例えば適切な冷却用食塩水を用いることによって、液状化されていてよい。液状化された青酸の代わりに、コークス炉ガスを使用することができる。そこで例えば、シアン化水素含有コークス炉ガスを、炭酸カリウムで洗浄した後、水を10%含有するアセトンにより向流で連続的に洗浄し、アセトンシアンヒドリンへの反応は、塩基性触媒の存在下、2つの相互に接続したガス洗浄塔で行うことができる。
さらなる実施態様の範囲では、シアン化水素と不活性ガスとを含有するガス混合体、特にBMA法又はAndrussowからの粗製ガスを、塩基性触媒とアセトンシアンヒドリンの存在下、気液反応器内でアセトンと反応させることができる。
ここに記載した方法の範囲では好適には、BMA粗製ガス又はAndrussow粗製ガスを使用する。シアン化水素を製造するための上記通常の方法から生じるガス混合物は、そのまま、又は酸洗浄後に使用することができる。BMA法からの粗製ガス(メタンとアンモニアから、実質的には青酸と水素から形成される)は、通常、HCNを22.9体積%、H2を71.8体積%、NH3を2.5体積%、N2を1.1体積%、及びCH4を1.7体積%含有する。公知のAndrussow法では、メタン、アンモニア、及び空気中の酸素から、青酸と水が合成される。Andrussow法の粗製ガスは、酸素源として酸素を用いた場合に通常、HCNを8体積%、H2を22体積%、N2を46.5体積%、H2Oを15体積%、COを5体積%、NH3を2.5体積%、及びCH4とCO2をそれぞれ0.5体積%含有する。
BMA法又はAndrussow法から酸洗浄をしない粗製ガスを用いる場合、粗製ガス中に含有されるアンモニアがしばしば、反応のための触媒として作用する。粗製ガス中に含まれるアンモニアはしばしば、触媒として必要な量を上回るので、安定化のために使用される硫酸の多大な損失につながることがあり、このような粗製ガスはしばしば、そこからアンモニアを除去するため、酸洗浄に供される。ただし、このような酸洗浄された粗製ガスを用いる場合、適切な塩基性触媒を触媒量で反応器に添加しなければならない。ここで原則的には、公知の無機又は有機の塩基性化合物が、触媒として働き得る。
シアン化水素は気体状若しくは液体状で、又はシアン化水素含有気体混合物とアセトンは、連続的な運転方法の領域において、続いてループ型反応器に供給される。ここでループ型反応器は、アセトンを供給するための少なくとも1つの手段、又は2つ以上のこのような手段、液状又は気体状の青酸を供給するための少なくとも1つの手段、又は2つ以上のこのような手段、また触媒を供給するための少なくとも1つの手段を有する。
触媒として適しているのは基本的に、アセトンと青酸との、アセトンシアンヒドリンへの反応を触媒可能な任意のアルカリ性化合物、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム溶液、又は水酸化カリウム溶液である。しかしながら、触媒として有機触媒、特にアミンを使用すると、特に有利であることが判明している。適切なのは例えば、第二級又は第三級アミン、例えばジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミンなどである。
記載した方法要素の範囲で使用可能なループ型反応器はさらに、少なくとも1つのポンプ、又は2つ以上のポンプと、少なくとも1つの混合装置、又は2つ以上のこのような混合装置を有する。
ポンプとしては基本的に、ループ型反応器における反応混合物の循環を保証するあらゆるポンプが適している。
混合装置措置手は、可動式の要素を有する混合装置も、いわゆるスタチックミキサー(流れの抵抗となる非可動式の要素が備えられたもの)も適している。適切な混合機は、プラスチック又は金属から成っていてよい。プラスチックとして適しているのは例えば、PVC、PP、HDPE、PVDF、PFA、又はPTFEである。
金属製混合機は例えば、ニッケル合金、ジルコニウム、チタンなどから成っていてよい。同様に適しているのは例えば、矩形型混合機である。
触媒の添加は好適にはループ型反応器中で、給送の後、ループ型反応器中に存在する混合要素の前で行う。記載される反応の範囲内で触媒は、例えば全反応が最大8のpH値、特に最大7.5、又は7で行われる量で使用する。pH値は反応の際に6.5〜7.5の範囲内、例えば6.8〜7.2の範囲で変動するのが好ましいことがある。
記載される方法の範囲内では代替的に、給送の後、混合装置の前にループ型反応器へ触媒を添加するため、触媒をアセトンとともにループ型反応器へと供給することも可能である。このような場合には、アセトンと触媒との適切な混合を、ループ型反応器への供給前に行うことが有利であり得る。適切な混合は例えば、可動部を有する混合機の使用によって、又はスタチックミキサーによって行うことができる。
記載された方法の範囲内では、可動方式としてループ型反応器中での連続的な方法を選択すれば、逐次的又は連続的な分析によって反応混合物の状態を調査することが適切であり得る。このことは、反応混合物における状態が変化した場合であっても、迅速に反応させることが可能であるという利点をもたらす。さらに例えば、収率損失を最小化するために、反応対象を可能な限り正確に計量供給することができる。
適切な分析は例えば、反応器ループにおける試料採取によって行うことができる。適切な分析法は例えば、pH測定、熱ムラの測定、又は適切な分光分析法による反応混合物の組成の測定である。
転化率制御、品質面、及び安全性の枠組みでは特に、反応混合物から排出された熱によって反応混合物における転化率を測定すること、及び理論的な放出熱と比較することが有用であると、しばしば実証されている。
本来の反応は、ループ型反応器を適切に選択すれば、基本的にループ型反応器内に配置された管系で行うことができる。しかしながら反応が発熱性なので、収率損失を避けるために、充分な冷却、又は反応熱の充分な排出に注意することができる。反応を熱交換器内部で、好適には管束型熱交換器内で行うことが、しばしば有利であると実証されている。生成すべき生成物の量に応じて、相応する熱交換器の性能は、様々に選択できる。大規模工業的な方法のためには、特に体積10〜40m3の熱交換器が、特に適していると実証されている。使用するのが好ましい管束型熱交換器は、液体が貫流するジャケット中で液体が貫流される管束を有する熱交換器である。管の直径、充填率等に応じて、2つの液体の間の熱の移動を適切に調節することができる。記載される方法の範囲においては基本的に、反応混合物を熱交換器によって管束内自体に導入し、反応を管束内部で行う限り、反応を行うことができ、この際に管束からジャケットの液体へと熱が排出される。
