JP2014240471A - 架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法、架橋合成樹脂微多孔フィルム、及びリチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents

架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法、架橋合成樹脂微多孔フィルム、及びリチウムイオン電池用セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた耐熱性を有する架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】合成樹脂微多孔フィルムの表面に、ポリブタジエン系オリゴマーを含有する架橋助剤を付着させる工程(I)と、上記工程(I)後の上記合成樹脂微多孔フィルムに電離放射線を照射する工程(II)とを有することを特徴とする架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法。このような本発明の方法によれば、透気性が低下されることなく、優れた耐熱性を有している架橋合成樹脂微多孔フィルムを提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れる架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法、架橋合成樹脂微多孔フィルム、及びリチウムイオン電池用セパレータに関する。
従来から携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン電池が用いられている。このリチウムイオン電池は、一般的に正極と、負極と、セパレータとを電解液中に配設することによって構成されている。正極は、アルミニウム箔の外表面にコバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムを塗布することにより形成される。また、負極は、銅箔の外表面にカーボンを塗布することにより形成される。そして、セパレータは、正極と負極とを仕切るように配設され、正極と負極との短絡を防止している。
リチウムイオン電池の充電時には、正極からリチウムイオンが放出されて負極内に進入する。一方、リチウムイオン電池の放電時には、負極からリチウムイオンが放出されて正極に移動する。このような充放電がリチウムイオン電池では繰り返される。
セパレータとしては、絶縁性、非水電解液に対する適性及びコスト性に優れていることから、合成樹脂微多孔フィルムが用いられている。しかしながら、合成樹脂微多孔フィルムは、高温環境下で大きく熱収縮し、その結果、正極と負極とを短絡させる可能性がある。したがって、合成樹脂微多孔フィルムには、熱収縮が高く抑制されており、優れた耐熱性を有していることが望まれている。
そこで、特許文献1には、合成樹脂微多孔フィルムの少なくとも一面に、無機物粒子及び架橋されたバインダーを含む多孔性コーティング層が形成されたセパレータが開示されている。合成樹脂微多孔フィルムの一面のみに多孔性コーティング層を形成する場合、セパレータの製造工程において、多孔性コーティング層に用いられるバインダーを架橋させる際に、合成樹脂微多孔フィルムがカールするため、結果として、得られるセパレータもカールする。このようなセパレータでは、電池作製時に位置ずれや折れ皺を生じる。そこで、合成樹脂微多孔フィルムの両面に多孔性コーティング層を形成すると、得られるセパレータの軽量性が低下する。さらに、セパレータの製造時に、合成樹脂微多孔フィルムの外表面から無機物粒子が脱落して、製造ラインを汚染するという問題も有する。したがって、多孔性コーティング層を使用せずに、合成樹脂微多孔フィルム自体の耐熱性を向上させることが望まれている。
そこで、特許文献2では、セパレータとして、合成樹脂微多孔膜フィルムに電子線を照射することにより、架橋された合成樹脂微多孔膜フィルムが開示されている。しかしながら、電子線照射のみでは合成樹脂微多孔膜フィルムに十分な耐熱性を付与することはできない。
特表2011−505663号公報 特開2003−22793号公報
したがって、本発明は、優れた耐熱性を有する架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、優れた耐熱性を有する架橋合成樹脂微多孔フィルムを提供することを目的とする。
本発明の架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法は、合成樹脂微多孔フィルムの表面に、ポリブタジエン系オリゴマーを含有する架橋助剤を付着させる工程(I)と、上記工程(I)後の上記合成樹脂微多孔フィルムに電離放射線を照射する工程(II)とを有することを特徴とする。
さらに、本発明の架橋合成樹脂微多孔フィルムは、合成樹脂微多孔フィルムの表面部に含まれている少なくとも一部の合成樹脂が、ポリブタジエン系オリゴマーを含有する架橋助剤によって架橋されていることを特徴とする。
本発明によれば、透気性が低下されることなく、優れた耐熱性を有している架橋合成樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
(合成樹脂微多孔フィルム)
本発明に用いられる合成樹脂微多孔フィルムとしては、特に制限されず、従来の電池用セパレータに用いられている合成樹脂微多孔フィルムを用いることができる。なかでも、従来のオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、高温時に変形や熱収縮を生じやすい。本発明によればオレフィン系樹脂微多孔フィルムに優れた耐熱性を付与することができ、本発明による効果を特に発揮することができることから、オレフィン系樹脂微多孔フィルムが好ましく用いられる。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムに用いられるオレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂が好ましく、プロピレン系樹脂がより好ましい。プロピレン系樹脂によれば、耐熱性に優れるオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
プロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。なかでも、ホモポリプロピレンが好ましい。プロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。また、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。
ホモポリプロピレンのアイソタクチックペンダット分率は、特に限定されないが、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。アイソタクチックペンダット分率が90%以上であるホモポリプロピレンによれば、微小孔部が均一に形成された合成樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
アイソタクチックペンダット分率(mmmm分率)とは、ホモポリプロピレンの立体規則性を示す指標である。ホモポリプロピレンのアイソタクチックペンダット分率は、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成された炭素−炭素結合により形成された主鎖に対して側鎖である5つのメチル基が全て同方向に位置している立体構造がホモポリプロピレンの分子鎖全体において占める割合をいう。ホモポリプロピレンのアイソタクチックベンダット分率は、13C−NMR法により測定することができる。
オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、25万〜50万が好ましく、28万〜48万がより好ましい。重量平均分子量が25万以上であるオレフィン系樹脂を用いることにより、微小孔部が均一に形成された合成樹脂微多孔フィルムを提供することができる。また、重量平均分子量が50万以下であるオレフィン系樹脂を用いることにより、合成樹脂微多孔フィルムを安定して成膜することができる。
