JP6446901B2 - 真空断熱材、真空断熱材用外装材、および断熱物品 - Google Patents

真空断熱材、真空断熱材用外装材、および断熱物品 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜バリア層を有する複数のガスバリアフィルムにより構成されたガスバリア層を含む外装材により形成された真空断熱材、真空断熱材用外装材、および断熱物品に関する。
近年、地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減が推進されており、電気製品や車両、設備機器ならびに建物等の省エネルギー化が求められている。
中でも、消費電力量の低減の観点から、電気製品、車両、建築等の物品への真空断熱材の採用が進められている。これらの物品が真空断熱材を備えることで、物品全体としての断熱性能を向上させることが可能となり、エネルギー削減効果が期待される。
真空断熱材は、一般に、袋体の外装材に発泡樹脂や繊維材等の芯材を入れ、脱気して内部を真空状態とし、外装材の端部を熱接着により封止して密閉することで形成されている。
真空断熱材はその内部が高真空状態にあることで、内部での空気の対流による熱移動が遮断されるため、高い断熱性能を発揮することができる。一方で、真空断熱材の内部に酸素、水分等のガスが微量でも浸入すると、内部の真空度が急激に低下して真空断熱材の断熱性能の低下を引き起こすこととなる。
このため、真空断熱材の高断熱性能を長期間維持するためには、ガスの浸入を防ぎ、長期にわたり真空断熱材の内部を高真空状態に保持する必要がある。
したがって、真空断熱材用途として用いられる外装材(以下、真空断熱材用外装材と称する場合がある。)は、外部からのガスの浸入を防止するための高ガスバリア性、芯材を覆い密着封止するための熱接着性等、種々の機能が要求される。食品の包装等に用いられる一般の外装材では、要求されるこれらの機能を満たすことができないため、真空断熱材用外装材としては、上記機能を具備する複数のフィルムの積層体が用いられる。このような真空断熱材用外装材は、一般に、熱溶着層、ガスバリア層および保護層が積層された構成を有する。
真空断熱材用外装材を構成するガスバリア層には、ガスバリア性が高いという観点から、従来よりAl箔等の金属箔が用いられていた。しかし、金属箔は熱伝導率が高いため、真空断熱材の外装材の周縁の封止部分において金属箔が近接することで、真空断熱材の一方の面で受けた熱が封止部分を介して対向する面に移動する、いわゆるヒートブリッジが生じてしまう。このため、真空断熱材の断熱性能が低下するという問題があった。
上記問題に対し、ヒートブリッジの発生を抑制するために、真空断熱材用外装材のガスバリア層として、無機化合物等の蒸着膜、すなわち薄膜バリア層が基材上に形成されたガスバリアフィルムの採用が検討されている。
しかし、このようなガスバリアフィルムは、単層あたりのガスバリア性が金属箔よりも低い傾向がある。そこで、外装材に所望のガスバリア性を付与するためには、複数枚のガスバリアフィルムを接着層を介して積層させる必要がある。
特許文献1では、真空断熱材用外装材を構成するガスバリア層について、2種類のガスバリアフィルムを薄膜バリア層同士が向かい合うようにして接着層で貼り合せた積層態様とすることで、ガスバリア性の向上およびヒートブリッジの低減が図れることが開示されている。
特開2007−263335号公報
ガスバリア層が複数のガスバリアフィルムの積層体である場合、上記ガスバリア層のガスバリア性は、ガスバリアフィルム単体でのガスバリア性および積層枚数に因り向上することが想定される。
しかし、本発明者等が、特許文献1で開示される真空断熱材用外装材のガスバリア性について検討をしたところ、外装材が示す実際のガスバリア性能が、ガスバリアフィルムの積層枚数等から想定される性能よりも劣っており、このような外装材を用いた真空断熱材は、断熱性能が長期間持続されず、断熱性能の経時低下が起こり易いという問題があることを見出した。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、長期にわたり高い断熱性能が持続し、且つヒートブリッジが生じにくい真空断熱材、真空断熱材用外装材、および上記真空断熱材を備える断熱物品を提供することを主目的とする。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、隣接するガスバリアフィルムの薄膜バリア層同士を接着層を介して直に貼り合せる場合、接着層内で生じたガス(以下、発生ガスと称する場合がある。)により薄膜バリア層が局所的に加圧されることで、薄膜バリア層にピンホール等の欠陥が発生することを知得した。本発明は、このような知得に基づくものである。
すなわち、本発明は、芯材と上記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、対向する上記外装材は、上記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、対向する上記外装材の少なくとも一方の上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、上記ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、一の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層および上記一のガスバリアフィルムに隣接する他の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層間に、接着層および介在層が配置されることを特徴とする真空断熱材を提供する。
本発明によれば、外装材のガスバリア層内において、隣接するガスバリアフィルムの薄膜バリア層間に接着層の他に介在層を配置することで、薄膜バリア層間を占める空間領域の体積を確保することができ、接着層内で発生したガスを上記空間領域内において十分に拡散させることが可能となる。これにより、薄膜バリア層が発生ガスから受ける圧力が小さくなり、発生ガスによる薄膜バリア層の欠陥の発生が抑制されるため、上記外装材は高ガスバリア性を発揮することができる。そして、上記外装材を備える真空断熱材は、長期にわたり高い断熱性能を持続することができる。
また、上記ガスバリア層が、薄膜バリア層を有するガスバリアフィルムの積層体であることから、外装材の封止部分でのヒートブリッジの発生が抑制されるため、真空断熱材は高い断熱性能を発揮することができる。
上記発明においては、上記介在層が、隣接する上記ガスバリアフィルムの少なくとも一方の上記基材であることが好ましい。ガスバリアフィルムの基材が介在層としての機能を兼ねることで、別途介在層を積層させる必要がなく、製造コストおよび製造工程の削減を図ることができるからである。
本発明は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層された真空断熱材用外装材であって、上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、上記ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、一の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層および上記一のガスバリアフィルムに隣接する他の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層間に、接着層および介在層が配置されることを特徴とする真空断熱材用外装材を提供する。
本発明によれば、ガスバリア層内において、隣接するガスバリアフィルムの薄膜バリア層間に接着層の他に介在層を配置することで、薄膜バリア層間を占める空間領域の体積を確保することができ、接着層内で発生したガスを上記空間領域内において十分に拡散させることが可能となる。これにより、薄膜バリア層が発生ガスから受ける圧力が小さくなり、発生ガスによる薄膜バリア層の欠陥の発生が抑制されるため、本発明の真空断熱材用外装材は高ガスバリア性を発揮することができる。
