JP2014509073A - 改善されたpsd性能を有するシリコン研磨用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、シリカ、一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩、一つ以上の重炭酸塩、一つ以上のアルカリ金属水酸化物、一つ以上のアミノホスホン酸、一つ以上の速度促進化合物、一つ以上の多糖、及び水を含む、化学機械研磨用組成物に関する。この化学機械研磨用組成物は、研磨した基質の表面粗さ及びPSDを減らす。本発明は更に、本明細書において開示する化学機械研磨用組成物を用いて、基質、特にシリコン基質を化学機械研磨する方法に関する。

Description

電子機器に使用するシリコンウェハーは、典型的に、最初にダイヤモンドソーを用いて薄いウェハーにスライスされ、平坦性を改善するためにラッピングされ、ラッピングによって生じる表面下の損傷を除去するためにエッチングされる単結晶シリコンインゴットから調製する。次いでシリコンウェハーを、ウェハーが電子機器に使用可能となる前に、二段階処理で典型的に研磨し、エッチングによって生じたナノトポグラフィーを除去し、所望の厚みを得る。
第1の研磨工程において、高い除去速度が必要とされ、理想的には、この工程の間、ナノトポグラフィーは損なわれない。ナノトポグラフィーは、ある領域の正面のトポロジーを測定するパラメータであり、0.2mm〜20mmの空間波長内の表面の偏差として定義される。ナノトポグラフィーの場合、ウェハー表面の平坦性はウェハー表面自体に対して測定される一方で、表面平坦性の場合、ウェハー表面の平坦性はウェハーを保持するために使用する平坦なチャックに対して測定されるという点で、ナノトポグラフィーは表面平坦性とは異なる。したがって、ウェハーは完全な平坦性を有してもよいが、なおナノトポグラフィーを有してもよい。ウェハーがウェハーの正面及び背面上に表面不規則を有するが、正面及び背面が平行である場合、ウェハーは完全な平坦性を有する。しかしながら、同じウェハーはナノトポグラフィーを示す。ナノトポグラフィーは、空間周波数におけるウェハー表面不規則性のトポロジーマップにおいて、粗さと平坦性との間のギャップを埋める。
表面粗さは、平均表面水準の水平面からの偏差という観点から粗さを考慮する、いくつかのパラメータを使用して特定することができる。例えば、粗さを測定する1つのパラメータは、平均表面水準からの全ての垂直偏差の二乗平均平方根値であるRMS粗さである。
粗さを測定する他のパラメータは、平均表面水準からの平坦性からの偏差の相加平均である表面粗さ、又は平均粗さ(R)である。粗さの分布対特徴部の空間周波数は、パワースペクトル密度(PSD)関数、又はパワースペクトルによって定義される。PSDは、表面の画像から空間パワースペクトルを計算することによって、表面粗さのデータを提供する。
シリコンウェハーの研磨工程は、ほんの原子レベルであったとしてもある程度の粗さを生じさせる。製造した部品が正しく機能するかは、多くの場合その粗さの程度にきわめて依存する。例えば、コンピュータハードディスクは、許容できる粗さについて狭い許容帯を有する。表面があまりに滑らかである場合、読出し/書込みヘッドは、ディスクの表面に固着する場合がある。表面があまりに粗い場合、ヘッドは適当な態様においてディスク表面のエアクッションの上でディスク表面を飛び超えることができない場合がある。さらに、表面粗さは、部品の化学的及び物理的な安定性に影響を及ぼす可能性がある。厳しい環境(例えば、温度、湿度、又は薬品)に耐えなければならない表面は、攻撃される表面領域を最小限とし、かつ、できるだけ欠陥又は弱点が少なくなるように、できるだけ滑らかでなければならない。
従来のシリコンウェハーのための研磨用組成物は、ケイ素の高い除去速度を示すが、シリコンウェハーの増加したナノトポグラフィー及び粗さを生じる。増加したナノトポグラフィーは、半導体基板への更なる処理に適するシリコンウェハーを作成する第二の最終的な研磨工程により負担を掛ける。
したがって、本技術分野においてシリコンウェハーのための改善された研磨用組成物についての重要な必要性が残っている。
本発明は、(a)シリカ、(b)一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩、(c)一つ以上の重炭酸塩、一つ以上のアルカリ金属水酸化物、(d)一つ以上のアミノホスホン酸、(e)一つ以上の速度促進化合物、(g)一つ以上の多糖、及び(f)水を含む化学機械研磨用組成物を提供する。
本発明はまた、(i)基質を、研磨パッド及び化学機械研磨用組成物に接触させる工程と、(ii)研磨パッドと基質との間に化学機械研磨用組成物を置いて、研磨パッドを基質に対して動かす工程と、(iii)少なくとも基質の一部を摩耗して基質を研磨する工程とを含む、化学機械研磨の方法であって、前記化学機械研磨用組成物は(a)シリカ、(b)一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩、(c)一つ以上の重炭酸塩、(d)一つ以上のアルカリ金属水酸化物、(e)一つ以上のアミノホスホン酸、(f)一つ以上の速度促進化合物、(g)一つ以上の多糖、及び(f)水を含む化学機械研磨用組成物である、化学機械研磨の方法を提供する。
本発明は、化学機械研磨用組成物、及び基質を化学機械研磨する方法を提供する。
