JP2014228114A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き機器 - Google Patents

真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き機器 Download PDF

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修弘 吉野
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Abstract

【課題】本発明は、高温下においても優れた接着力および耐久性を有する真空断熱材用外包材、これを用いた真空断熱材、および真空断熱材付き機器を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有する真空断熱材用外包材であって、少なくとも上記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、上記熱溶着層がポリブチレンテレフタレートを主成分とし、上記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とする真空断熱材用外包材を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温下においても優れた接着力および耐久性を有する真空断熱材用外包材、これを用いた真空断熱材、および真空断熱材付き機器に関する。
近年、地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減が推進されており、電気製品や車両、設備機器ならびに建物等の省エネルギー化が求められている。中でも、消費電力量低減の観点から、電気製品等への真空断熱材の採用が進められている。電気製品等のように本体内部に発熱部を有する機器や、外部からの熱を利用した保温機能を有する機器においては、真空断熱材を備えることにより機器全体としての断熱性能を向上させることが可能となる。このため、真空断熱材の使用により、電気製品等の機器のエネルギー削減の取り組みがなされている。
真空断熱材とは、外包材に芯材を封入し、上記外包材の内部を減圧して真空状態とし、上記外包材の端部を熱溶着して密封することで形成されるものである。断熱材内部を真空状態とすることにより、気体の対流が遮断されるため、真空断熱材は高い断熱性能を発揮することができる。
また、真空断熱材の断熱性能を長期間維持するためには、外包材の内部を長期にわたり高い真空状態に保持する必要がある。そのため、外包材には、外部からガスが透過することを防止するためのガスバリア性、芯材を覆って密着封止するための熱接着性等の種々の機能が要求される。
したがって、上記外包材は、これらの各機能特性を有する複数のフィルムを有する積層体として構成されるものとなる。一般的な外包材の態様としては、熱溶着層、ガスバリア層および保護層が積層されてなるものであり、各層間は接着剤等を介して貼り合されている(特許文献1参照)。
特開2003−262296号公報
しかしながら、従来の真空断熱材の場合、100℃以上の高温環境下で長期間使用すると、外包材を構成する熱溶着層が劣化して上記外包材同士を貼り合せた端部において剥離が生じてしまう。当該端部が剥離すると、空気や水分が内部に浸透し真空断熱材内部の真空状態が保てず、断熱性能の低下を引き起こすこととなる。また、熱溶着層の劣化だけでなく層間の接着力の低下に伴い、外包材自体の強度等も低下してしまう。このため、高温環境下での使用においては、外包材の接着力および耐久性の低下により、真空断熱材は断熱効果を長期間保持できないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高温下においても優れた接着力および耐久性を有する真空断熱材用外包材、これを用いた真空断熱材、および真空断熱材付き機器を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有する真空断熱材用外包材であって、少なくとも上記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、上記熱溶着層がポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとする場合がある。)を主成分とし、上記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とする真空断熱材用外包材を提供する。
本発明によれば、真空断熱材用外包材としてPBTを主成分とする熱溶着層と、上記熱溶着層を積層させる際の層間接着剤としてポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤とを併用することにより、高温下で長期間曝される場合であっても真空断熱材用外包材自体の劣化を抑制することができる。また、当該真空断熱材用外包材同士の貼り合せ面における接着力の低下が抑制され、剥離の発生を防止することができる。これにより、本発明の真空断熱材用外包材を用いた真空断熱材では、長期間にわたる高温環境下での使用においても、上記真空断熱材内部の真空状態が保たれ、断熱効果を発揮することができる。
また、本発明は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有し、少なくとも上記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、上記熱溶着層がポリブチレンテレフタレートを主成分とし、上記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とする真空断熱材を提供する。
本発明によれば、上述の真空断熱材用外包材を用いて芯材を覆い、端部を熱溶着することにより封止して内部を真空状態とした真空断熱材では、高温下で長期間使用した場合であっても、熱による当該外包材自体の劣化が抑えられる。また、熱溶着層の劣化が抑えられることにより、上記真空断熱材用外包材同士を貼り合せた端部の接着力を保持することができる。このため、上記端部において剥離が生じず、内部の真空状態が保持されることから、高温下での使用においても本発明の真空断熱材は断熱性能を長期間発揮することができる。
また、本発明は、本体又は内部に熱源部もしくは被保温部を有する機器、および真空断熱材を少なくとも備える真空断熱材付き機器であって、上記真空断熱材が、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有するものであり、上記真空断熱材用外包材が、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有し、少なくとも上記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、上記熱溶着層がポリブチレンテレフタレートを主成分とし、上記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とする真空断熱材付き機器を提供する。
本発明によれば、上述した真空断熱材は、高温下で長期間使用しても上記真空断熱材用外包材同士を貼り合せた端部において剥離の発生が起こりにくく、上記真空断熱材内部の真空状態が保持されるため、優れた断熱効果を発揮することができる。そのため、熱源部を有する機器においては、上記真空断熱材により熱源部からの熱を断熱し、機器全体の温度が高温となることを防止し、一方、被保温部を有する機器においては、上記真空断熱材により上記被保温部の温度状態を保つことができる。これにより、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有する機器とすることができる。
