JP6446901B2 - 真空断熱材、真空断熱材用外装材、および断熱物品 - Google Patents
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Description
中でも、消費電力量の低減の観点から、電気製品、車両、建築等の物品への真空断熱材の採用が進められている。これらの物品が真空断熱材を備えることで、物品全体としての断熱性能を向上させることが可能となり、エネルギー削減効果が期待される。
真空断熱材はその内部が高真空状態にあることで、内部での空気の対流による熱移動が遮断されるため、高い断熱性能を発揮することができる。一方で、真空断熱材の内部に酸素、水分等のガスが微量でも浸入すると、内部の真空度が急激に低下して真空断熱材の断熱性能の低下を引き起こすこととなる。
このため、真空断熱材の高断熱性能を長期間維持するためには、ガスの浸入を防ぎ、長期にわたり真空断熱材の内部を高真空状態に保持する必要がある。
しかし、このようなガスバリアフィルムは、単層あたりのガスバリア性が金属箔よりも低い傾向がある。そこで、外装材に所望のガスバリア性を付与するためには、複数枚のガスバリアフィルムを接着層を介して積層させる必要がある。
特許文献1では、真空断熱材用外装材を構成するガスバリア層について、2種類のガスバリアフィルムを薄膜バリア層同士が向かい合うようにして接着層で貼り合せた積層態様とすることで、ガスバリア性の向上およびヒートブリッジの低減が図れることが開示されている。
しかし、本発明者等が、特許文献1で開示される真空断熱材用外装材のガスバリア性について検討をしたところ、外装材が示す実際のガスバリア性能が、ガスバリアフィルムの積層枚数等から想定される性能よりも劣っており、このような外装材を用いた真空断熱材は、断熱性能が長期間持続されず、断熱性能の経時低下が起こり易いという問題があることを見出した。
また、上記ガスバリア層が、薄膜バリア層を有するガスバリアフィルムの積層体であることから、外装材の封止部分でのヒートブリッジの発生が抑制されるため、真空断熱材は高い断熱性能を発揮することができる。
また、上記ガスバリア層が、薄膜バリア層を有するガスバリアフィルムの積層体であることから、真空断熱材用外装材同士の接着部分でのヒートブリッジの発生を抑制することができる。
まず、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材と上記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、対向する上記外装材は、上記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、対向する上記外装材の少なくとも一方の上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、上記ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、一の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層および上記一のガスバリアフィルムに隣接する他の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層間に、接着層および介在層が配置されることを特徴とするものである。
図1(a)および(b)に例示するように、本発明の真空断熱材10は、対向する2枚の外装材1A、1Bの周縁が熱溶着により封止されており、外装材1A、1Bにより密閉された空間内部に芯材2が収納され、内部が減圧されて真空状態となっている。外装材1A、1Bの周縁の封止部分は、真空断熱材10の端部4となる。
対向する外装材1A、1Bは、それぞれ芯材2側から熱溶着層11、ガスバリア層12(12Aまたは12B)、および保護層13がこの順で積層されている。
ここで、外装材1Aのガスバリア層12Aは、図2に例示するように、複数のガスバリアフィルム14(14Aまたは14B)が積層されてなるものである。ガスバリアフィルム14(14Aまたは14B)は、基材17(17Aまたは17B)と、基材17の一方の表面上に形成された薄膜バリア層18(18Aまたは18B)とを有している。また、ガスバリアフィルム14Aの薄膜バリア層18Aと、ガスバリアフィルム14Aに隣接するガスバリアフィルム14Bの薄膜バリア層18Bとの間には、接着層15および介在層16が配置されている。
しかし、上述の積層態様のガスバリア層を有する外装材を真空断熱材に採用したところ、真空断熱材の断熱性能が長期間持続されず、断熱性能の経時低下が起こり易いという問題があることを見出した。そして、本発明者等が上記問題について鋭意検討を行ったところ、外装材のガスバリア性が、ガスバリアフィルムの積層枚数等から想定されるガスバリア性よりも低下することを知得した。以下、その理由について、図を参照しながら説明する。
一般に、フィルムの接着に使用される接着層には、溶剤や低分子材料等が含まれている。これらの材料は、加熱されることでガスとなり、発生した上記ガスは、接着層内およびフィルムへ拡散することとなる。
