以下、本発明に係る放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置が、放射線検出素子等が筐体内に収納された可搬型(カセッテ型等ともいう。)の放射線画像撮影装置である場合について説明するが、本発明は、支持台と一体的に形成された専用機型(固定型等ともいう。)の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
[第1の実施の形態]
[放射線画像撮影装置の概略的な構成について]
以下、まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の概略的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
なお、以下では、放射線画像撮影装置1を、図1に示すように放射線入射面Rが上側になるように水平面上に載置した状態における上下、左右方向に基づいて説明する。また、以下の各図における放射線画像撮影装置1の各部材等の相対的な大きさや長さ等は、必ずしも現実の放射線画像撮影装置の構成を反映するものではない。
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレーター3やセンサー基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されて形成されている。
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状の筐体本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、筐体本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー状態や放射線画像撮影装置1の作動状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図6参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込まれる等して設けられており、本実施形態では、このアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1と外部装置との間で信号等の無線方式で送受信する場合の通信手段として機能するようになっている。
図2に示すように、筐体2内には、基台31が配置されており、基台31の放射線入射面R側に図示しない鉛の薄板等を介してセンサー基板4が設けられている。そして、センサー基板4の放射線入射面R側には、照射された放射線を可視光等の光に変換するシンチレーター3が設けられたシンチレーター基板34が配置されている。
そして、シンチレーター3がセンサー基板4側に対向する状態でセンサー基板4とシンチレーター基板34とが貼り合わされている。なお、センサー基板4の積層構造等の細かい点については後で詳しく説明する。
また、基台31の反対面側には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。このようにして、基台31やセンサー基板4等でセンサーパネルSPが形成されている。また、本実施形態では、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
本実施形態では、シンチレーター3は、センサー基板4の後述する画素領域Ra(下記の図3参照)に対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレーター3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした光に変換して出力するものが用いられる。
また、本実施形態では、センサー基板4はガラス基板で構成されており、図3に示すように、センサー基板4のシンチレーター3(図2参照)に対向する側の面(以下、表面という。)4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。また、複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
そして、前述したように、センサー基板4の表面4a上の領域のうち、センサー基板4上に複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されて構成されている領域(すなわち図3において一点鎖線で囲まれた領域)が画素領域Raを構成し、画素領域Raの周囲の画素領域Ra以外のセンサー基板4上の領域(すなわち図3において一点鎖線の外側の領域)が周辺領域Rbを構成している。
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも、例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図3やその拡大図である図4に示すように、スイッチング素子であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレーター3で放射線から変換された可視光等の光が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレーター3で放射線から変換された光)を電荷に変換するようになっている。
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15のゲートドライバー15b(後述する図6参照)から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させる。また、TFT8は、走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
また、本実施形態では、図3や図4に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されている。また、図3に示すように、各バイアス線9は、センサー基板4の周辺領域Rbで結線10に接続されている。
一方、本実施形態では、図3に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれセンサー基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子11(パッド等ともいう。)に接続されている。
各入出力端子11には、図5に示すように、後述する読み出しIC16や走査駆動手段15のゲートドライバー15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
そして、フレキシブル回路基板12は、センサー基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPが形成されている。なお、入出力端子11等の詳しい構成等について後で説明する。また、図5では、電子部品32等の図示が省略されている。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図6は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図7は画素領域Raを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
前述したように、センサー基板4の画素領域Ra内の各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9が接続された結線10はバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれ逆バイアス電圧を印加するようになっている。
