JP2014240797A - 磁場発生装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態による磁場発生装置1は、図1に示すように、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル2と、メインコイル2と同軸であって、メインコイル2の外側に設けられた複数の補正コイル3と、メインコイル2と同軸であって、メインコイル2の内側に設けられた複数の電流可変補正コイル4と、を有している。
メインコイル2は、中心軸Aの周りにReBCO系超電導線材を巻回してなるコイルである。中心軸Aに沿った方向をZ軸方向とし、中心軸Aに直交する軸Bと中心軸Aとの交点を原点とすると、メインコイル2のZ軸方向の中心は原点に位置している。メインコイル2は、主にその内部空間である計測空間に磁場を発生させる。
ここで、メインコイル2を構成するReBCO系超電導線材の代表的な構造を図2に示す。斜視図である図2に示すように、ReBCO系超電導線材11は、基板12の上に、緩衝層13、超電導層14、安定化層15がこの順で形成され、全体が電気絶縁用部材16で覆われた構造のテープ状の酸化物系超電導線材である。図示されていないが、安定化層が線材の両側に存在する場合や、線材全体を取り囲む場合もある。
図1に戻って、補正コイル3は、メインコイル2の外側において、金属系超電導線材の1つであるNbTi超電導線材を中心軸Aの周りに巻回してなるコイルである。なお、補正コイル3の線材はNbTi超電導線材に限定されない。補正コイル3は、Z軸方向の位置が互いに異なる4つの補正コイル3a〜3d(第1補正コイル3a、第2補正コイル3b、第3補正コイル3c、および、第4補正コイル3d)からなる。第1補正コイル3aと第2補正コイル3bとは、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第3補正コイル3cと第4補正コイル3dとは、第1補正コイル3aと第2補正コイル3bとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。これら補正コイル3は、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる。
電流可変補正コイル4は、メインコイル2の内側において、金属系超電導線材の1つであるNb3Sn超電導線材を中心軸Aの周りに巻回してなるコイルである。なお、電流可変補正コイル4の線材はNb3Sn超電導線材に限定されない。電流可変補正コイル4は、Z軸方向の位置が互いに異なる6つの電流可変補正コイル4a〜4f(第1電流可変補正コイル4a、第2電流可変補正コイル4b、第3電流可変補正コイル4c、第4電流可変補正コイル4d、第5電流可変補正コイル4e、および、第6電流可変補正コイル4f)からなる。第1電流可変補正コイル4aと第2電流可変補正コイル4bとは、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第3電流可変補正コイル4cと第4電流可変補正コイル4dとは、第1電流可変補正コイル4aと第2電流可変補正コイル4bとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。また、第5電流可変補正コイル4eと第6電流可変補正コイル4fとは、第3電流可変補正コイル4cと第4電流可変補正コイル4dとの間において、軸Bに対して線対称に配置されている。これら電流可変補正コイル4は、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる。電流可変補正コイル4は、メインコイル2および補正コイル3に通電する電源とは別の電源により通電され、発生する磁場の不均一性の大きさに対応できるように、電流値が可変にされている。
ここで、一般に、磁場発生装置の中心付近の磁場は、式1および式2で表わすことができる。
ここで、従来の磁場発生装置21の構成を図5に示す。この磁場発生装置21は、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル22と、メインコイル22と同軸であって、メインコイル22の外側に設けられた複数の補正コイル23と、を有している。即ち、この磁場発生装置21は、電流可変補正コイル4を有していない点で、本実施形態の磁場発生装置1と異なっている。
B2=1.021×10−5 ppm/cm2
B4=−1.755×10−8 ppm/cm4
という磁場成分を持ち、磁場の均一度が非常に高い設計である。
B2=−221.22 ppm/cm2
B4=−0.12 ppm/cm4
の磁場成分を持ち、非常に大きな負のB2成分を示した。
B2=−432.46 ppm/cm2
B4=−1.54 ppm/cm4
の磁場成分を持っており、これを4個の補正コイル23が作る、
B2=+432.46 ppm/cm2
B4=+1.54 ppm/cm4
