JP2014240797A - 磁場発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁場の均一度を高め、且つ、装置全体が大型化するのを抑制することが可能な磁場発生装置を提供する。【解決手段】ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる電流可変補正コイル4を、メインコイル2の内側に設ける。電流可変補正コイル4が発生させる磁場は、ReBCO系超電導線材の超電導層に流れる遮蔽電流の影響をほとんど受けない。【選択図】図1

Description

本発明は、NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)装置やMRI装置に適用される磁場発生装置に関する。
従来、NMR装置やMRI装置に用いられる超電導コイルの巻線として、特許文献1に記載のNbSn超電導線材や、NbTi超電導線材、NbAl超電導線材などが用いられている。
特公平3−55011号公報
ところで、Y系やGd系に代表されるReBCO系超電導線材は、現在工業的に用いられている金属系超電導線材の特性を凌ぐ特性を有し、液体ヘリウムの温度を越える温度で超電導電流を流すことができ、液体ヘリウムの温度まで冷やさなくても高い磁場を得ることができる点で、用途拡大が期待されている。
ここで、ReBCO系超電導線材が超電導状態である時に、線材のテープ面に直交する磁場が印加されると、超電導層への磁束の侵入を防ぐべく、超電導層に遮蔽電流が流れることが知られている。
NMR装置やMRI装置に用いられる磁場発生装置においては、メインコイルが計測空間に発生させる磁場の均一度を、メインコイルの外側に設けた補正コイルが発生させる磁場で補正している。しかし、メインコイルがReBCO系超電導線材を巻回してなる場合、補正コイルがReBCO系超電導線材のテープ面に直交する磁場を作るために、超電導層に遮蔽電流が流れ、この遮蔽電流により補正コイルが発生させる磁場が減少する。その結果、磁場の均一度が低下する。
そこで、予め遮蔽電流による磁場の減少を考慮して補正コイルを設計したり、特定の磁場成分を補正する磁場を発生させるシムコイルを補正コイルの外側に設けたりすることが考えられる。しかし、磁場の減少を補うには補正コイルを大型化する必要があり、装置全体が大型化するという問題がある。また、別途シムコイルを設けても、装置全体が大型化するという問題がある。
本発明の目的は、磁場の均一度を高め、且つ、装置全体が大型化するのを抑制することが可能な磁場発生装置を提供することである。
本発明における磁場発生装置は、ReBCO系超電導線材が巻回されてなり、計測空間に磁場を発生させるメインコイルと、前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの内側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる、電流値が可変な電流可変補正コイルと、を有することを特徴とする。
上記の構成によれば、メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる電流可変補正コイルを、メインコイルの内側に設ける。メインコイルの外側に補正コイルやシムコイルを設けると、これらがメインコイルのReBCO系超電導線材のテープ面に直交する磁場を作るために、ReBCO系超電導線材の超電導層に遮蔽電流が流れ、この遮蔽電流により補正コイルやシムコイルが発生させる磁場が減少する。その結果、磁場の均一度が低下する。しかし、メインコイルの内側に設けられた電流可変補正コイルが発生させる磁場は、ReBCO系超電導線材の超電導層に流れる遮蔽電流の影響をほとんど受けない。よって、電流可変補正コイルが発生させる磁場でメインコイルが発生させる磁場の均一度を効率良く補正することができるから、磁場の均一度を高めることができる。さらに、メインコイルの内側に電流可変補正コイルを設けることで、メインコイルの外側に補正コイルやシムコイルを設けるのに比べて、装置全体が大型化するのを抑制することができる。
また、本発明における磁場発生装置において、前記電流可変補正コイルは、金属系超電導線材またはビスマス系超電導線材が巻回されてなるものであってよい。上記の構成によれば、電流可変補正コイルは、金属系超電導線材またはビスマス系超電導線材が巻回されてなる。電流可変補正コイルは、メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させるコイルであるため、それ自体に遮蔽電流が発生しないことが望ましい。金属系超電導線材やビスマス系超電導線材は、遮蔽電流が発生しにくい線材であるため、このような線材からなる電流可変補正コイルは、メインコイルが発生させる磁場の均一度を好適に補正することができる。
また、本発明における磁場発生装置において、前記電流可変補正コイルは、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるものであってよい。上記の構成によれば、電流可変補正コイルは、ReBCO系超電導線材が巻回されてなる。そのため、電流可変補正コイルに遮蔽電流が流れることになるが、それでも、電流可変補正コイルは、メインコイルに流れる遮蔽電流の影響をほとんど受けないので、メインコイルが発生させる磁場の均一度を好適に補正することができる。