また、各放射線検出素子7の第1電極7aは、TFT8のソース電極8sやドレイン電極8dを介して信号線6に接続されている。また、TFT8のゲート電極8gは、走査線5に接続されている。
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバー15bとを備えている。
図6や図7に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図6や図7中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図7中では、アナログマルチプレクサー21は省略されている。
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサー18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。
増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるようになっている。なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、0[V](すなわちGND電位)に設定することも可能であり、0[V]以外の電位に設定することも可能である。
各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際には、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態とされた状態で、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5にオン電圧が印加され、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積される。そして、増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力される。
相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前の時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、また、上記のように各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積された後の時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。そして、相関二重サンプリング回路19は、それらの電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力する。
相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存される。
そして、走査駆動手段15のゲートドライバー15bからオン電圧を印加する走査線5を順次切り替えながら、上記のようにして各放射線検出素子7からそれぞれ画像データDが読み出され、記憶手段23に順次保存されるように構成されている。
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図6等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
そして、制御手段22は、走査駆動手段15や読み出し回路17等を制御して上記のようにして画像データDの読み出し処理等を行わせるなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、走査駆動手段15や読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリー24が接続されている。
[基板の貼り合わせについて]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1におけるセンサー基板4とシンチレーター基板34との貼り合わせ構造について説明する。なお、ここでも、細かな構成は後で説明するとして、貼り合わせ構造の概略的な構成について説明する。
図8に示すように、センサー基板4上に形成された放射線検出素子7や図8では図示を省略した走査線5や信号線6等の配線等による凹凸を平坦化するために、センサー基板4の放射線検出素子7等の上にアクリル系の樹脂等からなる平坦化層50が形成されている。
また、シンチレーター3は、蛍光体3aの柱状結晶で構成されており、シンチレーター3がシンチレーター基板34に貼着されて固定されるようになっている。なお、シンチレーター3は、蛍光体3aが柱状結晶で構成されているものに限らず、例えば、シンチレーター基板34等にペースト状の蛍光体3aを塗布して硬化させるタイプ等の他のタイプのシンチレーターであってもよい。
そして、図8に示すように、センサー基板4上の放射線検出素子7や平坦化層50と、シンチレーター基板34上のシンチレーター3とが対向する状態になるように、センサー基板4とシンチレーター基板34とが貼り合わされるようになっている。
その際、平坦化層50の上面とシンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の先端Paとを接着剤等で接着するように構成することも可能であるが、本実施形態では、平坦化層50とシンチレーター3とを接着せず、シンチレーター3や放射線検出素子7等の周囲の部分に接着剤60を配置してセンサー基板4とシンチレーター基板34とを貼り合わせるようになっている。
また、本実施形態では、センサー基板4とシンチレーター基板34と接着剤60とで囲まれた内部空間Cが外気圧より減圧された状態でセンサー基板4とシンチレーター基板34とが貼り合わされるようになっている。このように構成することで、外気圧でセンサー基板4とシンチレーター基板34とが互いに接近する方向に押圧されるため、センサー基板4上の平坦化層50の上面と、シンチレーター基板34上のシンチレーター3の蛍光体3aの先端Paとが当接する状態が維持されるようになっている。
なお、図8では図示を省略したが、外気圧によってセンサー基板4とシンチレーター基板34とが接近し過ぎることを防止するために、例えば接着剤60中に適切な外径を有するスペーサー等を配置するように構成することも可能である。
また、本実施形態では、図8に示すように、センサー基板4上の無機材料からなる絶縁層51は接着剤60を越えて外側にはみ出すように構成されるが、前述したアクリル系の樹脂等の有機材料で形成された平坦化層50は、接着剤60を越えて外側にはみ出さないように形成されている。
すなわち、例えば図9に示すように、有機材料で形成された平坦化層50が接着剤60を越えて外側にはみ出すように形成すると、アクリル系の樹脂等で形成された平坦化層50内を通って、外気中の水分が内部空間Cに入り込んでしまう虞れがある。特に、上記のように内部空間Cが外気圧より減圧された状態である場合には、この平坦化層50を介した水分の流入がより生じ易くなる。
そして、このように外気中の水分が内部空間C内に流入すると、内部空間C内の空気が湿気を帯びるようになり、シンチレーター3の蛍光体3aが潮解し易くなる。そして、シンチレーター3の蛍光体3aが潮解すると、シンチレーター3が所定の機能を果たさなくなってしまったり、溶け出したハロゲンを含む成分等によって配線が腐食する等の問題が生じ得る。
そこで、本実施形態では、このような問題が生じることを防止するために、図8に示したように、アクリル系の樹脂等で形成された平坦化層50は、接着剤60を越えて外側にはみ出さないように形成されている。