ここで、図4(a)で示すように、対向する薄膜バリア層18が接着層15を介して直に貼り合される場合、接着層15の厚み方向の上側表面および下側表面がガスバリア性の高い薄膜バリア層18と接しているため、接着層15内で発生したガスGは、ガスバリアフィルム14側へ拡散することができず、隣接する薄膜バリア層18間を占める空間領域S内を拡散することとなる。
しかし、隣接する薄膜バリア層間を占める空間領域は、その体積が接着層の体積分しかないことから、接着層内を拡散するガスの量が過剰になると、ガスはより広範囲で拡散しようとする。このため、図4(b)で示すように、薄膜バリア層18は、ガスGの拡散しようとする圧力Pを局所的に受けることとなる。
ガスバリアフィルムに用いられる薄膜バリア層は、一般に蒸着膜等から形成されるものであり、加えられた力に対して追従しにくく脆弱性を有するものが多い。このため、図4(c)で示すように、薄膜バリア層18は、接着層で発生したガスから圧力を受けることで、ピンホール等の欠陥Xが生じ、ガスバリア層全体としてのガスバリア性能が低下してしまうのである。
すなわち、図5で示すように、隣接するガスバリアフィルム14の薄膜バリア層18同士を接着層15を介して接着させる際に、接着層15とともに介在層16を配置することで、隣接する薄膜バリア層18間を占める空間領域Sの体積を確保して、接着層15内で発生したガスGを空間領域S内において十分に拡散させることが可能となる。これにより、薄膜バリア層が発生ガスから受ける圧力を小さくすることができ、発生ガスによる薄膜バリア層の欠陥の発生を抑制することが可能となる。
また、上記ガスバリア層が、薄膜バリア層を有するガスバリアフィルムの積層体であることから、外装材の封止部分でのヒートブリッジの発生が抑制される。
以上の理由により、このような外装材を有する本発明の真空断熱材は、長期にわたり高い断熱性能を持続することができ、且つ、ヒートブリッジの発生による断熱性能の低下を抑制することができる。
本発明における外装材は、上記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されている。
また、芯材を覆うように配置された対向する外装材の少なくとも一方においては、上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなる。
第1の外装材は、芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、上記ガスバリア層が以下に説明する態様を有する。
第1の外装材におけるガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものである。
また、一のガスバリアフィルムの薄膜バリア層と、上記一のガスバリアフィルムに隣接する他のガスバリアフィルムの薄膜バリア層との間には、接着層および介在層が配置される態様を有する。
ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有するものである。
薄膜バリア層は、通常、蒸着法により形成された蒸着膜であるが、後述する膜厚を有するものであればこれに限定されない。
透明性を有する薄膜バリア層としては、例えば無機酸化物、無機窒化物、および無機酸化窒化物からなる無機蒸着膜等が挙げられる。
無機酸化物としては、具体的には酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化ゲルマニウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化ナトリム、酸化リチウム、酸化カリウム等が挙げられる。
無機窒化物としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素等が挙げられる。
また、無機酸化窒化物としては、酸化窒化ケイ素等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
金属化合物としては、例えばLi、Na、K、Rb等の1価の金属、Mg、Ca、Zn、Cu、Co、Fe、Ni、Al、Zr等の2価以上の金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機塩、カルボン酸塩、スルホン酸等の有機酸塩が挙げられる。
なお、無機−有機混合バリア層中に含有される金属化合物は、1種類であってもよく、複数種類であってもよい。
ポリマー組成物としては、例えばポリカルボン酸およびポリアルコールの架橋体、ポリカルボン酸およびポリアミンの架橋体等が挙げられる。具体的なポリカルボン酸、ポリアルコール、およびポリアミンについては、例えば、国際公開第2014/042133号パンフレットに記載される材料が挙げられる。
金属蒸着膜の金属としては、具体的には、Al、Ti、Mg、Sn、In、Zn、Fe、Ni、Cr、Cu等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
基材は、薄膜バリア層を支持することができる樹脂シートまたは樹脂フィルムであれば特に限定されない。また、上記基材は透明性を有していてもよく有さなくてもよいが、本発明における外装材に透明性が要求される場合は、上記基材は透明性を有する。
