JP2014227048A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動パワーステアリング装置において、ハウジングに対する軸受の摩擦抵抗を低減することにある。
【解決手段】
軸受50とハウジング30との接触面には、凹状の摩擦抑制穴34が形成されている。この摩擦抑制穴34により、軸受50とハウジング30との接触面積が低減する。このため、上述のように、ボールねじナット45及び軸受50が一体で移動する際の軸受50のハウジング30に対する摺動摩擦を低減することができる。
【選択図】図3

Description

この発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
従来、車両の操舵機構にモータの動力を付与することにより運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という。)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、EPSでは、操舵機構としてラックアンドピニオン機構が採用されている。当該機構は、ステアリングの操作に伴うピニオンの回転を当該ピニオンに噛み合う転舵軸の軸方向への移動に変換する。
特開2006−224945号公報
例えば、図4に示すように、EPSは、ハウジング130と、転舵軸121と、ボールねじナット145と、ボール144と、軸受150とを備える。
転舵軸121の外周にはねじ部が形成され、そのねじ部にはボールねじナット145が複数のボール144を介して螺合されている。軸受150は、ハウジング130の内周面とボールねじナット145の外周面との間に設置されている。この軸受150として、EPSにおける径方向(図中の上下方向)のコンパクト化の観点から、複列アンギュラ玉軸受の採用が検討されている。転舵軸121の軸方向における、軸受150とハウジング130との隙間には、弾性部材162が設置されている。軸受150は両側から両弾性部材162によって弾性変位可能に挟み込まれている。
上記構成において、ステアリングが回動操作されると、ピニオンを介して転舵軸121に軸方向ZAの力が加わる。これにより、転舵軸121が軸方向ZAに僅かに移動する。この移動は、ボールねじナット145の回転に伴うものではない。この転舵軸121の移動に伴って、ボールねじナット145及び軸受150が一体で軸方向に移動する。この軸受150の移動に伴って弾性部材162が弾性変形する。この状態で、モータ(図示略)を通じて、ボールねじナット145に回転力が加えられることで、ボールねじナット145の回転が円滑に開始される。このため、円滑に転舵軸121が軸方向ZAに移動を開始する。
しかし、特に、軸受150として複列アンギュラ玉軸受が採用された場合には、軸受150とハウジング130の内周面との接触面積が大きくなる。よって、軸受150とハウジング130の内周面との摩擦抵抗によって、上記軸受150のスムーズな移動が妨げられるおそれがある。このため、上記転舵軸121の円滑な動き出しが十分に実現されないおそれがある。同様の問題は単列軸受においても生じうる。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウジングに対する軸受の摩擦抵抗が低減された電動パワーステアリング装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決する電動パワーステアリング装置は、ステアリングの回動に伴い軸方向に移動する転舵軸と、前記転舵軸を前記軸方向に移動可能に内包するハウジングと、前記転舵軸に複数のボールを介して螺合されるとともに、駆動源を通じて回転駆動されると前記転舵軸を軸方向に移動させるボールねじナットと、外周面がハウジングの内周面に接し、かつ内周面が前記ボールねじナットの外周面に接する位置に設けられることで前記ボールねじナットを保持しつつ、その保持した前記ボールねじナットを前記ハウジングに対して回転可能に支持する軸受と、前記軸受を前記軸方向に弾性的に変位可能に保持する弾性保持部と、前記軸受の外周面とハウジングの内周面とが接触する面に形成された凹状の摩擦抑制穴とを備えている。
この構成によれば、ステアリングの回動に伴い軸方向に転舵軸が僅かに移動すると、転舵軸に対してボールねじナット及び軸受が一体となって弾性保持部の弾性力に抗しつつ移動する。このように、ボールねじナット及び軸受を移動させることで、以後のボールねじナットの転舵軸に対する回転が容易となる。