このように構成すれば、平坦化層50の水平方向の上面や端面50a(図8参照)が接着剤60によって被覆される状態になるため、平坦化層50の上面や端面50aと外気との接触が接着剤60により的確に遮断される。そのため、外気中の水分が平坦化層50を介して内部空間Cに流入することを的確に防止することが可能となり、上記のような問題が発生することを的確に防止することが可能となる。
なお、以下では、平坦化層50等が図8に示したように構成されている場合について説明するが(後述する図14や図21参照)、これ以外にも、例えば、図10(A)に示すように、接着剤60の外側に平坦化層50を別途形成するように構成してもよく、また、図10(B)に示すように、接着剤60下の所定の領域の平坦化層50を除去するように構成することも可能である。
図10(A)や図10(B)に示したように構成して接着剤60の外側にも平坦化層50を形成するように構成しても、外気中の水分が内部空間Cに流入することを的確に防止することが可能となる。
[本実施形態に係る放射線画像撮影装置に特有の構成等について]
次に、上記のような構成を備える放射線画像撮影装置1における本実施形態に特有の構成等について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
前述したように、本発明者らの研究によれば、例えば前述した特許文献4〜8に記載されている静電気や電磁波等による外乱ノイズの発生を防止するための各構成を上記の放射線画像撮影装置1に適用しても、読み出される画像データDに対する静電気や電磁波等による外乱ノイズの発生を必ずしも的確に防止することができない場合がある。
そして、本発明者らが研究を重ねた結果、例えば特許文献4〜8に記載されているように放射線画像撮影装置1のセンサー基板4の画素領域Ra(図3等参照)にシールド用導電層を設ける等しても、シールド用導電層が設けられていない周辺領域Rbで、配線(すなわち走査線5、信号線6、バイアス線9やその結線10等)が静電気や電磁波等の影響を受けてしまう。その結果、読み出される画像データDに対する静電気や電磁波等による外乱ノイズを的確に排除できなくなることが分かった。
そこで、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、例えば図11に示すように、センサー基板4の表面4a上の領域のうち、少なくとも周辺領域Rbにおいて、画素領域Raから周辺領域Rbに延出されている走査線5や信号線6、バイアス線9等の配線の、センサー基板4とは反対側(すなわち放射線画像撮影装置1を図1に示したように配置する場合には配線の上側)に、絶縁層を介してシールド用導電層Sが設けられるようになっている。シールド用導電層Sは、少なくとも導電性の材料で形成される。
なお、図11においても、また、以下の説明においても、主に、シールド用導電層Sを周辺領域Rbだけでなく画素領域Raにも設ける場合について説明される。しかし、本発明において、シールド用導電層Sを画素領域Raに設けることは必須の要件ではなく、周辺領域Rbに設けられることが必須の要件となる。
また、センサー基板4に入出力端子11等が設けられていない部分がある場合には、例えば図12に示すように、シールド用導電層Sを、周辺領域Rbの必要な部分にのみ設けるように構成することも可能であり、また、例えば図13に示すように、シールド用導電層Sを、センサー基板4の端部まで設けるように構成することも可能である。
以下、配線のセンサー基板4とは反対側(すなわち配線の上側)にシールド用導電層Sを設ける場合に、シールド用導電層Sを設ける位置やその形成方法等を含めて、シールド用導電層Sについて、いくつか具体例を挙げて説明する。
[具体例1]
例えば図14に示すように、シールド用導電層Sを、画素領域Raから周辺領域Rbに延出されている走査線5等の配線上に形成されている絶縁層上に設けるように構成することが可能である。
なお、図14は、図11におけるZ−Z線に沿う断面図であり、延出する配線が走査線5等である場合が示されているが、延出する配線が信号線6等である場合(すなわち図11におけるZ−Z線に直交する方向の断面図を考えた場合)も同様に説明される。
このように構成すれば、周辺領域Rbの部分に静電気や電磁波等の影響が及んでも、静電気や電磁波等はシールド用導電層Sに吸収されてしまい、シールド用導電層S内に拡散したり、或いは、シールド用導電層Sを介してシールド用導電層Sに所定の電位を供給する後述する電位供給手段に流れ込むようになる。
そのため、シールド用導電層Sの下側に延出されている走査線5や信号線6等の配線にまで静電気や電磁波等が及ぶことが防止される。そのため、周辺領域Rbに延出されている走査線5等の配線が静電気や電磁波等の影響を受けてしまい、読み出される画像データD等に静電気や電磁波等による外乱ノイズが重畳されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
ところで、この場合、図14に示すように、シールド用導電層Sを画素領域Ra側にも設けることが可能である。そして、例えば、センサー基板4の表面4a上の放射線検出素子7等の上に形成された平坦化層50上にシールド用導電層Sを設けるように構成することが可能である。
このように構成すれば、周辺領域Rbのみならず画素領域Raの部分に静電気や電磁波等の影響が及んでも、シールド用導電層Sが静電気や電磁波等を的確に吸収するようになる。そのため、画素領域Raに配置されている走査線5や信号線6等の配線や放射線検出素子7等が静電気や電磁波等の影響を受けてしまい、読み出される画像データD等に静電気や電磁波等による外乱ノイズが重畳されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
また、図14に示すように、周辺領域Rbにおけるシールド用導電層Sと画素領域Raにおけるシールド用導電層Sを一体的に形成することも可能である。
さらに、周辺領域Rbにおけるシールド用導電層Sと画素領域Raにおけるシールド用導電層Sを一体的に形成する場合も含め、少なくとも、周辺領域Rbにおけるシールド用導電層Sを、入出力端子11上に形成される電極11aと、同じ材料で形成し、製造工程において電極11aと同層に積層して形成するように構成することも可能である。
以下、この点について説明する。この場合、周辺領域Rbのみならず、放射線検出素子7やTFT8等のセンサー基板4上の積層構造やその製造工程の知識が必要になるため、まず、それらについて説明する。図15は、図4におけるY−Y線に沿う断面図である。
センサー基板4の積層構造の製造工程においては、図14や図15に示すように、まず、センサー基板4の表面4a上に無機材料からなる第1無機絶縁層51aを積層して形成する。なお、本実施形態では、この第1無機絶縁層51aを含む以下の各無機絶縁層は窒化シリコン(SiNx)等の窒化膜や酸化膜等で形成されている。
続いて、第1無機絶縁層51a上にAlやCr等からなる走査線5を積層して形成する。なお、以下の積層工程では改めて説明しないが、エッチング等によって不要な部分が除去される等の適宜の処理が積層工程の中で行われる。すなわち、以下において、「積層工程」や「積層して形成」という場合、その工程等にはエッチング等の必要な処理が含まれる。
図14に示すように、走査線5は、画素領域Raから周辺領域Rbに延出され、後述する入出力端子11の電極11aが形成されるセンサー基板4の端縁部まで延設されるように形成される。なお、図4や図15等に示すように、本実施形態では、TFT8が形成される部分で走査線5が水平方向に突出されて、TFT8のゲート8gが走査線5と一体的に形成されるようになっている。
続いて、走査線5(TFT8のゲート電極8gを含む。)上や第1無機絶縁層51a上に第2無機絶縁層51bを積層して形成する。図15に示すように、この第2無機絶縁層51bは、TFT8の部分ではゲート電極8gとソース電極8sやドレイン電極8dとを絶縁する、いわゆるゲート絶縁層となる。