基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、シクロポリオレフィン(CPO)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)等を挙げることができる。
さらに、これらの樹脂の1種または2種以上をラミネート、コーティング等の手段により積層させたものを基材として用いることもできる。
また、基材と薄膜バリア層との密着性を改善するために、基材はその表面にプライマーコート剤層、アンダーコート層、蒸着アンカーコート剤層等の任意の層を有していても良い。
上記基材のガスバリア性については、外装材に要求されるガスバリア性に応じて設定することができるが、中でも後述する「(b)介在層」の項で説明するガスバリア性と同様であることが好ましい。
ガスバリアフィルムは、薄膜バリア層上にさらにガスバリア性塗布膜を有していてもよい。蒸着バリア層を保護することができ、ガスバリアフィルム単体でのガスバリア性を高めることができるからである。ガスバリア性塗布膜としては、例えばアルコキシドと水溶性高分子とをゾル−ゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布して形成することができる。ガスバリア性組成物の材料およびガスバリア性塗布膜の形成方法については、特開2011−005839号公報等で開示される材料および形成方法と同様とすることができる。
介在層は、一のガスバリアフィルムの薄膜バリア層と、上記一のガスバリアフィルムに隣接する他のガスバリアフィルムの薄膜バリア層との間に配置される層である。
上記介在層は、隣接する薄膜バリア層間を占める空間領域の体積を嵩増し、層内において接着層から発生するガスを拡散させることができる。
なお、図6は、本発明における第1の外装材の他の例を示す概略断面図であり、図6中の符号は図2等と同様である。
また、隣接する薄膜バリア層内において、介在層は図2、図6で示すように1つであってもよく、図3で示すように複数あってもよい。
なお、酸素透過度は、JIS−K−7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件下において酸素透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、オクストラン(OXTRAN))を用いて測定した値である。 また、水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて測定した値である。以下の説明における酸素透過度および水蒸気透過度についても、同様の方法で測定した値とする。
接着層は、複数のガスバリアフィルムを接着させる層である。上記接着層は、一のガスバリアフィルムの薄膜バリア層と、上記一のガスバリアフィルムに隣接する他のガスバリアフィルムの薄膜バリア層との間に配置される。
接着層に用いられる接着剤としては、ガスバリアフィルムを接着させることが可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステルポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他の接着剤等を使用することができる。
接着層内の残留溶剤量としては、接着層の単位面積(m2)あたり30mg以下であることが好ましく、中でも10mg以下であることが好ましい。なお、上記残留溶剤量は、ガスクロマトグラフィ質量分析法(GC−MS法)により測定される。具体的には、上記残留溶剤量は、カラムとしてJ&W社製キャピラリーカラムDB−1を用い、ヘリウムガスをキャリアガスとして100℃下でGC−MS法による測定を行い、検出器としてFID(水素炎イオン化検出器)を用いて測定される。
また、接着剤に含有される樹脂をガスバリアフィルムの薄膜バリア層または基材上に押し出して接着層を形成してもよい。
本発明におけるガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムのうち、少なくとも1組の隣接するガスバリアフィルム間において、接着層および介在層が上述した積層態様を有していればよく、全ての隣接するガスバリアフィルム間において、接着層および介在層が上述した積層態様を有していてもよい。
また、上記ガスバリア層の少なくとも熱溶着層側表面に、ガスバリアフィルムの薄膜バリア層が位置することが好ましい。ガスバリア層内において、芯材の最も近い位置に薄膜バリア層が配置されることから、真空断熱材内部へのガスの浸入をより効果的に防ぐことができるからである。
ガスバリア層内に含まれる複数の薄膜バリア層の組合せとしては、例えば、一方のガスバリアフィルムの薄膜バリア層を金属蒸着膜とし、他方のガスバリアフィルムの薄膜バリア層を無機蒸着膜とする組合せが挙げられる。複数の薄膜バリア層をこのように組合せることで、ガスバリア層を安価なものとすることができる。
また、一方のガスバリアフィルムの薄膜バリア層を無機蒸着膜とし、他方のガスバリアフィルムの薄膜バリア層を無機−有機混合バリア層とする組合せにより、無機蒸着膜によりガスバリア性を確保しつつ、無機−有機混合バリア層によりガスバリア層に柔軟性を付与することができる。
例えば、一方のガスバリアフィルムの基材または薄膜バリア層上に接着層を形成し、ドライラミネーションにより接着層上に介在層を配置し、更に介在層上に接着層を形成し、上記接着層上に他方のガスバリアフィルムの基材または薄膜バリア層をドライラミネーションにより接着して形成する方法が挙げられる。
