JP2014221997A - 法面の補強方法 - Google Patents

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Yutaka Oda
裕 織田
神谷 隆
Takashi Kamiya
隆 神谷
和也 桐山
Kazuya Kiriyama
和也 桐山
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Abstract

【課題】法面の強度が低下することを抑制することが可能な法面の補強方法を提供する。【解決手段】法面12の補強方法は、貫通孔15を有する板部材13を法面12に配置する工程と、法面12に有底の孔17を形成する工程と、孔17に棒部材18を挿入する工程と、孔17に注入材24を注入する工程と、棒部材18における孔17外に位置する突端部19に形成されたねじ部20に貫通孔15よりも大きい座金26をかませた状態でナット27を螺嵌して締め付けることで、板部材13を法面12に押し付けて固定する工程とを備える。そして、ナット27の締め付け力の上限値を、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力が、当該軸力に対抗する対抗力の一つである注入材24と孔17との摩擦抵抗力以下となるように、設定した。【選択図】図1

Description

本発明は、切土や盛土によって形成される法面の補強方法に関する。
従来、この種の法面の補強方法としては、例えば特許文献1に示すようなものが知られている。こうした法面の補強方法では、まず、中央部に貫通孔を有するプレキャスト板本体を法面に設置した後、貫通孔から法面に削孔して有底の削孔部を形成する。続いて、削孔部に棒状補強材を挿入した後、削孔部内にグラウト材を注入する。この場合、削孔部内にグラウト材を注入した後、削孔部に棒状補強材を挿入するようにしてもよい。
続いて、削孔部内に注入したグラウト材を養生して硬化させた後、棒状補強材の突端部に形成されたねじ部に座金をかませた状態でナットを螺嵌して締め付ける。これにより、プレキャスト板本体が法面に固定されて法面が補強される。
特開2012−246705号公報
ところで、上述のような法面の補強方法では、通常、ナットは人力によって締め付けられる。このため、例えば、法面の補強工事の効率化を図るべくグラウト材の材齢が1日でナットを締め付ける場合に、当該ナットが過剰に締め付けられると、例えば削孔部に対するグラウト材の付着状態が崩れる等して法面の強度が低下してしまうという問題がある。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、法面の強度が低下することを抑制することが可能な法面の補強方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する法面の補強方法は、貫通孔を有する板部材を法面に配置する工程と、前記法面に有底の孔を形成する工程と、前記孔に棒部材を挿入する工程と、前記孔に注入材を注入する工程と、前記棒部材における前記孔外に位置する突端部に形成されたねじ部に前記貫通孔よりも大きい座金をかませた状態でナットを螺嵌して締め付けることで、前記板部材を前記法面に押し付けて固定する工程とを備え、前記ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の前記棒部材の軸力が少なくとも前記注入材と前記孔との摩擦抵抗力を含む前記軸力に対する対抗力以下となるように、設定した。
この構成によれば、ナットの締め付け力の上限値が設定されているため、当該ナットを締め付けた際に例えば孔に対する注入材の付着状態が崩れる等という事態の発生を抑制できるので、法面の強度が低下することを抑制することが可能となる。なお、本明細書において、「法面」とは斜面だけでなく鉛直面も含むものとする。
上記法面の補強方法において、前記ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の前記棒部材の軸力が前記注入材と前記孔との摩擦抵抗力以下となるように、設定することが好ましい。
この構成によれば、多くの場合、軸力に対して複数の対抗力が存在する状態では当該各対抗力のうち注入材と孔との摩擦抵抗力が最小値となる。このため、ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の棒部材の軸力が注入材と孔との摩擦抵抗力以下となるように設定することで、当該ナットを締め付けた際に孔に対する注入材の付着状態が崩れることを効果的に抑制することができる。したがって、法面の強度が低下することを抑制することが可能となる。