上記構成によれば、軸受とハウジングとの接触面には、凹状の摩擦抑制穴が形成されている。この摩擦抑制穴により、軸受とハウジングとの接触面積が低減する。このため、上述のように、ボールねじナット及び軸受が一体で移動する際の軸受のハウジングに対する摺動摩擦を低減することができる。
上記電動パワーステアリング装置について、前記摩擦抑制穴内に潤滑油を充填することが好ましい。
この構成によれば、摩擦抑制穴内に潤滑油が充填されることで、いっそう軸受のハウジングに対する摺動摩擦を低減することができる。
上記電動パワーステアリング装置について、前記軸受は複列アンギュラ玉軸受であることが好ましい。
複列アンギュラ玉軸受は、単列ベアリング等に比べて、軸方向に長い形状となる。よって、複列アンギュラ玉軸受では自ずと軸受とハウジングとの接触面積、ひいては摺動摩擦が大きくなる。しかし、上記構成によれば、軸受のハウジングに対する摺動摩擦を低減することができるため、複列アンギュラ玉軸受を採用した構成でも、円滑に複列アンギュラ玉軸受を移動させることができる。
本発明によれば、電動パワーステアリング装置において、ハウジングに対する軸受の摩擦抵抗を低減することができる。
本発明の一実施形態における電動パワーステアリング装置の構成図。 本発明の一実施形態における電動パワーステアリング装置の断面図。 図2の拡大図。 背景技術における電動パワーステアリング装置の断面図。
以下、電動パワーステアリング装置の一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、ラック軸21と、ハウジング30と、ピニオンギア13Aと、を備えている。
ラック軸21は円柱状に形成される。ここで、図1中の左右方向がラック軸21の軸方向ZAとして規定され、軸方向ZAに直交する方向がラック軸21の径方向ZBとして規定される。
ハウジング30は、アルミニウムで形成されるとともに、ラック軸21の軸方向ZA(図中左右方向)に貫通した貫通孔30aを有する。ラック軸21は、自身の軸方向ZAに移動可能に、ハウジング30の貫通孔30aに挿通されている。ラック軸21の図中の中央右寄り外周には、一定範囲に亘ってラックギア21Bが形成されている。
ピニオンギア13Aはラック軸21におけるラックギア21Bと噛合した状態に設置される。そして、ピニオンギア13Aはステアリング2の回動操作に応じて、コラムシャフト11、インターミディエイトシャフト12、及びピニオンシャフト13を通じて回転する。これにより、ラック軸21の軸方向への移動が可能となる。
ラック軸21の左右端面には、それぞれボールジョイント22が連結され、さらにその各ボールジョイント22にはタイロッド23が連結されている。さらに、各タイロッド23の先端には、ナックル4が連結されている。ラック軸21が軸方向に移動することで、タイロッド23及びナックル4を通じて転舵輪3に力が伝達されて、その転舵輪3の転舵角を変化させることができる。
ハウジング30は、第1ハウジング部31と、第2ハウジング部32とを備える。両ハウジング部31,32は軸方向ZAに接離可能に構成されている。
第1ハウジング部31は、ラック軸21の外形に応じた筒状の本体部31aと、本体部31aより大径筒状の左端部31bとからなる。すなわち、第1ハウジング部31は、本体部31a及び左端部31bが連結されて段差付き円筒状に形成される。第1ハウジング部31には、図中の左側から第2ハウジング部32が嵌め込まれる。第2ハウジング部32の右端部32aは、上記第1ハウジング部31の左端部31bと同一径の円筒状に形成されている。また、第2ハウジング部32の左部32bは、上記第1ハウジング部31の本体部31aと同一径の円筒状に形成されている。第2ハウジング部32は、その右端部32aを通じて、第1ハウジング部31の左端部31bにはめ込まれている。
第1ハウジング部31の本体部31aの下側には、駆動源としてモータ41が設置されている。そのモータ41の出力軸41aは、図中の左側に向かって延出するとともに第2ハウジング部32における右端部32a内に挿通されている。
図2に示すように、第2ハウジング部32の右端部32aと、第1ハウジング部31の左端部31bとが形成する内部空間には、駆動プーリ46、従動プーリ47、タイミングベルト33、ボールねじ機構43が収納される。
駆動プーリ46は、モータ41の出力軸41aに固定されている。このため、駆動プーリ46は出力軸41aと一体回転する。
図1に示すように、ラック軸21の外周には、左端から一定範囲に亘ってねじ部21Aが形成されている。このねじ部21Aの外周には、ボールねじ機構43が設けられている。
