JP6417553B2 - 自己貼着生フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、平滑面を有する被着体に貼ったり剥がしたりするリワーク性が可能な、基材フィルム上にシリコーン層を設けた自己貼着性フィルムに関するもので、その用途は、電子部品や液晶等の表示画面の保護フィルム、ウインドウ用保護フィルム、その他産業上広い分野で使用されるシール材、クッション材等である。
従来、基材上にシリコーン層を設けた貼着用シートが提供されていた。表面が平滑な被着体に簡単に貼着でき、不要の際には、前記貼着用シートを被着体への糊残りが無く剥がすことができ、被着体に影響を与えないものであった。この様なシートとしては、基材上にコーターを使ってシリコーン塗工液を塗布し、他方の面に、印刷適正処理の塗工液を塗布した後、シリコーン層面に、剥離シートを密着させて仕上げるものが提案されている。(特許文献1)しかしながら、プラスチックからなる基材とシリコーン層とはなじみが低く、使用中に基材とシリコーン層との界面で剥がれてしまう問題があった。
そのため、基材とシリコーン層との接着性を向上させる目的として、プラスチックからなる基材の表面をコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火炎処理等活性線で処理したり、さらに前記の目的に加えて、基材上にシリコーン塗工液を塗布する際、基材に静電気が発生して塗布ムラが生じる問題に対して、基材とシリコーン層の間に帯電防止機能を持った易接着層を設けることにより静電気対策を行い、塗布ムラを対策する貼着用シートが提案されている。(特許文献2)
しかしながら、前記の貼着用シートにおいては、シリコーン層を塗布・乾燥する加熱処理工程において、前記基材のオリゴマー成分が、前記帯電防止性易接着層を通過し、さらに架橋密度の低いシリコーン層の表面にまで移行してしまう。この状態で前記貼着用シートを被着体に貼合し高温処理すると、前記のオリゴマー成分が被着体を汚染し、液晶等の表示画面の視認性が低下してしまうなどの不具合が発生したりした。また、長期間使用時にも同様の問題が起こることがあった。
特開2004−59800号公報 特開2007−145881号公報
本発明は、上記の問題点を解決するために、基材と吸着層との接着性が良好であり、かつ自己貼着性フィルムを被着体に貼合し、高温処理したり、長期間使用した場合であっても、基材のオリゴマー成分が被着体を汚染せず、液晶等の表示画面の視認性が低下してしまうことのない自己貼着性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題点に鑑み、基材フィルムの少なくとも片面に、易接着層、吸着層を順次積層した自己貼着性フィルムにおいて、前記易接着層をポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体を主成分として含有してなるものとすることにより、前記吸着層を塗布・乾燥する加熱処理工程あるいは長期間経過後において、前記易接着層がポリエステル基材のオリゴマー成分の移行をブロックし、前記吸着層の表面側まで移行することを防止する効果を有するという知見を得た。その結果、自己貼着性フィルムを被着体に貼合し、高温処理したり、長期間使用した場合であっても、前記基材のオリゴマー成分が前記被着体を汚染せず、液晶等の表示画面の視認性が低下することを抑制することができるという本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
第1発明は、二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材の少なくとも片面に、易接着層、吸着層を順次積層した自己貼着性フィルムにおいて、前記易接着層が、ポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体を含有してなり、前記吸着層が、ビニル基とSiH基とのヒドロキシル化反応により架橋して得られる、ポリオルガノシロキサンからなるとともに、前記自己貼着性フィルムを厚さ3mmのソーダガラス板に貼着した積層体を、100℃で1時間保存し、前記自己貼着性フィルムを剥離した後の前記ガラス板表面のヘイズ値と、保存前のガラス板表面のヘイズ値との変化量が0.15%以下であることを特徴とする自己貼着性フィルムである。
第2発明は、前記ポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、ポリスチレンスルホン酸との複合体(PEDOT/PSS)であることを特徴とする第1発明に記載の自己貼着性フィルムである。
第3発明は、前記ポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体を20.0〜100.0重量%含有することを特徴とする第1発明または第2発明に記載の自己貼着性フィルムである。
第4発明は、前記易接着層の膜厚が0.05〜5.0μmであることを特徴とする第1発明〜第3発明のいずれかに記載の自己貼着性フィルムである。
第5発明は、前記吸着層が、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンと、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンと、末端にのみビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンと、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンとから選ばれる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを架橋させたものからなることを特徴とする第1発明〜第4発明のいずれかに記載の自己貼着性フィルムである。
第6発明は、前記基材フィルムの他方の面に機能層を設けたことを特徴とする第1発明〜第5発明のいずれかに記載の自己貼着性フィルムである。