一実施形態において、研磨用組成物は、以下を含むか、以下から本質的に成るか、又は以下から成る:(a)シリカ、(b)一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩、(c)一つ以上の重炭酸塩、(d)一つ以上のアルカリ金属水酸化物、(e)一つ以上のアミノホスホン酸、(f)複素環式アミン、モノアミノ酸、及びヒドロキシ酸からなる群から選択される一つ以上の速度促進化合物、(g)ヒドロキシアルキルセルロース、デキストラン、カルボキシル化デキストラン、及びスルホン化デキストランからなる群から選択される一つ以上の多糖であって、少なくとも一つの多糖が300,000g/mol未満の平均分子量を有する一つ以上の多糖、及び(f)水。
驚くべきことに、本発明の化学機械研磨用組成物を用いて、従来の研磨用組成物で研磨した同じ基質と比較して研磨した基質がより低い表面粗さを示すように、基質、特にシリコン基質を研磨することができる。加えて、本発明の研磨用組成物は、研磨の間、満足な除去速度を更に示す。
シリカは任意の適切な形、例えば湿式処理型シリカ、フュームドシリカ、又はそれらの組み合わせであることができる。例えば、シリカは湿式処理型シリカ粒子(例えば、縮合重合した、又は沈殿シリカ粒子)を含むことができる。縮合重合シリカ粒子は典型的に、Si(OH)を縮合して、コロイド粒子(ここで、コロイド粒子は1nm〜1000nmの平均粒径を有すると定義する)を形成することによって調製される。そのような研磨剤粒子は、米国特許第5,230,833号明細書に従って調製することができ、又は例えばAkzo―Nobel Bindzil 50/80製品、NALCO DVSTS006製品、及び扶桑PL―1、PL―1H、PL―1SL、PL―2、PL―2L、PL―3、PL―3H、PL―3L、PL―5、PL―6L、PL―7、PL―7H、PL―10H、及びPL―20製品、並びにデュポン、バイエル、Applied Research、Silbond、日産ケミカル、クラリアント、及び他から入手可能な他の類似の製品として、さまざまな商業的に入手可能な製品のいずれかとして得ることができる。
シリカは、フュームドシリカ粒子を含むことができる。フュームドシリカ粒子は揮発性の前駆体(例えば、ハロゲン化ケイ素)から、加水分解による発熱処理、及び/又は高温炎(H/空気、又はH/CH/空気)中での前駆体の酸化によって製造することができる。前駆体を含む溶液を、小滴発生器を使用して高温炎に噴霧することができ、次いで金属酸化物粒子を集めることができる。典型的な小滴発生器は、二流体アトマイザー、高圧スプレーノズル、及び超音波アトマイザーを含む。適切なフュームドシリカ製品は、例えばキャボット、トクヤマ、及びエボニックデグッサ等の生産者から商業的に入手可能である。
シリカは、任意の適切な平均粒径(すなわち、平均粒子直径)を有することができる。シリカは10nm以上、例えば15nm以上、20nm以上、又は25nm以上の平均粒径を有することができる。代替として、又はそれに加えて、シリカは、120nm以下、例えば、110nm以下、100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、又は40nm以下の平均粒径を有することができる。したがって、シリカは、上記の端点の任意の二つによって囲まれる平均粒径を有することができる。例えば、シリカは10nm〜120nm、15nm〜110nm、20nm〜100nm、25nm〜90nm、又は25nm〜80nmの平均粒径を有することができる。非球状シリカ粒子について粒径とは、粒子を包含する最も小さい球体の直径である。シリカの粒径は、任意の適切な技術を使用して、例えばレーザー回折技術を使用して測定することができる。適切な粒径測定機は、例えばMalvern Instruments(Malvern、英国)から商業的に入手可能である。
シリカ粒子は、望ましくは研磨用組成物中に、より詳しくは研磨用組成物の水の中に懸濁する。シリカ粒子が研磨用組成物中に懸濁する場合、シリカ粒子は好ましくはコロイド的に安定である。用語「コロイド」は、液体キャリア中のシリカ粒子の懸濁液を意味する。コロイド安定性は、経時的な懸濁液の維持を意味する。本発明の文脈において、研磨剤を100mLのメスシリンダーに入れ、撹拌することなく2時間静置し、メスシリンダーの下部50mL中の粒子の濃度(g/mLで表される[B])と、メスシリンダーの上部50mL中の粒子の濃度(g/mLで表される[T])との差を、研磨剤組成物中の粒子の最初の濃度(g/mLで表される[C])で除した値が0.5以下(すなわち([B]―[T])/[C]≦0.5)である場合、研磨剤はコロイド的に安定であるとみなす。より好ましくは、[B]−[T]/[C]の値は0.3以下、及び最も好ましくは0.1以下である。
研磨用組成物は、任意の適切な量のシリカを含むことができる。研磨用組成物は、0.001質量%以上のシリカ、例えば0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上のシリカを含むことができる。代替として、又はそれに加えて、研磨用組成物は、20質量%以下のシリカ、例えば15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、又は2質量%以下のシリカを含むことができる。したがって、研磨用組成物は、シリカについて列挙した上記のエンドポイントの任意の二つに囲まれる量のシリカを含むことができる。例えば、研磨用組成物は、0.001質量%〜20質量%、0.001質量%〜15質量%、0.001質量%〜10質量%、0.001質量%〜8質量%、0.001質量%〜6質量%、0.001質量%〜5質量%、0.001質量%〜2質量%、又は0.05質量%〜2質量%のシリカを含むことができる。好ましい実施形態において、研磨用組成物は0.2質量%〜0.6質量%のシリカを含む。他の好ましい実施形態において、研磨用組成物は4質量%〜5質量%のシリカを含む。更に他の好ましい実施形態において、研磨用組成物は8質量%〜12質量%のシリカを含む。