一方のガスバリアフィルムの基材が介在層として機能する場合は、一方のガスバリアフィルムの基材上に接着層を形成し、上記接着層上に他方のガスバリアフィルムの基材または薄膜バリア層をドライラミネーションにより接着させることで、ガスバリア層を形成することができる。各層の接着の際には、エージング処理を行ってもよい。
上記保護層は、真空断熱材の内部を保護する機能を有する層である。また、真空断熱材の表層を担う層である。
上記保護層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
また上記保護層は、他の層との密着性の向上を図るために、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
上記熱溶着層は、芯材と接する層であり、対向する外装材の周縁を接着して封止する機能を有する。
上記熱溶着層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
第1の外装材は、上述の層の他に、アンカーコート層や耐ピンホール層等の任意の層を有していてもよい。
第2の外装材は、ガスバリア層以外の層が第1の外装材と同様である。
なお、ガスバリア層の物性については、「1.第1の外装材」の項で説明したガスバリア層の物性と同様とすることができる。
本発明における芯材は、対向する外装材により覆われて内包されるものである。
芯材の材料としては、一般に真空断熱材の芯材に使用される材料を用いることができる。例えばシリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体が挙げられる。なお上記多孔質体は、空隙率が50%以上、中でも90%以上であることが好ましい。熱伝導率の低い芯材とすることができるからである。
本発明の真空断熱材は、対向する外装材のうち少なくとも一方が第1の外装材であればよいが、中でも対向する外装材の両方が第1の外装材であることが好ましい。真空断熱材の端部においてヒートブリッジが生じにくくなるからである。
また、温度検知剤としては、例えば一般に市販される示温剤等が挙げられる。示温剤は、温度の変化を検知し、所定の温度に達すると変色を生じることから、真空断熱材内部の真空度の低下に伴い異常な温度になっていないかを目視で確認することができる。
次に、本発明の真空断熱材用外装材について説明する。本発明の真空断熱材用外装材は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層された真空断熱材用外装材であって、上記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、上記ガスバリアフィルムは、基材および上記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、一の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層および上記一のガスバリアフィルムに隣接する他の上記ガスバリアフィルムの上記薄膜バリア層間に、接着層および介在層が配置されることを特徴とするものである。
また、上記ガスバリア層が、薄膜バリア層を有するガスバリアフィルムの積層体であることから、真空断熱材用外装材同士の接着部分でのヒートブリッジの発生を抑制することができる。
次に、本発明の断熱物品について説明する。本発明の断熱物品は、物品および真空断熱材を備える断熱物品であって、上記真空断熱材が上述した「I.真空断熱材」の項で説明したものであることを特徴とするものである。
本発明における真空断熱材の詳細については、上述の「I.真空断熱材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における物品は、断熱性が要求されるものであれば特に限定されないが、本体または本体の内部に熱源部もしくは被保温部を有するものであることが好ましい。
熱源部を有する物品に真空断熱材を用いることで、熱源部からの熱が断熱されるため、上記物品は所望の温度を保つことができる。
被保温部を有する物品に真空断熱材を用いることで、外部からの熱が断熱されるため、上記物品は所望の温度を保つことができる。
真空断熱材を物品に配置する方法としては、真空断熱材と物品とを接着層を介して固定する方法、物品に押し当てた真空断熱材の外側を樹脂や紐で覆って固定する方法等が挙げられる。中でも、真空断熱材と物品とを取り外し可能に配置する方法は、断熱性が低下した真空断熱材の交換が可能になる点で好ましい。
以下の手順で真空断熱材用外装材を作成した。
2枚のガスバリアフィルムA(構成:基材(ポリエチレンテレフタレート)/薄膜バリア層(酸化アルミニウム蒸着膜)/ガスバリア性塗布膜(ポリビニルアルコールおよびテトラエトキシシランの重合体)、厚さ:12μm、酸素透過度:0.1cc/m2/day/atm、水蒸気透過度:0.1g/m2/day、大日本印刷株式会社製、製品名「IB−PET−PXB」)を準備し、一方のガスバリアフィルムAの基材面上に乾燥後膜厚が3.5μmになるように、ダイレクトコートを用いて、下記組成からなる接着層形成用塗工液を全面塗工し、接着層を形成した。