しかしながら同様に、冷却のために使用する液体を管束内で循環させる間に、反応混合物を熱交換器のジャケットによって導入することが実用的であり、多くの場合に有意義であることが実証されている。ここで多くの場合には、より長い滞留時間とより良好な完全混合を実現するため、ジャケット内で反応混合物を流れに対する抵抗物、好適にはじゃま板で分けることが有利であることが実証されている。
ここでジャケット体積の、管束体積に対する比は、反応器の設計に応じて、10:1〜1:10であってよく、好適にはジャケットの体積が、管束の体積よりも大きい(管の内容物に対して)。
反応器からの排熱は、適切な冷媒(例えば水)によって、反応温度が通路内部で25〜45℃、特に30〜38℃、とりわけ33〜35℃であるように調整する。
ループ型反応器からは、連続的に生成物が排出される。この生成物は、上記反応温度の範囲内での温度を有し、この温度は例えば35℃である。この生成物は1つ以上の熱交換器によって、特に1つ以上のプレート型熱交換器によって冷却される。ここで例えば、ブライン冷却を使用する。生成物の温度は、冷却後に0〜10℃、特に1〜5℃であるのが望ましい。この生成物は好適には、バッファ機能を有する貯蔵容器に移す。さらに、貯蔵容器における生成物を、例えば一定の部分流を貯蔵容器から排出することによって、適切な熱交換器(例えばプレート型熱交換器)へとさらに冷却することができ、又は適切な貯蔵温度に維持することができる。貯蔵容器内で後反応を行うことも、全くもって可能である。
貯蔵容器への生成物の返送は、基本的に任意の方法で行うことができる。しかしながら幾つかの場合には、1つ以上のノズルから成る系を介して、生成物を貯蔵容器へと返送し、貯蔵容器内部で、貯蔵された生成物の適切な完全混合を行うことが有利であると実証されている。
貯蔵容器からはさらに、連続的に生成物を安定化容器へと排出する。ここで生成物を適切な酸、例えばH2SO4と混合する。ここで触媒を不活性化し、反応混合物をpH値1〜3、特に2に調整する。酸として適しているのは特に、硫酸、例えば含分が90〜105%の硫酸、特に93〜98%のH2SO4である。
安定化された生成物は安定化容器から取り出し、精製段階に移す。ここで、取り出された安定化生成物の一部を安定化容器内に返送して、例えば容器の充分な完全混合が1つ以上のノズルから成る系によって保証されるようにする。
本願発明との関連において使用できるさらなる方法要素の範囲内では、アセトンシアンヒドリンを、蒸留による後処理にかけることができる。この際に、安定化された粗製アセトンシアンヒドリンから、適切な塔を介して低沸点成分を除去する。適切な蒸留法では例えば、1つの塔のみによって行うことができる。しかしながら同様に、粗製アセトンシアンヒドリンの適切な精製の範囲では、2つ以上の蒸留塔の組み合わせを、薄膜式蒸発器と組み合わせて用いることもできる。さらに、2つ以上の薄膜式蒸発器、又は2つ以上の蒸留塔も、相互に組み合わせることができる。
粗製アセトンシアンヒドリンは通常、0〜15℃、例えば5〜10℃の温度で貯蔵から蒸留に到達する。
基本的に、粗製アセトンシアンヒドリンは塔に直接、導入できる。しかしながら幾つかの場合、まず粗製の冷たいアセトンシアンヒドリンを熱交換器によって、既に蒸留により精製された生成物の熱の一部を受け取れば、有利であることが実証されている。従って、ここに記載した方法のさらなる実施態様の範囲では、粗製アセトンシアンヒドリンを熱交換器によって、60〜80℃の温度に加熱する。
アセトンシアンヒドリンの蒸留による精製は、10より多い床を有する蒸留塔又は精製塔によって、又は2つ以上の相応しい適切な蒸留塔のカスケードによって行う。塔底の加熱は好適には、蒸気によって行う。塔底温度が140℃という温度を超えない場合、有利であることが判明しており、塔底の温度が130℃以下、又は110℃以下である場合に、良好な収率と良好な精製が達成できた。ここでこれらの温度の記載は、塔底の壁面温度に関連する。
粗製アセトンシアンヒドリンは塔の上部三分の一で、塔本体に供給される。蒸留は好適には減圧下、例えば50〜900mbarの圧力、特に50〜250mbarで行い、50〜150mbarの間で、良好な結果が得られる。
塔頂では、気体状の不純物、特にアセトンと青酸が取り出され、分離された気体状物質は1つの熱交換器を介して、又は2つ以上の熱交換器のカスケードによって冷却される。
ここで好適には、温度が0〜10℃のブライン冷却を使用する。ここで蒸気の気体状内容物質に、凝縮される機会が与えられる。第一の凝縮工程は例えば、常圧で行うことができる。しかしながら同様にいくつかの場合では、この第一の凝縮工程を減圧下、好適には蒸留領域に存在する圧力で行えば、有利であると実証されている。この凝縮物を、冷却された捕捉容器にさらに導き、ここで0〜15℃の温度、特に5〜10℃の温度で回収する。
第一の凝縮工程の領域では凝縮しない気体状化合物は、真空ポンプによって減圧室から取り除く。ここでは基本的に、任意の真空ポンプが使用できる。しかしながら多くの場合、その構造様式に基づき、液状の不純物が気体流に導入されない真空ポンプを使用することが有利であると実証されている。よってここでは好適には例えば、乾燥稼働式真空ポンプが使用される。
ポンプの圧送側で漏れ出る気流はさらなる熱交換器によって導かれ、好適には温度が0〜15℃のブラインによって冷却される。ここで凝縮された内容物質は同様に、既に真空条件下で得られる凝縮物を捕捉する収集容器で回収される。真空ポンプの圧送側で行われる凝縮は例えば、熱交換器によって行うことができるが、2つ以上の直列又は並列に配置された熱交換器のカスケードによって行うこともできる。この凝縮工程の後に残存する気体状物質は排出され、任意でさらなる活用(例えば熱的な利用)に供給される。
回収された凝縮物は同様に、任意でさらに活用することができる。しかしながら経済的な観点ではこの凝縮物を、アセトンシアンヒドリン製造反応に返送することが特に有利であると実証されている。これは好適には、ループ型反応器へのアクセスが可能な1つ以上の箇所で行う。凝縮物は基本的に、アセトンシアンヒドリン製造の妨げとならない限り、任意の組成を有することができる。しかしながら多くの場合、凝縮物の主要な量はアセトンと青酸とから成り、そのモル比は例えば2:1〜1:2、しばしば1:1である。
蒸留塔の塔底から得られるアセトンシアンヒドリンはまず、第一の熱交換器を介して、供給される冷たい粗製アセトンシアンヒドリンによって、40〜80℃の温度に冷却される。引き続き、アセトンシアンヒドリンを少なくとも1つのさらなる熱交換器によって30〜35℃の温度に冷却し、任意で中間貯蔵する。