研磨用組成物は、一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩を含む。特定の理論に制約されることは望まないが、テトラアルキルアンモニウム塩は、高いpH及びイオン強度においてシリカ粒子を安定させると考えられる。更に、アミン上のアルキル基の鎖長を変えることは、表面粗さに影響を与える。テトラアルキルアンモニウム塩は、好ましくはテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、及びテトラブチルアンモニウムからなる群から選択されるカチオンを含む。テトラアルキルアンモニウム塩は、限定されないが水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、又は硫酸水素イオンを含む任意の適切なアニオンを有することができる。一実施形態において、テトラアルキルアンモニウム塩は、水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、又は水酸化テトラプロピルアンモニウム)である。好ましい実施形態において、テトラアルキルアンモニウム塩は、水酸化テトラメチルアンモニウムである。他の好ましい実施形態において、テトラアルキルアンモニウム塩は、水酸化テトラプロピルアンモニウムである。更に他の好ましい実施形態において、テトラアルキルアンモニウム塩は、水酸化テトラメチルアンモニウム、及び水酸化テトラプロピルアンモニウムの混合物である。
研磨用組成物は、典型的に0.1質量%以上、例えば0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、又は2質量%以上の一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩を含む。代替として、又はそれに加えて、研磨用組成物は、5質量%以下、例えば4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下のテトラアルキルアンモニウム塩を含むことができる。したがって、研磨用組成物は、テトラアルキルアンモニウム塩について列挙した上記のエンドポイントの任意の二つに囲まれる量のテトラアルキルアンモニウム塩を含むことができる。例えば、研磨用組成物は、0.1質量%〜5質量%、0.2質量%〜4質量%、又は0.3質量%〜3質量%のテトラアルキルアンモニウム塩を含むことができる。好ましい実施形態において、研磨用組成物は2質量%〜3質量%のテトラアルキルアンモニウム塩を含む。
研磨用組成物は、一つ以上の重炭酸塩を含む。特定の理論に制約されることは望まないが、重炭酸塩は、研磨用組成物のイオン強度を調節するよう機能すると考えられる。重炭酸塩は、任意の適切な重炭酸塩であることができ、及び、例えば重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、又はそれらの組み合わせであることができる。
研磨用組成物は、典型的に0.05質量%以上、例えば0.1質量%以上、0.25質量%以上、又は0.5質量%以上の重炭酸塩を含む。代替として、又はそれに加えて、研磨用組成物は、5質量%以下、例えば4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下の重炭酸塩を含むことができる。したがって、研磨用組成物は、重炭酸塩について列挙した上記エンドポイントの任意の二つに囲まれる量の重炭酸塩を含むことができる。例えば、研磨用組成物は、0.05質量%〜5質量%、0.1質量%〜4質量%、0.25質量%〜3質量%、又は0.5質量%〜2質量%の重炭酸塩を含むことができる。
研磨用組成物は、一つ以上のアルカリ金属水酸化物を含む。アルカリ金属水酸化物は塩基として働き、研磨用組成物のpHを調節する。適切なアルカリ金属は、例えば、限定されないが水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムを含む1族アルカリ土類金属のいずれかを含む。
研磨用組成物は、典型的に0.1質量%以上、例えば0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.5質量%以上のアルカリ金属水酸化物を含む。代替として、又はそれに加えて、研磨用組成物は、1質量%以下、例えば0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、又は0.6質量%以下のアルカリ金属水酸化物を含むことができる。したがって、研磨用組成物は、アルカリ金属水酸化物について列挙した上記エンドポイントの任意の二つに囲まれる量のアルカリ金属水酸化物を含むことができる。例えば、研磨用組成物は、0.1質量%〜1質量%、0.2質量%〜0.9質量%、又は0.3質量%〜0.7質量%(例えば0.4質量%、0.5質量%、又は0.6質量%)のアルカリ金属水酸化物を含むことができる。
研磨用組成物は任意の適切なpHを有することができ、望ましくは、研磨用組成物はアルカリ性pH、すなわち7より大きいpHを有する。例えば、研磨用組成物は、7.5以上、8.0以上、8.5以上、9.0以上、9.5以上、又は10.0以上のpHを有することができる。代替として、又はそれに加えて、研磨用組成物は、14未満、例えば13.5以下、13.0以下、12.5以下、12.0以下、11.5以下のpHを有することができる。したがって、研磨用組成物は、上記エンドポイントの任意の二つに囲まれるpHを有することができる。例えば、研磨用組成物は、7より大きく14未満の、特に7.5〜13.5のpHを有することができる。一実施形態において、研磨用組成物は、10.5のpHを有する。他の実施形態では、研磨用組成物は、9.5〜11のpHを有する。更に他の実施形態において、研磨用組成物は、濃縮物として、11〜13のpHを有する。
