JP2014516916A - 一酸化炭素を含まない雰囲気下でのロジウム錯体によるジエナールの水素化 - Google Patents

一酸化炭素を含まない雰囲気下でのロジウム錯体によるジエナールの水素化 Download PDF

Info

Publication number
JP2014516916A
JP2014516916A JP2013554853A JP2013554853A JP2014516916A JP 2014516916 A JP2014516916 A JP 2014516916A JP 2013554853 A JP2013554853 A JP 2013554853A JP 2013554853 A JP2013554853 A JP 2013554853A JP 2014516916 A JP2014516916 A JP 2014516916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
optionally substituted
hydrogen atom
formula
base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013554853A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5916767B2 (ja
Inventor
ソーダン リオネル
ソーダン クリストフ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Firmenich SA
Original Assignee
Firmenich SA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Firmenich SA filed Critical Firmenich SA
Publication of JP2014516916A publication Critical patent/JP2014516916A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5916767B2 publication Critical patent/JP5916767B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C45/00Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds
    • C07C45/61Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reactions not involving the formation of >C = O groups
    • C07C45/62Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reactions not involving the formation of >C = O groups by hydrogenation of carbon-to-carbon double or triple bonds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2601/00Systems containing only non-condensed rings
    • C07C2601/06Systems containing only non-condensed rings with a five-membered ring
    • C07C2601/08Systems containing only non-condensed rings with a five-membered ring the ring being saturated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2601/00Systems containing only non-condensed rings
    • C07C2601/12Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring
    • C07C2601/14The ring being saturated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2601/00Systems containing only non-condensed rings
    • C07C2601/12Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring
    • C07C2601/16Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring the ring being unsaturated

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

本発明は、接触水素化の分野に関し、さらに詳細には、C6〜C20共役ジエナールを水素化によって(H2分子を用いて)還元して対応する脱共役エナールにする方法であって、少なくとも1種の塩基と、ロジウムに配位しているC34〜C60二座ジホスフィン配位子(L2)を含んでいるロジウム錯体の形態である少なくとも1種の錯体とを含む触媒系の存在下で、前記方法を実施することを特徴とする、水素化による還元方法に関する。

