JP2014216587A - キャパシタ電極用バインダー - Google Patents

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Abstract

【課題】 バインダーとして結着性が高くかつ内部抵抗が小さい、静電容量が大きく、充放電サイクル劣化が小さい電気化学キャパシタを提供することを目的とする。
【解決手段】水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位および多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位とを含む重合体を含有するバインダーを提供することにより達成される。電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタといった電気化学キャパシタ電極のバインダとして利用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は電気化学キャパシタ電極に用いられるバインダー、該バインダーから製造される電極、および該電極を用いて製造される電気化学キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタに代表される電気化学キャパシタは大容量でありながら急速充放電が可能である等の特徴を有している。その中でも電気二重層キャパシタは、携帯電話やノートパソコンを代表とする携帯電子機器用途、エレベーターやクレーン、UPSを代表とする産業用途、自動車や鉄道等の輸送機器用途、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーの電力貯槽用途といった種々の幅広い分野で用いられており、近年、特に注目されているデバイスであり急速に需要が伸びている。
電気化学キャパシタは、電極の界面において、電極と電解質中のイオンとの間で電子の授受が伴わない非ファラデー反応、あるいは電子の授受が伴うファラデー反応に起因して発現する容量を利用したキャパシタである。電気化学キャパシタは上述の電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタに大別される。基本的な構成は正極及び負極に使用される電極活物質、電解質、セパレーター、集電体であるが、各キャパシタに使用される電極材料は正極と負極でそれぞれ異なっており、密接に関連している。
電気二重層キャパシタは非ファラデー反応を利用した物理的なイオンの吸脱着によって容量を形成するキャパシタであり、その電極には、正極及び負極ともに活性炭が最も一般的に使用されている。これ以外にもカーボンナノチューブやカーボンナノファイバ等のナノカーボン材料等が開発されている。電解液には硫酸水溶液等の水系やプロピレンカーボネート等の有機溶媒に第四級アンモニウム塩等の電解質を溶解させた有機溶剤系が使用されている。近年の、耐電圧性の向上を目指してイオン液体(常温溶融塩ともいう)を電解質に使用することもある。
リチウムイオンキャパシタは正極に活性炭を、負極にリチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料が用いられる。リチウムイオンを予め負極に吸蔵させることにより、電気二重層キャパシタで主に使用されている活性炭電極に比べて負極の静電容量が大幅に高められるので、セル容量が大幅に増加し、電気二重層キャパシタより高エネルギー密度と高パワー密度を同時に実現させることができる。
レドックスキャパシタはファラデー反応を利用して容量を形成するキャパシタであり、その電極材料には酸化ルテニウム、酸化マンガン、酸化ニッケル等の金属酸化物及びポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子が使用されている。電解液には金属酸化物が用いられる場合は水系が主体であり、導電性高分子が用いられる場合は、有機系が主体である。
これら電気化学キャパシタの電極には、電極材料と必要に応じて導電性を高めるための導電助剤を溶剤等に分散させてペースト化したものを集電体上に塗工、乾燥して得られる。しかしながらこれら材料だけでは集電体や材料同士を固定化させることができないために、固定化させるためにバインダーポリマーを添加しておく必要がある。バインダーポリマーとしては有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略す)等にポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」と略す)を溶解させた溶液や、水にポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略す)(特許文献1)やスチレン−ブタジエン系ゴム(以下、「SBR」と略す)を分散させた水分散液(特許文献2)が用いられている。PVDFやPTFEのフッ素系高分子は、電極材料や集電体に対する接着力が低く、そのためバインダーとして添加量を多くする必要がある。添加量が多いと電極材料を被覆してしまい、キャパシタの電気化学的特性を低下させる問題がある。また、フッ素系高分子は、電極材料や集電体に対する接着力が低いためキャパシタの充放電を繰り返すと、電極材料や集電体から剥離、脱落し、容量を低下させる問題がある。また、NMPを用いた場合には回収コスト、毒性および環境負荷の観点から、水系バインダーが望まれている。
SBRはポリマーの主鎖に炭素―炭素からなる二重結合を有するために、充放電を繰り返し行うと二重結合部分が酸化劣化を起こし、電極材料が電極層や集電体から剥離してキャパシタ容量を減少させる問題がある。この問題を解決するために、電気化学的に安定なオレフィン系重合体をバインダーとして用いる検討(特許文献3)が行われているが、電極材料や集電体に対する接着力がまだ十分とは言えない。
特表2010−514140号公報 特開平11−162794号公報 WO2004/084245
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、接着力が高くかつ充放電を繰り返し行っても酸化劣化を起こしにくい、環境負荷の小さな水系バインダーおよびそれを用いた電極およびキャパシタを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために検討を重ねた結果、水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位と多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位とを含む重合体を含有するバインダーを用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は以下に関する。
項1.