研磨用組成物は、一つ以上のアミノホスホン酸を含む。特定の理論に制約されることは望まないが、アミノホスホン酸は研磨用組成物の金属キレート化剤として働く。好ましくは、アミノホスホン酸は、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらの塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、アミノホスホン酸は、アミノトリ(メチレンホスホン酸)である。例示するアミノホスホン酸は、ThermPhosインターナショナルから商業的に入手可能な、DEQUESTTM2000EGである。
研磨用組成物は、0.02質量%以上、例えば0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.5質量%以上の一つ以上のアミノホスホン酸を典型的に含む。代替として、又はそれに加えて、研磨用組成物は、2質量%以下、例えば1.5質量%以下、又は1質量%以下のアミノホスホン酸を含むことができる。したがって、研磨用組成物は、アミノホスホン酸について列挙した上記エンドポイントの任意の二つに囲まれる量においてアミノホスホン酸を含むことができる。例えば、研磨用組成物は、0.02質量%〜2質量%、0.1質量%〜1.5質量%、又は0.5質量%〜1質量%のアミノホスホン酸を含むことができる。
研磨用組成物は、一つ以上の速度促進化合物、すなわち基質の除去速度を上げる化合物を含む。一つ以上の速度促進化合物は、複素環式アミン、モノアミノ酸、及びヒドロキシ酸からなる群から選択される。研磨用組成物は、除去速度上の有益な効果が観察される程度に、適切な量の速度促進化合物を含む。
いくつかの実施形態において、速度促進剤化合物は、複素環式アミンである。速度促進剤が複素環式アミンである場合、典型的に、複素環式アミンは複素環芳香族アミン、及び複素環脂肪族アミンからなる群から選択される。
好ましい実施形態において、複素環芳香族アミンは、1,2,4―トリアゾールである。他の好ましい実施形態において、複素環脂肪族アミンは、アミノエチルピペラジンである。
いくつかの実施形態において、速度促進剤はモノアミノ酸である。適切なモノアミノ酸はグリシンである。
いくつかの実施形態において、速度促進剤はヒドロキシ酸である。適切なヒドロキシ酸は乳酸である。
いくつかの実施形態において、研磨用組成物は複素環式アミン、モノアミノ酸、及びヒドロキシ酸からなる群から選択される1つ以上の速度促進剤を含むことができる。
研磨用組成物は、任意の適切な量の速度促進化合物を含む。研磨用組成物は、0.02質量%以上、例えば0.1質量%以上、0.125質量%以上、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.5質量%以上の速度促進化合物を典型的に含む。代替として、又はそれに加えて、研磨用組成物は、2質量%以下、例えば1.5質量%以下、1質量%以下、又は0.375質量%以下の速度促進化合物を含むことができる。したがって、研磨用組成物は、速度促進化合物について列挙した上記エンドポイントの任意の二つに囲まれる量の速度促進化合物を含むことができる。例えば、研磨用組成物は、0.02質量%〜2質量%、0.1質量%〜1.5質量%、又は0.5質量%〜1質量%の速度促進化合物を含むことができる。好ましい実施形態において、研磨用組成物は、0.125質量%〜0.375質量%の速度促進化合物、例えば0.25質量%の速度促進化合物を含む。
研磨用組成物は、一つ以上の多糖を含む。特定の理論に制約されることは望まないが、多糖は、研磨用組成物を用いて研磨する基質のR、及びPSDを減らすと考えられる。多糖は、望ましくは水溶性である。多糖は、ヒドロキシアルキルセルロース、キトサン、デキストラン、カルボキシル化デキストラン、及びスルホン化デキストランからなる群から選択される。
多糖は、300,000g/mol未満の平均分子量を有する。好ましい実施形態において、研磨用組成物は、200,000g/mol未満の平均分子量、より好ましくは20,000g/mol〜100,000g/mol、及び最も好ましくは20,000g/mol〜80,000g/molの平均分子量を有する多糖を含む。
いくつかの実施形態において、多糖はヒドロキシアルキルセルロースである。好ましい実施形態において、多糖はヒドロキシエチルセルロース(HEC)である。
いくつかの実施形態において、多糖はキトサンである。
いくつかの実施形態において、多糖はデキストランである。適切なデキストランは、例えばカルボキシル化デキストラン、及びスルホン化デキストランを含む。
研磨用組成物は、任意の適切な量の多糖を含む。研磨用組成物は、0.0001質量%以上、例えば0.0002質量%以上、0.00025質量%以上、0.0003質量%以上、0.0004質量%以上、又は0.0005質量%以上の多糖を典型的に含む。代替として、又はそれに加えて、研磨用組成物は0.1質量%以下、例えば0.09質量%以下、0.08質量%以下、0.07質量%以下、0.06質量%以下、又は0.05質量%以下の多糖を含むことができる。したがって、研磨用組成物は、多糖について列挙した上記エンドポイントの任意の二つに囲まれる量の多糖を含むことができる。例えば、研磨用組成物は0.0001質量%〜0.1質量%、0.0002質量%〜0.09質量%、又は0.0003質量%〜0.07質量%の多糖を含むことができる。好ましい実施形態において、研磨用組成物は、濃縮物として、最高で0.05質量%(例えば、0.00025質量%〜0.05質量%)の一つ以上の多糖を含む。他の好ましい実施形態において、研磨用組成物は0.01質量%〜0.05質量%の一つ以上の多糖を含む。更に他の好ましい実施形態において、研磨用組成物は0.0007質量%〜0.003質量%の一つ以上の多糖を含む。