本発明によれば、基材フィルムの少なくとも片面に、易接着層、吸着層を順次積層した自己貼着性フィルムにおいて、前記易接着層をポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体を主成分として含有してなるものとすることにより、前記吸着層を塗布・乾燥する加熱処理工程あるいは長期間経過後において、前記易接着層がポリエステル基材のオリゴマー成分の移行をブロックし、前記吸着層の表面側まで移行させない。その自己貼着性フィルムを被着体に貼合し、高温処理したり、長期間使用した場合であっても、前記基材のオリゴマー成分が前記被着体を汚染せず、液晶等の表示画面の視認性が低下することを抑制できる自己貼着性フィルムを提供することができるものである。
(基材フィルム)
本発明で使用する基材としては、例えば吸着層の熱架橋時の取り扱い性、コストの面から二軸延伸されたポリエステルフィルムが好ましい。基材フィルムの厚みは、通常4〜400μmの範囲のものが用いられ、好ましくは5〜100μmのものが用いられる。
前記ポリエステルフィルムとして、その表面を活性線で処理したポリエステルフィルムを使用することができる。活性線による処理方法としては、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火炎処理等が例示される。
(易接着層)
本発明では、基材フィルムとシリコーン層の間に易接着層を設ける。前記易接着層としては、ポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体を使用することが好ましい。
本発明で使用するポリチオフェン系ポリマーとしては、ポリジアルコキシチオフェンやポリアルキレンジオキシチオフェン等が挙げられる。なかでも、以下の構造で示される反復構造単位から成る陽イオン形態のポリチオフェンが好ましい。
Figure 0006417553
ここで、RおよびRは、相互に独立していて、水素原子、C1−4のアルキル基、あるいはRおよびRが一緒になって形成され、置換又は置換されていないC1−4のアルキレン基を表す。
1−4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
およびRが一緒になって形成され、置換又は置換されていないC1−4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基、1−エチル−1,2−エチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、さらには1,2−エチレン基がより好ましい。よって本発明におけるポリチオフェン系導電性ポリマーとしては、1,2−エチレン基を持つポリチオフェンであるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
本発明に用いられるポリ陰イオンは、前記のポリチオフェン系ポリマーとイオン対をなすことにより複合体を形成し、導電性を発現させ、かつオリゴマーブロック機能を有するものが選ばれる。
このようなポリ陰イオンとしては、カルボン酸ポリマー類(例えばポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸等)、スルホン酸ポリマー類(例えばポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸等)が挙げられる。なかでも、ポリスチレンスルホン酸を用いることが好ましい。
より好ましいポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンの複合体としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体であるPEDOT/PSSが挙げられる。
本発明の易接着層は、基材フィルムのオリゴマー成分のブロック機能を有していると共に、帯電防止機能を有していることが好ましい。帯電防止機能が十分でない場合、吸着層として、シリコーン樹脂塗工液を塗布する際、基材フィルムに静電気が発生して塗布ムラが生じる可能性が高くなるからである。
前記易接着層におけるポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体の含有量は20〜100.0重量%の範囲であることが好ましく、60〜100.0重量%の範囲であることがより好ましい。前記複合体の含有量が20.0重量%未満では、基材フィルムのオリゴマー成分のブロック機能が低下してしまう。
前記易接着層には、導電性、耐熱性を阻害しない範囲で、基材フィルムとの密着性を向上させる目的で樹脂を含有させることが好ましい。この様な樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
前記易接着層に含有されるポリエステル系樹脂は特に制限されないが、水溶性ポリエステル系ポリマーあるいは水分散性ポリエステル系ポリマーであることが好ましい。即ち、水もしくは、多少の有機溶剤を含有する水に可溶であるか、または分散させることが可能なポリエステルであることが好ましい。
このようなポリエステル系樹脂は、例えば、以下に示す多塩基酸とポリオールとからなるポリエステルとから形成されるが、特にこれらに限定されない。
前記ポリエステル系樹脂を形成し得る多塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などを挙げることができる。なかでも、これら酸成分を2種類以上含有する共重合ポリエステルが好ましい。なお、若干量であればマレイン酸、イタコン酸などの不飽和多塩基酸成分や、p−ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸が含まれていてもよい。
ポリエステル樹脂を形成し得るポリオールとしては、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロパンなどが挙げられる。ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなども利用可能である。
