JP2014510632A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、窒素化合物、シアン化物、フェノール類及び硫化物で汚染されたコークス製造工場廃水を生物学的に浄化する方法、並びに該方法を実施するための装置に関する。
硝化を妨げる有毒成分の濃度が高いことから、コークス製造工場廃水は、非常に問題のある産業廃水となっている。従来の生物学的方法による処理の場合、コンクリート製建屋中の、性能が低いが故に大容量のバイオリアクターが必要とされる。感度の高い生物学的過程、例えば、硝化は、シアン化物及びフェノール類のような有害物質による衝撃負荷の攻撃を常に受けやすい。有機化合物の分解、加水分解及び脱窒のための最初の生物学的段階における処理と、二番目の硝化段階における処理とを分離すること、並びに硝酸塩の還流を介して二つの段階を結合することにより、バイオリアクターに対する容量要求自体が低減され、かつ、感度の高いままで維持でき、独立栄養細菌を、シアン化物、フェノール類及びその他の有害物質による損傷から保護する。
それにもかかわらず、この方法の構想のために必要な空間的要求も、コンクリート製建屋の規模も並外れて大きく、そのために法外な費用を要する。コークス製造工場に利用可能な空間がしばしば制限されることに起因して、上述の廃水処理は、現存するコークス製造工場に適さない。
ドイツ国特許出願公開第10318736A号(特許文献1)からは、コークス製造工場廃水の浄化方法が知られており、この方法では、浄化される廃水は、流体循環系内に組み込まれた反応装置を貫流し、該反応装置は、ガス透過性かつ酸素含有ガスが内面を貫流する膜チューブを含む。流体が周囲を流れる膜チューブの外側では、バイオフィルムが保持され、このバイオフィルムでは、廃水中に含まれる窒素含有化合物の硝酸塩への選択的硝化が起こり、それと同時にバイオフィルムの酸素含有の外側領域では、硝酸塩の元素の窒素への脱窒が起こる。実際には、この方法を実施することはできなかった。定義されたバイオフィルムを形成及び保持することが困難であることが判明している。更には、膜表面における硝化及び脱窒のために必要な交換を提供するのが困難である。
ドイツ国特許出願第19842332A1号(特許文献2)から知られる、生物学的廃水浄化方法では、ガス状の酸化剤を浄化すべき流体中へ導入するための、あるいは、基質でバイオマスを最適化するためのガス処理区域と、汚染物質分解のための反応区域とを有する反応装置が使用される。流体混合物は、反応区域からガス処理区域へ送還され、そしてそこで更にガス及び基質が添加される。この方法の場合、ガスが流体中へ導入されて混合されるガス処理区域と、汚染物質が生物学的に分解される反応区域との間の厳密な分離が必要とされる。この方法は、その地域の廃水を生物学的に浄化するのに使用できる。コークス製造工場廃水を生物学的に浄化する場合、コークス製造工場廃水が硝化を妨げる有害物質を含んでいるという問題が残される。
この背景に対し、本発明は、小規模な設備で実現でき、かつ、既存のコークス製造工場の限られた空間で使用できる、コークス製造工場廃水を生物学的に浄化する方法を提供する、という課題に基づく。
本発明の対象及びこの課題の解法は、請求項1に記載の方法である。
本発明の方法によれば、コークス製造工場廃水は、硝化を妨げる有害物質を除去するために、バイオマス含有材料流と一緒に、ガス処理区域及び反応区域を有する除染リアクターに供給される。除染リアクターに供給された対象混合物には、ガス処理区域中でガス状の酸化剤が添加される。酸化剤が添加された材料流は反応区域に供給され、そこでシアン化物及びその他の硝化を妨げる有害物質が生物学的に分解される。反応区域から材料流を引き抜いてリアクターへ送還する。更に、除染リアクターからの廃水流を、膜ろ過を利用して、バイオマス含有残留流(Retentatstrom)と浄化された透過流(Permeatstrom)とに分流する。残留流からは、過剰スラッジを伴う部分流が取り出される。残留流は、部分流の分離後に、除染リアクターへ送還される。透過流は、最後に、硝化及び硝化に続く脱窒によって浄化される。
除染リアクターは、流体にガスを導入するか、あるいはバイオマスに最適な基質を提供するためのガス処理区域と、汚染物質を分解するための反応区域とに分けられる。除染リアクターは、脱窒を妨げる有害物質が分解されて、その好ましくない影響を受けないと期待できるよう、第一の浄化段階を構成する。除染リアクターから排出され、かつ、膜ろ過に供給された材料流のフェノール含有量及びシアン化物含有量のいずれも、最小硝化阻止濃度を下回って低減させることができる。それにより、シアン化物のほぼ完全な分解、並びにフェノールのほぼ(weitergehend)完全な分解が達成できる。追加的に、CSB含有量が、除染リアクター中の生物学的処理によって約60〜80%減少される。有機窒素化合物は、除染リアクターの排出物中の全窒素のほとんどが、NH4−窒素として存在するように分解される。