オレフィン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、特に限定されないが、7.5〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。分子量分布が7.5以上であるオレフィン系樹脂によれば、表面開口率が高く、イオン透過性に優れているオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。分子量分布が12以下であるオレフィン系樹脂によれば、機械的強度に優れているオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
ここで、オレフィン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。例えば、次の手順に従って測定することができる。オレフィン系樹脂6〜7mgを採取し、採取したオレフィン系樹脂を試験管に供給する。次に、試験管に、o−DCB(オルトジクロロベンゼン)中に0.05重量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含む溶媒を加えて、オレフィン系樹脂の濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
そして、溶解濾過装置を用いて145℃にて回転数25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてオレフィン系樹脂を上記溶媒に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってオレフィン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量を測定することができる。
オレフィン系樹脂における重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
オレフィン系樹脂の融点は、特に限定されないが、160〜170℃が好ましく、160〜165℃がより好ましい。融点が160℃以上であるオレフィン系樹脂を用いることにより、耐熱性に優れているオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。また、融点が170℃以下であるオレフィン系樹脂を用いることにより、オレフィン系樹脂微多孔フィルムを安定して成膜することができる。
合成樹脂微多孔フィルムの透気度は、特に限定されないが、100〜600sec/100mLが好ましく、120〜300sec/100mLがより好ましい。透気度が上記範囲内である合成樹脂微多孔フィルムは、相互に高く連通している微小孔部を含んでいることから、微小孔部内に架橋助剤を浸入させ易く、したがって、合成樹脂微多孔フィルムの表面部を構成している合成樹脂をより均一に架橋させることができる。
なお、合成樹脂微多孔フィルムの透気度は、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下でJIS P8117に準拠して、合成樹脂微多孔フィルムの長さ方向に10cm間隔で10箇所測定し、その相加平均値を算出することにより得られた値とする。
合成樹脂微多孔フィルムの表面開口率は、25〜55%が好ましく、30〜50%がより好ましい。表面開口率が上記範囲内である合成樹脂微多孔フィルムによれば、微小孔部内に架橋助剤を浸入させ易く、したがって、合成樹脂微多孔フィルムの表面部を構成している合成樹脂をより均一に架橋させることができる。
なお、合成樹脂微多孔フィルムの表面開口率は下記の要領で測定することができる。先ず、合成樹脂微多孔フィルムの外表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。
次いで、測定部分内に形成された各微小孔部を、長辺と短辺の何れか一方が延伸方向に平行となる長方形で囲む。この長方形は、長辺及び短辺が共に最小寸法となるように調整する。上記長方形の面積を各微小孔部の開口面積とする。各微小孔部の開口面積を合計して微小孔部の総開口面積S(μm2)を算出する。この微小孔部の総開口面積S(μm2)を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除して100を乗じた値を表面開口率(%)とする。なお、測定部分と、測定部分でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、微小孔部のうち、測定部分内に存在している部分のみを測定対象とする。
合成樹脂微多孔フィルムにおける微小孔部の開口端の平均長径は、特に限定されないが、100nm〜500nmが好ましく、200nm〜500nmがより好ましい。微小孔部の開口端の平均長径が上記範囲内である合成樹脂微多孔フィルムによれば、リチウムイオンなどのイオンの透過性が略均一であり、これにより電池中におけるデンドライトショートの発生を高く低減することができる架橋合成樹脂微多孔フィルムを提供することができる。また、微小孔部の開口端の平均長径が上記範囲内である合成樹脂微多孔フィルムであれば、微小孔部内に架橋助剤を十分に浸入させることができ、したがって、合成樹脂微多孔フィルムの表面部を構成している合成樹脂をより均一に架橋させることができる。
合成樹脂微多孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径は、特に限定されないが、1μm以下が好ましく、100nm〜800nmがより好ましい。微小孔部の開口端の最大長径が1μm以下である合成樹脂微多孔フィルムによれば、リチウムイオンなどのイオンの透過性が略均一であり、機械的強度の低下も高く低減されている架橋合成樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
なお、合成樹脂微多孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径は次のようにして測定される。先ず、合成樹脂微多孔フィルムの外表面をカーボンコーティングする。次に、合成樹脂微多孔フィルムの外表面における任意の10個所を走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万にて撮影する。なお、撮影範囲は、合成樹脂微多孔フィルムの外表面において縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形の範囲とする。
得られた写真に現れている各微小孔部の開口端の長径を測定する。微小孔部における開口端の長径のうち、最大の長径を微小孔部の開口端の最大長径とする。各微小孔部における開口端の長径の相加平均値を微小孔部の開口端の平均長径とする。なお、微小孔部の開口端の長径とは、この微小孔部の開口端を包囲し得る最小径の真円の直径とする。撮影範囲と、撮影範囲でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、測定対象から除外する。
合成樹脂微多孔フィルムの孔密度は、特に限定されないが、15個/μm2以上が好ましく、17個/μm2以上がより好ましい。孔密度が15個/μm2以上である架橋合成樹脂微多孔フィルムによれば、リチウムイオンなどのイオン透過性に優れている架橋合成樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
なお、合成樹脂微多孔フィルムの孔密度は、下記の要領で測定する。先ず、合成樹脂微多孔フィルムの外表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。そして、測定部分において微小孔部の個数を測定し、この個数を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除すことによって孔密度を算出することができる。
合成樹脂微多孔フィルムの厚みは、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
なお、本発明において、合成樹脂微多孔フィルムの厚みの測定は、次の要領に従って行うことができる。合成樹脂微多孔フィルムの任意の10箇所において厚みをダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いて測定し、その相加平均値を合成樹脂微多孔フィルムの厚みとする。