(A)一般式(1)
Figure 2014216587
( 式中、Rは水素又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、nは2〜30の整数である。)で表わされる水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位と、(B)架橋剤として、5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位とを含む重合体を含有することを特徴とするキャパシタ電極用バインダー。
項2.
式(1)において、nは4〜20の整数である、項1記載のキャパシタ電極用バインダー。
項3.
架橋剤として多官能(メタ)アクリレートが3官能または4官能(メタ)アクリレートである項1または項2記載のキャパシタ電極用バインダー。
項4.
項1から項3記載のバインダーと炭素材料からなるスラリーを、集電体に塗布、乾燥して得られるキャパシタ用電極。
項5.
項4記載の電極を用いて得られることを特徴とする電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ。
本発明のバインダーは水に分散した重合体の微粒子の表面積が大きく、また、水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位を用いていることにより、電極材料や集電体との接着力に優れ、かつ、架橋剤成分に多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位を用いることにより高度に架橋した構造であるため、電解液への溶解が抑制され、繰り返し充放電特性に優れたキャパシタを提供することができる。
本発明のバインダーは
(A)一般式(1)
Figure 2014216587
( 式中、Rは水素又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、nは2〜30の整数である。)で表わされる水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位と、(B)架橋剤として、5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーとから誘導される構成単位と、を含む重合体を含有することを特徴とするキャパシタ電極用バインダーである。
本発明の重合体の構成単位について詳細に説明する。一般式(1)において、Rは水素又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基から選ばれる。Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびイソブチル基などが挙げられる。好ましくは水素またはメチル基である。RおよびRは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびイソブチル基などが挙げられる。好ましくは水素またはメチル基である。nは2〜30の整数である。好ましくはnが3〜25、より好ましくは4〜20の整数である。
一般式(1)で表わされる水酸基を有するモノマーの具体例としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上併用できる。これらの中でも、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
架橋剤である多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては2官能〜5官能(メタ)アクリレートが挙げられる。好ましくは3官能または4官能(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリレートが6官能以上になると、架橋剤そのものの粘度が高くなり、乳化重合で分散が上手くできなくなる。また、バインダーとしての物性(屈曲性、結着性)が悪くなる。
2官能(メタ)アクリレートの具体例としてはトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
3官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2,2,2-トリス(メタ)アクリロイロキシメチルエチルコハク酸、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレートおよびトリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェートなどが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
4官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールEO付加テトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
5官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの架橋剤である多官能(メタ)アクリレートは1種又は2種以上併用できる。
本発明の重合体は一般式(1)で表わされる水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位(A)、架橋剤である多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位(B)の他に(メタ)アクリル酸エステルモノマーから誘導される構成単位、(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位、ニトリル基含有のエチレン性不飽和モノマーから誘導される構成単位、2官能のカルボン酸基を含むエチレン性不飽和モノマーから誘導される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一つの構成単位(C)を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーから誘導される構成単位の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、および(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピルである。これら(メタ)アクリル酸エステルモノマーは1種又は2種以上併用できる。
