JP7314751B2 - 水系バインダー組成物、電極、及び蓄電デバイス - Google Patents
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Description
下記一般式(1)
で表わされるモノマーに由来する構成単位(B)を有する重合体を含有する水系バインダー組成物。
項2 構成単位(B)が下記一般式(2)
項3 更に、下記一般式(3):
で表わされる水酸基を有するモノマーに由来する構成単位(C)を含む重合体を含む、項1又は2に記載の水系バインダー組成物。
項4 更に、5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位(D)を含む重合体を含む、項1~3いずれかに記載の水系バインダー組成物。
項5 前記構成単位(D)において、前記5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーが、下記一般式(5):
項6 (メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来する構成単位(A)は炭素数1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来する構成単位である項1~5のいずれかに記載の水系バインダー組成物。
項7 項1~6いずれかに記載の水系バインダー組成物を用いて作製される電極。
項8 項7に記載の電極を備える、蓄電デバイス。
本発明の重合体はバインダーのために用いられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来する構成単位(A)、
下記一般式(1)
で表わされるモノマーに由来する構成単位(B)を含む重合体を含有する。
で表わされるモノマーに由来する構成単位である。
R1は水素、又は炭素数1~4のアルキル基であり、水素、又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、水素、又はメチル基であることが特に好ましい。 R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11は水素、ヒドロキシル基、炭素数1~3のアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基のいずれかであり、水素、ヒドロキシル基、炭素数1~2のアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基のいずれかであることが好ましい。
R12は炭素数1~3のアルキレン基、又はカルボニル基であり、炭素数1~2のアルキレン基、又はカルボニル基であることが好ましい。
R13は-ph-(W)-phである。-phは置換基を有していてもよいフェニル基であり、Wは、単結合、-O-、アルキレン基のいずれかであり、アルキレン基としては炭素数1~3のアルキレン基であることが好ましい。
置換基としては、アルキル基、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基などが挙げられる。
q、rは0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、ともに0であってよい。
sは0又は1の整数である。
R1は水素、又は炭素数1~4のアルキル基であり、水素、又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、水素、又はメチル基であることが特に好ましい。
R12は炭素数1~3のアルキレン基、又はカルボニル基であり、炭素数1~2のアルキレン基、又はカルボニル基であることが好ましい。
R13は-ph-(W)-phである。-phは置換基を有していてもよいフェニル基であり、Wは、単結合、-O-、アルキレン基のいずれかであり、アルキレン基としては炭素数1~3のアルキレン基であることが好ましい。
置換基としては、アルキル基、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基などが挙げられる。
sは0又は1の整数である。
t、uは0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、ともに0であってよい。
で表わされる水酸基を有するモノマーに由来する構成単位(C)を含むことが電極に使用した際にイオン伝導性が向上する点で好ましい。
本発明の水系バインダー組成物は、先述の「1.重合体」の欄で説明した本発明の重合体を水とともに含有するものであり、本発明の重合体が水に分散されたものであってよい。
本発明の電極材料は、本発明の「2.水系バインダー組成物」の欄で説明した本発明の水系バインダー組成物を用いて作製される。電極用スラリーと記載することもできる。電極材料は、水系バインダー組成物、活物質を少なくとも含有する。具体的には、リチウムイオン電池においては、正極に用いる正極材料としては正極活物質、及び本発明の水系バインダー組成物を含有し、更に導電助剤を含有していてもよく、負極に用いる負極材料としては負極活物質、本発明の水系バインダー組成物を含有し、更に導電助剤を含有していてもよく、電気二重層キャパシタ(電気化学キャパシタ)においては、正極に用いる正極材料としては活物質として活性炭、及び本発明の水系バインダー組成物を含有し、更に導電助剤を含有していてもよく、負極に用いる負極材料としては活物質として活性炭、本発明の水系バインダー組成物を含有し、更に導電助剤を含有していてもよい。
本発明の電極は、前述の「3.電極材料」の欄で説明した本発明の電極材料を集電体上に塗布・乾燥することにより作製される。本発明の電極材料の詳細については、前述の通りであり、即ち、本発明の水系バインダー組成物を用いて作製される。
本発明の蓄電デバイスは、前述の「4.電極」の欄で説明した正極と、負極と、電解液とを備えることを特徴としている。本発明の電極の詳細については、前述の通りである。尚、本発明の蓄電デバイスについては、正極と、負極の少なくとも一方に、本発明の重合体を含んだ電極材料を用いた電極を使用していればよく、本発明の重合体を含んだ電極材料を用いていない電極については、公知の電極を用いることができる。