Description

本発明は、接触水素化の分野に関し、さらに詳細には、共役ジエナールを還元して対応する脱共役エナールにするための水素化方法において、特定のロジウム錯体を含む触媒系を使用することに関する。
背景技術
共役ジエナール(α,γ−ジエナール)において選択的直接α−β水素化(すなわち、特定のC=C結合の水素化)を行うのは、難しい目標である。実際、水素化は、3つの異なる部位(2つのC=Cと1つのC=O)で行われうる。さらに、工業目的では、そのような方法が魅力的であるためには、満足のゆく変換率でしかも妥当なターンオーバー(錯体の添加量と反応時間)で水素化を行うのが好ましい。
先行技術の中に、共役エナール(特に、ゲラニアール/ネラール)を選択的α−β水素化してそれぞれのアルデヒドにする例を幾つも見いだすことができる。ゲラニアールが還元されてアルデヒドであるシトロネラルにされる、Dang T. G et al. in J. of Mol. Catalysis, 1982, 16, 51を挙げることができる。他の同様の文献として、米国特許第4237072号明細書(実施例1)またはHelv. Chem. Acta, 2001, 230(脚注4)がある。
Trost et al.(Comprehensive Organic Chem., 1991, vol 8, p. 535)は、その著者自身が述べているようなエナールではうまくゆかない条件を用いた、共役エノンからケトンへの還元を報告している。
しかし、前記文献は、そのような単純な選択性をまずまずの収量で実現するために、長い反応時間(例えば、4〜24時間)が必要であることを示している。さらに、そうした文献は、全体として、基質としての共役ジエナールの選択的α−β水素化にそのような系を用いる可能性については何も述べていない。
共役ジエン系の選択的α−β水素化の唯一の例が、文献(Burk M. J. et al in J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 657を参照)に報告されている。この文献では、α,γ−ジエナミドエステルのα−β水素化が行われているが、高い選択性を保証するため(または対象とするC=C二重結合の反応性を促進するために)基質のアセトアミド基が不可欠であることが明記されている。それゆえに、前記文献によって、当業者が本発明に想到しうることはあり得ない。
Ojima et al.(Organomet. 1982, 1390)は、ロジウム、錯体および還元剤としてのシランを用いた共役ジエノンの還元を報告しているが、得られた生成物は、シラン試薬の性質に応じてアリルアルコールまたは脱共役ケトンである。
先行技術文献のいずれも、本発明の特定の触媒系の使用、特に塩基の使用を報告していない。
それゆえに、α,γ−ジエナールの選択的α−β水素化を行えるようにする方法(できれば工業的に可能な反応条件で行えるようにする方法)がいまだに必要とされている。
課題を解決するための手段
前述の問題を克服するものとして、本発明は、水素化によって(すなわち、H2分子を用いた)、C6〜C20共役ジエナールを還元して対応する脱共役エナールにする方法であって、少なくとも1種の塩基と、ロジウムに配位しているC34〜C60二座ジホスフィン配位子(L2)を含んでいるロジウム錯体の形態である少なくとも1種の錯体とを含む触媒系の存在下で、前記方法を実施することを特徴とする、水素化による還元方法に関する。
本発明の特定の実施形態によれば、式
Figure 2014516916
[式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は、別々のものと見なす場合、互いに独立に、水素原子、フェニル基(場合により置換されていてもよい)またはC1-8のアルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはシクロアルケニル基(場合により置換されていてもよい)を表すが、前記R1、R2、R3、R4およびR5の少なくとも1つは水素原子ではないことを条件とし;R1およびR2またはR2およびR3またはR3およびR4は、一緒になっていると見なす場合、C3-4のアルカジエニルまたはアルケンジイル基(場合により置換されていてもよい)を表し;R1およびR3またはR2およびR5は、一緒になっていると見なす場合、C2-3のアルカジエニルまたはアルケンジイル基(場合により置換されていてもよい)を表し;R4およびR5は、一緒になっていると見なす場合、C4-5のアルカジエニルまたはアルケンジイル基(場合により置換されていてもよい)を表す]
の共役ジエナールが、式
Figure 2014516916
[式中、R1〜R5は式(I)の場合のように定義される]
の脱共役エナールに還元され、
前記方法が、
− 少なくとも1種の塩基と、
− 好適なRh(I)前駆体と、93°〜130°の固有挟角(natural bite-angle)を有するC34〜C60二座ジホスフィン配位子(L2)とを反応させて得られる、少なくとも1種のRh(I)錯体と
を含む触媒系の存在下で実施される。
「固有挟角」という表現は、当該技術分野における通常の意味であり、例えば、P. W. N. M. van Leeuwen, P. C. J. Kamer, J. N. H. Reek, P. Dierkes, Chem. Rev. 2000, 2741に定義されているとおりと理解される。
可能な置換基であるR1〜R5は、1つのフェニル基、あるいは1つ、2つまたは3つのCOOR7、OR6またはR7基(ここで、R6は水素原子またはR7基であり、R7はC1-4の直鎖または分枝アルキルまたはアルケニル基を表す)である。本発明の実施形態のいずれかによれば、前記R1〜R5の1つまたは2つだけが場合により置換されていてもよい。
前記化合物(II)は、基質の性質および使用される錯体に応じて、ラセミ体または光学活性形態でありうると理解される。
「アルケニル」、「シクロアルケニル」または「アルケンジイル」基とは、本明細書では、当該技術分野における通常の意味を持つと理解され、それは、不飽和が共役ジエナールの炭素−炭素二重結合と共役できない不飽和基である。
「共役ジエナール」とは、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合およびアルデヒド官能基を有しそれらのうちの3つが共役している、式(I)で示されるような化合物を意味すると理解される。したがって「共役ジエナール」という用語は、任意選択で更なる非芳香族の炭素−炭素二重結合を有する化合物も含むと理解されるが、ただし、前記更なる炭素−炭素二重結合がジエナール系の二重結合と共役しないことを条件とする。
「脱共役エナール」とは、少なくとも1つのγ−δ炭素−炭素二重結合およびアルデヒド官能基を有する、式(II)に示されるような化合物を意味すると理解される。したがって「脱共役エナール」という用語は、任意選択で更なる炭素−炭素二重結合を有する化合物も含むと理解されるが、ただし、前記更なる非芳香族の炭素−炭素二重結合がエナール系の二重結合と共役しないことを条件とする。
本発明の実施形態によれば、式(I)および(II)の化合物は、C6〜C15の化合物である。この場合、特に、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は、別々のものと見なす場合、互いに独立に、水素原子、フェニル基(場合により置換されていてもよい)またはC1-4のアルキルまたはシクロアルキル基(場合により置換されていてもよい)を表すが、前記R1、R2、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つは水素原子ではないことを条件とし;R3およびR4は、一緒になっていると見なす場合、C3-4のアルカジエニル基(場合により置換されていてもよい)を表し;R4およびR5は、一緒になっていると見なす場合、C4-5アルカジエニル基(場合により置換されていてもよい)を表すようなものを挙げることができる。
上記の実施形態のいずれかによれば、別々のものと見なす場合、前記R1は水素原子を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、別々のものと見なす場合、前記R2は水素原子を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、別々のものと見なす場合、前記R3は、水素原子またはメチルまたはエチル基あるいはフェニル基(場合により置換されていてもよい)を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、別々のものと見なす場合、前記R4は、水素原子またはメチルまたはエチル基あるいはシクロヘキシルまたはシクロペンチル基あるいはフェニル基(場合により置換されていてもよい)を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、別々のものと見なす場合、前記R5は、水素原子またはメチルまたはエチル基あるいはシクロヘキシルまたはシクロペンチル基あるいはフェニル基(場合により置換されていてもよい)を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、一緒になっていると見なす場合、前記R3およびR4は、一緒になっていると見なす場合、C4アルカジエニル基(場合により置換されていてもよい)を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、一緒になっていると見なす場合、前記R4およびR5は、一緒になっていると見なす場合、C5アルカジエニル基(場合により置換されていてもよい)を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、式(I)の基質は、R1、R2がそれぞれ水素原子を表し、R3、R4、R5がそれぞれ水素原子またはメチルまたはエチル基あるいはシクロヘキシルまたはフェニル基(場合により置換されていてもよい)を表すが、前記R1、R2、R3、R4およびR5の少なくとも1つは水素原子ではないことを条件とし;R3およびR4が、一緒になっていると見なす場合、C4アルカジエニル基(場合により置換されていてもよい)を表すようなものである。