TFT8の部分では、この第2無機絶縁層51b上に半導体層81やオーミックコンタクト層82a、82bをそれぞれ積層し、ソース電極8sとドレイン電極8dとを各オーミックコンタクト層82a、82bとそれぞれ接続するように積層して形成する。
なお、本実施形態では、図4に示すように、信号線6とTFT8のドレイン電極8dとが一体的に形成されるようになっており、TFT8のソース電極8sやドレイン電極8dを積層して形成する工程で、信号線6(図4や図14参照)も第2無機絶縁層51b上に同一の材料を用いて同層に積層して形成するようになっている。
また、上記の走査線5の形成の場合と同様に、この工程で、信号線6も画素領域Raから周辺領域Rbに延出され、入出力端子11が形成されるセンサー基板4の端縁部まで延設されるように形成して(図3等参照)、下記と同様にして入出力端子11が形成される。
続いて、図14や図15に示すように、上記のようにして形成された信号線6上やTFT8のソース電極8s、ドレイン電極8d上、或いは第2無機絶縁層51b上に、第3無機絶縁層51cを積層して形成する。図15に示すように、この第3無機絶縁層51cは、TFT8のソース電極8sとドレイン電極8dとを分割する役割をも担っている。以上のようにしてTFT8が形成される。
そして、図15に示すように、TFT8のソース電極8s上に形成した第3無機絶縁層51cを貫通するホールH1を形成し、ソース電極8sを露出させる。また、図14に示すように、センサー基板4の端縁部まで延設した走査線5上に形成された第2無機絶縁層51bと第3無機絶縁層51cを貫通するホールH2を形成し、走査線5を露出させる。
そして、ホールH1、H2が形成された第3無機絶縁層51c上にAlやCr、Mo等を積層して、前述した放射線検出素子7の第1電極7a(図15参照)や、走査線5と入出力端子11とを接続する第1接続片11b(図14参照)を形成する。すなわち、本実施形態では、放射線検出素子7の第1電極7aと第1接続片11bとを同一の工程で同一の材料を用いて同層に積層して形成するようになっている。
なお、この工程で、放射線検出素子7の第1電極7aとTFT8のソース電極8s(図15参照)、および第1接続片11bと走査線5(図14参照)は、それぞれホールH1、H2を介して電気的に接続される。
続いて、図15に示すように、放射線検出素子7の第1電極7aの上に、例えば水素化アモルファスシリコンや有機光電変換材料等にVI族元素をドープしてn型に形成されたn層71、水素化アモルファスシリコン等で形成された変換層であるi層72、水素化アモルファスシリコン等にIII族元素をドープしてp型に形成されたp層73を下方から順に積層して形成する。
そして、p層73上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極からなる放射線検出素子7の第2電極7bを積層して形成する。本実施形態では、以上のようにして放射線検出素子7が形成されるようになっている。
なお、n層71、i層72、p層73の積層の順番は上下逆であってもよい。また、図15では、放射線検出素子7として、上記のようにn層71、i層72、p層73の順に積層されて形成される、いわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合を示したが、これに限定されない。
続いて、図14や図15に示すように、このようにして形成された第3無機絶縁層51c上や放射線検出素子7の側壁部分等に、第4無機絶縁層51dを積層して形成する。なお、下記のように、放射線検出素子7の第2電極7b上にバイアス線9を配置する必要があるため、本実施形態では、第4無機絶縁層51dは、放射線検出素子7の第2電極7b上には形成されず、或いは形成された後で除去される。
続いて、第4無機絶縁層51d上に、例えばアクリル系の樹脂等の有機材料からなる有機絶縁層52を積層して形成する。上記のように、第4無機絶縁層51dが放射線検出素子7の第2電極7b上には形成されていないため、有機絶縁層52も放射線検出素子7の第2電極7b上には形成されず、走査線5や信号線6、TFT8等の上方にのみ形成されるようになっている。
そして、図14に示すように、センサー基板4の端縁部の入出力端子11が形成される位置に積層された第4無機絶縁層51dを貫通するホールH3を形成し、前述した第1接続片11bを露出させる。
そして、図15に示すように、放射線検出素子7の第2電極7b上にAl等を積層してバイアス線9を形成する。なお、図15では図示されていないが、バイアス線9は、放射線検出素子7の第2電極7b上から有機絶縁層52上に連続するように積層され、図4等に示したように、列状に配置された複数の放射線検出素子7の各第2電極7bを接続するように形成される。
なお、結線10も同時に形成され、図3に示したように、結線10がセンサー基板4の端縁部まで延設されるように形成されて、下記と同様にして入出力端子11が形成される。
また、バイアス線9を形成する工程と同じ工程で、ホールH3(図14参照)が形成された第4無機絶縁層51d上にバイアス線9を構成する材料と同じAl等の材料を積層して、第2接続片11cを形成する。すなわち、本実施形態では、バイアス線9と第2接続片11cとが同一の工程で同一の材料を用いて同層に積層されて形成されるようになっている。なお、この工程で、第2接続片11cと第1接続片11bとがホールH3を介して電気的に接続される。
続いて、図14や図15に示すように、バイアス線9や放射線検出素子7の第2電極7b、有機絶縁層52、第4無機絶縁層51d、第2接続片11c上に、第5無機絶縁層51eを積層して形成する。そして、第5無機絶縁層51e上にアクリル系の樹脂等の有機材料を積層して、前述した平坦化層50を形成する。
また、図14に示すように、センサー基板4の端縁部の入出力端子11が形成される位置に積層された第5無機絶縁層51eを貫通するホールH4を形成し、前述した第2接続片11cを露出させる。続いて、ホールH4が形成された第5無機絶縁層51e上に導電性の材料を積層して入出力端子11の電極11a(図3や図11等参照)を形成する。
この工程で、入出力端子11の電極11aと第2接続片11cとがホールH4を介して電気的に接続される。そして、その結果、図3の場合には、入出力端子11の電極11aと走査線5とが、第1接続片11bと第2接続片11cとを介して電気的に接続されるようになっている。
入出力端子11の電極11aを例えばAl等の金属材料で形成することも可能である。しかし、電極11aをこのように形成すると、電極11aの表面にアルミナ等の導電性を有しない酸化物が生じる可能性があり、この酸化物が介在するために、入出力端子11の電極11aとフレキシブル回路基板12(図5参照)の図示しない各端子との電気的な接続に不具合が生じる虞れがある。
そこで、本実施形態では、入出力端子11の電極11aは、化学的に安定しているITOやIZO(Indium Zinc Oxide)等の導電性酸化物材料で形成されるようになっている。
なお、図示を省略するが、信号線6やバイアス線9の結線10等の場合も、周辺領域Rbでは、図14の走査線5の場合と同様にして、積層される各無機絶縁層の間に、画素領域Ra等で積層される配線や電極と同層に導電層である接続片が積層され、それらが電気的に接続されることで、信号線6やバイアス線9の結線10等と、それらに対応する入出力端子11の電極11aとが電気的に接続されるように構成される。
上記のように、入出力端子11の電極11aは、少なくとも周辺領域Rbでは、センサー基板4の表面4a上に積層された各無機絶縁層51a〜51eの最表層に積層されて形成される。
そこで、例えば図14に示すように、この入出力端子11の電極11aを第5無機絶縁層51e上に積層して形成する際に、周辺領域Rbにおける第5無機絶縁層51e上にも同じ導電性の材料を同層に積層することで、周辺領域Rbにシールド用導電層Sを形成することができる。