研磨用組成物は、水を含む。水の使用は研磨又は平坦化すべき適切な基質表面に対する、研磨用組成物の他の構成要素の適用を容易にする。好ましくは、水は脱イオン水である。
研磨用組成物は、一つ以上の殺生物剤を含むこともできる。殺生物剤は、任意の適切な殺生物剤、例えばイソチアゾリノン殺生物剤であることができる。研磨用組成物中に使用する殺生物剤の量は、典型的1〜50ppm、好ましくは10〜20ppmである。
研磨用組成物は、一つ以上の界面活性剤(例えば消泡剤)を含むこともできる。界面活性剤の存在に対する典型的な短所は、多くの場合シリコン表面についての全体的な除去速度の低下である。界面活性剤のシリコン表面上への吸収が作用して、表面における研磨剤粒子とシリコンとの接触を減らし、また、研磨剤粒子と金属面との接触はシリコン表面が摩耗する主要な機構であるので、多くの場合有用な速度以下に除去速度を低下させ、それによって研磨用組成物中の界面活性剤の有用性を制限する。しかしながら、一つ以上の界面活性剤を含む研磨用組成物は、有利にもPSD性能を高める。
研磨用組成物は、含む場合には任意の適切な量の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤の量があまりに少ない場合、界面活性剤を添加する利点は観察されない。界面活性剤の量があまりに多い場合、除去速度の低下が観察される。界面活性剤の量は0.1ppm以上、0.5ppm以上、1ppm以上、5ppm以上、10ppm以上、20ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、又は200ppm以上であることができる。代替として、又はそれに加えて、界面活性剤の量は1000ppm以下、800ppm以下、600ppm以下、400ppm以下、200ppm以下であることができる。したがって、研磨用組成物は、界面活性剤について列挙した上記エンドポイントの任意の二つに囲まれる総量において、一つ以上の界面活性剤を含むことができる。例えば、研磨用組成物は、10ppm〜1000ppm、20ppm〜800ppm、50ppm〜400ppm、又は100ppm〜200ppmの界面活性剤を含むことができる。好ましい実施形態において、研磨用組成物中の界面活性剤の量は5ppmである。他の好ましい実施形態において、研磨用組成物中の界面活性剤の量は、150ppmである。それに加えて、界面活性剤は、任意の有用な共溶媒と組み合わせることができる。
界面活性剤は、含む場合には任意の適切な界面活性剤であることができる。一実施形態において、界面活性剤はノニオン界面活性剤である。例示するノニオン界面活性剤は、アセチレンのジオール界面活性剤、例えばエアプロダクツから商業的に入手可能なSURFYNOLTM製品を含む。SURFYNOLTM界面活性剤の例としては、ワックス状の固体、液体、又は自由流動性の粉末として入手可能なノニオン湿潤剤、及び分子消泡剤であるSURFYNOLTM104(すなわち、1,4―ジイソブチル―1,4―ジメチルブチンジオール)である。
研磨用組成物は、任意の適切な技術によって調製することができ、それらの多くは当業者に公知である。研磨用組成物組成物は、バッチ又は連続的な処理で調製することができる。一般に、研磨用組成物組成物は、その構成成分を任意の順序で組み合わせることによって調製することができる。本明細書で用いる用語「構成要素」は、個々の成分(例えば、シリカ、テトラアルキルアンモニウム塩、重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アミノホスホン酸、速度促進化合物、多糖等)、並びに成分(例えば、シリカ、テトラアルキルアンモニウム塩、重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アミノホスホン酸、速度促進化合物、多糖等)の任意の二つ以上の組合せを含む。
研磨用組成物の構成要素、すなわち塩(例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アミノホスホン酸、速度促進化合物等)のいずれかは、研磨用組成物の水中に溶解する際、カチオン及びアニオンとして解離した形態で存在することができることが理解されよう。研磨用組成物中に存在する塩の量は、本願明細書に記載するように、研磨用組成物の調製に使用した解離してない塩の質量を意味するものと理解される。例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化カリウム)の質量は、その実験式(例えば、KOH)によって提供されるカリウム塩の量を意味する。
例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アミノホスホン酸、及び速度促進化合物は、テトラアルキルアンモニウム塩、重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アミノホスホン酸、及び速度促進化合物を任意の順序で、又は同時にさえ、水に添加することによって、水中に溶解することができる。次いでシリカは、研磨用組成物中にシリカを分散させることができる任意の方法によって加えることができ、及び分散することができる。研磨用組成物は、例えば塩基等の一つ以上の構成要素を、使用の直前(例えば、使用前1分以内、使用前1時間以内、又は使用前7日以内)に研磨用組成物に加えて、使用前に調製することができる。pHは任意の適切なときに調節することができ、及び好ましくは研磨用組成物にシリカを添加する前に調節する。研磨用組成物もまた、研磨操作の間、基質表面において構成要素を混合することによって調製することができる。