(接着層形成用塗工液)
・ポリエステルポリウレタン系接着剤(製品名:LX605、DIC株式会社製) … 10質量部
・硬化剤(製品面:KW−40、DIC株式会社製) … 2質量部
・酢酸エチル … 8質量部
保護層として厚さ25μmの延伸ナイロン(以下、ONと略す。ユニチカ株式会社製、製品名「ONBC」)に、乾燥後の膜厚が3.5μmとなるように層間接着剤(DIC株式会社製、製品名「LX605」)を塗工し、乾燥後、上述の方法で作成したガスバリア層Aを貼合した。続いて上記ガスバリア層A上に、上記層間接着剤を塗工し、乾燥後、熱溶着層として厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPと略す。三井化学東セロ株式会社製、製品名「SC30」)を貼合して真空断熱材用外装材を得た。
ガスバリア層Aの積層順を変更して手貼りしたガスバリア層B(構成:薄膜バリア層/基材/接着層/薄膜バリア層/基材)を用い、ON、ガスバリア層BおよびCPPを層間接着剤を介して貼合したこと以外は実施例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
ガスバリアフィルムAに換えてガスバリアフィルムB(構成:基材(ポリエチレンテレフタレート)/薄膜バリア層(酸化アルミニウム蒸着膜)、厚さ:12μm、酸素透過度:0.1cc/m2/day/atm、水蒸気透過度:0.1g/m2/day、大日本印刷株式会社製、製品名「IB−PET−2AB」)を用い、実施例1と同様の方法でガスバリア層C(構成:薄膜バリア層/基材/接着層/基材/薄膜バリア層)を得た。
ガスバリア層Aに換えてガスバリア層Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材を得た。
ガスバリア層Aに換えて、以下の方法で作成されたガスバリア層Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
ガスバリアフィルムAに換えてガスバリアフィルムC(構成:基材(ポリエチレンテレフタレート、以下、PETと略す。)/薄膜バリア層(金属アルミニウム蒸着膜)、厚さ:12μm、酸素透過度:2cc/m2/day/atm、水蒸気透過度:2g/m2/day、東レフィルム加工株式会社製、製品名「VM−PET」)、およびガスバリアフィルムD(構成:基材(エチレン−ビニルアルコール共重合体、以下、EVOHと略す。)/薄膜バリア層(アルミニウム蒸着膜)、厚さ:12μm、酸素透過度:0.05cc/m2/day/atm、水蒸気透過度:0.5g/m2/day、(株)クラレ製、製品名「vm−XL」)を用いた。実施例1と同様の方法でガスバリア層D(構成:薄膜バリア層/PET/接着層/EVOH/薄膜バリア層)を得た。
ガスバリア層Aの積層順を変更したガスバリア層E(構成:基材/薄膜バリア層/接着層/薄膜バリア層/基材)を2枚用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱用外装材を得た。
ガスバリア層Eを手貼りで形成したこと以外は,比較例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
ガスバリア層Cの積層順を変更したガスバリア層F(構成:基材/薄膜バリア層/接着層/薄膜バリア層/基材)を2枚用いたこと以外は、実施例3と同様にして真空断熱用外装材を得た。
ガスバリア層Dの積層順を変更したガスバリア層G(構成:PET/薄膜バリア層/接着層/薄膜バリア層/EVOH)を2枚用いたこと以外は、実施例4と同様にして真空断熱用外装材を得た。
(ガスバリア性評価)
上記実施例1〜4および比較例1〜4において得られた真空断熱材用外装材について、下記に従い、酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。なお、実施例2および比較例2については水蒸気透過度のみを測定した。
酸素透過度は、JIS−K7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件にて測定した。測定装置としては、米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名オクストラン(OXTRAN))を用いた。
(2)水蒸気透過度の測定
水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて測定した。
(光透過性評価)
上記実施例1、3および比較例1、3において得られた真空断熱材用外装材については、JIS−K7125に準拠して全光線透過率およびヘイズ値を測定した。
1B … 外装材
2 … 芯材
10 … 真空断熱材
11 … 熱溶着層
12、12A、12B … ガスバリア層
13 … 保護層
14、14A、14B … ガスバリアフィルム
15 … 接着層
16 … 介在層
17、17A、17B … 基材
18、18A、18B … 薄膜バリア層
Claims (6)
- 芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、
対向する前記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、
