JP2014231237A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドライバーに操作反力を良好に感じさせるようにする。【解決手段】 乗算係数演算部53は、アシスト比αに1を加算した乗算係数(α+1)を算出する。操作反力モデル部54は、ドライバーに感じさせたい目標操作反力Fvを操舵操作量に基づいて設定する。反力指令値演算部55は、目標操作反力Fvに乗算係数(α+1)を乗算した値を反力指令力((α+1)Fv)として計算する。加減算部57は、基本アシスト指令力Fαから反力指令力((α+1)Fv)を減算し、更に、実機械抵抗補償力Fcを加算した値を指令モータ推力Fmとして算出する。【選択図】 図2

Description

本発明は、ドライバーの操舵操作に基づいてモータを駆動制御して操舵アシスト力を発生する電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、電動パワーステアリング装置は、ドライバーが操舵ハンドルに付与した操舵トルクをトルクセンサにより検出し、検出した操舵トルクに基づいてモータを駆動してドライバーの操舵操作をアシストする。こうしたモータの駆動制御は、アシスト制御と呼ばれる。アシスト制御は、マイコンを主要部として備えたアシストECUにより行われる。一般に、アシストECUは、図4に示すような特性のアシストマップを参照して、操作力(操舵トルク)が大きくなるほどアシスト比が増加する目標アシスト力(目標アシストトルク)を設定し、この目標アシスト力に対応する目標電流がモータに流れるように、目標電流と実電流との偏差に応じた電流フィードバック制御を実行する。
また、ハンドル操作感を向上させるために、ハンドル操作に対して適度な操作反力を付与する電動パワーステアリング装置も知られている。例えば、特許文献1に提案されている電動パワーステアリング装置は、車速が基準車速より大きいときには、操舵角に基づいて目標操作反力を設定し、車速が基準車速以下のときには、車速が基準車速より大きいときに比べて小さな目標操作反力を設定するように構成されている。
特開2012−17062号公報
しかしながら、従来の電動パワーステアリング装置においては、ドライバーの感じる操作反力が、操舵状況によって大きく変化してしまう。このため、良好なハンドル操作感を常に確保することが難しい。ここで、その理由について説明する。電動パワーステアリング装置の運動方程式は、次式(1)のように表すことができる。
Fm+fh−Fe−Ff−D・p’=M・p” ・・・(1)
式(1)において、Fmはモータ推力、fhはドライバーの操作力、Feは電動パワーステアリング装置のアセンブリ(以下、EPS・Assyと呼ぶ)の受ける外力、FfはEPS・Assyの実摩擦抵抗、DはEPS・Assyの実粘性係数、MはEPS・Assyの実慣性質量、p’は操作ハンドルの位置の微分値(つまり、ハンドル回転速度)、p”は操作ハンドルの位置の2階微分値(つまり、ハンドル回転加速度)を表す。
アシスト制御が実施される場合、モータ推力Fmは、アシストマップに基づいてドライバーの操作力fhのα倍(α:アシスト比)に設定される。このアシスト比αは、ドライバーの操作力fhの関数として表される。つまり、モータ推力Fmは、次式(2)のように表される。
Fm=α(fh)・fh ・・・(2)
従って、EPS・Assyにモータ推力Fmが与えられたときのドライバーの操作力fhは、次式(3)のように表すことができる。
fh=(Fe+Ff+D・p’+M・p”)/(α+1) ・・・(3)
操作反力は、EPS・Assyに入力される外力(Fe)、EPS・Assyの摩擦・粘性といった機械抵抗(Ff+D・p’)、慣性(M・p”)などを要素とするものである。しかし、式(3)からわかるように、ドライバーにとって感じられる操作反力は、EPS・Assyで生じる操作反力の1/(α+1)となる。一方、アシスト比αは、アシストマップの特性から決まり、図5に破線にて示すように操作力(操舵トルク)が大きいほど大きくなるように変化する。従って、ドライバーは、操作力の小さい時(小舵角時)には、操作反力を強く感じ、逆に、操作力の大きい時(大舵角時)には、操作反力をあまり感じなくなってしまう。
このため、例えば、大舵角時の保舵安定性を確保するために、EPS・Assyの機械系の摩擦抵抗を増すと、操作力の小さくなる小舵角時には摩擦抵抗が大きすぎてしまい、操舵ハンドルの切り始めの動き出しがスムーズにいかなくなる。逆に、操舵ハンドルの切り始めの動き出しをスムーズにさせるために機械系の摩擦抵抗を減らすと、今度は、大舵角時の保舵安定性が低下してしまう。このように、操作力によって操作反力の感じ方が変化してしまうため、操舵ハンドルの切り始めの動きだしと保舵安定性とを両立させることが難しい。
また、目標操作反力を設定してモータを制御する機能を備えた従来の電動パワーステアリング装置においても、操作力によって操作反力の感じ方が変化してしまい、こうした課題を解決できていない。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、ドライバーに操作反力を良好に感じさせるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、ステアリング機構に設けられて操舵アシスト力を発生するモータ(20)と、ドライバーが操舵ハンドルを操作して入力した操舵操作入力を検出する操舵操作入力検出手段(17)と、前記検出された操舵操作入力に基づいて、前記操舵操作入力に対してアシスト比(α)倍の操舵アシスト力を発生させるためのアシスト指令値を演算するアシスト指令値演算手段(51)と、前記アシスト指令値に基づいて前記モータを駆動制御するモータ駆動手段(80)とを備えた電動パワーステアリング装置において、