研磨用組成物は、使用の前に適切な量の水で希釈することを目的とした濃縮物の形態であることができる。例えば、研磨用組成物の水以外のそれぞれの成分は、濃縮物中に、それぞれの成分について上述した濃度の2倍(例えば、5倍、10倍、15倍、20倍、100倍、又は200倍でさえ)多い量において存在することができ、そうすることで、例えば等量の水(例えば、それぞれ2等量の水、5等量の水、10等量の水、15等量の水、20等量の水、100等量の水、又は200等量の水)で濃縮物が希釈されたときに、それぞれの成分が研磨用組成物中にそれぞれの成分について上述した範囲内の量において存在することとなる。さらに、当業者によって理解されるように、個々の成分が確実に濃縮物中に少なくとも部分的に、又は完全に溶解する(好ましくは完全に濃縮物中に溶解する)ために、濃縮物は、最終的な研磨用組成物中に存在する水を適当な比率で含むことができる。
他の実施例において、本発明は、(i)基質を、研磨パッド及び本願明細書に開示した化学機械研磨用組成物に接触させる工程と、(ii)基質と研磨パッドとの間に化学機械研磨用組成物を置いて、研磨パッドを基質に対して動かす工程と、(iii)少なくとも基質の一部を摩耗して、基質を研磨する工程とを含む、化学機械研磨の方法を提供する。
本発明の研磨用組成物を使用して、任意の基質を研磨することができるが、研磨用組成物は特にシリコンを含む基質、例えば、エレクトロニクス産業において使用するシリコンウェハーを研磨する際に有用である。この点に関して、シリコンは非ドープのシリコンであることができ、又はホウ素、若しくはアルミニウムでドープしたp型シリコンであることができる。それに加えて、シリコンはポリシリコンであることができる。本発明の研磨用組成物、及びその使用方法は、シリコン単結晶からダイヤモンドソーで切り、粗研磨して製造したようなシリコンウェハーの最終的な研磨、並びにシリコンウェハーのエッジ研磨、及び研磨によるシリコンウェハーの再生用途に適している。
有利にも、本発明の研磨方法を使用して研磨したシリコン基質は低減された表面粗さを示す。本願明細書において平坦性からの偏差の相加平均として定義される表面粗さ(R)は、任意の適切な技術を使用して測定することができる。適切な技術は、原子間力顕微鏡と同様に、例えばVeeco Instruments(Plainview、NY)から入手可能な機器を使用した、スタイラスプロフィロメトリー、及び光学式プロフィロメトリーを含む。典型的に、本発明の研磨方法は、光学式プロフィロメーターを使用して測定した場合に、20Å以下(例えば14Å以下、12Å以下、10Å以下、又は8Å以下でさえ)のシリコンウェハー上の表面粗さを生じる。
それに加えて、例えばVeeco Instrumentsから入手可能な光学干渉計を使用した、研磨した基質のPSDを測定する計測学が展開されている。驚くべきことに、本発明の研磨用組成物は、従来の研磨用組成物と比較して、本発明の研磨用組成物を用いて研磨した基質のPSDを減らすことができる。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の研磨用組成物を用いて研磨したシリコンウェハーは3nm未満、例えば2.5nm未満、又は2.0nm〜2.5nmのPSD値を有する。
本発明の他の側面に合わせて、研磨用組成物が多糖としてHECを含む場合、HEC/固体の比率を変化させることによって、研磨の間満足な除去速度を維持しつつ、従来の研磨用組成物と比較して、PSD値を30%も減らすことができる。
さらに、PSD性能は、研磨の間、除去速度に反比例することがわかった(すなわち、改善されたPSD性能を示す研磨用組成物は、典型的により低い除去速度を示す)。しかしながら、本願明細書において開示するように、適切な量の速度促進剤を含む研磨用組成物は、満足な除去速度を示す。
本発明の研磨方法は、化学機械研磨装置と連携した使用に特に適している。典型的に、該装置は、使用中に動いており、環状、直線、又は円形運動から生じる速度を有する圧盤と、圧盤に接触し、及び運転の際圧盤と共に動く研磨パッドと、基質を研磨パッドの表面に対して接触させ、及び動かすことによって研磨すべき基質を保持するキャリアとを含む。基質の研磨は、研磨パッド及び本発明の研磨用組成物に接触して基質が配置され、次いで、少なくとも基質の一部を摩耗して基質を研磨するよう、研磨パッドが基質に対して動くことによって起こる。
基質は、任意の適切な研磨パッド(例えば、研磨表面)を用いて、化学機械研磨用組成物を用いて研磨することができる。適切な研磨パッドは、例えば、織物及び不織物の研磨パッドを含む。さらに、適切な研磨パッドは、さまざまな密度、硬度、厚み、圧縮率、圧縮に対する反発能力、及び圧縮弾性率を有する任意の適切なポリマーを含むことができる。適切なポリマーは、例えばポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、その共形成(coformed)生成物、及びその混合物を含む。硬質ポリウレタンの研磨パッドは、特に本発明の研磨方法との連携において有用である。
例示する研磨パッドは、ローム&ハース社から商業的に入手可能な、SUBATM研磨パッドである。例えば、SUBATM500は、高精度な表面を達成することが重要な、ストック研磨及び中間研磨のために設計された、ポリウレタンを含浸させたポリエステルフェルトである。