(合成樹脂微多孔フィルムの製造方法)
合成樹脂微多孔フィルムは、従来公知の湿式法又は延伸法によって製造することができる。合成樹脂微多孔フィルムを湿式法により製造する方法としては、例えば、合成樹脂と、充填剤や可塑剤とを混合してなる合成樹脂組成物を成形することにより合成樹脂フィルムを得、この合成樹脂フィルムから充填剤や可塑剤を抽出することにより微小孔部が形成されてなる合成樹脂微多孔フィルムを得る方法が挙げられる。一方、合成樹脂微多孔フィルムを延伸法により製造する方法としては、合成樹脂フィルムを、一軸延伸又は二軸延伸させることにより微小孔部が形成されてなる合成樹脂微多孔フィルムを得る方法が挙げられる。
合成樹脂微多孔フィルムとしては、延伸法によって製造されてなるオレフィン系樹脂微多孔フィルムがより好ましい。延伸法によって製造されてなるオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、延伸によって発生した残留歪みによって、高温時に特に熱収縮を生じやすい。本発明によればオレフィン系樹脂微多孔フィルムに優れた耐熱性を付与することができ、本発明による効果を特に発揮することができることから、延伸法によって製造されてなるオレフィン系樹脂微多孔フィルムが好ましく用いられる。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムを延伸法により製造する方法として、具体的には、(1)オレフィン系樹脂を押し出すことによりオレフィン系樹脂フィルムを得、このオレフィン系樹脂フィルム中にラメラ結晶を発生及び成長させた後、オレフィン系樹脂フィルムを延伸してラメラ結晶間を離間させることにより微小孔部が形成されてなるオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得る方法、(2)オレフィン系樹脂と充填剤とを混合してなるオレフィン系樹脂組成物を押し出すことによりオレフィン系樹脂フィルムを得、このオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸してオレフィン系樹脂と充填剤との界面を剥離させることにより微小孔部が形成されてなるオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得る方法などが挙げられる。微小孔部が均一に且つ多数形成されているオレフィン系樹脂微多孔フィルムが得られることから、(1)の方法が好ましい。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムの製造方法として、特に好ましくは、下記工程;
オレフィン系樹脂を、押出機にてオレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下にて溶融混練し、押出成形することにより、オレフィン系樹脂フィルムを得る押出工程と、
上記押出工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムを上記オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下で養生する養生工程と、
上記養生工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムを、その外表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.2〜1.6倍に一軸延伸する第一延伸工程と、
上記第一延伸工程において延伸が施された上記オレフィン系樹脂フィルムを、その外表面温度が100〜150℃にて延伸倍率1.2〜2.2倍に一軸延伸する第二延伸工程と、
上記第二延伸工程において延伸が施されたオレフィン系樹脂フィルムをアニールするアニーリング工程と
を有する方法が挙げられる。
上記工程を有する製造方法によれば、相互に高く連通している微小孔部が多数形成され、これにより優れた透気性を有しているオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。
(押出工程)
押出工程では、オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融混練した上で、押出成形することによりオレフィン系樹脂フィルムを製造する。押出成形は、例えば、溶融混練したオレフィン系樹脂を押出機の先端に取り付けたTダイから押出すことにより行うことができる。
オレフィン系樹脂を押出機にて溶融混練する際のオレフィン系樹脂の温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下が好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも80℃高い温度以下がより好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも50℃高い温度以下が特に好ましい。溶融混練時のオレフィン系樹脂の温度をオレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上とすることにより、均一な厚みを有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。また、溶融混練時のオレフィン系樹脂の温度をオレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下とすることにより、オレフィン系樹脂の配向性を向上させて、ラメラの生成を促進させることができる。
オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比は、50〜300が好ましく、65〜250がより好ましく、70〜250が特に好ましい。オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比を50以上とすることにより、オレフィン系樹脂に加わる張力を向上させ、これによりオレフィン系樹脂分子を十分に配向させてラメラの生成を促進させることができる。また、オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比を300以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの成膜安定性を向上させて、均一な厚みや幅を有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。
なお、ドロー比とは、TダイのリップのクリアランスをTダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの厚みで除した値をいう。Tダイのリップのクリアランスの測定は、JIS B7524に準拠したすきまゲージ(例えば、株式会社永井ゲージ製作所製 JISすきまゲージ)を用いてTダイのリップのクリアランスを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。又、Tダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いてTダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの厚みを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。
オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度は、10〜300m/分が好ましく、20〜250m/分がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度を10m/分以上とすることによって、オレフィン系樹脂に加わる張力を向上させ、これによりオレフィン系樹脂分子を十分に配向させてラメラの生成を促進させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度を300m/分以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの成膜安定性を向上させて、均一な厚みや幅を有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。