でキャンセルして、上記の高い均一度の磁場を出せるはずである。
そこで、はじめから遮蔽電流による磁場の減少分を設計に取り込んだ結果、図5に示した磁場発生装置21を改良した磁場発生装置31を得た。この磁場発生装置31を図7に示す。この磁場発生装置31は、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル32と、メインコイル32と同軸であって、メインコイル32の外側に設けられた複数の補正コイル33と、を有している。この構成は、図5に示した磁場発生装置21と同じである。ただし、磁場発生装置31の補正コイル33は、図5に示した補正コイル23に比べて、巻き数が多くなっている。即ち、磁場発生装置31の補正コイル33は、磁場発生装置21の補正コイル23よりも強力な磁場を発生させることができる。
B2=+11.146 ppm/cm2
B4=−0.199 ppm/cm4
の磁場成分を持ち、図5に示した磁場発生装置21よりも均一度の高い磁場を作ることがわかる。
そこで、図7に示した磁場発生装置31において、補正コイル33の外側にB2成分を補正するZ2シムコイルを設けることで、さらに改良を行った磁場発生装置41を得た。この磁場発生装置41を図9に示す。この磁場発生装置41は、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル42と、メインコイル42と同軸であって、メインコイル42の外側に設けられた複数の補正コイル43と、メインコイル42と同軸であって、補正コイル43の外側に設けられた複数のZ2シムコイル45と、を有している。磁場発生装置41の構成は、Z2シムコイル45を設けた以外は、図7に示した磁場発生装置31と同じである。
B2=+38.659 ppm/cm2
B4=−0.236 ppm/cm4
の磁場成分を持ち、Z2シムコイル45に−20A通電したときに、
B2=−16.446 ppm/cm2
B4=−0.162 ppm/cm4
の磁場成分を持つことから、
B2=27.55 ppm/cm2@20A
の強度を示したことになる。この値は遮蔽電流を考慮しないときの54.73ppm/cm2の約50%であることから、Z2シムコイル45が発生させる磁場は、図5に示した磁場発生装置21において補正コイル23が発生させる磁場が遮蔽されたのと同程度遮蔽されたものと考えられる。Z2シムコイル45には1.56kgの線材が必要であった。
そこで、本実施形態においては、図1に示すように、メインコイル2の内側に、6つの電流可変補正コイル4を設けている。この磁場発生装置1を用いて、水素の原子核の磁気共鳴周波数が600MHzとなるような14.1Tの磁場を計測空間に発生させようとすると、各コイルのパラメータは表4のようになる。
B2=+4.011 ppm/cm2
B4=−0.191 ppm/cm4
の磁場分布を示し、電流可変補正コイル4に+20A通電したときには、
B2=+30.479 ppm/cm2
B4=−0.512 ppm/cm4
の磁場分布を示し、電流可変補正コイル4に−20A通電したときには、
B2=−22.470 ppm/cm2
B4=+0.129 ppm/cm4
の磁場分布を示した。このことから、
B2=26.47 ppm/cm2@20A
の強度を示したことになる。この値は遮蔽電流を考慮しないときの37ppm/cm2の約72%であり、ReBCO系超電導線材が巻回されてなるメインコイル2の内側に設けた電流可変補正コイル4が発生させる磁場は、遮蔽電流の影響を受けにくいことがわかる。この理由として、計測空間はメインコイル2の内側にあり、メインコイル2の外側からの補正磁場は、計測空間に届くまでに遮蔽電流の影響をまともに受けるのに対して、メインコイル2の内側からの補正磁場は、遮蔽電流の影響をほとんど受けることなく計測空間に届くからである。
なお、本実施形態の磁場発生装置1は、メインコイル2と同軸であって、補正コイル3の外側に設けられた複数のシムコイルを更に有していてもよい。シムコイルは、補正コイル3の外側において、中心軸Aの周りにNb3Sn超電導線材を巻回してなるコイルである。なお、シムコイルの線材はNb3Sn超電導線材に限定されない。そして、シムコイルは、メインコイル2および補正コイル3に通電する電源とは別の電源により通電され、電流値が可変にされている。このようなシムコイルは、メインコイル2が発生させる磁場のうち、特定の磁場成分を補正する磁場を発生させる。具体的には、B2成分以外の磁場成分をゼロにするための磁場を発生させる。即ち、B2成分は遮蔽電流の影響を受けやすいので、メインコイル2の内側に設けた電流可変補正コイル4で調整する一方、B2成分以外の磁場成分は遮蔽される割合が少ないので、補正コイル3の外側に設けたシムコイルで調整するのである。このように、電流可変補正コイル4では補正できないような磁場成分をシムコイルで補正することで、磁場の均一度を一層高めることができる。
B2=B2(main)+B2(comp)+B2(inner−comp)