そして、このように構成することで、例えば図14に示すように、シールド用導電層Sを、周辺領域Rbに延出されている走査線5等の配線上に形成されている絶縁層上(具体的には各無機絶縁層51b〜51e上)に的確に設けるように構成することが可能となる。
また、入出力端子11の電極11aを第5無機絶縁層51e上に積層して形成する際に、周辺領域Rbの第5無機絶縁層51e上にも同じ導電性の材料を同層に積層してシールド用導電層Sを形成する際に、図14や図15に示すように、シールド用導電層Sを、さらに画素領域Raにまで延設し、画素領域Raの平坦化層50上にも積層するように構成することが可能である。
このように構成することで、入出力端子11の電極11aを第5無機絶縁層51e上に積層して形成する際に、周辺領域Rbや画素領域Raの第5無機絶縁層51e上や平坦化層50上にも同じ導電性の材料を同層に積層してシールド用導電層Sを一体的に形成することが可能となる。
また、前述したように、本実施形態では、入出力端子11の電極11aはITOやIZO等の導電性酸化物材料を用いて形成される。そして、よく知られているように、ITOやIZO等の導電性酸化物材料は透明である。そのため、上記のように構成すると、図15等に示すように、平坦化層50の表面に透明な導電性酸化物材料からなるシールド用導電層Sが形成されることになり、シンチレーター3(図15では図示省略)から照射される光が透明なシールド用導電層Sを透過して放射線検出素子7に的確に入射されるようになる。
すなわち、本実施形態のように、入出力端子11の電極11aをITOやIZO等の導電性酸化物材料を用いて形成することで、平坦化層50上に積層されて形成されるシールド用導電層Sを透明な層とすることが可能となり、シールド用導電層Sによってシンチレーター3から放射線検出素子7への光の照射が阻害されることを的確に防止することが可能となる。
以上のように構成することで、前述したように、周辺領域Rbの部分、或いは周辺領域Rbと画素領域Raの部分に、静電気や電磁波等の影響が及んでも、静電気や電磁波等がシールド用導電層Sに吸収されてシールド用導電層S内に拡散したり後述する電位供給手段に流れ込む。そのため、静電気や電磁波等の影響が走査線5や信号線6等の配線にまで及ぶことが防止されるため、読み出される画像データD等に静電気や電磁波等による外乱ノイズが重畳されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
また、それとともに、シールド用導電層Sを、入出力端子11の電極11aと同じ材料で形成し、かつ、上記のように製造工程において電極11aと同層に積層して形成するように構成することが可能となるため、放射線画像撮影装置1のセンサー基板4上に走査線5等の配線や放射線検出素子7、各種の絶縁層等を積層して形成し、その上に入出力端子11の電極11a等を積層して形成する従来からの製造工程を、新たな積層工程等を追加することなく、そのまま用いることが可能となる。
すなわち、入出力端子11の電極11aの積層工程において、電極11aを構成する材料を、電極11aを形成するセンサー基板4の端縁部だけでなく周辺領域Rbや画素領域Raまで範囲を拡げて積層することで、シールド用導電層Sを形成することが可能となる。
そのため、上記の製造方法を採用すれば、新たな製造工程を設けることなく従来の製造工程の中でシールド用導電層Sを形成することが可能となるため、シールド用導電層Sを形成するために放射線画像撮影装置1の製造工程が煩雑化することを的確に防止することが可能となる。シールド用導電層Sを同じプロセスで容易に積層して形成することが可能となる。
また、既に確立された放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPの製造工程をそのまま用いてシールド用導電層Sを積層して形成することが可能となる。そのため、上記の製造方法を採用することで、シールド用導電層Sを的確に積層して形成することが可能となるといったメリットがある。
[変形例1]
なお、下記の各例の場合も同様であるが、シールド用導電層Sを、他の導電性の部材とは電気的に接続しないように構成することが可能である。
この場合、シールド用導電層Sの電位は、いわゆるフローティングの状態になる。そして、シールド用導電層Sに吸収された静電気や電磁波等は、シールド用導電層S内に拡散された状態になる。そのため、この場合は、シールド用導電層Sは、吸収した静電気や電磁波等を一箇所に集中させないようにすることで、静電気や電磁波等の影響が走査線5や信号線6等の配線にまで及ぶことを防止するように機能する。
[変形例2]
また、下記の各例の場合も同様であるが、シールド用導電層Sを、他の導電性の部材、特に電位が固定された電位供給手段と電気的に接続し、シールド用導電層Sに所定の電位を供給するように構成することも可能である。この場合は、シールド用導電層Sに吸収された静電気や電磁波等が電位供給手段に流れ込む等することで、静電気や電磁波等の影響が走査線5や信号線6等の配線にまで及ぶことが防止される。
電位供給手段として、例えばバイアス電源14(図6や図7参照)を用いるように構成することが可能である。すなわち、シールド用導電層Sとバイアス線9やその結線10とを電気的に接続するように構成することが可能である。この場合は、シールド用導電層Sには前述した逆バイアス電圧が印加される状態になる。
そして、この場合、シールド用導電層Sを積層する前に、例えば図16に示すように、バイアス線9やその結線10(図16の場合は結線10)が配線されている位置にホールH5を形成して結線10等を露出させる。本実施形態では、上記のようにバイアス線9や結線10上には第5無機絶縁層51eが積層されているだけであるから、ホールH5を容易に形成することができる。
そして、ホールH5が形成された第5無機絶縁層51e上に、例えば前述したITOやIZO等の導電性酸化物材料を入出力端子11の電極11aを形成すると同時にシールド用導電層Sを形成すると、シールド用導電層Sとバイアス線9や結線10とがホールH5を介して電気的に接続される。
このようにして、シールド用導電層Sとバイアス線9や結線10とを容易かつ的確に電気的に接続して、シールド用導電層Sに的確に逆バイアス電圧を供給することが可能となる。
一方、シールド用導電層Sに、例えば基準電位V0(図7参照)を供給するように構成することも可能である。この場合、電位供給手段は、各読み出し回路17の増幅回路18のオペアンプ18aの非反転入力端子に基準電位V0を印加する図示しない電源回路ということになる。また、シールド用導電層Sに、例えば放射線画像撮影装置1のGND電位を供給するように構成することも可能である。
[シールド用導電層Sに所定の電位を供給するための電極を形成する方法1]
この場合、入出力端子11の電極11aとシールド用導電層Sとを同じ製造工程で形成する際に、例えば図17に示すように、シールド用導電層Sの一部をセンサー基板4の端縁部方向に延設して、入出力端子11の各電極11aに並設して新たな電極11Aを形成するように構成することが可能である。
[方法2]
或いは、第5無機絶縁層51e上(図14参照。すなわち第5無機絶縁層51eの上面)に積層されて形成されるシールド導電層Sと新たな電極11Aとを、図17に示したようにシールド用導電層Sの一部を新たな電極11Aの方に延出させて電気的に接続する代わりに、例えば図18に示すように、より下層に形成した配線6aを介して両者を電気的に接続するように構成することも可能である。
すなわち、断面図等の図示を省略するが、この場合、例えば、信号線6等の形成工程で第2無機絶縁層51b等の上面に信号線6等を積層して形成する際に、同時に、配線6aを同層に積層して形成しておく。そして、図14に示した場合と同様に、配線6aの上方に各無機絶縁層51c〜51eや各接続片11b、11cを積層していく。その際、配線6aと各接続片11b、11cとが各ホールを介して電気的に接続されるように構成する。