前記アシスト比(α)を取得するアシスト比取得手段(52)と、ドライバーが入力した操舵操作の方向とは反対方向に働かせる操作反力の目標値である目標操作反力を取得する目標操作反力取得手段(54,61)と、前記アシスト比(α)が大きくなるほど大きくなる値であるアシスト比関連係数と前記目標操作反力との積に応じた値として操作反力指令値を演算する反力指令値演算手段(55,62,63)と、前記アシスト指令値から前記操作反力指令値を減算する減算補正手段(57,65)とを備えたことにある。
本発明においては、操舵操作入力検出手段が、ドライバーが操舵ハンドルを操作して入力した操舵操作入力を検出する。例えば、操舵操作入力検出手段は、ドライバーが操舵ハンドルを介してステアリング機構に入力した操舵トルクを検出する。アシスト指令値演算手段は、検出された操舵操作入力に基づいて、操舵操作入力に対してアシスト比(α)倍の操舵アシスト力を発生させるためのアシスト指令値を演算する。例えば、アシスト指令値演算手段は、操舵操作入力が大きくなるにしたがってアシスト比(α)が大きくなるように設定されたアシスト指令値を演算する。
アシスト比(α)が変化した場合には、それに伴って、ドライバーの操作反力の感じ方が変化する。そこで、本発明は、アシスト比取得手段と目標操作反力取得手段と反力指令値演算手段と減算補正手段とを備えている。アシスト比取得手段は、操舵操作入力の大きさに対する操舵アシスト力の大きさの比であるアシスト比(α)を取得する。目標操作反力取得手段は、ドライバーが入力した操舵操作の方向とは反対方向に働かせる操作反力の目標値である目標操作反力を取得する。目標操作反力は、ドライバーに与えたい操作反力、つまり、設計者が意図的に狙った操作反力である。従って、目標操作反力は、ドライバーの操舵操作感の好み等を考慮して自由に設定できるものである。また、ドライバーの操舵操作状態に応じて目標操作反力を任意に変更する構成であってもよい。
反力指令値演算手段は、アシスト比(α)が大きくなるほど大きくなる値であるアシスト比関連係数と目標操作反力との積に応じた値として操作反力指令値を演算する。そして、減算補正手段は、アシスト指令値から操作反力指令値を減算する。これにより、アシスト指令値は、操作反力指令値分だけハンドル操作が重くなるように補正される。この場合、操作反力指令値は、アシスト比(α)が大きくなるほど大きな値となる。モータ駆動手段は、アシスト指令値から操作反力指令値が減算されたアシスト指令値に基づいてモータを駆動制御する。従って、操舵操作中にアシスト比(α)が大きく変化しても、目標操作反力に対して変動の少ない操作反力をドライバーに感じさせることができる。これにより、ドライバーの操舵操作感を向上させることができる。
本発明の他の特徴は、前記アシスト比関連係数は、(α+1)であり、前記反力指令値演算手段は、前記目標操作反力の(α+1)倍の操作反力を発生させる操作反力指令値を演算することにある。
本発明によれば、反力指令値演算手段が、目標操作反力の(α+1)倍の操作反力を発生させる操作反力指令値を演算する。操舵操作入力に対してアシスト比(α)倍の操舵アシスト力を発生させた場合、ドライバーが感じる操作反力は、1/(α+1)になる。本発明においては、目標操作反力を(α+1)倍した操作反力指令値を演算するため、アシスト比(α)の変化に影響されることなく、常に、目標操作反力をドライバーに感じさせることができる。これにより、ドライバーの操舵操作感を更に向上させることができる。
本発明の他の特徴は、実際のステアリング機構の機械抵抗による操作反力を減らすための機械抵抗補償値を取得する抵抗補償値取得手段(56,64)と、前記アシスト指令値に前記機械抵抗補償値を加算する加算補正手段(57,65)とを備えたことにある。
ステアリング機構の機械抵抗が小さい場合には問題ないが、機械抵抗が大きい場合には、その機械抵抗による操作反力が目標操作反力に上乗せされ、ドライバーの操舵操作感に影響を与えることがある。そこで本発明は、抵抗補償値取得手段が、実際のステアリング機構の機械抵抗による操作反力を減らすための機械抵抗補償値を取得する。実際のステアリング機構の機械抵抗による操作反力とは、推定した機械抵抗による操作反力でよい。例えば、機械抵抗のうちで摩擦抵抗が大きい場合には、推定摩擦抵抗による操作反力を減らすための機械抵抗補償値を取得するようにしてもよい。また、機械抵抗補償値は、固定値であってもよいし操舵操作状態量に応じて変更されるものであってもよい。
加算補正手段は、アシスト指令値に機械抵抗補償値を加算する。これにより、ステアリング機構の機械抵抗による反力が低減される。従って、実際のステアリング機構の機械抵抗に影響されずに、所望の操作反力をドライバーに感じさせることができる。このため、本発明によれば、製造過程における機械抵抗の調整工数を削減することができる。尚、加算補正手段は、直接的にアシスト指令値に機械抵抗補償値を加算するものに限らず、最終的に、アシスト指令値に機械抵抗補償値が加算されているようにする構成であればよい。例えば、目標操作反力から機械抵抗補償値を減算する構成であってもよい。
本発明の他の特徴は、操舵操作状態量に基づいて前記操作反力指令値を変更する操舵操作応答手段(54,63)を備えたことにある。