本発明において用いられるポリウレタン系樹脂は特に制限はないが、水溶性ポリウレタン系ポリマーあるいは水分散性ポリウレタン系ポリマーであることが好ましい。即ち、水もしくは、多少の有機溶剤を含有する水に可溶であるか、または分散させることが可能なポリウレタンであることが好ましい。
このようなポリウレタン系樹脂は、例えば、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン系樹脂を使用することができる。多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、およびヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナートが挙げられる。ヒドロキシル基含有化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールなどが挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂以外に含有され得る樹脂は特に限定されないが、アクリル系樹脂などが好適に用いられる。アクリル系樹脂としては、アクリル系の単独重合体および共重合体が用いられる。
アクリル系樹脂の具体例としては、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、アミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの樹脂が挙げられる。
前記易接着層における上記樹脂の含有量は、80.0重量%以下であることが好ましく、40.0重量%以下であることがより好ましい。樹脂の含有量が80.0重量%を超えると、ポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体の含有量が相対的に低下してしまい、基材フィルムのオリゴマー成分のブロック機能が低下してしまう。
前記易接着層は、架橋剤を添加することで基材との密着性がさらに向上する。架橋剤としては公知の架橋剤が適宜使用できるが、耐熱性を考慮するとメラミン系樹脂が好ましい。
前記易接着層における架橋剤含有量は、0.1〜80.0重量%の範囲であることが好ましく、0.1〜40.0重量%の範囲であることがより好ましい。架橋剤含有量が80.0重量%を超えると、前記易接着層の層強度が低下したり、基材フィルムのオリゴマー成分のブロック機能が低下する。架橋剤含有量が0.1重量%未満だと、基材との密着性が低下する。
前記易接着層に用いる溶剤の種類は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記易接着層の厚みは、0.05〜5.0μmの範囲が好ましく、0.10〜2.0μmの範囲がより好ましい。前記易接着層の厚みが0.05μm未満であると、基材フィルムのオリゴマー成分のブロック機能が低下してしまう。前記易接着層の厚みが5.0μmを超えると、吸着層の架橋反応を阻害し、高温に晒された後、被着体から自己貼着性フィルムを剥がした際に、被着体上に吸着層が一部残ってしまう、いわゆる糊残りが生じやすくなる。
前記易接着層は、基材フィルムにおけるオリゴマー成分の、表面側への移行を防止する目的で、前記基材フィルムに前記易接着層、吸着層を積層した面(A面)の反対面(B面)にもオリゴマーブロック層として設けることができる。
(オリゴマー移行性評価)
本発明において、基材フィルムのオリゴマー成分の移行性評価は、被着体としてソーダガラス板に自己貼着性フィルムを貼合し、100℃の環境下で1時間保存した後、前記自己貼着性フィルムを剥離し、前記ソーダガラス板表面に移行したオリゴマー成分を、保存後の前記ソーダガラス板単体表面のヘイズ値の変化量で評価する。
(吸着層)
本発明の吸着層は、自己貼着性フィルムをディスプレイパネルの情報表示画面等の被着体に貼り付けた後には、経時でずれたりすることなく密着しているが、前記自己貼着性フィルムを貼り直したり、前記被着体から取り外したりする場合には、容易に再剥離することが可能なものである。
本発明の吸着層を形成するための材料としては、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。
上記の中でも、本発明の吸着層を形成するための材料としては、シリコーン系樹脂であることが好ましい。シリコーン系樹脂は、透明性、耐久性に極めて優れているとともに柔軟性を有しているので、ディスプレイパネルの情報表示画面等の被着体への密着性に優れているからである。
本発明の吸着層に用いるシリコーン系樹脂の性状としては、透明性が高く、ゴムのような柔軟性を持っていて被着体の表面に対しても、吸着層の面が被着体表面に沿うことが求められる。さらに剥離の際には、小さい剥離力で、容易に剥離できることが求められる。また、少なくとも厚み10μm以上で、目付け加工の方法を用いることなく、塗布及び加熱処理だけで架橋吸着層を設けるためには、シリコーン組成物の硬化反応に際して、白金触媒等のもとで、150℃以下の低温短時間で深部まで架橋し、透明で耐熱性、圧縮永久歪み特性に優れかつ低粘度で液状タイプである、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンと架橋剤としてSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応により熱架橋する付加反応型液状シリコーン組成物の使用が好ましい。
1分子中に2個以上のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンとしては、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサンと、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサンと、末端にのみビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンと、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンとから選ばれる少なくとも1種を用いると良い。