また、本発明における磁場発生装置においては、前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの外側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる補正コイルを更に有していてよい。上記の構成によれば、メインコイルの外側に設けられた補正コイルで、メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正することで、磁場の均一度をより高めることができる。
また、本発明における磁場発生装置においては、前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの外側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場のうち、特定の磁場成分を補正する磁場を発生させるシムコイルを更に有していてよい。上記の構成によれば、メインコイルの外側に設けられたシムコイルで、メインコイルが発生させる磁場のうち、特定の磁場成分を補正することで、磁場の均一度をより高めることができる。特に、電流可変補正コイルでは補正できないような磁場成分を補正することで、磁場の均一度を一層高めることができる。
また、本発明における磁場発生装置においては、前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルの一方を外部電源を使用した通電モードで運転し、他方を永久電流モードで運転してよい。上記の構成によれば、メインコイルおよび電流可変補正コイルの一方を永久電流モードで運転することにより、超電導状態における磁束保存を利用して、時間的に安定度の高い磁場を得ることができる。
また、本発明における磁場発生装置においては、前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルを外部電源を使用した通電モードで運転してよい。上記の構成によれば、ReBCO系超電導線材では、現状、実現が困難な超電導接続を用いることなく装置を構成することができる。
また、本発明における磁場発生装置においては、前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルを永久電流モードで運転してよい。上記の構成によれば、メインコイルおよび電流可変補正コイルの両方を永久電流モードで運転することにより、それぞれのコイルにおいて、超電導状態における磁束保存を利用して、時間的に安定度の高い磁場を得ることができる。
また、本発明における磁場発生装置においては、前記計測空間に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を向上させる磁性シムを更に有していてよい。上記の構成によれば、メインコイルが発生させる磁場の均一度を磁性シムで向上させることで、磁場の均一度を一層高めることができる。
また、本発明における磁場発生装置においては、前記磁性シムの外周側に設けられ、前記磁性シムの温度変化によって発生する磁場の時間変動を補償する室温シムコイル自動調整機構を更に有していてよい。上記の構成によれば、磁性シムの温度変化によって発生する磁場の時間変動を室温シムコイル自動調整機構が補償することで、磁場の均一度の時間安定度を高めることができる。
本発明の磁場発生装置によると、メインコイルの内側に設けた電流可変補正コイルが発生させる磁場でメインコイルが発生させる磁場の均一度を効率良く補正することができるから、磁場の均一度を高めることができる。さらに、メインコイルの内側に電流可変補正コイルを設けることで、メインコイルの外側に補正コイルやシムコイルを設けるのに比べて、装置全体が大型化するのを抑制することができる。
磁場発生装置を示す模式断面図である。 ReBCO系超電導線材の構造を示す斜視図である。 YBCO超電導体の特性を示す図である。 超電導層に遮蔽電流が流れる様子を示す図である。 磁場発生装置を示す模式断面図である。 Z軸上での磁場を示す図である。 磁場発生装置を示す模式断面図である。 Z軸上での磁場を示す図である。 磁場発生装置を示す模式断面図である。 Z軸上での磁場を示す図である。 Z軸上での磁場を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(磁場発生装置の構成)
本実施形態による磁場発生装置1は、図1に示すように、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル2と、メインコイル2と同軸であって、メインコイル2の外側に設けられた複数の補正コイル3と、メインコイル2と同軸であって、メインコイル2の内側に設けられた複数の電流可変補正コイル4と、を有している。
(メインコイル)
メインコイル2は、中心軸Aの周りにReBCO系超電導線材を巻回してなるコイルである。中心軸Aに沿った方向をZ軸方向とし、中心軸Aに直交する軸Bと中心軸Aとの交点を原点とすると、メインコイル2のZ軸方向の中心は原点に位置している。メインコイル2は、主にその内部空間である計測空間に磁場を発生させる。
(ReBCO系超電導線材の構造)
ここで、メインコイル2を構成するReBCO系超電導線材の代表的な構造を図2に示す。斜視図である図2に示すように、ReBCO系超電導線材11は、基板12の上に、緩衝層13、超電導層14、安定化層15がこの順で形成され、全体が電気絶縁用部材16で覆われた構造のテープ状の酸化物系超電導線材である。図示されていないが、安定化層が線材の両側に存在する場合や、線材全体を取り囲む場合もある。