上記法面の補強方法において、前記軸力に対する対抗力には、前記棒部材と前記注入材との付着力が含まれることが好ましい。
この構成によれば、軸力に対して複数の対抗力が存在する場合において、棒部材と注入材との付着力が最小である場合に、ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の棒部材の軸力が当該付着力以下となるように設定することで、当該ナットを締め付けた際に棒部材と注入材との付着切れの発生を抑制することができる。したがって、法面の強度が低下することを抑制することが可能となる。
上記法面の補強方法において、前記軸力に対する対抗力には、前記棒部材の引っ張りに対する耐力が含まれることが好ましい。
この構成によれば、軸力に対して複数の対抗力が存在する場合において、棒部材の引っ張りに対する耐力が最小である場合に、ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の棒部材の軸力が当該耐力以下となるように設定することで、当該ナットを締め付けた際に棒部材が塑性変形することを抑制することができる。したがって、法面の強度が低下することを抑制することが可能となる。
上記法面の補強方法において、前記板部材と前記法面との間に裏込材を充填する工程をさらに備え、前記軸力に対する対抗力には、前記裏込材の圧縮に対する耐力が含まれることが好ましい。
この構成によれば、軸力に対して複数の対抗力が存在する場合において、裏込材の圧縮に対する耐力が最小である場合に、ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の棒部材の軸力が当該耐力以下となるように設定することで、当該ナットを締め付けた際に裏込材が破壊されることを抑制することができる。したがって、法面の強度が低下することを抑制することが可能となる。
本発明によれば、法面の強度が低下することを抑制することができる。
一実施形態において法面が補強されたときの状態を示す断面模式図。 同法面を補強するための一工程を示す断面模式図。 同法面を補強するための一工程を示す断面模式図。 同法面を補強するための一工程を示す断面模式図。 注入材における材齢と圧縮強度との関係を示すグラフ。 注入材の圧縮強度と、注入材と棒部材との許容付着強度との関係を示すグラフ。 地盤毎の極限周面摩擦抵抗の推定値を示す表。 棒部材の許容引張応力を示す表。 裏込材における材齢と圧縮強度との関係を示すグラフ。 棒部材の軸力に対する対抗力の限界値を示す表。
以下、法面の補強方法の一実施形態を図面に従って説明する。
まず、初めに法面の補強構造について説明する。
図1に示すように、地山(地盤)11に形成された斜面である法面12には、コンクリートのプレキャスト板によって構成された矩形状の板部材13が固定されている。板部材13における地山11とは反対側の面である表面の中央部には、略正方形状をなす凹部14が形成されている。凹部14の中央部には、板部材13を貫通する円形の貫通孔15が形成されている。板部材13には、貫通孔15における凹部14側の端部を囲む金属製の定着プレート16が埋設されている。定着プレート16は、正方形状をなしており、その中心部に貫通孔15よりも径の大きい中心孔16aを有している。
法面12における貫通孔15と対応する位置には、貫通孔15よりも若干径の小さい有底の孔17が法面12に対して垂直に延びるように形成されている。孔17には、貫通孔15を通して異形棒鋼よりなる棒部材18が挿通されている。棒部材18の長さは、孔17の深さよりも長くなっている。
棒部材18は、その一端が孔17の底面近傍に位置するとともに、他端が凹部14内に位置している。棒部材18における孔17外に位置する突端部19には、ねじ部20が設けられている。棒部材18における孔17内に位置する部分には、棒部材18を孔17の中心位置に保持するためのフレーム状のスペーサ21が棒部材18の長手方向に沿って等間隔で複数取着されている。
貫通孔15には、基端に貫通孔15よりも外径の大きいフランジ部22を有する円筒状のガイド部材23が挿嵌されている。ガイド部材23は、先端に向かうほど径が徐々に小さくなっている。そして、ガイド部材23は、その先端部が孔17の入口側の端部に挿嵌されるとともに、基端に位置するフランジ部22が凹部14の底面に当接している。