いくつかの場合、精留塔内のアセトンシアンヒドリンから、沸点が−5℃より高く、100℃より低い不純物(例えば0℃より高く90℃未満の不純物)を除去し、この不純物を、アセトンシアンヒドリンを製造するための反応に返送することが有利であることと判明している。相応する方法の変法では、製造されたアセトンシアンヒドリンから、沸点が−5℃より高く100℃未満の成分を除去するための精留塔を有する装置を用いて行うと有利であり、精留塔は液体の流通によって、アセトンシアンヒドリンを製造するための装置要素と、除去された成分がアセトンシアンヒドリンを製造するための反応に返送できるように接続されている。
工程b)アセトシアンヒドリンを反応させて、メタクリルアミドにする工程
さらなる方法工程の範囲では、第一の工程で製造されるアセトシアンヒドリンを、加水分解に供する。この反応は当業者に公知の方法で、濃硫酸とアセトシアンヒドリンとの反応によって起こる。
この反応はここでもまた、バッチ法で又は連続法で行うことができる。多くの場合、連続法が有利であると実証されている。反応を連続的な方法の領域で行う限り、ループ型反応器を用いることが有利と実証されている。この反応は例えば、1つのループ型反応器のみで行うことができる。しかしながら、反応を2つ以上のループ型反応器のカスケードで行えば、有利であり得る。
記載された方法の範囲において適切なループ型反応器は、アセトンシアンヒドリンの供給箇所1つ以上、濃硫酸の供給箇所1つ以上、気体分離器1つ以上、熱交換器1つ以上、及び混合機1つ以上を有する。
硫酸でアセトンシアンヒドリンを加水分解して、メタクリルアミドにする反応は、前述のように発熱性である。しかしながら反応領域で生じる反応熱は有利には、極大収率が得られるように系から少なくとも充分に取り除くことができる。と言うのも、反応時の温度が上昇するにつれ、収率が低下するからである。ここで基本的には適切な熱交換器によって、迅速かつ包括的な反応熱の排出が達成可能である。しかしながら、混合物をそれほど激しく冷却しないことが有利であり得る。と言うのも、熱交換器による適切な交換のためには、充分な熱の移行が必要となるからである。温度が低下するにつれて、混合物の粘度は上昇するので、著しく冷却した場合、ループ型反応器における循環が困難になることがある。ここで場合によっては、系からの反応エネルギーの充分な排出がもはや保証されないことがあり得る。
さらに、反応混合物における温度が低すぎると、熱交換器で反応混合物の内容物質が再結晶することがある。これによって熱の移動がさらに悪化することがあり、これは場合によっては、収率低下につながる。さらに、冷却が激しすぎると、ループ型反応器は、反応対象について最適な量で給送できなくなることがあり、これにより場合によっては、方法の効率が損なわれることがある。
本発明のさらなる構成の範囲では、アセトンシアンヒドリン流から体積流の一部(例えば3分の2から4分の3)を、第一のループ型反応器に導入することができる。ここでこのような第一のループ型反応器は、熱交換器1つ以上、ポンプ1つ以上、混合要素1つ以上、及びガス分離器1つ以上を有することができる。第一のループ型反応器を貫流する循環流は、100〜450m3/hの範囲、好適には200〜400m3/hの範囲、さらに好適には250〜350m3/hの範囲である。第一のループ型反応器へと続く少なくとも1つのさらなるループ型反応器において、循環流は好適には、40〜450m3/hの範囲、好適には50〜400m3/hの範囲、さらに好ましくは60〜350m3/hの範囲である。さらに、熱交換器にわたる温度差としては、1〜10℃が好ましく、2〜7℃が特に好ましい。
アセトンシアンヒドリンの供給は基本的に、ループ型反応器の任意の箇所で行うことができる。しかしながら混合要素への供給、例えば稼働式の部分又はスタチックミキサーを有する混合機への供給を行うことが、有利であると実証されている。硫酸の供給は有利には、アセトンシアンヒドリンの添加前に行う。しかしながらその代わりに、硫酸を任意の箇所でループ型反応器に供給することも可能である。
ループ型反応器における反応対象の比は、例えば硫酸が過剰で存在するように制御する。過剰な硫酸は内容物質のモル比に対して、第一のループ型反応器では1.8:1〜3:1、そして最後のループ型反応器では1.3:1〜2:1であり得る。
いくつかの場合、このように過剰な硫酸を用いて、ループ型反応器で反応を行うことが有利であると実証されている。ここで硫酸は、例えば溶剤として使用することができ、また反応混合物の粘度を低く保つことができ、このためより多くの反応熱を排出し、反応混合物の低温を保証することができる。これは収率面で明らかな利点をもたらすことができる。反応混合物における温度は、90〜120℃、例えば95〜115℃である。
排熱は、ループ型反応器における1つ以上の熱交換器によって保証することができる。ここで熱交換器は、上記の理由から反応混合物の著しい冷却を防止するために、冷却性能を調節するための適切なセンサシステムを有することが有利としばしば実証されている。そこで例えば、1つ又は複数の熱交換器における熱の移動を逐次、又は連続的に測定し、それから熱交換器の冷却性能を適合させることが有利であり得る。これは例えば、冷却剤自体によって行うことができる。同様に、反応対象の添加の適切な変法によって、またより多くの反応熱を生成することによって、反応混合物の適切な加熱を達成することもできる。両方の開始選択肢の組み合わせが考えられる。ループ型反応器はさらに、少なくとも1つのガス分離器を有することが望ましい。まずこのガス分離器によって、ループ型反応器から、連続的に形成される生成物を取り出す。また、反応領域内で形成されるガスを、反応室から取り除くことができる。ガスとしては主に、一酸化炭素が形成される。ループ型反応器から取り出される生成物を、好適には第二のループ型反応器に送る。この第二のループ型反応器では、硫酸とメタクリル酸アミドを含有する反応混合物(例えば第一のループ型反応器における反応で得られたもの)を、アセトンシアンヒドリンの残存部分流と反応させる。ここで第一のループ型反応器からの過剰な硫酸、又は過剰な硫酸の少なくとも一部がアセトンシアンヒドリンと反応して、さらなるメタクリルアミドが形成される。2つ以上のループ型反応器における反応の実施には、第一のループ型反応器における過剰な硫酸に基づき、反応混合物の給送、ひいては熱の移動、最終的には収率が改善されるという利点がある。第二のループ型反応器にもまた、少なくとも1つの混合要素、少なくとも1つの熱交換器、及び少なくとも1つのガス分離器が配置されている。第二のループ型反応器における反応温度は、同様に90〜120℃である。