基板12は、ハステロイ(Hastelloy)、Ni−Alloyなどからなり、緩衝層13は、YSZ、MgO、CeOなどからなる。また、超電導層14は、ReBCO、YBCO、NdBCO、SmBCOなどからなり、安定化層15は、Ag、Ag−Cu、Cuなどからなる。電気絶縁用部材16は、例えば電気絶縁用テープ(ポリイミドやポリエステル)である。基板12の厚みは200μm以下であり、緩衝層13、超電導層14、および安定化層15の厚みは、それぞれ、3μm未満、1〜10μm、および1〜100μmである。ReBCO系超電導線材11の幅は、数mm(3mm、4mm、5mm)〜12mm程度である。
ReBCO系超電導線材11は基板12の強度が高い。そのため、高い磁場で用いられる代表的な金属系線材であるNbSn超電導線材の耐力が200MPa程度であるのに対し、ReBCO系超電導線材11は、1000MPaほどの引っ張り力が線材の長手方向に作用しても、超電導特性の劣化が少ない。超電導コイルを設計製造する際に、線材の許容応力から線材サイズや電流密度を設定するが、このような特性を利用すると、コイル全体のサイズを小さくすることができる。言いかえれば、同じサイズのコイルで高い磁場を出すことができる。
ReBCO系超電導線材11の1つであるYBCOの特性を図3に示す。YBCOは、Bi2223やNbSnといった、現在工業的に用いられている金属系超電導線材の特性を凌ぐ特性を有している。
このようなReBCO系超電導線材11が超電導状態である時に、線材のテープ面に直交する磁場が印加されると、図4に示すように、超電導層14への磁束の侵入を防ぐべく、超電導層14に遮蔽電流が流れる。
(補正コイル)
図1に戻って、補正コイル3は、メインコイル2の外側において、金属系超電導線材の1つであるNbTi超電導線材を中心軸Aの周りに巻回してなるコイルである。なお、補正コイル3の線材はNbTi超電導線材に限定されない。補正コイル3は、Z軸方向の位置が互いに異なる4つの補正コイル3a〜3d(第1補正コイル3a、第2補正コイル3b、第3補正コイル3c、および、第4補正コイル3d)からなる。第1補正コイル3aと第2補正コイル3bとは、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第3補正コイル3cと第4補正コイル3dとは、第1補正コイル3aと第2補正コイル3bとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。これら補正コイル3は、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる。
(電流可変補正コイル)
電流可変補正コイル4は、メインコイル2の内側において、金属系超電導線材の1つであるNbSn超電導線材を中心軸Aの周りに巻回してなるコイルである。なお、電流可変補正コイル4の線材はNbSn超電導線材に限定されない。電流可変補正コイル4は、Z軸方向の位置が互いに異なる6つの電流可変補正コイル4a〜4f(第1電流可変補正コイル4a、第2電流可変補正コイル4b、第3電流可変補正コイル4c、第4電流可変補正コイル4d、第5電流可変補正コイル4e、および、第6電流可変補正コイル4f)からなる。第1電流可変補正コイル4aと第2電流可変補正コイル4bとは、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第3電流可変補正コイル4cと第4電流可変補正コイル4dとは、第1電流可変補正コイル4aと第2電流可変補正コイル4bとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第5電流可変補正コイル4eと第6電流可変補正コイル4fとは、第3電流可変補正コイル4cと第4電流可変補正コイル4dとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。これら電流可変補正コイル4は、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる。電流可変補正コイル4は、メインコイル2および補正コイル3に通電する電源とは別の電源により通電され、発生する磁場の不均一性の大きさに対応できるように、電流値が可変にされている。
(磁場発生装置の中心付近の磁場)
ここで、一般に、磁場発生装置の中心付近の磁場は、式1および式2で表わすことができる。
NMR用の磁場発生装置のように、磁場に高い均一度が要求される場合には、座標に依存する磁場成分がそれぞれゼロになればよい。この場合、式2は式3となる。
(x,y,z)=A10 ・・・(式3)
このように、座標に依存する磁場成分がそれぞれゼロになることが理想であり、設計上はできる限りそれを満足するように行われる。しかし、製造状況や設置時の環境状況により、設計通りにならない場合がある。そのため、式2のA10を除く各項をゼロにするように磁場を調整する機構として、シムコイルが用いられる。超電導線材が用いられたシムコイルを超電導シムコイルと呼び、室温環境下で使用されるシムコイルを室温シムコイルと呼ぶ。超電導シムコイルと室温シムコイルとが併用される場合も多い。
式2の各項に対して用いられるシムコイルをそれぞれ以下のように称する。即ち、A20zに対するシムコイルをZ1シムコイルと称し、3A21xに対するシムコイルをXシムコイルと称し、3B21yに対するシムコイルをYシムコイルと称し、3A30(z−(1/2)R)に対するシムコイルをZ2シムコイルと称し、12A31zxに対するシムコイルをZXシムコイルと称し、12B31zyに対するシムコイルをZYシムコイルと称する。