除染リアクターを作動させるためのバイオマスとしては、公立の施設(kommunale Anlagen(国や地方自治体による施設、例えば、浄水場など)からの活性スラッジが使用でき、これは、数週間の適合時間にわたってコークス製造工場廃水に適合される。
除染リアクターから引き抜かれた廃水は膜ろ過により後浄化される。膜ろ過は、バイオマスの分離(Abscheidung)及び濃化を利用する。好ましくは、膜ろ過は、流体オーバーフロー膜を備えたモジュールを使用する限外ろ過からなる。膜におけるオーバーフロー速度は、循環系中に送る流体流量(Fluessigkeitsmengenstrom)により調節することができる。流入量及び流出量の制御により、連続して引き抜かれる残留流中のバイオマスの含有量を所定値に調節することができる。好ましくは、10〜30g/lのバイオマス含有量を有する未処理物が除染リアクター中へ送還される。
硝化並びに後続の脱窒は、典型的な、槽技術(Beckentechnologie)において後浄化により行うことができる。本発明の好ましい一実施形態によれば、同様にガス処理区域と反応区域とを有する硝化反応装置で硝化が実施され、その際、反応区域からの材料流はガス処理区域へ送還され、そこでガス状の酸化剤、並びに排出された透過流を添加される。硝化反応装置の反応区域からの更なる材料流は浄化槽へ送られ、該槽は脱窒段階として作動する。バイオマスと共に供給される材料流は脱窒段階から硝化反応装置へ送還される。更に、生物学的に浄化された廃水が脱窒段階から引き抜かれる。
生物学的に浄化された廃水流は、好ましくは、膜ろ過を使って後浄化される。その際に、廃水流は、バイオマス含有残留流と、浄化された透過流とに分流される。残留流からは過剰スラッジを伴う部分流が分離される。残留流は、部分流の分離後、脱窒段階へ送還される。脱窒の下流の膜ろ過は、好ましくは限外ろ過として作動し、その際、流体オーバーフロー膜を備えたモジュールが使用され、かつ、膜のオーバーフロー速度は、循環系に送る流体流量によって調節される。
除染リアクター及び硝化反応装置いずれの反応区域及びガス処理区域も、ノズルを介して適切に接続され、そのノズル中では、流入ラインからの流体がガス処理区域へ導入される。それにより、ノズル中で発生した流れは、その際に、反応区域からの流体と一緒に運ばれる。反応装置は、ガス処理区域と汚染物質が生物学的に分解される反応区域との間が厳密に分離されるように運転される。その際に、ガス処理区域及び反応区域は、流体を移動させるだけでなく、更には、フィードバックを介して相互に結合もされる。流体の一部は、常に、ガス処理区域と反応区域との間を循環する一方で、同時に、廃水及びバイオマスが供給されて、浄化された水が流出ラインを介して排出される。
除染リアクター下流の膜ろ過時に発生する透過流から部分流が分岐され、かつ、脱窒段階に直接導入される。この部分流は、脱窒における炭化水素源として利用できる。
本発明の対象はまた、請求項10に記載の、上述の方法を実施するための装置でもある。装置は、硝化を妨げる汚染物質を除去するための除染リアクター、除染リアクター中で浄化された廃水流を膜ろ過するための装置、並びに、膜ろ過時に発生した透過流を硝化及び脱窒によって生物学的に廃水浄化するための装置を含む。ここで、除染リアクターは上述の構造を有し、かつ、上流の反応区域、下流の反応区域、並びに反応区域からの流体をガス処理区域に送還するための装置を含む。
除染リアクターの下流に接続された生物学的廃水浄化装置は、好ましくは、同様に、上流の反応区域、下流のガス処理区域及びガス状の酸化剤の供給部を有する硝化反応装置、並びに反応区域からの流体をガス処理区域へ送還(フィードバック)するための装置を有する。
除染リアクター及び/又は硝化反応装置の反応区域及びガス処理区域のそれぞれには、流体循環を発生させるためのループ管が適切に配置される。二つの区域の間にはノズルがあり、そのノズル中で、還流及びコークス製造工場廃水からの流体か、あるいは、除染リアクターからの予備浄化された廃水が、上流のループ管からの流体と共に運ばれて、ガス処理区域へ送られる。
脱窒段階として作動する浄化槽を硝化反応装置の下流に接続でき、その際、浄化槽からのバイオマス含有材料流は硝化反応装置へ送還できる。脱窒段階には、浄化槽から引き抜かれた、浄化された廃水流を膜ろ過するための装置が適切に配置される。
次に、本発明を、単に実施例を示す図面に基づいて説明する。唯一の図は、窒素化合物、シアン化物、フェノール類及び硫化物を有するコークス製造工場廃水を生物学的に浄化するための装置を概略的に示す。
