JP6413309B2 - 真空断熱材および真空断熱材用外包材 - Google Patents
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Description
物品への省エネルギー対策の一つとして、断熱材を用いて物品の消費電力の低減を図る方法が採用されている。
しかし、これらの固定方法では、一度、真空断熱材を固定すると取り外しが困難となり、取り外す際に真空断熱材や物品の破損を伴う場合がある。また、真空断熱材を粘着テープや磁石等の固定部材を介して固定する場合、物品と真空断熱材との間に支持部材の厚さに相当する空間が生じるため、密着させて固定することが難しい。
さらに、真空断熱材の使用環境下の温度で長時間熱が加わることで、固定部材である粘着テープや磁石を貼り付けるための接着層等に熱劣化が生じ、接着力の低下により固定部材から真空断熱材が剥離してしまうため、長期固定ができないという問題がある。
例えば、特許文献1では、芯材の内部に強磁性体を配置し、この強磁性体内蔵型の芯材を外包材で覆い減圧密閉されて成る真空断熱材が開示されている。また、特許文献2では、芯材の表面の少なくとも一部に強磁性体を配置し、この強磁性体付きの芯材を外包材で覆い減圧密閉されて成る真空断熱材が開示されている。
この様な真空断熱材は、図3(a)、(b)で示すように、磁性体面を有する被着体110に直接配置することが可能である。なお、図3(a)は特許文献1で開示される真空断熱材およびその配置例、図3(b)は特許文献2で開示される真空断熱材およびその配置例を示すものであり、真空断熱材100は、芯材102、強磁性体120および外包材101により構成されている。
特許文献1で開示される真空断熱材は、芯材の内部に強磁性体が配置されることから、真空断熱材の表面が平坦面となるため、被着体と密着して配置させることができる。しかし、真空断熱材の断熱性能は主に芯材の厚さに寄与するところ、強磁性体の配置箇所においては、強磁性体の厚さ分、芯材が占める厚さが相対的に小さくなるため、真空断熱材の断熱性能が低下してしまう。
これに対し、芯材の厚さを補うために強磁性体の厚さ分の芯材を別途配置する場合、真空断熱材は図3(c)で示すように表面の一部が突出した形状となり、表面の平坦性が損なわれてしまう。このため、真空断熱材の突出部と被着体との間に空間が生じることとなり、上記空間からの熱漏れにより所望の断熱効果が得られなくなってしまう。
また、外包材と芯材との間に強磁性体が配置されることから、外部から衝撃を受ける際に強磁性体が外包材に当たり、外包材にピンホール等が生じる場合がある。
また、本発明の真空断熱材用外包材により、磁性体面を有する物品に対して着脱可能で、且つ、上記磁性体面に対して空間を有することなく固定が可能な真空断熱材を得ることができる。
まず、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材と上記芯材を覆うようにして配置された対向する外包材とを有し、対向する上記外包材の周縁が封止されたものであって、上記外包材は、上記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されたものであり、対向する上記外包材の少なくとも一方には、上記熱溶着層および上記保護層間に磁性体層が配置されていることを特徴とするものである。
対向する外包材1A、1Bは、芯材2側から熱溶着層11、ガスバリア層12および保護層13が少なくともこの順で積層されたものであり、外包材1Aにおいては、さらにガスバリア層12の保護層13側に磁性体層14が配置されている。
なお、真空断熱材の表面のうち、熱溶着部の封止面と平行に位置する表面を真空断熱材の平面、熱溶着部の封止面と交差する方向に位置する表面を真空断熱材の側面とする場合がある。
本発明における外包材は、芯材と上記芯材を覆うようにして配置され、上記芯材を介して対向するものであり、芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されたものである。
本発明において、磁性体層は対向する外包材の一方のみに配置されていてもよく、対向する外包材の両方に配置されていてもよい。すなわち、本発明の真空断熱材が、第1の外包材と第2の外包材とを対向させて芯材を覆うことで形成されたものであってもよく、第1の外包材を対向させて芯材を覆うことで形成されたものであってもよい。
中でも、対向する外包材の一方のみに磁性体層が配置されていることが好ましい。対向する外包材の両方に磁性体層が配置されている場合、それぞれの外包材の磁性体層は、真空断熱材の熱溶着部において熱溶着層を介して近接することとなる。このため、本発明の真空断熱材を物品に配置する際に、一方の外包材において受けた熱が、熱溶着部において磁性体層同士が近接することにより他方の外包材に伝わる、いわゆるヒートブリッジ現象が生じる場合があり、この現象が生じると、真空断熱材からの熱損失が大きくなり、断熱性能が低下する可能性があるからである。