そして、Tダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムをその外表面温度が上記オレフィン系樹脂の融点よりも100℃低い温度以下となるまで冷却することが好ましい。これにより、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂が結晶化してラメラを生成する。本発明では、溶融混練したオレフィン系樹脂を押出すことにより、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂分子を予め配向させた上で、オレフィン系樹脂フィルムを冷却することにより、オレフィン系樹脂が配向している部分がラメラの生成を促進させることができる。
(養生工程)
次いで、上述した押出工程により得られたオレフィン系樹脂フィルムを養生する。このオレフィン系樹脂の養生工程は、押出工程においてオレフィン系樹脂フィルム中に生成させたラメラを成長させるために行う。これにより、オレフィン系樹脂フィルムの押出方向に結晶化部分(ラメラ)と非結晶部分とが交互に配列してなる積層ラメラ構造を形成させることができ、後述するオレフィン系樹脂フィルムの延伸工程において、ラメラ内ではなく、ラメラ間において亀裂を発生させ、この亀裂を起点として微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができる。
養生工程は、押出工程により得られたオレフィン系樹脂フィルムを、オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点より1℃低い温度以下にて養生することにより行う。
オレフィン系樹脂フィルムの養生温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下が好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃低い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの養生温度をオレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの結晶化を促進させて、後述する延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムのラメラ間において微小孔部を形成し易くすることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度をオレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下にすることによって、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂の分子配向の緩和によってラメラ構造が崩れることを低減することができる。
なお、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度とは、オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度である。しかしながら、オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度を測定できないような場合、例えば、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合には、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度とは、雰囲気温度とする。例えば、熱風炉などの加熱装置内部でオレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生を行う場合には、加熱装置内部の温度を養生温度とする。
オレフィン系樹脂フィルムの養生は、オレフィン系樹脂フィルムを走行させながら行ってもよく、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で行ってもよい。
オレフィン系樹脂フィルムの養生をオレフィン系樹脂フィルムを走行しながら行う場合、オレフィン系樹脂フィルムの養生時間は、1分以上が好ましく、5分〜60分がより好ましい。
オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合、養生時間は、1時間以上が好ましく、15時間以上がより好ましい。このような養生時間でロール状に巻き取った状態のオレフィン系樹脂フィルムを養生させることにより、ロールの外表面から内部まで全体的にオレフィン系樹脂フィルムをその温度を上述した養生温度にして十分に養生させることができ、オレフィン系樹脂フィルムのラメラを十分に成長させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの熱劣化を抑制するために、養生時間は、35時間以下が好ましく、30時間以下がより好ましい。
なお、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させた場合、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムロールからオレフィン系樹脂フィルムを巻き出して、後述する延伸工程及びアニーリング工程を実施すればよい。
(第一延伸工程)
次に、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムに、その外表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.2〜1.6倍に一軸延伸を施す第一延伸工程を実施する。第一延伸工程では、オレフィン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。第一延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルム中のラメラは殆ど溶融しておらず、延伸によってラメラ同士を離間させることによって、ラメラ間の非結晶部において効率的に微細な亀裂を独立して生じさせ、この亀裂を起点として多数の微小孔部を確実に形成させることができる。
第一延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度は、−20℃以上100℃未満が好ましく、0〜80℃がより好ましく、10〜40℃が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度を−20℃以上とすることにより、延伸時におけるオレフィン系樹脂フィルムの破断を低減することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度を100℃未満とすることにより、ラメラ間の非結晶部において亀裂を発生させることができる。
第一延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率は、1.2〜1.6倍が好ましく、1.25〜1.5倍がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.2倍以上とすることにより、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が形成され、これにより透気性に優れ、リチウムイオンが透過する際の抵抗が低いオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.6倍以下とすることにより、オレフィン系樹脂微多孔フィルムに微小孔部を均一に形成することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率とは、延伸後のオレフィン系樹脂フィルムの長さを延伸前のオレフィン系樹脂フィルムの長さで除した値をいう。