本発明によれば、真空断熱材用外包材において、PBTを主成分とする熱溶着層をポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系の層間接着剤を介してガスバリア層等に積層させることにより、高温下での長期間の使用においても優れた接着力および耐久性を有することができるという効果を奏する。
本発明の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本発明の真空断熱材の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き機器について説明する。なお、以下の説明において、「真空断熱材用外包材」を「外包材」と略する場合がある。
A.真空断熱材用外包材
まず、本発明の真空断熱材用外包材について説明する。本発明の真空断熱材用外包材は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有する真空断熱材用外包材であって、少なくとも上記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、上記熱溶着層がポリブチレンテレフタレートを主成分とし、上記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とするものである。
本発明の真空断熱材用外包材について、図を例示して説明する。図1は、本発明の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。
図1で例示されるように、本発明の真空断熱材用外包材10は、少なくともPBTを主成分とする熱溶着層1、ガスバリア層3、および保護層4がこの順で積層されたものであり、上記熱溶着層1と上記ガスバリア層3とは層間接着剤2を介して貼り合されたものである。また、上記層間接着剤2は、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤である。なお、図1で例示される真空断熱材用外包材10は、他の層間においても上記層間接着層2を介して積層されたものとする。
従来の真空断熱材用外包材では、熱溶着層に使用される樹脂の融点が低く、100℃以上の高温下で長期間使用する場合、当該樹脂の劣化が進み、真空断熱材用外包材同士の貼り合せ面において剥離が生じるという問題がある。
また、熱溶着層、ガスバリア層、および保護層の各層を積層する際の層間接着剤としては、主にアクリル、ポリエステル、シリコン等の樹脂が用いられるが、これらの層間接着剤と高融点の材料を含む熱溶着層とを併用した真空断熱材用外包材であっても、高温下での使用において接着力の低下を抑制する効果が十分に得られず、上記貼り合せ面において剥離が発生してしまう。
さらに、高温環境下で長期間使用すると、熱溶着層の劣化と共に上記真空断熱材用外包材の層間の接着力も低下することから、当該外包材自体の引張強度が低下する等の劣化が生じ、所望の耐久性を有することが困難になるといった問題がある。
上記問題に対し、本発明によれば、真空断熱材用外包材の熱溶着層をPBTを主成分とするものとし、熱溶着層を積層する際の層間接着剤にポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤を用いることにより、高温環境下に長期間曝されても真空断熱材用外包材同士の貼り合せ面において接着力を保持することができ、剥離の発生を抑制することを可能とした。また、上述の熱溶着層と層間接着剤との併用により、真空断熱材用外包材自体の劣化を抑制することが可能となり、当該外包材の耐久性を向上させるに至った。
ここで、熱溶着層については、PBTに限らず、例えば、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等といったPBTと同等以上の融点を示す物性の近い熱可塑性樹脂を主成分として用いることにより、上述の組成を有する層間接着剤との併用により真空断熱材用外包材の耐久性を向上させることが可能であるとも推量される。
しかし、本発明者等が種々検討を重ねた結果、PBTと同等以上の融点を示す熱可塑性樹脂を主成分とする熱溶着層と、上述の層間接着剤とを併用した真空断熱材用外包材では、高温下で長期間曝されることにより、当該外包材同士の貼り合せ面の接着力が経時的に低下するとともに、当該外包材自体も熱劣化により機械的強度が低下してしまうという知見を得た。
このことから、熱溶着層の材料と、層間接着剤であるポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤との組合せが、真空断熱材用外包材の長期間の高温下における接着力および耐久性に寄与することを見出した。
すなわち、本発明によれば、熱溶着層がPBTを主成分とすること、および層間接着剤がポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とし、上記熱溶着層と層間接着層との併用により、上述の効果を奏することが可能になることを見出した。
本発明の真空断熱材用外包材は、熱溶着層、ガスバリア層、保護層および層間接着剤を少なくとも有するものである。以下、各構成について説明する。
1.熱溶着層
本発明における熱溶着層は、層間接着剤を介して積層されるものであり、PBTを主成分とするものである。
上記熱溶着層においてPBTを主成分とするとは、1,4−ブタンジオールおよびテレフタル酸を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート骨格(以下、PBT骨格とする。)を有するポリマーを主成分とすることを言う。
具体的には、熱溶着層の全組成の中で、1,4−ブタンジオールおよびテレフタル酸を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート骨格(以下、PBT骨格とする。)を有するポリマーが最も多く含まれる、例えば、50重量%以上含まれることをいう。
本発明における熱溶着層は、上記熱溶着層内に上述の割合でPBT骨格を有するポリマーを主成分とするものであればよい。このような熱溶着層としては、例えば、1,4−ブタンジオールおよびテレフタル酸を重縮合してなるポリブチレンテレフタレートホモポリマー(以下、PBTホモポリマーと称する場合がある。)のみからなるものであってもよく、1,4−ブタンジオールおよびテレフタル酸の一方または両方の一部を他のジオール成分またはジカルボン酸成分等の共重合成分で置換して変性させたポリブチレンテレフタレート系共重合体(以下、PBT共重合体と称する場合がある。)のみからなるものであってもよい。また、上記熱溶着層が、PBT骨格を有するポリマーとして、PBTホモポリマーとPBT共重合体との両方を含むものであっても良い。さらに、上記熱溶着層が、上述したPBTホモポリマーおよびPBT共重合体の少なくともいずれかを含む他に、熱可塑性材料を含むものであっても良い。
(1)PBT骨格を有するポリマー
PBT骨格を有するポリマーは、PBTホモポリマーまたはPBT共重合体のいずれかである。
(i)PBTホモポリマー
PBTホモポリマーは、1,4−ブタンジオールおよびテレフタル酸を重縮合してなるものである。なお、テレフタル酸の代わりにテレフタル酸ジメチルを用いて重縮合したものであってもよい。
(ii)PBT共重合体