仮に、磁場発生装置の中心付近の磁場に、中心軸Aに直交する面に対する対称性と、中心軸A周りの回転対称性とがあるとすると、磁場発生装置の中心付近の磁場は、以下のような式4で表される。
Bz(z)=A10+A20z+3A30+・・・ ・・・(式4)
以下、zの成分をB2成分、zの成分をB4成分とする。
磁場発生装置では、磁場発生効率を考慮して、コイル中心に近い方から、主に磁場を発生させるメインコイル、メインコイルが発生させる磁場をラフに均一にする補正コイル、メインコイルが発生させる磁場を調整するシムコイルの順で設けられることが多い。これは、メインコイルと補正コイルとは、コイル中心付近に磁場を発生させることを目的としており、これらをコイルの中心近くに設ける方が磁場発生効率が良くなり、装置全体のサイズ(あるいは重量)を小さくすることができるためである。
(従来の磁場発生装置の構成)
ここで、従来の磁場発生装置21の構成を図5に示す。この磁場発生装置21は、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル22と、メインコイル22と同軸であって、メインコイル22の外側に設けられた複数の補正コイル23と、を有している。即ち、この磁場発生装置21は、電流可変補正コイル4を有していない点で、本実施形態の磁場発生装置1と異なっている。
補正コイル23は、中心軸Aの周りにNbTi超電導線材を巻回してなるコイルである。補正コイル23は、Z軸方向の位置が互いに異なる4つの補正コイル23a〜23d(第1補正コイル23a、第2補正コイル23b、第3補正コイル23c、および、第4補正コイル23d)からなる。第1補正コイル23aと第2補正コイル23bとは、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第3補正コイル23cと第4補正コイル23dとは、第1補正コイル23aと第2補正コイル23bとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。これら補正コイル23は、メインコイル22が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる。
この磁場発生装置21を用いて、水素の原子核の磁気共鳴周波数が600MHzとなるような14.1Tの磁場を計測空間に発生させようとすると、各コイルのパラメータは表1のようになる。
この磁場発生装置21は、319.08Aを通電すると計測空間に600MHzの磁場を発生させるように設計されている。この設計において、遮蔽電流の影響は考慮されていない。この磁場発生装置21は、計測空間において、
B2=1.021×10−5 ppm/cm
B4=−1.755×10−8 ppm/cm
という磁場成分を持ち、磁場の均一度が非常に高い設計である。
ところが、この磁場発生装置21を低温下で超電導状態にして通電すると、Z軸上での磁場は図6のようになった。この磁場は、
B2=−221.22 ppm/cm
B4=−0.12 ppm/cm
の磁場成分を持ち、非常に大きな負のB2成分を示した。
また、この磁場発生装置21で中心磁場を600MHzにするのに327.14Aが必要であり、設計値に比べて約2.5%大きな電流が必要であった。
もともと磁場発生装置21のメインコイル22は、
B2=−432.46 ppm/cm
B4=−1.54 ppm/cm
の磁場成分を持っており、これを4個の補正コイル23が作る、
B2=+432.46 ppm/cm
B4=+1.54 ppm/cm
でキャンセルして、上記の高い均一度の磁場を出せるはずである。
ところが、補正コイル23が、メインコイル22のReBCO系超電導線材のテープ面に直交する磁場を作るために、ReBCO系超電導線材の超電導層に流れる遮蔽電流により補正コイル23が作る磁場が減少し、結果として、図6に示されるような磁場成分を生み出すこととなったと理解される。
特に、B2成分については、メインコイル22の作るB2=−432.46ppm/cmに対して、補正コイル23がB2=+432.46ppm/cmの48.85%であるB2=+211.26ppm/cmを作り、その合計がB2=−432.46+211.26=−221.22ppm/cmとなっており、補正コイル23が作るB2成分の約半分が遮蔽されたと考えられる。
(改良した磁場発生装置の構成)
そこで、はじめから遮蔽電流による磁場の減少分を設計に取り込んだ結果、図5に示した磁場発生装置21を改良した磁場発生装置31を得た。この磁場発生装置31を図7に示す。この磁場発生装置31は、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル32と、メインコイル32と同軸であって、メインコイル32の外側に設けられた複数の補正コイル33と、を有している。この構成は、図5に示した磁場発生装置21と同じである。ただし、磁場発生装置31の補正コイル33は、図5に示した補正コイル23に比べて、巻き数が多くなっている。即ち、磁場発生装置31の補正コイル33は、磁場発生装置21の補正コイル23よりも強力な磁場を発生させることができる。
補正コイル33は、中心軸Aの周りにNbTi超電導線材を巻回してなるコイルである。補正コイル33は、Z軸方向の位置が互いに異なる4つの補正コイル33a〜33d(第1補正コイル33a、第2補正コイル33b、第3補正コイル33c、および、第4補正コイル33d)からなる。第1補正コイル33aと第2補正コイル33bとは、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第3補正コイル33cと第4補正コイル33dとは、第1補正コイル33aと第2補正コイル33bとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。