オレフィン系樹脂フィルムの第一延伸工程における延伸速度は、20〜500%/分がより好ましく、20〜70%/分が特に好ましい。延伸速度を20%/分以上とすることにより、ラメラ間の非結晶部において微小孔部を均一に形成することができる。延伸速度を500%/分以下とすることにより、第一延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの破断を抑制することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度とは、単位時間当たりのオレフィン系樹脂フィルムの延伸方向における寸法の変化割合をいう。
上記第一延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(第二延伸工程)
次いで、第一延伸工程後のオレフィン系樹脂フィルムに、その外表面温度が100〜150℃にて延伸倍率1.2〜2.2倍に一軸延伸処理を施す第二延伸工程を実施する。第二延伸工程においても、オレフィン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。このような第二延伸工程における延伸処理を行うことによって、第一延伸工程にてオレフィン系樹脂フィルムに形成された多数の微小孔部を成長させることができる。
第二延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度は、100〜150℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度を100℃以上とすることによって、第一延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部を成長させて、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの透気性を向上させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度を150℃以下とすることによって、第一延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部の閉塞を抑制することができる。
第二延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率は、1.2〜2.2倍が好ましく、1.5〜2倍がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.2倍以上とすることによって、第一延伸工程時にオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部を成長させて、優れた透気性を有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を2.2倍以下とすることによって、第一延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部の閉塞を抑制することができる。
第二延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度は、500%/分以下が好ましく、400%/分以下がより好ましく、15〜60%/分が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度を上記範囲内とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムに微小孔部を均一に形成することができる。
上記第二延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(アニーリング工程)
次に、第二延伸工程において延伸が施されたオレフィン系樹脂フィルムにアニール処理を施すアニーリング工程を行う。このアニーリング工程は、上述した延伸工程において加えられた延伸によってオレフィン系樹脂フィルムに生じた残存歪みを緩和して、得られるオレフィン系樹脂微多孔フィルムに加熱による熱収縮が生じるのを抑えるために行われる。
アニーリング工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの外表面温度は、第二延伸工程時のオレフィン系樹脂フィルムの外表面温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下が好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度を第二延伸工程時のオレフィン系樹脂フィルムの外表面温度以上とすることによって、オレフィン系樹脂フィルム中に残存した歪みを十分に緩和して、得られるオレフィン系樹脂微多孔フィルムの加熱時における寸法安定性を向上させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの外表面温度をオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下とすることによって、延伸工程で形成された微小孔部の閉塞を抑制することができる。
アニーリング工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの収縮率は、25%以下が好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの収縮率を25%以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムのたるみの発生を低減して、オレフィン系樹脂フィルムを均一にアニールすることができる。なお、オレフィン系樹脂フィルムの収縮率とは、アニーリング工程時における延伸方向におけるオレフィン系樹脂フィルムの収縮長さを、第二延伸工程後の延伸方向におけるオレフィン系樹脂フィルムの長さで除して100を乗じた値をいう。
(工程(I))
本発明の方法では、上述した合成樹脂微多孔フィルムの表面に、ポリブタジエン系オリゴマーを含有する架橋助剤を付着させる工程(I)を実施する。
本発明において、合成樹脂微多孔フィルムの表面には、合成樹脂微多孔フィルムの外表面、及びこの外表面に続く微小孔部の内壁表面が含まれる。なお、合成樹脂微多孔フィルムの外表面とは、合成樹脂微多孔フィルムの上面、下面、正面、背面、左側面及び右側面をいう。
ポリブタジエン系オリゴマーは、電離放射線に対する反応性が高いことから、このようなポリブタジエン系オリゴマーを含有する合成樹脂微多孔フィルムの表面に付着させた後、合成樹脂微多孔フィルムに電離放射線を照射することで、ポリブタジエン系オリゴマーによって合成樹脂微多孔フィルムの表面部に含まれている合成樹脂を効率的に架橋させることができる。このようにして得られる架橋合成樹脂微多孔フィルムは、高い弾性を有し、高温下における熱収縮が高く低減され、これにより優れた耐熱性を発揮することができる。
更に、合成樹脂微多孔フィルムに電離放射線を照射することによって、合成樹脂微多孔フィルム内部に含まれている合成樹脂の一部が分解して低分子量化し、その結果、合成樹脂微多孔フィルムの応力緩和を進行させることができる。このような応力緩和によっても、架橋合成樹脂微多孔フィルムの高温下における熱収縮を高く低減させることができ、架橋合成樹脂微多孔フィルムの耐熱性をさらに向上させることができる。
また、ポリブタジエン系オリゴマーは、合成樹脂に対する馴染み性に優れていることから、このようなポリブタジエン系オリゴマーを合成樹脂微多孔フィルムの表面に付着させても、合成樹脂微多孔フィルム中の微小孔部がオリゴマーによって閉塞されることを高く低減することができる。これにより、架橋合成樹脂微多孔フィルムに、その透気性を低下させることなく、優れた耐熱性を付与することができる。
なお、本発明により得られる効果のメカニズムは明らかでなく、上述したメカニズムは本発明者等の推定である。
ポリブタジエン系オリゴマーとは、ブタジエン骨格を有するオリゴマーを意味する。ポリブタジエン系オリゴマーは、単量体成分として、ブタジエン成分を含む重合体が挙げられる。ポリブタジエン系オリゴマーの単量体成分としては、1,2−ブタジエン成分、及び1,3−ブタジエン成分が挙げられる。なかでも、1,2−ブタジエン成分が好ましい。1,2−ブタジエン成分を単量体成分として含有するポリブタジエン系オリゴマーによれば、架橋合成樹脂微多孔フィルムにより優れた耐熱性を付与することができる。
