JP5822778B2 - スラグにおける六価クロムの溶出抑制方法及びスラグ - Google Patents

スラグにおける六価クロムの溶出抑制方法及びスラグ Download PDF

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本発明は、スラグから六価クロムが溶出することを抑制するための方法、及びこの方法を用いて製造されたスラグに関する。
近年、廃棄物を低減するためや天然資源の枯渇等の問題から、製鋼などで生成されたスラグを土木資材や路盤材等に利用することが注目されている。スラグを土工用、路盤材として利用するためには、環境庁告示46号(以下、環告46号)に定められた土壌環境基準を満足する必要があり、六価クロムの溶出量は0.05mg/L以下とすることが定められている。また、海洋用途などに利用するためには、環境庁告示14号(以下、環告14号)に基づき、水底土砂判定基準を満足する必要があり、六価クロムの溶出量は0.5mg/L以下とすることが定められている。
例えば、電気炉などでクロム鋼(含クロム鋼)を精錬した後のスラグ中には、Cr(三価クロム酸化物)が含有されている。この三価クロム酸化物は、さらに酸化すると、六価クロム酸化物となり有害な物質となるため、土工用や路盤材として利用するためには、この六価クロム酸化物(単に、六価クロムと呼ぶこともある)の溶出量を0.05mg/L以下にする必要がある。
スラグを土工用や路盤材に使用した場合であっても、当該スラグから六価クロムの溶出を抑制するための様々な技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、スラグ中の全クロムの80質量%以上がMgO・Crとして存在し、2CaO・SiO含有量がスラグ質量に対して3質量%未満とする鉄鋼精錬スラグが開示されている。
特許第4388845号公報
上記した特許文献1が開示する鉄鋼精錬スラグは、一定の条件下では六価クロムの溶出量を可及的に抑制可能なものかもしれない。しかしながら、例えば、高温の酸化雰囲気に曝された場合、MgO・Crも六価クロムの溶出の虞がある。即ち、Crを含む鉱物相の生成量を制御するだけでは、六価クロムの溶出を抑制するには不十分である可能性が考えらる。
本発明は、上記問題点に鑑み、クロムを含有するスラグから六価クロムが溶出することを確実に抑制することができる六価クロムの溶出抑制方法、及びこの方法を用いて製造されたスラグを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係るスラグにおける六価クロムの溶出抑制方法は、Crを含有するスラグから六価クロムが溶出することを抑制する方法であって、前記スラグに含有される総Crのうち、50〜80質量%のCrをMgO・Cr又はMnO・Crで存在させ、3質量%以上のCrを当該Crを含む鉱物相の形でM.Fe内に含有させ、残りのCrを(Mg,Fe)SiO 又はCaMgFeSiOの鉱物相の形として存在させることを特徴とする。
好ましくは、前記総Crのうち、5質量%以上のCrを当該Crを含む鉱物相の形でM.Fe内に含有させるとよい。
また、本発明に係るスラグは、Crを含有するスラグにおいて、前記スラグに含有される総Crのうち、50〜80質量%のCrがMgO・Cr又はMnO・Crで存在し、3質量%以上のCrが当該Crを含む鉱物相の形でM.Fe内に含有されていて、残りのCrが(Mg,Fe)SiO 又はCaMgFeSiOの鉱物相の形として存在していることを特徴とする。
好ましくは、前記総Crのうち、5質量%以上のCrが当該Crを含む鉱物相の形でM
.Fe内に含有されているとよい。
本発明によれば、スラグからの六価クロムの溶出を確実に抑制することができる。
電気炉における精錬の状況を模式的に示したものである。 スラグ中に含まれるCrの形態(状態)を示したものである。 スラグから六価クロムが溶出する挙動を模式的に示したものである。 スラグをSEMで観察した観察図である。