(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位の具体例としては、メタアクリル酸、アクリル酸が挙げられ、1種又は2種併用できる。
ニトリル基含有のエチレン性不飽和モノマーから誘導される構成単位の具体例としては、ニトリル基を含有するものであれば特に限定されないが、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−シアノアクリレート、シアン化ビニリデン、フマロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリルモノマーが用いられる。更に好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。これらは1種又は2種以上併用できる。
2官能のカルボン酸基を含むエチレン性不飽和モノマーから誘導される構成単位の具体例としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸などが挙げられる。更に、上記不飽和ジカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン等も使用でき、また、これら無水物を鹸化したものを使用してもよい(以上、遊離酸、無水物及びそれらの塩又は鹸化物をまとめて以下、多官能のカルボン酸基を含むエチレン性不飽和モノマーという。)。好ましくはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸である。更に好ましくは、イタコン酸である。これらは1種又は2種以上併用できる。
水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位(A)、架橋剤である多官能(メタ)アクリレートから誘導される構造単位(B)、(メタ)アクリル酸エステルモノマーから誘導される構成単位、(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位、ニトリル基含有のエチレン性不飽和モノマーから誘導される構成単位、2官能のカルボン酸基を含むエチレン性不飽和モノマーから誘導される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一つの構成単位(C)の比が、(A)1〜99.9重量%、(B)20〜0.1重量%及び(C)79〜0重量%であり、好ましくは(A)16〜80重量%、(B)15〜0.5重量%及び(C)69〜19.5重量%であり、更に好ましくは(A)27〜75重量%、(B)15〜0.5重量%及び(C)58〜24.5重量%である。
本発明の重合体を得る方法としては一般的な乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法等を使用することができる。具体的には、攪拌機および加熱装置付きの密閉容器に室温でモノマー、乳化剤、重合開始剤、水、必要に応じて分散剤、連鎖移動剤、pH調整剤等を含んだ組成物を不活性ガス雰囲気下で攪拌することでモノマー等を水に乳化させる。乳化の方法は撹拌、剪断、超音波等による方法等が適用でき、撹拌翼、ホモジナイザー等を使用することができる。次いで、攪拌しながら温度を上昇させて重合を開始させることで、重合体が水に分散した球形の重合体のラテックスを得ることができる。また、生成した球形の重合体を別途単離した後に、分散剤等を用いてN-メチルピロリドン等の有機溶剤に分散させて使用してもよい。さらには、再度、モノマー、乳化剤や分散剤等を用いて水中に分散させて、重合体のラテックスを得る方法もある。
また本発明のバインダー中での重合体の粒子構造は特に限定されない。例えば、シード重合によって作製された、コア−シェル構造の複合重合体粒子を含む重合体のラテックスを用いることができる。シード重合法は、例えば、「分散・乳化系の化学」(発行元:工学図書(株))に記載された方法を用いることができる。具体的には、上記の方法で作製したシード粒子を分散した系にモノマー、重合開始剤、乳化剤を添加し、核粒子を成長させる方法であり、上記方法を1回以上繰り返してもよい。
シード重合には本発明の重合体または公知のポリマーを用いた粒子を採用しても良い。公知のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエーテルなどが例示できるが、限定されるものではなく、他の公知のポリマーを用いることができる。また、1種のホモポリマーまたは2種以上の共重合体またはブレンド体を用いても良い。
本発明のバインダー中での重合体の粒子形状としては球形以外に、板状、中空構造、複合構造、局在構造、だるま状構造、いいだこ状構造、ラズベリー状構造等があげられ、本発明を逸脱しない範囲で2種類以上の構造および組成の粒子を用いることができる。
本発明で用いられる乳化剤は特に限定されず、乳化重合法おいて一般的に用いられるノニオン性乳化剤およびアニオン性乳化剤等を使用することができる。ノニオン乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等があげられ、アニオン性乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩等があげられ、これらを1種または2種以上用いてもよい。アニオン性乳化剤の代表例としてはドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
本発明で用いられる乳化剤の使用量は乳化重合法おいて一般的に用いられる量であればよい。具体的には、仕込みのモノマー量に対して、0.01〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.05〜5重量%、更に好ましくは0.05〜3重量%である。