第1の外包材は、芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されたものであり、さらに、上記熱溶着層および上記保護層間に磁性体層を有するものである。
上記磁性体層は、強磁性を示すものであり、通常、微粒子状の磁性材料とバインダ樹脂とが混合されてなるものである。
上記磁性体層は、磁性材料およびバインダ樹脂を用いて後述する方法で形成してもよく、市販のマグネットシートを用いることもできる。
このような磁性材料としては、例えば金属、合金、金属化合物、フェライト等が挙げられる。中でも磁性体層に高い可撓性を付与可能である点から金属または合金が好ましい。
金属としては、例えば、Fe、Co、Ni、B、C、Mg、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Ir、Pt、Au、Pb等が挙げられる。
また、合金としては、例えばFe‐Ni合金(パーマロイ、インバー)、Fe‐Cr合金、Co‐Cr合金、Co‐Ni合金、Fe‐Co合金、Fe‐Ni‐Co合金(スーパーインバー)、Fe‐Ni‐Co‐Al合金(アルニコ磁石)等、上述の金属を2種以上含む合金、強磁性を有するステンレス(SUS)等が挙げられる。
これらの金属および合金は、結晶性のものであってもよく、アモルファス構造を有するものであってもよい。
また、金属化合物としては、γ‐Fe2O3、Co被着γ‐Fe2O3、Fe3O4、CrO2等の酸化物、SmCo5(サマリウム磁石)、Nd2Fe14B(ネオジウム磁石)等が挙げられる。
フェライトとしては、例えば、Mn‐Znフェライト、Ni‐Znフェライト、Mn‐Mg‐Znフェライト、Baフェライト、Srフェライト、六方晶系フェライト等が挙げられる。
なお、磁気吸着力の測定は、十分な厚みを有する鉄板等に磁性体層を接着させ、引っ張り試験機を介して鉄板に対して垂直に引っ張り、磁性体層が鉄板から離れる瞬間の力を読み取る方法を用いるものとする。
上記保護層は、真空断熱材の内部を保護する機能を有する層である。また、真空断熱材の表面を担う層である。
このため、上記保護層は十分な強度を有し、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性等に優れたものであることが好ましい。
また上記保護層は、他の層との密着性の向上を図るために、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
上記ガスバリア層は、熱溶着層と保護層との間に配置される層であり、外部からの水、酸素、窒素等のガスの浸入を遮断する機能を有する。
ガスバリア層として金属箔を使用する場合、上記金属箔の膜厚としては、例えば5μm〜40μm程度であることが好ましい。周囲からの熱伝導を回避し、真空断熱材の断熱性能を高く維持することができるからである。
さらに、上述の蒸着フィルムにポリビニルアルコール系樹脂およびエチレンビニルアルコール共重合体の少なくともいずれかを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設けたもの等を用いることもできる。
ガスバリア層の厚さとしては、ガスバリア性を発揮可能な厚さであれば特に限定されず、例えば9μm〜100μm程度である。
なお、酸素透過度は、JIS−K−7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件下において酸素透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、オクストラン(OXTRAN))を用いて測定した値である。 また、水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置(米国モコン(MOCON)社製、パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて測定した値である。
上記熱溶着層は、芯材と接する層であり、対向する外包材の周縁を封止して封止する機能を有する。
第1の外包材において、磁性体層は、熱溶着層および保護層間に配置されるものであるが、中でも上記磁性体層が、ガスバリア層と保護層との間に配置されていることが好ましい。磁性体層は、真空断熱材の使用環境下の温度で加熱されることでアウトガスを発生する場合がある。このとき、磁性体層よりも芯材側にガスバリア層が位置することで、ガスバリア層により芯材側へのアウトガスの浸透が阻止されるため、内部の真空度の低下を抑えることができるからである。
蒸着層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PVD法、CVD法等の一般的な方法を用いることができる。