これらのジオルガノポリシロキサンの1形態としては、下記一般式(化2)で表せられる、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。
Figure 0006417553
(式中Rは下記有機基、nは整数を表す)
Figure 0006417553
(式中Rは下記有機基、n、mは整数を表す)
このビニル基以外のケイ素原子に結合した有機基(R)は異種でも同種でもよいが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、などのアリール基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した同種又は異種の非置換又は置換の脂肪族不飽和基を除く1価炭化水素基で好ましくはその少なくとも50モル%がメチル基であるものなどが挙げられるが、このジオルガノポリシロキサンは単独でも2種以上の混合物であってもよい。
両末端および側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンは、上記一般式(化2)中のRの一部がビニル基である化合物である。末端にのみビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンは上記一般式(化2)で表せられる化合物である。末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンは、上記一般式(化3)中のRの一部がビニル基である化合物である。
1分子中に2個以上のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンの重量平均分子量としては、20,000〜700,000の範囲のものが好ましい。前記のジオルガノポリシロキサンの重量平均分子量が20,000未満であると、硬化性が低下したり、被着体への粘着力が低下してしまう。また、700,000を超えてしまうと、組成物の粘度が高くなりすぎて製造時の撹拌が困難になる。
ここで架橋反応に用いる架橋剤の例として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するものであるが、実用上からは分子中に2個の≡SiH結合を有するものをその全量の50重量%までとし、残余を分子中に少なくとも3個の≡SiH結合を含むものとすることがよい。分子の形状としては、直鎖状、分岐状、環状のものを使用できる。
前記アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基(A)に対する、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基(B)のモル比(A)/(B)が1.0〜2.0の範囲となるように配合することが好ましい。モル比(A)/(B)が1.0未満では架橋密度が不足して、これに伴い凝集力、保持力が低くなってしまうことがあり、逆に2.0を超えると架橋密度が高くなり、適度な粘着力及びタック性が得られず、貼着時に気泡の混入も発生しやすくなる。
架橋反応に用いる付加反応触媒は、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニル基含有シロキサン錯体、ロジウム錯体、ルテニウム錯体などが挙げられる。また、これらのものをイソプロパノール、トルエンなどの溶剤や、シリコーンオイルなどに溶解、分散させたものを用いてもよい。架橋反応した吸着層は、シリコーンゴムのような柔軟性を持ったものとなり、この柔軟性が被着体との密着を容易にさせるものである。
前記触媒の添加量は、シリコーン組成物の合計100重量部に対し、貴金属分として5〜2,000ppm、特に10〜500ppmとすることが好ましい。5ppm未満では硬化性が低下し、架橋密度が低くなり、保持力が低下することがあり、2,000ppmを超えると処理浴の使用可能時間が短くなる場合がある。
本発明に係るシリコーンの市販品の形状は、無溶剤型、溶剤型、エマルション型があるが、いずれの型も使用できる。なかでも、無溶剤型は、溶剤を使用しないため、安全性、衛生性、大気汚染の面で非常に利点がある。但し、無溶剤型であっても、所望の膜厚を得るための粘度調節のために、必要に応じてトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、1、4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤、またはこれらの混合溶剤などが使用される。
前記溶剤の添加量は、シリコーン組成物の合計100重量部に対し、20〜1,000重量部、特に25〜900重量部とすることが好ましい。20重量部未満では、吸着層と基材の密着性が低下してする場合があり、1,000重量部を超えると、シリコーン組成物の塗工液の粘度が低くなりすぎるので、塗工後から硬化までの間に、塗工された吸着層が一部流動し、吸着層表面の均一性が低下してしまう。
前述のごとく、吸着層の性状としては、ゴムのような柔軟性を持っていて被着体への貼着時に被着体の表面の凹凸に追従して密着力を確保することが求められる。そして、例えば前記情報表示画面の保護部材として自己貼着性フィルムを使用する場合、吸着層の膜厚は、被着体に対する吸着層の密着面方向の剪断力を確保するために少なくとも10μm以上、通常は10〜50μmが好ましい。本発明の場合、20〜50μmであることがより好ましい。10μm未満であると被着体に対する保護部材の密着面方向の剪断力が確保できず、特に長期貼り付け時には、自己貼着性フィルムが被着体から剥がれ易い。また、吸着層の厚みが50μmを超える場合には、シリコーン組成物の使用量が多くなり、自己貼着性フィルムの製造コストの上昇を招いてしまう。
前記の易接着層、吸着層の塗工液の塗工方法としては、ロールコーター、グラビアコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーター等が適宜使用される。