この磁場発生装置31を用いて、水素の原子核の磁気共鳴周波数が600MHzとなるような14.1Tの磁場を計測空間に発生させようとすると、各コイルのパラメータは表2のようになる。
この磁場発生装置31を低温下で超電導状態にして通電すると、Z軸上での磁場は図8のようになった。この磁場は、
B2=+11.146 ppm/cm
B4=−0.199 ppm/cm
の磁場成分を持ち、図5に示した磁場発生装置21よりも均一度の高い磁場を作ることがわかる。
ここで、図5に示した磁場発生装置21で用いた線材の重量は、メインコイル22が51.3kg、補正コイル23が6.7kgであり、合計が58.0kgであったのに対し、図7に示す磁場発生装置31で用いた線材の重量は、メインコイル32が51.3kg、補正コイル33が9.9kgであり、合計が61.2kgであった。即ち、磁場発生装置31は、改良前の磁場発生装置21に比べて、補正コイルの線材を3.2kg多く、即ち補正コイルの線材を48%余分に必要とした。この重量増加は、遮蔽電流の影響によって減少した補正コイルの磁場を補うために、補正コイルを大きくしたためであるといえる。
(さらに改良した磁場発生装置の構成)
そこで、図7に示した磁場発生装置31において、補正コイル33の外側にB2成分を補正するZ2シムコイルを設けることで、さらに改良を行った磁場発生装置41を得た。この磁場発生装置41を図9に示す。この磁場発生装置41は、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル42と、メインコイル42と同軸であって、メインコイル42の外側に設けられた複数の補正コイル43と、メインコイル42と同軸であって、補正コイル43の外側に設けられた複数のZ2シムコイル45と、を有している。磁場発生装置41の構成は、Z2シムコイル45を設けた以外は、図7に示した磁場発生装置31と同じである。
Z2シムコイル45は、中心軸Aの周りにNbSn超電導線材を巻回してなるコイルである。なお、Z2シムコイル45の線材はNbSn超電導線材に限定されない。Z2シムコイル45は、Z軸方向の位置が互いに異なる4つのZ2シムコイル45a〜45d(第1シムコイル45a、第2シムコイル45b、第3シムコイル45c、および、第4シムコイル45d)からなる。第1シムコイル45aと第2シムコイル45bとは、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第3シムコイル45cと第4シムコイル45dとは、第1シムコイル45aと第2シムコイル45bとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。遮蔽電流を考慮しないと、Z2シムコイル45は、+/−20A通電したときに+/−54.73ppm/cmのB2成分を発生させることができる。
この磁場発生装置41を用いて、水素の原子核の磁気共鳴周波数が600MHzとなるような14.1Tの磁場を計測空間に発生させようとすると、各コイルのパラメータは表3のようになる。
この磁場発生装置41を低温下で超電導状態にして通電すると、Z軸上での磁場は図10のようになった。この磁場発生装置41は、Z2シムコイル45に+20A通電したときに、
B2=+38.659 ppm/cm
B4=−0.236 ppm/cm
の磁場成分を持ち、Z2シムコイル45に−20A通電したときに、
B2=−16.446 ppm/cm
B4=−0.162 ppm/cm
の磁場成分を持つことから、
B2=27.55 ppm/cm@20A
の強度を示したことになる。この値は遮蔽電流を考慮しないときの54.73ppm/cmの約50%であることから、Z2シムコイル45が発生させる磁場は、図5に示した磁場発生装置21において補正コイル23が発生させる磁場が遮蔽されたのと同程度遮蔽されたものと考えられる。Z2シムコイル45には1.56kgの線材が必要であった。
なお、ReBCO系超電導線材の超電導層に流れる遮蔽電流により遮蔽されるB2成分について主に述べてきたが、B2以外の成分も遮蔽電流により同様に遮蔽される。しかし、その遮蔽の程度はB2成分よりも小さい。例えば、B1成分を補正するコイルの場合、このコイルが発生させる、ReBCO超電導線材のテープ面に垂直に印加される磁場の成分(以下、磁場の垂直成分と呼ぶ)は、軸Bの左側と右側とでは極性が逆になるため、軸Bの左側もしくは右側においては、B1成分を補正するコイルの磁場の垂直成分が、メインコイルの磁場の垂直成分と同じ極性となる。すると、これらが足し合わさることで磁場の垂直性分が大きくなり、磁束の完全進入が起きやすくなるため、磁場が遮蔽される効果が弱くなるのである。また、B2成分を補正するコイルは、軸Bを中心とした線対称の関係を持ち、かつ軸Bから近い距離に位置するコイルを持つが、これらの領域においては、メインコイルが元々発生させている磁場の垂直成分が小さいため、磁束の完全進入が起きにくく、結果としてB2成分を補正するコイルの磁場が遮蔽されやすくなるのである。
(本実施形態の磁場発生装置の中心付近の磁場)
そこで、本実施形態においては、図1に示すように、メインコイル2の内側に、6つの電流可変補正コイル4を設けている。この磁場発生装置1を用いて、水素の原子核の磁気共鳴周波数が600MHzとなるような14.1Tの磁場を計測空間に発生させようとすると、各コイルのパラメータは表4のようになる。