1,2−ブタジエン成分を単量体成分として含有するポリブタジエン系オリゴマーは、好ましくは、下記式(1)で示される繰り返し単位を含んでいる。
Figure 2014240471
ポリブタジエン系オリゴマーは、分子鎖の側鎖又は末端に電離放射線硬化性官能基を有していることが好ましい。電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射により架橋反応を進行させ、合成樹脂を硬化させることができる官能基を意味する。電離放射線硬化性官能基としては、特に制限はないが、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びチオール基などが挙げられる。電離放射線硬化性官能基を有するオリゴマーは、架橋合成樹脂微多孔フィルムにより優れた耐熱性を付与することができる。なお、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
ポリブタジエン系オリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマー、エポキシ化ポリブタジエンオリゴマー、及びポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられる。ポリブタジエン系オリゴマーは、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリブタジエンオリゴマーとしては、ポリ(1,2−ブタジエン)オリゴマー又はポリ(1,3−ブタジエン)オリゴマーが挙げられ、上記式(1)で示される繰り返し単位を含むポリ(1,2−ブタジエン)オリゴマーが好ましい。ポリブタジエンオリゴマーは、特に制限されないが、主鎖の両末端に、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒロドキシエチル基などのヒドロキシアルキル基を有していてもよい。
ポリブタジエンオリゴマーとしては、下記一般式(A)で示されるオリゴマーが好ましく挙げられる。
Figure 2014240471

(式中、Lは、繰り返し単位の数であって、2以上の整数である)
ポリブタジエンオリゴマーとしては、市販されている製品を用いることができる。例えば、ポリ(1,2−ブタジエン)オリゴマーとしては、日本曹達社製 商品名「B−1000」、「B−2000」、及び「B−3000」などが挙げられる。また、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有するポリブタジエンオリゴマーとしては、日本曹達社製 商品名「G−1000」、「G−2000」、及び「G−3000」などが挙げられる。
エポキシ化ポリブタジエンオリゴマーとは、ブタジエン骨格に含まれる炭素−炭素二重結合の少なくとも一部がエポキシ化されることによって、分子内にエポキシ基が導入されたオリゴマーである。エポキシ化ポリブタジエンオリゴマーは、特に制限されないが、主鎖の両末端に、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ヒロドキシエチル基などのヒドロキシアルキル基を有していることが好ましい。
エポキシ化ポリブタジエンオリゴマーとしては、下記式(1)で示される繰り返し単位と、下記式(2)で示される繰り返し単位とを有するオリゴマーが好ましく挙げられる。
Figure 2014240471

Figure 2014240471
エポキシ化ポリブタジエンオリゴマーとしては、下記一般式(B)で示されるオリゴマーが好ましく挙げられる。
Figure 2014240471

(式中、m及びnは、それぞれ、繰り返し単位の数であって、2以上の整数である)
エポキシ化ポリブタジエンオリゴマーとしては、市販されている製品を用いることができる。例えば、日本曹達社製 商品名「JP−100」、及び「JP−200」などが挙げられる。
ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ブタジエン骨格を有し、且つ主鎖の側鎖又は末端に(メタ)アクリロイル基を有しているオリゴマーが好ましく挙げられる。
ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、主鎖が下記式(1)で示される繰り返し単位を含んでいることが好ましい。
Figure 2014240471
ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーは、主鎖の側鎖又は末端に(メタ)アクリロイル基を有しているが、主鎖の少なくとも一方の末端に(メタ)アクリロイル基を有していることが好ましく、主鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有していることがより好ましい。
ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ウレタン結合を有していてもよい。例えば、主鎖の両末端にウレタン結合を介して(メタ)アクリロイル基を有しているポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、下記式(C)で示されるオリゴマーが好ましく挙げられる。
Figure 2014240471

(式中、oは、繰り返し単位の数であって、2以上の整数であり、Rは、下記式(3)で示される基である。)
Figure 2014240471
ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販されている製品を用いることができる。上記式(C)で示されるポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、日本曹達社製 商品名「TE−2000」などが挙げられる。また、主鎖の両末端にウレタン結合を介さずに(メタ)アクリロイル基を有しているポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、日本曹達社製 商品名「EA−3000」及び「EMA−3000」などが挙げられる。
ポリブタジエン系オリゴマーの数平均分子量は、特に制限されないが、500〜5000が好ましく、700〜4000がより好ましく、1000〜3500が特に好ましい。数平均分子量が上記範囲内であるポリブタジエン系オリゴマーは、合成樹脂に対する馴染み性に優れており、したがって、合成樹脂微多孔フィルムの微小孔部を収縮や閉塞させることなく、合成樹脂微多孔フィルムの表面、すなわち合成樹脂微多孔フィルムの外表面や合成樹脂微多孔フィルム中に含まれている微小孔部の内壁表面に付着することができる。
なお、本発明において、ポリブタジエン系オリゴマーの数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
<測定装置>
Wateres社製 製品名「Waters 2690」
<測定条件>
カラム :Shodex GPC LF-404 (4.6mm ID × 250mm) ×2本
カラム温度 :40℃
移動相 :THF(0.3mL/分)
サンプル濃度:0.2重量%
検出器 :RI waters社製 製品名「2414」
架橋助剤は、上述したポリブタジエン系オリゴマー以外に、他の架橋助剤をさらに含んでいてもよい。
他の架橋助剤としては、多官能性アクリル系モノマーが好ましく挙げられる。多官能性アクリル系モノマーとしては、2官能性アクリル系モノマー及び3官能以上の多官能性アクリル系モノマーが挙げられる。多官能性アクリル系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
2官能性アクリル系モノマーとしては、例えば、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、及びトリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。
3官能以上の多官能性アクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどが挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