機能層としては基材に易接着層、吸着層を積層した面(A面)の反対面(B面)に機能性材料を含有した層を設けることができ、機能性材料として、例えば紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、導電化剤、磁性体、制電化剤、消臭剤、脱臭剤、抗菌剤、印刷受容性材料、インクジェットインク受容性材料、親水性剤、防曇性剤、撥水剤、耐スクラッチ性材料、熱伝導性剤等が挙げられる。これらの機能性材料を含有した機能層は、貼着用シートに紫外線遮断性、赤外線遮断性、電磁波遮断性、制電性、導電性、消臭性、脱臭性、抗菌性、印刷性、インク受容性、親水性、防曇性、撥水性、耐スクラッチ性、熱伝導性等の機能を与えることができる。また、これらの機能は1つの貼着シートに複数設けても良い。
本発明を、以下の実施例、比較例を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、各実施例中の「部」は特に断ることのない限り、重量部を示したものである。
(易接着層の形成)
基材に厚み38μmの二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その片面に、表1に示す易接着層塗工液を作製し、乾燥後の膜厚が表3の膜厚になるように塗工し、乾燥して実施例1〜5、参考例6〜7、比較例1〜4の易接着層を形成した。
(吸着層の形成)
前記実施例1〜5、参考例6〜7、比較例1〜4の易接着層の上に、表2に示す各吸着層塗工液を、表3に示す膜厚になるように塗工し、150℃、100秒間加熱して塗工液を架橋させて、吸着層を形成することにより、実施例1〜5、参考例6〜7、比較例1〜4の自己貼着性フィルムを得た。
(吸着層との接着性評価)
各実施例、比較例において、吸着層まで塗工した自己貼着性フィルムを適宜の大きさにカットしたサンプルのシリコーン層面を透明ソーダガラス板に貼着する。このガラス面に対して、カーボンアークを照射した。カーボンアークを100時間照射し、耐光試験後のガラスに貼着したカットサンプルを用意した。次に、カットサンプルのエッジ部を指で擦り、吸着層の剥がれ度合いを下記の基準で評価した。
○: 全く剥がれが生じない。
△: 基材から部分的に剥がれる。
×: 完全に剥がれる。
(オリゴマー移行性評価)
各実施例、比較例において、吸着層まで塗工した自己貼着性フィルムを適宜の大きさにカットしたサンプルのシリコーン層面を、厚さ3mmの透明ソーダガラス板に貼着する。前記の評価用試料を100℃の環境下で1時間保存し、さらに常温(23℃)で、2時間放置した後、前記の自己貼着性フィルムを前記ソーダガラス板から剥離した。測定機器として(株)日本電色工業社製ヘイズメーターNDH−2000を用いて、保存前後の前記ソーダガラス板単体表面のヘイズ値を測定した。
下記の基準にて評価した。
◎:ヘイズ値の変化量が0.10%未満である。
○:ヘイズ値の変化量が0.10以上、0.15%以下である。
×:ヘイズ値が0.15%を超える。
自己貼着性フィルムの易接着層処方、吸着層処方、及び各評価結果を表1〜表3にまとめた。
Figure 0006417553
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Claims (6)

  1. 二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材の少なくとも片面に、易接着層、吸着層を順次積層した自己貼着性フィルムにおいて、前記易接着層が、ポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体を含有してなり、前記吸着層が、ビニル基とSiH基とのヒドロキシル化反応により架橋して得られる、ポリオルガノシロキサンからなるとともに、前記自己貼着性フィルムを厚さ3mmのソーダガラス板に貼着した積層体を、100℃で1時間保存し、前記自己貼着性フィルムを剥離した後の前記ガラス板表面のヘイズ値と、保存前のガラス板表面のヘイズ値との変化量が0.15%以下であることを特徴とする自己貼着性フィルム。
  2. 前記ポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、ポリスチレンスルホン酸との複合体(PEDOT/PSS)であることを特徴とする請求項1に記載の自己貼着性フィルム。
  3. 前記ポリチオフェン系ポリマーとポリ陰イオンとの複合体を20.0〜100.0重量%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自己貼着性フィルム。
  4. 前記易接着層の膜厚が0.05〜5.0μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自己貼着性フィルム。
  5. 前記吸着層が、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンと、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンと、末端にのみビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンと、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンとから選ばれる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを架橋させたものからなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の自己貼着性フィルム。
  6. 前記基材フィルムの他方の面に機能層を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の自己貼着性フィルム。
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