この磁場発生装置1を低温下で超電導状態にして通電すると、Z軸上での磁場は図11のようになった。この磁場発生装置1は、電流可変補正コイル4に通電していないときには、
B2=+4.011 ppm/cm
B4=−0.191 ppm/cm
の磁場分布を示し、電流可変補正コイル4に+20A通電したときには、
B2=+30.479 ppm/cm
B4=−0.512 ppm/cm
の磁場分布を示し、電流可変補正コイル4に−20A通電したときには、
B2=−22.470 ppm/cm
B4=+0.129 ppm/cm
の磁場分布を示した。このことから、
B2=26.47 ppm/cm@20A
の強度を示したことになる。この値は遮蔽電流を考慮しないときの37ppm/cmの約72%であり、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル2の内側に設けた電流可変補正コイル4が発生させる磁場は、遮蔽電流の影響を受けにくいことがわかる。この理由として、計測空間はメインコイル2の内側にあり、メインコイル2の外側からの補正磁場は、計測空間に届くまでに遮蔽電流の影響をまともに受けるのに対して、メインコイル2の内側からの補正磁場は、遮蔽電流の影響をほとんど受けることなく計測空間に届くからである。
ここで、図9に示した磁場発生装置41で用いた線材の重量は、メインコイル42が51.3kg、補正コイル43が9.9kg、Z2シムコイル45が1.6kgであり、合計が62.8kgであったのに対し、本実施形態の磁場発生装置1で用いた線材の重量は、メインコイル2が55.8kg、補正コイル3が11.4kg、電流可変補正コイル4が0.4kgであり、合計が67.2kgであった。即ち、本実施形態の磁場発生装置1は、図9に示した磁場発生装置41よりも重量が大きい。しかし、図9に示した磁場発生装置41は、最外径が230.7mmであるのに対し、本実施形態の磁場発生装置1は、最外径が224.5mmであり、本実施形態の磁場発生装置1の方が2.7%ほど小さい。
このように、メインコイル2の内側に設けられた電流可変補正コイル4が発生させる磁場は、ReBCO系超電導線材の超電導層に流れる遮蔽電流の影響をほとんど受けない。よって、電流可変補正コイル4が発生させる磁場でメインコイル2が発生させる磁場の均一度を効率良く補正することができるから、磁場の均一度を高めることができる。さらに、メインコイル2の内側に電流可変補正コイル4を設けることで、メインコイル2の外側に補正コイルやシムコイルを設けるのに比べて、装置全体が大型化するのを抑制することができる。
ここで、電流可変補正コイル4は、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させるコイルであるため、それ自体に遮蔽電流が発生しないことが望ましい。そこで、電流可変補正コイル4を、遮蔽電流が発生しにくい線材である金属系超電導線材(例えばNbTi線、NbSn線、NbAl線)やビスマス系超電導線材で製作することが望ましい。なお、ビスマス系超電導線材は酸化物系超電導線材の1つである。このような線材からなる電流可変補正コイル4は、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を好適に補正することができる。
なお、ReBCO系超電導線材の超電導層に流れる遮蔽電流は、永久電流ではなく、長期間(月や年のオーダー)をかけて変化する。従来の磁場発生装置においては、メインコイルと補正コイルとに通電して、計測空間に中心磁場を発生させた後に、シムコイルを用いて、磁場の均一度を高める調整を行う。ここで、磁場の均一度は設置環境の影響も受けるため、運転場所で調整を行う必要がある。しかし、補正コイルの外側にあるシムコイルに通電すると、大きな遮蔽電流がメインコイルに発生し、その後、その遮蔽電流が長期間にわたって変化するために、シムコイルによる調整を頻繁に行う必要がある。一方、本実施形態の磁場発生装置1においては、メインコイル2の内側にある電流可変補正コイル4に通電すると、遮蔽電流が小さいために、遮蔽電流が時間変化しても磁場に及ぼす影響が少なく、電流可変補正コイル4による調整を頻繁に行う必要がない。これも、電流可変補正コイル4を用いる利点である。
また、遮蔽電流を完全に計算して設計に反映させることは難しいために、遮蔽電流の効果が少ない本実施形態の磁場発生装置1のコイル構成の方が、設計と実際との差を小さくできる利点がある。
また、本実施形態の磁場発生装置1においては、メインコイル2および電流可変補正コイル4の一方を外部電源を使用した通電モードで運転し、他方を永久電流モードで運転している。メインコイル2および電流可変補正コイル4の一方を永久電流モードで運転することにより、超電導状態における磁束保存を利用して、時間的に安定度の高い磁場を得ることができる。ここで、外部電源を使用した通電モードとは、外部電源から電流が供給される状態である。また、永久電流モードとは、外部から印加した電流が、超電導材料で作られた閉ループを周り続けることで、外部からの電流供給が不要な状態である。なお、メインコイル2および電流可変補正コイル4の両方を、永久電流モードで運転してもよい。この場合、それぞれのコイルにおいて、時間的に安定度の高い磁場を得ることができる。また、メインコイル2および電流可変補正コイル4の両方を、外部電源を使用した通電モードで運転してもよい。この場合、ReBCO系超電導線材では、現状、実現が困難な超電導接続を用いることなく装置を構成することができる。