架橋助剤中におけるポリブタジエン系オリゴマーの含有量は、特に限定されないが、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましく、80重量%以上が特に好ましい。架橋助剤はポリブタジエン系オリゴマーのみからなることが最も好ましい。ポリブタジエン系オリゴマーの含有量が上記範囲内であると、透気性を低下させずに優れた耐熱性を架橋合成樹脂微多孔フィルムに付与することができる。
合成樹脂微多孔フィルムの表面に架橋助剤を付着させる方法としては、特に限定されず、例えば、架橋助剤を合成樹脂微多孔フィルムの外表面に塗工し、合成樹脂微多孔フィルムの微小孔部内に架橋助剤を浸入させる方法が用いられる。
合成樹脂微多孔フィルムの表面に架橋助剤を塗工させる際に、架橋助剤は、塗工液として用いることが好ましい。このような場合、架橋助剤を含む塗工液を合成樹脂微多孔フィルムの外表面に塗工し、合成樹脂微多孔フィルムの微小孔部内に塗工液を浸入させる。このように架橋助剤を含んでいる塗工液を用いることによって、合成樹脂微多孔フィルムの表面全体に架橋助剤をより均一に付着させることができる。
塗工液は、架橋助剤の他に、溶媒を含んでいることが好ましい。溶媒中に架橋助剤を分散又は溶解させることができる。溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチル、及びクロロホルムなどが挙げられる。なかでも、酢酸エチル、及びメチルエチルケトンが好ましい。これらの溶媒は、塗工液を合成樹脂微多孔フィルム中に塗工した後に円滑に除去することができると共に、リチウムイオン電池などの電池中に含まれている電解液との反応性が極めて低い。
塗工液中における架橋助剤の含有量は、溶媒100重量部に対して、1〜25重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。架橋助剤の含有量が上記範囲内である塗工液を用いることにより、微小孔部を収縮や閉塞させることなく、合成樹脂微多孔フィルムの表面に架橋助剤を均一に付着させることができ、これにより合成樹脂微多孔フィルムの表面部を構成している合成樹脂を十分に架橋させることができる。
架橋助剤を合成樹脂微多孔フィルムの外表面に塗工することにより、合成樹脂微多孔フィルムの微小孔部内に架橋助剤を浸入させることができる。架橋助剤や塗工液を合成樹脂微多孔フィルムの外表面に塗工する方法としては、特に制限されず、例えば、スプレー法、カーテンコーター法、フローコーター法、ロールコーター法、刷毛塗り法、及び浸漬法などが挙げられる。
また、合成樹脂微多孔フィルムの微小孔部内に架橋助剤を十分に浸入させるために、(1)合成樹脂微多孔フィルムの外表面に架橋助剤を複数回塗工したり、(2)減圧下又は加圧下で、合成樹脂微多孔フィルムの外表面に架橋助剤を塗工したり、又は(3)合成樹脂微多孔フィルムの外表面に架橋助剤を塗布した後、所定時間放置したりしてもよい。
塗工液を用いた場合には、塗工液を合成樹脂微多孔フィルムの微小孔部内に浸入させた後に、乾燥させることにより溶媒を除去することが好ましい。合成樹脂微多孔フィルムの乾燥は、塗工液を微小孔部内に浸入させた合成樹脂微多孔フィルムを加熱することにより行うことが好ましい。乾燥時、合成樹脂微多孔フィルムの加熱温度は、50〜140℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。加熱温度を上記範囲内とすることによって、合成樹脂微多孔フィルムの熱収縮を高く低減しながら、溶媒を効率的に除去することができる。
架橋助剤は合成樹脂微多孔フィルム表面の少なくとも一部に付着させればよいが、合成樹脂微多孔フィルムの表面全面に付着させることが好ましい。上述したポリブタジエン系オリゴマーは、合成樹脂に対する馴染み性に優れており、したがって、このようなポリブタジエン系オリゴマーを含む架橋助剤を塗工することによって、合成樹脂微多孔フィルムの表面全面、すなわち、合成樹脂微多孔フィルムの外表面全面及びこの外表面に続く微小孔部の内壁全面にポリブタジエン系オリゴマーを均一に付着させることができる。これにより、合成樹脂微多孔フィルムの表面部に含まれている合成樹脂を全体的に均一に架橋させることができる。
合成樹脂微多孔フィルムへの架橋助剤の付着量は、架橋助剤を付着させる前の合成樹脂微多孔フィルム100重量部に対して、0.5〜40重量部が好ましく、1〜25重量部がより好ましく、1〜20重量部が特に好ましく、1〜5重量部が最も好ましい。架橋助剤の付着量を上記範囲内とすることによって、架橋合成樹脂微多孔フィルムに、その透気性を低下させることなく、優れた耐熱性を付与することができる。
(工程(II))
次に、本発明の方法では、架橋助剤を表面に付着させた合成樹脂微多孔フィルムに電離放射線を照射する工程(II)を実施する。これにより、合成樹脂微多孔フィルムの表面部を構成している合成樹脂の少なくとも一部を架橋助剤により架橋させることができる。
電離放射線としては、特に限定されず、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられる。なかでも、紫外線、及び電子線が好ましく、電子線がより好ましい。
また、電離放射線の加速電圧は、100〜300kVが好ましい。加速電圧を上記範囲内とすることによって、合成樹脂微多孔フィルムを構成している合成樹脂を劣化させることなく、十分に架橋させることができる。
表面に架橋助剤を付着させた合成樹脂微多孔フィルムに対する電離放射線の照射線量は、10〜150kGyが好ましく、20〜100kGyがより好ましい。照射線量を上記範囲内とすることによって、合成樹脂微多孔フィルムを構成している合成樹脂を劣化させることなく、十分に架橋させることができる。
(架橋合成樹脂微多孔フィルム)
上述した本発明の方法によれば、合成樹脂微多孔フィルムの表面部を構成している合成樹脂の少なくとも一部が、ポリブタジエン系オリゴマーを含有する架橋助剤によって架橋された架橋合成樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
架橋合成樹脂微多孔フィルムの透気度は、特に限定されないが、100〜600sec/100mLが好ましく、120〜300sec/100mLがより好ましい。透気度が600sec/100mL以下である架橋合成樹脂微多孔フィルムは、リチウムイオンなどのイオンの透過性に優れており、電池性能を向上させることができる。また、透気度が100sec/100mL以上である架橋合成樹脂微多孔フィルムは、機械的強度の低下が低減されている。
架橋合成樹脂微多孔フィルムの厚みは、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
なお、架橋合成樹脂微多孔フィルムの透気度や厚みの測定は、合成樹脂微多孔フィルムについて上述した方法と同様に行うことができる。
架橋合成樹脂微多孔フィルムは、微小孔部を含んでいる。この微小孔部は、合成樹脂微多孔フィルムが有していた微小孔部であり、ポリブタジエン系オリゴマーなどの架橋助剤によって閉塞されることなく、相互に高く連通した状態を維持している。したがって、架橋合成樹脂微多孔フィルムには、透気性が低下されることなく、優れた耐熱性が付与されている。
このような架橋合成樹脂微多孔フィルムは、リチウムイオンなどのイオンを円滑に且つ均一に透過させることができると共に、高温下における熱収縮が高く低減されている。したがって、本発明の架橋合成樹脂微多孔フィルムは、電池用セパレータとして好適に用いられる。架橋合成樹脂微多孔フィルムをセパレータとして用いた電池は、内部抵抗が高く低減され、これにより電気自動車等の車両など高出力用途においても高電流密度で充放電を行うことが可能である。さらに、過充電や異常発熱などによって電池内部が高温となった場合であっても、架橋合成樹脂微多孔フィルムの熱収縮が高く低減されていることから、正極と負極との電気的な短絡を高く抑制することができる。
本発明の架橋合成樹脂微多孔フィルムは、これ自体に優れた耐熱性が付与されているため、その表面に無機物粒子を含んでいる多孔性コーティング層などの耐熱層を積層一体化させる必要がない。したがって、架橋合成樹脂微多孔フィルムは、軽量性に優れていると共に、製造工程中に無機物粒子が脱落することによる製造ラインの汚染も生じない。
