JP2014221877A - 耐熱性貼着用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境にさらされた後でも、被着体から貼着用シートを剥がした際に、被着体への糊残りが無く剥がせる耐熱性貼着用シートを提供することである。
【解決手段】ポリイミドフィルムの片面(A面)に帯電防止性易接着層、吸着層をこの順に積層した貼着用シートであって、前記帯電防止性易接着層が、ポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントを含有する貼着用シート。また、前記帯電防止性易接着層が、ポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントと架橋剤を含有する貼着用シート。

【選択図】 なし

Description

本発明は、貼り直しが簡単にでき、再剥離時には、わずかな剥離力で簡単に剥離でき、高温環境にさらされた後でも被着体への吸着層の付着、いわゆる糊残りが発生しない耐熱性貼着用シートに関する。
従来、基材上にシリコーン層を設けた貼着用シートが提供されていた。表面が平滑な被着体に簡単に貼着でき、不要の際には、該貼着用シートを被着体への糊残りが無く剥がすことができ、被着体に影響を与えないものであった。この様なシートとしては、基材上にコーターを使ってシリコーン塗工液を塗布し、他方の面に、印刷適正処理の塗工液を塗布した後、シリコーン層面に、剥離シートを密着させて仕上げるものが提案されている。(特許文献1)
また、基材上にシリコーン塗工液を塗布する際、基材に静電気が発生して塗布ムラが生じる問題に対して、基材とシリコーン層の間に帯電防止機能を持った層を設けることにより静電気対策を行い、塗布ムラを対策する貼着用シートが提案されている。(特許文献2)
特開2004−59800 特開2007−145881
前記貼着用シートは、電子部品や基板の製造工程中の保護シートとして用いられる場合があり、これらの工程中では200℃程度の高温環境での加熱処理が行われる。この時、電子部品や基板に貼着している保護シートも同条件下にさらされる事になるが、この様な高温環境にさらされた後でも被着体から保護シートを剥がした際に、被着体への糊残りが無く剥がせる耐熱性の貼着用シートは存在していなかった。
本発明は、上記の問題を解決する為に、高温環境にさらされた後でも、被着体から貼着用シートを剥がした際に、被着体への糊残りが無く剥がせる耐熱性貼着用シートを提供するものである。
第1発明は、ポリイミドフィルムの片面(A面)に帯電防止性易接着層、吸着層をこの順に積層した貼着用シートであって、前記帯電防止性易接着層が、ポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体を含有することを特徴とする貼着用シートである。
第2発明は、前記帯電防止性易接着層中のポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体の含有量が20.0〜100.0重量%であることを特徴とする第1発明に記載の貼着用シートである。
第3発明は、ポリイミドフィルムの片面(A面)に帯電防止性易接着層、吸着層をこの順に積層した貼着用シートであって、前記帯電防止性易接着層が、ポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体と架橋剤を含有することを特徴とする貼着用シートである。
第4発明は、前記帯電防止性易接着層中のポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体の含有量が20.0〜99.9重量%、架橋剤含有量が0.1〜80.0重量%であることを特徴とする第3発明に記載の貼着用シートである。
第5発明は、前記帯電防止性易接着層の膜厚が0.01〜10.0μmであることを特徴とする第1〜4発明のいずれかに記載の貼着用シートである。
第6発明は、前記吸着層が少なくとも1種のシリコーンを架橋させたものからなることを特徴とする第1〜5発明のいずれかに記載の貼着用シートである。
第7発明は、前記ポリイミドフィルムの他の面(B面)に機能層を設けたことを特徴とする第1〜6発明のいずれかに記載の貼着用シートである。
本発明によれば、高温環境にさらされた後でも被着体から貼着用シートを剥がした際に、被着体への糊残りが無く剥がせる耐熱性貼着用シートを提供することができる。
本発明で使用する基材は、高温環境での使用に耐えうる基材が用いられ、取り扱い性、コストの面から考えて、ポリイミドフィルムが使用される。基材の厚みは、通常4〜400μmの範囲のものが用いられ、好ましくは5〜100μmのものが用いられる。
本発明では、基材と吸着層の間に帯電防止性易接着層を設ける。前記帯電防止性易接着層としては、例えば、導電性カーボンブラック、ATO、ITO等の導電性粒子を樹脂に分散したものが挙げられるが、中でもポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体を帯電防止性易接着層に使用した場合、高温環境にさらされた後でも、被着体から貼着用シートを剥がした際に吸着層の被着体への糊残りを生じさせない、耐熱性のある帯電防止性易接着層となることを見出した。
本発明で使用するポリチオフェン系導電性ポリマーとしては、ポリジアルコキシチオフェンやポリアルキレンジオキシチオフェン等が挙げられる。なかでも、以下の構造で示される反復構造単位から成る陽イオン形態のポリチオフェンが好ましい。
Figure 2014221877
ここで、RおよびRは、相互に独立していて、水素原子、C1−4のアルキル基、あるいはRおよびRが一緒になって形成され、置換又は置換されていないC1−4のアルキレン基を表す。
1−4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