このとき、磁性体層は、熱溶着層および複数の保護層のうち真空断熱材の表面を担う保護層間のいずれかの層間に配置されるものであり、中でも、複数のガスバリア層のうち最も芯材側に位置するガスバリア層と、複数の保護層のうち真空断熱材の表面を担う保護層との間のいずれかの層間に配置されることが好ましい。
また、ガスバリア層を複数有する場合、磁性体層の表面に蒸着されてなるガスバリア層と、上記磁性体層に隣接してまたは他の層を介して配置された他のガスバリア層とを有していてもよい。
第2の外包材は、磁性体層を有さないこと以外は、層構成が第1の外包材と同様である。
なお、第2の外包材の各層の詳細については、「(1)第1の外包材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における芯材の材料としては、一般に断熱材の芯材に使用される材料を用いることができる。例えばシリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体が挙げられる。なお上記多孔質体は、空隙率が50%以上、中でも90%以上であることが好ましい。熱伝導率の低い芯材とすることができるからである。
本発明の真空断熱材の内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の気体の対流を遮断し、断熱性能を向上させることができるからである。
また、真空断熱材の熱溶着部は、真空断熱材の側面および平面に沿って折り曲げられた状態で物品に固定されてもよく、熱溶着部が真空断熱材の平面の一部に含まれることで、上記熱溶着部が物品の磁性体面と接して固定されてもよい。
本発明の真空断熱材は、電化機器用真空断熱材、建築用真空断熱材、保冷保温箱体用真空断熱材、自動車用真空断熱材等として、断熱を必要とするあらゆる場所に用いることができる。
また、本発明の真空断熱材は、磁性体面を備え、断熱性が求められる物品に固定することで断熱物品とすることができる。
磁性体面を備え、断熱性が求められる物品としては、例えば給湯機、冷蔵庫、OA機器等の電化機器、輸送ボックス、ショーケース、かご車、保冷コンテナ等の保冷保温箱体、自動車等の車両の外板パネル、加熱装置、生産ラインの乾燥部表面等が挙げられる。
次に、本発明の真空断熱材用外包材について説明する。本発明の真空断熱材用外包材は、熱溶着層、ガスバリア層および保護層が少なくともこの順で積層され、上記熱溶着層および上記保護層間に磁性体層が配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明の真空断熱材用外包材により、磁性体面を有する物品に対して着脱可能で、且つ、上記磁性体面に対して空間を有することなく固定が可能な真空断熱材を得ることができる。
第1保護層として、両面に易接着処理が施された膜厚25μmのナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製 ONM)の易接着面に、上述の配合比で調製した層間接着剤をダイコーターを用いて塗布し乾燥させた。その後、第2保護層として両面を易接着処理された膜厚12μmのPETフィルム(ユニチカ株式会社製 製品名:PET)を、層間接着剤が塗布された第1保護層の表面にラミネートした。
次に、得られた2層フィルムのPET(第2保護層)面に、エポキシ樹脂とBaフェライトとを混合して塗布液としたものを、ダイコーターを用いて塗布し、磁性体層を形成した。
続いて、ガスバリア層として膜厚6μmのAl箔(住軽アルミ箔株式会社製 製品名:1N30)を、層間接着剤を用いて磁性体層の表面にラミネートした。
次に、Al箔(ガスバリア層)面に、上記層間接着剤を塗布して乾燥させ、熱溶着層としてハイレトルト用CPPフィルムを層間接着剤が塗布されたガスバリア層の表面にラミネートし、真空断熱材用外包材を得た。
1A … 第1の外包材
1B … 第2の外包材
2 … 芯材
10 … 真空断熱材
11 … 熱溶着層
12 … ガスバリア層
13 … 保護層
14 … 磁性体層
Claims (3)
- 芯材と前記芯材を覆うようにして配置された対向する外包材とを有し、
対向する前記外包材の周縁が封止された真空断熱材であって、
前記外包材は、前記芯材側から熱溶着層、ガスバリア層および保護層がこの順で積層されたものであり、
対向する前記外包材の少なくとも一方には、前記ガスバリア層と前記保護層との間に磁性体層が配置されていることを特徴とする真空断熱材。 - 対向する前記外包材の一方のみに前記磁性体層が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
- 熱溶着層、ガスバリア層および保護層が少なくともこの順で積層され、
前記ガスバリア層と前記保護層との間に磁性体層が配置されていることを特徴とする真空断熱材用外包材。
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