PBT共重合体は、PBTホモポリマーを構成する1,4−ブタンジオールおよびテレフタル酸の一方または両方の一部を、他のジオール成分またはジカルボン酸成分等で置換して変性させたものである。PBT共重合体はランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
なお、以下の説明において、PBT共重合体における1,4−ブタンジオールを除くジオール成分、およびテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルを除くジカルボン酸成分を、総じて共重合性モノマーと称する場合がある。
PBT共重合体に用いられるジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド、あるいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール、またはこれらのエステル形成誘導体等を挙げることができる。上述のジオール成分は、PBT共重合体における共重合性モノマーとして単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
また、PBT共重合体に用いられるジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸等の脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸;4,4´−ジフェニルジカルボン酸、4,4´−ジフェノキシエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルケトンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成誘導体等を挙げることができる。さらに、必要に応じて多価カルボン酸等を併用してもよい。上述のジカルボン酸成分は、PBT共重合体における共重合性モノマーとして単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
PBT共重合体における1,4−ブタンジオールおよびとテレフタル酸の変性量としては、上記PBT共重合体を単独で用いる場合、または上述のPBTホモポリマーと上記PBT共重合体とを併用する場合に応じて、適宜設定することができる。
(2)熱可塑性材料
本発明における熱溶着層は、上述したPBTホモポリマーおよびPBT共重合体の少なくともいずれかを含む他に、熱可塑性材料を含有していても良い。熱可塑性材料としては、例えば、PBT骨格を有さない熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
PBT骨格を有さない熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。上述の熱可塑性樹脂は単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。上述の熱可塑性エラストマーは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
なお、熱溶着層が上述の熱可塑性材料を含有する場合、上記熱溶着層の全体量(100重量%)に対する熱可塑性材料の含有量としては、PBT骨格を有するポリマーの含有量よりも少ない含有量であればよく、適宜設定することが出来る
(3)その他の材料
本発明における熱溶着層は、上述の材料の他に、可塑剤、酸化肪止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、流動性の改善のための潤滑材、結晶化促進剤(核剤)、アンチブロッキング剤、難燃化剤、有機充填材、無機充填材等の他の材料を含むものであってもよい。
(4)熱溶着層
熱溶着層の数平均分子量としては、所望の熱溶着性を示すことが可能な範囲であることが好ましく、熱溶着層の接着力に応じて適宜選択することが出来る。
上記熱溶着層の融点としては、真空断熱材を使用する部位において達する最高温度よりも高いことが好ましく、100℃以上250℃以下の範囲内であることが好ましく、中でも110℃以上240℃以下の範囲内であることが好ましく、特に120℃以上230℃以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記熱溶着層のガラス転移温度(Tg)としては、使用環境下において真空断熱材用外包材が高接着性および高耐久性を示すことが可能な温度であればよく、使用環境下において想定される最高温度、熱溶着層に含まれる各材料の種類およびその含有比率等に応じて適宜設定することができる。
100℃以上の温度環境下において本発明の真空断熱材用外包材が使用される場合の上記熱溶着層のガラス転移温度(Tg)としては、熱溶着性を発揮できる温度であれば特に限定されないが、中でも本発明の真空断熱材用外包材が150℃以上の温度環境下で使用される場合は、熱溶着層のガラス転移温度(Tg)が60℃以上であることが好ましい。
熱溶着層の融点およびガラス転移温度が上記範囲内にあることにより、本発明の真空断熱材用外包材を用いて芯材を密封する際に、所望の形状に追従させることができる。また、使用温度下において上記真空断熱材用外包材同士の貼り合せ面の濡れ性が高くなるため、高い接着力を示すことができ、高温下で長期間曝されても上記貼り合せ面において剥離等の発生を防止することができる。
上記熱溶着層の厚さとしては、真空断熱材用外包材を熱溶着により貼り合せる際に、接着力を高めることができる厚さであればよく、20μm〜100μmの範囲内が好ましく、中でも25μm〜90μmの範囲内が好ましく、特に30μm〜80μmの範囲内が好ましい。熱溶着層の厚さが上記範囲よりも大きいと、真空断熱材用外包材全体としてのガスバリア性や外観等が悪化する場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、所望の接着力が得られず、高温下で長期間使用する間に剥離等が生じる場合がある。
上記熱溶着層の引張強度としては、使用環境下において真空断熱材用外包材が高接着性および高耐久性を示すことが可能な引張強度であればよく、使用環境下において想定される最高温度、および熱溶着層に含まれる各材料の種類およびその含有比率に応じて適宜設定することができる。中でも、本発明の真空断熱材用外包材が150℃以上の温度環境下で使用される場合は、熱溶着層の引張強度を20N以上とすることが好ましい。なお、上記引張強度はJIS−Z−1707の規格に基づいて測定される値である。
上記熱溶着層は、上述した組成を有する市販の熱溶着層を用いてもよく、例えば以下に示す方法により成膜してもよい。熱溶着層を成膜する方法としては、層間接着剤を介してガスバリア層等の他の層上に形成できる方法であればよい。具体的な方法としては、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、その他等を用いて、表面に層間接着剤が塗布された他の層上に成膜することができる。
2.層間接着剤
本発明における層間接着剤は、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤である。また、上記層間接着剤は、少なくとも熱溶着層をガスバリア層等の他の層と積層させる際に介在させるものである。
本発明における層間接着剤は、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であり、後述する物性を示すものである。そのため、高温下で長期間曝されても、真空断熱材用外包材同士の貼り合せ面において剥離等が発生せず、良好な接着力を有することができる。そのため、真空断熱材の内部の真空度を使用初期から低下させることなく、真空状態を保持することが可能となる。
