JP4648820B2 - 極低硫含クロム溶鋼の製造方法 - Google Patents

極低硫含クロム溶鋼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Al濃度及び硫黄濃度を低減した極低硫含クロム溶鋼の製造方法に関する。
従来、転炉を用いて含クロム溶鋼を溶製する方法として、例えば、脱Si、脱S、及び脱Pの予備処理を施した溶銑を転炉に装入し、この溶銑にクロム源を添加して上吹きランスから酸素を吹酸し、炭素濃度が0.1質量%以上0.7質量%以下になるまで脱炭精錬を行い、その後二次精錬を行う方法が採用されている。そして、この方法により製造した含クロム溶鋼から、連続鋳造により鋼片を製造している。
この製造方法における代表的な脱硫方法としては、以下の方法がある。
例えば、特許文献1には、二次精錬において、Si源を脱酸剤とすると共にスラグ成分を調整して含クロム溶鋼を真空中で脱酸精錬するに際し、生成スラグの塩基度(CaO/SiO2)を1.5〜2.5に、このスラグ中のAl23濃度を8〜12質量%に、かつこのスラグの(CaO/Al23)を4.0以上にそれぞれ調整して、含クロム溶鋼の脱酸及び脱硫を行う方法が開示されている。
また、特許文献2には、低アルミニウムで低硫黄のステンレス鋼を製造するに際し、仕上脱炭処理後の取鍋内の溶鋼及びスラグに、脱酸用のAlと脱硫用のCaOを添加して、溶鋼及びスラグを真空状態で還元し、この還元後に取鍋内のスラグを排出除去すると共に、溶鋼に含まれる過剰Alを吹酸除去する方法が開示されている。
そして、特許文献3には、低アルミニウムで低硫黄のステンレス鋼を製造するに際し、転炉で一次精錬を行った後に、生成したスラグをSi含有合金で還元処理し、粗溶鋼中のAl濃度が0.05〜0.2質量%になるようにAlを添加して脱硫処理を行ってから取鍋に出鋼し、引き続き行う二次精錬における昇熱及び脱酸処理時にAlを添加しない方法が開示されている。
特開平9−263824号公報 特開平8−41530号公報 特開2002−371313号公報
しかしながら、前記従来の含クロム溶鋼の製造方法には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1の方法では、スラグの低融点化を目的にCaF2の代替としてAl23を8〜12質量%添加しているが、実操業可能な溶鋼温度レベルにおいて、このAl23量では、スラグの滓化効果が十分に得られず、安定的に極低Al化及び極低硫化を達成することができない。
また、特許文献2の方法では、真空還元後にスラグを取鍋内から排出除去しても、スラグを取鍋内から完全に除去することはできない。このため、取鍋内に残留する脱硫スラグからの復硫又は吹酸除去したAlの溶鋼中の残留について、十分な対処がなされておらず、極低Al極低硫ステンレス鋼の安定的な製造が難しいという問題があった。
そして、特許文献3の方法では、転炉耐火物の損耗が激しく、また、Al添加後の粗溶鋼中の酸素ポテンシャルが低くなるため、出鋼時の[N]ピックアップ(増加量)が大きくなるという問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来のように、環境に有害なフッ素を含有する蛍石を使用することなく、極低Alかつ極低硫黄の含クロム溶鋼を製造できる極低硫含クロム溶鋼の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る極低硫含クロム溶鋼の製造方法は、予備処理を施した溶銑にクロム源を添加し、吹酸処理して粗溶鋼を溶製する一次精錬を行った後、該粗溶鋼が含有する成分の調整をして溶鋼を製造する二次精錬を行う含クロム溶鋼の製造方法において、