上記の実施形態のいずれかによれば、式(I)の基質は、前記R1、R2、R3、R4およびR5の少なくとも1つまたは2つが水素原子であるものである。
上記の実施形態のいずれかによれば、式(I)の基質は、前記R1、R2、R3、R4およびR5のうちの2つまたは3つが水素原子であるものである。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記R1〜R5の置換基は、1つのフェニル基または1つまたは2つのOR6またはR7基(ここで、R6は水素原子またはR7基であり、R7はC1-4の直鎖または分枝アルキル基を表す)である。好ましくは、前記置換基はOR7またはR7基である。本発明の実施形態のいずれかによれば、前記R1〜R5の1つまたは2つだけが場合により置換されていてもよい。
本発明の更なる実施形態によれば、基質は、製薬業界、農薬業界、香料工業で最終生成物または中間体として有用な脱共役エナールを生じる共役ジエナールである。特に好ましい基質は、香料工業において最終生成物または中間体として有用な脱共役エナールを生じる共役ジエナールである。
基質の非限定的な例は以下の通りである:(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール、(2E,4E)−5−フェニルペンタ−2,4−ジエナール、(2E,4E)−5−フェニルヘキサ−2,4−ジエナール、(2E,4E)−4−メチル−5−フェニルペンタ−2,4−ジエナール、(2E,4E)−2−メチル−5−フェニルペンタ−2,4−ジエナール、(2E,4Z)−4−フェニルヘキサ−2,4−ジエナール、(E)−3−(4−(tert−ブチル)シクロヘキサ−1−エン−1−イル)アクリルアルデヒド、(E)−5−シクロヘキシル−4−メチルペンタ−4−エナールまたは(E)−5−シクロヘキシル−2,4−ジメチルペンタ−4−エナール。
本発明の実施形態のいずれかにおける特定の態様によれば、本発明の方法は、選択率が40%より高く、好ましくは60より高く、より好ましくは80%より高い化合物(II)が提供されるという特徴もある。
本発明の実施形態のいずれかにおける特定の態様によれば、本発明の方法は、開始化合物の変換率が60%より高く、好ましくは70%より高い化合物(II)が提供されるという特徴もある。
ここで、「脱共役エナール」とは化合物(II)を意味し、「アルデヒド」とは両方の炭素−炭素二重結合が還元された化合物(I)を意味し、「アルコール」とはカルボニルも還元されたアルデヒドを意味する。
水素化反応は、溶媒の存在下または不存在下で実施できる。本発明の特定の実施形態では、この方法は(一般に実際的な理由のため)溶媒の存在下で行われ、水素化反応で広く受け入れられている任意の溶媒を本発明の目的に使用することができる。非限定的な例としては、C6-10芳香族溶媒(トルエンまたはキシレンなど)、C1-2ハロゲン化炭化水素(CH2Cl2など)、C5-8炭化水素溶媒(ヘキサンまたはシクロヘキサンなど)、C4-9エーテル(テトラヒドロフランまたはMTBEなど)、C3-9エステル(酢酸エチルまたは酢酸メチルなど)、C3-6ケトン(アセトンなど)、極性溶媒(C1-5第一または第二アルコール、イソプロパノールまたはエタノールなど)、またはそれらの混合物がある。溶媒の選択は、基質の性質、塩基の性質および錯体の性質に依存し、当業者は、それぞれの場合にもっとも都合の良い溶媒をうまく選択して、水素化反応を最適化することができる。
本発明の水素化方法では、反応は、純粋なH2雰囲気下か、または水素と少なくとも不活性なガス(N2またはArなど)との混合物の下で実施することができる。好ましくは、反応媒質の雰囲気はCOを含まず、例えば、存在するCOの量が1ppm未満である。どんな場合でも、反応媒質には、好ましくは、基質に対して少なくとも化学量論量のH2を供給し、化学量論量のH2より少ない場合、部分的な基質の変換しか行われないと理解される。いずれにしても、非限定例として、105Pa〜80×105Pa(1〜80バール)の、または所望される場合にはもっと高い典型的なH2圧を挙げることができる。この場合も、当業者は、錯体の添加量、溶媒中の基質の希釈度に応じて圧力をうまく調整することができる。例として、3〜50×105Pa(3〜50バール)、さらには5〜20×105Pa(5〜20バール)の典型的な圧力を挙げることができる。
水素化実施可能な温度は、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜80℃である。もちろん、当業者が、出発物質および最終生成物の融点および沸点ならびに反応または変換の所望時間に応じて、好ましい温度を選択することもできる。
上述したように、本発明では、少なくとも1種の塩基と少なくとも1種のRh錯体とを含む特定の触媒系を使用する必要がある。塩基およびRh錯体は、この方法で触媒系を使用する前に、水素または不活性雰囲気下であらかじめ混合しておくことができる。あるいはそれらは別々に反応媒質に添加することができる。
前記塩基は、(プロトン化塩基)のpKaが有利には約2〜12、特に約2.5〜12、あるいはさらに約2.8〜10.5の任意の有機塩基または無機塩基であってよい。本明細書では、「pKa」とは当該技術分野における通常の意味であり、例えば、標準状態において水中で測定された定数は、例えば、http://www.chem.wisc.edu/areas/reich/pkatable/index.htm.で報告されているようなものであると理解される。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記塩基は次のものである:無機塩基としては、アルカリ性またはC4-16のアンモニウムカーボネートまたはアンモニウムビカーボネート、塩基性酸化アルミニウム(alox)、シリコネート(すなわち、SiO-またはSiRO-基を有するケイ素誘導体)、またはアルカリ性アルカリ土類またはC4-16のアンモニウムフルオリド;有機塩基としては、アルカリ性またはC4-16のアンモニウムC2-10カルボキシレート、またはアルカリ性またはC4-16のアンモニウムC6-10フェノレート(場合により置換されていてもよい)、アルカリ性またはC4-16のアンモニウムC5-15 1,3−ジケトネート、またはC8-10二環式アミジン。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記塩基は、カーボネート、またはフルオリド、またはカルボキシレート(アセテートまたはベンゾエートなど)、またはC5-15 1,3−ジケトネート(アセチルアセトネートまたは5−オキソヘプト−3−エン−3−オレートなど)、またはフェノレート(1種のフェノレートなど)またはナフトレートである。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記塩基は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、ナトリウム(Z)−4−オキソペンタ−2−エン−2−オレート、ナトリウム(Z)−2,2,6,6−テトラメチル−5−オキソヘプト−3−エン−3−オレート、ナトリウムフェノレート、ナトリウム2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノレート、炭酸セシウムである。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記塩基はカリウム塩である。
上記の実施形態のいずれかによれば、Rh(I)錯体は、以下のものを一緒に反応させて得られる化合物である:
− 固有挟角が93°〜130°のC34〜C60の二座ジホスフィン配位子(L2);および
− 式
[Rh(L)(S)vr](Y)1-rまたは[Rh(L)2](Y)
(1) (1’)
[式中、rは0または1であり、vは0、1または2であり;
Lは、C5-14炭化水素ジエンを表し;
Sは、極性有機溶媒または水の配位分子を表し;さらに
Yは、モノアニオンを表す]
の好適なRh(I)前駆体。
式(1)または(1’)の前駆体は、単量体形、二量体形またはオリゴマー形であってよい。
Rh(I)錯体の製造は、好ましくは溶媒の存在下で実施する。本発明の特定の実施形態では、前記溶媒は水素化方法に任意に使用してよいものと同じである。しかし、他の溶媒も使用することができ、非限定例として、C6-10芳香族溶媒(トルエンまたはキシレンなど)、C5-8炭化水素溶媒(ヘキサンまたはシクロヘキサンなど)、C4-9エーテル(テトラヒドロフランまたはMTBEなど)、極性溶媒(イソプロパノールまたはエタノールなどのC1-5第一または第二アルコールなど)、ジクロロメタン、水またはこれらの混合物を挙げることができる。溶媒の選択は、基質の性質、塩基の性質および錯体の性質に依存し、当業者は、それぞれの場合にもっとも都合の良い溶媒をうまく選択して、水素化反応を最適化することができる。
Rh(I)錯体の製造は、不活性雰囲気下、または基本的に一酸化炭素および酸素を含まない雰囲気(例えば、存在するCOおよびO2の量が1ppm未満である)の下で実施することができる。当業者は、不活性雰囲気が意味することを知っている。そのような雰囲気の非限定的な例として、窒素またはアルゴン雰囲気がある。
Rh(I)錯体の製造では、方法の温度は、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜60℃であってよい。もちろん、当業者が、出発物質および最終生成物の融点および沸点ならびに反応または変換の所望時間に応じて、好ましい温度を選択することもできる。
本発明の特定の実施形態によれば、前記Sは方法の溶媒として用いられる溶媒(水を含む)である。本発明の特定の実施形態によれば、前記Sは水であるか、または誘電率εが約5〜40の有機溶媒であり、前記定数は標準状態で測定されるものである。前記定数は、"Handbook of Chemistry and Physics",87th edition, 2006−2007, page15−13 to 15−23, ISBN978−0−8493−0487−3など、またはMarch’s"Advanced Organic Chemistry"5th edition, ISBN0−471−58589−0などの化学便覧、あるいは他の同様の文献から得られる。