上記層間接着剤は、通常、主剤および硬化剤を含む2液硬化型の接着剤であるが、主剤および主剤と混合しても反応しないようにブロック化した潜在性硬化剤を混ぜ合せた1液硬化型接着剤や、硬化剤および混合しても反応しないようにブロック化した潜在性主剤と硬化剤を混ぜ合わせた1液硬化型接着剤であってもよい。主剤や硬化剤をブロック化する方法は公知の方法を採用することができる。
以下、本発明における層間接着剤の各組成について説明する。
(1)主剤
上記主剤は、ポリエステルウレタンとエポキシ成分とを少なくとも含むものである。
上記ポリエステルウレタンとしては、多価アルコール類、多塩基酸およびイソシアネート成分から得ることができる。
上記多価アルコール類としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコールや、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等を用いることができる。本発明においては、中でも1,4−ブタンジオール、ビスフェノールAおよびビスフェノールFが好ましい。
なお、これらの多価アルコールは単独で使用してもよく、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
また、上記多塩基酸としては、脂肪族多塩基酸であってもよく、芳香族多塩基酸であってもよい。
脂肪族多塩基酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマ酸等が挙げられる。
また、芳香族多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、安息香酸、p−ターシャリーブチル安息香酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。本発明においては、中でもアジピン酸が好ましい。
なお、これらの多塩基酸は単独で使用してもよく、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
上記イソシアネート成分としては、芳香族系イソシアネートでもよく、脂肪族系イソシアネートでもよい。
芳香族系イソシアネートとしては、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート(MXDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4´−MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4´−MDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、またはこれらの異性体等が挙げられる。
また、脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、水素化メチレンジフェニルジイソシアナート(HMDI)、エチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンメチレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボヌレンジイソシアネート等が挙げられる。
中でも、イソシアネート成分として、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)であることが好ましい。
なお、上記イソシアネート成分は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記エポキシ成分としては、エポキシ基を有するものであればよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂ならびにこれらの水添化物、グリシジルアミン型エポキシ樹脂ならびにこれらの水添化物、グリシジル(メタ)アクリレートとラジカル重合性モノマーとの共重合体、共役ジエン化合物を主体とする重合体またはその部分水添物の重合体の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの、上述のエポキシ基含有の樹脂にNBR、CTBN、ポリブタジエン、アクリルゴム等のゴム成分を含有させたゴム変成エポキシ樹脂等、特開2005−290211号公報で開示されるエポキシ成分が挙げられる。本発明においては、中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
上記主剤固形分の全重量100重量%に対するエポキシ成分の含有量としては、20重量%〜50重量%の範囲内、中でも30重量%〜50重量%の範囲内、特に40重量%〜50重量%の範囲内が好ましい。エポキシ成分の含有量を上記範囲内とすることにより、後述する硬化剤との反応が進みやすくなるため短時間で硬化させることができる。また、後述する硬化剤との反応により好適な架橋密度を有するため、層間接着力を高いものとすることができる。
上記主剤は、上述した材料の他に、必要に応じて他のモノマー成分等を含んでいてもよい。このような材料としては、例えばカプロラクトン等が挙げられる。
上記主剤の数平均分子量としては、25000〜95000の範囲内であることが好ましく、中でも30000〜90000の範囲内であることが好ましい。主剤の数平均分子量が上記範囲よりも小さいと、得られる層間接着剤が硬くなり、接着力が低下してしまう場合がある。一方、上記範囲よりも大きいと、後述する硬化剤と十分に反応できず、得られる層間接着剤の耐熱性等が低下してしまう場合がある。
なお、上記数平均分子量はゲルパーミテーションクロマトグラフィーによって測定された値である。
また、上記主剤の重量平均分子量としては、45000〜200000の範囲内であることが好ましく、中でも50000〜160000の範囲内であることが好ましい。主剤の重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、層間接着剤の初期凝集力が不十分となり、熱溶着層とその他の層とを接着する際に浮きが発生する場合がある。そのため、真空断熱材用外包材同士の貼り合せ面において、剥離が生じる可能性がある。一方、上記範囲よりも大きいと、層間接着剤の初期凝集力は十分得られるが、粘度が高くなり過ぎて塗布できない場合がある。
なお、上記重量平均分子量はゲルパーミテーションクロマトグラフィーによって測定された値である。
(2)硬化剤
上記層間接着剤に含まれる硬化剤としては、上述した主剤によって適宜選択することができる。主成分であるポリエステルウレタンを硬化させる硬化剤としては、少なくとも2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを含むことが好ましく、中でも芳香族系ポリイソシアネートを含むことが好ましく、特にウレタン結合を有する芳香族系ポリイソシアネートを含むことが好ましい。なお、ポリイソシアネートは、イソシアネート成分と多価アルコール成分とを含むものである。
上記芳香族系ポリイソシアネートのイソシアネート成分としては、上述した「(1)主剤」の項で説明したイソシアネート成分と同様のものが挙げられる。本発明においては、中でもイソシアネート成分が2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)であることが好ましい。なお、上記イソシアネート成分は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、上記イソシアネート成分と反応する多価アルコール成分としては、1分子中に2個以上、好ましくは2個〜3個の水酸基を有するものが好ましく、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。これらの多価アルコールは単独で使用してもよく、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
