JP2014221502A - サークリップによる組み付け方法、組み付け物、およびサークリップを装着するための案内治具 - Google Patents

サークリップによる組み付け方法、組み付け物、およびサークリップを装着するための案内治具 Download PDF

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Abstract

【課題】サークリップの装着作業を平易化し組み付け作業を簡素化して工数を削減する。【解決手段】アウタ部材100に形成された組み付け穴101にインナ部材200を組み込んでサークリップCで固定する組み付け方法であって、サークリップCが組み付け穴101に形成された内周溝102に装着された状態で、サークリップCにインナ部材200を載置する載置工程と、インナ部材200の内周部203に適合する案内軸33を挿通する案内軸挿通工程と、案内軸33を組み付け穴101の軸方向に合わせて保持した状態で、サークリップCを拡径する拡径工程と、案内軸33の軸方向に沿ってインナ部材200を組み付け穴101に押し込んで移動させながら、インナ部材200の外周部に形成された外周溝204の位置にサークリップCを合わせる位置合わせ工程と、サークリップCを拡径状態から自然状態の径まで縮径させる縮径工程と、を含む。【選択図】図6

Description

本発明は、サークリップによる組み付け方法、組み付け物、およびサークリップを装着するための案内治具に係り、特に、サークリップをアウタ部材に形成された内周溝およびインナ部材に形成された外周溝に装着してインナ部材をアウタ部材に固定するサークリップによる組み付け方法、組み付け物、およびサークリップを装着するための案内治具に関する。
一般に、ピストンピン等の軸部材やベアリング等の軸受けの軸方向の移動を規制して抜け止めを行う締結部材としてサークリップが用いられている(例えば、特許文献1、2)。サークリップは、縮径した状態で内周溝(サークリップ溝)に装着して、サークリップの拡径しようとするばね力により内周溝に保持されるようになっている。
具体的には、ピストンピン等の軸部材の場合には、特許文献1の図9に示されるように、ピン穴4にピストンピン5を挿入してピストンピン5の両端をサークリップ11で規制して抜け止めを行なっている。このサークリップは、ピン穴4の開口両側の周縁に形成された内周溝(サークリップ溝)に装着されている。
また、ベアリング等の軸受けの場合には、特許文献2の図2に示されるように、ユニットベアリング6のアウタレースの両端をサークリップで支持してユニットベアリング6をハウジング2に固定している。このサークリップは、ハウジング2に形成された内周溝(サークリップ溝)に装着されている。
特開2009−83035号公報(図9) 特許第3063456号公報(図2)
しかしながら、軸部材や軸受け等の被締結部材を両側からサークリップで支持してハウジング等の締結部材に固定する場合には、一方のサークリップをハウジングの一方の内周溝に装着した状態で、被締結部材をハウジングに嵌入する工程と、他方のサークリップをハウジングの周溝に装着する工程と、が必要であるため、組み付け作業が煩雑になり工数が増大するという問題があった。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、簡易な案内治具を使用してサークリップの装着作業を平易化し、組み付け作業を簡素化して組み付け工数を削減することができるサークリップによる組み付け方法、組み付け物、およびサークリップを装着するための案内治具を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、アウタ部材に形成された組み付け穴に、内周部と前記組み付け穴に適合する外周部とが形成されたインナ部材を組み込んでサークリップで固定する組み付け方法であって、前記サークリップが前記組み付け穴に形成された内周溝に装着された状態で、当該サークリップに前記インナ部材を載置する載置工程と、前記インナ部材の内周部に適合する案内軸を挿通する案内軸挿通工程と、前記内周部に挿通した前記案内軸を前記組み付け穴の軸方向に合わせて保持した状態で、前記サークリップを拡径する拡径工程と、前記サークリップを拡径した状態で、前記案内軸の軸方向に沿って前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで移動させながら、前記インナ部材の外周部に形成された外周溝の位置に前記サークリップを合わせる位置合わせ工程と、この位置合わせ工程により、前記外周溝の位置に前記サークリップを位置合わせした状態で、前記拡径状態から自然状態の径まで縮径させる縮径工程と、を含み、前記サークリップを前記内周溝および前記外周溝に装着して前記インナ部材を前記アウタ部材に固定することを特徴とする。