典型的かつ非限定的な例として、以下のSの例を挙げることができる:C4-7エーテル(テトラヒドロフラン(THF)またはメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)など)、またはC1-4アルコール(エタノールまたはイソプロパノールなど)、あるいは水またはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)。
特定の実施形態によれば、Rh(I)錯体は、式
[Rh(L2)(L)](Y) (2)
[式中、L2、LおよびYの意味は、式(1)の場合と同じである]
を有するものと述べることができると考えられる。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記ジエンLは、2つの炭素−炭素二重結合を含むC5〜C14の直鎖または分枝炭化水素化合物または2つの炭素−炭素二重結合を含むC7〜C14環状炭化水素化合物を表す。
本発明の特定の実施形態によれば、前記Lは、2つの炭素−炭素二重結合を含むC7〜C12またはC7〜C10の炭化水素化合物(場合により置換されていてもよい)、例えば、2つの炭素−炭素二重結合を含む、C7〜C12の環状炭化水素化合物またはC7〜C10の直鎖または分枝炭化水素化合物である。当業者にはよく分かるように、「環状炭化水素」とは、環状部分を含む基と理解される。
好適なLの非限定的な例として、COD(シクロオクタ−1,5−ジエン)またはNBD(ノルボルナジエン)、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエンまたはさらにはシクロヘプタ−1,4−ジエンなどの化合物を挙げることができる。
上に示したLの例は、化合物(1)および(2)の両方に当てはまる。いずれにしても、当業者が認めるように、前駆体(1)または(1’)中に存在するジエンは、化合物(2)のジエンと同じになるであろう。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記Yは、ハロゲン化物イオン、C5-15 1,3−ジケトネート、C1〜C8アルコキシド、OH-、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、SbCl6 -、AsCl6 -、SbF6 -、AsF6 -、RdSO3 -(ここで、Rdは、フッ化物原子の塩素であるか、またはC1〜C8のアルキル、アリール、フルオロアルキルまたはフルオロアリール基である)、またはBRe 4 -(ここで、Reは、ハロゲン化物の原子及び/またはメチル基及び/またはCF3基などの1〜5個の基で場合により置換されていてもよいフェニル基である)を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記Yは、Cl-、アセチルアセトネート、BF4 -、PF6 -またはCF3SO3 -を表す。特に前記YはCl-を表す。
上に示されたYの例は、化合物(1)および(2)の両方に当てはまる。いずれにしても、当業者が認めるように、前駆体(1)中に存在するモノアニオンは化合物(2)のモノアニオンと同じになるであろう。Yが、塩基に関して上で開示されたpka範囲内のpKaを有する塩基性陰イオンである場合、前記Yは触媒系に加えられる塩基の少なくとも一部としても働くことができる。
式(1)の前駆体の非限定的な例は以下の通りである:アセチルアセトナト(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)トリフルオロメタンスルホネート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラキス[ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート、クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、クロロノルボルナジエンロジウム(I)ダイマー、ジ−μ−メトキソビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(I)またはヒドロキシ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー。
上記の実施形態のいずれかによれば、L2は、次式の化合物であってよい:
(Rb2P−Q−P(Rb2 (A)
[式中、各Rbは別々のものとして、C6-10の芳香族基(場合により置換されていてもよい)またはシクロヘキシル基(場合により置換されていてもよい)を表すか、または同じP原子に結合した2つのRbは一緒になって、2,2’−オキシジフェニル(場合により置換されていてもよい)を表し;かつ
Qは、C10〜C16メタロセンジイル(場合により置換されていてもよい)または式
− a)
Figure 2014516916
[式中、各Rdは、水素原子またはC1-8アルキル基を表し、Xは、酸素または硫黄原子またはC(R102、Si(R112またはNR10基(ここで、R10は水素原子またはR11基であり、R11はC1-4の直鎖または分枝アルキル基、好ましくはメチルを表す)を表す]の基を表すか;あるいは
− b)
Figure 2014516916
の鏡像異性体のいずれかの形態
[式中、mは0または1であり、MはFeまたはRuを表し、Raは水素原子またはC1-4アルキル基を表す]の基を表し、波線は、前記Q基と化合物(A)の残りの部分との結合の位置を示す]。
上記の実施形態のいずれかによれば、Qは、1,1’−フェロセンジイル(場合により置換されていてもよい)または式
− a)
Figure 2014516916
[式中、各Rdは、水素原子またはC1-4アルキル基を表し、Xは、C(R102、Si(R112またはNR10基(ここで、R10は水素原子またはR11基であり、R11はC1-4の直鎖または分枝アルキル基、好ましくはメチルを表す)を表す]の基を表すか;または
− b)
Figure 2014516916
の鏡像異性体のいずれかの形態
の基を表し、波線は、前記Q基と化合物(A)の残りの部分との結合の位置を示す。
上記の実施形態のいずれかによれば、Qの定義において、メタロセンジイルはフェロセンジイルであり、特に1,1’−ジイル基である。式(II)において、特にMはFeである。
上記の実施形態のいずれかによれば、各Rbは、C6-10芳香族基(場合により置換されていてもよい)またはシクロヘキシル基(場合により置換されていてもよい)を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、「芳香族基または芳香族環」とは、フェニルまたはナフチル基(特にフェニル基)を意味する。
上記の実施形態のいずれかによれば、各Rbは、フェニル基、シクロヘキシル基、3,5−ジメチル−フェニル基、3,5−ジ(CF3)−フェニル基、3,5−ジメチル−4−メトキシ−フェニル基を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、Rdは水素原子を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、Xは、CMe2、SiMe2、NHまたはNMe基を表す。
上記の実施形態のいずれかによれば、L2は、97°〜120°の固有挟角を有する。
上記の実施形態のいずれかによれば、Rbの可能な置換基の非限定的な例は、ハロゲン原子、またはC1-10のアルコキシ、アルキル、アルケニル,またはパーハロ炭化水素基の中から選択される1つ、2つ、3つまたは4つの基である。「パーハロ炭化水素」という表現は、本明細書では、当該技術分野における通常の意味を持つ(例を挙げると、CF3などの基)。特に前記置換基は、1個または2個のハロゲン原子(FまたはClなど)、あるいはC1-4のアルコキシまたはアルキル基、あるいはCF3基である。
上記の実施形態のいずれかによれば、メタロセンジイルまたは1,1’−フェロセンジイル基の可能な置換基の非限定的な例には、1つまたは2つのC1-4アルキル基またはCRd'PhN(Rd''2基(ここで、Rd'またはRd''は、水素原子またはC1-4アルキル基であり、Phは、Rcに関して上で示したようにフェニル基(場合により置換されていてもよい)である)がある。特に、前記置換基は、1つのメチル基または1つのCH(C65)N(Me)2基である。
上記の実施形態のいずれかによれば、前記Rb、メタロセンジイルまたは1,1’−フェロセンジイル基は、それぞれまたはすべてが非置換である。
上記の実施形態のいずれかによれば、式(A)の配位子は、ラセミ体でも光学的活性形態であってもよい。
L2配位子の非限定例として、以下のものを挙げることができる:
Figure 2014516916
[式中、Cyは、1つまたは2つのC1-4アルキル基で置換されたシクロヘキシルを表し、Phは、フェニル基(1つまたは2つのC1-4アルキル基で場合により置換されていてもよい)を表す]。前記化合物は光学活性形態であるか、ラセミ体である(該当する場合)。
配位子(A)はすべて先行技術において既知であり、従来技術において当業者によく知られている標準的な一般的方法を用いて得られる。例えば、R. P. J. Bronger, P. C. J. Kamer, P. W. N. M. van Leeuwen, Organometallics 2003, 22, 5358またはR. P. J. Bronger, J. P. Bermon, J. Herwig, P. C. J. Kamer, P. W. N. M. van Leeuwen, Adv. Synth. Catal. 2004, 346, 789またはM. Kranenburg, Y. E. M. van der Burgt, P. C. J. Kamer, P. W. N. M. van Leeuwen. K. Goubitz, J. Fraanje Organometallics 1995, 14, 3081またはP. Dierkes, P. W. N. M. van Leeuwen J. Chem. Soc., Dalton Trans. 1999, 1519を参照されたい。前記配位子の一部は市販されているものさえある。