本発明によれば、操舵操作応答手段が操舵操作状態量に基づいて操作反力指令値を変更するため、ドライバーに感じさせたい操作反力を操舵操作状態量に応じて自由に設定することができる。操舵操作状態量としては、例えば、操舵操作入力の大きさ、操舵操作速度、操舵操作位置(ハンドル回転位置)等を使うことができる。操作反力指令値を変更する場合、例えば、目標操作反力を操舵操作状態量に応じて設定することにより操作反力指令値を変更するようにしてもよいし、操舵操作状態量に応じて操作反力指令値を直接的に補正するようにしてもよい。例えば、操舵操作状態量が大きいほど操作反力指令値を大きくすることにより、大舵角時の保舵安定性を向上させることができる。また、操舵操作状態量が小さいほど操作反力指令値を小さくすることにより、操舵ハンドルの切り始めの動き出しをスムーズにすることができる。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 第1実施形態に係る指令値演算部のマイクロコンピュータの処理を表す機能ブロック図である。 第1実施形態に係るモータ制御部のマイクロコンピュータの処理を表す機能ブロック図である。 アシストマップを表すグラフである。 操作力とアシスト比との関係を表すグラフである。 反力マップを表すグラフである。 反力マップを表すグラフである。 実機械抵抗補償力マップを表すグラフである。 実機械抵抗補償力マップを表すグラフである。 実機械抵抗補償力マップを表すグラフである。 第2実施形態に係る指令値演算部のマイクロコンピュータの処理を表す機能ブロック図である。 第2実施形態に係る摩擦抵抗マップを表すグラフである。 第2実施形態に係る摩擦抵抗マップを表すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置について図面を用いて説明する。図1は、実施形態に係る車両の電動パワーステアリング装置の概略構成を表している。
この電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵操作により転舵輪を転舵するステアリング機構10と、ステアリング機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生するモータ20と、モータ20を駆動するモータ駆動回路30と、モータ駆動回路30を制御する電子制御装置100とを主要部として備えている。以下、電子制御装置100をアシストECU100と呼ぶ。モータ20を含めたステアリング機構10をEPS・assyと呼ぶ。
ステアリング機構10は、操舵ハンドル11の回転操作により左右前輪FWL,FWRを転舵するための機構で、操舵ハンドル11を上端に一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備える。このステアリングシャフト12の下端には、ピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合って、ラックバー14とともにラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、タイロッド15L,15Rを介して左右前輪FWL,FWRのナックル(図示略)が操舵可能に接続されている。左右前輪FWL,FWRは、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に操舵される。
ラックバー14には、モータ20が組み付けられている。本実施形態で用いるモータ20は、3相ブラシレスモータである。モータ20の出力軸は、ボールねじ機構16を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されていて、その回転により左右前輪FWL,FWRに転舵力を付与して操舵操作をアシストする。ボールねじ機構16は、減速機および回転−直線変換器として機能するもので、モータ20の回転を減速するとともに直線運動に変換してラックバー14に伝達する。
ステアリングシャフト12には、操舵トルクセンサ17が設けられる。操舵トルクセンサ17は、例えば、ステアリングシャフト12の中間部に介装されたトーションバー(図示略)の捩れ角度をレゾルバ等により検出し、この捩れ角に基づいてステアリングシャフト12に働いた操舵トルクThを検出する。操舵トルクThは、正負の値により操舵ハンドル11の操作方向が識別される。例えば、操舵ハンドル11の左方向への操舵時における操舵トルクThを正の値で、操舵ハンドル11の右方向への操舵時における操舵トルクThを負の値で示す。以下、操舵トルクThの大きさについて述べる場合には、その絶対値を使うものとする。尚、本実施形態においては、トーションバーの捩れ角度をレゾルバにより検出するが、エンコーダ等の他の回転角センサにより検出することもできる。
モータ20には、回転角センサ18が設けられる。この回転角センサ18は、モータ20内に組み込まれ、モータ20のロータの回転角度位置に応じた検出信号を出力するもので、例えば、レゾルバにより構成される。回転角センサ18は、モータ20の回転角θを表す検出信号をアシストECU100に出力する。アシストECU100は、この回転角θからモータ20の電気角を算出し、この電気角に基づいてモータ20の電流位相を制御する。また、モータ20は、ステアリング機構10に組み付けされているため、モータ20の回転角θは、操舵角に対応するものとなり、回転角θを時間微分して算出される回転角速度dθ/dtは、操作速度に対応するものとなる。