以下、本発明に係る六価クロムの抑制方法、及びこの方法を用いて製造されたスラグの実施の形態を、図をもとに説明する。
なお、以下の説明において、溶銑や溶鋼のことを溶湯と表現し説明を行う。また、図面において、三価クロムをCr(III)とし、六価クロムをCr(VI)と表現することもある。
図1は、クロムを含む含クロム鋼(例えばステンレス鋼)を製造する電気炉を示したものである。
図1に示すように、電気炉1は、内部に投入した冷鉄源等を溶解すると共に、溶解した冷鉄源等や外部から直接装入された溶湯2を精錬するものであって、溶湯2を精錬する容器本体3と、この容器本体3を覆う蓋体4とを備えている。
容器本体3と蓋体4とは上下分離可能となっている。この容器本体3と蓋体4とによって、一方側(紙面、右側)に排サイ口5が形成され、他方側(紙面、左側)に出鋼口6が形成されている。この排サイ口5には、容器本体3内の溶湯に対して、酸素を吹き込むためのランス7を装入することができる。なお、容器本体3に、排サイ口5や出鋼口6が形成されていてもよい。
蓋体4等には、アークを発生させる単独もしくは複数の電極8(例えば、炭素電極)を通すための穴が設けられ、この電極8のアーク放電によって内部の冷鉄源を溶解するようになっている。
斯かる構成の電気炉1では、まず、容器本体3に冷鉄源(例えばクロムを含むスクラップ)などの主原料と副原料等を投入する。なお、投入のタイミングは同時でも、副原料を後投入でも問題はない。そして、電極8によるアーク放電によって、冷鉄源及び副原料を加熱溶解して溶融状態とし、その溶湯2に対してランス7により酸素を吹き込むことにより、精錬処理(脱炭処理)を行い、ステンレス鋼を製造する。
このように、ステンレス鋼すなわち含クロム鋼を製造するために電気炉にて精錬を行うと、この精錬処理後のスラグには、三価クロムなどの形でCrが含有されることとなる。本発明では、このようにステンレス鋼を製造したときに、精錬処理で生成したCrを含むスラグを、当該スラグからの六価クロムの抑制を抑えつつ再利用できるようにしている。なお、本発明では、普通鋼を溶製したときのスラグ、即ち、Crが7質量%以下のものは対象としていない。
再利用するスラグの組成は、質量%で、CaO:10〜30%、SiO:20〜40%、Al:1〜10%、T.Fe:0.1〜10%、MgO:7〜25%、Cr:7超%、MnO:5〜15%である。また、当該スラグにおいて、その他に、TiOとVと、Sと、P5、F、f−CaOとの合計が10質量%以下であり、残部が不可避不純物である。
CaOは、精錬処理において脱りん剤や電気溶解時のカバーフラックスとして機能するものであり、特に酸化精錬においては、脱りん剤として機能する。CaO量は、脱りん処理後のりん濃度(P濃度)、即ち、目的とするP濃度によって異なるものの、10質量%以上必要である。なお、CaO濃度が高くなると溶融性(サイ化性)や反応性が低下することから、30質量%以下であることが必要である。
スラグの流動性を確保するためには、スラグ中のCaO濃度とSiO濃度の比(スラグ塩基度)を低くする必要があり、そのために、SiOは20質量%以上とする必要が
ある。なお、脱硫処理においては、ある程度の塩基度を確保する必要があることから、SiOの濃度を40質量%以下にする必要がある。
Alは、スラグの融点を下げる効果があるため、造サイ材としてAl源を添加することもある。なお、電気炉1にて精錬を行った場合、Al濃度は1〜10質量%である。
T.Feは、金属鉄(M.Fe)や鉄酸化物(FeOやFe)を含むものであって、鉄酸化物はCaOと反応して低融点酸化物を構成し、スラグのサイ化を促進させる。精錬を行うにあたってスラグ中の酸化度を高めることは必要であるものの、スラグ中T.Feが高すぎると、溶湯(溶鋼)の歩留が低減することになり、T.Feが高すぎることは望ましくなく10質量%以下であることが必要であり、T.Feは0.1〜10質量%である。