となる。本実施形態では、B2(main)+B2(comp)を「0」とし、
B2(inner−comp)=+/−26.47ppm/cm2@+/−20A
としている。これに対して、電流可変補正コイル4の能力を大きくして、補正コイル3を小さくするとは、具体的には、
B2=B2(main)+B2(comp)=−20ppm/cm2
とし、
B2(inner−comp)=+46.47ppm/cm2〜+6.47ppm/cm2@+/−20A
とすることである。
以上に述べたように、本実施形態に係る磁場発生装置1によると、メインコイル2が発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる電流可変補正コイル4を、メインコイル2の内側に設ける。メインコイル2の外側に補正コイルやシムコイルを設けると、これらがメインコイル2のReBCO系超電導線材のテープ面に直交する磁場を作るために、ReBCO系超電導線材の超電導層に遮蔽電流が流れ、この遮蔽電流により補正コイルやシムコイルが発生させる磁場が減少する。その結果、磁場の均一度が低下する。しかし、メインコイル2の内側に設けられた電流可変補正コイル4が発生させる磁場は、ReBCO系超電導線材の超電導層に流れる遮蔽電流の影響をほとんど受けない。よって、電流可変補正コイル4が発生させる磁場でメインコイル2が発生させる磁場の均一度を効率良く補正することができるから、磁場の均一度を高めることができる。さらに、メインコイル2の内側に電流可変補正コイル4を設けることで、メインコイル2の外側に補正コイルやシムコイルを設けるのに比べて、装置全体が大型化したり、装置の重量が増えたりするのを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
2,22,32,42 メインコイル
3,23,33,43 補正コイル
4 電流可変補正コイル
11 ReBCO系超電導線材
12 基板
13 緩衝層
14 超電導層
15 安定化層
16 電気絶縁用部材
45 シムコイル
Claims (10)
- ReBCO系超電導線材が巻回されてなり、計測空間に磁場を発生させるメインコイルと、
前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの内側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる、電流値が可変な電流可変補正コイルと、
を有することを特徴とする磁場発生装置。 - 前記電流可変補正コイルは、金属系超電導線材またはビスマス系超電導線材が巻回されてなることを特徴とする請求項1に記載の磁場発生装置。
- 前記電流可変補正コイルは、ReBCO系超電導線材が巻回されてなることを特徴とする請求項1に記載の磁場発生装置。
- 前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの外側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を補正する磁場を発生させる補正コイルを更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
- 前記メインコイルと同軸であって、前記メインコイルの外側に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場のうち、特定の磁場成分を補正する磁場を発生させるシムコイルを更に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
- 前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルの一方を外部電源を使用した通電モードで運転し、他方を永久電流モードで運転することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
- 前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルを外部電源を使用した通電モードで運転することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
- 前記メインコイルおよび前記電流可変補正コイルを永久電流モードで運転することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
- 前記計測空間に設けられ、前記メインコイルが発生させる磁場の均一度を向上させる磁性シムを更に有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
- 前記磁性シムの外周側に設けられ、前記磁性シムの温度変化によって発生する磁場の時間変動を補償する室温シムコイル自動調整機構を更に有することを特徴とする請求項9に記載の磁場発生装置。
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