(変形例)
なお、本実施形態の磁場発生装置1は、メインコイル2と同軸であって、補正コイル3の外側に設けられた複数のシムコイルを更に有していてもよい。シムコイルは、補正コイル3の外側において、中心軸Aの周りにNbSn超電導線材を巻回してなるコイルである。なお、シムコイルの線材はNbSn超電導線材に限定されない。そして、シムコイルは、メインコイル2および補正コイル3に通電する電源とは別の電源により通電され、電流値が可変にされている。このようなシムコイルは、メインコイル2が発生させる磁場のうち、特定の磁場成分を補正する磁場を発生させる。具体的には、B2成分以外の磁場成分をゼロにするための磁場を発生させる。即ち、B2成分は遮蔽電流の影響を受けやすいので、メインコイル2の内側に設けた電流可変補正コイル4で調整する一方、B2成分以外の磁場成分は遮蔽される割合が少ないので、補正コイル3の外側に設けたシムコイルで調整するのである。このように、電流可変補正コイル4では補正できないような磁場成分をシムコイルで補正することで、磁場の均一度を一層高めることができる。
なお、シムコイルを、メインコイル2の内側やメインコイル2と補正コイル3との間に設けてもよいが、補正コイル3の外側に設ける方が好ましい。それは、シムコイルを補正コイル3の外側に設けることで、メインコイル2と補正コイル3とをよりコイルの中心近くに配置することができて、磁場発生効率を良くしたり、装置全体のサイズ(あるいは重量)を小さくしたりすることができるからである。
また、本実施形態の磁場発生装置1では、電流可変補正コイル4に通電しない時に、遮蔽電流効果も考慮して磁場が均一となるように、補正コイル3を設計しているが、電流可変補正コイル4の能力を大きくして、補正コイル3を小さくすることで、装置全体の重量やサイズを最適化してもよい。即ち、メインコイル2のB2成分をB2(main)、補正コイル3のB2成分をB2(comp)、電流可変補正コイル4のB2成分をB2(inner−comp)とすると、磁場発生装置1のB2成分は、
B2=B2(main)+B2(comp)+B2(inner−comp)
となる。本実施形態では、B2(main)+B2(comp)を「0」とし、
B2(inner−comp)=+/−26.47ppm/cm@+/−20A
としている。これに対して、電流可変補正コイル4の能力を大きくして、補正コイル3を小さくするとは、具体的には、
B2=B2(main)+B2(comp)=−20ppm/cm
とし、
B2(inner−comp)=+46.47ppm/cm〜+6.47ppm/cm@+/−20A
とすることである。
また、本実施形態の磁場発生装置1は、計測空間に設けられた複数の磁性シムを更に有していてもよい。これら磁性シムは、鉄等からなり、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を向上させる。これにより、磁場の均一度を一層高めることができる。
また、本実施形態の磁場発生装置1は、計測空間に設けられた複数の磁性シムに加えて、磁性シムの外周側に設けられ、磁性シムの温度変化によって発生する磁場の時間変動を補償する室温シムコイル自動調整機構を更に有していてもよい。磁性シムの温度変化によって発生する磁場の時間変動を室温シムコイル自動調整機構が補償することで、磁場の均一度の時間安定度を高めることができる。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る磁場発生装置1によると、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる電流可変補正コイル4を、メインコイル2の内側に設ける。メインコイル2の外側に補正コイルやシムコイルを設けると、これらがメインコイル2のReBCO系超電導線材のテープ面に直交する磁場を作るために、ReBCO系超電導線材の超電導層に遮蔽電流が流れ、この遮蔽電流により補正コイルやシムコイルが発生させる磁場が減少する。その結果、磁場の均一度が低下する。しかし、メインコイル2の内側に設けられた電流可変補正コイル4が発生させる磁場は、ReBCO系超電導線材の超電導層に流れる遮蔽電流の影響をほとんど受けない。よって、電流可変補正コイル4が発生させる磁場でメインコイル2が発生させる磁場の均一度を効率良く補正することができるから、磁場の均一度を高めることができる。さらに、メインコイル2の内側に電流可変補正コイル4を設けることで、メインコイル2の外側に補正コイルやシムコイルを設けるのに比べて、装置全体が大型化したり、装置の重量が増えたりするのを抑制することができる。
また、電流可変補正コイル4は、金属系超電導線材またはビスマス系超電導線材が巻回されてなる。電流可変補正コイル4は、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させるコイルであるため、それ自体に遮蔽電流が発生しないことが望ましい。金属系超電導線材やビスマス系超電導線材は、遮蔽電流が発生しにくい線材であるため、このような線材からなる電流可変補正コイル4は、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を好適に補正することができる。
また、メインコイル2の外側に設けられた補正コイル3で、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正することで、磁場の均一度をより高めることができる。
