JP2014500212A - カーボンナノチューブ含有分散体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書において、懸濁液および分散体は共に、「分散体」と称する。
・超音波を用いた分散:この方法は、実験室での方法にとって非常に一般的であるが、必要とされるエネルギー投入量が大きく、利用可能な超音波機器の性能が技術的に制限されるので、工業的製造にはまず利用できないという欠点を有する。また、極めて局所的に集中してエネルギーが投入されるので、広い粒度分布がもたらされる。CNTをより多く充填すると、粘度が上昇し、キャビテーションに実質的に基づいて超音波分散メカニズムが著しく損なわれるという結果をもたらす。
・ボールミル摩砕:同文献に記載されているように、この方法は、CNTが著しく損なわれるという欠点を有し、この欠点は、特に導電性のような特性に悪影響を及ぼす。
・摩砕:この方法では、ボールミル摩砕より更に、CNTの構造が、従って特性が損なわれる。
・高圧混合:ディーゼルエンジンのためのバルブにおける分散(ASTM D5275)は、CNT構造の著しい破壊をもたらす。
a)任意に、カーボンナノチューブを酸化前処理する工程、
b)ポリマー分散助剤を水性溶媒に溶解し、得られた溶液にカーボンナノチューブを添加および分散させることによって、水性予備分散体を調製する工程、
c)カーボンナノチューブ凝集物の凝集直径が実質的に5μm以下、好ましくは3μm以下、特に好ましくは2μm以下になるまで、少なくとも104J/m3、好ましくは少なくとも105J/m3、特に好ましくは107〜109J/m3の(好ましくは剪断エネルギーの形態での)体積エネルギー密度を予備分散体に投入する工程
を含む方法を開示している。
1.分散剤、分散助剤および任意にカーボンナノチューブの混合物を調製する工程、
2.工程1においてカーボンナノチューブを添加した場合は、任意に工程1の混合物を予備分散させる工程、
3.工程1の混合物または工程2の予備分散混合物(以下、いずれも「混合物」と称する)を分散させる工程であって、高圧ホモジナイザーを使用して分散を実施し、分散中、混合物の全てまたは一部をループにガイドし、別のCNT凝集物を混合物に連続的または不連続的に添加し、分散体において所望のCNT濃度に達したときにCNT凝集物の添加を終了し、「初期分散体」を得る工程、
4.工程3で得た初期分散体を、場合によりループモードで、高圧ホモジナイザーで更に分散させて、「最終分散体」を得る工程。
である。円形断面積を有するノズルについては、
である。ホール型ノズルを使用して分散を開始する際の好ましいノズル直径は、1.5mm〜0.6mmであり、好ましい圧力損失は20〜100barである。
ばね荷重環状ギャップノズルを本発明に使用してもよい。放射状ノズルまたはフラットノズルとも称されるそのようなばね荷重環状ギャップノズルは、例えばミルクの乳化または均質化のために、文献から知られている。そのようなノズルは実質的に、シートにはめ込まれたばね荷重板に通じる中央入口からなる。入口における液圧が板を持ち上げ、液体がノズルを通って放射状に外へ流れる。ノズルにおける圧力損失は、ばねバイアスによって設定される。板とシートの間に積み上がった粒子が流れを妨げ、その結果、シートが開く。これは、ばね荷重環状ギャップノズルが著しく低減された閉塞傾向を示すという利点を有する。従って、ノズルを取り替える必要がないし、予備分散工程を省くことができる。
乾燥分散体の導電率を測定した。そのために、0.5重量%の濃度になるように、対象の分散体を蒸留水で希釈した。次いで、各々の場合について、マイクロメーターシリンジで200μL採取し、1cm×2cm寸法の、取り外し可能な仕切りを有する角形ウェルに導入した。続いて、分散体を、乾燥室において60℃で少なくとも4時間乾燥した。その後、ウェルの仕切りを取り外すと、1cm×2cm寸法の乾燥分散体の「スポット」が基材上に残った。次いで、1cm四方の正方形の導電率が測定されるように、長方形短辺の両側で、金属製クランプを用いて乾燥懸濁液を電気的に接続した。概算では、約0.5gのCNTが正方形内に存在した。続いて、この正方形の抵抗を、Multimeter ITT Instruments MX52Sを用いて測定した。
種々の試験のために層厚さを測定した。層厚さは約4〜6μmであった。
工程1:混合物の調製
5460gの蒸留水、240gのリグニンスルホン酸ナトリウム塩(MW=52,000g/mol、Sigma Aldrich Chemie GmbH(ドイツ国)製LSSNa)、および300gのBaytubes(登録商標) C 150 P(Bayer Material Science AG(ドイツ国)製)を容器に導入した。