図に示される装置は、硝化を妨げる有害物質を除去するための除染リアクター1、除染リアクター1で予備浄化された廃水流を膜ろ過するための装置2、並びに膜ろ過時に発生した透過流Pを、硝化及び脱窒によって生物学的に廃水浄化するための装置3を含む。除染リアクター1は、上流の反応区域4、ガス状の酸化剤のための供給装置6を備えた下流のガス処理区域5、並びに反応区域4からの流体をガス処理区域5へ送還するための装置7を有する。除染リアクター1の反応区域4及びガス処理区域5のそれぞれには、流体循環を発生させるためのループ管8、8’が配置される。二つの区域4、5の間には、更に、ノズル9が設けられ、そのノズル中を、フィードバック及び浄化すべきコークス製造工場廃水からの流体が、上流のループ管8からの流体と共に運ばれ、そしてガス処理区域5へ送られる。
コークス製造工場廃水は、硝化を妨げる、シアン化物、フェノール類及び、場合によっては存在し得る、更なる汚染物質を除去するために、バイオマス含有材料流と一緒に除染リアクター1に供給される。除染リアクター1に供給された対象混合物に、ガス処理区域5中でガス状の酸化剤が添加される。酸化剤が添加された材料流は、除染リアクター1の反応区域4に供給され、そこで、シアン化物及びその他の硝化を妨げる汚染物質が生物学的に分解される。反応区域4から材料流が引き抜かれ、そして、除染リアクター1中へ送還される。更に、除染リアクター1からの廃水流Aは、膜ろ過を使って、バイオマス含有残留流Rと、浄化された透過流Pとに分流される。残留流Rからは、過剰のスラッジを伴う部分流Tが分離される。残留流Rは、この部分流Tの分離後、除染リアクター1中へ送還される。透過流Pは、硝化及び下流の脱窒によって浄化される。
除染リアクター1の下流にある生物学的廃水浄化装置3は、同様に、上流の反応区域4’及びガス状の酸化剤のための供給装置6’を備えた下流のガス処理区域5’を有する硝化反応装置10、並びに、反応区域4’からの流体をガス処理区域5’中へ送還するための装置7’を有する。材料流は反応区域4’からガス処理区域5’中へ送還されて、そこでガス状の酸化剤並びに排出される透過流Pを添加される。更なる材料流が、硝化反応装置の反応区域から浄化槽11に供給され、該タンクは脱窒段階として作動する。バイオマスを伴う材料流は、脱窒段階から硝化反応装置10へ送還される。更に、生物学的に浄化された廃水流は、脱窒段階から引き抜かれて下流の膜ろ過2’に供給される。廃水流は、膜ろ過2’によってバイオマス含有残留流R’と、浄化された透過流P’とに分流される。残留流R’からは、過剰のスラッジを伴う部分流T’が分離される。この部分流T’の分離後、残留流R’は脱窒段階へ送還される。
図中に示された装置の概要から、除染リアクター1の後の膜ろ過時に発生した透過流Pからは部分流T”が分岐されて、脱窒段階に直接供給可能であることがわかる。部分流T”は、脱窒における炭化水素源として利用できる。
図中に示された廃水の生物学的浄化は、除染リアクター1の下流に接続された膜ろ過2、並びに、脱窒段階として作動される浄化槽11が配置された別の膜ろ過2’を含む。膜ろ過2、2’は、好ましくは、限外ろ過として作動され、その際、流体オーバーフロー膜を備えたモジュールが使用される。膜におけるオーバーフロー速度は、循環系に送る流体の質量流量によって調節される。流入量及び流出量の調整によって、残留流R、R’中のバイオマスの濃化、すなわち、含有量に影響を及ぼすことができる。
Claims (2)
- 窒素化合物、シアン化物、フェノール類及び硫化物で汚染されたコークス製造工場廃水を生物学的に浄化する方法であって、
その際、コークス製造工場廃水は、硝化を妨げる有害物質を除去するために、バイオマス含有材料流と一緒に、ガス処理区域及び反応区域を有する除染リアクターに供給され、
その際、除染リアクターに供給された処理対象混合物に、ガス処理区域中でガス状の酸化剤が供給され、かつ、酸化剤が混入された材料流は反応区域に供給され、その中でシアン化物及びその他の硝化を妨げる有害物質が生物学的に分解され、
その際、材料流が反応区域から引き抜かれて除染リアクターへ送還され、
その際、除染リアクターからの廃水流は、膜ろ過を使ってバイオマス含有残留流(Retentatstrom)と浄化された透過流とに分流され、
その際、過剰のスラッジを伴う残留流から部分流が取り出され、その部分流の分離後、残留流は除染リアクターに送還され、そして
その際、透過流は、硝化及び後続の脱窒により浄化される、上記の方法。 - 前記廃水流が、膜ろ過を使って後浄化されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の方法。
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