本発明で用いられる重合開始剤は特に限定されず、乳化重合法おいて一般的に用いられる重合開始剤を使用することができる。その具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩に代表される水溶性の重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドに代表される油溶性の重合開始剤、ハイドロパーオキサイド、4−4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン、2−2’−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)2−2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロパンアミド、2−2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}、2−2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)および2−2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロパンアミド}などのアゾ系開始剤、レドックス開始剤等が挙げられる。これら重合開始剤は1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる重合開始剤の使用量は乳化重合法おいて一般的に用いられる量であればよい。具体的には、仕込みのモノマー量に対して、0.01〜5重量%の範囲であり、好ましくは0.05〜3重量%、更に好ましくは0.5〜1重量%である。
本発明のバインダーを作製する際に用いる水は特に限定されず、一般的に用いられる水を使用することができる。その具体例としては水道水、蒸留水、イオン交換水および超純水などが挙げられる。その中でも、好ましくは蒸留水、イオン交換水および超純水である。
本発明においては必要に応じて分散剤を用いることができ、種類および使用量は特に限定されず、一般的に用いられる分散剤を任意の量で自由に使用することができる。具体例としてはヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダおよびポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。
本発明においては、必要に応じて連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤の具体例としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いてもよい。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、仕込モノマー量100重量部に対して0〜5重量部にて使用される。
重合時間および重合温度は特に限定されない。使用する重合開始剤の種類等から適宜選択できるが、一般的に、重合温度は20〜100℃であり、重合時間は0.5〜100時間である。
さらに上記の方法によって得られた重合体は、必要に応じてpH調整剤として塩基を用いることでpHを調整することができる。塩基の具体例としては、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)水酸化物、アンモニア、無機アンモニウム化合物、有機アミン化合物等が挙げられる。pHの範囲はpH2〜11、好ましくはpH3〜10、更に好ましくはpH5〜9の範囲である。
本発明のバインダー中における上記重合体の含有量(固形分濃度)は、0.2〜80重量%、好ましくは0.5〜70重量%、より好ましくは0.5〜60重量%である。
本発明のバインダー中における上記重合体の粒子径は、動的光散乱法、透過型電子顕微鏡法や光学顕微鏡法などによって計測できる。動的光散乱法を用いて得た散乱強度により算出した平均粒径は、0.001μm〜1μm、好ましくは0.001μm〜0.500μmである。具体的な測定装置としてはスペクトリス製のゼータサイザーナノ等が例示できる。
キャパシタ電極用スラリーの調整方法
本発明のバインダーを使用したキャパシタ電極用スラリーの調整方法としては特に限定されず、本発明のバインダー、電極材料、必要に応じて導電助剤、水、増粘剤等を通常の攪拌機、分散機、混練機、遊星型ボールミル、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー等を用いて分散させることができる。分散の効率を上げるために材料に影響を与えない範囲で加温してもよい。混合方法やその手順は特に限定されないが、増粘剤の水溶液に電極材料、導電助剤を添加して均一に分散せた後に、バインダーを添加して均一に混合するのが好ましい。
キャパシタ電極の作製方法
本発明のキャパシタ電極の作製方法は特に限定されず一般的な方法が用いられ、バインダーと炭素材料からなるスラリーを、集電体に塗布、乾燥して得られるものであればよい。例えば、上記のペーストをドクターブレード法やシルクスクリーン法などにより集電体表面上に適切な厚さに均一に塗布し、乾燥、必要に応じてプレス成型して得ることができる。
ドクターブレード法では、上記のスラリーを金属電極基板に塗布した後、所定のスリット幅を有するブレードにより適切な厚さに均一化する。電極は炭素材料塗布後、余分な水または有機溶剤を除去するため、例えば、100℃の熱風や80℃真空状態で乾燥する。乾燥後の電極は必要に応じてプレス装置によってプレス成型して製造してよい。プレス後に再度熱処理を施して水、溶剤、乳化剤等を除去してもよい。
(電極材料)
本発明の電気化学キャパシタ用電極に用いる電極材料は、具体的には、通常、炭素の同素体が用いられる。炭素の同素体の具体例としては、活性炭、ポリアセン(PAS)、カーボンウィスカ及びグラファイト等が挙げられ、これらの粉末または繊維を使用することができる。この中でも、活性炭が好ましい。活性炭は、具体的にはフェノール樹脂、レーヨン、アクリロニトリル樹脂、ピッチ、およびヤシ殻等を原料とする活性炭を挙げることができる。また、炭素の同素体を組み合わせて使用する場合は、平均粒径又は粒径分布の異なる二種類以上の炭素の同素体を組み合わせて使用してもよい。また、正極に用いる電極材料として、上記物質の他に、芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であって、水素原子/炭素原子の原子比が0.50〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有するポリアセン系有機半導体(PAS)も好適に使用できる。
電気二重層キャパシタでは正極及び負極に同じ電極を使用することができ、活性炭が最も好適に用いられる。また、レドックスキャパシタにおいては活性炭の代わりに酸化ルテニウム、酸化マンガン、酸化ニッケル等の金属酸化物や、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子が使用できる。リチウムイオンキャパシタでは正極、負極のどちらか一方に電気二重層キャパシタの電極材料と同様の活性炭等を使用し、もう一方の電極にリチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料を用いる。具体的には、リチウムイオン二次電池の負極で用いられる電極活物質が広く使用できる。中でも、黒鉛、難黒鉛化炭素等の結晶性炭素材料、ハードカーボン、コークス等の炭素材料、上記正極の電極材料でも記載したポリアセン系物質(PAS)が好ましい。これらの炭素材料及びPASは、フェノール樹脂等を炭化させ、必要に応じて賦活され、次いで粉砕したものが用いられる。