更に、本発明の架橋合成樹脂微多孔フィルムは、その外表面に多孔性コーティング層などの耐熱層を積層一体化させる必要がないため、耐熱層によるカール及び折れ皺が発生することもない。したがって、架橋合成樹脂微多孔フィルムは、リチウムイオン電池などの電池の作製時に位置決めを精度良く且つ容易に行うことができ、電池の高品質化及び製造効率の向上を図ることができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[実施例1〜3]
1.ホモポリプロピレン微多孔フィルムの製造
(押出工程)
ホモポリプロピレン(重量平均分子量:40万、数平均分子量:37000、メルトフローレイト:3.7g/10分、13C−NMR法で測定したアイソタクチックペンダット分率:97%、融点:165℃)を、一軸押出機に供給して、樹脂温度200℃にて溶融混練し、一軸押出機の先端に取り付けられたTダイから95℃のキャストロール上にフィルム状に押し出すことにより、長尺状のホモポリプロピレンフィルムを得た。続いて、このホモポリプロピレンフィルムに冷風を当てて、外表面温度が30℃となるまで冷却した。長尺状のホモポリプロピレンフィルムの幅は200mmであった。なお、押出量は10kg/時間、成膜速度は22m/分、ドロー比は83であった。
(養生工程)
得られた長尺状のホモポリプロピレンフィルム50mを外径が3インチの円筒状の芯体にロール状に巻取り、ロール状に巻き取ったホモポリプロピレンフィルムを、このホモポリプロピレンフィルムを設置している場所の雰囲気温度が150℃である熱風炉中に24時間に亘って放置して養生した。このとき、長尺状のホモポリプロピレンフィルムのロールの外表面から内部まで全体的にホモポリプロピレンフィルムの温度が熱風炉内部の温度と同じ温度になっていた。
(第一延伸工程)
次に、養生を施したロール状に巻き取ったホモポリプロピレンフィルムからホモポリプロピレンフィルムを巻き出し、ホモポリプロピレンフィルムを外表面温度が25℃となるようにして50%/分の延伸速度にて延伸倍率1.43倍に押出方向にのみ一軸延伸した。
(第二延伸工程)
続いて、ホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置を用いて外表面温度が133℃となるようにして42%/分の延伸速度にて延伸倍率1.77倍に押出方向にのみ一軸延伸した。
(アニーリング工程)
しかる後、ホモポリプロピレンフィルムをその外表面温度が155℃となるように且つホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして10分間に亘って放置し、ホモポリプロピレンフィルムにアニーリングを施してホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。なお、アニーリング工程におけるホモポリプロピレンフィルムの収縮率は20%とした。
得られたホモポリプロピレン微多孔フィルムは、透気度が160sec/100mLであり、表面開口率が30%であり、微小孔部の開口端の最大長径が530nmであり、微小孔部の開口端の平均長径が320nmであり、孔密度が20個/μm2であり、厚みが25μmであり、目付が11g/m2であった。
2.架橋ホモポリプロピレン微多孔フィルムの製造
(塗工液の付着工程(I))
酢酸エチル、並びに、架橋助剤として、上記式(A)で示されるポリブタジエンオリゴマー(数平均分子量3200、日本曹達社製 商品名「B−3000」)、上記式(B)で示されるエポキシ化ポリブタジエンオリゴマー(上記式(B)中、m=4〜7、m+n=16〜25、数平均分子量1300、日本曹達社製 商品名「JP−100」)、及び上記式(C)で示されるポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー(数平均分子量2500、日本曹達社製 商品名「TE−2000」)を、それぞれ表1に示した配合量で混合及び撹拌することにより、酢酸エチル中に架橋助剤を溶解させて塗工液を得た。この塗工液をホモポリプロピレン微多孔フィルムの外表面に塗布し、ホモポリプロピレン微多孔フィルムの微小孔部内に塗工液を浸入させることにより、ホモポリプロピレン微多孔フィルム表面全面に塗工液を付着させた。
しかる後、表面全面に塗工液を付着させたホモポリプロピレン微多孔フィルムを80℃にて2分間に亘って加熱することによって、酢酸エチルを除去した。これにより、表面全面に架橋助剤を付着させたホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。ホモポリプロピレン微多孔フィルムへの架橋助剤の付着量を表1に示した。なお、架橋助剤の付着量は、架橋助剤を付着させる前のホモポリプロピレン微多孔フィルム100重量部に対する値(重量部)として記載した。
(電離放射線を照射する工程(II))
架橋助剤を付着させたホモポリプロピレン微多孔フィルムに、窒素雰囲気下にて、照射線量50kGy、加速電圧300kVにて電子線を照射することにより、ホモポリプロピレン微多孔フィルムの表面部に含まれているホモポリプロピレンを架橋助剤によって架橋させ、これにより架橋ホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。
[比較例1]
実施例1と同様にして、ホモポリプロピレン微多孔フィルムを作製した。なお、このホモポリプロピレン微多孔フィルムには、溶液の付着工程(I)及び電離放射線を照射する工程(II)を行わなかった。
(評価)
実施例1〜3で作製した架橋ホモポリプロピレン微多孔フィルムについて、透気度及び厚みを上述した方法により測定し、結果を表1に示した。
また、実施例1〜3で作製した架橋ホモポリプロピレン微多孔フィルム及び比較例1で作製したホモポリプロピレン微多孔フィルムについて、耐熱性を下記の要領で評価した。
(耐熱性)
架橋ホモポリプロピレン微多孔フィルムから縦10mm×横3mmの平面長方形状の試験片を切り出した。熱機械分析装置(TMA、セイコーインスツル社製 商品名「TMA−SS6000」)を用いて、試験片に縦方向に19.6mN(2gf)の張力を加えた状態で、試験片を常温から180℃まで5℃/分の昇温速度にて加熱し、各温度における試験片の縦方向の寸法L(mm)を測定し、下記式に基づいて熱収縮率を測定した。そして、130℃及び150℃における熱収縮率、並びに、測定温度範囲内における最大の熱収縮率を表1に示した。
熱収縮率(%)=100×(L−10)/10
Figure 2014240471

Claims (7)

  1. 合成樹脂微多孔フィルムの表面に、ポリブタジエン系オリゴマーを含有する架橋助剤を付着させる工程(I)と、上記工程(I)後の上記合成樹脂微多孔フィルムに電離放射線を照射する工程(II)とを有することを特徴とする架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法。
  2. ポリブタジエン系オリゴマーが、分子鎖の側鎖又は末端に電離放射線硬化性官能基を有していることを特徴とする請求項1に記載の架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法。
  3. ポリブタジエン系オリゴマーが、ポリブタジエンオリゴマー、エポキシ化ポリブタジエンオリゴマー、及びポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーよりなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の架橋合成樹脂微多孔フィルムの製造方法。
  4. 電離放射線の加速電圧が100〜300kVであり且つ照射線量が10〜150kGyであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋合成樹脂微多孔フィルム。
  5. 合成樹脂微多孔フィルムの表面部に含まれている少なくとも一部の合成樹脂が、ポリブタジエン系オリゴマーを含有する架橋助剤によって架橋されていることを特徴とする架橋合成樹脂微多孔フィルム。
  6. 透気度が100〜600sec/100mLであることを特徴とする請求項5に記載の架橋合成樹脂微多孔フィルム。
  7. 請求項5又は6に記載の架橋合成樹脂微多孔フィルムを含むことを特徴とするリチウム電池用セパレータ。
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