また、上記ガスバリア層が、薄膜バリア層を有するガスバリアフィルムの積層体であることから、真空断熱材用外装材同士の接着部分でのヒートブリッジの発生を抑制することができる。
上記発明においては、上記介在層が、隣接する上記ガスバリアフィルムの少なくとも一方の上記基材であることが好ましい。
本発明は、物品および真空断熱材を備える断熱物品であって、上記真空断熱材は、芯材と上記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、対向する上記外装材の周縁が封止されており、対向する上記外装材は、上記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、対向する上記外装材の少なくとも一方の上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、上記ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、一の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層および上記一のガスバリアフィルムに隣接する他の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層間に、接着層および介在層が配置されることを特徴とする断熱物品を提供する。
本発明によれば、物品に備わる真空断熱材の外装材が上述の層構成を有することで、上記真空断熱材は、ヒートブリッジの発生が抑制され、長期にわたり高い断熱性能を発揮することができる。このため、断熱物品は、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有することができる。
本発明は、長期にわたり高い断熱性能が持続し、且つヒートブリッジが生じにくい真空断熱材を提供することができるという効果を奏する。
本発明の真空断熱材の一例を示す概略斜視図および断面図である。 本発明の真空断熱材用外装材の一例を示す概略断面図である。 本発明の真空断熱材用外装材の他の例を示す概略断面図である。 複数のガスバリアフィルムを有する従来のガスバリア層を説明するための説明図である。 本発明の真空断熱材用外装材におけるガスバリア層を説明するための説明図である。 本発明の真空断熱材用外装材の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明の真空断熱材、真空断熱材用外装材、および断熱物品について説明する。
I.真空断熱材
まず、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材と上記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、対向する上記外装材は、上記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、対向する上記外装材の少なくとも一方の上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、上記ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、一の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層および上記一のガスバリアフィルムに隣接する他の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層間に、接着層および介在層が配置されることを特徴とするものである。
本発明の真空断熱材について図を参照して説明する。図1(a)は本発明の真空断熱材の一例を示す概略斜視図であり、図1(b)は図1(a)のX−X線断面図である。また、図2は、図1の外装材1Aの一例を示す概略断面図である。
図1(a)および(b)に例示するように、本発明の真空断熱材10は、対向する2枚の外装材1A、1Bの周縁が熱溶着により封止されており、外装材1A、1Bにより密閉された空間内部に芯材2が収納され、内部が減圧されて真空状態となっている。外装材1A、1Bの周縁の封止部分は、真空断熱材10の端部4となる。
対向する外装材1A、1Bは、それぞれ芯材2側から熱溶着層11、ガスバリア層12(12Aまたは12B)、および保護層13がこの順で積層されている。
ここで、外装材1Aのガスバリア層12Aは、図2に例示するように、複数のガスバリアフィルム14(14Aまたは14B)が積層されてなるものである。ガスバリアフィルム14(14Aまたは14B)は、基材17(17Aまたは17B)と、基材17の一方の表面上に形成された薄膜バリア層18(18Aまたは18B)とを有している。また、ガスバリアフィルム14Aの薄膜バリア層18Aと、ガスバリアフィルム14Aに隣接するガスバリアフィルム14Bの薄膜バリア層18Bとの間には、接着層15および介在層16が配置されている。
図3は、図1の外装材1Aの他の例を示す概略断面図である。図3に示す外装材1Aは、ガスバリア層12A内の介在層16が、隣接するガスバリアフィルム14A、14Bの有する基材17A、17Bである例を示すものである。
従来、外装材のガスバリア層として、複数のガスバリアフィルムを接着層を介して貼り合せた積層体を用いる場合、上述した特許文献1等で開示されるように、ガスバリアフィルムの薄膜バリア層同士を接着層を介して直に貼り合せる積層態様が好ましいとされていた。
しかし、上述の積層態様のガスバリア層を有する外装材を真空断熱材に採用したところ、真空断熱材の断熱性能が長期間持続されず、断熱性能の経時低下が起こり易いという問題があることを見出した。そして、本発明者等が上記問題について鋭意検討を行ったところ、外装材のガスバリア性が、ガスバリアフィルムの積層枚数等から想定されるガスバリア性よりも低下することを知得した。以下、その理由について、図を参照しながら説明する。
図4は、複数のガスバリアフィルムを有する従来のガスバリア層を説明するための説明図である。図4中の符号については、図2と同様である。
一般に、フィルムの接着に使用される接着層には、溶剤や低分子材料等が含まれている。これらの材料は、加熱されることでガスとなり、発生した上記ガスは、接着層内およびフィルムへ拡散することとなる。
ここで、図4(a)で示すように、対向する薄膜バリア層18が接着層15を介して直に貼り合される場合、接着層15の厚み方向の上側表面および下側表面がガスバリア性の高い薄膜バリア層18と接しているため、接着層15内で発生したガスGは、ガスバリアフィルム14側へ拡散することができず、隣接する薄膜バリア層18間を占める空間領域S内を拡散することとなる。
しかし、隣接する薄膜バリア層間を占める空間領域は、その体積が接着層の体積分しかないことから、接着層内を拡散するガスの量が過剰になると、ガスはより広範囲で拡散しようとする。このため、図4(b)で示すように、薄膜バリア層18は、ガスGの拡散しようとする圧力Pを局所的に受けることとなる。
ガスバリアフィルムに用いられる薄膜バリア層は、一般に蒸着膜等から形成されるものであり、加えられた力に対して追従しにくく脆弱性を有するものが多い。このため、図4(c)で示すように、薄膜バリア層18は、接着層で発生したガスから圧力を受けることで、ピンホール等の欠陥Xが生じ、ガスバリア層全体としてのガスバリア性能が低下してしまうのである。
特に、薄膜バリア層同士を接着層を介して接着させる場合、接着力を向上させるためにエージング処理を行う必要あるが、上記エージング処理により接着層が加熱されることで、ガスの発生量が増加してしまう。また、真空断熱材は通常、高温下で使用されるため、長期にわたり真空断熱材に熱がかかることで、接着層内にてガスが継続的に発生することとなる。さらに、加熱により発生ガスが膨張することで、薄膜バリア層はガスの膨張による圧力も受けることとなる。このため、従来のガスバリア層の積層態様では、薄膜バリア層は欠陥が生じやすくなるのである。