なお、配線6aと第1接続片11bとを電気的に接続するためのホールは、図14のホールH2の場合とは異なり、第3無機絶縁層51cのみを貫通するように構成される。この場合、第3無機絶縁層51cのみを貫通するようにホールを設ければ、配線6aが露出し、配線6aと第1接続片11bとがホールを介して電気的に接続されるためである。
そして、最上層の第5無機絶縁層51eに図14のホールH4と同様のホールを形成して第2接続片11cを露出させる。そして、第5無機絶縁層51e上にITO等の導電性材料を積層して新たな電極11Aを形成することで、ホールを介して新たな電極11Aが第2接続片11cと電気的に接続される。そのため、結局、新たな電極11Aと配線6aとが各接続片11b、11cを介して電気的に接続される。
一方、上記のようにして新たな電極11Aと電気的に接続された配線6aの端部とは反対側の端部(図18参照)とシールド用導電層Sとを電気的に接続するために、上記のように最上層の第5無機絶縁層51eに図14のホールH4と同様のホールを形成する時点で、同時に、図18に示すように、配線6aの当該反対側の端部の部分に、その上方に積層された各無機絶縁層を貫通するホールH6を形成して配線6aを露出させる。
そして、上記のように第5無機絶縁層51e上にITO等の導電性材料を積層してシールド用導電層Sを形成することで、ホールH6を介してシールド用導電層Sと配線6aとが電気的に接続される。
このように構成することで、配線6aがホールH6を介してシールド用導電層Sと電気的に接続され、また、上記のように配線6aは、各接続片11b、11cを介して新たな電極11Aと電気的に接続される。そのため、結局、配線6aを介して入出力端子11の新たな電極11Aとシールド用導電層Sとを電気的に接続することが可能となる。
なお、シールド用導電層と配線6aの電気的接続の方法に関しては、上記のようにホールH6を形成して接続する代わりに、例えば、上記の電極11Aにおける接続方法、すなわち、接続片11b、11cを介した接続方法を採用することも可能である。
以上のようにして、図18に示すように、例えば配線6aを介して入出力端子11の新たな電極11Aとシールド用導電層Sとを電気的に接続するように構成することも可能である。なお、このように構成する場合、配線6a上に積層する各無機絶縁層や各接続片は、図14に示した各無機絶縁層や各接続片と同層に積層されて形成される。
そして、図17や図18のように構成すれば、新たな電極11Aを含む入出力端子11の各電極11aにフレキシブル回路基板12の各端子を接続することで、フレキシブル回路基板12を介して新たな電極11Aからシールド用導電層Sに基準電位V0やGND電位等の所定の電位を供給することが可能となる。
[方法3]
また、図17や図18に示したように、入出力端子11の各電極11aに並設して新たな電極11Aを形成してフレキシブル回路基板12の端子と接続するように構成する代わりに、例えば図19に示すようにセンサー基板4の端縁部に新たな電極53を形成し、電極53とシールド用導電層Sとを上記と同様にして電気的に接続するように構成することも可能である。
そして、この場合は、フレキシブル回路基板12以外の方法、すなわち例えば電極53に他の配線を接続したり、電極53と物理的に接触する導電部材を設けたり、或いはセンサー基板4の電極53の部分に図示しないホールを形成する等の方法で、電極53を介してシールド用導電層Sに基準電位V0やGND電位等の所定の電位を供給するように構成することも可能である。
以上のように構成することで、前述したように、シールド用導電層Sに吸収された静電気や電磁波等が、シールド用導電層Sに所定の電位を供給する電位供給手段に流れ込む等するため、静電気や電磁波等の影響が走査線5や信号線6等の配線にまで及ぶことを的確に防止することが可能となる。
なお、シールド用導電層Sに所定の電位を供給するように構成する場合、シールド用導電層Sに供給する電位は、上記で例示した逆バイアス電圧や基準電位V0、GND電位以外の電位であってもよいことは改めて説明するまでもなく、適宜の電位に設定することが可能である。
[具体例2]
上記の[具体例1]では、シールド用導電層Sを、周辺領域Rbに延出されている走査線5等の配線上に形成されている絶縁層上に設ける場合の例として、シールド用導電層Sを、絶縁層の最上層である第5無機絶縁層51e上に形成するように構成する場合について説明した。そして、シールド用導電層Sを、入出力端子11の電極11aと同一の材料を用いて同層に積層して形成する場合について説明した。
しかし、これ以外にも、例えば、バイアス線9やその結線10と同一の材料を用いて同層に積層してシールド用導電層Sを形成しても、シールド用導電層Sを、周辺領域Rbに延出されている走査線5等の配線上に形成されている絶縁層上に設けることができる。そこで、以下、このようにしてシールド用導電層Sを形成する場合について説明する。
前述したように、第4無機絶縁層51d(図14や図15参照)が積層されて形成されると、第4無機絶縁層51d上に有機絶縁層52が積層されて形成される。そして、図14に示したように、第4無機絶縁層51dを貫通するホールH3が形成され、第1接続片11bを露出させる。
そして、第5無機絶縁層51eが積層されて形成される前に、放射線検出素子7の第2電極7b上や第4無機絶縁層51d上にAl等が積層されて、バイアス線9(図15参照)や第2接続片11c(図14参照)等が形成されるが、その際に、同時に、同じ材料で同層にシールド用導電層Sを形成するように構成することが可能である。
シールド用導電層Sは、例えば図11に示したように、センサー基板4の周辺領域Rbに形成することが可能である。なお、上記の積層構造を用いてシールド用導電層Sを形成する場合、シールド用導電層Sは、この場合、図14に示したように第5無機絶縁層51e上ではなく、第4無機絶縁層51dと第5無機絶縁層51eとの間に積層されて形成される形になる。
また、この場合も、シールド用導電層Sを、画素領域Ra側にも、例えば周辺領域Rbに形成したシールド用導電層Sと一体的に設けることが可能である。
しかし、この場合、シールド用導電層Sは、上記のようにAl等の金属、すなわち不透明な導電性の材料が用いられて形成される。そのため、シールド用導電層Sを放射線検出素子7の上方(すなわちシンチレーター3側)に設けると、上記の[具体例1]の場合とは異なり、シンチレーター3からの光がシールド用導電層Sに遮蔽されてしまい、放射線検出素子7に届かなくなる。
そのため、この[具体例2]において画素領域Raにシールド用導電層Sを形成する場合には、例えば図20の斜線を付して示す部分に記載されているように、シールド用導電層Sが、放射線検出素子7とシンチレーター3(図20では図示省略)との間には設けられないように構成されている。
すなわち、この場合、シールド用導電層Sは、放射線検出素子7の上方(すなわちシンチレーター3側)以外の、走査線5や信号線6、TFT8等の上に積層されて形成された有機絶縁層52(図14や図15参照)上に積層されて形成されるように構成される。なお、この場合も、バイアス線9やシールド用導電層Sを構成する材料を、放射線検出素子7や有機絶縁層52上に、一旦、一面に積層して形成しておき、放射線検出素子7上の部分からシールド用導電層Sを除去するようにして形成することが可能である。
なお、前述したように、シールド用導電層Sを他の導電性の部材とは電気的に接続させずに、シールド用導電層Sの電位をフローティングの状態にして用いる場合や、シールド用導電層Sに、逆バイアス電圧以外の電位を供給する場合には、バイアス線9との短絡を防止するために、図20に示したように、シールド用導電層Sとバイアス線9とが隔離されるように構成される。