孔17内及びガイド部材23内には、早強ポルトランドセメントを使用したセメントミルクによって構成された注入材24が充填された状態で硬化している。孔17内における入口付近の一部及びガイド部材23(貫通孔15)内のほぼ上側半分には、硬練りモルタルよりなる充填材25が充填されている。また、凹部14内において、棒部材18のねじ部20には、貫通孔15よりも大きい正方形状をなす座金26がかませられた状態でナット27が螺嵌されて締め付けられている。
座金26の一辺の長さは、貫通孔15の径よりも長く且つガイド部材23のフランジ部22の外径よりも短くなっている。そして、板部材13と法面12との間には、セメントベントナイトよりなる裏込材28が充填されている。また、凹部14内には、略正方形状をなす板状のカバー部材29が配置されている。この場合、カバー部材29の内側の面にはナット27や座金26を収容する収容凹部30が形成され、収容凹部30内、及びカバー部材29と凹部14との間の隙間には、モルタルよりなる充填材31が充填されている。
次に、上述した法面12の補強方法について説明する。
図2に示すように、法面12の補強を行う場合には、まず、板部材13を法面12に配置する。すなわち、板部材13を、法面12との間に隙間が形成されるように隙間形成部材32を介在させた状態で、法面12と平行に配置する。続いて、削孔機(図示略)により、板部材13の貫通孔15を通して法面12に対して垂直に延びるように孔17を形成する。
続いて、図3に示すように、貫通孔15を通してスペーサ21が取着された棒部材18を孔17に挿入する。このとき、スペーサ21により棒部材18が孔17の中心位置に保持される。続いて、孔17に注入材24を注入した後、ガイド部材23を貫通孔15に差し込む。すると、貫通孔15と孔17とがガイド部材23を介して連通する。続いて、ガイド部材23を介して孔17に注入材24を補足注入する。
このとき、孔17は水平面に対して傾斜して延びているため、孔17内における入口付近の一部及びガイド部材23(貫通孔15)内のほぼ上側半分には、注入材24が注入されない空間である非注入部33が形成される。引き続き、板部材13と法面12との隙間に裏込材28を充填する。そして、1日養生して注入材24及び裏込材28を硬化させる。
続いて、図4に示すように、非注入部33に充填材25を充填する。続いて、棒部材18のねじ部20に座金26をかませた状態でナット27を螺嵌して締め付けることで、板部材13を法面12に押し付けて固定する。このとき、ナット27は、その締め付け力が後述する上限値を超えないように、締め付けられる。さらに、このとき、座金26によって貫通孔15がガイド部材23越しに塞がれる。すなわち、座金26によってガイド部材23におけるフランジ部22側の開口が塞がれる。
続いて、図1に示すように、収容凹部30に充填材31を充填するとともに内側の面に充填材31を塗布したカバー部材29を凹部14内に収容する。このとき、棒部材18の突端及びナット27は、カバー部材29の収容凹部30内に充填された充填材31にめり込んだ状態となる。その後、充填材31が硬化することで、法面12の補強が完了する。
なお、本実施形態では、棒部材18及び硬化した注入材24により補強材34が構成されている。
次に、ナット27の締め付け力の上限値の設定方法について説明する。
ナット27を締め付けると、棒部材18に軸力Fが生じる。この軸力Fは、以下の式(1)で計算できる。
=T/(k×d)・・・・・式(1)
式(1)において、Tはナット27の締め付けトルク値(N・m)、kはトルク係数(本実施形態では実験値から0.2とされている)、dは棒部材18のねじ部20のねじ径(m)である。
また、本実施形態の法面12の補強方法では、棒部材18としてJIS G 3112における材質SD345のD25、D29、及びD32の3種類の異形棒鋼が使用される。D25、D29、及びD32の異形棒鋼のねじ径dは、それぞれM24、M27、及びM30である。したがって、例えば、ナット27の締め付けトルク値Tが100N・mで、棒部材18としてD25の異形棒鋼を使用した場合の軸力Fは、式(1)から100/(0.2×0.024)=20.8kNとなる。
そして、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fに対する対抗力としては、(A)棒部材18と注入材24との付着力F、(B)注入材24と孔17(地盤)との摩擦抵抗力F、(C)棒部材18の引っ張りに対する耐力F、及び(D)裏込材28の圧縮に対する耐力Fの4つが挙げられる。