電気化学キャパシタ用電極組成物に用いる電極材料の形状は、特に限定されないが粒状に整粒されたものが好ましい。粒子の形状が球形であると、電極成形時により高密度な電極が形成できる。
電気化学キャパシタ用電極組成物に用いる電極活物質の平均粒子径は、正極、負極ともに通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜20μmである。これらの電極活物質は、それぞれ単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。
(集電体)
本発明の電気化学キャパシタ用電極に用いる集電体の材料としては、導電性があり電気化学的に耐久性のある材料であればよい。例えば、金属、炭素、導電性高分子などを用いることができ、好適には金属が用いられる。集電体用金属としては、通常、アルミニウム、白金、ニッケル、タンタル、チタン、ステンレス鋼、銅、その他の合金等が使用される。具体的には導電性、耐電圧性の面から銅、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用するのが好ましい。
(導電助剤)
導電助剤の具体的としては、黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボン、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバー等のナノカーボン材料または金属粉末等が挙げられる。これら導電助剤は1種または2種以上用いてもよい。
増粘剤の具体的としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびこれらのナトリウム塩、アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩等が挙げられる。これら増粘剤は1種または2種以上用いてもよい。
キャパシタの製造方法
本発明の電極を用いたキャパシタの製造方法は特に限定されず、正極、負極、セパレータ、電解液、集電体で構成され、公知の方法にて製造される。例えば、コイン型のキャパシタの場合、正極、セパレータ、負極を積層した後に容器に挿入する。これに電解液を注入して封口することでキャパシタが得られる。キャパシタの形状は限定されないが、例としてはコイン型、円筒型、シート型などがあげられる。
(セパレーター)
セパレーターとしては正極と負極が直接接触してキャパシタ内でショートすることを防止するものであり、公知の材料を用いることができる。具体的には、ポリオレフィン等の多孔質高分子フィルムや不織布、あるいは紙などからなっているが挙げられる。多孔質高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのフィルムが電解液によって影響を受けないため好ましい。また、セパレーターとして固体電解質あるいはゲル電解質を用いてもよい。
(電解液)
電解液は水系と電解質を有機溶剤あるいは常温溶融塩に溶解した非水電解液の二種類がある。水系の電解液としては硫酸水溶液が挙げられる。非水電解液に用いられる電解質としては、従来より公知のものが使用できる。具体的には、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
電解質を溶解する有機溶剤としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジプロピルカーボネート、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、アニソール、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、ジエチルエーテルなどの直鎖エーテルを使用することができ、2種類以上混合して使用してもよい。
常温溶融塩とは、常温において少なくとも一部が液状を呈する塩をいい、常温とは電源が通常作動すると想定される温度範囲をいう。電源が通常作動すると想定される温度範囲とは、上限が120℃程度、場合によっては60℃程度であり、下限は−40℃程度、場合によっては−20℃程度である。
常温溶融塩はイオン性液体とも呼ばれており、ピリジン系、脂肪族アミン系、脂環族アミン系の4級アンモニウム有機物カチオンが知られている。4級アンモニウム有機物カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。特に、イミダゾリウムカチオンが好ましい。
なお、テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムイオン、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アルキルピリジウムイオンとしては、N−メチルピリジウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、1−エチル−2メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−2,4ジメチルピリジニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いても良い。
アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF 、PF などの無機酸イオン、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7,7,8,8−テトラシアノ−p−キノジメタンイオンなどの有機酸イオンなどが例示される。
電解液には必要に応じて種々の添加剤を使用することができる。例えば、難燃剤や不燃剤として、臭素化エポキシ化合物、ホスファゼン化合物、テトラブロムビスフェノールA
、塩素化パラフィン等のハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル、ポリリン酸塩、及びホウ酸亜鉛等が例示できる。負極表面処理剤としてはビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等が例示できる。正極表面処理剤として炭素や金属酸化物(MgОやZrO等)の無機化合物やオルト−ターフェニル等の有機化合物等が例示できる。過充電防止剤としてはビフェニルや1−(p−トリル)アダマンタン等が例示できる。