本発明のRh錯体は、広範囲の濃度で本発明の方法の反応媒質に加えることができる。非限定的な例であるが、錯体濃度として挙げることができるのは、基質の量に対して錯体の量は、10ppmより多く、好ましくは100ppmより多く、より好ましくは1000ppmより多いが、50000ppm未満、好ましくは10000ppm未満である。言うまでもなく、錯体の最適濃度は、当業者が知っているように、後者の性質、基質の性質、溶媒の性質、この方法の間に使用されるH2の圧力、ならびに所望の反応時間によって異なることになる。
反応混合物に加えられる塩基の有用な量は、比較的広範囲でありうる。非限定的な例として挙げることのできる塩基の量は、錯体に対して、0.1モル等量より多く、好ましくは1モル等量より多く、より好ましくは5モル等量より多いが、1000モル等量未満、好ましくは500モル等量未満である(例えば、塩基/錯体=最大10000)。
本発明の錯体(1)は、従来技術において当業者によりよく知られている標準的な一般的方法を用いて得られる。前記配位子の一部は市販されているものさえある。
実施例
これから本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明するが、その中で温度は摂氏度で示されており、略号は当該技術分野における通常の意味を持つ。
以下に記載する手順はすべて、特に記載のない限り、不活性雰囲気下で実施した。水素化は、特に断りがなければ、ステンレス鋼オートクレーブ内で実施した。H2ガス(99.99990%)は入手したままのものを使用した。基質および溶媒はすべて、Arの下で適当な乾燥剤から蒸留した。NMRスペクトルは、Bruker AM−400(400.1MHzの1H、100.6MHzの13C、161.9MHzの31P)分光計で記録し、特に断りがなければ、通常は300KにおいてCDCl3中で測定した。化学シフトはppmで示す。
実施例1
本発明の様々なロジウム錯体([Rh(COD)Cl] 2 前駆体とジホスフィン配位子(La−Ld)とからインサイチューで形成)を用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールの接触水素化
典型的な実験手順は以下の通りである:
グローブボックス内においてアルゴン下で、テフロン被覆された磁気撹拌子を備えたガラスバイアルに、Rh前駆体(例えば、[Rh(COD)Cl]2、0.005ミリモル、1モル%)、ジホスフィン配位子(0.005ミリモル、1モル%、第1表を参照)、任意選択の塩基(例えば、KOAc、0.05ミリモル、10モル%)およびCH2Cl2(1ml)を充填した。次いで、溶液を室温で1時間撹拌した。その後、CH2Cl2(1ml)中に(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール(0.5ミリモル)を含む溶液を加えた。その後、バイアルを75mlのステンレス鋼オートクレーブに入れ、オートクレーブを閉じ、H2(6×20バール)で洗浄し、H2(50バール)で加圧し、溶液を室温で撹拌した。1時間後に、オートクレーブをガス抜きし、試料を取り出し、MTBEで希釈し、その後、その溶液をセライト560のプラグで濾過し、GC(DB−Wax)で分析した。
こうした条件下で、第2表に報告されているとおり、いろいろなジホスフィン配位子(第1表)を試験した。
第1表:使用したジホスフィン配位子(La−Ld)の構造
Figure 2014516916
上式において、PhはC65基であり、n.b.a.は固有挟角を意味する。
第2表:1種の塩基の存在下での、ジホスフィン(PP,La−Lc)を用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナールへの水素化
Figure 2014516916
上記において、CODは1,5−シクロオクタジエンであり、KOAcは酢酸カリウムである。
錯体/塩基:基質に対するモル比(ppm)。
変換率=示された時間の後の、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから任意の他の生成物(脱共役エナール、飽和アルデヒドおよびアルコールを含む)への変換率((%)。GCで分析)。
反応条件:H2ガス(50バール)、25℃、CH2Cl2(およそ0.25M)。
選択率=選択率((%)。GCで分析)。[100×(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール]/[(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール+他の生成物]で計算。
実施例2
本発明のロジウム錯体として[Rh(COD)(Ld)][Cl]を用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールの接触水素化(様々な塩基を使用)
典型的な実験手順は以下の通りである:
グローブボックス内においてアルゴン下で、テフロン被覆された磁気撹拌子を備えたガラスバイアルに、[Rh(COD)(Ld)][Cl](0.02ミリモル、1モル%)、塩基(0.02ミリモル、1モル%)およびトルエン(1ml)を充填した。次いで、溶液を室温で1時間撹拌した。その後、トルエン(1ml)中に(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール(2ミリモル)を含む溶液を加えた。その後、バイアルを75mlのステンレス鋼オートクレーブに入れ、オートクレーブを閉じ、H2(6×20バール)で洗浄し、H2(30バール)で加圧し、溶液を室温で撹拌した。90分後に、オートクレーブをガス抜きし、試料を取り出し、MTBEで希釈し、その後、その溶液をセライト560のプラグで濾過し、GC(DB−Wax)で分析した。
こうした条件下で、いろいろな塩基性添加剤を試験した。第3表に報告されているとおりである。
第3表:[Rh(COD)(Ld)][Cl]および塩基を用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナールへの水素化
Figure 2014516916
上記において、NaOAcは酢酸ナトリウムであり、KOAcは酢酸カリウムであり、NaOC(O)Phは安息香酸ナトリウムであり、KOC(O)Phは安息香酸カリウムであり、Na(acac)はナトリウム4−オキソペンタ−2−エン−2−オレートであり、Na(tBu−acac)はナトリウム2,2,6,6−テトラメチル−5−オキソヘプト−3−エン−3−オレートであり、NaOPhはナトリウムフェノレートであり、NaO(2,6−(tBu)2−4−Me)−C62はナトリウム2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノレートである。
錯体/塩基:基質に対するモル比(ppm)。
変換率=示された時間の後の、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから任意の他の生成物(脱共役エナール、飽和アルデヒドおよびアルコールを含む)への変換率((%)。GCで分析)。
反応条件:H2ガス(30バール)、25℃、トルエン(およそ1M)、90分。
選択率=選択率((%)。GCで分析)。[100×(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール]/[(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール+他の生成物]で計算。
実施例3
様々なS/CおよびS/B(基質/錯体および基質/塩基)比率で[Rh(COD)(Ld)][Cl]を本発明のロジウム錯体として用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールの接触水素化
典型的な実験手順は次のとおりである:
グローブボックス内においてアルゴン下で、テフロン被覆された磁気撹拌子を備えたステンレス鋼オートクレーブに[Rh(COD)(Ld)][Cl]および塩基を充填した。その後、トルエン(12.5ml)中に含まれる(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール(10g、54ミリモル)を加えた。オートクレーブを閉じ、H2(6×20バール)で洗浄し、H2(30バール)で加圧してから、示されている時間の間、溶液を60℃(浴温)で撹拌した。その後オートクレーブを室温まで冷却し、ガス抜きし、試料を取り出し、MTBEで希釈した。次いで溶液をセライト560のプラグで濾過し、GC(DB−Wax)で分析した。
こうした条件下で、いろいろなS/CおよびS/B比率を試験した。第4表に報告されているとおりである。
第4表:[Rh(COD)(Ld)][Cl]および塩基を用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナールへの水素化
Figure 2014516916
上記において、NaOAcは酢酸ナトリウムであり、KOAcは酢酸カリウムであり、NaOC(O)Phは安息香酸ナトリウムであり、KOC(O)Phは安息香酸カリウムであり、Na(acac)はナトリウム4−オキソペンタ−2−エン−2−オレートであり、(Na(tBu−acac)はナトリウム2,2,6,6−テトラメチル−5−オキソヘプト−3−エン−3−オレートである。
錯体/塩基:基質に対するモル比(ppm)。
変換率=示された時間の後の、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから任意の他の生成物(脱共役エナール、飽和アルデヒドおよびアルコールを含む)への変換率((%)。GCで分析)。
反応条件:H2ガス(30バール)、60℃、トルエン(およそ4.3M)。
選択率=選択率((%)。GCで分析)。[100×(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール]/[(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール+他の生成物]で計算。
実施例4
[Rh(COD)(Lc)][Cl]または[Rh(COD)(Ld)][Cl]を本発明のロジウム錯体として用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールの接触水素化(様々な溶媒を使用)