そこで、本発明者等がガスバリアフィルムの積層態様について、さらに鋭意検討を重ねたところ、ガスバリアフィルムの積層態様として、図5で示すように、隣接する複数のガスバリアフィルム14の薄膜バリア層18間に、ガスバリアフィルム14同士を接着するための接着層15の他に介在層16を配置することで、外装材のガスバリア性の低下を抑制することが可能であることを見出した。
すなわち、図5で示すように、隣接するガスバリアフィルム14の薄膜バリア層18同士を接着層15を介して接着させる際に、接着層15とともに介在層16を配置することで、隣接する薄膜バリア層18間を占める空間領域Sの体積を確保して、接着層15内で発生したガスGを空間領域S内において十分に拡散させることが可能となる。これにより、薄膜バリア層が発生ガスから受ける圧力を小さくすることができ、発生ガスによる薄膜バリア層の欠陥の発生を抑制することが可能となる。
すなわち、本発明によれば、隣接するガスバリアフィルムの薄膜バリア層間に接着層の他に介在層を配置することで、上述したように薄膜バリア層が発生ガスから受ける圧力を小さくして薄膜バリア層の欠陥の発生を抑制することが可能となるため、外装材は高ガスバリア性を発揮することができる。
また、上記ガスバリア層が、薄膜バリア層を有するガスバリアフィルムの積層体であることから、外装材の封止部分でのヒートブリッジの発生が抑制される。
以上の理由により、このような外装材を有する本発明の真空断熱材は、長期にわたり高い断熱性能を持続することができ、且つ、ヒートブリッジの発生による断熱性能の低下を抑制することができる。
以下、本発明の真空断熱材の各構成について説明する。
A.外装材
本発明における外装材は、上記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されている。
また、芯材を覆うように配置された対向する外装材の少なくとも一方においては、上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなる。
本発明における外装材は、ガスバリア層の態様に応じて2つの態様に分けられる。複数のガスバリアフィルムが所望の積層態様で積層されてなるガスバリア層を有する外装材を「第1の外装材」、それ以外の外装材を「第2の外装材」として、以下に説明する。
1.第1の外装材
第1の外装材は、芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、上記ガスバリア層が以下に説明する態様を有する。
(1)ガスバリア層
第1の外装材におけるガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものである。
また、一のガスバリアフィルムの薄膜バリア層と、上記一のガスバリアフィルムに隣接する他のガスバリアフィルムの薄膜バリア層との間には、接着層および介在層が配置される態様を有する。
(a)ガスバリアフィルム
ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有するものである。
(i)薄膜バリア層
薄膜バリア層は、通常、蒸着法により形成された蒸着膜であるが、後述する膜厚を有するものであればこれに限定されない。
薄膜バリア層は透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
透明性を有する薄膜バリア層としては、例えば無機酸化物、無機窒化物、および無機酸化窒化物からなる無機蒸着膜等が挙げられる。
無機酸化物としては、具体的には酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化ゲルマニウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化ナトリム、酸化リチウム、酸化カリウム等が挙げられる。
無機窒化物としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素等が挙げられる。
また、無機酸化窒化物としては、酸化窒化ケイ素等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、透明性を有する薄膜バリア層として、ポリマー組成物および金属化合物を含む無機−有機混合バリア層を用いることができる。
金属化合物としては、例えばLi、Na、K、Rb等の1価の金属、Mg、Ca、Zn、Cu、Co、Fe、Ni、Al、Zr等の2価以上の金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機塩、カルボン酸塩、スルホン酸等の有機酸塩が挙げられる。
なお、無機−有機混合バリア層中に含有される金属化合物は、1種類であってもよく、複数種類であってもよい。
ポリマー組成物としては、例えばポリカルボン酸およびポリアルコールの架橋体、ポリカルボン酸およびポリアミンの架橋体等が挙げられる。具体的なポリカルボン酸、ポリアルコール、およびポリアミンについては、例えば、国際公開第2014/042133号パンフレットに記載される材料が挙げられる。
一方、透明性を有さない薄膜バリア層としては、例えば金属蒸着膜が挙げられる。
金属蒸着膜の金属としては、具体的には、Al、Ti、Mg、Sn、In、Zn、Fe、Ni、Cr、Cu等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも本発明においては、薄膜バリア層が無機蒸着膜または金属蒸着膜であることが好ましい。無機蒸着膜や金属蒸着膜は、ポリマー等を含有するバリア層よりも薄膜であり、且つ、耐屈曲性に劣ることから、接着層から発生するガスにより圧力を受けることで、欠陥が発生しやすい。このため、薄膜バリア層を無機蒸着膜や金属蒸着膜とすることで、本発明による効果がより発揮されやすくなるからである。
薄膜バリア層の膜厚は、35nm〜300nmの範囲内が好ましく、中でも40nm〜150nmの範囲内、特に45nm〜100nmの範囲内が好ましい。薄膜バリア層の膜厚が上記範囲よりも小さいと、ガスバリア層全体として所望のガスバリア性を発揮できない場合があり、一方、上記範囲よりも大きいと、屈曲時に薄膜バリア層にクラックが発生しやすい場合があるからである。
薄膜バリア層が無機蒸着膜や金属蒸着膜である場合、薄膜バリア層は単層の蒸着膜であってもよく、複数の蒸着膜が積層されたものであってもよい。薄膜バリア層が複数の蒸着膜が積層されてなる場合、一つの蒸着膜においてピンホール等の欠陥が発生しても、他の蒸着膜が上記欠陥上に形成されていることで欠陥部分のガスバリア性の低下を防ぐことができる。このため、ガスバリアフィルム単体でのガスバリア性をさらに向上させることが可能だからである。なお、積層する蒸着膜の組合せは、同種または異種を問わない。
薄膜バリア層の形成方法は、薄膜バリア層の種類に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、薄膜バリア層が無機蒸着膜や金属蒸着膜である場合、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等、従来公知の蒸着法を用いることができる。また、薄膜バリア層が無機‐有機混合バリア層である場合は、例えば、金属化合物、ポリカルボン酸系ポリマー、およびポリアルコール系ポリマーを含有する塗布液を塗布して加熱し、ポリマーを架橋させる方法等が挙げられる。
(ii)基材
基材は、薄膜バリア層を支持することができる樹脂シートまたは樹脂フィルムであれば特に限定されない。また、上記基材は透明性を有していてもよく有さなくてもよいが、本発明における外装材に透明性が要求される場合は、上記基材は透明性を有する。
基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、シクロポリオレフィン(CPO)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)等を挙げることができる。