本発明を実施するための具体的な形態を以下に実施例を挙げて説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、本発明のバインダーを用いて電極及びキャパシタを作製し、充放電特性、サイクル特性及び内部抵抗を以下の実験にて行った。
[作製したキャパシタの評価]
作製したキャパシタの評価としては内部抵抗および充放電特性を評価した。充放電装置を用いて充放電サイクル特性試験を行い、容量維持率を求めた。評価結果を表1にまとめて示した。
キャパシタの充放電特性及び内部抵抗を評価した。充放電特性評価としては10mA/cmの定電流で2.5Vまで充電を行った後、10分休止し、更に2.5Vの定電圧で30分充電を行った。その後、0.2mA/cmの定電流で0Vまで放電を行った。静電容量Cは放電電量値、放電時間、電圧値から算出した。静電容量のサイクル特性は初回の静電容量と100サイクル目の静電容量との比より求めた。また、内部抵抗は定電流で2.5Vまで充電した直後(放電初期)の降下電圧値すなわちIRドロップと放電電流値から求めた。
バインダーの合成例
[バインダーの実施合成例]
攪拌機付き反応容器に、メタアクリル酸メチル40.9重量部、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油製:ブレンマーAP−400)40.9重量部、アクリル酸1.2重量部、メタアクリル酸3.4重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)13.6重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部、イオン交換水500重量部および重合開始剤として過硫酸カリウム1重量部を入れ、超音波ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合した(重合転化率99%以上)。重合終了後、24%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、重合液のpHを2.9から7.1に調整し、バインダーA(固形分濃度18.3wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.10μmであった。
電極の作製例
[電極の実施作製例]
電極材料として活性炭80重量部に、導電助剤としてカーボンナノチューブ10重量部、バインダーの実施合成例1で得られたバインダーAを固形分として5重量部および増粘剤としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の2重量%水溶液を固形分として5重量部を加え、さらにスラリーの固形分濃度が19重量%となるように溶媒なる水を加えて遊星型ミルを用いて十分に混合して電極用スラリーを得た。
得られた電極スラリーを厚さ20μmのアルミ集電体上に85μmギャップのダイコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレス機にてプレスを行い、厚さ38μmの電極を作製した。
[電極の比較作製例]
電極材料として活性炭80重量部に、導電助剤としてカーボンナノチューブ10重量部、バインダーポリフッ化ビニリデン(PVDF)の12重量%のNMP溶液をPVDFとして10重量部を加え、さらにスラリーの固形分濃度が26重量%となるように溶媒なるNMPを加えて遊星型ミルを用いて十分に混合して電極用スラリーを得た。得られた電極スラリーを厚さ20μmのアルミ集電体上に50μmギャップのダイコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレス機にてプレスを行い、厚さ26μmの電極を作製した。
キャパシタの製造例
[キャパシタの実施製造例]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、電極の実施作製例で得た電極2枚の間に、セルロース性のセパレーター1枚を挿入し、電解液としてイオン液体1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートを十分に含浸させ、試験用2032型コインでキャパシタを製造した。評価結果を表1の実施例に示す。
[キャパシタの比較製造例]
電極の作製例の比較作製例で得た電極を用いた以外は、電極の実施作製例と同様にしてキャパシタを作製した。
評価結果を表1の比較例に示す。
表1に実施例および比較例を示す。
Figure 2014216587
表1の結果から、本発明のバインダーを使用することによって、電極材料及び集電体に対する接着性が向上し、内部抵抗が低く抑えられていることが示された。更に、電極材料当たりの静電容量が大きく、電気抵抗の小さなキャパシタが得られることも示された。
本発明は電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタといった電気化学キャパシタ電極のバインダとして利用することができ、内部抵抗が小さい、静電容量が大きく、充放電サイクル劣化が小さい電気化学キャパシタを提供するものである。

Claims (5)

  1. (A)一般式(1)
    Figure 2014216587
    ( 式中、Rは水素又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、nは2〜30の整数である。)
    で表わされる水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位と、(B)架橋剤として、5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位とを含む重合体を含有することを特徴とするキャパシタ電極用バインダー。
  2. 式(1)において、nは4〜20の整数である、請求項1記載のキャパシタ電極用バインダー。
  3. 架橋剤として多官能(メタ)アクリレートが3官能または4官能(メタ)アクリレートである請求項1または請求項2記載のキャパシタ電極用バインダー。
  4. 請求項1から請求項3記載のバインダーと炭素材料からなるスラリーを、集電体に塗布、乾燥して得られるキャパシタ用電極。
  5. 請求項4記載の電極を用いて得られることを特徴とする電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ。
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