また、図示を省略するが、この場合、バイアス線9が接続される結線10(図11参照)も、バイアス線9やシールド用導電層Sと同じ材料で同層に積層されて形成されるが、結線10とシールド用導電層Sの間も隔離されるように構成される。
さらに、シールド用導電層Sに逆バイアス電圧を供給して使用する場合には、図20に示したようにシールド用導電層Sとバイアス線9とを隔離せずに、両者を一体的に形成することが可能である。また、この場合、結線10とシールド用導電層Sを隔離せずに一体的に形成することも可能である。すなわち、この場合、結線10を形成せずに、周辺領域Rbに形成されたシールド用導電層Sがバイアス線9の結線10としても機能する状態になる。
[変形例3]
ところで、放射線画像撮影装置1が、図示しない放射線発生装置の間で信号等のやり取りを行わず、放射線画像撮影装置1自体で放射線発生装置からの放射線の照射が開始されたことを検出するように構成されている場合がある。
例えば、本願出願人が先に提出した国際出願第2011/135917号パンフレット等に記載されているように、放射線画像撮影装置1で、ゲートドライバー15b(図6参照)から各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、放射線が照射される前から各読み出し回路17に読み出し動作を行わせて、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行わせる。
このように構成すると、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが増幅回路18のコンデンサー18b(図7参照)に蓄積される。すなわち、増幅回路18のコンデンサー18bには、当該増幅回路18が接続されている信号線6に接続されている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークした電荷qの合計値が蓄積される。
この状態で読み出し回路17で読み出し動作を行うと、増幅回路18のオペアンプ18aの出力側からは、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークした電荷qの合計値に応じた電圧値が出力される。そのため、各TFT8を介してリークした電荷qの合計値に相当するデータが読み出される。このようにして読み出されたデータがリークデータdleakである。
そして、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されて、照射された放射線がシンチレーター3で光に変換されてTFT8に照射されると、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの量が増加する。そのため、読み出されるリークデータdleakも増加するため、例えば閾値dleak_thを設定しておき、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_th以上になった時点で放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
放射線画像撮影装置1を、例えば上記のように構成する場合、図20に示したようにTFT8の上方に、すなわちTFT8とシンチレーター3との間に、例えばAl等の金属等からなる不透明なシールド用導電層Sが形成されていると、シールド用導電層Sによってシンチレーター3からTFT8に照射される光が遮蔽されてしまい、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出することができなくなる。
そこで、放射線画像撮影装置1が上記のようにして放射線の照射開始を検出するように構成されている場合には、シールド用導電層Sは、放射線検出素子7の上方だけでなく、TFT8の上方(すなわちシンチレーター3との間)にも設けられないように構成される。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、少なくともセンサー基板4の表面4aの周辺領域Rbの、走査線5や信号線6等の配線の上方(すなわちセンサー基板4とは反対側)にシールド用導電層Sを設けた。そのため、周辺領域Rbの部分に静電気や電磁波等の影響が及んでも、シールド用導電層Sが静電気や電磁波等を的確に吸収して、シールド用導電層S内に拡散させたり、シールド用導電層Sに所定の電位を供給する手段に放出する。
そのため、シールド用導電層Sの下側に延出されている走査線5や信号線6等の配線に静電気や電磁波等の影響が及ぶことを的確に防止することが可能となる。そのため、周辺領域Rbに延出されている走査線5等の配線が静電気や電磁波等の影響を受けてしまい、読み出される画像データD等に静電気や電磁波等による外乱ノイズが重畳されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施形態では、センサー基板4の表面4aの周辺領域Rbの、走査線5や信号線6等の配線の上方(すなわちセンサー基板4とは反対側)にのみシールド用導電層Sを設ける場合について説明した。しかし、静電気や電磁波等の影響が、センサー基板4の上側、すなわちシンチレーター3側から及ぶ場合だけでなく、センサー基板4の裏面4b(図5参照)側から及ぶ場合もある。
そこで、第2の実施形態では、センサー基板4の裏面4b側から静電気や電磁波等の影響が及ぶことを防止するために、センサー基板4の周辺領域Rbに延出されている走査線5や信号線6等の配線とセンサー基板4の表面4aとの間にシールド用導電層S*を設ける場合について説明する。
なお、以下では、シールド用導電層S*と同時に、第1の実施形態で説明した、センサー基板4の周辺領域Rbに延出されている走査線5や信号線6等の配線の上方にもシールド用導電層Sを設ける場合(特に入出力端子11の電極11aと同層に形成する場合)について説明するが、シールド用導電層Sを設けず、配線とセンサー基板4の表面4aとの間にシールド用導電層S*のみを設けるように構成することも可能である。
また、以下では、第1の実施形態で説明した部材等には第1の実施形態で付した符号と同じ符号を付して説明する。
本実施形態では、例えば図21に示すように、上記のセンサー基板4の積層構造の製造工程において、センサー基板4の表面4a上に第1無機絶縁層51aを積層して形成する前に、センサー基板4の表面4a上に導電性の材料を積層してシールド用導電層S*を形成する。そして、その上に無機材料を積層して第1無機絶縁層51aを形成するように構成される。
そのため、本実施形態では、走査線5や信号線6等の配線とセンサー基板4の表面4aとの間には、少なくとも第1無機絶縁層51aが形成されるが、シールド用導電層S*は、この第1無機絶縁層51aとセンサー基板4の表面4aとの間に設けられるようになっている。
また、第1の実施形態の場合には、入出力端子11の電極11a等が形成されるため、例えば図11等に示したように、シールド用導電層Sをセンサー基板4の周辺領域Rbの全域に設けることができない場合がある。しかし、本実施形態では、シールド用導電層S*を形成する際に邪魔になる構造物が存在しないため、例えば図21や図22に示すように、シールド用導電層S*をセンサー基板4の少なくとも周辺領域Rbの全域に設けることができる。
なお、シールド用導電層S*を周辺領域Rbの一部の領域にのみ設けるように構成することも可能である。また、図22では、シールド用導電層Sの図示が省略されている。さらに、図22では、シールド用導電層S*を画素領域Raにも設ける場合が示されている。