典型的な実験手順は次のとおりである:
グローブボックス内においてアルゴン下で、テフロン被覆された磁気撹拌子を備えたガラスバイアルに、[Rh(COD)(Lc)[Cl](0.005ミリモル、0.1モル%)、安息香酸カリウム(0.05ミリモル、1モル%)、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール(5ミリモル)および好適な溶媒(5ml)を充填した。オートクレーブを閉じ、H2(6×20バール)で洗浄し、H2(50バール)で加圧し、溶液を室温で撹拌した。60分後に、オートクレーブをガス抜きし、試料を取り出し、MTBEで希釈し、その後、その溶液をセライト560のプラグで濾過し、GC(DB−Wax)で分析した。
こうした条件下で、いろいろな溶媒を試験した。第5表に報告されているとおりである。
第5表:[Rh(COD)(Lc)][Cl]およびいろいろな溶媒に含まれる安息香酸カリウムを用いた(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナールへの水素化
Figure 2014516916
上記において、iPrOHはイソ−プロパノール、AcOEtは酢酸エチル、THFはテトラヒドロフラン、MTBEはメチル−tert−ブチルエーテルである。
錯体/塩基:基質に対するモル比(ppm)。
変換率=示された時間の後の、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから任意の他の生成物(脱共役エナール、飽和アルデヒドおよびアルコールを含む)への変換率((%)。GCで分析)。
反応条件:H2ガス(50バール)、25℃、溶媒(1M)、60分。
選択率=選択率((%)。GCで分析)。[100×(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール]/[(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール+他の生成物]で計算。
[Rh(COD)(Ld)][Cl]についても同じ手順で試験した、第6表に報告されているとおりである。
第6表:[Rh(COD)(Ld)][Cl]およびいろいろな溶媒に含まれる安息香酸カリウムを用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナールへの水素化
Figure 2014516916
上記において、iPrOHはイソ−プロパノール、AcOEtは酢酸エチル、THFはテトラヒドロフラン、MTBEはメチル−tert−ブチルエーテルである。
錯体/塩基:基質に対するモル比(ppm)。
NaOAcは酢酸ナトリウムであり、KOAcは酢酸カリウムであり、NaOC(O)Phは安息香酸
変換率=示された時間の後の、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから任意の他の生成物(脱共役エナール、飽和アルデヒドおよびアルコールを含む)への変換率((%)。GCで分析)。
反応条件:H2ガス(10バール)、25℃、溶媒(0.5M)、120分。
選択率=選択率((%)。GCで分析)。[100×(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール]/[(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール+他の生成物]で計算。
実施例5
様々な本発明のロジウム錯体を用い、EtOH中の塩基として安息香酸カリウムを用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールの接触水素化
実施例4に記載したのと同じ手順で様々な錯体についても試験した。第7表に報告されているとおりである。
第7表:様々なロジウム錯体およびエタノール中に含まれる安息香酸カリウムによる、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナールへの水素化
Figure 2014516916
上記において、CODは1,5−シクロオクタジエン、NBDはノルボルナジエン、BF4はテトラフルオロボレート、TfOはトリフルオロメタンスルホネートである。
錯体/塩基:基質に対するモル比(ppm)。
変換率=示された時間の後の、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナールから任意の他の生成物(脱共役エナール、飽和アルデヒドおよびアルコールを含む)への変換率((%)。GCで分析)。
反応条件:H2ガス(20バール)、60℃、EtOH(1M)、120分。
選択率=選択率((%)。GCで分析)。[100×(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール]/[(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール+他の生成物]で計算。
*[Rh(COD)2][TfO]からインサイチューで生成。
実施例6
本発明のロジウム錯体として[Rh(COD)(Ld)][Cl]を用いた、様々なジエナールの接触水素化
典型的な実験手順は次のとおりである:
グローブボックス内においてアルゴン下で、テフロン被覆された磁気撹拌子を備えたステンレス鋼オートクレーブに[Rh(COD)(Ld)][Cl]および安息香酸カリウムを充填した。その後、溶媒(10ml)中に含まれる好適な基質(2.5ミリモル)を加えた。オートクレーブを閉じ、H2(6×20バール)で洗浄し、H2(20〜25バール)で加圧してから、示されている時間、指示された温度で溶液を撹拌した。その後オートクレーブを室温まで冷却し、ガス抜きし、試料を取り出し、MTBEで希釈した。次いで溶液をセライト560のプラグで濾過し、GC(DB−Wax)で分析した。
こうした条件下で、いろいろなジエナール(第8表)を試験した。第9表に報告されているとおりである。
第8表:使用したジエナール(Da−Dt)の構造
Figure 2014516916
第9表:[Rh(COD)(Ld)][Cl]および塩基による、様々なジエナール(Da−Dt)からそれらに対応する非共役エナールへの水素化
Figure 2014516916
上記において、KOAcは酢酸カリウムであり、KOC(O)Phは安息香酸カリウムである。
錯体/塩基:基質に対するモル比(ppm)。
変換率=示された時間の後の、開始ジエナールから任意の他の生成物(脱共役エナール、飽和アルデヒドまたはアルコールを含む)への変換率((%)。GCで分析)。
*反応条件:H2ガス(25バール)、25℃、CH2Cl2(およそ0.25〜1M)。
**反応条件:H2ガス(20バール)、60℃、EtOH(およそ0.5M)。
***反応条件:H2ガス(20バール)、50℃、EtOH(およそ0.5M)。
選択率=選択率((%)。GCで分析)。[100×4−エナール]/[4−エナール+他の生成物の合計]で計算。
比較例1
様々な還元法を用いた、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール(Sl)および(E)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)ブタ−3−エン−2−オン(S2)の接触還元の比較
2ガス下での還元の典型的な実験手順は次のとおりである:
グローブボックス内においてアルゴン下で、テフロン被覆された磁気撹拌子を備えたステンレス鋼オートクレーブに所望の触媒、好適な塩基性添加剤(0.1ミリモル、1モル%)、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール(10ミリモル)およびトルエン(10ml)を加えた。オートクレーブを閉じ、H2(6×20バール)で洗浄し、所望の圧にてH2で加圧してから、溶液を所望の温度で撹拌した。指示された時間の後、オートクレーブをガス抜きし、試料を取り出し、MTBEで希釈し、溶液をセライト560のプラグで濾過し、GC(DB−Wax)で分析した。
Et3SiHを用いた還元の典型的な実験手順は次のとおりである:
グローブボックス内においてアルゴン下で、テフロン被覆された磁気撹拌子を備えたSchlenckフラスコに所望の触媒、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール(10ミリモル)およびトルエン(10ml)を加えた。Et3SiH(11ミリモル)をシリンジを用いて加え、溶液を50℃で撹拌した。指示された時間の後、溶液を室温まで冷却し、ガス抜きし、試料を取り出し、MTBEで希釈し、GC(DB−1)で分析した。
こうした条件下で、いろいろな還元条件を試験した。第10表に報告されているとおりである。
第10表:様々な還元法による、(2E,4E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−2,4−ジエナール(S1)および(E)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)ブタ−3−エン−2−オン(S2)の還元
Figure 2014516916
錯体/塩基:基質に対するモル比(ppm)。
変換率=示された時間の後の、開始ジエナールから任意の他の生成物(脱共役エナール、飽和アルデヒドまたはアルコールを含む)への変換率((%)。GCで分析)。
1)Ojima et al.in Organomet.1982,1390
*反応条件:50℃、トルエン(1M)、120分。
**反応条件:50℃、トルエン(1M)、18時間。
***反応条件:25℃、トルエン(1M)、60分。
選択率=選択率((%)。GCで分析)。[100×(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール]/[(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール+他の生成物]で計算。
分かるように、先行技術にしたがって本発明の任意の特性を変更しても、実用的な収量で所望の生成物を得ることはできない。