詳しくは、図2に示すように、ボールねじ機構43は、ボールねじナット45、多数のボール44を有している。ボールねじナット45は、ねじ部21Aに沿って配列される多数のボール44を介してラック軸21に螺合されている。ボールねじナット45は、ハウジング30における第1ハウジング部31と第2ハウジング部32との間に位置している。
ボールねじナット45における第1ハウジング部31側の外周には、従動プーリ47が螺合されている。これにより、ボールねじナット45及び従動プーリ47は一体回転可能となる。
この従動プーリ47と駆動プーリ46との間にはタイミングベルト33が掛け渡されている。したがって、モータ41の回転は、駆動プーリ46から、タイミングベルト33を介して従動プーリ47、ひいてはボールねじナット45に伝達される。
また、ボールねじナット45の外周面と、第2ハウジング部32の内周面との間には、軸受50が設けられている。この軸受50は、複列アンギュラ玉軸受である。複列アンギュラ玉軸受は、単列ベアリング等に比べて、軸方向ZAに長い形状である。したがって、軸受50はボールねじナット45を片持ちであっても比較的高剛性に支持することができ、タイミングベルト33のテンションによるボールねじナット45の傾きを抑制することができる。
図3に示すように、軸受50は、外輪部51と、内輪部52と、玉53とを備える。
内輪部52は略円環状に形成されている。内輪部52内にはボールねじナット45が嵌合されている。外輪部51も略円環状に形成されている。外輪部51の外周面は第2ハウジング部32の内周面に接している。外輪部51と内輪部52との間に複数の玉53が転動可能に配置されている。本例の軸受50では、軸受50の周方向に沿って配列される複数の玉53が、軸方向ZAに沿って2列設けられる。内輪部52はボールねじナット45と一体で回転する。このとき、内輪部52は玉53を回転させつつ、外輪部51に対して回転する。
第2ハウジング部32における軸受50と接触する内周面には凹状の摩擦抑制穴34が形成されている。摩擦抑制穴34は円環状に形成されている。この摩擦抑制穴34には、潤滑剤としてのグリス55が充填されている。このグリス55は、摩擦抑制穴34における軸方向ZA両側に形成される軸受50と第2ハウジング部32とが接触する接触面56に染み出す。摩擦抑制穴34及びグリス55により、第2ハウジング部32の内周面に対する軸受50の摺動摩擦が低減される。
図3に示すように、ボールねじナット45における従動プーリ47と反対側の外周縁部には、ボールねじナット45の径方向ZBに突出したフランジ45aが形成されている。軸受50(正確には内輪部52)は、ボールねじナット45の外周面であって、フランジ45aと従動プーリ47との間に位置する。
第1ハウジング部31における外輪部51側の先端に係止部31cが形成される。また、第2ハウジング部32における外輪部51と軸方向ZAに離間した部位には係止部32cが形成される。軸方向ZAにおける外輪部51と各係止部31c,32cとの隙間には、それぞれプレート61と、金属ばね62とが配置されている。
金属ばね62は円環状の皿ばね又はウェーブワッシャであって、外輪部51の側面に接する位置に設けられる。金属ばね62は弾性保持部の一例である。プレート61は鉄製かつ断面L字で円環状に形成されている。
プレート61はその内部に金属ばね62を保持した状態で、金属ばね62と各係止部31c,32cとの間に位置する。外輪部51は、両金属ばね62の弾性力によってその位置に保持されている。
つぎに、電動パワーステアリング装置10の作用について説明する。
図1に示すように、ステアリング2の操作によってピニオンギア13A及びラックギア21B等を通じてラック軸21に軸方向ZAへの力が加わる。これにより、ラック軸21がステアリング2の操作方向に応じた方向に僅かに移動する。これにより、軸受50が金属ばね62を圧縮しつつボールねじナット45と一体で軸方向ZAに移動する。このとき、摩擦抑制穴34及びその中に充填されるグリス55によって、軸受50と第2ハウジング部32の内周面との摺動摩擦が低減される。よって、軸受50及びボールねじナット45の移動がスムーズとなる。このように軸受50及びボールねじナット45を僅かに移動させることで、その後のモータ(駆動源)41の駆動に伴うボールねじナット45の回転がスムーズとなる。
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)軸受50とハウジング30との接触面には、凹状の摩擦抑制穴34が形成されている。この摩擦抑制穴34により、軸受50とハウジング30との接触面積が低減する。このため、上述のように、ボールねじナット45及び軸受50が一体で移動する際の軸受50のハウジング30に対する摺動摩擦を低減することができる。