また、エポキシ成分を硬化させる硬化剤としては、一般的なエポキシ系接着剤に使用される硬化剤を用いることができ、例えば、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤、ジアミン系硬化剤、特開2005−290211号公報で開示される光カチオン重合開始剤、芳香族系イソシアネート等が挙げられる。
上記層間接着剤における硬化剤の配合量としては、上述した主剤と十分に反応できる量であることが好ましく、主剤の全重量100重量%に対して5重量%〜40重量%の範囲内であることが好ましく、中でも10重量%〜35重量%の範囲内であることが好ましく、特に15重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。硬化剤の配合量を上記範囲内とすることにより、主剤との硬化反応が十分に行え、層間接着剤の接着力を所望の大きさとすることができ、また、真空断熱材用外包材においてクラック等が発生を回避できる。
(3)その他の材料
上記層間接着剤は上述した主剤および硬化剤の他に、硬化促進剤、触媒、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等の任意の材料を含有していてもよい。
(4)層間接着剤
上記層間接着剤の融点としては、本発明の真空断熱材用外包材の使用環境温度よりも高いことが好ましく、200℃〜600℃の範囲内であることが好ましく、中でも250℃〜500℃の範囲内であることが好ましい。
また、上記層間接着剤のガラス転移温度(Tg)としては、−60℃〜30℃の範囲内であることが好ましく、中でも−50℃〜20℃の範囲内であることが好ましい。
層間接着剤の融点およびガラス転移温度を上記範囲内とすることにより、上記層間接着剤が柔軟性および弾性を有するため、真空断熱材を形成する際に所望の形状に追従させることができる。また、使用温度下において真空断熱材用外包材を構成する各層との濡れ性が良好となるため、真空断熱材用外包材同士の貼り合せ面において高い接着力を有することができる。このため、高温下で長期間曝されても当該貼り合せ面において剥離等の発生を防止することができる。さらに、ヒートサイクル(熱衝撃)が生じる環境下においても、真空断熱材用外包材の劣化を抑制することができる。
なお、上記層間接着剤の融点およびガラス転移温度は、示差操作熱量測定(DSC)によって測定された値である。
また、上記層間接着剤の分解温度としては、250℃〜600℃の範囲内であることが好ましく、中でも300℃〜550℃の範囲内であることが好ましい。層間接着剤の分解温度を上記範囲とすることにより、真空断熱材の通常の使用環境下において、上記層間接着剤が熱劣化して真空断熱材用外包材同士の貼り合せ面の接着力が低下することを防止できるからである。
なお、上記層間接着剤の分解温度は、示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)によって測定した値である。
上記層間接着剤は、少なくとも熱溶着層を、上記熱溶着層に接する他の層に積層する際に、接着剤として使用されるものである。熱溶着層に接する他の層としては、通常はガスバリア層であることが多いが、例えば、アンカーコート層や耐ピンホール性層等の層であってもよい。さらに、上記層間接着剤は、熱溶着層と上記熱溶着層に接する他の層との間だけでなく、本発明の真空断熱材用外包材を構成する各層間の接着剤として用いられることが好ましい。真空断熱材用外包材を貼り合せた際に、各層間において剥離が生じることを防止できるからである。
上記層間接着剤の接着力としては、0.5N以上であることが好ましく、中でも3N以上であることが好ましく、特に5N以上であることが好ましい。層間接着剤の接着力が上記範囲内にあることにより、熱溶着層および他の層のそれぞれの層間において、剥離が生じることを抑制することができる。なお、上記接着力はJIS−Z−1707に基づいて測定された値である。
上記層間接着剤は、予めフィルム等の層状にしたものであってもよく、上述した層間接着剤の材料を所望の溶媒に混ぜた塗布液を準備し、上記熱溶着層を他の層に積層させる際に、どちらか一方の層の表面に直接塗布してもよい。
なお、上記溶媒としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の二価アルコールのアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の二価アルコールのエーテルエステル、ベンジルアルコール、酢酸エチル等が挙げられる。
上記層間接着剤の塗布方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他のコート法等を用いることができる。
層間接着剤の塗布量としては、適宜設定することができるが、通常、乾燥状態において0.1g/m〜10g/m程度であることが望ましい。
3.ガスバリア層
本発明におけるガスバリア層は、通常、熱溶着層と保護層との間に形成されるものである。また、上記ガスバリア層は熱溶着層よりも融点が高く、芯材を減圧密封することが可能なガスバリア性を有するものである。
上記ガスバリア層としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタニウム等の金属箔等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール樹脂フィルム(PVA)、ポリアミド樹脂フィルム(PA)エチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET)等の樹脂フィルムを基材として、片面に金属、金属酸化物、酸化珪素等の蒸着層を積層した蒸着フィルム等を用いることもできる。さらに、上述の蒸着フィルムにポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレンビニルアルコール共重合体を含有するするガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設けたもの等を用いることもできる。
上記ガスバリア層として金属箔を使用する場合には、金属箔の厚さは、一般には、5μm〜12μmであることが好ましい。金属箔の厚さを上記範囲内とすることにより、熱伝導を回避し、断熱性を高く維持することができる。
また、樹脂フィルムに金属等の蒸着層を成膜する方法としては、一般的な方法を用いることができ、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等を用いることができる。
上記ガスバリア層は、単層であってもよく、多層であってもよい。上記ガスバリア層が多層の場合は、同一材料から成る層を積層させた物であってもよく、異なる材料から成る層同士を積層させたものであってもよい。
ガスバリア層の厚さとしては、特に限定されるものではないが、一般には9μm〜100μm程度である。
上記ガスバリア層は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。ガスバリア層表面を上述の方法で表面処理することにより、ガスバリア性能の向上や、他の層との密着性の向上を図ることができるからである。
