JP2014237556A - Cr2O3含有スラグの処理方法 - Google Patents

Cr2O3含有スラグの処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】含Crスラグを、六価クロムの溶出を抑制し土壌環境基準を満足するように処理することができるCr含有スラグの処理方法を提供すること。
【解決手段】Cr含有スラグの処理方法として、Crを含むスラグにおいて、スラグに含まれる全Cr量に対するMgO・Crに含有されるCr量の割合を判断するCr量判断工程と、Cr量判断工程にて判断されたCr量の割合が50質量%未満である場合には、スラグが溶融状態となった溶融スラグを冷却する過程で、800℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする第1の冷却工程と、Cr量判断工程にて判断されたCr量の割合が50質量%以上80質量%未満である場合には、前記溶融スラグを冷却する過程で、600℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする第2の冷却工程と、を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、含Crスラグからの六価クロムの溶出を抑制するCr含有スラグの処理方法に関する。
近年、いわゆる環境問題や天然資源の枯渇等に対処する一つの方法として、産業廃棄物の低減や再利用が注目されている。例えば、製鋼などの過程で生成されたスラグに対しては、土木資材や路盤材等として再利用する試みがなされている。スラグを土木資材や路盤材として再利用するためには、環境庁告示第46号(以下、環告46号という)に定められた土壌環境基準を満たす必要があり、その環告46号では、六価クロムの溶出量を0.05mg/L以下とすることが定められている。
例えば、電気炉などでクロム鋼(含クロム鋼)を精錬した後のスラグ中には、Cr(三価クロム酸化物)が含有されている。この三価クロム酸化物は、さらなる酸化によって有害な六価クロム酸化物(単に、六価クロムともいう)となる虞があるので、この六価クロムに対する対策を何も行わずに当該スラグを土木資材や路盤材として利用するのは不適切な場合がある。そこで、環告46号の基準を満たすようにスラグを処理し、六価クロムの溶出量を0.05mg/L以下にする。
そこで、特許文献1,2に開示されるように、スラグからの六価クロムの溶出を抑制することを目的とした様々な技術が開発されている。
特許文献1は、六価クロムの溶出の抑制を目的としたスラグを開示している。
特許文献1に開示のスラグは、クロムを含有する鉄鋼精錬スラグであって、スラグ中の全クロムの80質量%以上がMgO・Crとして存在し、2CaO・SiO含有量がスラグ質量に対して3質量%未満であることを特徴とするものである。
また、特許文献2は、酸化スラグの再利用方法及びリサイクルスラグを開示している。
特許文献2に開示の酸化スラグの再利用方法は、含クロム鋼を製造する際に発生した酸化スラグを再利用する方法において、溶解精錬後の組成が、質量%で、CaO:35〜55%、SiO:5〜20%、Al:0.5〜15%、MgO:3〜15%、MnO:2〜15%、CaF:0.05〜0.5%、T.Fe:10〜30%、Cr:0.2〜6.0%であり、且つ、残部が不可避不純物である酸化スラグに対し、当該酸化スラグ中の酸化鉄にマンガン元素が固溶してなる鉱物相の量が、12.5質量%以上となるように、溶解精錬後の前記酸化スラグを冷却することで再利用するリサイクルスラグを生成することを特徴とするものである。
特開2005−298835号公報 特開2011−174166号公報
上述のように、特許文献1,2ともスラグからの六価クロムの溶出を抑制することを目的としているが、両特許文献に開示の技術では、環告46号の基準を確実に満たすスラグを得るには十分とは言い難い。