したがって、ナット27の締め付け力の上限値を算定するためには、上記対抗力(A)〜(D)を考慮する必要がある。すなわち、補強材34を壊さずにナット27に付与できる締め付け力は、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fが上記対抗力(A)〜(D)のうちで最も小さい力と同じであるときに最大(上限)となる。つまり、補強材34を壊さずにナット27に締め付け力を付与する場合には、当該締め付け力を、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fが上記対抗力(A)〜(D)のうちで最も小さい力以下に設定する必要がある。
そこで、以下、棒部材18として上述の材質SD345のD25の異形棒鋼を使用した場合の上記対抗力(A)〜(D)を順次求める。
[(A)棒部材18と注入材24との付着力Fの算出]
早強ポルトランドセメント1225kg/mと水609.5kg/mとを配合した注入材24について、室内試験(養生温度20±2℃、水中養生)により、材齢の経過に伴う圧縮強度(N/mm)を測定した。結果を図5のグラフに示す。図5のグラフから注入材24の24時間経過後の圧縮強度は、12.9N/mmであった。
また、図6のグラフには、注入材24の圧縮強度と、注入材24と棒部材18との許容付着強度Jとの関係が示されている。材齢24時間経過後の注入材24の圧縮強度は図5のグラフから12.9N/mmであるため、注入材24と棒部材18との許容付着強度J(N/mm)は図6のグラフから1.0N/mmとなる。そして、棒部材18と注入材24との付着力Fは、以下の式(2)で計算できる。
=L×J×π×d・・・・・式(2)
式(2)において、Lは補強材34の長さ(mm)、dは棒部材18の外径(mm)である。そして、本実施形態において、Lの最小長は3m(3〜10m)であり、棒部材18(D25の異形棒鋼)の外径dは25.4mmである。したがって、対抗力(A)である棒部材18と注入材24との付着力Fは、式(2)から3000×1.0×3.14×25.4=239.3kNとなる。
[(B)注入材24と孔17(地盤)との摩擦抵抗力Fの算出]
注入材24と孔17(地盤)との摩擦抵抗には、注入材24の強度発現の程度が影響する。ここでは、注入材24における材齢28日に要求される圧縮強度の最小値24.0N/mmと上述の材齢1日(24時間)の圧縮強度との比12.9/24.0=0.54より、極限周面摩擦抵抗の値を与える。具体的には、図7の表から、砂礫もしくは砂のN値10を用いる。N値は、地盤の硬さを示す値であり、数が大きいほど地盤が硬くなる。
そして、注入材24と孔17(地盤)との摩擦抵抗力Fは、以下の式(3)で計算できる。
=L×R×π×d・・・・・式(3)
式(3)において、Lは補強材34の長さ(mm)、Rは極限周面摩擦抵抗値(N/mm)、dは補強材34の外径(mm)である。そして、本実施形態において、Lの最小長は3m(3〜10m)であり、最小値となる砂礫もしくは砂のN値10の材齢1日における極限周面摩擦抵抗値は0.54×0.08=0.043N/mmであり、補強材34の外径は90mmである。したがって、対抗力(B)である注入材24と孔17(地盤)との摩擦抵抗力Fは、式(3)から3000×0.043×3.14×90=36.5kNとなる。
[(C)棒部材18の引っ張りに対する耐力Fの算出]
法面12の施工時における棒部材18の引っ張りに対する耐力Fは、以下の式(4)で計算できる。
=H×π×d /4・・・・・式(4)
式(4)において、Hは棒部材18(D25の異形棒鋼)の許容引張応力(N/mm)であり、dは上述したように棒部材18(D25の異形棒鋼)のねじ部20のねじ径(mm)である。そして、本実施形態において、施工時の許容引張応力Hは図8の表から300N/mmであり、棒部材18(D25の異形棒鋼)のねじ部20のねじ径dは24mmである。したがって、対抗力(C)である棒部材18の引っ張りに対する耐力Fは、式(4)から300×3.14×24/4=135.6kNとなる。
[(D)裏込材28の圧縮に対する耐力Fの算出]
早強ポルトランドセメント800kg/mとベントナイト62.5kg/mと水721kg/mとを配合した裏込材28について、室内試験(養生温度20±2℃、水中養生)により、材齢の経過に伴う圧縮強度(N/mm)を測定した。結果を図9のグラフに示す。図9のグラフから裏込材28の24時間(1日)経過後の圧縮強度Qは、3.53N/mmであった。
そして、通常、裏込材28の圧縮に対する耐力Fは板部材13(横幅1800mm、縦幅1200mm)の面積と裏込材28の圧縮強度Qとの積で求められ、板部材13の全面によって法面12の安定性が確保される。しかしながら、ナット27を締め付けた際には、最初に板部材13の中心部に力が作用するため、板部材13の中心部に埋設された定着プレート16(縦幅280mm、横幅280mm、厚さ12mm、中心孔16aの直径120mm)が最初に裏込材28を圧縮する。