モータ駆動回路30は、図示しないスイッチング素子により3相インバータ回路を構成したものであり、3相(U相、V相、W相)の電力供給ライン31を介してモータ20に接続されている。モータ駆動回路30は、アシストECU100から出力されるPWM制御信号に応じたデューティ比で各相のスイッチング素子がオン・オフ制御されて3相電流をモータ20に流す。これによりモータ20は、3相電流に応じた操舵アシストトルクをステアリング機構10に付与する。
モータ駆動回路30には、モータ20の各相に流れる電流を検出する電流センサ19が設けられている。電流センサ19は、モータ20の各相に流れる電流iを表す検出信号をアシストECU100に出力する。
アシストECU100は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成される。アシストECU100は、操舵トルクセンサ17、回転角センサ18、電流センサ19を接続し、操舵トルクTh、回転角θ、電流iを表す検出信号を入力する。そして、入力した検出信号に基づいて、運転者の操舵操作に応じた最適な操舵アシストトルクが得られるようにモータ20に流す指令電流を演算し、その指令電流が流れるようにモータ駆動回路30の各スイッチング素子のデューティ比を制御する。
<アシストECUの第1実施形態>
次に、アシストECU100の機能について図2を用いて説明する。アシストECU100は、指令値演算部50と、モータ制御部80とを備えている。指令値演算部50については、2つの実施形態を説明する。図2は、第1実施形態に係る指令値演算部50の機能ブロック図である。この機能ブロック図は、アシストECU100のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理される機能を表している。
指令値演算部50は、基本アシスト指令値演算部51と、アシスト比演算部52と、乗算係数演算部53と、操作反力モデル部54と、反力指令値演算部55と、実機械抵抗推定モデル部56と、加減算部57とを備えている。基本アシスト指令値演算部51は、操舵トルクセンサ17により検出された操舵トルクThに基づいて基本アシストトルクを表す基本アシスト指令値を演算する。ここでは、演算で取り扱う単位を統一して説明するために、操舵トルクThを操舵ハンドル11の接線方向の力に換算した操作力fhを使うことにする。従って、後述する他の力(基本アシスト指令力Fα、目標操作反力Fv、機械抵抗補償力Fc、指令モータ推力Fm、反力指令力(α+1)Fv)についても、操作力fhに対応した力に換算された値として取り扱われるものである。この操作力fhは、本発明の操舵操作入力に相当する。
基本アシスト指令値演算部51は、ドライバーが操舵ハンドル11に入力した操作力fhを入力し、図4に示すアシストマップを参照して、操作力fhに対応する基本アシスト指令値である基本アシスト指令力Fαを演算する。基本アシスト指令値演算部51は、アシストマップを記憶している。このアシストマップでは、操作力fh(操舵トルクTh)が大きくなるに従って増加する基本アシスト指令力Fαを設定する特性を有する。尚、図4に示すアシストマップは、左操作方向の特性を表し、右操作後方の特性は、絶対値が同じであって符号が反対となる基本アシスト指令力Fαを設定する。また、ここでは、力の単位を統一して説明するために、操作力fhと基本アシスト指令力Fαとの関係を表すマップを使用しているが、ステアリングシャフト12回りに働く操舵トルクThと基本アシスト指令トルクとの関係を表すマップを使用することと同一である。
基本アシスト指令値演算部51は、演算結果である基本アシスト指令力Fαをアシスト比演算部52と加減算部57とに出力する。操作力fhの大きさに対する基本アシスト指令力Fαの大きさの比をアシスト比αと呼ぶ。従って、基本アシスト指令値演算部51は、操作力fhのアシスト比α倍の基本アシスト指令力Fαを演算していることになる。このため、アシスト比αは、操作力fhの関数として表される。アシスト比αは、図5に破線にて示すように、操作力fh(操舵トルクTh)が大きいほど大きくなるように変化する特性を有する。
アシスト比演算部52は、基本アシスト指令力Fαを操作力fhで除算することによりアシスト比α(=Fα/fh)を演算し、その演算結果であるアシスト比αを乗算係数演算部53に出力する。尚、アシストマップが、操作力fhに対応するアシスト比αを直接表すものであれば、アシスト比演算部52は、アシストマップからそのままアシスト比αを取得することができる。乗算係数演算部53は、アシスト比αに値1を加算した乗算係数(α+1)を演算し、その演算結果である乗算係数(α+1)を反力指令値演算部55に出力する。この乗算係数(α+1)は、本発明のアシスト比関連係数に相当する。
操作反力モデル部54は、ドライバーが入力した操舵操作の方向とは反対方向に働かせる操作反力の目標値である目標操作反力Fvを設定するブロックである。目標操作反力Fvは、ドライバーの操舵操作に対して与えたい操作反力、つまり、設計者が意図的に狙った操作反力である。従って、目標操作反力Fvは、ドライバーの操舵操作感の好み、保舵安定性、操作応答性等を考慮して自由に設定できるものである。本実施系形態においては、目標操作反力Fvは、操舵状態量であるドライバーの操作力fhやモータ回転角速度ωに基づいて演算される。