作製した電極の結着性の評価は以下の通り行った。
評価結果を表2にまとめて示した。
<結着性試験>
(測定装置)
剥離強度試験機:ストログラフE3-L(東洋精機株式会社)
(結着性試験方法)
結着性試験は180°剥離試験にて行った。具体的には電極を幅2cm×長さ5cmに切り、テープ(粘着テープ:ニチバン製、幅1.8cm、長さ5cm)を貼り付け、電極の長さ方向の片端をストログラフE3-Lに固定した状態でテープを180°方向に試験速度50mm/min、荷重レンジ5Nで引き剥がした。試験は3回実施し、その加重平均値を求めた。評価結果を表2にまとめて示した。
作製したコイン電池の特性評価としては、容量維持率の測定を行った。評価結果を表2にまとめて示した。
<充放電効率の測定>
(測定装置)
充放電評価装置:TOSCAT-3100(東洋システム株式会社)
(測定方法)
容量維持率
作製したコイン電池を、0.1Cで定電流放電を行い、0Vまで放電した後に、0.05C定電圧放電を実施した。放電後、電池を10分間休止させた。次いで1Cでの定電流充電を実施し、1.5Vまで充電させた。上記のサイクルを1サイクルとし、30サイクル後の電池容量を0サイクルにおける電池容量で割り、100分率した値を評価した。評価結果を表2にまとめて示した。
重合体の平均粒子径は以下の条件で測定した。
(測定装置)
動的光散乱を用いた粒度分布測定装置:ゼータサイザーナノ(スペクトリス株式会社)
(測定方法)
1.合成したエマルジョン溶液50μLをサンプリングする。
2.サンプリングしたエマルジョン溶液にイオン交換水700μLを3回添加して希釈する。
3.希釈液から液を2100μL抜き取る。
4.残った50μLのサンプルに700μLイオン交換水を添加・希釈して測定する。
重合体の凝集物は以下のようにして測定した。
重合したエマルジョン溶液を150メッシュステンレス金網(関西金網株式会社製)で用いてろ過を行い、攪拌翼およびビーカーに付着している凝集物を掻き取る。その後、回収した凝集物をイオン交換水で洗浄し、24時間乾燥させ凝集物の質量を測定する。測定した凝集物量をエマルジョン収量で割り百分率した値を凝集物量(質量%)とし評価した。
ビーカーに、アクリル酸n-ブチル173.77g、m-フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学製:ライトアクリレートPOB-A)183.47g、アクリル酸4.73g、メタクリル酸3.31g、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油製:ブレンマーPE-90)12.57g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学製:ライトエステルTMP)12.21g、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(ハイテノールNF-13 第一工業製薬社製)5.60g、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(ノイゲンEA-157第一工業製薬社製)2.40g、イオン交換水200gを加え、超音波ホモジナイザーを用いて、十分攪拌し乳液とした。重合用のセパラブルフラスコにイオン交換水を360g加え、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.48g、還元剤として(+)-L-アスコルビン酸0.48gを加え、攪拌機付き反応容器を窒素雰囲気下、55℃に加温し2時間かけて乳液を添加した。乳液の添加後、更に1時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液のpHを2.2から7.9に調整し、エマルジョン溶液であるバインダー組成物A(重合転化率97%以上、固形分濃度39.1質量%、凝集量:0.03質量%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.205μmであった。重合体における質量部(質量%)を表1に示す。
ビーカーに、アクリル酸n-ブチル169.57g、エトキシ化-o-フェニルフェノールアクリレート(新中村化学製:A-LEN-10)188.70g、アクリル酸1.15g、メタクリル酸3.23g、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油製:ブレンマーPE-90)3.07g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学製:ライトエステルTMP)2.98g、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(ハイテノールNF-13 第一工業製薬社製)5.60g、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(ノイゲンEA-157第一工業製薬社製)2.40g、イオン交換水200gを加え、超音波ホモジナイザーを用いて、十分攪拌し乳液とした。重合用のセパラブルフラスコにイオン交換水を360g加え、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.48g、還元剤として(+)-L-アスコルビン酸0.48gを加え、攪拌機付き反応容器を窒素雰囲気下、55℃に加温し2時間かけて乳液を添加した。乳液の添加後、更に1時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液のpHを2.1から8.0に調整し、エマルジョン溶液であるバインダー組成物B(重合転化率99%以上、固形分濃度40.1質量%、凝集量:0.01質量%以下)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.242μmであった。重合体における質量部(質量%)を表1に示す。