反応混合物の給送、熱の移動、及びできるだけ僅かな反応温度は、それぞれのさらなるループ型反応器で、第一のループ型反応器と同じように問題となる。このため有利には、第二のループ型反応器も、冷却性能が適切なセンサシステムによって制御可能な熱交換器を有する。
アセトンシアンヒドリンの供給はまた、適切な混合要素、好適にはスタチックミキサーで行う。
第二のループ型反応器のガス分離器から生成物を取り出し、反応を完全にするため、そしてメタクリルアミドを形成するために、140〜180℃の温度に加熱する。
加熱は好適には、最大温度ができるだけ短い時間だけ、例えば1〜30分間、特に2〜8分間、好ましくは3〜5分間にわたって達成されるように行う。これは基本的に、このような温度を短時間にわたって達成するための任意の装置で行うことができる。慣用の方法でのエネルギー供給は例えば、電気エネルギー又は蒸気によって行うことができる。しかしながら、エネルギーを電磁線によって、例えばマイクロ波によって供給することもできる。
多くの場合、加熱工程を、2段階以上のコイル管配置(好ましくは少なくとも2倍の慣用の配置に存在していてもよい)を有する熱交換器で行うことが、有利であると実証されている。ここで反応混合物は、140〜180℃の温度に迅速に加熱される。
熱交換器は例えば、1つ以上のガス分離器と組み合わせることができる。そこで例えば、反応混合物を、熱交換器における第一の螺旋管を出た後、ガス分離器を通じて送ることができる。ここで例えば、反応の間に生じる気体状成分を、反応混合物から分離することができる。同様に反応混合物は、第二の螺旋管を出た後、ガス分離器で処理することができる。さらに、2箇所で、すなわち第一の螺旋管を出た後で、また第二の螺旋管を出た後で、反応混合物をガス分離器により処理することが有利であり得る。
こうして得られるアミド溶液は、通常は温度が100℃超であり、普通は140〜180℃である。
アミド化の範囲内で生じる気体状化合物は基本的に、任意の方法で処理することができるか、又はさらなる処理に供給することができる。しかしながらいくつかの場合、連続的に又は必要な場合には任意で、圧力、例えば蒸気圧をかけ、さらに輸送できるよう、適切なガスを輸送ラインに一緒に送ることが、有利であり得る。
本発明のさらなる態様の範囲では、メタクリルアミド製造の範囲内で生じる気体状生成物を、さらなる輸送の範囲で、後述するエステル化の反応混合物に導入することが、いくつかの場合に有利であると実証されている。ここでこのような導入は、基本的にエステル化の任意の箇所で行うことができる。しかしながらしばしば、特にエステル化を複数の釜で行う場合には、生成する気体状生成物を、第一の釜に存在するエステル化の反応混合物に導入することが有利である。生じる気体状生成物の導入は例えば、蒸気をかけた気体を釜に導入して、少なくとも局所的に釜の内容物の完全混合が行われるか、又は釜の内容物の加熱が行われるか、又は釜の内容物の温度が実質的に一定であるか、又は上記要素の組み合わせが存在するように構成されていてよい。
工程c)アルコールの存在下でメタクリルアミドをエステル化して、メタクリル酸エステルにする工程
さらなる本発明による工程は、メタクリルアミドをアルコール分解して、相応するメタクリル酸エステルにすることである。この反応は、1つ又は複数の加熱された釜、例えば水蒸気によって加熱された釜で行うことができる。多くの場合、エステル化を少なくとも2つの相互に連続する釜で、例えばしかしながらまた、3つ又は4つ以上の相互に連続する釜で行うことが有利であると実証されている。ここで、メタクリルアミドの溶液は、1つの釜に、又は2つ以上の釜を有する釜カスケードの第一の釜に導入する。
しばしば、相応するエステル化反応を2つ以上の釜のカスケードで行うことが好ましい。よって以下ではこの変法についてのみ、言及する。
ここに記載する発明の範囲では例えば、アミド溶液(例えばここに記載するアミド化反応から得られるもの)を、第一の釜に供給することができる。この釜は例えば、蒸気で加熱する。供給されたアミド溶液は通常、高温(例えば100〜180℃の温度)を有し、これは実質的に、前述のアミド化反応からのアミド溶液の排出温度に相当する。さらにこの釜に、エステル化に使用可能なアルカノールを供給する。
ここで基本的には、炭素数が1〜4の任意のアルカノールが適しており、当該アルカノールは直鎖状若しくは分枝鎖状、飽和若しくは不飽和であってよく、特に好ましいのはメタノールである。同様にこのアルカノールは、メタクリル酸エステルとともに使用することができ、これは特にエステル交換の場合に当てはまる。
さらにこの釜に水を給送し、これにより釜中の水含分は全体で13〜26質量%、特に18〜20質量%となる。
アミド溶液とアルカノールの量は、アミドの、アルカノールに対する総モル比が1:1.4〜1:1.6であるように制御する。アルカノールはボイラーカスケード上に、第一反応器中でモル比が1:1.1〜1:1.4であるように、そして後続の反応段階で、全アミド流に対して1:0.05〜1:0.3のモル比になるように分配することができる。エステル化に供給されるアルカノールは、「新たなアルカノール」、また後処理工程の再循環流からのアルカノール、そして必要な場合には、生成物接続部の下流工程の再循環流からのアルカノールから構成されていてよい。
第一の釜への水の給送は基本的に、水を任意の供給源から釜に供給することによって行うことができるが、ただしこの水が、エステル化反応又は後続の方法工程に不利な影響を与え得る内容物質を何ら有さないことが条件となる。例えば釜には、完全脱塩水、又は井戸水を供給することができる。しかしながら同様に、釜には水と有機化合物との混合物を供給することができ、これは例えば、メタクリル酸又はメタクリル酸エステルの精製時に生じる。ここに記載した方法の好ましい実施態様では、釜に、水とこのような有機化合物との混合物を、少なくとも部分的に給送する。
2つ以上の釜のカスケードをエステル化反応の領域で用いる場合、生成する気体状物質、特にメタクリル酸エステルは、基本的に各釜から個別に取り出して、精製に供することができる。しかしながら幾つかの場合、2つ以上の釜のカスケードでは、気体状の化合物を第一の釜から直接精製に供給せずに、第一の釜から気体状の生成物を、第二の反応釜に供給することが、有利であると実証されている。この方法によれば、第一の釜で頻繁に起こる著しい発泡作用を、コストの高い装置によって脱泡しなくてよいという利点が得られる。第一の釜から第二の釜へと気体状物質をカスケードする場合、第一の釜で形成され、場合によって生じる発泡は、単純に第二の釜の反応室で生じる。ここでは通常、発泡形成が明らかにより少ないので、装置によって脱泡する必要が、それほど無い。