特許文献1のスラグに関しては、スラグの冷却時における熱履歴が明らかにされておらず、高温で大気酸化した場合には、環告46号の基準を超えて六価クロムが溶出するおそれのあるスラグとなり得る。また、特許文献1では、MgO・Cr由来のCrの割合が、スラグ中の全クロムに対して80質量%(以下、単に%で示す)未満のときには六価クロムが溶出するとされており、スラグの改質のために不足成分を補うなど、管理及び作業が非常に繁雑である。これに限らず、特許文献1に開示の技術では、スラグの改質を促進するために該スラグを昇温させる必要があるなど、エネルギーコストの増加も懸念される。
特許文献2の酸化スラグの再利用方法に関しては、Crを含有する鉱物相がスラグに及ぼす影響が明らかにされておらず、他のCr含有鉱物相がスラグに及ぼす影響も明らかにされていないので、環告46号の基準を確実に満たすスラグを得るのに十分な技術であると言い難い。加えて、スラグの酸化を抑制する酸化防止剤の散布だけでは、スラグの環境からの遮断が十分ではない可能性があり、確実に環告46号の基準未満にまで六価クロムの溶出を抑制することは困難となる可能性がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、含Crスラグを、六価クロムの溶出を抑制し土壌環境基準を満足するように処理するCr含有スラグの処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、Cr含有スラグの処理方法であって、Crを含むスラグにおいて、前記スラグに含まれる全Cr量に対するMgO・Crに含有されるCr量の割合を判断するCr量判断工程と、前記Cr量判断工程にて判断されたCr量の割合が50質量%未満である場合には、前記スラグが溶融状態となった溶融スラグを冷却する過程で、800℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする第1の冷却工程と、前記Cr量判断工程にて判断されたCr量の割合が50質量%以上80質量%未満である場合には、前記溶融スラグを冷却する過程で、600℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする第2の冷却工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、含Crスラグを、六価クロムの溶出を抑制し土壌環境基準を満足するように処理することができる。
クロム(Cr)を含む含クロム鋼を製造する電気炉の概略構成を示す図である。 六価クロム溶出量の結果を表すグラフを示す図である。
以下に、図面を参照しながら、本願発明の実施形態によるCr含有スラグの処理方法について説明する。なお、本実施形態において、溶銑や溶鋼のことを溶湯と表現する。また、三価クロムをCr(III)とし、六価クロムをCr(VI)と表現することもある。
まず、図1を参照し、Cr含有スラグが発生する装置の一例として、クロム(Cr)を含む含クロム鋼(例えばステンレス鋼)を製造する電気炉1の構成を説明する。図1は、クロム(Cr)を含む含クロム鋼(例えばステンレス鋼)を製造する電気炉1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、電気炉1は、内部に投入された冷鉄源等を溶解すると共に、溶解した冷鉄源等や外部から装入された溶湯2を精錬するためのものであって、溶湯2を精錬する容器本体3と、この容器本体3を覆う蓋体4とを有している。
容器本体3は、上方に向けた開口を有する碗型の部材であり、蓋体4は、容器本体3の開口を上方から覆って塞ぐ部材である。容器本体3と蓋体4は、互いに上下方向に分離可能である。この容器本体3と容器本体3を蓋する蓋体4とによって、容器本体3及び蓋体4の縁の所定の位置に排滓口5が形成され、同じく容器本体3及び蓋体4の縁において排滓ロ5の反対側には出鋼口6が形成されている。排滓口5には、容器本体3内の溶湯2に対して酸素を吹き込むためのランス7を装入することができる。なお、排滓口5や出鋼口6は、容器本体3及び蓋体4の縁でなくとも、容器本体3に形成されてもよい。
蓋体4には、単独又は複数の貫通孔が形成され該貫通孔には、容器本体3と蓋体4とで形成される空間内にアーク放電を行うための電極(例えば、炭素電極)8が設けられる。電極8は、アーク放電によって容器本体3内の冷鉄源を加熱し、溶湯2になるまで溶解する。