上記ガスバリア層のガスバリア性としては、酸素透過度が0.5cc/m・day以下であることが好ましく、中でも0.1cc/m・day以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が0.2cc/m・day以下であることが好ましく、中でも0.1cc/m・day以下であることが好ましい。上記ガスバリア層の酸素および水蒸気透過度が上述の範囲内であることにより、真空断熱材外部から浸透した水蒸気や酸素は上記ガスバリア層で留まり、真空断熱材の内部まで浸透することができないため、内部の真空状態を保持することができる。
なお、上記酸素透過度は、JIS−K−7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件下において酸素透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、オクストラン(OXTRAN))を用いて測定した値である。 また、上記水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて測定した値である。
4.保護層
本発明における保護層は、通常、上述した熱溶着層およびガスバリア層よりも外側、すなわち、本発明の真空断熱材用外包材の最外層に位置するものである。
上記保護層は、真空断熱材の内部を保護するに十分な強度を有し、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性等に優れたものであることが好ましい。
上記保護層としては、熱溶着層よりも高融点の樹脂を用いたものであればよく、シート状でもフィルム状でもよい。このような保護層として、例えば、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のシートまたはフィルム、ナイロン系樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合体とナイロン系樹脂とがこの順に積層された共押出延伸フィルムなどを一軸延伸または二軸延伸したフィルム等が挙げられる。
上記保護層は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。上記保護層が多層構造を有する場合は、同一材料から成る層を積層させて多層構造としたものであってもよく、異なる材料から成る層を積層させて多層構造としたものであってもよい。
また、上記保護層は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。保護層表面を上述の方法で表面処理することにより、他の層との密着性の向上を図ることができるからである。
上記保護層の厚さとしては、熱溶着層およびガスバリア層を保護することができる厚さであれば特に限定されるものではないが、一般に5μm〜50μm程度である。
5.真空断熱材用外包材
本発明の真空断熱材用外包材は、上述したようにPBTを主成分とする熱溶着層と、層間接着剤としてポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤との併用により、長期間高温下で使用しても、真空断熱材用外包材自体の強度低下を抑え、優れた耐久性を有することができるものである。
上記真空断熱材用外包材の強度として、具体的には、130℃1000時間劣化後の引張強度が50N以上であることが好ましく、中でも80N以上であることが好ましく、特に100N以上であることが好ましい。なお、上記引張強度は、ナイロンフィルム(膜厚25μm)、層間接着剤、PETフィルム(膜厚12μm)、層間接着剤、アルミニウム箔(膜厚6μm)、層間接着剤、熱溶着層(膜厚50μm)がこの順で積層された真空断熱材用外包材のサンプルに対して、JIS−Z−1707に基づいて測定した値である。
また、劣化前(25℃下)の初期引張強度に対する、130℃1000時間加熱後の引張強度の低下率が0%〜40%の範囲内であることが好ましく、中でも0%〜20%の範囲内であることが好ましく、特に0%〜10%の範囲内であることが好ましい。
所定の条件下における耐熱劣化後の引張強度および強度の低下率が上述の範囲内であることにより、真空断熱材用外包材は、高温下で長期間曝されても十分な接着力を有し、上記外包材同士を貼り合わせた面において剥離の発生が生じにくいものとなる。また、上記真空断熱材用外包材は、表面にクラック等が発生することなく耐久性の高いものとなる。
上記真空断熱材用外包材はガスバリア性が高いことが好ましい。外部からの水分や酸素等の浸透を防ぐことができるからである。真空断熱材用外包材のガスバリア特性については、上述した「3.ガスバリア層」の項で説明した酸素透過度および水蒸気透過度と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記真空断熱材用外包材は、保護層またはガスバリア層を複数層有するものであってもよい。例えば、熱溶着層と保護層との間にガスバリア層を2層以上設けてもよく、熱溶着層およびガスバリア層の上に、保護層を2層以上設けてもよい。また、最外層として有する保護層の他に、熱溶着層とガスバリア層との間に別の保護層が設けられてもよい。
さらに、上記真空断熱材用外包材は、上述した熱溶着層、ガスバリア層、保護層および層間接着剤の他に、必要に応じて他の構成部位を有してもよい。他の構成部位としては、例えば、耐ピンホール性層、層間接着剤とは異なる組成を有するラミネート用接着剤等を挙げることができる。
6.製造方法
本発明の真空断熱材用外包材の製造方法としては、最外層を保護層とし、最内層を熱溶着層となるように積層できる方法であればよく、公知の方法を用いることができる。上記方法としては、予め成膜した各層を上述した層間接着剤を使用して貼り合せるドライラミネーション法や、熱溶融させた保護層およびガスバリア層の各材料をTダイ等を用いて押出しして貼り合せ、得られた積層体に層間接着剤を介して熱溶着層を貼り合せる方法等が挙げられる。
B.真空断熱材
次に、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有し、少なくとも上記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、上記熱溶着層がPBTを主成分とし、上記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とするものである。
本発明の真空断熱材について、図を例示して説明する。図2は本発明の真空断熱材の一例を示す概略断面図である。
図2に例示されるように、本発明の真空断熱材20は、芯材11と真空断熱材用外包材10とを有するものである。上記真空断熱材用外包材10は、PBTを主成分とする熱溶着層1、ガスバリア層3および保護層4がこの順で積層されており、上記熱溶着層1が芯材11側となるようにして上記真空断熱材用外包材10で上記芯材11を封入し、端部12を熱溶着して内部を減圧密封することで真空状態としたものである。
また、上記真空断熱材用外包材10において、熱溶着層1は、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤である層間接着剤2を介してガスバリア層3上に積層されたものである。なお、図2に例示される真空断熱材20では、ガスバリア層3と保護層4との貼り合せにも上述の層間接着剤2を用いるものとする。
本発明によれば、上述の真空断熱材用外包材を用いて芯材を覆い、端部を封止して内部を真空状態とした真空断熱材では、高温下で長期間使用した場合であっても、熱溶着層の劣化が抑えられ、上記真空断熱材用外包材同士を貼り合せた端部の接着力を保持することができる。また、真空断熱材用外包材自体の劣化も抑えることができる。このため、上記端部において剥離が生じず内部の真空状態が保持されることから、高温下での使用においても、本発明の真空断熱材は耐久性を有し、高い断熱性能を長期間発揮することができる。