Claims (15)

  1. 2分子を用いた水素化によって、式
    Figure 2014516916
    [式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は、別々のものと見なす場合、互いに独立に、水素原子、フェニル基(場合により置換されていてもよい)またはC1-8のアルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはシクロアルケニル基(場合により置換されていてもよい)を表すが、前記R1、R2、R3、R4およびR5の少なくとも1つは水素原子ではないことを条件とし;R1およびR2またはR2およびR3またはR3およびR4は、一緒になっていると見なす場合、C3-4のアルカジエニルまたはアルケンジイル基(場合により置換されていてもよい)を表し;R1およびR3またはR2およびR5は、一緒になっていると見なす場合、C2-3のアルカジエニルまたはアルケンジイル基(場合により置換されていてもよい)を表し;R4およびR5は、一緒になっていると見なす場合、C4-5のアルカジエニルまたはアルケンジイル基(場合により置換されていてもよい)を表し、かつ
    1〜R5の置換基は、1つのフェニル基、あるいは1つ、2つまたは3つのCOOR7、OR6またはR7基(ここで、R6は水素原子またはR7基であり、R7はC1-4の直鎖または分枝アルキルまたはアルケニル基を表す)である]
    のC6〜C20共役ジエナールを、式
    Figure 2014516916
    [式中、R1〜R5は式(I)と同様に定義される]
    の脱共役エナールに還元する方法であって、
    前記方法が、
    − 少なくとも1種の塩基と、
    − 少なくとも1種のRh(I)錯体であって、
    − 93°〜130°の固有挟角を有するC34〜C60二座ジホスフィン配位子(L2)と、
    − 式
    [Rh(L)(S)vr](Y)1-rまたは[Rh(L)2](Y)
    (1) (1’)
    [式中、
    rは0または1であり、vは0、1または2であり、
    Lは、C5-14炭化水素ジエンを表し、
    Sは、極性有機溶媒または水の配位分子を表し、さらに
    Yは、モノアニオンを表す]
    の好適なRh(1)前駆体と
    を反応させて得られる少なくとも1種のRh(I)錯体と
    を含む触媒系の存在下で実施される、前記水素化による還元方法。
  2. 式(I)および(II)の前記化合物は、式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々が、別々のものと見なす場合、互いに独立に、水素原子、フェニル基(場合により置換されていてもよい)またはC1-4のアルキルまたはシクロアルキル基(場合により置換されていてもよい)を表すが、前記R1、R2、R3、R4およびR5の少なくとも1つが水素原子ではないことを条件とし;R3およびR4が、一緒になっていると見なす場合、C3-4アルカジエニル基(場合により置換されていてもよい)を表し;R4およびR5が、一緒になっていると見なす場合、C4-5アルカジエニル基(場合により置換されていてもよい)を表す、C6〜C15化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 式(I)および(II)の前記化合物は、式中、R1、R2がそれぞれ水素原子を表し、R3、R4、R5がそれぞれ水素原子あるいはメチルまたはエチル基あるいはシクロヘキシルまたはフェニル基(場合により置換されていてもよい)を表すが、前記R1、R2、R3、R4およびR5の少なくとも1つが水素原子ではないことを条件とし;R3およびR4が、一緒になっていると見なす場合、C4アルカジエニル基(場合により置換されていてもよい)を表す、化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記塩基が、プロトン化塩基のpKaが有利には約2〜12の有機塩基または無機塩基であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記塩基が、無機塩基の場合は、アルカリ性またはC4-16のアンモニウムカーボネートまたはアンモニウムビカーボネート、塩基性酸化アルミニウム、シリコネート、またはアルカリ性アルカリ土類またはC4-16のアンモニウムフルオリドであり、有機塩基の場合は、アルカリ性またはC4-16のアンモニウムC2-10カルボキシレート、またはアルカリ性またはC4-16のアンモニウムC6-10フェノレート(場合により置換されていてもよい)、アルカリ性またはC4-16のアンモニウムC5-15 1,3−ジケトネート、またはC8-10二環式アミジンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記塩基が、カーボネート、またはフルオリド、またはカルボキシレート、例えばアセテートまたはベンゾアート、またはC5-15 1,3−ジケトネート、例えばアセチルアセトネート、または5−オキソヘプト−3−エン−3−オレート、またはフェノレート、例えばフェノレートまたはナフトレートであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  7. 前記塩基が、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、ナトリウム(Z)−4−オキソペンタ−2−エン−2−オレート、ナトリウム(Z)−2,2,6,6−テトラメチル−5−オキソヘプト−3−エン−3−オレート、ナトリウムフェノレート、ナトリウム2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノレート、炭酸セシウムであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 前記Rh(I)錯体が、式
    [Rh(L2)(L)](Y) (2)
    [式中、L2、LおよびYは、請求項1の場合と同じ意味を持つ]
    の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 前記Lが、2つの炭素−炭素二重結合を含むC5〜C14の直鎖または分枝炭化水素化合物または2つの炭素−炭素二重結合を含むC7〜C14環状炭化水素化合物を表すことを特徴とする、請求項1または8に記載の方法。
  10. 前記Yが、ハロゲン化物イオン、C5-15 1,3−ジケトネート、C1〜C8アルコキシド、OH-、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、SbCl6 -、AsCl6 -、SbF6 -、AsF6 -、RdSO3 -(ここで、Rdは、フッ化物原子の塩素またはC1〜C8のアルキル、アリール、フルオロアルキルまたはフルオロアリール基である)、またはBRc 4 -(ここで、Rcは、ハロゲン化物の原子及び/またはメチル基及び/またはCF3基などの1〜5個の基で場合により置換されていてもよいフェニル基である)を表すことを特徴とする、請求項1または8に記載の方法。
  11. 前記Sが、C4-7エーテル、またはC1-4アルコール、または水またはN,N−ジメチルホルムアミドを表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  12. 前記L2が、式
    (Rb2P−Q−P(Rb2 (A)
    [式中、各Rbは別々のものとして、C6-10の芳香族基(場合により置換されていてもよい)またはシクロヘキシル基(場合により置換されていてもよい)を表すか、または同じP原子に結合した2つのRbは一緒になって、2,2’−オキシジフェニル(場合により置換されていてもよい)を表し;かつ
    Qは、C10〜C16メタロセンジイル(場合により置換されていてもよい)または式
    − a)
    Figure 2014516916
    [式中、各Rdは、水素原子またはC1-8アルキル基を表し、Xは、酸素または硫黄原子またはC(R102、Si(R112またはNR10基(ここで、R10は水素原子またはR11基であり、R11はC1-4の直鎖または分枝アルキル基、好ましくはメチルを表す)を表す]の基を表すか;あるいは
    − b)
    Figure 2014516916
    の鏡像異性体のいずれかの形態
    [式中、mは0または1であり、MはFeまたはRuを表し、Raは水素原子またはC1-4アルキル基を表す]の基を表し、
    波線は、前記Q基と前記化合物(A)の残りの部分との結合の位置を示し;
    bの置換基は、ハロゲン原子、またはC1-10のアルコキシ、アルキル、アルケニル、またはパーハロ炭化水素基の中から選択される1つ、2つ、3つまたは4つの基であり;
    メタロセンジイルの可能な置換基は、1つのC1-4アルキル基またはCRd'PhN(Rd''2基(ここで、Rd'またはRd''は水素原子またはC1-4アルキル基であり、Phは、フェニル基(場合によりRcについて上で示したとおり置換されていてもよい)である)である]
    の化合物であることを特徴とする、請求項1または8に記載の方法。
  13. 前記RbがそれぞれC6-10芳香族基(場合により置換されていてもよい)またはシクロヘキシル基(場合により置換されていてもよい)を表すことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 前記Qが、1,1’−フェロセンジイル(場合により置換されていてもよい)または式
    − a)
    Figure 2014516916
    [式中、各Rdは水素原子またはC1-4アルキル基を表し、Xは、C(R102、Si(R112またはNR10基(ここで、R10は水素原子またはR11基であり、R11はC1-4の直鎖または分枝アルキル基、好ましくはメチルを表す)を表す]の基を表すか;または
    − b)
    Figure 2014516916
    の鏡像異性体のいずれかの形態
    の基を表し、
    波線は、前記Q基と前記化合物(A)の残りの部分との結合の位置を示すことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  15. 前記L2が、97°〜120°の固有挟角を有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
JP2013554853A 2011-02-22 2012-02-17 一酸化炭素を含まない雰囲気下でのロジウム錯体によるジエナールの水素化 Active JP5916767B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP11155391 2011-02-22
EP11155391.3 2011-02-22
PCT/EP2012/052733 WO2012150053A1 (en) 2011-02-22 2012-02-17 Hydrogenation of dienals with rhodium complexes under carbon monoxide free atmosphere