斯かる構成の電気炉1には、まず、容器本体3に冷鉄源(例えばクロムを含むスクラップ)などの主原料と合わせて副原料等も投入する。なお、副原料を投入するタイミングは、主原料と同時でも、主原料の後でも問題はない。これら原料を投入した後、電極8が発するアーク放電によって冷鉄源及び副原料を加熱溶解して溶融状態とし、その溶融状態にある溶湯2に対してランス7から酸素を吹き込むことにより溶湯2を精錬(脱炭処理)する。精錬された溶湯2を電気炉1の出鋼口6から出銑して冷却すれば、ステンレス鋼が生産される。
このように、電気炉1にてクロムを含むスクラップを溶解して精錬し、含クロム鋼であるステンレス鋼を製造すると、出銑後の容器本体3にはCr(三価クロム酸化物)を含む鉱物相(例えば、MgO・Cr)を含有するスラグ(鉱滓)が残る。この三価クロム酸化物は、さらなる酸化によって有害な六価クロム酸化物(単に、六価クロムともいう)となる虞があるので、この六価クロムに対する対策を何も行わずに当該スラグを土木資材や路盤材として再利用すると、六価クロムが環境中に溶出する可能性がある。
なお、MgO・Cr以外にCr(三価クロム酸化物)を含む鉱物相としては、CaO(Al,Fe)などのCa-Al-Fe-O系鉱物相にCrが固溶した状態の鉱物相や、CaO-Crのような固溶状態の鉱物相が考えられる。
そこで、本実施形態では、Cr含有スラグの処理方法として、Crを含むスラグにおいて、当該スラグに含まれる全Cr量に対するMgO・Crに含有されるCr量の割合を判断し(Cr量判断工程)、Cr量判断工程にて判断されたCr量の割合が50質量%(以下、単に50%と示す)未満である場合には、スラグが溶融状態となった溶融スラグを冷却する過程で、800℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする(第1の冷却工程)。また、Cr量判断工程にて判断されたCr量の割合が50質量%以上80質量%未満(以下、単に50%以上80%未満と示す)である場合には、溶融スラグを冷却する過程で、600℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする(第2の冷却工程)。
通常、容器本体3に残ったスラグは、出銑後短時間の内に容器本体3から排滓口5を経てスラグポットに掻き出され、スラグポット内で冷却される。このスラグポットでの冷却を炉冷という。本実施形態によるCr含有スラグの処理方法は、スラグポットでの炉冷による冷却過程で非酸化性雰囲気を保ってもよいし、スラグポットへ掻き出さずに容器本体3内での冷却過程において非酸化性雰囲気を保ってもよい。
なお、ここでいう非酸化性雰囲気とは、大気酸化を起こさないようにスラグを環境中の大気から隔離する雰囲気のことであり、スラグポットや容器本体3内にあるスラグを、NやArなど非酸化性の希ガスで覆うとよい。
本実施形態によるCr含有スラグの処理方法は、スラグに含まれる全Cr量に対するMgO・Crに含有されるCr量の割合に着目して、スラグの冷却過程における雰囲気を制御する。このCr含有スラグの処理方法によって、環境庁告示第46号(以下、環告46号という)の基準を満たすようにスラグを処理し、六価クロムの溶出量を0.05mg/L以下にすることができる。
ここで、操業中の電気炉1において、Cr量判断工程における、スラグに含まれる全Cr量に対するMgO・Crに含有されるCr量の割合を如何にして判断するかという問題がある。通常の操業では種々の鋼種を製造するが、鋼種による目的組成に制御する必要があるため、スラグに含まれる成分及び成分の含有割合は、鋼種ごとにほぼ一定となる。そこで、鋼種ごとに、スラグに含まれる全Cr量に対するMgO・Crに含有されるCr量の割合を予め測定しておけば、当該電気炉におけるMgO・Crに含有のCr量の割合が50%未満であるのか、又は50%以上80%未満であるのかを判断することができる。言うまでもなく、当該Cr量の割合を必要に応じてオフラインで求めてもよい。
第1の冷却工程において、MgO・Crに含まれるCr量の割合が50%未満である場合には、溶融スラグを冷却する過程で800℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする。このように、Cr量の割合が50%以下の場合では、残りのCrを含有する鉱