前記二次精錬の際に、前記粗溶鋼及び該粗溶鋼を覆うスラグ中の硫黄分の総量を、前記溶鋼の目標硫黄量の1.5倍以下に調整した後、前記スラグの組成を、スラグ塩基度(CaO(質量%)/SiO (質量%)):1.5以上2.2以下、Al:12質量%を超え18質量%以下にする。
本発明に係る極低硫含クロム溶鋼の製造方法において、前記二次精錬の際の前記粗溶鋼の温度を1600℃以上1750℃未満にすることが好ましい。
請求項1及び2記載の極低硫含クロム溶鋼の製造方法は、粗溶鋼及びこれを覆うスラグ中の硫黄分の総量を、粗溶鋼から製造する溶鋼中の硫黄分の目標値の1.5倍以下に調整するので、脱硫に使用したAlを吹酸で除去する際に、スラグ中から溶鋼中へ移行する硫黄量、即ち復硫する量を低減できる。また、スラグの塩基度(CaO(質量%)/SiO (質量%))を規定するので、十分な脱硫能を備えると共に、スラグから溶鋼へ移行するAl量を低減できる。そして、スラグのAl濃度を規定するので、スラグの滓化性(スラグの流動性)を良好にできると共に、十分な脱硫能を備えることができる。
これにより、環境に有害なフッ素を含有する蛍石を使用することなく、製造した含クロム溶鋼の極低Al化及び極低硫化が可能になる。
特に、請求項2記載の極低硫含クロム溶鋼の製造方法は、粗溶鋼の温度を設定するので、環境に有害なフッ素を含有する蛍石を使用することなく、スラグの滓化性を確保でき、粗溶鋼とスラグとの反応性を向上できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る極低硫含クロム溶鋼の製造方法の説明図、図2はCaO/SiO2と脱硫能との関係を示す説明図、図3はCaO/SiO2と平衡[Al]との関係を示す説明図、図4はAl23濃度とスラグ滓化性との関係を示す説明図、図5は溶鋼温度とスラグ滓化性との関係を示す説明図、図6は溶鋼温度と取鍋耐火物の損耗量との関係を示す説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る極低硫含クロム溶鋼の製造方法は、予備処理を施した溶銑にクロム源を添加し、吹酸処理して含クロム粗溶鋼(以下、単に粗溶鋼ともいう)を溶製する一次精錬を行った後、この粗溶鋼が含有する成分の調整をして溶鋼を製造する二次精錬を行う方法であり、二次精錬の際に、粗溶鋼及びこれを覆うスラグ中の硫黄分の総量を調整した後、スラグの組成を調整して、極低硫含クロム溶鋼(以下、単に溶鋼ともいう)を溶製する方法である。以下、詳しく説明する。
図1に示すように、高炉溶銑を使用した含クロム溶鋼の溶製は、溶銑予備処理工程で不純元素であるSi、P、及びSの大部分を予め除去し、製造した溶銑を転炉工程で転炉に装入する。この転炉工程では、上吹のみ、底吹のみ、又は上吹と底吹とを組み合わせ、溶銑に吹酸することにより、溶銑中の炭素を除去する粗脱炭処理を行うと共に、例えば、含クロム溶湯、Fe−Cr合金、又はクロム鉱石のクロム源を溶銑に添加することにより、含クロム粗溶鋼(例えば、炭素濃度:0.1質量%以上0.7質量%以下程度、硫黄濃度:0.010質量%以上0.100質量%以下程度)を製造する。
この含クロム粗溶鋼から含クロム溶鋼を製造する場合、大気雰囲気下で含クロム粗溶鋼に吹酸を行っても、クロム酸化を招いて目標レベルまで炭素量を低減できない。そこで、含クロム粗溶鋼を取鍋に移し、引き続き行う二次精錬工程において、真空下又は不活性ガス雰囲気下で含クロム粗溶鋼の吹酸脱炭(仕上脱炭精錬)を行い、目標C量(例えば、炭素濃度が0.001質量%以上0.08質量%以下程度)となるまで脱炭し、含クロム粗溶鋼の成分調整及び温度調整を行う。そして、この脱炭精錬を行った含クロム溶鋼を、連続鋳造工程で凝固させて鋼片を製造する。