MgOは、精錬上の機能は有しておらず、MgO系耐火物の溶損防止を目的として添加しており、MgOは7〜25質量%である。
Crは、精錬上の機能は有しておらず、溶湯中のCrが酸化されることにより、スラグ中に含有されることになる。Cr濃度は主に溶湯(溶鋼)とのCr分配やスクラップ中のCr成分に依存するが、ステンレス鋼を製造するために7質量%を超えている。
MnOは、MgOと同様に精錬上の機能は有しておらず、溶鋼中Mnが酸化されることでスラグに含有されることになり、MnOは5〜15質量%である。
また、スラグ中には、上述した組成の他に、TiO、V、S、P5、F、f−CaOなどが含まれるが、これらの合計は、10質量%以下である。
本発明では、再利用するスラグの組成は、精錬処理後に排サイしたスラグ自体の組成であっても、改質処理を行った後の組成であってもよい。即ち、精錬後のスラグをそのまま再利用する場合は、精錬処理後(電気炉から排サイ後)の成分(組成)が上述した成分になるように精錬時にスラグの成分調整を行う。
また、精錬処理後のスラグを一旦、改質して再利用する場合は、精錬終了時に電気炉1内で成分調整を行うか、もしくは電気炉1からスラグポット(スラグを受ける容器)に精錬処理後のスラグを排サイし、スラグポットに排サイしたスラグに成分調整のための材料を加えて、上述した成分になるように成分調整を行う、或いはスラグポットに予め改質材を投入したうえでスラグを排サイしてもよい。
さて、スラグからの六価クロムの溶出は、スラグ中に含有しているCrの状態によって変化すると考えられる。そこで、本発明では、スラグ中に含有されるCrがどのような状態で存在しているかを規定することにより、六価クロムの溶出の確実な抑制を行うこととしている。
図2に示すように、具体的には、スラグ(ステンレススラグ)に含有される全てのCrを100%としたとき、全Crのうち、50〜80質量%のCrをMgO・Cr又はMnO・Crの形で存在させるようにしている。ステンレススラグにおいて、スラグ中の鉱物相は、MgO・Crであり、MgとMnが置換したMnO・Crとして存在することもある。
なお、総Crのうち、50質量%以上のMgO・Cr又はMnO・Crが存在することになるが、80質量%を超えている状態であると、高温の大気酸化雰囲気化によって、六価クロム[(Cr(VI)]として溶出することがある。そのため、80質量%以下をMgO・Cr又はMnO・Crとしている。なお、以下説明の便宜上、MgO・Cr又はMnO・Crとなっている部分をMg・Mn鉱物相ということもある。
さて、図3(a)に示すように、ステンレススラグ中に六価クロム[Cr(VI)]が生成した場合を考える。そのままの状態であると、生成された六価クロムは、容易に水溶液中に溶出するため六価クロムの溶出量は増加することになる。しかしながら、図3(b)に示すように、水溶液中で六価クロムを還元し、三価クロム[Cr(III)]にすれば、六価クロムの溶出を抑えることができる。つまり、六価クロムを水溶液中で三価クロムに還元
することができれば、最終的には六価クロムの溶出を抑制することができる。そこで、発明者らは、ステンレススラグに含有される物質で還元剤として作用する成分について検討を行ったところ、M.Feが有効であることを知見した。
このようなことから、発明者らは、さらに、実験等により検証を進め、ステンレススラグにおいては、総Crのうち、3質量%以上はM.Feに含有させて、M.Fe中にCrを含む鉱物相として存在させることによって、六価クロムの溶出を抑えることを見いだした。なお、ステンレススラグ中のM.Feは、例えば、「2Fe+Cr 2−+7HO→2Fe(OH)+2Cr(OH)+2OH」となり、六価クロムを還元すると考えられる。なお、Crが鉱物相として内在するM.FeをM.Fe鉱物相と呼ぶこともある。