例えば、操作反力モデル部54は、図6に示すような反力マップを記憶しており、この反力マップを参照してモータ回転角速度ωに基づいて目標操作反力Fvを演算する。モータ20は、ステアリング機構10を介して操舵ハンドル11と連結されていることから、モータ回転角速度ωは、ドライバーが操舵ハンドル11を操作した操作速度(回転操作速度)に対応したものとなる。本実施形態においては、モータ20の通電制御に必要となるモータ電気角を検出するための回転角センサ18を備えているため、回転角センサ18の検出値を利用するが、例えば、図示しない操舵角センサを備えている場合には、操舵角センサにより検出される操舵角を時間で微分した操舵角速度を用いるようにしてもよい。以下、モータ回転角速度ωを操作速度として取得する場合には、モータ回転角速度ωを操作速度ωと呼ぶ。
この反力マップにおいては、操作速度ωの大きさ(絶対値)が所定値以下の範囲では、操作速度ωの大きさが大きくなるにしたがって絶対値の増加する目標操作反力Fvを設定し、操作速度ωの大きさが所定値を超えると一定の大きさの目標操作反力Fvを設定する特性を有する。つまり、操作速度ωが小さい領域では、小さい目標操作反力Fvを設定し、操作速度ωが大きい領域では、大きい目標操作反力Fvを設定する特性を有する。以下、方向(正負)が関係する値の大きさについて述べる場合には、その絶対値を使うものとする。
また、図6の反力マップに代えて、図7に示すような反力マップを用いることもできる。操作反力モデル部54は、この反力マップを参照して操作力fhに基づいて目標操作反力Fvを演算する。この反力マップにおいては、操作力fhが所定値以下の範囲では、操作力fhが大きくなるに従って増加する目標操作反力Fvを設定し、操作力fhが所定値を超えると一定の大きさの目標操作反力Fvを設定する特性を有する。つまり、操作力fhが小さい領域では、小さい目標操作反力Fvを設定し、操作力fhが大きい領域では、大きい目標操作反力Fvを設定する特性を有する。
また、操作力fhと操作速度ωとを組み合わせて目標操作反力Fvを設定するようにしてもよい。例えば、代表的な操作力fhごとに、操作速度ωと目標操作反力Fvとの相関関係を設定した複数の反力マップを記憶しておき、操作力fhに応じた反力マップを選択するようにしてもよい。また、代表的な操作速度ωごとに、操作力fhと目標操作反力Fvとの相関関係を設定した複数の反力マップを記憶しておき、操作速度ωに応じた反力マップを選択するようにしてもよい。また、操作速度ωと操作力fhとから目標操作反力Fvを設定する3次元反力マップを用いることもできる。
また、例えば、操舵ハンドル11の操舵角を検出する操舵角センサを備えている場合には、操舵角に基づいて目標操作反力Fvを設定する構成であってもよい。この場合においても、操舵角が所定値以下の範囲では、操舵角が大きくなるに従って増加する目標操作反力Fvを設定し、操舵角が所定値を超えると一定の大きさの目標操作反力Fvを設定するとよい。また、操舵トルクセンサ17がトーションバーの特定部位における回転位置を検出する構成である場合には、操舵トルクセンサ17により操舵角を検出するようにしてもよい。また、操舵角を操作力fhや操作速度ωに組み合わせて目標操作反力Fvを設定する構成であってもよい。
操作反力モデル部54は、算出した目標操作反力Fvを反力指令値演算部55に出力する。反力指令値演算部55は、乗算係数演算部53から出力された乗算係数(α+1)と、操作反力モデル部54から出力された目標操作反力Fvとを入力し、目標操作反力Fvに乗算係数(α+1)を乗算した値を反力指令力((α+1)Fv)として計算する。反力指令値演算部55は、算出した反力指令力((α+1)Fv)を加減算部57に出力する。
実機械抵抗推定モデル部56は、EPS・assyの実際の機械抵抗を推定したモデルを記憶し、このモデルにしたがって機械抵抗補償力を設定するブロックである。機械抵抗補償力は、実際のEPS・assyの機械抵抗による操作反力を打ち消すように働かせる力を表す。尚、「実際の機械抵抗」という表現は、操作反力モデル部54にて設定される理想的な目標操作反力と対比させたものであり、予め推定されているEPS・assyの標準的な機械抵抗を意味している。
例えば、実機械抵抗推定モデル部56は、図8に示すような3次元の実機械抵抗補償力マップを記憶しており、この実機械抵抗補償力マップを参照して操作力fhと操作速度ωとに基づいて実機械抵抗補償力Fcを演算する。この実機械抵抗補償力マップでは、操舵操作方向が切り替わるときに、機械抵抗補償値が急激に変化しないようにするため、操作力fhの大きさが所定値より小さい範囲では、実機械抵抗よりも小さな実機械抵抗補償力Fcが設定され、操作力fhの大きさが所定値以上となる範囲では実機械抵抗に対応した一定の実機械抵抗補償力Fcが設定される。同様に、操作速度ωの大きさが所定値より小さい範囲では、実機械抵抗よりも小さな実機械抵抗補償力Fcが設定され、操作速度ωの大きさが所定値以上となる範囲では実機械抵抗に対応した一定の実機械抵抗補償力Fcが設定される。この3次元の実機械抵抗補償力マップにおいては、操作力fhと操作速度ωとが組み合わされて実機械抵抗補償力Fcが設定されるため、上記所定値は、他方のパラメータの値によって変化する。