そして、このようにシールド用導電層S*を画素領域Raにも設ける場合、図23に示すように、シールド用導電層S*は、シンチレーター3(図23では図示省略。シンチレーター3は放射線検出素子7やTFT8等の上方に形成されている。)から見ると放射線検出素子7より遠い位置に形成されるため、シールド用導電層S*がシンチレーター3から放射線検出素子7に照射される光を遮蔽することはない。
そのため、シールド用導電層S*を必ずしも透明な導電性の材料で形成する必要はない。しかし、シールド用導電層S*を透明な導電性の材料で形成することも可能であり、本実施形態の場合は、材料を適宜選択してシールド用導電層S*を形成することが可能である。
そして、第1の実施形態の場合と同様に、本実施形態においても、シールド用導電層S*を他の導電性の部材と電気的に接続しないように構成し、シールド用導電層S*の電位をフローティングの状態とするように構成することも可能であり、また、シールド用導電層S*に所定の電位を供給するように構成することも可能である。
シールド用導電層S*を設ける場合、本実施形態のように、シールド用導電層S*を第1無機絶縁層51aとセンサー基板4の表面4aとの間(図21や図23参照)に設ける代わりに、センサー基板4の裏面4b(図5参照)に設けるように構成することが考えられる。
しかし、このようにシールド用導電層S*をセンサー基板4の裏面4bに設けると、シールド用導電層S*と走査線5や信号線6等の配線の間にセンサー基板4等が介在する状態になり、シールド用導電層S*と配線が離れた状態になる。そのため、例えばセンサー基板4の表面4a等に静電気が発生する等した場合に、センサー基板4の裏面4b側に設けられたシールド用導電層S*で静電気を吸収することができなくなる等の問題が生じる場合がある。
それに対し、本実施形態のように、シールド用導電層S*を第1無機絶縁層51aとセンサー基板4の表面4aとの間に設けることで、センサー基板4の表面4a等の配線の近傍で静電気が発生したり配線の近傍に電磁波が入り込んだとしても、シールド用導電層S*でそれらを的確に吸収して除去することが可能となる。
なお、本実施形態においても、シールド用導電層S*を第1無機絶縁層51aとセンサー基板4の表面4aとの間(図21や図23参照)に設けるように構成したうえで、それとあわせて、センサー基板4の裏面4bに導電性の層を設けるように構成することは可能である。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、少なくとも周辺領域Rbのセンサー基板4の表面4aと第1無機絶縁層51a等の絶縁層との間にシールド用導電層S*を設けたため、周辺領域Rbの部分に静電気や電磁波等の影響が及んでも、シールド用導電層S*が静電気や電磁波等を的確に吸収して、シールド用導電層S内に拡散させたり、シールド用導電層S*に所定の電位を供給する手段に放出する。
そのため、シールド用導電層S*の上側に延出されている走査線5や信号線6等の配線に静電気や電磁波等の影響が及ぶことを的確に防止することが可能となる。そのため、周辺領域Rbに延出されている走査線5等の配線が静電気や電磁波等の影響を受けてしまい、読み出される画像データD等に静電気や電磁波等による外乱ノイズが重畳されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
[変形例4]
なお、上記の第1の実施形態や第2の実施形態において、シールド用導電層S(シールド用導電層S*の場合を含む。)は、絶縁層(無機絶縁層や平坦化層等)を介して走査線5や信号線6等の配線と対向する状態になる。そのため、導電性を有するシールド用導電層Sと配線との間に絶縁層が介在するコンデンサー状の構造になるため、シールド用導電層Sと配線との間に寄生容量(浮遊容量等ともいう。)が生じる。
そして、発生した寄生容量のために、例えば信号線6等の配線等の電位や配線中を流れる電流等に影響が及ぶ等して、読み出される画像データDが異常な値になったりノイズが重畳する等し、或いは、各機能部が設計通りの挙動を示さなくなったり不十分な挙動しか示せなくなるなど、種々の不具合が生じる原因となる可能性が生じる。
そこで、このような寄生容量が問題となる可能性があるような場合には、シールド用導電層Sやシールド用導電層S*を、例えば図24や図25に示すように形成することが可能である。なお、図24や図25では、放射線検出素子7やTFT8、バイアス線9等の図示が省略されている。
すなわち、例えば図24に示すように、シールド用導電層Sやシールド用導電層S*のうち、信号線6の直近の位置のシールド用導電層S、S*を取り除くように構成することが可能である。また、例えば図25に示すように、シールド用導電層Sやシールド用導電層S*のうち、走査線5と信号線6とが交差する部分の直近の位置のシールド用導電層S、S*を取り除くように構成することも可能である。
このように構成すれば、信号線6等の配線とシールド用導電層Sやシールド用導電層S*との間に生じる寄生容量を小さくすることが可能となり、寄生容量のために信号線6等の配線等に影響が及ぶことを防止することが可能となる。
なお、図24や図25では、寄生容量を介して信号線6や走査線5に影響が及ばないようにするための構成を示したが、図示を省略するが、同様にして、各放射線検出素子7の直近の位置のシールド用導電層Sやシールド用導電層Sを取り除くように構成することも可能である。このように構成すれば、寄生容量を介して各放射線検出素子7に影響が及ばないようにすることが可能となる。
なお、例えば、図24のように構成した場合でも、シールド用導電層S、S*を取り除いて形成された空隙のピッチが電磁波の波長よりも十分に小さければ、シールド用導電層S、S*は電磁波を吸収して除去する電磁シールドとして十分に機能する。
また、図24や図25では、画素領域Raの部分のシールド用導電層S、S*を取り除く場合について示したが、周辺領域Rbにおいて、シールド用導電層S、S*のうち信号線6や走査線5等の配線の直近の位置のシールド用導電層S、S*を取り除くように構成することも可能である。
さらに、上記と同様にして、入出力端子11の電極11a(図11等参照)とシールド用導電層Sとの間にも寄生容量が生じ得る。この場合、シールド用導電層Sをできるだけ拡げた方がシールド用導電層Sによるシールド性能は向上するが、その分、入出力端子11の電極11aとの距離が近くなり、両者の間に生じる寄生容量が大きくなる。
そこで、入出力端子11の電極11aとシールド用導電層Sとの間の距離は、両者の間に生じる寄生容量の大きさや、シールド用導電層Sのシールド性能等の兼ね合いで決められる。
[変形例5]
なお、上記のような配線や電極とシールド用導電層Sとの間の寄生容量という点から見た場合、例えば図14や図21に示したように、無機絶縁層(すなわち第1無機絶縁層51aから第5無機絶縁層51e。以下同じ)を積層して形成した上にシールド用導電層Sを積層して形成する代わりに、例えば図10(A)、(B)に示したように、接着剤60の外側の周辺領域Rbの無機絶縁層上に平坦化層50を積層して形成した上にシールド用導電層Sを積層して形成するように構成することも可能である。
このように構成すれば、走査線5や信号線6、バイアス線9やその結線10等の配線等とシールド用導電層Sとの距離が、図14や図21に示した場合よりも平坦化層50の厚さ分だけ長くなるため、シールド用導電層Sと配線等との間に形成される寄生容量が小さくなる。
そのため、例えば図10(A)、(B)に示したように接着剤60の外側の周辺領域Rbの無機絶縁層上に平坦化層50を積層して形成し、その上にシールド用導電層Sを積層して形成するように構成することで、寄生容量を介してシールド用導電層Sから信号線6等の配線等に影響が及ぶ度合いをより低減することが可能となる。
なお、本発明が上記の実施形態や変形例等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更可能であることは言うまでもない。