なお、上述したように、M.Fe鉱物相に含まれるCrは、総Crの3質量%以上であることが必要であるが、M.Fe鉱物相内のM.Feが還元剤として確実に働くためには、M.Fe鉱物相に含まれるCrは、総Crの5質量%以上であることが好ましい。このようにすれば、後述するように、六価クロムの溶出量を0.05mg/L以下にすることができ、より六価クロムの溶出を抑制することができる。
このように、本発明では、図2に示すように、ステンレススラグに含まれるCrを見たとき、総Crのうち、Mg・Mn鉱物相に含まれるCrを50〜80質量%、M.Fe鉱物相に含まれるCrを3質量%以上としている。また、ステンレススラグに含まれるCrを見たとき、Mg・Mn鉱物相及びM.Fe鉱物相に存在しないCrは、Crとした形で存在しないようにしている。言い換えれば、Mg・Mn鉱物相及びM.Fe鉱物相を除く残りの部分は、三価クロムが無い非Crであって、三価クロム酸化物以外の他の化合物として存在している。上述したように、残りの部分を、非Crとしているため、高温大気酸化によっても六価クロムまで酸化されず、六価クロムの溶出量を抑制することができると考えられる。
図4は、再利用するステンレススラグをSEM(電子顕微鏡)で見たものである。
図4に示すように、「G−1−A」は、MgO・Crを含む鉱物相(Mg・Mn鉱物相)を示しており、このMg・Mn鉱物相に含まれるCrは、総Crに対して76.6%である。また、「G−1−B」は、Crを含むM.Feの鉱物相(M.Fe鉱物相)であり、このM.Fe鉱物相に含まれるCrは、総Crに対して14.2%である。さらに、「G−1−C」及び「G−1−D」は、単一の三価クロム酸化物ではない鉱物相(非Cr)であり、この相に含まれるCrは、総Crに対して9.2%である。
なお、SEM(電子顕微鏡)などでスラグの鉱物相を解析したとき、例えば、MgO・Crを含む鉱物相(Mg・Mn鉱物相)のように、単一のCrではないCr含有鉱物相を非Crとしている。
上述したように、総Crのうち、Mg・Mn鉱物相に含まれるCrを50〜80質量%とし、M.Fe鉱物相に含まれるCrを3質量%以上とし、残りの部分に含まれるCrを非Crとするためには、電気炉等から排サイした溶融スラグを冷却するときに、様々な工夫を行う。
例えば、スラグを小さな容器に入れて、スラグと大気との接触面を小さくする。このようにすれば、スラグの酸化される部分が小さくなり、全体として、酸化されるスラグ中のFe成分が少なく、M.Feの生成量が多くなり、M.Fe中に存在するCrの率も増加する。
或いは、非酸化性雰囲気化で冷却すれば、同様に、酸化されるスラグ中のFe成分が少なくなる。一方で、還元雰囲気化で冷却すれば、FeOがM.Feになることが助長されるためよい。スラグの冷却時において雰囲気制御が難しい場合は、スラグの周りの酸素濃度が低い環境で冷却するのもよい。さらに、スラグを冷却する容器に蓋をするなどしてスラグと大気との遮断を行ってFeの酸化を防止してもよい。また、大気冷却を行う場合などは、Feよりも酸化しやすい成分(Si、Ti、Al、Mg)を脱酸剤としてスラグに添加してもよい。このようにすれば、FeO分の脱酸(M.Fe化)が期待できる。加えて、Cr含有鉱物相の酸化防止も期待できる。
表1は、本発明に示したスラグ組成となるようにした実施例と、本発明のスラグ組成とは別のスラグ組成になるようにした比較例とをまとめたものである。
実施例においては、電気炉等から排サイして、最終的に再利用するスラグ(リサイクルスラグ)となった時点での成分が上述した範囲内となるように、排サイ後のスラグの成分
調整を行いながら冷却を行ったり、排サイ後に成分調整が必要でない場合は、排サイ後のスラグを成分調整を行わずに冷却を行った。