本発明の真空断熱材は、真空断熱材用外包材および芯材を少なくとも有するものである。
以下、本発明の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.真空断熱材用外包材
本発明の真空断熱材用外包材は、芯材を封入するものである。また、上記真空断熱材用外包材は、上述した「A.真空断熱材用外包材」の項で説明した構成および特徴を有するものである。
2.芯材
本発明における芯材は、真空断熱材用外包材により封入されるものである。
上記芯材としては、熱伝導度の低いものであることが好ましい。中でも、芯材空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材であることが好ましい。
上記芯材を構成する物質としては、粉体、発泡体、繊維体等を用いることができる。
上記粉体としては、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。中でも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の劣化が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
また、上記発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等があり、これらの中でも連続気泡を形成する発泡体が好ましい。
また、上記繊維体としては、無機繊維でもよく有機繊維でもよいが、断熱性能の観点から無機繊維を用いることが好ましい。このような無機繊維としては、グラスウールやグラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等を挙げることができる。これらの無機繊維は、熱伝導率が低く、粉体よりも取り扱いが容易である点で好ましい。
上記芯材は、上述した材料を単独で使用してもよく、2種以上の材料を混合した複合材であってもよい。
3.真空断熱材
本発明の真空断熱材は、上記真空断熱材用外包材で封入された内部を減圧密封し、真空状態としたものである。上記真空断熱材内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の真空度を上記範囲内とすることにより、内部に残存する空気の対流による熱伝導を小さいものとすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となる。
また、上記真空断熱材の熱伝導率は低いことが好ましく、例えば、25℃における熱伝導率(初期熱伝導率)が15mW/m・K以下であることが好ましく、中でも10mW/m・K以下であることが好ましく、特に5mW/m・K以下であることが好ましい。真空断熱材の熱伝導率を上記範囲とすることにより、上記真空断熱材は熱を外部に伝導しにくくなることから、高い断熱効果を奏することができるからである。
また、上記真空断熱材の初期熱伝導率に対し、130℃、1000時間劣化後の上記真空断熱材の熱伝導率の低下率が、20%以下であることが好ましく、中でも10%以下であることが好ましい。
なお、上記熱伝導率は、JIS−A−1412−3に従い、熱伝導率測定装置オートラムダ(製品名 HC−074、英弘精機製)を用いた熱流計法により測定された値である。
上記真空断熱材はガスバリア性が高いことが好ましい。外部からの水分や酸素等の侵入による真空度の低下を防止することができるからである。
上記真空断熱材のガスバリア性については、上述した「A.真空断熱材用外包材 3.ガスバリア層」の項で説明した酸素透過度および水蒸気透過度と同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.製造方法
本発明の真空断熱材の製造方法としては、一般的な方法を用いることができる。例えば、予め上述の真空断熱材用外包材を準備し、2枚の当該真空断熱材用外包材をそれぞれの熱溶着層が内側に向き合う様に対向させ、その間に上述した芯材を配置し、製袋機等によって上記芯材の外周の一方を開口部とし、残り三方の真空断熱材用外包材の端部を熱溶着し、次いでこれを真空封止機に装着し、内部圧力を減圧した状態で上記開口部を密封することにより所望の真空断熱材が得られる。
5.用途
本発明の真空断熱材は、熱伝導率が低く、高温下においても断熱性および耐久性に優れるものである。従って、熱源を有し発熱する部位や、外部から加熱されることにより高温となる部位に用いることができる。本発明の用途としては、例えば、「C.真空断熱材付き機器」で説明する機器、クーラーボックス、輸送用コンテナ、水素等の燃料タンク、システムバス、温水タンク、保温庫、住宅壁、自動車、飛行機、船舶、列車等が挙げられる。
C.真空断熱材付き機器
次に、本発明の真空断熱材付き機器について説明する。本発明の真空断熱材付き機器は、本体又は内部に熱源部もしくは被保温部を有する機器、および真空断熱材を少なくとも備える真空断熱材付き機器であって、上記真空断熱材が、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有するものであり、上記真空断熱材用外包材が、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有し、少なくとも上記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、上記熱溶着層がPBTを主成分とし、上記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とするものである。
ここで、「熱源部」とは、機器自体が駆動することにより、当該機器本体または機器内部において発熱する部位をいうものであり、例えば電源やモーター等をいう。また、「被保温部」とは、機器本体または内部に熱源部を有さないが、上記機器が外部の熱源から熱を受けて、高温になる部位をいうものである。
本発明によれば、上述した「B.真空断熱材」の項で説明した真空断熱材は、高温下で長期間使用しても真空断熱材用外包材同士を貼り合せた端部において剥離の発生が起こりにくく、上記真空断熱材内部の真空状態が保持されるため、優れた断熱効果を発揮することができる。そのため、熱源部を有する機器においては、上記真空断熱材により熱源部からの熱を断熱し、機器全体の温度が高温となることを防止することができ、一方、被保温部を有する機器においては、上記真空断熱材により上記被保温部の温度状態を保つことができる。
これにより、本発明は、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有する機器とすることができる。
また、上述した真空断熱材は、高温下で長期間曝される場合でも、上記真空断熱材用外包材自体の劣化が起こりにくく、耐久性に優れたものである。そのため、当該真空断熱材を付した機器は、長期にわたり省エネルギー特性を発揮することができる。
本発明における真空断熱材については、上述した「B.真空断熱材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における機器とは、本体又は本体の内部に熱源部もしくは被保温部を有するものであるが、中でも、100℃〜150℃程度の高温に達する熱源部または被保温部を少なくとも有するものが好ましい。発明における機器としては、例えば、自然冷媒ヒートポンプ給湯機(登録商標「エコキュート」)、冷蔵庫、自動販売機、炊飯ジャー、ポット、電子レンジ、業務用オーブン、IHクッキングヒーター、OA機器等の電化機器、自動車等が挙げられる。中でも自然冷媒ヒートポンプ給湯機、業務用オーブン、電子レンジ、自動車に上述の真空断熱材を用いることが好ましい。