また、上記樹脂以外の基材の構成材料としては、ラジカル反応性の不飽和化合物を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物、上記アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メタクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解した樹脂組成物等からなる光硬化性樹脂、およびこれらの混合物等を用いることができる。
さらに、これらの樹脂の1種または2種以上をラミネート、コーティング等の手段により積層させたものを基材として用いることもできる。
上記基材には、種々の性能確保のために、例えば特開2013−000977号公報等で開示される添加剤が含まれていてもよい。
基材は、薄膜バリア層との密着性を改善するために、必要に応じて、特開2013−000977号公報等で開示される表面処理が施されていてもよい。
また、基材と薄膜バリア層との密着性を改善するために、基材はその表面にプライマーコート剤層、アンダーコート層、蒸着アンカーコート剤層等の任意の層を有していても良い。
基材の厚さは、通常10μm以上100μm以下の範囲内、好ましくは25μm以上50μm以下の範囲内である。基材の厚さを上記範囲内とすることで、ガスバリアフィルムの基材を介在層として用いる場合に、接着層から発生したガスを基材内にて拡散させることができ、発生ガスによる薄膜バリア層の欠陥の発生を抑制することができる。
基材は透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
基材はガスバリア性が低いことが好ましい。上記基材を介在層として用いる場合に、接着層から発生したガスを基材内にて拡散させることができ、発生ガスによる薄膜バリア層の欠陥の発生を抑制することができる。
上記基材のガスバリア性については、外装材に要求されるガスバリア性に応じて設定することができるが、中でも後述する「(b)介在層」の項で説明するガスバリア性と同様であることが好ましい。
(iii)その他
ガスバリアフィルムは、薄膜バリア層上にさらにガスバリア性塗布膜を有していてもよい。蒸着バリア層を保護することができ、ガスバリアフィルム単体でのガスバリア性を高めることができるからである。ガスバリア性塗布膜としては、例えばアルコキシドと水溶性高分子とをゾル−ゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布して形成することができる。ガスバリア性組成物の材料およびガスバリア性塗布膜の形成方法については、特開2011−005839号公報等で開示される材料および形成方法と同様とすることができる。
ガスバリアフィルムは、酸素透過度および水蒸気透過度の少なくとも一方が低いことが好ましく、中でも両方とも低いことが好ましい。ガスバリアフィルム単体での酸素透過度および水蒸気透過度については、ガスバリア層に要求されるガスバリア性に応じて適宜設計することができる。
外装材に透明性が要求される場合、ガスバリアフィルムは、ガスバリア層が所望の全光線透過率を示すことが可能な光透過性を有していればよく、光透過率等については用途等に応じて適宜設計することができる。
(b)介在層
介在層は、一のガスバリアフィルムの薄膜バリア層と、上記一のガスバリアフィルムに隣接する他のガスバリアフィルムの薄膜バリア層との間に配置される層である。
上記介在層は、隣接する薄膜バリア層間を占める空間領域の体積を嵩増し、層内において接着層から発生するガスを拡散させることができる。
上記介在層は、発生ガスを拡散する観点からガスバリア性が低いものが好ましく、例えば上述の「(a)ガスバリアフィルム (ii)基材」の項で挙げた樹脂材料からなる樹脂層が挙げられる。中でもポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂等から成る樹脂層が好ましい。
また、隣接するガスバリアフィルムの少なくとも一方の基材を介在層とすることができる。ガスバリアフィルムの基材を介在層とする場合、図6で示すように、隣接するガスバリアフィルム14A、14Bのうち、一方のガスバリアフィルム14Aの基材17Aを介在層16としてもよく、既述の図3で示したように、隣接するガスバリアフィルム14A、14Bの双方の基材17A、17Bを介在層16としてもよい。隣接するガスバリアフィルムの少なくとも一方の基材を介在層とすることで、別層として介在層を配置する必要がなく、本発明における第1の外装材の形成が容易となる。また、第1の外装材を薄膜化することができる。
なお、図6は、本発明における第1の外装材の他の例を示す概略断面図であり、図6中の符号は図2等と同様である。
中でも、本発明においては、介在層が隣接するガスバリアフィルムの少なくとも一方の基材であることが好ましい。ガスバリアフィルムの基材が介在層としての機能を兼ねることで、別途介在層を積層させる必要がなく、製造コストおよび製造工程の削減を図ることができるからである。
介在層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
1つの介在層は、単層であってもよく多層体であってもよい。1つの介在層が多層体である場合、介在層を構成する各層が同一の組成を有していてもよく、異なる組成を有していてもよい。
また、隣接する薄膜バリア層内において、介在層は図2、図6で示すように1つであってもよく、図3で示すように複数あってもよい。
介在層の厚さとしては、接着層から発生したガスを十分に拡散できる厚さであればよく、例えば10μm〜100μmの範囲内、中でも20μm〜50μmの範囲内、特に25μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。介在層が隣接する薄膜バリア層内に複数ある場合、各介在層の厚さの総和が上記範囲内であればよい。
介在層のガスバリア性は低いことが好ましい。介在層のガスバリア性が高いと、発生ガスが介在層内で拡散できないからである。介在層のガスバリア性が低いとは、介在層の酸素透過度および水蒸気透過度の少なくとも一方が高いことをいい、中でも両方とも高いことが好ましい。具体的には、酸素透過度が5cc/m/day/atm以上500cc/m/day/atm以下であることが好ましく、中でも20cc/m/day/atm以上100cc/m/day/atm以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が1g/m/day以上20g/m/day以下であることが好ましく、中でも5g/m/day以上8g/m/day以下であることが好ましい。介在層の酸素透過度および水蒸気透過度が上記範囲よりも大きいと、介在層端面からのガスの侵入が多くなり、真空断熱材の内部の真空度が低下する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、介在層内での発生ガスの拡散が阻害されるため、薄膜バリア層が発生ガスから受ける圧力を小さくすることができず、薄膜バリア層に欠陥が生じる場合があるからである。
なお、酸素透過度は、JIS−K−7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件下において酸素透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、オクストラン(OXTRAN))を用いて測定した値である。 また、水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて測定した値である。以下の説明における酸素透過度および水蒸気透過度についても、同様の方法で測定した値とする。
介在層の形成方法は、所望の構造および物性を有することが可能であれば特に限定されない。例えば、介在層を構成する樹脂材料を接着層やガスバリアフィルムの基材上に押出してラミネートする方法、介在層を構成する樹脂材料を塗布して紫外線等で硬化させる方法等が挙げられる。また、介在層は市販の樹脂フィルムやシートを用いてもよい。