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014516916A true JP2014516916A (ja) 2014-07-17
JP5916767B2 JP5916767B2 (ja) 2016-05-11

Family

ID=45688494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013554853A Active JP5916767B2 (ja) 2011-02-22 2012-02-17 一酸化炭素を含まない雰囲気下でのロジウム錯体によるジエナールの水素化

Country Status (9)

Country Link
US (1) US8871982B2 (ja)
EP (1) EP2678304B1 (ja)
JP (1) JP5916767B2 (ja)
CN (1) CN103384657B (ja)
BR (1) BR112013021353A2 (ja)
ES (1) ES2577979T3 (ja)
IL (1) IL227808A (ja)
MX (1) MX2013008826A (ja)
WO (1) WO2012150053A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2656146T3 (es) * 2012-02-09 2018-02-23 Firmenich Sa Aldehídos como ingredientes perfumantes
DE102013103563A1 (de) * 2013-04-10 2014-10-16 Basf Se Verfahren zur Herstellung von Citronellal
CN109071578B (zh) * 2016-05-06 2022-01-14 巴斯夫欧洲公司 P-手性膦配体及其用于不对称合成的用途
CN109851486B (zh) * 2018-12-20 2022-03-11 万华化学集团股份有限公司 一种钌络合物选择性氢化二烯酮的方法
CN111871429B (zh) * 2020-08-28 2022-07-12 万华化学集团股份有限公司 一种雷尼催化剂及其制备方法,一种α,γ-二烯酮制备γ-烯酮的方法
EP4294783A1 (en) 2021-04-19 2023-12-27 Firmenich SA Hydrogenation of dienals or dienones with rhodium complexes under carbon monoxide free atmosphere
CN117916227A (zh) * 2021-09-07 2024-04-19 弗门尼舍有限公司 制备加香中间体的方法
WO2023137133A2 (en) 2022-01-13 2023-07-20 Basf Se Process for the selective catalytic hydrogenation of dienones

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2396735A1 (fr) 1977-07-04 1979-02-02 Rhone Poulenc Ind Procede de preparation de citronellal optiquement actif

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN5014004503; BARRY M. TROST: 'PARTIAL REDUCTION OF ENONES, STYRENES AND RELATED SYSTEMS' COMPREHENSIVE ORGANIC CHEMISTRY V8, 1991, P535, 555, ELSEVIER LTD. *
JPN5014004504; OJIMA IWAO: 'SELECTIVE REDUCTION OF alpha,beta-UNSATURATED TERPENE CARBONYL COMPOUNDS 以下備考' TETRAHEDRON LETTERS V13 N49, 19720101, P5035-5038, ELSEVIER *
JPN5014004505; IWAO OJIMA: 'REDUCTION OF CARBONYL COMPOUNDS VIA HYDROSILYLATION. 4. HIGHLY REGIOSELECTIVE REDUCTIONS 以下備考' ORGANOMETALLICS V1, 1982, P1390-1399, AMERICAN CHEMICAL SOCIETY *
JPN7015002070; MIYAURA, N. et al.: 'Purification and Some Properties of 2-Alkenal Reductase1 of Mucor griseo-cyanus AHU6044' Agricultural and Biological Chemistry Vol.48, No.1, 1984, p.185-192 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP2678304B1 (en) 2016-04-20
US20130331611A1 (en) 2013-12-12
CN103384657A (zh) 2013-11-06
US8871982B2 (en) 2014-10-28
WO2012150053A1 (en) 2012-11-08
IL227808A (en) 2016-02-29
BR112013021353A2 (pt) 2016-10-18
MX2013008826A (es) 2013-11-01
JP5916767B2 (ja) 2016-05-11
IL227808A0 (en) 2013-09-30
CN103384657B (zh) 2015-08-05
ES2577979T3 (es) 2016-07-19
EP2678304A1 (en) 2014-01-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5916767B2 (ja) 一酸化炭素を含まない雰囲気下でのロジウム錯体によるジエナールの水素化
Mongin et al. Mixed AggregAte (MAA): A single concept for all dipolar organometallic aggregates. 2. Syntheses and reactivities of homo/heteroMAAs
Jones et al. Iridium-catalyzed sp3 C–H borylation in hydrocarbon solvent enabled by 2, 2′-dipyridylarylmethane ligands
JP6529509B2 (ja) 水素移動反応のためのルテニウム−フェノール触媒
RU2371429C2 (ru) Способ получения гликолевого альдегида
Wang et al. Fluorinated Building Blocks. The Discovery of a Stable Difluoroallenyl Indium and the Synthesis of g em-Difluoroallenyl and-propargyl Synthons in Aqueous Media
JP2008526822A (ja) 塩基安定性イオン液体
JP2015533789A (ja) イソプレゴールからメントンを製造する方法
JP6101636B2 (ja) バナジウム錯体を用いたファルネサールの製造方法
Imlinger et al. Rh (1, 3-bis (2, 4, 6-trimethylphenyl)-3, 4, 5, 6-tetrahydropyrimidin-2-ylidene)(COD) tetrafluoroborate, an unsymmetrical Rh-homoazallylcarbene: synthesis, X-ray structure and reactivity in carbonyl arylation and hydrosilylation reactions
JP6080774B2 (ja) 四座アミノ/イミノ−チオエーテルベースのルテニウム錯体によるエステル基又はカルボニル基の水素化
Niu et al. Copper-catalyzed yne-allylic substitutions using stabilized nucleophiles
Alaaeddine et al. Discrete versus In Situ‐Generated Aluminum‐Salen Catalysts in Enantioselective Cyanosilylation of Ketones: Role of Achiral Ligands
Costa Alves Fontoura Rodrigues et al. Recent Advances in the Asymmetric Claisen Rearrangement Promoted by Chiral Organometallic Lewis Acids or Organic Brønsted-Lowry Acids
JP6613428B2 (ja) ジアルキル[2−(ピレニル)フェニル]ホスフィン、および、パラジウム化合物とこれからなる触媒。
Hua et al. Bidentate N, O-aluminum complexes: Synthesis, characterization and catalytic study for MPV reduction reactions
CN117157273A (zh) 无一氧化碳气氛下二烯醛或二烯酮与铑络合物的氢化
JP4696077B2 (ja) シクロヘキセニルアルキルまたはアルケニルケトンの異性化法
JP6345189B2 (ja) 4−メチルペント−3−エン−1−オール誘導体の製造方法
JP6535915B2 (ja) 1−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)エタノンおよび1−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−6−エン−1−イル)エタノンの生成のプロセス
US9416080B2 (en) Catalytic C—H bond activation
KR100915095B1 (ko) 알파, 베타-알킨 에스터 화합물의 β-보론화 방법
Albertin et al. Trichlorostannyl complexes of iridium with both P-donor and N-donor ligands: Preparation and activity as hydrogenation catalysts
JP6548657B2 (ja) アルコール類の製造方法
JP6551922B2 (ja) カルボン酸化合物の水素化によるアルコールの製造方法、及び該製造方法に用いるルテニウム錯体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150803

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160405

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5916767

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250