また、3次元マップに代えて、操作力fhのみ、あるいは、操作速度ωのみに基づいて実機械抵抗補償力Fcを演算する構成であってもよい。例えば、実機械抵抗推定モデル部56は、図9に示すような実機械抵抗補償力マップを記憶しており、この実機械抵抗補償力マップを参照して操作力fhに基づいて実機械抵抗補償力Fcを演算する。この実機械抵抗補償力マップにおいても、操舵操作方向が切り替わるときに、機械抵抗補償値が急激に変化しないようにするため、操作力fhの大きさが所定値より小さい範囲では、実機械抵抗よりも小さな実機械抵抗補償力Fcが設定され、操作力fhの大きさが所定値以上となる範囲では実機械抵抗に対応した一定の実機械抵抗補償力Fcが設定される。また、図8,9の実機械抵抗補償力マップに代えて、図10に示すような実機械抵抗補償力マップを用いることもできる。実機械抵抗推定モデル部56は、この実機械抵抗補償力マップを参照して操作速度ωに基づいて実機械抵抗補償力Fcを演算する。実機械抵抗補償力マップにおいても、操作速度ωの大きさが所定値より小さい範囲では、実機械抵抗よりも小さな実機械抵抗補償力Fcが設定され、操作速度ωの大きさが所定値以上となる範囲では実機械抵抗に対応した一定の実機械抵抗補償力Fcが設定される。尚、操作力fhや操作速度ωが所定値より小さい範囲(操舵方向の切り替わる領域)での実機械抵抗補償力Fcの推移のさせ方は、本実施形態においては、操作力fhあるいは操作速度ωに比例する実機械抵抗補償力Fcを設定しているが、これに限るものではなく自由に設定することができる。
実機械抵抗推定モデル部56は、算出した実機械抵抗補償力Fcを加減算部57に出力する。加減算部57は、基本アシスト指令値演算部51にて算出された基本アシスト指令力Fαと、反力指令値演算部55にて算出された反力指令力((α+1)Fv)と、実機械抵抗推定モデル部56にて算出された実機械抵抗補償力Fcとを入力し、基本アシスト指令力Fαから反力指令力((α+1)Fv)を減算し、更に、実機械抵抗補償力Fcを加算した値を指令モータ推力Fmとして算出する(Fm=α・fh−(α+1)Fv+Fc)。この指令モータ推力Fmは、最終的なモータ20の目標推力を表す。
指令モータ推力Fmの演算において、基本アシスト指令力Fαに実機械抵抗補償力Fcを加算することは、実機械抵抗補償力Fcだけハンドル操作を軽くすること、つまり、モータ推力によって実機械抵抗を打ち消すことを意味している。また、基本アシスト指令力Fαから反力指令力((α+1)Fv)を減算することは、反力指令力((α+1)Fv)だけハンドル操作を重くすることを意味している。上述した式(3)で表されるように、ドライバーにとって感じられる操作反力は、EPS・assyで生じる操作反力の1/(α+1)倍となる。このめ、目標操作反力Fvを(α+1)倍することにより、ドライバーに対して目標操作反力Fvそのものを感じさせることができる。この場合、実機械抵抗補償力Fcによって実機械抵抗が打ち消された状態で、基本アシスト指令力Fαから反力指令力((α+1)Fv)が減算されるため、実機械抵抗の影響を受けることなく、設計者が狙った通りの目標操作反力Fvをドライバーに感じさせることができる。
指令値演算部50は、このようにして算出した指令モータ推力Fmをモータ制御部80に出力する。モータ制御部80は、指令電流演算部81と、電流フィードバック制御部82と、PWM信号発生部83と、回転角速度演算部84とを備えている。指令電流演算部81は、指令値演算部50から出力された指令モータ推力Fmを入力し、指令モータ推力Fmをモータトルクに換算し、そのモータトルクをトルク定数で除算することによりモータ指令電流i*を算出する。つまり、指令モータ推力Fmを発生させるために必要なモータ20に通電すべき電流であるモータ指令電流i*を算出する。指令電流演算部81は、算出したモータ指令電流i*を電流フィードバック制御部82に出力する。
電流フィードバック制御部82は、モータ指令電流i*と、電流センサ19により検出されたモータ実電流iとを入力し、モータ実電流iがモータ指令電流i*に追従するように、つまり、モータ実電流iとモータ指令電流i*との偏差(i−i*)をゼロに近づけるように、電流フィードバック制御(例えば、PI制御あるいはPID制御)によってモータ指令電圧v*を演算する。電流フィードバック制御部82は、算出したモータ指令電圧v*をPWM信号発生部83に出力する。尚、電流フィードバック制御部82は、回転角センサ18により検出される回転角θを電気角に変換し、この電気角に基づいて電流位相を制御する。
PWM信号発生部83は、モータ指令電圧v*に対応したPWM制御信号をモータ駆動回路30の各スイッチング素子に出力する。これによりモータ20にモータ指令電流i*が流れて、モータ20から指令モータ推力Fmが発生する。
回転角速度演算部84は、回転角センサ18により検出される回転角θを時間で微分する(例えば、単位時間当たりの回転角θの変化量を計算する)ことによってモータ20の回転角速度ωを計算する。回転角速度演算部84は、算出した回転角速度ωを指令値演算部50に出力する。この回転角速度ωは、上述したように操作速度ωとして、目標操作反力Fv、実機械抵抗補償力Fcの算出に用いられる。
<第1実施形態の作用効果>
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、アシスト制御を実施した場合に、ドライバーの感じる操作反力がアシスト比αの関数である1/(α+1)になることに着目して、目標操作反力Fvの(α+1)倍となる操作反力指令力((α+1)Fv)を演算して基本アシスト指令力Fαから減算する。この目標操作反力Fvは、ドライバーに与えたい操作反力、つまり、設計者が意図的に狙った操作反力である。従って、アシスト比αの変化に影響されることなく目標操作反力Fvをドライバーに感じさせることができる。このため、ドライバーは、大きな操作力でハンドル操作を行った場合でも、適度な操作反力を感じることができる。それゆえ、EPS・assyの機械抵抗を低く設計してもよくなり、微小操作力での操舵ハンドル11の動き出しの応答を速くすることができる。