(c)接着層
接着層は、複数のガスバリアフィルムを接着させる層である。上記接着層は、一のガスバリアフィルムの薄膜バリア層と、上記一のガスバリアフィルムに隣接する他のガスバリアフィルムの薄膜バリア層との間に配置される。
接着層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
接着層に用いられる接着剤としては、ガスバリアフィルムを接着させることが可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステルポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他の接着剤等を使用することができる。
接着層は、残留する溶剤量が少ないことが好ましい。残留溶剤量が多いと、接着層内で発生するガスの量が多くなるため、介在層を設けることによる効果が十分に得られず、薄膜バリア層に欠陥が生じる場合があるからである。
接着層内の残留溶剤量としては、接着層の単位面積(m)あたり30mg以下であることが好ましく、中でも10mg以下であることが好ましい。なお、上記残留溶剤量は、ガスクロマトグラフィ質量分析法(GC−MS法)により測定される。具体的には、上記残留溶剤量は、カラムとしてJ&W社製キャピラリーカラムDB−1を用い、ヘリウムガスをキャリアガスとして100℃下でGC−MS法による測定を行い、検出器としてFID(水素炎イオン化検出器)を用いて測定される。
接着層の膜厚としては、2.5μm〜10μmの範囲内が好ましく、中でも3.5μm〜5μmの範囲内が好ましい。接着層の膜厚が上記範囲よりも大きいと、接着層内で発生するガスの量が多くなるため、介在層を設けることによる効果が十分に得られず、薄膜バリア層に欠陥が生じる場合があるからである。一方、接着層の膜厚が上記範囲よりも小さいと、ガスバリアフィルム同士を十分に接着できない場合がある。
接着層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、接着剤を溶剤に溶かした接着層形成用塗工液をガスバリアフィルムの薄膜バリア層または基材上、若しくは介在層の上にアプリケータ等により塗工し、乾燥させることで接着層を形成することができる。塗工方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。
また、接着剤に含有される樹脂をガスバリアフィルムの薄膜バリア層または基材上に押し出して接着層を形成してもよい。
(d)その他
本発明におけるガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムのうち、少なくとも1組の隣接するガスバリアフィルム間において、接着層および介在層が上述した積層態様を有していればよく、全ての隣接するガスバリアフィルム間において、接着層および介在層が上述した積層態様を有していてもよい。
また、上記ガスバリア層の少なくとも熱溶着層側表面に、ガスバリアフィルムの薄膜バリア層が位置することが好ましい。ガスバリア層内において、芯材の最も近い位置に薄膜バリア層が配置されることから、真空断熱材内部へのガスの浸入をより効果的に防ぐことができるからである。
ガスバリア層を構成する複数のガスバリアフィルムは、それぞれ薄膜バリア層の組成が同一であってもよく異なっていてもよい。ガスバリアフィルムごとに薄膜バリア層の組成が異なることで、ガスバリア層のガスバリア性や機械的物性を調整することができる。
ガスバリア層内に含まれる複数の薄膜バリア層の組合せとしては、例えば、一方のガスバリアフィルムの薄膜バリア層を金属蒸着膜とし、他方のガスバリアフィルムの薄膜バリア層を無機蒸着膜とする組合せが挙げられる。複数の薄膜バリア層をこのように組合せることで、ガスバリア層を安価なものとすることができる。
また、一方のガスバリアフィルムの薄膜バリア層を無機蒸着膜とし、他方のガスバリアフィルムの薄膜バリア層を無機−有機混合バリア層とする組合せにより、無機蒸着膜によりガスバリア性を確保しつつ、無機−有機混合バリア層によりガスバリア層に柔軟性を付与することができる。
ガスバリア層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。ガスバリア層が透明性を有する場合の全光線透過率としては、例えば、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。なお、上記全光線透過率は、JIS−K7361に準拠して測定した値である。
ガスバリア層はガスバリア性が高いことが好ましい。すなわち、ガスバリア層全体として、酸素透過度および水蒸気透過度の少なくとも一方が低いことが好ましく、中でも両方とも低いことが好ましい。具体的には、酸素透過度が0.2cc/m/day/atm以下であることが好ましく、中でも0.05cc/m/day/atm以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が0.2g/m/day以下であることが好ましく、中でも0.05g/m/day以下であることが好ましい。上記酸素および水蒸気透過度を上述の範囲内とすることにより、外装材のガスバリア性が向上し、真空断熱材内部へのガスの浸入するのを防ぐことができるからである。
ガスバリア層の形成方法は、複数のガスバリアフィルムのうち、隣接するガスフィルム間において接着層および介在層が上述した積層態様となるように形成可能な方法であれば特に限定されない。
例えば、一方のガスバリアフィルムの基材または薄膜バリア層上に接着層を形成し、ドライラミネーションにより接着層上に介在層を配置し、更に介在層上に接着層を形成し、上記接着層上に他方のガスバリアフィルムの基材または薄膜バリア層をドライラミネーションにより接着して形成する方法が挙げられる。
一方のガスバリアフィルムの基材が介在層として機能する場合は、一方のガスバリアフィルムの基材上に接着層を形成し、上記接着層上に他方のガスバリアフィルムの基材または薄膜バリア層をドライラミネーションにより接着させることで、ガスバリア層を形成することができる。各層の接着の際には、エージング処理を行ってもよい。
(2)保護層
上記保護層は、真空断熱材の内部を保護する機能を有する層である。また、真空断熱材の表層を担う層である。
上記保護層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
上記保護層の材料としては、熱溶着層よりも高融点の樹脂であればよく、例えば、ナイロン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
上記保護層はシート状でもよく、一軸延伸または二軸延伸されたフィルム状でもよい。また、上記保護層は、単層であってもよく同一材料から成る層または異なる材料から成る層を積層させて多層としてもよい。
また上記保護層は、他の層との密着性の向上を図るために、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
上記保護層の厚さとしては、熱溶着層およびガスバリア層を保護することが可能な厚さであれば特に限定されず、例えば5μm〜80μm程度である。
(3)熱溶着層
上記熱溶着層は、芯材と接する層であり、対向する外装材の周縁を接着して封止する機能を有する。
上記熱溶着層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
上記熱溶着層の材料としては、一般に使用される樹脂を用いることができ、例えばポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
上記熱溶着層は、上記樹脂の他にアンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等の他の材料を含むものであってもよい。
上記熱溶着層の融点としては、使用環境下において真空断熱材の端部が剥離しない程度の接着力を有する温度であることが好ましい。上記融点としては、例えば80℃〜300℃の範囲内、中でも100℃〜250℃の範囲内であることが好ましい。