物相(例:CaO・Crなど)がMgO・Crよりも多く生成することで、スラグが大気酸化するときの温度が高温となるに伴って、該スラグからの六価クロムの溶出量が増加する傾向にある。
これを踏まえて、本願の発明者は、MgO・Crに含まれるCr量の割合が50%未満である場合に六価クロムの溶出を確実に抑制するためには、800℃を超える温度でのスラグの大気酸化を防止する必要があることを実験及び研究を通じて知見するに至った。
第2の冷却工程において、MgO・Crに含まれるCr量の割合が50%以上80%未満である場合には、溶融スラグを冷却する過程で600℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする。このように、Cr量の割合が50%以上80%未満の場合では、MgO・Crが残りのCrを含有する鉱物相(例:CaO・Crなど)よりも多く生成し支配的であり、この場合においては、スラグが大気酸化するときの温度がある閾値を超えると、該スラグからの六価クロムの溶出量が増加する傾向にある。
これを踏まえて、本願の発明者は、MgO・Crに含まれるCr量の割合が50%以上80%未満である場合に六価クロムの溶出を確実に抑制するためには、600℃を超える温度でのスラグの大気酸化を防止する必要があることを実験及び研究を通じて知見するに至った。
第1の冷却工程と第2の冷却工程は共に、スラグが大気酸化するときの温度が高温となると、該スラグからの六価クロムの溶出量が増加する傾向にあるが、非酸化性雰囲気を保つ上限の温度(閾値温度)がそれぞれ異なる。その理由は、Crを含有する鉱物相の酸化挙動が異なることが原因であると考えられる。つまり、MgO・Crは高温だけでなく低温でも酸化し易いと推定されるので、MgO・Crが支配的である50%以上80%未満の場合における閾値温度(600℃)は、50%未満の場合における閾値温度(800℃)よりも低くなると考えられる。
上述の第1の冷却工程及び第2の冷却工程において、溶融されたスラグを大気酸化開始温度まで冷却する際は、以下に示す複数の冷却条件のうち少なくとも1つを選択して雰囲気制御し、スラグを環境から遮断する。
1つめの方法として、溶融スラグ上に酸化防止剤を散布する。ここで酸化防止剤は、コスト面などからCrを含まないスラグの粉末などが望ましく、かつ散布された粉末のスラグが高い気密性を発揮し溶融スラグを大気から隔離するためには粒径の細かい(<2mmなど)粉末であることが好ましい。
2つめの方法として、Crの酸化を防止するという観点では、Crより酸化しやすいM-Al,M-Fe,M-Siなどを粉末スラグへの添加することも有効であると考えられる。しかし、酸化防止剤散布としてのコストを考慮すると、粉末のスラグが好ましい。
3つめの方法として、溶融スラグの冷却期間において、該溶融スラグを取り巻く雰囲気をN,Arなどの非酸化性雰囲気に制御(つまり、環境制御)することも有効である。
さらに、4つめの方法として、溶融スラグを取り巻く雰囲気をN,Arなどの雰囲気ガス(希ガス)で非酸化性雰囲気にした後、該溶融スラグが容れられた容器に蓋をして密閉するとよい。容器が密閉されず開放されていると、雰囲気ガスを常時容器内に供給する必要が生じるためである。
上述の知見及び推定は発明者が行った実験及び研究に基づいているので、その実験及び研究結果について、図2を参照しながら説明する。
図2は、含有される全Cr量に対するMgO・Crに含まれるCr量の割合が50%以上80%未満のスラグ(○印)と、該Cr量の割合が50%未満のスラグ(△印)とについて、大気酸化を開始する温度(大気酸化開始温度)、つまり非酸化性雰囲気を保つ上限の温度(閾値温度)を様々に変化させて六価クロムの溶出量を測定した結果を示すグラフである。
図2に示す結果によると、△印(50%未満)は、大気酸化開始温度が1000℃以上のときは土壌環境基準を超える値を示しているが、大気酸化開始温度が800℃以下のと
きは全ての結果が土壌環境基準を下回る値を示している。これに対して、○印(50%以上80%未満)は、大気酸化開始温度が800℃以上のときは、土壌環境基準を超える値を示している。しかし、大気酸化開始温度が600℃以下のときは全ての結果が土壌環境基準を下回る値を示している。