望ましくは、化学機械研磨装置は、多くは本技術分野において周知であるインシチュの研磨終点検出系を更に含む。研磨中の基質表面から反射する光又は他の放射を分析することによって、研磨処理を検査及び監視する技術は、本技術分野において周知である。そのような方法は、例えば、米国特許第5,196,353号明細書、米国特許第5,433,651号明細書、米国特許第5,609,511号明細書、米国特許第5,643,046号明細書、米国特許第5,658,183号明細書、米国特許第5,730,642号明細書、米国特許第5,838,447号明細書、米国特許第5,872,633号明細書、米国特許第5,893,796号明細書、米国特許第5,949,927号明細書、及び米国特許第5,964,643号明細書において開示されている。望ましくは、研磨中の基質に関する研磨処理の進行の検査、又は監視は、研磨終点の決定(すなわち、いつ特定の基質に関して研磨処理を終了するかという決定)を可能にする。
以下の例は更に本発明を例示するが、当然、いかなる形であれ本発明の範囲を制限するよう解釈すべきでない。
特に明記しない限り、研磨の間、以下の条件を使用した。シリコン基質を、研磨用組成物、及びローム&ハース社から商業的に入手可能なSUBATM500研磨パッドを用いて研磨した。研磨パッド上の研磨用組成物の流量は、100ml/minであった。研磨圧盤を100rpmの速度で操作し、研磨ヘッドは93rpmの速度で操作した。シリコン基質を、24.1kPa(3.5psi)のダウンフォースで研磨パッドに接触させた。
研磨した基質のPSDを、Veeco光学干渉計、及び付随する制御ソフトウェアを使用して測定した。5倍の対物レンズを使用して干渉計からの画像(2x2mm)を収集し、PSDの測定に使用した。画像から任意の周波数の粗さを除去するフィルタリングは使用しなかった。
[例1]
この例は、シリカ、一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩、一つ以上の重炭酸塩、一つ以上のアルカリ金属水酸化物、一つ以上のアミノホスホン酸、一つ以上の速度促進化合物、一つ以上の多糖、及び水を含む本発明の研磨用組成物が、改善されたPSD性能を含む良好な研磨特性を示すことを実証する。
研磨用組成物1A及び1Bとして識別する、2つの異なる研磨用組成物を用いて、上記の条件を使用して、シリコン基質を研磨した。研磨用組成物1A及び1Bを15倍の濃縮物として調製し、それぞれは(a)10質量%のシリカ(Nalco DVSTS006シリカ粒子)、(b)2.0質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、(c)1.0質量%の重炭酸カリウム(KHCO)、(d)0.61質量%の水酸化カリウム(KOH)、(e)0.3質量%のアミノトリ(メチレンホスホン酸)(すなわち、DEQUESTTM2000EG金属キレート化剤)、(f)0.25質量%の1,2,4―トリアゾール、及び(g)表1に示すように0.025質量%のヒドロキシエチルセルロース(HEC)、又は0.025質量%のデキストランのいずれか、及び(h)水を含むものであった。比較の研磨用組成物C1は、多糖(すなわち、HEC、又はデキストラン)を含まないことを除いて、研磨用組成物1A及び1Bと同一であった。
それぞれの研磨用組成物についてPSDを決定し、その結果を表1に記載した。
Figure 2014509073
表1に記載した結果によって示唆されるように、シリカ、一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩、一つ以上の重炭酸塩、一つ以上のアルカリ金属水酸化物、一つ以上のアミノホスホン酸、一つ以上の速度促進化合物、一つ以上の多糖、及び水を含む研磨用組成物は、改善されたPSD性能を含む良好な研磨特性を示す。例えば、HEC(研磨用組成物1A)又はデキストラン(研磨用組成物1B)を含む研磨用組成物は、多糖を含まない研磨用組成物C1と比較して、研磨した基質のPSDを8.5%も減らした。
[例2]
この例は、異なるテトラアルキルアンモニウム塩がPSD性能、及び除去速度に及ぼす効果を実証する。
研磨用組成物2A〜2Dとして識別する研磨用組成物を用いて、上記の研磨条件を使用し、4つの異なる研磨用組成物を用いてシリコン基質を研磨した。研磨用組成物2A〜2Dを20倍の濃縮物として調製し、それぞれは(a)10質量%のシリカ(すなわち、Nalco DVSTS006シリカ粒子)、(b)水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、及び表2に示す量において任意に水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、(c)1.0質量%の重炭酸カリウム(KHCO)、(d)0.61質量%の水酸化カリウム(KOH)、(e)0.3質量%のアミノトリ(メチレンホスホン酸)(すなわち、DEQUESTTM2000EG金属キレート化剤)、(f)0.25質量%の1,2,4―トリアゾール、(g)0.025質量%のヒドロキシエチルセルロース(HEC)、及び(g)残部に水を有するものであった。テトラアルキルアンモニウム塩のモル濃度は、それぞれの研磨用組成物において一定に保ったが、研磨用組成物2AはTMAHのみ含む一方で、研磨用組成物2B〜2DはTMAH及びTPAHを含んだ。
それぞれの研磨用組成物についてPSD及び除去速度を決定し、結果を表2に記載した。
Figure 2014509073