スラグ中の総Cr(全Cr)は式(1)により求めた。また、M.Fe中のCr量は、式(2)に示すように、スラグ中のM.Fe量にM.Fe中のCr濃度を乗ずることにより求めた。M.Fe中のCr濃度は、SEM(電子顕微鏡)で500倍に拡大して、M.Feの部分のCr濃度をEDX(エネルギー分散型X線分光法)で分析した。例えば、5点の検体について分析を行い、その平均値をM.Fe中のCr濃度とした。M.Fe中のCrの割合は、式(3)により求めた。
実施例及び比較例において、六価クロムの溶出量の判定は、環境庁告示14号(以下、環告14号)「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第5条第1項に規定する埋立場所等に排出しようとする廃棄物に含まれる金属等の検定方法」に基づいて求めた。環告14号では、六価クロム溶出量が0.5mg/L以下であれば良好とされている。また、六価クロムの溶出量の判定は、環境庁告示46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に基づいて求めた。環告46号では、六価クロム溶出量が0.05mg/L以下であれば良好とされている。なお、表1に示す六価クロム溶出量は環告14号および環告46号で溶出量の多い方の値を記載した。
実施例1〜31では、「MgO・Crの存在割合」の欄に示すように、スラグ中に含有される総Crのうち、50〜80質量%がMgO・Crである。また、実施例1〜31では、「M.Fe中のCr割合」の欄に示すように、スラグ中に含有される総Crのうち、5質量%以上はM.Feに含有され且つ鉱物相の形で存在している。さらに、実施例1〜31では、スラグ中に含有される総Crのうち、「残りの部分」の欄に示すように、残りの部分は、非Crとして存在している。
したがって、実施例1〜31では、六価クロムの溶出量を、環告46号で定められている0.05mg/L以下にすることができ、環告14号においても六価クロム溶出量は0.5mg/L以下であり、両者の基準を満たすことができる。
また、実施例32及び33では、「M.Fe中のCr割合」の欄に示すように、スラグ中に含有される総Crのうち、3〜5質量%がM.Feに含有されているため、六価クロムの溶出量を0.50mg/L以下にすることができ、少なくとも環告14号を満たすことができる。
一方で、比較例1〜6は実験的に溶融スラグをサンプリングし、大気雰囲気化で徐冷した。これらのスラグでは、本発明に規定した条件を満たしていないため、六価クロムの溶出量が0.5mg/Lを超えてしまうことになった。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 電気炉
2 溶湯
3 容器本体
4 蓋体
5 排サイ口
6 出鋼口
7 ランス
8 電極

Claims (4)

  1. Crを含有するスラグから六価クロムが溶出することを抑制する方法であって、
    前記スラグに含有される総Crのうち、50〜80質量%のCrをMgO・Cr又はMnO・Crで存在させ、3質量%以上のCrを当該Crを含む鉱物相の形でM.Fe内に含有させ、残りのCrを(Mg,Fe)SiO 又はCaMgFeSiOの鉱物相の形として存在させることを特徴とするスラグにおける六価クロムの溶出抑制方法。
  2. 前記総Crのうち、5質量%以上のCrを当該Crを含む鉱物相の形でM.Fe内に含有させることを特徴とする請求項1に記載のスラグにおける六価クロムの溶出抑制方法。
  3. Crを含有するスラグにおいて、
    前記スラグに含有される総Crのうち、50〜80質量%のCrがMgO・Cr又はMnO・Crで存在し、3質量%以上のCrが当該Crを含む鉱物相の形でM.Fe内に含有されていて、残りのCrが(Mg,Fe)SiO 又はCaMgFeSiOの鉱物相の形として存在していることを特徴とするスラグ。
  4. 前記総Crのうち、5質量%以上のCrが当該Crを含む鉱物相の形でM.Fe内に含有されていることを特徴とする請求項3に記載のスラグ。
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