およびRが一緒になって形成され、置換又は置換されていないC1−4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基、1−エチル−1,2−エチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、さらには1,2−エチレン基がより好ましい。よって本発明におけるポリチオフェン系導電性ポリマーとしては、1,2−エチレン基を持つポリチオフェンであるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
本発明に用いられるドーパントは、前記のポリチオフェン系導電性ポリマーとイオン対をなすことにより複合体を形成し、導電性を発現させるものが選ばれる。
このようなドーパントとしては、カルボン酸ポリマー類(例えばポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸等)、スルホン酸ポリマー類(例えばポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸等)が挙げられる。なかでも、ポリスチレンスルホン酸を用いることが好ましい。
帯電防止性易接着層の表面抵抗値は、1×1012Ω/□を超える場合、帯電防止機能が十分でなく、吸着層塗工液を塗布する際、基材に静電気が発生して塗布ムラが生じる可能性が高くなる。従って帯電防止性易接着層の表面抵抗値は、1×1012Ω/□以下となるよう調整する必要がある。さらには1×10Ω/□以下であることが好ましい。
したがって、前記帯電防止性易接着層におけるポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体の含有量は20〜100.0重量%であることが好ましく、60〜100.0重量%であることがより好ましい。ポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体の含有量が20.0重量%未満では、導電性が悪くなるため帯電防止性能が低下する。
前記帯電防止性易接着層には、導電性、耐熱性を阻害しない範囲で、基材との密着性を向上する樹脂を添加してもよい。この様な樹脂としては、アクリルポリオールやアクリルポリエステル等が挙げられる。
前記帯電防止性易接着層における樹脂の含有量は、80.0重量%以下であることが好ましく、40.0重量%以下であることがより好ましい。樹脂の含有量が80.0重量%を超えると、導電性が悪くなるため帯電防止性能が低下する。
前記帯電防止性易接着層は、架橋剤を添加することで基材との密着性がさらに向上する。架橋剤としては公知の架橋剤が適宜使用できるが、耐熱性を考慮するとメラミン系樹脂が好ましい。
前記帯電防止性易接着層における架橋剤含有量は、0.1〜80.0重量%であることが好ましく、0.1〜40.0重量%であることがより好ましい。架橋剤含有量が80.0重量%を超えると、導電性が低下し、帯電防止性能が低下する。
架橋剤含有量が0.1重量%未満だと、基材との密着性の向上が見られない。
帯電防止性易接着層の厚みは、0.01〜10.0μmの範囲が好ましく、0.05〜7.0μmの範囲がより好ましい。帯電防止性易接着層の厚みが0.01μm未満であると、導電性が低下し、帯電防止性能が低下する。帯電防止性易接着層の厚みが10.0μmを超えると、吸着層のシリコーンの架橋反応を阻害し、高温にさらされた後、被着体から貼着用シートを剥がした際に糊残りが生じやすくなる。
本発明の吸着層は、粘着性、自己粘着性、吸着性等の機能を有した層である。用いられる樹脂としては、例えばポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、塩ビ系、ウレタン系、シリコーン系等が挙げられる。中でも高温環境での使用を考慮すると、シリコーン樹脂が好ましい。
シリコーンを使用した吸着層としては、例えば両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、末端にのみビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンとから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを架橋させてからなるものを用いることができる。
特に好ましいシリコーン樹脂としては、下記一般式(化2)で表せられる、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。
Figure 2014221877
(式中Rは下記有機基、nは整数を表す)
Figure 2014221877
(式中Rは下記有機基、n、mは整数を表す)
このビニル基以外のケイ素原子に結合した有機基(R)は異種でも同種でもよいが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、などのアリール基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した同種又は異種の非置換又は置換の脂肪族不飽和基を除く1価炭化水素基で好ましくはその少なくとも50モル%がメチル基であるものなどが挙げられるが、このジオルガノポリシロキサンは単独でも2種以上の混合物であってもよい。
両末端および側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンは、上記一般式(化2)中のRの一部がビニル基である化合物である。末端にのみビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンは上記一般式(化2)で表せられる化合物である。末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン上記一般式(化3)中のRの一部がビニル基である化合物である。
ここで架橋反応に用いる架橋剤は公知のものでよい。架橋剤の例として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するものであるが、実用上からは分子中に2個の≡SiH結合を有するものをその全量の50重量%までとし、残余を分子中に少なくとも3個の≡SiH結合を含むものとすることがよい。