また、実際のEPS・assyの機械抵抗が大きい場合には、実機械抵抗が目標操作反力Fvに上乗せされた操舵操作感になってしまうため、本実施形態においては、実機械抵抗推定モデル部56にて設定される実機械抵抗補償力Fcを基本アシスト指令力Fαに加算することにより、モータ推力で実機械抵抗を打ち消す。この結果、実際のEPS・assyの機械抵抗に影響されずに、意図した通りの操作反力をドライバーに感じさせることができる。従って、製造過程におけるEPS・assyの機械抵抗の調整工数(ハンドル操作感の調整工数)を削減することができる。
更に、操舵操作状態に応じて、操作力fhが小さい領域では、小さい目標操作反力Fvを設定し、操作力fhが大きい領域では、大きい目標操作反力Fvを設定する。あるいは、操作速度ωが小さい領域では、小さい目標操作反力Fvを設定し、操作速度ωが大きい領域では、大きい目標操作反力Fvを設定する。従って、大舵角時の保舵安定性を向上させることができるとともに、操舵ハンドル11の切り始めの動き出しをスムーズにすることができる。また、操舵操作方向が切り替わる領域では、小さな目標操作反力Fvが設定されるため、操作力fhを検出する操舵トルクセンサ17のゼロ点が仮に中立位置からずれていても、目標操作反力Fvへの影響が少ないため、ドライバーに違和感を与えない。
また、実機械抵抗補償力Fcについても、操舵操作方向が切り替わる領域(操作力fhが小さい領域、操作速度ωが小さい領域)では、実際の機械抵抗よりも小さな機械抵抗補償力Fcを設定するため、操舵操作方向が切り替わったときに機械抵抗補償力Fcが急変しない。また、操舵トルクセンサ17のゼロ点が仮に中立位置からずれていても、目標操作反力Fvへの影響が少ない。これらの結果、ドライバーに違和感を与えない。
<アシストECUの第2実施形態>
次に、アシストECU100の第2実施形態について図11を用いて説明する。第2実施形態のアシストECU100は、第1実施形態の指令値演算部50に代えて指令値演算部60を備えて構成される。指令値演算部60は、基本アシスト指令値演算部51と、アシスト比演算部52と、乗算係数演算部53と、目標摩擦設定値記憶部61と、係数乗算部62と、摩擦抵抗モデル部63と、実摩擦抵抗推定モデル部64と、加減算部65とを備えている。基本アシスト指令値演算部51、アシスト比演算部52、乗算係数演算部53については第1実施形態と同一の構成であるため説明を省略する。
目標摩擦設定値記憶部61は、ドライバーに感じさせようとする摩擦感を設定した目標摩擦抵抗力fr[N]の値を記憶している。目標摩擦抵抗力frは、固定値でよい。係数乗算部62は、乗算係数演算部53から出力された乗算係数(α+1)と、目標摩擦設定値記憶部61に記憶されている目標摩擦抵抗力frとを乗算した値((α+1)fr)を演算し、その演算結果を摩擦抵抗モデル部63に出力する。
摩擦抵抗モデル部63は、図12に示すような摩擦抵抗マップを記憶しており、この摩擦抵抗マップを参照して操作速度ωに基づいて、目標操作反力としての目標摩擦抵抗力Ffvを演算する。この摩擦抵抗マップにおいては、操作速度ωの大きさ(絶対値)の増加に伴って目標摩擦抵抗力Ffvを増加させる勾配特性と、目標摩擦抵抗力Ffvの最大値((α+1)fr)とを与える。従って、操作速度ωが小さい範囲では、操作速度ωの増加にしたがって増加する目標摩擦抵抗力Ffvが設定され、操作速度ωが大きい範囲では、一定の目標摩擦抵抗力Ffv(=(α+1)fr)が設定される。
また、図12の摩擦抵抗マップに代えて、図13に示すような摩擦抵抗マップを用いることもできる。摩擦抵抗モデル部63は、この摩擦抵抗マップを参照して操作力fhに基づいて目標操作反力としての目標摩擦抵抗力Ffvを演算する。この摩擦抵抗マップにおいては、操作力fhの大きさ(絶対値)の増加に伴って目標摩擦抵抗力Ffvを増加させる勾配特性と、目標摩擦抵抗力Ffvの最大値((α+1)fr)とを与える。従って、操作力fhが小さい範囲では、操作力fhの増加にしたがって増加する目標摩擦抵抗力Ffvが設定され、操作力fhが大きい範囲では、一定の目標摩擦抵抗力Ffv(=(α+1)fr)が設定される。また、操作力fhと操作速度ωとを組み合わせて目標摩擦抵抗力Ffvを設定するようにしてもよい。
また、実摩擦抵抗推定モデル部64は、EPS・assyの実際の摩擦抵抗補償力マップを記憶しており、この実機械抵抗補償力マップを参照して操作力fhあるいは操作速度ωに基づいて実摩擦抵抗補償力Ffcを演算する。この摩擦抵抗補償力マップは、特に、EPS・assyの実際の摩擦抵抗力を表すように設定されたものであり、例えば、第1実施形態で用いた図8〜図10に示したものと同様な特性を有する。
加減算部65は、基本アシスト指令値演算部51にて算出された基本アシスト指令力Fαと、摩擦抵抗モデル部63にて算出された目標摩擦抵抗力Ffvと、実摩擦抵抗推定モデル部64にて算出された実摩擦抵抗補償力Ffcとを入力し、基本アシスト指令力Fαから目標摩擦抵抗力Ffvを減算し、更に、実摩擦抵抗補償力Ffcを加算した値を指令モータ推力Fmとして算出する(Fm=α・fh−Ffv+Ffc)。この指令モータ推力Fmは、最終的なモータ20の目標推力を表す。加減算部65は、算出した指令モータ推力Fmをモータ制御部80に出力する。