したがって、裏込材28の24時間(1日)経過後の圧縮強度Qは、3.53N/mmであるため、裏込材28の圧縮に対する耐力Fは、以下の式(5)で計算できる。
=S×Q・・・・・式(5)
式(5)において、Sは定着プレート16の面積(mm)であり、Qは裏込材28の圧縮強度である。よって、対抗力(D)である裏込材28の圧縮に対する耐力Fは、式(5)から(280×280−π×60)×3.53=236.8kNとなる。
以上、上記対抗力(A)〜(D)の値(限界値)をまとめたものを、図10の表に示す。図10の表から上記対抗力(A)〜(D)のうちで最も小さい力は、対抗力(B)である注入材24と孔17(地盤)との摩擦抵抗力Fの36.5kNであることが分かる。したがって、ナット27の締め付け力の上限値は、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fが36.5kN以下となるように、設定される。すなわち、棒部材18がD25の異形棒鋼である場合、ナット27の締め付け力(トルク値)の上限値は、式(1)から175.2N・m以下となるように設定される。
同様に、棒部材18がD29の異形棒鋼である場合、ナット27の締め付け力(トルク値)の上限値は197.1N・m以下となるように設定され、棒部材18がD32の異形棒鋼である場合、ナット27の締め付け力(トルク値)の上限値は219N・m以下となるように設定される。
このように、ナット27の締め付け力の上限値を、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fが軸力Fに対する対抗力(A)〜(D)のうちで最も小さい力である対抗力(B)以下、すなわち注入材24と孔17との摩擦抵抗力F以下となるように設定することで、ナット27の締め付け過ぎによる補強材34の破壊が抑制される。したがって、法面12の強度の低下が抑制される。
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
(1)ナット27の締め付け力の上限値は、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fが軸力Fに対する対抗力(A)〜(D)のうちの最小値である対抗力(B)の注入材24と孔17との摩擦抵抗力F以下となるように設定されている。このため、ナット27を締め付けた際に孔17に対する注入材24の付着状態が崩れることを効果的に抑制することができる。したがって、法面12の強度が低下することを抑制することができる。
(2)軸力Fに対する対抗力には、対抗力(A)である棒部材18と注入材24との付着力Fが含まれている。このため、対抗力(A)〜(D)のうちで対抗力(A)の棒部材18と注入材24との付着力Fが最小である場合、ナット27の締め付け力の上限値を、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fが付着力F以下となるように設定することで、ナット27を締め付けた際に棒部材18と注入材24との付着切れの発生を抑制することができる。したがって、法面12の強度が低下することを抑制することができる。
(3)軸力Fに対する対抗力には、対抗力(C)である棒部材18の引っ張りに対する耐力Fが含まれている。このため、対抗力(A)〜(D)のうちで対抗力(C)の棒部材18の引っ張りに対する耐力Fが最小である場合、ナット27の締め付け力の上限値を、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fが耐力F以下となるように設定することで、ナット27を締め付けた際に棒部材18が塑性変形することを抑制することができる。したがって、法面12の強度が低下することを抑制することができる。
(4)軸力Fに対する対抗力には、対抗力(D)である裏込材28の圧縮に対する耐力Fが含まれている。このため、対抗力(A)〜(D)のうちで対抗力(D)の裏込材28の圧縮に対する耐力Fが最小である場合、ナット27の締め付け力の上限値を、ナット27を締め付ける際の棒部材18の軸力Fが耐力F以下となるように設定することで、ナット27を締め付けた際に裏込材28が破壊されることを抑制することができる。したがって、法面12の強度が低下することを抑制することができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・軸力Fに対する対抗力には、必ずしも(D)裏込材28の圧縮に対する耐力Fが含まれる必要はない。