この二次精錬工程においては、仕上脱炭処理後の取鍋内の粗溶鋼及びこれを覆うスラグに、脱酸用のAlと脱硫用のCaOを添加し、粗溶鋼中の酸素をAl23として、硫黄をCaSとして、それぞれスラグに吸収させる。そして、このスラグの大部分(例えば、全スラグ量の70質量%以上95質量%以下程度)を取鍋から排滓することで、取鍋中の粗溶鋼と取鍋中に残存するスラグ中の硫黄分の総量を事前に調整する。
通常、二次精錬の際に粗溶鋼を覆うスラグ中の硫黄分(S)と粗溶鋼中の硫黄分[S]との分配比Lsは、スラグの脱硫能を十分に高めるため、以下の式を満足することが必要である。
Ls=(S)/[S]≧10
なお、分配比の上限については示していないが、例えば、15程度である。
以上のことから、分配比10以上を確保し、製造する溶鋼の目標硫黄量を達成するには、排滓後の粗溶鋼及びこれを覆う残存スラグ中の硫黄分の総量を、製造する溶鋼の目標硫黄量の1.5倍以下、好ましくは1.4倍以下にする。
なお、硫黄分の総量の下限値については規定していないが、この処理では、例えば、1倍程度である。
このように、硫黄分の総量が1を超える場合があるため、粗溶鋼の硫黄分が、製造する溶鋼の目標硫黄量を超える場合もあるが、これは、引き続き行う処理により、目標硫黄量を満足できる。
続いて、スラグを排滓した後の取鍋内の粗溶鋼に吹酸し、過剰Alを除去すると共に、スラグ組成を制御する。
二次精錬でのスラグ組成は、スラグ塩基度(CaO/SiO2)が1.5以上2.2以下、Al23が12質量%を超え18質量%以下になるように調整する。
なお、スラグ塩基度に影響を及ぼすCaOの調整は、例えば生石灰の添加により行い、SiO2の調整は、例えば昇熱又は還元で用いるFe−Si合金又は軟珪石の添加により行う。また、Al23の調整は、例えば、溶鋼[Al]の調整、取鍋耐火物の溶出Al23の調整、又はアルミナフレークの添加により行う。
ここで、スラグ塩基度を、前記した範囲に調整する理由について、図2、図3を参照しながら説明する。
なお、図2は、取鍋内の150トンの粗溶鋼上に8トンのスラグを配置した場合のスラグ塩基度(C/S)と分配比(Ls)との関係を示している。ここで、スラグ組成調整前の粗溶鋼の硫黄濃度は200ppm、粗溶鋼の温度は1700℃である。
また、図3は、取鍋内の150トンの粗溶鋼上に8トンのスラグを配置した場合のスラグ塩基度(C/S)と溶鋼中の平衡Al([Al])との関係を示している。ここで、スラグ組成調整前の粗溶鋼のAl濃度は0.001質量%、粗溶鋼の温度は1700℃である。
図2に示すように、スラグ塩基度が低下するほど、スラグの脱硫能が低下する傾向がある。ここで、スラグ中のAl23量を前記した範囲内に調整した場合、スラグ塩基度が1.5未満で前記した分配比Ls10以上を確保できず、スラグが十分な脱硫能を確保できないため、復硫による溶鋼中S濃度の上昇を招く(図2中の▲参照)。
また、図3に示すように、スラグ塩基度が上昇するほど、溶鋼中の平衡Alが上昇する傾向がある。ここで、スラグ中のAl23量を前記した範囲内に調整した場合、スラグ塩基度が2.2を超えると溶鋼中の平衡Alが急上昇し、極低Al域に維持することができなくなるため、スラグから粗溶鋼への復Alによる粗溶鋼中のAl濃度の上昇を招く(図3中の▲参照)。
以上のことから、スラグ塩基度を1.5以上2.2以下としたが、下限値を1.7とすることが好ましく、上限値を2.0とすることが好ましい。
次に、Al23を、前記した範囲に調整する理由について、図2、図4を参照しながら説明する。
なお、図4は、取鍋内の150トンの粗溶鋼上に8トンのスラグが配置された場合のスラグのAl23濃度とスラグ液相率との関係を示している。このスラグ液相率は、固相(ダイカルシウムシリケート)と液相との質量比で求められ、スラグの滓化性を現す指標として使用している。また、スラグの塩基度は1.8に調整してある。