架橋反応に用いる白金系触媒は公知のものでよく、これには塩化第一白金酸、塩化第二白金酸などの塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物あるいは塩化白金酸と各種オレフィンとの鎖塩などがあげられる。架橋反応したシリコーン層は、シリコーンゴムのような柔軟性を持ったものとなり、この柔軟性が被着体との吸着を容易にさせるものである。
吸着層の厚みは、1.1〜100μmが好ましい。さらに好ましくは、1.1〜50μmである。吸着層の厚みが1.1μm未満であると、被着体に密着しにくくなり、被着体に対する貼着用シートの剪断力が1.0N/cm未満となり、長期貼着時に、貼着用シート糊残りが発生する場合がある。吸着層の厚みが100μmを超えると、シリコーンの使用量が多くなりコスト上不経済となる。
帯電防止性易接着層、吸着層の塗工液の塗工方法としては、ロールコーター、グラビアコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーター等が適宜使用される。
機能層としては基材に帯電防止性易接着層、吸着層を積層した面(A面)の反対面(B面)に機能性材料を含有した層を設けることができ、機能性材料として、例えば紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、導電化剤、磁性体、制電化剤、消臭剤、脱臭剤、抗菌剤、印刷受容性材料、インクジェットインク受容性材料、親水性剤、防曇性剤、撥水剤、耐スクラッチ性材料、熱伝導性剤等が挙げられる。これらの機能性材料を含有した機能層は、貼着用シートに紫外線遮断性、赤外線遮断性、電磁波遮断性、制電性、導電性、消臭性、脱臭性、抗菌性、印刷性、インク受容性、親水性、防曇性、撥水性、耐スクラッチ性、熱伝導性等の機能を与えることができる。また、これらの機能は1つの貼着シートに複数設けても良い。
本発明を、以下の実施例1〜17、比較例1〜3を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
[帯電防止性易接着層の形成]基材に厚み38μmのポリイミドフィルムを使用し、その片面(A面)に、表1〜3に示す樹脂、帯電防止剤、架橋剤、分散剤の中から構成される処方に、適量の溶媒を加えて塗工液を作製し、乾燥後の膜厚が表1〜3の膜厚になるように塗工し、乾燥して実施例1〜17、比較例1〜3の帯電防止性易接着層を形成した。
[吸着層の形成]前記実施例1〜17、比較例1〜3の帯電防止性易接着層の上に、下記処方の塗工液を塗工し、150℃、100秒間加熱して塗工液を架橋させて、厚さ15μmの吸着層を形成することにより貼着用シートを得た。
吸着層処方
シリコーン(両末端のみにビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサン) 98部
白金触媒 2部
合計 100部
帯電防止性評価
ポリイミドフィルム上に形成した帯電防止性易接着層の表面抵抗率を、表面抵抗率測定器(日置電機(株)製SM−8220型超絶縁計+SME−8311型平板試料用電極)を用いて測定し、次の基準により評価した。
◎:表面抵抗率が1×10未満
○:表面抵抗率が1×10以上〜1×1012Ω/□以下
×:表面抵抗率が1×1012Ω/□を超える
ポリイミドフィルムとの密着性評価
ポリイミドフィルム上に形成した帯電防止性易接着層を指擦りして、ポリイミドフィルムとの密着性を目視観察し、次の基準により評価した。
◎:指擦り50回で、ポリイミドフィルムからの脱落無し
○:指擦り10回以上、50回未満でポリイミドフィルムから脱落有り。
×:指擦り10回未満で、ポリイミドフィルムからの脱落有り。
耐熱性評価
ポリイミドフィルム上に帯電防止性易接着層、吸着層を積層し、作製した貼着用シートを厚み38μmのポリイミドフィルムと貼合し、200℃2時間の加熱処理を行った後、貼着用シートを剥離して、厚み38μmのポリイミドフィルム上への吸着層の糊残りを目視観察し、次の基準により評価した。
◎:糊残り無し
○:軽微に糊残りが生じる
×:糊残り有り
貼着用シートの帯電防止性易接着層処方および各評価結果を表1〜表3にまとめた。
Figure 2014221877
Figure 2014221877
Figure 2014221877

Claims (7)

  1. ポリイミドフィルムの片面(A面)に帯電防止性易接着層、吸着層をこの順に積層した貼着用シートであって、前記帯電防止性易接着層が、ポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体を含有することを特徴とする貼着用シート。
  2. 前記帯電防止性易接着層中のポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体の含有量が20.0〜100.0重量%であることを特徴とする請求項1に
    記載の貼着用シート。
  3. ポリイミドフィルムの片面(A面)に帯電防止性易接着層、吸着層をこの順に積層した貼着用シートであって、前記帯電防止性易接着層が、ポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体と架橋剤を含有することを特徴とする貼着用シート。
  4. 前記帯電防止性易接着層中のポリチオフェン系導電性ポリマーとドーパントとの複合体の含有量が20.0〜99.9重量%、架橋剤含有量が0.1〜80.0重量%であることを特徴とする請求項3に記載の貼着用シート。
  5. 前記帯電防止性易接着層の膜厚が0.01〜10.00μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の貼着用シート。
  6. 前記吸着層が少なくとも1種のシリコーンを架橋させたものからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貼着用シート。
  7. 前記ポリイミドフィルムの他の面(B面)に機能層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の貼着用シート。
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