表2に記載した結果によって示唆されるように、TMAHのみ含む研磨用組成物(研磨用組成物2A)と比較して、TMAH及びTPAHを含む研磨用組成物(研磨用組成物2B〜2D)は、改善されたPSD性能を示した。例えば、研磨用組成物2Bは、研磨用組成物2Aと比較して、適切な除去速度を維持した一方で、PSD性能において21%の改善を示した。
[例3]
この例は、異なる速度促進化合物がPSD性能、及び除去速度に及ぼす効果を実証する。
研磨用組成物3A〜3Dとして識別する研磨用組成物を用いて、上記の研磨条件を使用して、4つの異なる研磨用組成物を用いて、シリコン基質を研磨した。研磨用組成物3A〜3Dを15倍の濃縮物として調製し、それぞれは(a)10質量%のシリカ(Nalco DVSTS006シリカ粒子)、(b)2.67質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、(c)1.0質量%の重炭酸カリウム(KHCO)、(d)0.61質量%の水酸化カリウム(KOH)、(e)0.3質量%のアミノトリ(メチレンホスホン酸)(すなわち、DEQUESTTM2000EG金属キレート化剤)、(f)0.25質量%の1,2,4―トリアゾール、0.25質量%のアミノエチルピペラジン、0.25質量%のグリシン、又は0.25質量%の乳酸のいずれか、及び(g)残部に水を含むものであった。研磨用組成物3B〜3Dは、研磨用組成物3Aにおける1,2,4―トリアゾールと等モルの代わりとして、それぞれアミノエチルピペラジン、グリシン、又は乳酸のいずれかを含んだ。
それぞれの研磨用組成物についてPSD及び除去速度を決定し、結果を表3に記載した。
Figure 2014509073
表3に記載した結果によって示唆されるように、速度促進化合物の置換は、適切な除去速度を維持しつつ、PSD性能の改善をもたらすことができる。例えば、アミノエチルピペラジンを含む研磨用組成物3Bは、1,2,4―トリアゾールを含む研磨用組成物3Aと比較して、8%を超えるPSD性能の改善を示した。

Claims (23)

  1. 化学機械研磨用組成物であって:(a)シリカ、(b)一つ以上のテトラアルキルアンモニウム塩、(c)一つ以上の重炭酸塩、(d)一つ以上のアルカリ金属水酸化物、(e)一つ以上のアミノホスホン酸、(f)複素環式アミン、モノアミノ酸、及びヒドロキシ酸からなる群から選択した一つ以上の速度促進化合物、(g)ヒドロキシアルキルセルロース、デキストラン、カルボキシル化デキストラン、及びスルホン化デキストランからなる群から選択される一つ以上の多糖であって、少なくとも一つの多糖が300,000g/mol未満の平均分子量を有する多糖、並びに(f)水を含む、化学機械研磨用組成物。
  2. 少なくとも一つの速度促進化合物が複素環式アミンである、請求項1に記載した研磨用組成物。
  3. 複素環式アミンが複素環芳香族アミン、及び複素環脂肪族アミンからなる群から選択される、請求項2に記載した研磨用組成物。
  4. 複素環式アミンが複素環芳香族アミンである、請求項3に記載した研磨用組成物。
  5. 複素環芳香族アミンが1,2,4―トリアゾールである、請求項4の研磨用組成物。
  6. 複素環式アミンが複素環脂肪族アミンである、請求項3に記載した研磨用組成物。
  7. 複素環脂肪族アミンがアミノエチルピペラジンである、請求項6に記載した研磨用組成物。
  8. 少なくとも一つの速度促進化合物がモノアミノ酸である、請求項1に記載した研磨用組成物。
  9. モノアミノ酸がグリシンである、請求項8に記載した研磨用組成物。
  10. 少なくとも一つの速度促進化合物がヒドロキシ酸である、請求項1に記載した研磨用組成物。
  11. ヒドロキシ酸が乳酸である、請求項10に記載した研磨用組成物。
  12. 少なくとも一つの多糖がヒドロキシアルキルセルロースである、請求項1に記載した研磨用組成物。
  13. ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシエチルセルロースである、請求項12に記載した研磨用組成物。
  14. 少なくとも一つの多糖がデキストランである、請求項1に記載した研磨用組成物。
  15. 少なくとも一つの多糖がカルボキシル化デキストランである、請求項1に記載した研磨用組成物。
  16. 少なくとも一つの多糖がスルホン化デキストランである、請求項1に記載した研磨用組成物。
  17. 少なくとも一つのテトラアルキルアンモニウム塩が水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、及び水酸化テトラプロピルアンモニウムからなる群から選択される、請求項1に記載した研磨用組成物。
  18. アミノホスホン酸がアミノトリ(メチレンホスホン酸)である、請求項1に記載した研磨用組成物。
  19. シリカが研磨用組成物の8質量%〜12質量%の量において存在する、請求項1に記載した研磨用組成物。
  20. テトラアルキルアンモニウム塩が研磨用組成物の2質量%〜3質量%の量において存在する、請求項17に記載した研磨用組成物。
  21. 速度促進化合物が研磨用組成物の0.125質量%〜0.375質量%の量において存在する、請求項1に記載した研磨用組成物。
  22. 多糖が研磨用組成物の最高0.05質量%の量において存在する、請求項1に記載した研磨用組成物。
  23. 基質を化学機械研磨する方法であって:(i)基質を、研磨パッド及び請求項1に記載した化学機械研磨用組成物に接触させる工程と、(ii)基質と研磨パッドとの間に化学機械研磨用組成物を置いて、研磨パッドを基質に対して動かす工程と、(iii)少なくとも基質の一部を摩耗して、基質を研磨する工程とを含む、基質を化学機械研磨する方法。
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