(2)摩擦抑制穴34内にグリス55が充填されることで、いっそう軸受50のハウジング30に対する摺動摩擦を低減することができる。
(3)複列アンギュラ玉軸受50は、単列ベアリング等に比べて、軸方向ZAに長い形状となる。よって、複列アンギュラ玉軸受50では自ずと軸受50とハウジング30との接触面積、ひいては摺動摩擦が大きくなる。しかし、上記構成によれば、軸受50のハウジング30に対する摺動摩擦を低減することができるため、複列アンギュラ玉軸受を採用した構成でも、円滑に複列アンギュラ玉軸受50を軸方向ZAに移動させることができる。
(4)摩擦抑制穴34はアルミニウム製のハウジング30に形成されるため、容易に摩擦抑制穴34を形成することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態においては、軸受50は複列アンギュラ玉軸受であったが、これに限らず、その他種類の軸受であってもよい。
・上記実施形態においては、ハウジング30は、第1ハウジング部31及び第2ハウジング部32から構成されていたが、ハウジング30が一体形成されていてもよい。
・上記実施形態においては、摩擦抑制穴34は1つであったが、軸方向ZAに沿って複数の摩擦抑制穴34が設けられてもよい。
・上記実施形態においては、摩擦抑制穴34にグリス55が充填されていたが、グリス55が充填されていなくてもよい。この場合でも、摩擦抑制穴34が凹状に形成されることで、軸受50と第2ハウジング部32との接触面積、ひいては、軸受50と第2ハウジング部32との摺動摩擦を低減することができる。
・上記実施形態においては、ハウジング30は、アルミニウムで形成されていたが、鉄で形成されてもよい。
・上記実施形態においては、摩擦抑制穴34はハウジング30に形成されていたが、軸受50の外周面に形成されていてもよい。この場合でも、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想を記載する。
(イ)前記ハウジングはアルミニウムで形成され、前記摩擦抑制穴は前記軸受と面接触する前記ハウジングに形成されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
(ロ)前記潤滑油はグリスであることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
(ハ)前記弾性保持部は、前記軸受に対する前記転舵軸の軸方向の両側に、前記軸受と離間して位置する、前記ハウジングの一部である係止部と、前記各係止部と前記軸受との間に設けられる弾性体と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
2…ステアリング、3…転舵輪、4…ナックル、10…電動パワーステアリング装置、21…ラック軸(転舵軸)、21A…ねじ部、21B…ラックギア、22…ボールジョイント、23…タイロッド、30…ハウジング、31…第1ハウジング部、31c…係止部、32…第2ハウジング部、32c…係止部、33…タイミングベルト、34…摩擦抑制穴、41…電気モータ(駆動源)、43…ボールねじ機構、45…ボールねじナット、50…軸受、55…グリス(潤滑油)、62…金属ばね(弾性保持部)。

Claims (3)

  1. ステアリングの回動に伴い軸方向に移動する転舵軸と、
    前記転舵軸を前記軸方向に移動可能に内包するハウジングと、
    前記転舵軸に複数のボールを介して螺合されるとともに、駆動源を通じて回転駆動されると前記転舵軸を軸方向に移動させるボールねじナットと、
    外周面がハウジングの内周面に接し、かつ内周面が前記ボールねじナットの外周面に接する位置に設けられることで前記ボールねじナットを保持しつつ、その保持した前記ボールねじナットを前記ハウジングに対して回転可能に支持する軸受と、
    前記軸受を前記軸方向に弾性的に変位可能に保持する弾性保持部と、
    前記軸受の外周面とハウジングの内周面とが接触する面に形成された凹状の摩擦抑制穴とを備える
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記摩擦抑制穴内に潤滑油を充填した
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記軸受は複列アンギュラ玉軸受である
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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