第一の釜の後に配置された第二の釜は、第一の釜のオーバーフロー分を受け持つ一方で、第二の釜には、第一の釜の中で形成された、又は第一の釜の中に存在する気体状物質が給送される。第二の釜、及び任意のそれ以降の釜には、同様にメタノールを給送する。ここで好ましくは、釜のメタノール量が、釜に対して少なくとも10%減少する(それぞれ、先行する釜を基準として)。第二の釜における水の濃度、またさらなる釜における水の濃度は、第一の釜のものとは異なり得るが、これらの濃度の差違はしばしば、僅かである。
第二の釜で生じる蒸気は、釜から排出し、蒸留塔の塔底に導入する。
3つ又は4つ以上の釜のカスケードによってエステル化を行う場合、それぞれ第二の釜のオーバーフロー分が、第三の釜に移行し、また第三の釜のオーバーフロー分が、場合によっては第四の釜へと移行する。さらなる釜は、同様に蒸気で加熱する。釜3、及び場合によっては釜4における温度を好適には、120〜140℃に調整する。
釜から漏れ出す蒸気は蒸留塔に導入し、ここでこれは好適には蒸留塔の下部領域で行う。この蒸気は、担体の蒸気、メタクリル酸エステル、及びアルカノールの共沸混合物を含み、使用するアルカノールによって、メタノールを用いる場合には60〜120℃、例えば70〜90℃の温度を有する。蒸留塔では、メタクリル酸エステルを気体状で、高温下で沸騰性の蒸気成分から分離する。高沸点成分(しばしばメタクリルアミド、ヒドロキシイソ酪酸エステル、及び水)は、第一の反応釜に返送する。形成されたメタクリル酸エステルは、塔頂で取り出し、熱交換器によって、又は2つ以上の熱交換器のカスケードによって冷却する。いくつかの場合、メタクリル酸エステルの冷却は、少なくとも2つの熱交換器によって行い、ここで第一の熱交換器は水によって凝縮を行い、60〜30℃への冷却を行う。一方で、第二のブライン冷却された熱交換器は、5〜15℃への冷却を行う。水により冷却された凝縮物からは、部分流を返送流として、塔の濃度制御をするための塔に供給できる。しかしながら同様に、形成されたメタクリル酸エステルを、2つ以上の熱交換器のカスケードによって冷却することができる。ここでは例えば、まず2つの相互に接続された水冷却式の熱交換器によって冷却し、引き続き適切なブライン冷却された熱交換器によって、さらなる冷却が達成される。
そこで例えば、ここに記載した方法の範囲では、形成されたメタクリル酸エステルは気体状で、第一の熱交換器によって水冷式で冷却することができる。凝縮された物質も、凝縮されなかった物質も、引き続き第二の熱交換器へとさらに導かれ、ここではさらなる凝縮が、水冷却によって起こる。この箇所では例えば、気体状の物質を別個の、ブライン冷却された熱交換器へと移すことができる。ブライン冷却された熱交換器における凝縮物は引き続き蒸留流に入れ、その一方で残存する気体状物質はさらに活用できるか、又は廃棄部に供給することができる。第二の水冷式熱交換器からのメタクリル酸エステル凝縮物は、水又はブラインで冷却される熱交換器において、15℃未満の温度、好適には8〜12℃に冷却される。この冷却工程によって、形成されるメタクリル酸エステルについてギ酸含分が、相応する冷却工程が無い場合よりも明らかに低いことにつながり得る。冷却された凝縮物は、引き続き相分離器に移す。ここで有機相(メタクリル酸エステル)は、水相から分離する。水の他に、蒸留工程からの有機化合物(特にアルカノール)の含分を有することがある水相は、基本的に任意でさらに使用することができる。しかしながら上述のように、水と有機化合物とのこの混合物は、第一の反応釜に供給することによって、再度エステル化工程に返送するのが好ましいことがある。
分離された有機相は、洗浄器に供給する。ここでメタクリル酸エステルは、脱塩水で洗浄される。水と有機化合物(特にアルカノール)との混合物を含有する分離された水相は、基本的に再度、任意でさらに使用することができる。しかしながら経済的な観点からは、例えば第一の釜に供給することによって、この水相を再度エステル化工程に返送することが有利である。
メタクリル酸エステルは重合傾向が著しいため、メタクリルアミドのアルコール分解の範囲において、このような重合を防止するように注意を払うことが、多くの場合に有利である。
メタクリル酸又はメタクリル酸エステルを製造するためのプラントでは、物質流の流速が低すぎる場合、しばしば重合が起こる。これによって局所的に静止領域が形成されることがあり、この領域では、長時間にわたって重合成分と、重合開始剤との持続的な接触が起こり得るのであり、この結果、重合につながり得る。
相応の重合性を回避するため、物質流の最適化を行って、系内のあらゆる箇所において物質流の流速をできるだけ、静止領域の数が最小化されるほど高くすることが有利であり得る。加えて、物質流に適切な安定剤を加えて、重合を充分に抑制することが有利であり得る。
この目的のため、ここに記載した方法の範囲では基本的に、系内自体でできるだけ重合が起こらないよう、物質流に安定剤を加えることができる。このためには特に、メタクリル酸エステルが蒸留の間、又は蒸留の後に高濃度で存在するよう、設備の一部に相応の安定剤を供給する。
そこで例えば蒸留塔の塔頂において、ここで取り出されるメタクリル酸エステル流に安定剤を供給することが、有利であると実証されている。さらに、このような設備の一部に安定剤のメタクリル酸エステル溶液を吹き付けることが、有利であると実証されており、ここでメタクリル酸又はメタクリル酸エステルは、20℃超の温度で、好ましくは20〜120℃の温度範囲で循環される。そこで例えば、熱交換器内で生じる凝縮物は適切な安定剤とともに、蒸留塔の塔部に返送されるため、ここで塔頂にはその内側で、安定化されたメタクリル酸エステル又は安定化されたメタクリル酸が常に、吹き付けられる。これは好適には、塔頂において、メタクリル酸又はメタクリル酸エステルの重合が懸念される静止領域が形成されないように行われる。熱交換器自体には、これに対応して同様に、メタクリル酸又はメタクリル酸エステルの安定化された溶液が、ここでも静止領域は形成されないように負荷される。
ここに記載された方法の領域においては、例えば先行工程(特にアミド化工程)からの一酸化炭素含有排ガスを、蒸気と一緒にエステル化装置を通じて導くことが有利であると実証されている。このようにして、固体として、又は液体として分離可能な化合物のガス混合物を再度1つにする。他方、これを中心箇所に集め、さらなる活用又は廃棄部に供給することができる。
エステル化と引き続く予備精製の範囲で得られるMMA、又はメタクリル酸エステルは、引き続きさらなる処理に供給される。エステル化からは残存物質として希硫酸が生じ、これは同様にさらなる使用に供給することができる。