(4)その他
第1の外装材は、上述の層の他に、アンカーコート層や耐ピンホール層等の任意の層を有していてもよい。
第1の外装材を構成する各層は、直接接触して積層してもよいし、層間接着剤を介して積層してもよい。層間接着剤としては、例えば特開2011−005693号公報で開示されるラミネート用接着剤を用いることができる。
第1の外装材はガスバリア性が高いことが好ましい。すなわち、第1の外装材は、酸素透過度および水蒸気透過度の少なくとも一方が低いことが好ましく、中でも両方とも低いことが好ましい。具体的には、酸素透過度が0.2cc/m/day/atm以下であることが好ましく、中でも0.1cc/m/day/atm以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が0.2g/m/day以下であることが好ましく、中でも0.1g/m/day以下であることが好ましい。第1の外装材の酸素透過度および水蒸気透過度を上述の範囲内とすることにより、真空断熱材内部へのガスの浸入するのを防ぐことができるからである。
第1の外装材は、透明性を有していてもよく、有さなくてもよい。第1の外装材が透明性を有する場合、真空断熱材の内部に芯材とともに検知剤を封入することで、上記検知剤の変色、変形を視認することができ、内部の真空状態を目視で確認することが可能であるという利点を有する。なお、検知剤の詳細については後述する。
第1の外装材が透明性を有する場合、真空断熱材の内部に含まれる検知剤の変化を視認できる程度の光透過性を示すことが好ましい。第1の外装材の光透過率については特に限定されず、真空断熱材の態様に応じて適宜決定することができる。
第1の外装材の製造方法としては、熱溶着層、ガスバリア層および保護層をこの順で積層可能な方法であれば特に限定されず、例えば層間接着剤層等を介して各層を積層して製造することができる。
2.第2の外装材
第2の外装材は、ガスバリア層以外の層が第1の外装材と同様である。
第2の外装材におけるガスバリア層としては、一般に真空断熱材に使用される外装材のガスバリア層と同様とすることができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、ジルコニウム、チタン等の金属箔、金属箔とガスバリアフィルムとの積層体等を用いることができる。
なお、ガスバリア層の物性については、「1.第1の外装材」の項で説明したガスバリア層の物性と同様とすることができる。
なお、第2の外装材のガスバリア層以外の各層の詳細、および第2の外装材のその他詳細については、「1.第1の外装材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
B.芯材
本発明における芯材は、対向する外装材により覆われて内包されるものである。
芯材の材料としては、一般に真空断熱材の芯材に使用される材料を用いることができる。例えばシリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体が挙げられる。なお上記多孔質体は、空隙率が50%以上、中でも90%以上であることが好ましい。熱伝導率の低い芯材とすることができるからである。
上記芯材は、外部から浸入する微量のガスを吸着するためのゲッター剤を含んでいても良い。ゲッター剤としては、例えばシリカ、アルミナ、ゼオライト、活性炭等の真空断熱材に使用される一般的な材料が挙げられる。
上記芯材の厚さとしては、所望の断熱効果を発揮できる厚さであれば特に限定されず、例えば、減圧後の状態で1mm〜10mmの範囲内であることが好ましい。
C.その他
本発明の真空断熱材は、対向する外装材のうち少なくとも一方が第1の外装材であればよいが、中でも対向する外装材の両方が第1の外装材であることが好ましい。真空断熱材の端部においてヒートブリッジが生じにくくなるからである。
本発明の真空断熱材は、外装材が透明である場合に、内部に検知剤を含むことが好ましい。検知剤の変化から真空断熱材の内部の真空状態を確認することができるからである。ここで、検知剤とは、酸素、水分等のガスの存在や温度変化を検知すると、変色、変形が起こるものであり、例えばガスを検知する気体検知剤、温度変化を検知する温度検知剤等がある。
気体検知剤としては、例えば、シリカゲルなどの吸湿剤が挙げられる。上記吸湿剤は、酸素、水分等のガスを吸湿することで、変色、変形等が起こることから、真空断熱材の内部の真空状態を目視で確認することができる。なお、上述の「B.芯材」の項で説明したゲッター剤が、気体検知剤の役目を果たしてもよい。
また、温度検知剤としては、例えば一般に市販される示温剤等が挙げられる。示温剤は、温度の変化を検知し、所定の温度に達すると変色を生じることから、真空断熱材内部の真空度の低下に伴い異常な温度になっていないかを目視で確認することができる。
検知剤は真空断熱材の内部に分散されていてもよく、所望の位置に固定配置されていてもよく、外部から視認可能な位置にあればよい。
本発明の真空断熱材の内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の空気の対流を遮断し、断熱性能を向上させることができるからである。
また、上記真空断熱材の熱伝導率(初期熱伝導率)としては、例えば25℃環境下で15mW・m−1・K−1以下、中でも10mW・m−1・K−1以下、特に5mW・m−1・K−1以下であることが好ましい。真空断熱材が熱を外部に伝導しにくくなることから、高い断熱効果を奏することができるからである。なお、上記熱伝導率はJIS−A−1412−3に従い熱伝導率測定装置オートラムダ(英弘精機製 HC−074)を用いた熱流計法により測定された値である。
本発明の真空断熱材の製造方法は、少なくとも上述した第1の外装材を用いて芯材を封入し、内部を脱気して真空状態にして密閉することが可能な方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の真空断熱材は、電化機器用真空断熱材、建築用真空断熱材、保冷保温箱体用真空断熱材、自動車用真空断熱材等として、断熱を必要とするあらゆる場所に用いることができる。中でも、熱源部もしくは被保温部を有し、断熱効果が要求される物品に用いることが好ましい。なお、熱源部もしくは被保温部を有する物品については、後述する「III.断熱物品」の項で説明する。
II.真空断熱材用外装材
次に、本発明の真空断熱材用外装材について説明する。本発明の真空断熱材用外装材は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層された真空断熱材用外装材であって、上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、上記ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、一の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層および上記一のガスバリアフィルムに隣接する他の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層間に、接着層および介在層が配置されることを特徴とするものである。
本発明の真空断熱材用外装材は、例えば、図2、図3および図6で例示される外装材1Aの層構成を有する。
本発明によれば、ガスバリア層内において、隣接するガスバリアフィルムの薄膜バリア層間に接着層の他に介在層を配置することで、薄膜バリア層間を占める空間領域の体積を確保することができ、接着層内で発生したガスを上記空間領域内において十分に拡散させることが可能となる。これにより、薄膜バリア層が発生ガスから受ける圧力が小さくなり、発生ガスによる薄膜バリア層の欠陥の発生が抑制されるため、本発明の真空断熱材用外装材は高ガスバリア性を発揮することができる。
また、上記ガスバリア層が、薄膜バリア層を有するガスバリアフィルムの積層体であることから、真空断熱材用外装材同士の接着部分でのヒートブリッジの発生を抑制することができる。