この混合物を、LDF型のKotthoff “Mischsirene”(バッチ運転においてローター−ステーターシステムとなる、バッチ運転のためのKotthoff “Mischsirene” FLUKO laboratory分散装置LDF)を用いて4分間均質化した。次いで、分散体を撹拌容器に移し、空気ポンプによって均質化した。それぞれの場合に、生成物を受器に戻した。第一段階ではループで、第二段階では処理量200kg/時で直径1.4mmのノズルを介して、生成物をポンプ輸送した。
試料1−1を取り出した。
工程2で調製した分散体5610gを、種々のノズルを有するジェットディスパーサーで分散させた(ノズル直径およびノズル口数については表1を参照)。ノズル通過後、生成物を主容器に戻した。容積測定によって処理量を測定したように、達成された圧力を測定した。
工程1:混合物の調製
2275gの水を3L容ガラス製ビーカーに導入し、その中に、100gのポリビニルピロリドン40T(PVP 40T、Sigma-Aldrich Chemie GmbH(ドイツ国)製)を、直径60mmおよび速度500/分のクロスアーム撹拌機を用いて撹拌しながら溶解した。125gのBaytubes(登録商標) C 150Pカーボンナノチューブを添加した。
実施例1と同様に、この混合物を、Kotthoff “Mischsirene”を用いて4分間均質化した。次いで、生成物を撹拌容器に移した。第一段階ではループで、第二段階では処理量200kg/時で直径1.4mmのノズルを介して、生成物をポンプ輸送した。
予備分散において調製した分散体2282gを、種々のノズルを有するジェットディスパーサーで分散させた(ノズル直径およびノズル口数については表2を参照)。ノズル通過後、生成物を主容器に戻した。
工程1:混合物の調製
5160gの蒸留水、360gのLSSNaおよび300gのBaytubes(登録商標) C 150 Pを容器に導入した。
工程1で調製した混合物を、LDF型のKotthoff “Mischsirene”(実施例1参照)を用いて4分間均質化した。次いで、分散体を撹拌容器に移し、空気ポンプによって均質化した。それぞれの場合に、生成物を受器に戻した。第一段階ではループで、第二段階では処理量200kg/時で直径1.4mmのノズルを介して、生成物をポンプ輸送した。
工程2で調製した分散体5547gを、種々のノズルを有するジェットディスパーサーで分散させた(ノズル直径およびノズル口数については表3を参照)。各々のノズルを通過し、それによって表3に示す工程パラメータが確立された後、各々の場合に、生成物を主容器に戻した。
パスc)の後、別のCNT54gを主容器に添加した。次いで、この混合物を、下記パスからなる手順によって逐次均質化した:
d)1.4mmのノズル2つを有するジェットディスパーサーで25分間、
e)0.75mmのノズル4つを有するジェットディスパーサーで25分間、
f)0.6mmのノズル1つを有するジェットディスパーサーで25分間。
この場合も、それぞれの場合において、ループで、生成物を緩衝容器に戻した。パスd)においてCNTを添加した後、粘度上昇が再び観察されたが、この上昇の程度は、より少ない未分散CNTの量(1重量%)の故に、主分散開始時(5重量%)ほどではなかった。更なるパスでは、粘度の低下が再び観察された。
別の計量添加および後均質化からなるこの手順を、別の計量添加およびパスd)〜f)からなる上記手順に従って更に2回繰り返した。その場合も、それぞれの添加後、粘度上昇が観察され、手順が進行するにつれて、上昇の程度の減少が観察された。結果的に、合計162gのCNTを三段階で添加した。
別の計量添加の第三段階の後に得られた初期分散体から出発して、直径0.4mmのノズルによって60分間、均質化を実施した。それによって、試料3−5を得た。
試料3−6の粒度を、Malvern製Mastersizer 2000 Hydro Sを用いてレーザー回折によって測定した。この方法によって測定したD90値は1.62μmであり、非常に良好な分散特性であった。固形分を、乾燥天秤によって測定した。固形分は、分散体の総重量に基づいて14.1重量%であった。CNT含量は、分散体の総重量に基づいて7.9重量%であった。
1週間後、試料3−6の粘度を、25℃でCouetteギャップにおいてPhysica MCR 301型レオメーターを用いて測定した。まず、剪断速度を0.01〜100/sに設定し、上昇させた。粘度を以下に示す。