・軸力Fに対する対抗力には、必ずしも(C)棒部材18の引っ張りに対する耐力Fが含まれる必要はない。
・軸力Fに対する対抗力には、必ずしも(A)棒部材18と注入材24との付着力Fが含まれる必要はない。
・板部材13は、木製のものであってもよいし、金属製のものであってもよい。
・裏込材28は省略してもよい。
12…法面、13…板部材、15…貫通孔、17…孔、18…棒部材、19…突端部、20…ねじ部、24…注入材、26…座金、27…ナット、28…裏込材、F…棒部材18と注入材24との付着力、F…注入材24と孔17との摩擦抵抗力、F…棒部材18の引っ張りに対する耐力、F…裏込材28の圧縮に対する耐力、F…軸力。
この構成によれば、軸力に対して複数の対抗力が存在する場合において、裏込材の圧縮に対する耐力が最小である場合に、ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の棒部材の軸力が当該耐力以下となるように設定することで、当該ナットを締め付けた際に裏込材が破壊されることを抑制することができる。したがって、法面の強度が低下することを抑制することが可能となる。
上記課題を解決する法面の補強方法は、貫通孔を有する板部材を法面に配置する工程と、前記法面に有底の孔を形成する工程と、前記孔に棒部材を挿入する工程と、前記孔に注入材を注入する工程と、前記棒部材における前記孔外に位置する突端部に形成されたねじ部に前記貫通孔よりも大きい座金をかませた状態でナットを螺嵌して締め付けることで、前記板部材を前記法面に押し付けて固定する工程と、前記板部材と前記法面との間に裏込材を充填する工程とを備え、前記ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の前記棒部材の軸力が少なくとも前記注入材と前記孔との摩擦抵抗力を含む前記軸力に対する対抗力以下となるように、設定し、前記軸力に対する対抗力には、前記裏込材の圧縮に対する耐力が含まれる。
この構成によれば、ナットの締め付け力の上限値が設定されているため、当該ナットを締め付けた際に例えば孔に対する注入材の付着状態が崩れる等という事態の発生を抑制できるので、法面の強度が低下することを抑制することが可能となる。
また、軸力に対して複数の対抗力が存在する場合において、裏込材の圧縮に対する耐力が最小である場合に、ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の棒部材の軸力が当該耐力以下となるように設定することで、当該ナットを締め付けた際に裏込材が破壊されることを抑制することができる。したがって、法面の強度が低下することを抑制することが可能となる。

Claims (5)

  1. 貫通孔を有する板部材を法面に配置する工程と、
    前記法面に有底の孔を形成する工程と、
    前記孔に棒部材を挿入する工程と、
    前記孔に注入材を注入する工程と、
    前記棒部材における前記孔外に位置する突端部に形成されたねじ部に前記貫通孔よりも大きい座金をかませた状態でナットを螺嵌して締め付けることで、前記板部材を前記法面に押し付けて固定する工程と
    を備え、
    前記ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の前記棒部材の軸力が少なくとも前記注入材と前記孔との摩擦抵抗力を含む前記軸力に対する対抗力以下となるように、設定したことを特徴とする法面の補強方法。
  2. 前記ナットの締め付け力の上限値を、当該ナットを締め付ける際の前記棒部材の軸力が前記注入材と前記孔との摩擦抵抗力以下となるように、設定したことを特徴とする請求項1に記載の法面の補強方法。
  3. 前記軸力に対する対抗力には、前記棒部材と前記注入材との付着力が含まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の法面の補強方法。
  4. 前記軸力に対する対抗力には、前記棒部材の引っ張りに対する耐力が含まれることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の法面の補強方法。
  5. 前記板部材と前記法面との間に裏込材を充填する工程をさらに備え、
    前記軸力に対する対抗力には、前記裏込材の圧縮に対する耐力が含まれることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の法面の補強方法。
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