なお、本発明の真空断熱材用外装材の詳細については、上述の「I.真空断熱材 A.外装材 1.第1の外装材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
III.断熱物品
次に、本発明の断熱物品について説明する。本発明の断熱物品は、物品および真空断熱材を備える断熱物品であって、上記真空断熱材が上述した「I.真空断熱材」の項で説明したものであることを特徴とするものである。
本発明によれば、物品に備わる真空断熱材の外装材が「I.真空断熱材」の項で説明した層構成を有することで、上記真空断熱材は、ヒートブリッジの発生が抑制され、長期にわたり高い断熱性能を発揮することができる。このため、断熱物品は、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有することができる。
以下、本発明の断熱物品の各構成について説明する。
A.真空断熱材
本発明における真空断熱材の詳細については、上述の「I.真空断熱材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
B.物品
本発明における物品は、断熱性が要求されるものであれば特に限定されないが、本体または本体の内部に熱源部もしくは被保温部を有するものであることが好ましい。
ここで、「熱源部」とは、物品自体が駆動することにより、物品本体または内部において発熱する部位をいう。熱源部としては、例えば電源やモーター等が挙げられる。
熱源部を有する物品に真空断熱材を用いることで、熱源部からの熱が断熱されるため、上記物品は所望の温度を保つことができる。
一方、「被保温部」とは、物品本体または内部に熱源部を有さないが、外部から熱を受けて、高温になる部位をいう。
被保温部を有する物品に真空断熱材を用いることで、外部からの熱が断熱されるため、上記物品は所望の温度を保つことができる。
上記物品は、100℃〜130℃程度の高温に達する熱源部または被保温部を少なくとも有するものが好ましい。このような物品としては、例えば、給湯器等の貯湯タンク、保温タンク、配管設備における配管、冷蔵庫、炊飯ジャー、ポット、電子レンジ、業務用オーブン、IHクッキングヒーター、OA機器等の電化機器、自動車、航空機、列車等の各種車両、自動販売機、ショーケース、冷凍・空調装置、貯蔵庫、輸送用保温保冷箱等の箱型形状の物品、内壁および外壁の二重構造を有する壁面パネル等が挙げられる。
C.その他
真空断熱材を物品に配置する方法としては、真空断熱材と物品とを接着層を介して固定する方法、物品に押し当てた真空断熱材の外側を樹脂や紐で覆って固定する方法等が挙げられる。中でも、真空断熱材と物品とを取り外し可能に配置する方法は、断熱性が低下した真空断熱材の交換が可能になる点で好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
以下の手順で真空断熱材用外装材を作成した。
(ガスバリア層Aの作成)
2枚のガスバリアフィルムA(構成:基材(ポリエチレンテレフタレート)/薄膜バリア層(酸化アルミニウム蒸着膜)/ガスバリア性塗布膜(ポリビニルアルコールおよびテトラエトキシシランの重合体)、厚さ:12μm、酸素透過度:0.1cc/m/day/atm、水蒸気透過度:0.1g/m/day、大日本印刷株式会社製、製品名「IB−PET−PXB」)を準備し、一方のガスバリアフィルムAの基材面上に乾燥後膜厚が3.5μmになるように、ダイレクトコートを用いて、下記組成からなる接着層形成用塗工液を全面塗工し、接着層を形成した。
(接着層形成用塗工液)
・ポリエステルポリウレタン系接着剤(製品名:LX605、DIC株式会社製) … 10質量部
・硬化剤(製品面:KW−40、DIC株式会社製) … 2質量部
・酢酸エチル … 8質量部
上記接着層上に、他方のガスバリアフィルムAの基材面が接するようにドライラミネーション接着をして、ガスバリア層A(構成:薄膜バリア層/基材/接着層/基材/薄膜バリア層)を得た。
(真空断熱材用外装材の作成)
保護層として厚さ25μmの延伸ナイロン(以下、ONと略す。ユニチカ株式会社製、製品名「ONBC」)に、乾燥後の膜厚が3.5μmとなるように層間接着剤(DIC株式会社製、製品名「LX605」)を塗工し、乾燥後、上述の方法で作成したガスバリア層Aを貼合した。続いて上記ガスバリア層A上に、上記層間接着剤を塗工し、乾燥後、熱溶着層として厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPと略す。三井化学東セロ株式会社製、製品名「SC30」)を貼合して真空断熱材用外装材を得た。
[実施例2]
ガスバリア層Aの積層順を変更して手貼りしたガスバリア層B(構成:薄膜バリア層/基材/接着層/薄膜バリア層/基材)を用い、ON、ガスバリア層BおよびCPPを層間接着剤を介して貼合したこと以外は実施例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
[実施例3]
ガスバリアフィルムAに換えてガスバリアフィルムB(構成:基材(ポリエチレンテレフタレート)/薄膜バリア層(酸化アルミニウム蒸着膜)、厚さ:12μm、酸素透過度:0.1cc/m/day/atm、水蒸気透過度:0.1g/m/day、大日本印刷株式会社製、製品名「IB−PET−2AB」)を用い、実施例1と同様の方法でガスバリア層C(構成:薄膜バリア層/基材/接着層/基材/薄膜バリア層)を得た。
ガスバリア層Aに換えてガスバリア層Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材を得た。
[実施例4]
ガスバリア層Aに換えて、以下の方法で作成されたガスバリア層Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
(ガスバリア層Dの作成)
ガスバリアフィルムAに換えてガスバリアフィルムC(構成:基材(ポリエチレンテレフタレート、以下、PETと略す。)/薄膜バリア層(金属アルミニウム蒸着膜)、厚さ:12μm、酸素透過度:2cc/m/day/atm、水蒸気透過度:2g/m/day、東レフィルム加工株式会社製、製品名「VM−PET」)、およびガスバリアフィルムD(構成:基材(エチレン−ビニルアルコール共重合体、以下、EVOHと略す。)/薄膜バリア層(アルミニウム蒸着膜)、厚さ:12μm、酸素透過度:0.05cc/m/day/atm、水蒸気透過度:0.5g/m/day、(株)クラレ製、製品名「vm−XL」)を用いた。実施例1と同様の方法でガスバリア層D(構成:薄膜バリア層/PET/接着層/EVOH/薄膜バリア層)を得た。
[比較例1]
ガスバリア層Aの積層順を変更したガスバリア層E(構成:基材/薄膜バリア層/接着層/薄膜バリア層/基材)を2枚用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱用外装材を得た。
[比較例2]
ガスバリア層Eを手貼りで形成したこと以外は,比較例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
[比較例3]
ガスバリア層Cの積層順を変更したガスバリア層F(構成:基材/薄膜バリア層/接着層/薄膜バリア層/基材)を2枚用いたこと以外は、実施例3と同様にして真空断熱用外装材を得た。
[比較例4]
ガスバリア層Dの積層順を変更したガスバリア層G(構成:PET/薄膜バリア層/接着層/薄膜バリア層/EVOH)を2枚用いたこと以外は、実施例4と同様にして真空断熱用外装材を得た。
[評価1]
(ガスバリア性評価)
上記実施例1〜4および比較例1〜4において得られた真空断熱材用外装材について、下記に従い、酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。なお、実施例2および比較例2については水蒸気透過度のみを測定した。
(1)酸素透過度(ガスバリア性)の測定