請求項1に係る発明は、前記サークリップを前記アウタ部材の内周溝および前記インナ部材の外周溝に装着して、前記インナ部材を前記アウタ部材に固定することで、サークリップをインナ部材の両端に設けなくてもよいため、サークリップの組み付け作業を簡素化して工数を削減することができる。
また、サークリップに前記インナ部材を載置した状態からサークリップを拡径することで、前記インナ部材を水平状態に保持することができるため、円滑に組み付け穴に導入することができる。
そして、前記案内軸の軸方向に沿って前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで移動させることで、インナ部材を組み付け穴の軸方向に沿って正確に移動させることができる。このとき、例えば、作業者は、案内軸の傾斜を微調整することで、インナ部材の移動方向を適宜調整することができるため、こじり等の発生を抑制しながら円滑な組み付け作業を遂行することができる。
このようにして、本発明は、簡易な案内軸を使用してサークリップの装着作業を平易化し、組み付け作業を簡素化して組み付け工数を削減することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のサークリップによる組み付け方法であって、前記位置合わせ工程では、前記案内軸と、前記インナ部材を押し込む押し込み爪と、を備えた案内治具の当該押し込み爪を前記インナ部材に当接させて当該インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで移動させること、を特徴とする。
かかる構成によれば、前記押し込み爪を前記インナ部材に当接させて当該インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで移動させることで、より平易な作業により押し込み爪を案内軸の軸方向に沿って正確に移動させることができるため、組み付け作業を簡素化することができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のサークリップによる組み付け方法であって、前記案内治具は、前記位置合わせ工程における前記サークリップが前記外周溝の位置に合致した状態まで前記押し込み爪が移動すると当該押し込み爪の移動を規制する位置規制手段を備え、前記位置合わせ工程では、前記位置規制手段により前記押し込み爪の移動が規制されるまで前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで位置合わせすること、を特徴とする。
かかる構成によれば、前記位置規制手段により前記押し込み爪の移動が規制されるまで前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで位置合わせすることで、容易に前記インナ部材の外周部に形成された外周溝の位置に前記サークリップを合わせることができるため、平易な作業により確実に位置合わせをすることができる。
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載のサークリップによる組み付け方法であって、前記案内治具は、先端部に前記押し込み爪および前記案内軸が配設された軸部材と、この軸部材を前記案内軸の軸方向に移動自在に案内するガイド部材と、このガイド部材を支持し、前記軸部材が前記組み付け穴の軸方向に移動するように配設される支持部材と、前記押し込み爪が前記インナ部材から離隔する方向に、前記軸部材を付勢する付勢手段と、を備え、前記案内軸挿通工程において、前記案内軸を前記内周部に挿通した状態で、前記ガイド部材を前記支持部材によって支持し、前記位置合わせ工程において、前記軸部材を前記付勢手段の付勢力に抗して軸方向に移動させ、前記押し込み爪により前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで移動させること、を特徴とする。
かかる構成によれば、前記案内軸挿通工程において、前記案内軸を前記内周部に挿通した状態で、前記ガイド部材を前記支持部材によって支持することで、前記案内軸を前記組み付け穴の軸方向に沿って配設することができるため、インナ部材を組み付け穴の軸方向に沿って正確に移動させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のサークリップによる組み付け方法であって、前記アウタ部材は、前記内周部を有する回転体を収容する前記組み付け穴が形成されたハウジングであり、前記インナ部材は、前記回転体を支持する軸受けが外嵌された回転体軸受け部材であること、を特徴とする。
請求項5に係る発明は、サークリップを使用して、前記回転体を支持する軸受けが外嵌された回転体軸受け部材を前記組み付け穴が形成されたハウジングに組み付ける組み付け方法に特に好適に適用することができる。