上記真空断熱材を機器に装着する態様としては、当該機器の熱源部もしくは被保温部に直接真空断熱材を貼り付けてもよく、被保温部と熱源部または外部熱源との間に真空断熱材を挟みこむようにして装着してもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(層間接着剤の調製)
層間接着剤として、トリレンジイソシアネート、アジピン酸および1,4−ブタンジオールから得られたポリエステルウレタンを主成分とし、エポキシ成分を含む主剤と、トリレンジイソシアネートを構成材料に含む芳香族系ポリイソシアネートを含む硬化剤と、酢酸エチルを、重量配合比が主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:3:10となるように混合し、2液硬化型エポキシ系接着剤を調製した。
(真空断熱材用外包材の製造)
第1保護層として、両面に易接着処理が施された膜厚25μmのナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製 製品名:ONM)の易接着面に、上述の配合比で調製した層間接着剤を塗布量3.5g/mとなるようにダイコーターを用いて塗布し乾燥させた。その後、第2保護層として両面が易接着処理された膜厚12μmのPETフィルム(ユニチカ株式会社製 製品名:PET)を、層間接着剤が塗布された第1保護層の表面にラミネートした。
次に、得られた2層フィルムのPET(第2保護層)面に、同様に層間接着剤を塗布量3.5g/mで塗布し乾燥させた。ガスバリア層として膜厚6μmのAl箔(住軽アルミ箔株式会社製 製品名:1N30)を、層間接着剤が塗布された第2保護層の表面にラミネートした。
続いて、得られた3層フィルムのAl箔(ガスバリア層)面に、同様に層間接着剤を塗布量3.5g/mで塗布し乾燥させた。熱溶着層として、PBT骨格を有するポリマーがPBTホモポリマーのみからなる、膜厚50μmのPBTフィルム(オージーフィルム社製 製品名:PBTフィルム)を、層間接着剤が塗布されたガスバリア層の表面にラミネートし、真空断熱材用外包材を得た。
[実施例2]
熱溶着層として、PBT骨格を有するポリマーがPBTホモポリマーおよびPBT共重合体からなる、膜厚50μmのPBTフィルム(オージーフィルム社製 製品名:PBTフィルム)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材を得た。
[比較例1]
層間接着剤の材料として、ポリエステルを主成分として含む主剤および脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤を混合した2液混合型ポリエステル系接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材を得た。
[比較例2]
熱溶着層として、膜厚50μmのETFEフィルム(東レフィルム加工株式会社製 製品名:トヨフロンETFE、融点270℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材を得た。
[比較例3]
熱溶着層として、膜厚75μmのFEPフィルム(東レフィルム加工株式会社製 製品名:トヨフロンFEP、融点260℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材を得た。
[評価]
(高温耐久試験)
実施例および比較例で得られた真空断熱材用外包材を、A4サイズに切り取り評価サンプルとした。当該評価サンプルをドライオーブンにセットし、130℃環境下で高温耐久試験を行い、経時における引張強度を評価した。引張強度はJIS−Z−1707に従いテンシロンを用いて測定した。実施例および比較例の各評価サンプルについての結果を表1に記す。
(実施例1および比較例1の考察)
PBTを主成分とする熱溶着層を用いた実施例1および比較例1の評価結果より、併用する層間接着剤がポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤である場合は、ポリエステル系接着剤である場合と比較して、同条件での高温耐久試験における引張強度の低下が抑制された。つまり、層間接着剤としてポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤を用いることにより、長期間高温下においても真空断熱材用外包材の劣化を抑えることが可能であることが示唆される。
(実施例1〜2および比較例2〜3の考察)
実施例1〜2および比較例2〜3の評価結果より、3種のエンジニアリングプラスチック(PBT、ETFE、およびFEP)をそれぞれ熱溶着層に用いた場合、熱溶着層としてPBTを主成分とする実施例1〜2は高い耐久性を示し、熱溶着層としてETFE、およびFEPを主成分とする比較例2〜3は、高温耐久試験後の引張強度の低下が確認された。
以上の実施例記載の効果から、PBTを主成分とする熱溶着層と、層間接着剤としてポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤とを併用することにより、長期間高温下においても高い接着力が保持され、良好な耐久性を発揮できる真空断熱材用外包材とすることができる。
1 … 熱溶着層
2 … 層間接着剤
3 … ガスバリア層
4 … 保護層
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 … 真空断熱材

Claims (3)

  1. 熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有する真空断熱材用外包材であって、
    少なくとも前記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、
    前記熱溶着層がポリブチレンテレフタレートを主成分とし、
    前記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とする真空断熱材用外包材。
  2. 芯材と、前記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
    前記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有し、
    少なくとも前記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、
    前記熱溶着層がポリブチレンテレフタレートを主成分とし、
    前記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とする真空断熱材。
  3. 本体又は内部に熱源部もしくは被保温部を有する機器、および真空断熱材を少なくとも備える真空断熱材付き機器であって、
    前記真空断熱材が、芯材と、前記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有するものであり、
    前記真空断熱材用外包材が、熱溶着層、ガスバリア層および保護層を有し、
    少なくとも前記熱溶着層が層間接着剤を介して積層されたものであり、
    前記熱溶着層がポリブチレンテレフタレートを主成分とし、
    前記層間接着剤が、ポリエステルウレタンを主成分とするエポキシ系接着剤であることを特徴とする真空断熱材付き機器。
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