本発明の方法の範囲では任意でまた、例えば後続の方法工程で記載されるように、メタクリル酸エステルを予備精製するための方法を使用することができる。この精製は有利には、2つの段階を有する。第一の予備精製では、生成物の低沸点成分を除去する。このために粗製メタクリル酸エステルをまず蒸留塔に移し、ここで低沸点成分と水を分離することができる。このために粗製メタクリル酸エステルを蒸留塔に供給し、ここでこの供給は、塔の上部半分で行う。塔底は蒸気により、例えば壁面温度が50〜120℃であるように加熱する。この精製は、真空下で行う。塔内部の圧力はエステルの場合、好適には100〜600mbarである。
塔頂では、低沸点成分が減少する。これは特に、エーテル、アセトン、及びギ酸メチルであり得る。この蒸気を引き続き、1つ以上の熱交換器によって凝縮させる。ここで例えば幾つかの場合では、まず直列に接続された2つの水冷式熱交換器によって凝縮を行うことが、有利であると実証されている。しかしながらまた、この箇所で熱交換器を1つだけ使用することも可能である。熱交換器は好適には、液体の速度を向上させるため、また静止相の形成を防止するため、垂直状態で稼働させることができる。水冷式の熱交換器が1つ又は複数、後接続されている場合、これは1つのブライン冷却式熱交換器であってよいが、しかしながらまた、2つ以上のブライン冷却式熱交換器のカスケードを後接続することもできる。熱交換器のカスケード中で蒸気が凝縮し、この蒸気に安定剤が加えられ、そしてこの蒸気は例えば相分離器に供給される。蒸気はまた水を含有することもできるので、場合により生じる水相を廃棄するか、又はさらなる活用に供給する。さらなる活用としては例えば、エステル化反応への返送、例えば上記のようなエステル化反応への返送がある。この場合、水相は好適には、第一のエステル化釜へと返送される。
分離された有機相は返送流として、塔頂に供給する。有機相の一部は、再度熱交換器の上部及び塔頂に吹き付けるために使用することができる。分離された有機層は、安定剤が加えられた相であるため、静止領域の形成を効果的に防止することができる。また安定剤が存在するため、分離された蒸気の重合傾向は、さらに抑制される。
熱交換器から得られる凝縮流にはさらに、好適には脱塩水を加えて、相分離器内で充分な分離作用が達成されるようにする。
熱交換器のカスケード中での凝縮後に残存する、気体状の化合物は好適には、減圧生成器としての蒸気噴射機を用いて、再度1つ以上のさらなる熱交換器を用いて、凝縮にかけることができる。ここで経済的な観点からは、このような後縮合の領域において、予備精製からの気体状物質のみを凝縮させないことが、有利であることが判明している。そこで例えば、このような後凝縮に、さらなる気体状の物質(例えばメタクリル酸エステルの主精製から得られるもの)を供給することが可能である。このような方法の利点は例えば、主精製工程の領域で凝縮しなかったメタクリル酸エステルの割合を、予備精製の領域で再度、相分離器によって精製塔へと移すことができることにある。そうすると例えば、極大収率が生じること、またできるだけメタクリル酸エステルの損失が生じないことを、保証できる。さらに、これらのさらなる熱交換器の設計と稼働を適切に選択することにより、この熱交換器を出る排ガスの組成、特に低沸点成分の含分を調整することができる。
メタクリル酸エステルの予備精製の領域において水を供給することにより、エステル化における水含分と、組成メタクリル酸エステルにおける低沸点成分の濃度が、全体で連続的に上昇することがある。これを避けるため、系に供給する水の一部を、好適には連続的に、系から排除することが有利であり得る。この排除は基本的には例えば、予備精製で系に水が供給される大きなスケールで行うことができる。相分離器内で分離される水相は通常、有機の内容物質含分を有する。よってこの水を、有機物質含分を利用する廃棄形態に供給することが、有利であり得る。
そこで例えば、硫酸分離法の領域において有機物質で負荷された水を、燃焼室に添加することが、有利であり得る。酸化性の内容物質があるため、その燃焼値は、少なくとも部分的に、なお利用できる。こうすればさらに、有機物質で負荷された水を高いコストで廃棄することが、しばしば避けられる。
メタクリル酸エステルの主精製
メタクリル酸エステルの主精製のため、粗製の、予備精製されたメタクリル酸エステルを、新たに蒸留にかける。この際に、粗製メタクリル酸エステルから、蒸留塔によって高沸点性成分を除去し、こうして純粋なメタクリル酸エステルが得られる。このために粗製メタクリル酸エステルを、当業者に公知の方法で蒸留塔の下半分に導入する。
蒸留塔は基本的に、当業者が適していると考える任意の構成に相当し得る。しかしながら、得られた生成物の純度のためには多くの場合、以下の記載に相当する、1つ以上の充填物を有する蒸留塔を稼働させることが、有利であると判明している。
塔内には、メタクリル酸エステルを貫流させる他のラインとまったく同じように、できるだけいわゆる「デッドスペース」が形成されないようにするのが望ましい。こうしたデッドスペースは、メタクリル酸エステルの比較的長い滞留時間につながり、これにより重合が促進されてしまう。これによってまた、コストの高い生成中断と、相応してポリマーが投入された部分の清掃につながる。デッドスペースの形成は特に、設計によって、また塔の適切な稼働法によっても対処でき、この塔には常に充分な量の液体が負荷され、これにより塔(特に塔の構造物、例えば充填物)が常に洗浄される。
メタクリル酸エステル精製の領域では高沸点成分を、生成物の蒸留により分離する。このため、塔底を蒸気で加熱する。ここで塔底の温度は好適には、120℃未満の壁面温度では、好適には50〜80℃、特に60〜75℃である。
塔底に生じる材料は好適には連続的に排出され、1つの熱交換器を介して、又は複数の熱交換器のカスケードによって40〜80℃の温度、好適には40〜60℃の温度、特に好適には50〜60℃の温度に冷却する。
主にメタクリル酸エステル、ヒドロキシイソ酪酸エステル、メタクリル酸、及び安定化成分を含有するこの材料は、引き続き貯蔵容器を介して、例えば排出するか、又は他の方法で活用に供給される。多くの場合には、塔底で得られる材料を、エステル化反応に返送することが有利であると実証されている。ここで塔底からの材料は例えば、第一のエステル化釜へと返送される。こうすることで、できる限り経済的な運転法、及びできるだけ高い収率という観点で、塔底で含有される高沸点化合物をエステル化反応に返送するという利点が得られる。