また、メインコイル2の外側に設けられたシムコイルで、メインコイル2が発生させる磁場のうち、特定の磁場成分を補正することで、磁場の均一度をより高めることができる。特に、電流可変補正コイル4では補正できないような磁場成分を補正することで、磁場の均一度を一層高めることができる。
また、メインコイル2および電流可変補正コイル4の一方を永久電流モードで運転することにより、超電導状態における磁束保存を利用して、時間的に安定度の高い磁場を得ることができる。
また、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を磁性シムで向上させることで、磁場の均一度を一層高めることができる。
また、磁性シムの温度変化によって発生する磁場の時間変動を室温シムコイル自動調整機構が補償することで、磁場の均一度の時間安定度を高めることができる。
(本実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、本実施形態の磁場発生装置1は補正コイル3を備えているが、補正コイル3を備えていなくてもよい。この場合、電流可変補正コイル4で、B2成分をはじめとする各磁場成分を調整することとなる。
また、電流可変補正コイル4は、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるものであってもよい。この場合、電流可変補正コイル4に遮蔽電流が流れることになるが、それでも、電流可変補正コイル4は、メインコイル2に流れる遮蔽電流の影響をほとんど受けないので、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を好適に補正することができる。
また、磁場発生装置がその周辺に発生させる漏れ磁場を低減させる目的で、補正コイルまたはシムコイルの径方向外側に、メインコイルや補正コイルと同軸のシールドコイルを設ける磁場発生装置もあるが、そのような装置においても、本発明を適用することができる。
1,21,31,41 磁場発生装置
2,22,32,42 メインコイル
3,23,33,43 補正コイル
4 電流可変補正コイル
11 ReBCO系超電導線材
12 基板
13 緩衝層
14 超電導層
15 安定化層
16 電気絶縁用部材
45 シムコイル

Claims (10)

  1. ReBCO系超電導線材が巻回されてなり、計測空間に磁場を発生させるメインコイルと、
    前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの内側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる、電流値が可変な電流可変補正コイルと、
    を有することを特徴とする磁場発生装置。
  2. 前記電流可変補正コイルは、金属系超電導線材またはビスマス系超電導線材が巻回されてなることを特徴とする請求項1に記載の磁場発生装置。
  3. 前記電流可変補正コイルは、ReBCO系超電導線材が巻回されてなることを特徴とする請求項1に記載の磁場発生装置。
  4. 前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの外側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる補正コイルを更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
  5. 前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの外側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場のうち、特定の磁場成分を補正する磁場を発生させるシムコイルを更に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
  6. 前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルの一方を外部電源を使用した通電モードで運転し、他方を永久電流モードで運転することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
  7. 前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルを外部電源を使用した通電モードで運転することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
  8. 前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルを永久電流モードで運転することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
  9. 前記計測空間に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を向上させる磁性シムを更に有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
  10. 前記磁性シムの外周側に設けられ、前記磁性シムの温度変化によって発生する磁場の時間変動を補償する室温シムコイル自動調整機構を更に有することを特徴とする請求項9に記載の磁場発生装置。
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