請求項6に係る発明は、アウタ部材に形成された組み付け穴に、前記組み付け穴に適合する外周部が形成されたインナ部材を組み込んでサークリップで固定した前記アウタ部材と前記インナ部材からなる組み付け物であって、前記サークリップが、前記組み付け穴に形成された内周溝および前記インナ部材の外周部に形成された外周溝に装着されて、前記インナ部材が前記アウタ部材に固定され、前記サークリップは、合い口の端部に形成された操作部が前記内周溝および前記外周溝から露出していること、を特徴とする。
かかる構成によれば、前記サークリップを前記アウタ部材の内周溝および前記インナ部材の外周溝に装着して、前記インナ部材を前記アウタ部材に固定することで、サークリップをインナ部材の両端に設けなくてもよいため、サークリップの組み付け作業を簡素化して工数を削減することができる。
また、前記サークリップは、合い口の端部に形成された操作部が前記内周溝および前記外周溝から露出していることで、サークリップを拡径したり縮径したりする作業が容易である。
請求項7に係る発明は、アウタ部材に形成された組み付け穴に、内周部と前記組み付け穴に適合する外周部が形成されたインナ部材を組み込んでサークリップで固定する際に使用する案内治具であって、前記インナ部材の内周部に適合する案内軸と、この案内軸を前記内周部に挿通した状態で、当該案内軸の軸方向に沿って前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで、前記サークリップが前記外周溝の位置に合致した状態まで当該インナ部材が移動すると、当該インナ部材の移動を規制する位置規制手段と、を備えたことを特徴とするサークリップを装着するための案内治具。
かかる構成によれば、前記サークリップが前記外周溝の位置に合致した状態まで当該インナ部材が移動すると当該インナ部材の移動を規制する位置規制手段を備えたことで、容易に前記インナ部材の外周部に形成された外周溝の位置に前記サークリップを合わせることができるため、平易な作業により確実に位置合わせをすることができる。
本発明に係るサークリップによる組み付け方法、組み付け物、およびサークリップを装着するための案内治具は、簡易な案内治具を使用してサークリップの装着作業を平易化し、組み付け作業を簡素化して組み付け工数を削減することができる。
本発明の第1の実施形態に係る案内治具およびスプロケット等のワークの構成を示す正面図であり、(a)は作業者が案内治具をスプロケットに装着しようとする様子を示す載置工程の一部半断面図、(b)は作業者が案内軸を挿通して案内治具をスプロケットに装着する案内軸挿通工程を示す。 本発明の第1の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法の動作を示す正面一部半断面図であり、(a)は案内軸を挿通した案内軸挿通工程、(b)はサークリップを拡径した拡径工程、(c)はサークリップと外周溝との位置合わせ工程を示す。 本発明の第1の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法の動作を示す正面一部半断面図であり、(a)はサークリップを縮径した縮径工程、(b)は案内治具を取り外して組み付け作業が終了した状態、(c)はサークリップを組み付けた状態を示す(b)のワークを上方から見た平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る案内治具の構成および動作を示す正面断面図であり、(a)は押し込み爪を押し込む前の状態、(b)は押し込み爪を押し込んだ状態を示す。 本発明の第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法の動作を示す正面一部半断面図であり、(a)はスプロケットをサークリップに載置した載置工程を示し、(b)は作業者が案内軸を挿通して案内治具をスプロケットに装着する案内軸挿通工程を示す。 本発明の第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法の動作を示す正面一部半断面図であり、(a)はサークリップを拡径した拡径工程、(b)はサークリップと外周溝との位置合わせ工程を示す。 本発明の第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法の動作を示す正面一部半断面図であり、(a)はサークリップを縮径した縮径工程、(b)は案内治具を取り外して組み付け作業が終了した状態を示す。
本発明の第1の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Aについて、適宜図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。なお、参照する図において、説明の便宜上、スプロケットやミッションケース(以下、区別する事情がない場合には、単体およびユニットを適宜、「ワーク」という。)および案内治具の形状は、概念化して模式的に表示する。また、スプロケットとミッションケースの間に形成される径方向の隙間は、厳格に精度管理されるものであるが、説明の便宜上、誇張して示すものとする。