図3に示した装置を使用した。撹拌容器1は出口に、圧力保持弁3を介して生成物を撹拌容器1に再び戻すことができるポンプ2を有していた。生成物は更に、高圧ポンプ4に流れることができる。通常、ポンプ2の処理量は高圧ポンプ4の処理量より大きく、これにより、圧力保持弁3を介して高圧ポンプ4の初期圧力を調節することが可能になる。高圧ポンプ4を通過した一部の生成物は、逐次配置された1つ以上のノズルによってばらばらにされる。この場合では、ノズルは2つのばね荷重環状ギャップノズル5および6であった。撹拌容器1は、上方から別の固体および液体が計量添加される可能性を有する。
8509gの蒸留水、573gのポリビニルピロリドンK 30(PVP K30、Sigma-Aldrich Chemie GmbH(ドイツ国)製)、および478gのBaytubes(登録商標) C 150 Pを、容器に導入した。
この混合物を、LDI型Kotthoff “Mischsirene”を用いて4分間均質化した。次いで、分散体を撹拌容器に移し、空気ポンプによって均質化した。それぞれの場合に、生成物を受器に戻した。第一段階ではループで、第二段階では処理量200kg/時で直径1.4mmのノズルを介して、生成物をポンプ輸送した。
続いて、混合物を撹拌容器1に移した。ポンプ2を始動し、ポンプ2の下流の圧力を、弁3を用いて約2barに設定した。その後、高圧ポンプ4を始動し、高圧ポンプ4の下流の圧力を、弁5によって1200barに設定し、弁5の下流の圧力を、弁6によって約200barに設定した。従って、弁5での圧力損失は約1000barであり、弁6の圧力損失は約200barであった。高圧ポンプ4の処理量は、全体で110〜120L/時であった。
開始から20分、25分、30分、35分、40分、55分、60分、65分、70分、75分、80分および85分の後、各々の場合に、37gのCNTを約1分間にわたって添加した。
CNTの最終添加後、工程3に示したパラメータを用いて、試験を更に80分間継続し、終了した。
装置の有効処理量は9L/165分=3.2L/時であった。
実施例4に従った最終分散体の固形分は、分散体の総重量に基づいて14.4重量%であった。CNT含量は、分散体の総重量に基づいて8.9重量%であった。
粒度は、先に記載したように測定した。D90値は1.7μmであった。
2 ポンプ
3 圧力保持弁
4 高圧ポンプ
5 ばね荷重環状ギャップノズル
6 ばね荷重環状ギャップノズル
Claims (9)
- 1.分散剤、分散助剤および任意にカーボンナノチューブの混合物を調製する工程、
2.工程1においてカーボンナノチューブを添加した場合は、任意に工程1の混合物を予備分散させる工程、
3.工程1の混合物または工程2の予備分散混合物を分散させる工程であって、高圧ホモジナイザーを使用して分散を実施し、分散中、混合物の全てまたは一部をループにガイドし、分散中、別のCNT(カーボンナノチューブ)凝集物を混合物に連続的または不連続的に添加し、初期分散体を得ることを特徴とする工程、
4.工程3で得た初期分散体を、場合によりループモードで、高圧ホモジナイザーで更に分散させて、最終分散体を得る工程
を含む、カーボンナノチューブ含有分散体の製造方法。 - 工程3において、別のCNT凝集物を、分散体の粘度が最大値を通り越したときに添加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 分散体の総重量に基づいて5重量%超のCNT濃度を有する最終分散体を得、有効処理量が2L/時より大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法によって得ることができるカーボンナノチューブ最終分散体であって、分散体の総重量に基づいたCNTの割合が5重量%超、好ましくは5.5重量%超、特に好ましくは6重量%超であることを特徴とする、カーボンナノチューブ最終分散体。
- レーザー回折分光測定によって測定されるD90値が5μm未満であることを特徴とする、請求項4に記載のカーボンナノチューブ最終分散体。
- 分散助剤がポリマー分散助剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載のカーボンナノチューブ最終分散体。
- カーボンナノチューブがマルチスクロール型カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載のカーボンナノチューブ最終分散体。
- カーボンナノチューブが完全にまたは部分的に官能化されていることを特徴とする、請求項4〜8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ最終分散体。
- 請求項4〜9のいずれかに記載の最終分散体の、導電性塗料またはインキとしての、或いはポリマー物質製造用前駆物質としての使用。
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