塔頂では、蒸留により精製されたメタクリル酸エステルを取り出し、これを1つの熱交換器、又は2つ以上の熱交換器のカスケードによって冷却する。ここで、蒸気の熱は水冷式熱交換器又はブライン冷却式熱交換器によって、又はこれら2種の組み合わせによって排出することができる。幾つかの場合では、蒸留塔からの蒸気を、2つ以上の並列に接続された水冷稼働式の熱交換器に移すことが、有利であると実証されている。水冷式熱交換器からの凝縮されていない部分は例えば、ブライン冷却式熱交換器によって、又は2つ以上のブライン冷却式熱交換器のカスケードに導くことができ、これらの熱交換器は、直列又は並列に配置されていてよい。熱交換器から得られる凝縮物は回収容器に導かれ、ポンプによってさらなる1つの熱交換器、又は2つ以上のさらなる熱交換器のカスケードを介して、バッファ容器に供給される。ここで凝縮物流は例えば、1つ以上の水冷式熱交換器のカスケードによって、また1つ若しくは2つのブライン冷却式熱交換器によって、0〜20℃の範囲の温度、好適には0〜15℃の範囲、特に好適には2〜10℃の範囲に冷却される。
凝縮流からは部分流が取り出され、これは塔頂を介して蒸留塔へと返送される。ここで塔頂への凝縮流の供給は、基本的に任意の方法で、例えば分配器によって行うことができる。しかしながら凝縮流の一部を、塔頂の上部で蒸気ラインに供給(例えば注入)することが、例えば有利であり得る。さらに、この供給によって安定剤を、塔頂に導入するのが好ましい。
塔への返送が企図された凝縮物のさらなる部分流は例えば、蒸気ラインへの導入前に分岐させ、塔頂に直接導入することができる。ここでも、この供給によって安定剤を、塔頂に導入するのが好ましい。ここで塔頂への導入は例えば、塔頂の内部に凝縮物を吹き付けて、メタクリル酸エステルの重合が起こり得る静止領域が塔頂内で形成されないように、行うことができる。さらに、塔へと返送される凝縮物部分流に、重合を防止するため安定剤を添加することが、有利であり得る。これは例えば、塔頂への吹き付けが企図された凝縮部分流に、安定剤として相応の量の重合阻害剤を添加することによって行うことができる。ここで幾つかの場合には、安定剤の添加後、しかしながら塔頂への導入前に、適切な混合装置、好ましくはスタチックミキサーに通し、凝縮流において安定剤をできるだけ均一に分布させることが、有利であると実証されている。
精製法の領域で生じる、凝縮できない気体状の物質は例えば、廃棄部に供給することができる。
バッファ容器内に存在する粗製生成物は、ブライン冷却によって0〜20℃の温度、好適には0〜15℃の温度、特に好適には2〜10℃の範囲に維持される。
場合によって存在するさらなる不純物を生成物から除去するため、また高純度のメタクリル酸エステルを得るために、生成物をさらに吸着性の精製工程にかけることができる。ここでは例えば、純粋な生成物を完全に、又は少なくとも純粋な生成物の一部を、分子ふるいによってさらに精製することが、有利であると実証されている。特別な酸性不純物、特に製造方法の領域で形成されるギ酸は、こうして単純な方法で生成物流から除去できる。ここでさらにいくつかの場合では、場合によって生成物に含まれている固体を除去するため、生成物流を吸着的な精製工程を通した後、さらに1つ以上のフィルターに通すことが、有利であると実証されている。
精製の範囲で生じる物質流は主に、重合可能な化合物を含む。静止領域の形成を抑制するためにはまた、ここに記載した方法の場合、メタクリル酸エステルと接触する装置の一部を、常にメタクリル酸エステルで溢れさせることが、有利であると判明している。よってここに記載された方法のさらなる態様の領域では、蒸留塔に由来する蒸気を受け入れる熱交換器の上部領域を洗浄するために、メタクリル酸エステルの部分流を、バッファ容器の後に、しかしながら吸着精製工程の前に取り出す。
本願発明の領域では全体的に、予備精製と主精製との複合系を以下のようにすることが、有利であると実証されている:
・沸点がメタクリル酸よりも低い物質を予備精製で分離し、この物質を引き続き、冷却によって凝縮し、ここで凝縮されていない残りの物質は、気相中に留まり、
・沸点がメタクリル酸よりも高い物質を主精製で分離し、これを冷却により凝縮し、ここで凝縮されていない残りの物質は、気相中に留まり、
・予備精製からの凝縮されていない気体状の残存物質と、主精製からの凝縮されていない気体状の残存物質を、共通の後凝縮にかける。
このような共通の後凝縮で生じる凝縮物は有利には、相分離にかけることができ、ここで水相と有機相が生じ得る。この場合には例えば、水相を完全に又は部分的にエステル化に返送することができるか、又は有機相を完全に又は部分的に予備精製に返送することができ、これらの双方を行うこともできる。
精製工程の範囲で全体で得られる生成物は引き続き、−5〜20℃、好適には0〜15℃、特に好適には2〜10℃の範囲で、精製工程から取り出す。
前段階によって合成されたメチルメタクリレート(1)又は各メタクリル酸、及びメタクリル酸へと加水分解するために必要な水(2)を、装置に供給する。計量供給後に、原料を循環流(3)及び(4)と1つにまとめる。この混合体を熱交換器(5)に供給し、この熱交換器によって反応混合物が所望の反応温度になる。引き続きこの反応混合物を、固定床反応器(6)に供給する。固定床反応器は好適には、不均一系触媒を有する。この触媒は、ゼオライト、イオン交換樹脂、又は非晶質の酸触媒の群から選択される。特に好ましいのは、カチオン性のイオン交換樹脂であり、特にLanxess AG社の「Lewatit K2431」というイオン交換体である。
使用するモノマー混合物の重合傾向、触媒の種類、及び/又は触媒床の大きさに応じて、触媒床の貫流を上方から、又は下方から行う。好ましくは下から流し、反応混合物を触媒床にわたって供給する。
この触媒によって、メチルメタクリレート又は各メタクリレートの加水分解が起こり、メタクリル酸になる。以下では例示的に、メチルメタクリレートを加水分解して、メタクリル酸にする工程を記載する。他のメタクリル酸エステルのための適切な適合は、当業者に公知の方法で行うことができる。
反応流中のH2O濃度が低いと、<10質量%、好適には<5質量%、特に<1質量%という蒸気必要量(メタノール/メチルメタクリレート共沸物の分離に必要な蒸気量)の明らかな低下につながることが判明した。
しかしながら転化率と空時収率は、H2O濃度が低下すると下がるため、H2O濃度の最適化を行う必要がある。
混合物の沸点を超える反応温度でも均一な液状反応相が存在することを保証するため、反応器を約2〜4barという僅かな過圧で稼働させることができる。
反応の際に生じるメタノールは、メチルメタクリレートとの共沸物として、後接続された精留塔(7)中で塔頂流(8)として分離する。塔底流の大部分は、循環流(4)として返送することができる。その一部を、フラッシュチャンバ(9)によって低沸点成分を分離するために、真空精留塔(10)へと送る。ここではメチルメタクリレートと、H2O、並びに残りのメタノールを、塔頂を介して分離し(3)、再度返送することができる。