本発明の第1の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Aは、図1(a)に示すように、作業者Mが案内治具2をアウタ部材であるミッションケース100にインナ部材であるスプロケット200を組み込んでサークリップCで固定する組み付け方法である。第1の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Aは、本発明の請求項1から請求項3に対応する実施形態である。
<サークリップの組み付け状態>
図3(c)は、サークリップCによりスプロケットをミッションケース100に組み付けた状態を示すスプロケットの上方から見た図3(b)の部分拡大平面図である。
サークリップCは、図3(c)に示すように、汎用品であり特に限定されるものではないので詳細な説明は省略するが、円環状で周方向に開口された合い口C1を有するC形状をなした留め具であり、合い口C1の端部には、専用工具のプライヤPを挿入して拡径させるための操作部である目玉状の操作穴C2が形成されている。サークリップCは、径が変化する方向に対してばね力を有し、本実施形態における一人の作業者Mは、プライヤPでばね力に抗して拡径させたり(図2(b)参照)、ばね力を利用して拡径状態から自然状態の径まで縮径(図3(a),(b)参照)させたりすることができる。
<ワークの構成>
スプロケット200は、歯部201aが形成された本体201と、この本体201に外嵌された軸受け202と、本体201に形成された内周部である貫通孔203と、を備えている。
本体201には、回転慣性を低減するために、歯部201aと貫通孔203との間に貫通した軽量穴205が円周方向360度を等配分(例えば3等配)に形成され、この軽量孔205の開口からプライヤPの先端を挿入してサークリップCの操作穴C2を操作することができる。サークリップCは、合い口C1の端部に形成された操作部である目玉状の操作穴C2が内周溝102および外周溝204(図3(b)参照)から露出するように装着されている。
軸受け202は、本体201に圧入されたインナレース202aと、ボール202bを介してインナレース202aに対して回転自在なアウタレース202cと、アウタレース202cの外周部に形成された外周溝204と、を備えている。
ミッションケース100は、スプロケット200が組み付けられる組み付け穴101と、組み付け穴101に形成された内周溝102と、を備えている。また、組み付け穴101には、周方向に開口する切欠部104が形成され、この切欠部104にサークリップCの操作穴C2が来るようにサークリップCが装着されている。
かかる構成により、ワークは、ミッションケース100にスプロケット200を組み付けた状態では、図3(b)に示すように、サークリップCが内周溝102および外周溝204から露出するように装着されているため、作業者Mが容易に操作穴C2を操作して、ミッションケース100にスプロケット200が固定されるようになっている。そして、組み付けた状態では、スプロケット200は、軸受けを介して歯部201aがミッションケース100に対して自在に回転するようになっている。
なお、本実施形態においては、ワークがミッションケース100とスプロケット200である場合について説明するが、これに限定されるものではなく、組み付け穴101が形成されたアウタ部材と外周部が形成されたインナ部材の組み付けに適用することができる。
<案内治具>
案内治具2は、図1(b)に示すように、スプロケット200の貫通孔203(図1(a)参照)に挿通される案内軸21と、案内軸21を保持するホルダ22と、ホルダ22に固定されたスプロケット200(図1(a)参照)を押し込む押し込み爪23と、ホルダ22を支持する支持部24と、支持部24に配設された位置規制手段であるストッパ25と、を備えている。
案内軸21は、大径部21aと小径部21bからなり、大径部21aの下端がホルダ22の上面に当接し、小径部21bの根元側(大径部21a寄りの部分)がホルダ22に挿入されてホルダ22に保持されるようになっている。また、小径部21bの先端側は、スプロケット200の貫通孔203(図1(a)参照)にフィットするように挿入される所定の公差で径が管理されている。
ホルダ22は、案内軸21の小径部21bが挿通されるカラー22aと、カラー22aを支持するベース22bと、ベース22bの下面に配設された押し込み爪23と、を備えている。カラー22aの外周部にはローレットが形成され、作業者M(図1(a)参照)は、カラー22aに案内軸21を挿通した状態で、カラー22aを掴んで案内軸21を垂直に保持する操作がしやすいようになっている。