図4に示すように、スラグのAl23濃度が低下するほど、スラグ液相率が低下し、スラグ滓化性が悪化する傾向がある。ここで、スラグのAl23濃度が12質量%以下の場合、スラグ滓化性が悪化(例えば、滓化したスラグが60質量%以下程度)して脱硫能が低下したり、またスラグの成分が不安定であることから操業変動要因が発生するため、環境に有害なフッ素を含有する蛍石の使用を余儀なくされる。
また、図2に示すように、スラグのAl23濃度が上昇するほど、スラグの脱硫能が低下する傾向がある。ここで、スラグ塩基度を前記した範囲内に調整した場合、スラグのAl23濃度が18質量%を超えると、分配比Lsが10を確保できず、スラグの脱硫能が大幅に低下し、復硫による溶鋼中S濃度の上昇を招く。
以上のことから、スラグのAl23濃度を12質量%を超え18質量%以下としたが、下限値を15質量%とすることが好ましい。
このように、スラグ組成を調整することで、溶鋼の成分調整ができ、環境に有害なフッ素を含有する蛍石を使用することなく、極低Al極低硫鋼の溶製を行う。
なお、以上に示した二次精錬の際の粗溶鋼の温度は、例えば、溶銑温度、又は一次精錬の際の処理温度で必然的に決まるため、この温度(例えば、1700℃)で上記した処理を実施できるが、必要に応じて1600℃以上1750℃未満に調整することが望ましい。この理由について、図5、図6を参照しながら説明する。
この図5は、取鍋内の150トンの粗溶鋼上に8トンのスラグが配置された場合の溶鋼温度とスラグ滓化性との関係を示している。ここで、スラグのAl23濃度は15質量%に調整してある。
また、図6は、取鍋内の150トンの粗溶鋼上に8トンのスラグが配置された場合の溶鋼温度と取鍋耐火物損耗との関係を示している。この取鍋耐火物損耗は、溶鋼中へ溶出するMgO量により評価している。また、スラグの塩基度は1.8、Al23濃度は15質量%に調整してある。
図5に示すように、溶鋼温度が低下するほど、スラグ液相率が低下し、スラグ滓化性が悪化する傾向がある。ここで、溶鋼温度が1600℃未満の場合、スラグ滓化性が悪化(例えば、滓化したスラグが60質量%以下程度)して脱硫能が低下したり、またスラグの成分不安定から操業変動要因が発生するため、環境に有害なフッ素を含有する蛍石の使用を余儀なくされる。
また、図6に示すように、溶鋼温度が上昇するほど、溶出MgO量が上昇する傾向がある。ここで、溶鋼温度が1750℃以上の場合、取鍋耐火物への負荷が大幅に増加し、溶出MgO量が上昇して、取鍋耐火物の損耗に繋がる。
以上のことから、溶鋼温度を1600℃以上1750℃未満としたが、好ましくは下限値を1650℃とし、更に好ましくは1680℃とする。
このように、粗溶鋼の温度調整を行うことで、スラグの滓化性を良好にし、粗溶鋼とスラグとの反応性を向上できる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
一次精錬工程において、予備処理を施した溶銑を転炉で処理し、硫黄量を200ppmに調整した粗溶鋼を取鍋に150トン移した。
そして、二次精錬工程において、この粗溶鋼にAl源を添加し還元して脱硫処理を行い、この粗溶鋼を覆うスラグの大部分(例えば、90質量%程度)を排滓し、引き続き、仕上脱炭処理、脱酸処理、脱硫処理、過剰Alの吹酸除去処理、スラグの組成調整、及び粗溶鋼の温度調整を行って、溶鋼を製造した。なお、製造する溶鋼の目標Al濃度は24ppm以下、目標S濃度は14ppm以下である。この結果を表1に示す。
Figure 0004648820