以上説明した第2実施形態の電動パワーステアリング装置においては、ドライバーに感じさせたい操作反力として摩擦抵抗力が設定される。そのようにするために、指令値演算部60は、ドライバーに感じさせたい摩擦感を目標摩擦抵抗力frとして記憶し、この目標摩擦抵抗力frに乗算係数(α+1)を乗算し、その乗算結果と摩擦抵抗モデル部63に記憶されたモデル(摩擦抵抗マップ)とを使って、操舵操作量に応じた目標摩擦抵抗力Ffvを設定する。また、実摩擦抵抗推定モデル部64にて設定される実摩擦抵抗補償力Ffcを基本アシスト指令力Fαに加算することにより、モータ推力で実摩擦抵抗を打ち消す。この結果、実際のEPS・assyの摩擦抵抗に影響されずに、意図した通りの摩擦感をドライバーに感じさせることができる。従って、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、アシスト比関連係数である乗算係数が(α+1)に設定されるが、乗算係数は、必ずしも(α+1)に設定される必要はなく、アシスト比αが大きくなるほど大きくなる値に設定されるものであればよい。
例えば、本実施形態では、指令モータ推力Fmを算出するにあたって、基本アシスト指令力Fαから実機械抵抗補償力Fcを減算しているが、必ずしも実機械抵抗補償力Fcを減算する必要はない。EPS・assyがもともと保有している機械抵抗が小さい場合には、その機械抵抗によるドライバーの操舵操作感への影響が少ないからである。また、実機械抵抗補償力Fcは、全ての機械抵抗要素を補償する力に設定する必要もなく、機械抵抗による操作反力を減らすことができる値に設定されるものであればよい。また、実機械抵抗補償力Fcは、本実施形態では操舵操作量に応じて可変設定されるものであるが、固定値であってもよい。
また、指令値演算部50(60)における演算の順番は、任意に変更することができる。例えば、反力指令値演算部55で演算された反力指令力(α+1)Fvから、実機械抵抗推定モデル部56で演算された機械抵抗補償力Fcを減算し、その減算結果((α+1)Fv−Fc)を基本アシスト指令力Fαから減算して指令モータ推力Fmを算出する構成であってもよい。つまり、アシスト比関連係数と目標操作反力との積に応じた値が、最終的に、基本アシスト指令力Fαから減算されている構成であればよい。
また、例えば、基本アシスト指令力Fαの計算にあたっては、図示しない車速センサにより検出される車速を読み込み、車速に応じて基本アシスト指令力Fαを可変する構成であってもよい。
また、例えば、本実施形態では、モータ20の発生するトルクをラックバー14に付与するラックアシスト式の電動パワーステアリング装置について説明したが、モータの発生するトルクをステアリングシャフト12に付与するコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置であってもよい。
10…ステアリング機構、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、17…操舵トルクセンサ、18…回転角センサ、20…モータ、30…モータ駆動回路、50…指令値演算部、51…基本アシスト指令値演算部、52…アシスト比演算部、53…乗算係数演算部、54…操作反力モデル部、55…反力指令値演算部、56…実機械抵抗推定モデル部、57…加減算部、60…指令値演算部、61…目標摩擦設定値記憶部、62…係数乗算部、63…摩擦抵抗モデル部、64…実摩擦抵抗推定モデル部、80…モータ制御部、81…指令電流演算部、82…電流フィードバック制御部、83…PWM信号発生部、84…回転角速度演算部、100…アシストECU。

Claims (4)

  1. ステアリング機構に設けられて操舵アシスト力を発生するモータと、
    ドライバーが操舵ハンドルを操作して入力した操舵操作入力を検出する操舵操作入力検出手段と、
    前記検出された操舵操作入力に基づいて、前記操舵操作入力に対してアシスト比(α)倍の操舵アシスト力を発生させるためのアシスト指令値を演算するアシスト指令値演算手段と、
    前記アシスト指令値に基づいて前記モータを駆動制御するモータ駆動手段と
    を備えた電動パワーステアリング装置において、
    前記アシスト比(α)を取得するアシスト比取得手段と、
    ドライバーが入力した操舵操作の方向とは反対方向に働かせる操作反力の目標値である目標操作反力を取得する目標操作反力取得手段と、
    前記アシスト比(α)が大きくなるほど大きくなる値であるアシスト比関連係数と前記目標操作反力との積に応じた値として操作反力指令値を演算する反力指令値演算手段と、
    前記アシスト指令値から前記操作反力指令値を減算する減算補正手段と
    を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記アシスト比関連係数は、(α+1)であり、前記反力指令値演算手段は、前記目標操作反力の(α+1)倍の操作反力を発生させる操作反力指令値を演算することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 実際のステアリング機構の機械抵抗による操作反力を減らすための機械抵抗補償値を取得する抵抗補償値取得手段と、
    前記アシスト指令値に前記機械抵抗補償値を加算する加算補正手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 操舵操作状態量に基づいて前記操作反力指令値を変更する操舵操作応答手段を備えたことを特徴する請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の電動パワーステアリング装置。
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