支持部24は、ホルダ22を固定ねじ24aで固定する支持プレート24bと、支持プレート24bの下面に配設されたストッパ25と、ホルダ22が挿通される開口部24cと、を備えている。
ストッパ25は、図2(c)に示すように、押し込み爪23を押し込んで、サークリップCが軸受け202に形成された外周溝204の位置に合致した状態になるまでスプロケット200が移動すると、ミッションケース100の所定の当接面103に当接して、押し込み爪23の移動を規制するようになっている。
続いて、本発明の第1の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Aの動作について、主として図2と図3を参照しながら説明する。
第1の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Aは、スプロケット200をミッションケース100上に載置する載置工程と、案内軸21をスプロケット200に挿通する案内軸挿通工程と、サークリップCを拡径する拡径工程と、サークリップCの位置を合わせる位置合わせ工程と、サークリップCを縮径させる縮径工程と、を含んでいる。
載置工程は、図1(a)に示すように、サークリップCが組み付け穴101に形成された内周溝102に装着された状態で、サークリップCの上にスプロケット200を載置する工程である。載置工程では、ミッションケース100に対してスプロケット200が水平になるように載置されている。このため、スプロケット200を円滑に組み付け穴101に導入することができる。
案内軸挿通工程では、図2(a)に示すように、作業者M(図1(a)参照)は、ホルダ22を一方の手で保持して案内軸21を垂直にした状態でセンターを出しながら、案内軸21の小径部21b(図1(b)参照)をスプロケット200の貫通孔203に挿通する。
拡径工程は、図2(b)に示すように、作業者M(図1(a)参照)が、他方の手でプライヤPを操作してサークリップCを拡径する工程である。拡径工程により、スプロケット200を組み付け穴101に押し込むことが可能になる。
位置合わせ工程は、図2(c)に示すように、作業者M(図1(a)参照)が、サークリップCを拡径した状態で、案内軸21の軸方向に沿ってスプロケット200を組み付け穴101に押し込んで移動させながら、軸受け202の外周部に形成された外周溝204の位置にサークリップCの位置(高さ)を合わせる工程である。
位置合わせ工程では、作業者Mは、案内軸21の軸方向に沿ってスプロケット200を移動することで、スプロケット200を組み付け穴101の軸方向に沿って正確に移動させることができる。位置合わせ工程により、サークリップCを縮径することが可能になる。
また、ストッパ25を備えたことで、作業者Mは、押し込み爪23の移動が規制されるまでスプロケット200を組み付け穴101に押し込んで位置合わせすることができるため、安心して確実に円滑な作業を行うことができる。
縮径工程では、図3(a)に示すように、作業者M(図1(a)参照)は、一方の手でホルダ22を保持して、外周溝204の位置にサークリップCを位置合わせした状態で、他方の手でプライヤPを操作して拡径状態から自然状態の径まで縮径させる工程である。
縮径工程により、図3(b)に示すように、サークリップCが内周溝102および外周溝204に装着され、ミッションケース100にスプロケット200が固定される。
本発明の第1の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Aは、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、サークリップCをミッションケース100の内周溝102およびスプロケット200の外周溝204に装着して、スプロケット200をミッションケース100に固定することで、サークリップCを軸受け202の両端に設けなくてもよいため、組み付け作業を簡素化して工数を削減することができる。
続いて、本発明の第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Bについて、適宜図4〜図7を参照しながら詳細に説明する。第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Bは、本発明の請求項3と請求項4に対応する実施形態である。
なお、第2の実施形態においては、第1の実施形態に対して、主として案内治具の構成の相違による組み付け方向が異なるため、この相違点について説明し、共通する構成は同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
<案内治具>