塔底で増加させたメタクリル酸は、粗製メタクリル酸として分離することができる(11)。好適にはメタクリル酸を、さらなる後続の真空精留塔(12)中で、含まれる高沸点成分(14)(安定剤、副生成物)から分離し、塔頂を介して純粋なメタクリル酸(13)として得る。こうして得られるメタクリル酸は、純度が99.5%以上である。
プロセス全体をさらに最適化するため、メタノール/メチルメタクリレートの混合体(8)を、方法工程c)に返送することができる。通常、メタノールとメチルメタクリレートとの混合体は、文献に記載の共沸混合物の組成に近く、慣行上では、少なくとも60%がメタノール、好適には少なくとも75%がメタノールである。混合物中に存在するメタノールは、再度メタクリルアミドのエステル化のために使用することができる。
以下に記載する実施例は、本発明のよりよい理解のために記載するものであり、本発明がここに開示された特徴に制限されるわけではない。
d)メタクリル酸エステルを加水分解して、メタクリル酸にする工程を示す。
実施例
実施例1
アセトンシアンヒドリンは、シアン化水素とアセトンとの、塩基性触媒による反応から得る(a)。メタクリルアミドへと加水分解した後(b)、メタノールの存在下でエステル交換して、メチルメタクリレートにする(c)。
12.7kg/hのメチルメタクリレート(1)を、2.1kg/hの水(2)と一緒にする。この反応混合物を、15.4kg/hの循環流(3)とともに、500kg/hの熱交換器(5)によって110℃の温度にし、下方からLanxess AG社の「Lewatit K2431」というカチオン性イオン交換樹脂で充填した反応器(6)に通す。このカチオン性イオン交換樹脂によって、メチルメタクリレートの加水分解が起こり、メタクリル酸になる。この反応は、反応器出口で測定して3barの過圧で行った。
反応の際に生じるメタノールは、メチルメタクリレートとの共沸物として、後接続された精留塔(7)中で塔頂流(8)として4.8kg/hで分離し、メチルメタクリレート製造(c)に返送する。精留塔(7)の塔底からは、循環流(3)を500kg/hで返送し、残存する25.4kg/hを塔底から、フラッシュチャンバ(9)による低沸点成分分離のために、さらなる真空精留塔(10)に送る。ここで、含有される低沸点のメチルメタクリレート、水、並びに残存メタノールは、塔頂を介して、再度循環流(3)として15.4kg/hで返送される。塔底で増加させた10.0kg/hのメタクリル酸流(11)は、さらなる後続の真空精留塔(12)で精製し、塔頂を介して分離する(13)。高沸点成分は、塔底を介して排出する(14)。
実施例2
慣用のメタクリル酸生成物のために必要な硫酸を、メチルメタクリレート/メタクリル酸複合系で特定した。このため、本発明によるメタクリル酸の製造方法に必要な硫酸を特定した。
慣用のメタクリル酸は、アミドの鹸化によって記載した。
Figure 2014520097
本発明による方法によって、大量の硫酸が節約される。さらに、酸の廃棄量も大きく低減できる。
酸の廃棄量は、大部分が硫酸と、硫酸アンモニウムから成る。この混合物は、硫酸分解装置に給送する。
1 メチルメタクリレート(MMA)フィード、 2 水のフィード、 3 メタノールを分離するための精留塔の循環流、 4 低沸点成分を分離するための、真空精留塔の循環流、 5 熱交換器、 6 反応器、 7 メタノールを分離するための精留塔、 8 メタノールを分離するための精留塔の塔頂流、 9 フラッシュチャンバー、 10 低沸点成分を分離するための真空精留塔、 11 低沸点成分を分離するための、真空精留塔の塔底流、 12 メタクリル酸を分離するための真空精留塔、 13 メタクリル酸流、 14 高沸点流

Claims (10)

  1. 以下の工程a)〜d):
    a)アセトンシアンヒドリンを用意する工程、
    b)アセトンシアンヒドリンを反応させて、メタクリルアミドにする工程、
    c)アルコールの存在下でメタクリルアミドをエステル化して、メタクリル酸エステルにする工程、
    d)メタクリル酸エステルを加水分解して、メタクリル酸にする工程
    を有する、メタクリル酸の製造方法。
  2. 前記加水分解を、不均一系触媒を用いて行うことを特徴とする、請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
  3. ゼオライト、イオン交換樹脂、及び非晶質の酸触媒の群から選択される触媒、特に好ましくはカチオン性イオン交換樹脂を使用することを特徴とする、請求項2に記載のメタクリル酸の製造方法。
  4. 触媒床を下方又は上方から、好ましくは触媒床底部の下方から貫流することを特徴とする、請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
  5. 前記加水分解を、50〜200℃、好ましくは70〜150℃、特に好ましくは90〜120℃、特に100〜110℃で実施することを特徴とする、請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
  6. 前記加水分解を過圧で、好ましくは0.1〜9barの過圧で、特に好ましくは2〜4barの過圧で行うことを特徴とする、請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
  7. 原料流におけるメタクリル酸エステルの、H2Oに対する比の値が0.5〜5、好ましくは1〜4、特に好ましくは1.5〜3であることを特徴とする、請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
  8. 滞留時間が10〜120分、好ましくは30〜90分、特に好ましくは45〜75分であることを特徴とする、請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
  9. 循環流(2)の、フィード流(1)に対する質量比又は体積比の値が、5〜50、好ましくは15〜30であることを特徴とする、請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
  10. メタノールとメチルメタクリレートとの混合物を、前記工程c)に供給することを特徴とする、請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
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