ビーカーに、アクリル酸n-ブチル207.31g、ベンジルアクリレート(共栄社化学製:ライトエステルBz)151.68g、アクリル酸5.64g、メタクリル酸15.81g、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油製:ブレンマーPE-90)14.99g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学製:ライトエステルTMP)14.56g、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム(花王製:エマール2FG)8.00g、イオン交換水200gを加え、超音波ホモジナイザーを用いて、十分攪拌し乳液とした。重合用のセパラブルフラスコにイオン交換水を360g加え、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.492g、還元剤として(+)-L-アスコルビン酸0.492gを加え、攪拌機付き反応容器を窒素雰囲気下、55℃に加温し2時間かけて乳液を添加した。乳液の添加後、更に1時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液のpHを2.2から7.9に調整し、エマルジョン溶液であるバインダー組成物C(重合転化率98%以上、固形分濃度39.5質量%、凝集量:0.01質量%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.241μmであった。重合体における質量部(質量%)を表1に示す。
[電極の実施作製例1]
活物質としてグラファイト85質量部、シリコン系化合物としてSiOを10質量部に、導電助剤としてアセチレンブラック2質量部、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩2質量部、バインダー組成物の実施合成例1で得られたバインダー組成物Aをバインダー組成物A中の固形分として1質量部となるように加え、さらにスラリーの固形分濃度が68質量%となるように水を加えてプラネタリーミキサーを用いて十分に混合してスラリーを得た。
活物質としてグラファイト85質量部、シリコン系化合物としてSiOを10質量部に、導電助剤としてアセチレンブラック2質量部、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩2質量部、バインダー組成物の実施合成例2で得られたバインダー組成物Bをバインダー組成物B中の固形分として1質量部となるように加え、さらにスラリーの固形分濃度が68質量%となるように水を加えてプラネタリーミキサーを用いて十分に混合してスラリーを得た以外は電極の実施例1と同様にして電極を作製し、得られた電極の厚みは38μmであった。結着性試験の評価結果を表2の実施例2に示す。
活物質としてグラファイト85質量部、シリコン系化合物としてSiOを10質量部に、導電助剤としてアセチレンブラック2質量部、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩2質量部、バインダー組成物の比較合成例1で得られたバインダー組成物Cをバインダー組成物C中の固形分として1質量部となるように、さらにスラリーの固形分濃度が68質量%となるように水を加えてプラネタリーミキサーを用いて十分に混合してスラリーを得た以外は電極の実施例2と同様にして電極を作製し、得られた電極の厚みは41μmであった。結着性試験の評価結果を表2の比較例1に示す。
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、金属リチウムを正極、セパレータとして18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を1枚、更に実施作製例1で得た電極を負極として用い、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネート(体積比30:50:20、キシダ化学社製)を十分に含浸させてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。容量維持率の評価結果を表2の実施例1に示す。
電極の実施作製例2で得た負極を用いた以外は、コイン電池の実施製造例1と同様にしてコイン電池を作製した。容量維持率の評価結果を表2の実施例2に示す。
電極の比較作製例1で得た負極を用いた以外は、コイン電池の実施製造例1と同様にしてコイン電池を作製した。容量維持率の評価結果を表2の比較例1に示す。
Claims (7)
- (メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来する構成単位(A)、
下記一般式(2)
- 前記重合体の構成単位において、更に下記一般式(3):
で表わされる水酸基を有するモノマーに由来する構成単位(C)を含む重合体を含む、請求項1に記載の水系バインダー組成物。 - 前記重合体の構成単位において、更に、5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位(D)を含む重合体を含む、請求項1又は2に記載の水系バインダー組成物。
- 前記構成単位(D)において、前記5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーが、下記一般式(5):
- (メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来する構成単位(A)は炭素数1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来する構成単位である請求項1~4のいずれかに記載の水系バインダー組成物。
- 請求項1~5いずれかに記載の水系バインダー組成物を用いて作製される電極。
- 請求項6に記載の電極を備える、蓄電デバイス。
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