本発明の第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Bでは、図4に示す案内治具3を採用する。
案内治具3は、図4(a)に示すように、先端部に押し込み爪32および案内軸33が配設された軸部材31と、軸部材31を案内軸33の軸方向に移動自在に案内するガイド部材34と、ガイド部材34を支持する支持部材35と、操作部31aと支持部35aの間に装着された付勢手段であるコイルばね36と、を備えている。
軸部材31は、図4(b)に示すように、作業者Mが手で押し込む円板形状の操作部31aと、操作部31aの下面に連結された軸部31bと、軸部31bの先端部に固定された押し込み爪32および案内軸33と、を備えている。
かかる構成により、軸部材31は、作業者Mが操作部31aに手を当てて下方に押し込むと、押し込み爪32と案内軸33が一体として下方に移動するようになっている。
ガイド部材34は、貫通孔203に軸部材31の軸部31bが摺動自在に挿通された円筒状の摺動部材であり、作業者Mが操作部31aに手を当てて下方に押し込むと上端面に軸部材31の操作部31aの下面が当接して押し込み量δ(図4(a)参照)を規制できるようになっている。ガイド部材34の下端面は支持部材35に固定されている。
かかる構成により、ガイド部材34を垂直に保持することで、軸部材31を垂直方向に移動させることができるようになっている。
支持部材35は、ガイド部材34が配設された支持部35aと、支持部35aを位置決めする脚部35bと、を備えている。
支持部35aは、板状の部材であり、水平方向に保持されてガイド部材34が垂直に保持されるようになっている。脚部35bは、下面35cをミッションケース10の当接面103(図5(b)参照)に当接させることでガイド部材34、および軸部材31を垂直方向に支持できるようになっている。このため、軸部材31を組み付け穴101(図6(b)参照)の軸方向に移動させることができる。
コイルばね36は、押し込み爪32がスプロケット200から離隔する方向(図の上方向)に軸部材31を付勢し、作業者Mが操作部31aから手を放すと軸部材31が上方向の図4(a)に示す原位置に戻るようになっている。かかる構成により、予め設定した押し込み量δを確保することができる。
以上のように構成された本発明の第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Bの動作について、主として図5〜図7を参照しながら説明する。
参照する図において、図5(a)はスプロケットをサークリップに載置した載置工程を示し、図5(b)は作業者が案内軸を挿通して案内治具をスプロケットに装着する案内軸挿通工程を示す。
本発明の第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Bでは、図5(b)に示すように、案内軸挿通工程において、案内軸33を貫通孔203に挿通した状態で、ガイド部材34を支持部材35によって支持している。
かかる構成により、案内軸33を組み付け穴101の軸方向に沿って配設することができるため、スプロケット200を組み付け穴101の軸方向に沿って正確に移動させることができる。
図6(a)は、サークリップを拡径した拡径工程、図6(b)はサークリップと外周溝との位置合わせ工程を示す。
本発明の第2の実施形態に係るサークリップによる組み付け方法1Bでは、図6(b)に示すように、作業者Mは、位置合わせ工程において、軸部材31をコイルばね36の付勢力に抗して軸方向に移動させ、押し込み爪によりスプロケット200を組み付け穴101に押し込んで移動させる。
図7(a)はサークリップを縮径した縮径工程、図7(b)は案内治具を取り外して組み付け作業が終了した状態を示す。前記した第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。例えば、本実施形態においては、作業者Mが案内治具2,3を手で保持して、プライヤPでサークリップCを操作したが、これに限定されるものではなく、作業者Mが操作するのではなく、案内治具2,3を上下方向に移動させる駆動装置(不図示)に装着し、サークリップCを自動機(不図示)で操作するようにしてもよい。
1A,1B サークリップによる組み付け方法
2,3 案内治具
22 ホルダ
23 押し込み爪
24 支持部
25 ストッパ(位置規制手段)
31 軸部材
32 押し込み爪
33 案内軸
34 ガイド部材
35 支持部材
100 ミッションケース(アウタ部材)
101 組み付け穴
102 内周溝
103 当接面
200 スプロケット(インナ部材)
201 本体
201a 歯部
202a インナレース
202b ボール
202c アウタレース
203 貫通孔(内周部)
204 外周溝
C サークリップ
C1 合い口
M 作業者
P プライヤ

Claims (7)