酸素透過度は、JIS−K7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件にて測定した。測定装置としては、米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名オクストラン(OXTRAN))を用いた。
(2)水蒸気透過度の測定
水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて測定した。
[評価2]
(光透過性評価)
上記実施例1、3および比較例1、3において得られた真空断熱材用外装材については、JIS−K7125に準拠して全光線透過率およびヘイズ値を測定した。
評価1および2の結果について、表1に示す。
各実施例では、ガスバリア層内において薄膜バリア層間に接着層の他に基材が配置され、上記基材が介在層として機能することから、ガスバリア層内において薄膜バリア層間に接着層以外の層が配置されない各比較例よりも高いガスバリア性を示した。
1A … 外装材、真空断熱材用外装材
1B … 外装材
2 … 芯材
10 … 真空断熱材
11 … 熱溶着層
12、12A、12B … ガスバリア層
13 … 保護層
14、14A、14B … ガスバリアフィルム
15 … 接着層
16 … 介在層
17、17A、17B … 基材
18、18A、18B … 薄膜バリア層

Claims (6)

  1. 芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、
    対向する前記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、
    対向する前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、
    対向する前記外装材の少なくとも一方の前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
    前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
    一の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層間に、第1の接着層、介在層、および第2の接着層がこの順で配置され、
    前記一のガスバリアフィルムの前記基材が、前記一のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置し、
    前記他のガスバリアフィルムの前記基材が、前記他のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置することを特徴とする真空断熱材。
  2. 熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層された真空断熱材用外装材であって、
    前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
    前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
    一の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層間に、第1の接着層、介在層、および第2の接着層がこの順で配置され、
    前記一のガスバリアフィルムの前記基材が、前記一のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置し、
    前記他のガスバリアフィルムの前記基材が、前記他のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置することを特徴とする真空断熱材用外装材。
  3. 物品および真空断熱材を備える断熱物品であって、
    前記真空断熱材は、芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、
    対向する前記外装材の周縁が封止されており、
    対向する前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、
    対向する前記外装材の少なくとも一方の前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
    前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
    一の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層間に、第1の接着層、介在層、および第2の接着層がこの順で配置され、
    前記一のガスバリアフィルムの前記基材が、前記一のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置し、
    前記他のガスバリアフィルムの前記基材が、前記他のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置することを特徴とする断熱物品。
  4. 芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、
    対向する前記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、
    対向する前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、
    対向する前記外装材の少なくとも一方の前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
    前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
    一の前記ガスバリアフィルム、および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムは、それぞれの基材が接着層を介して対向するように配置されることを特徴とする真空断熱材。
  5. 熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層された真空断熱材用外装材であって、
    前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
    前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
    一の前記ガスバリアフィルム、および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムは、それぞれの基材が接着層を介して対向するように配置されることを特徴とする真空断熱材。
  6. 物品および真空断熱材を備える断熱物品であって、
    前記真空断熱材は、芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、
    対向する前記外装材の周縁が封止されており、
    対向する前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、
    対向する前記外装材の少なくとも一方の前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
    前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
    一の前記ガスバリアフィルム、および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムは、それぞれの基材が接着層を介して対向するように配置されることを特徴とする断熱物品。
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