上述のように大気酸化開始温度を制御することで、Crを含むスラグの副産物である六価クロムの溶出を抑制し土壌環境基準を満たすことができるので、スラグ再利用を促進して産業廃棄物の発生量を低減すること、及び処理費用を削減することができるという効果が得られる。これに加えて、本実施形態によるCr含有スラグの処理方法は、大気酸化開始温度を制御するだけで六価クロムの溶出量を抑制できるので、従来の技術と比べて非常に小さなコストで実現可能であるという効果が得られる。
次に、本発明の実施例を、具体的に説明する。
まず、下の表1に記号A〜Jとして示すように、組成の異なる10種類のスラグを用意した。記号A〜記号Gのスラグでは、全Cr中の50%以上がMgO・Crとして存在し、記号H〜記号Jのスラグでは、全Cr中の50%未満がMgO・Crとして存在する。
Figure 2014237556
ここで、スラグ中におけるMgO・Crの判別方法を説明する。
まず、スラグの断面を、EPMA(Electron Probe MicroAnalyzer)を用いて200μm×240μm(500倍)の視野で観察した。次に、EPMAで100×100点のマッピング分析を行い、Cr濃度(at.%)分布を評価した。このマッピング分析で、Cr濃度が3%以上であった部分をCr含有鉱物相と判断した。マッピング分析においては、スラグに含まれる一般元素であるO,Mg.Al,Mn,Fe,Si,Ca,Crで規格化した。
このように得られたCr含有鉱物相において、(Mg+Mn)/(Cr+Al)の値が0.35〜0.65の範囲にある鉱物相をMgO・Crと判断した。これは、MgO・Crの大半はMg,Crを主成分とするが、スラグ中のMn,Alと置換して(Mg,Mn)O・(Cr,Al)としても存在し得るためである。なお、MgO・Crの存在はXRD(JCPDS:10−0351)でも確認可能である。
次に、Ca-Al-Fe-O系鉱物相へのCrの固溶及びCaO・Crの判別方法を説明する。
まず、上述のMgO・Crの判別と同様に、スラグの断面を、EPMAを用いて200μm×240μm(500倍)の視野で観察した。次に、EPMAで100×100点のマッピング分析を行い、Ca,Al,Fe,Cr濃度(at.%)分布を評価した。このマッピング分析で、Cr濃度が1%以上であり、Ca/(Al+Fe+Cr)の値が0.3〜1.7の範囲である鉱物相を、MgO・Crが、Ca-Al-Fe-O系に固溶して又はCaO・Cr(MgO・Cr以外)として存在している鉱物相とした。マッピング分析においては、スラグに含まれる一般元素であるO,Mg,Al,Mn,Fe,Si,Ca,Crで規格化した。また、固溶しているCrはCr濃度が低いため、1%以上の部分をCrが固溶した鉱物相として判別した。
なお、CrがCa(Al,Fe)に固溶している場合、Ca/(Al+Fe+Cr)の値は1に近い値となり、CrがCa(Al,Fe)に固溶している場合、Ca/(Al+Fe+Cr)の値は0.5に近い値となる。
加えて、CrがCaO・Crのような状態で存在するとしても、Al,Feと置換したCaO・(Cr,Al,Fe)として存在する可能性が考えられ、この場合、Ca/(Al+Fe+Cr)の値は0.5に近い値となる。
以上の判別を経て、スラグ中の全Cr量を次のように算出した。
上記MgO・Crの判別で求めたCr濃度分布から、EPMAによる観察視野の平均Cr濃度(XCr,ave)を求め、式(1)に示すように分析点数(N=10000点)を乗じることで、観察視野内の全Cr量(Xtotal,Cr)を算出した。
Xtotal,Cr=N×XCr,ave (1)
スラグ中の全Cr量を算出した後、スラグ中の全Cr量に対する、MgO・Crの割合(Y)を算出した。
上述のMgO・Crの判別で特定したMgO・Cr相におけるCr量の積算値を、式(2)に示すように求めた。
Cr,MgO・Cr2O3=Σ(XCr,i) (2)
ただし、XCr,iは、MgO・Crの判別でMgO・Cr相と判断した各点でのCr濃度である。
その上で、式(3)に示すように、式(2)で算出したMgO・Cr相におけるCr量の積算値を式(1)で算出した全Cr量で除することで、スラグ中の全Cr量に対する、MgO・Crの割合(Y)を求めた。