対向する前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、
対向する前記外装材の少なくとも一方の前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
一の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層間に、第1の接着層、介在層、および第2の接着層がこの順で配置され、
前記一のガスバリアフィルムの前記基材が、前記一のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置し、
前記他のガスバリアフィルムの前記基材が、前記他のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置することを特徴とする真空断熱材。 - 熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層された真空断熱材用外装材であって、
前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
一の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層間に、第1の接着層、介在層、および第2の接着層がこの順で配置され、
前記一のガスバリアフィルムの前記基材が、前記一のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置し、
前記他のガスバリアフィルムの前記基材が、前記他のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置することを特徴とする真空断熱材用外装材。 - 物品および真空断熱材を備える断熱物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、
対向する前記外装材の周縁が封止されており、
対向する前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、
対向する前記外装材の少なくとも一方の前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
一の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムの前記薄膜バリア層間に、第1の接着層、介在層、および第2の接着層がこの順で配置され、
前記一のガスバリアフィルムの前記基材が、前記一のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置し、
前記他のガスバリアフィルムの前記基材が、前記他のガスバリアフィルムにおける前記薄膜バリア層の前記介在層とは反対側に位置することを特徴とする断熱物品。 - 芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、
対向する前記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、
対向する前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、
対向する前記外装材の少なくとも一方の前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
一の前記ガスバリアフィルム、および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムは、それぞれの基材が接着層を介して対向するように配置されることを特徴とする真空断熱材。 - 熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層された真空断熱材用外装材であって、
前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
一の前記ガスバリアフィルム、および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムは、それぞれの基材が接着層を介して対向するように配置されることを特徴とする真空断熱材。 - 物品および真空断熱材を備える断熱物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外装材とを有し、
対向する前記外装材の周縁が封止されており、
対向する前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されており、
対向する前記外装材の少なくとも一方の前記ガスバリア層は、複数のガスバリアフィルムが積層されてなるものであり、
前記ガスバリアフィルムは、基材および前記基材の一方の表面上に形成された薄膜バリア層を有し、
一の前記ガスバリアフィルム、および前記一のガスバリアフィルムに隣接する他の前記ガスバリアフィルムは、それぞれの基材が接着層を介して対向するように配置されることを特徴とする断熱物品。
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