表1中の実施例1〜4は、二次精錬工程の排滓後の粗溶鋼とこの粗溶鋼上に残存するスラグ中の硫黄分の総量を、製造する溶鋼の目標硫黄量の1.5倍以下とし、スラグの組成を、CaO/SiO2:1.5以上2.2以下の範囲内、Al23:12質量%を超え18質量%以下の範囲内としたものである。また、比較例5、6は、溶鋼中のAl23濃度が上記した範囲外のものであり、比較例7、8は、溶鋼中のAl23濃度が上記した範囲の下限値を下回り、しかもCaO/SiO2が上記した範囲外のものであり、比較例9は、排滓後の硫黄分の総量が製造する溶鋼の目標硫黄量を超えるものである。
実施例1〜3から明らかなように、硫黄分の総量及びスラグ組成を規定することで、溶鋼のAl濃度及びS濃度のいずれも、目標値を達成できた。また、スラグの滓化性、即ちスラグの流動性も良好(例えば、スラグ上への添加物がスラグ中へ入り込み易い)であり、しかも取鍋耐火物のスラグライン、即ちスラグ存在領域に顕著な凹みも確認されなかった。
なお、実施例1〜3は、粗溶鋼の温度も規定範囲内にしているが、一次精錬後の粗溶鋼を温度調整することなく、この規定範囲から外れた実施例4(他の条件が実施例3と同じ)においても、スラグの流動性は良好であり、またスラグ存在領域に凹みが確認されたが、実使用上問題無い程度のものであった。
一方、比較例5では、スラグのAl23濃度が高く(19質量%)、スラグの脱硫能が大幅に低下したため、復硫により溶鋼中のS濃度が上昇した。
また、比較例6では、スラグのAl23濃度が低く(11質量%)、スラグの滓化性が悪化した。なお、比較例7では、更に、スラグ塩基度が高く(2.4)、溶鋼中の平衡Alを極低Al域に維持できないため、復Alにより溶鋼中のAl濃度が上昇した。しかも、粗溶鋼温度が1600℃を下回ったため、スラグ滓化性も悪化した。
そして、比較例8では、比較例7とは逆に、スラグ塩基度が低く(1.4)、スラグが十分な脱硫能を確保していないため、溶鋼中のS濃度が上昇し、しかも、粗溶鋼温度が1750℃以上となって、耐火物に顕著な凹みが発生した。
更に、比較例9では、硫黄分の総量が高く(1.6)、その後の処理で粗溶鋼中への復硫が発生し、溶鋼中のS濃度が上昇した。
以上のことから、硫黄分の総量及びスラグ組成を規定することで、更に粗溶鋼温度を規定することで、極低Alかつ極低硫黄の含クロム溶鋼を製造できることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の極低硫含クロム溶鋼の製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
本発明の一実施の形態に係る極低硫含クロム溶鋼の製造方法の説明図である。 CaO/SiO2と脱硫能との関係を示す説明図である。 CaO/SiO2と平衡[Al]との関係を示す説明図である。 Al23濃度とスラグ滓化性との関係を示す説明図である。 溶鋼温度とスラグ滓化性との関係を示す説明図である。 溶鋼温度と取鍋耐火物の損耗量との関係を示す説明図である。

Claims (2)

  1. 予備処理を施した溶銑にクロム源を添加し、吹酸処理して粗溶鋼を溶製する一次精錬を行った後、該粗溶鋼が含有する成分の調整をして溶鋼を製造する二次精錬を行う含クロム溶鋼の製造方法において、
    前記二次精錬の際に、前記粗溶鋼及び該粗溶鋼を覆うスラグ中の硫黄分の総量を、前記溶鋼の目標硫黄量の1.5倍以下に調整した後、前記スラグの組成を、スラグ塩基度(CaO(質量%)/SiO (質量%)):1.5以上2.2以下、Al:12質量%を超え18質量%以下にすることを特徴とする極低硫含クロム溶鋼の製造方法。
  2. 請求項1記載の極低硫含クロム溶鋼の製造方法において、前記二次精錬の際の前記粗溶鋼の温度を1600℃以上1750℃未満にすることを特徴とする極低硫含クロム溶鋼の製造方法。
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