Y=100×XCr,MgO・Cr2O3/Xtotal,Cr (3)
以上のような手順でMgO・Crの割合(Y)を求めた、表1に示す記号A〜Jのスラグに対して、六価クロムの溶出量を測定する実験を行った。600℃、800℃及び1000℃の3つの大気酸化開始温度で実験を行い、600℃での結果を表2として、800℃での結果を表3として、1000℃での結果を表4として以下にまとめた。
この実験の手順を説明する。
まず、スラグを、Ar-5%H雰囲気で1000℃×2時間加熱した。この加熱によって、六価クロムの溶出の無いスラグに改質された。
改質されたスラグを、Ar雰囲気(非酸化性雰囲気)で1600℃×20分間保持し、完全に溶融した。これによって、スラグが溶融された状態を再現した。
溶融された状態から、スラグの炉冷を開始し、大気酸化開始温度である所定温度(600℃,800℃又は1000℃)になった段階でArからAir(大気)に雰囲気を切り換えた。
非酸化性雰囲気から酸化性雰囲気であるAir雰囲気に切り換えた後、Air雰囲気のまま常温までスラグを冷却し採取した。採取したスラグに対して、溶出試験(環告第46号に準拠)を行い、六価クロム溶出量を評価した。
溶融されたスラグを大気酸化開始温度まで冷却する際は、上述の実施形態で述べた複数の冷却条件(冷却方法)のうち少なくとも1つを選択して雰囲気制御し、スラグを環境から遮断した。
以上の手順によって、大気酸化開始温度を600℃,800℃又は1000℃として溶融スラグを冷却したときの、記号A〜Jの六価クロム溶出量を、表2〜表4に示す。
次の表2は、大気酸化開始温度を600℃として溶融スラグを冷却したときの六価クロム溶出量を示している。
Figure 2014237556
記号A〜Jの全てのスラグにおいて、六価クロムの溶出量が検出下限(0.01mg/L)以下となり、記号A〜Jの全てが、環境庁告示第46号(以下、環告46号という)に定められた土壌環境基準を満たした。つまり、全Cr中におけるMgO・Crの割合にかかわらず、土壌環境基準を満たすことができた。
次の表3は、大気酸化開始温度を800℃として溶融スラグを冷却したときの六価クロム溶出量を示している。
Figure 2014237556
記号A〜Gのスラグにおいて、六価クロムの溶出量が環告46号の土壌環境基準を超えた。その一方で、記号H〜Jのスラグにおいて、六価クロムの溶出量は検出下限(0.01mg/L)以下となり、環告46号の土壌環境基準を満たした。つまり、全Cr中におけるMgO・Crの割合が50%未満であれば土壌環境基準を満たすことができたが、50%以上であれば土壌環境基準を満たすことができなかった。
次の表4は、大気酸化開始温度を1000℃として溶融スラグを冷却したときの六価クロム溶出量を示している。
Figure 2014237556
記号A〜Jの全てのスラグにおいて、環告46号に定められた土壌環境基準を満たすことができなかった。つまり、全Cr中におけるMgO・Crの割合にかかわらず、土壌環境基準を満たすことができなかった。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 電気炉
2 溶湯
3 容器本体
4 蓋体
5 排滓口
6 出鋼口
7 ランス
8 電極

Claims (1)

  1. Crを含むスラグにおいて、前記スラグに含まれる全Cr量に対するMgO・Crに含有されるCr量の割合を判断するCr量判断工程と、
    前記Cr量判断工程にて判断されたCr量の割合が50質量%未満である場合には、前記スラグが溶融状態となった溶融スラグを冷却する過程で、800℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする第1の冷却工程と、
    前記Cr量判断工程にて判断されたCr量の割合が50質量%以上80質量%未満である場合には、前記溶融スラグを冷却する過程で、600℃以下に冷却されるまで非酸化性雰囲気とする第2の冷却工程と、を備えることを特徴とするCr含有スラグの処理方法。
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