  1. アウタ部材に形成された組み付け穴に、内周部と前記組み付け穴に適合する外周部とが形成されたインナ部材を組み込んでサークリップで固定する組み付け方法であって、
    前記サークリップが前記組み付け穴に形成された内周溝に装着された状態で、当該サークリップに前記インナ部材を載置する載置工程と、
    前記インナ部材の内周部に適合する案内軸を挿通する案内軸挿通工程と、
    前記内周部に挿通した前記案内軸を前記組み付け穴の軸方向に合わせて保持した状態で、前記サークリップを拡径する拡径工程と、
    前記サークリップを拡径した状態で、前記案内軸の軸方向に沿って前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで移動させながら、前記インナ部材の外周部に形成された外周溝の位置に前記サークリップを合わせる位置合わせ工程と、
    この位置合わせ工程により、前記外周溝の位置に前記サークリップを位置合わせした状態で、前記拡径状態から自然状態の径まで縮径させる縮径工程と、を含み、
    前記サークリップを前記内周溝および前記外周溝に装着して前記インナ部材を前記アウタ部材に固定することを特徴とするサークリップによる組み付け方法。
  2. 前記位置合わせ工程では、
    前記案内軸と、前記インナ部材を押し込む押し込み爪と、を備えた案内治具の当該押し込み爪を前記インナ部材に当接させて当該インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで移動させること、
    を特徴とする請求項1に記載のサークリップによる組み付け方法。
  3. 前記案内治具は、前記位置合わせ工程における前記サークリップが前記外周溝の位置に合致した状態まで前記押し込み爪が移動すると当該押し込み爪の移動を規制する位置規制手段を備え、
    前記位置合わせ工程では、前記位置規制手段により前記押し込み爪の移動が規制されるまで前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで位置合わせすること、
    を特徴とする請求項2に記載のサークリップによる組み付け方法。
  4. 前記案内治具は、先端部に前記押し込み爪および前記案内軸が配設された軸部材と、
    この軸部材を前記案内軸の軸方向に移動自在に案内するガイド部材と、
    このガイド部材を支持し、前記軸部材が前記組み付け穴の軸方向に移動するように配設される支持部材と、
    前記押し込み爪が前記インナ部材から離隔する方向に、前記軸部材を付勢する付勢手段と、を備え、
    前記案内軸挿通工程において、前記案内軸を前記内周部に挿通した状態で、前記ガイド部材を前記支持部材によって支持し、
    前記位置合わせ工程において、前記軸部材を前記付勢手段の付勢力に抗して軸方向に移動させ、前記押し込み爪により前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで移動させること、
    を特徴とする請求項2または請求項3に記載のサークリップによる組み付け方法。
  5. 前記アウタ部材は、前記内周部を有する回転体を収容する前記組み付け穴が形成されたハウジングであり、
    前記インナ部材は、前記回転体を支持する軸受けが外嵌された回転体軸受け部材であること、
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のサークリップによる組み付け方法。
  6. アウタ部材に形成された組み付け穴に、前記組み付け穴に適合する外周部が形成されたインナ部材を組み込んでサークリップで固定した前記アウタ部材と前記インナ部材からなる組み付け物であって、
    前記サークリップが、前記組み付け穴に形成された内周溝および前記インナ部材の外周部に形成された外周溝に装着されて、前記インナ部材が前記アウタ部材に固定され、
    前記サークリップは、合い口の端部に形成された操作部が前記内周溝および前記外周溝から露出していること、
    を特徴とするサークリップで組み付けたアウタ部材とインナ部材からなる組み付け物。
  7. アウタ部材に形成された組み付け穴に、内周部と前記組み付け穴に適合する外周部が形成されたインナ部材を組み込んでサークリップで固定する際に使用する案内治具であって、
    前記インナ部材の内周部に適合する案内軸と、
    この案内軸を前記内周部に挿通した状態で、当該案内軸の軸方向に沿って前記インナ部材を前記組み付け穴に押し込んで、前記サークリップが前記外周溝の位置に合致した状態まで当該インナ部材が移動すると、当該インナ部材の移動を規制する位置規制手段と、
    を備えたことを特徴とするサークリップを装着するための案内治具。
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