JP2017091789A - 正極、二次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、バインダーの添加量が少なくても結着性が非常に良好で、高温や低温においてもサイクル充放電特性に優れた正極、二次電池およびその製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】 正極が正極活物質と導電助剤とバインダーを少なくとも含有し、正極中においてバインダーが初期の粒子形状を保って導電助剤とともに正極活物質間の凹部に偏在していることを特徴とし、そのことによって課題を解決できることを見出した。【選択図】図1

Description

本発明は、正極、負極、および有機系電解液からなる非水電解質二次電池に関するものであり、より詳細には、バインダー機能を持つ樹脂が偏在する正極を用いることにより、接着性が良好で、かつ、高温や低温においてもサイクル充放電特性に優れた正極、非水電解質二次電池に関するものである。
本明細書において、二次電池とは繰り返し充電可能な電池一般をいい、電気化学キャパシタを包含する。具体的には、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等のいわゆる蓄電池である。
リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高く、高電圧であるため、携帯電話やノートパソコン、カムコーダーなどの電子機器に用いられている。最近では環境保護への意識の高まりや関連法の整備により、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの車載用途や家庭用電力貯蔵用の蓄電池としての応用も進んできている。いずれの用途においても電池の占有体積や重量等の観点より、電池のエネルギー密度は高いことが望ましい。
リチウムイオン二次電池は一般的に負極、正極、セパレータ、電解液で構成される。電極に関して、負極はリチウムイオンの挿入脱離が可能なグラファイトやハードカーボンなどの負極活物質と導電助剤、バインダー、溶媒からなる塗工液を銅箔に代表される集電体上に塗布、乾燥して得られる。現在一般的には、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(以下、「SBR」と略す)を水に分散させたものが用いられている。
一方、正極は層状のコバルト酸リチウムやスピネル型マンガン酸リチウム等の正極活物質とカーボンブラック等の導電助剤、ポリフッ化ビニリデンやポリ四フッ化エチレン等のバインダーを混合し、N-メチルピロリドンのような極性溶媒に分散させた塗工液をアルミニウム箔に代表される集電体箔上に負極と同様に塗布、乾燥して製造されている。
これらのリチウムイオン電池のバインダーは、結着力を確保するためにバインダーの添加量を多くする必要があり、そのことによる性能の低下が課題として挙げられる。また、N-メチルピロリドンをスラリー溶媒に用いており、回収、コスト、毒性および環境負荷の観点から、水系バインダーが望まれている。しかしながら、水系であるSBR系バインダーを用いた場合では正極環境下において酸化劣化するといった課題が挙げられる。そのため、依然として正極のバインダーには現行のN-メチルピロリドンを分散溶媒に用いたポリフッ化ビニリデンやポリ四フッ化エチレンがバインダーとして用いられており、集電体と活物質や活物質同士の結着性に優れ、環境負荷が少ない水系であり、かつ耐酸化性の高い二次電池用の電極の製造に適したバインダーの開発が急務となっている。
さらに、効率的なバインダーを開発するためには、少量の添加で高い結着性と良好な電子伝導を促すためには電極中でのバインダーの分散状態が問題となってくる。
バインダーの分散状態を評価する方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、バインダーを臭素やルテニウムで染色した後、断面を加工してEPMAやオージェ電子分光などにより分散状態を評価する方法や特許文献2に記載されているように蛍光X線分析装置によって含まれるナトリウムやカリウムの分布からその分散状態を評価する方法が提案されている。
また、特許文献3では、負極活物質層のうち、表面近傍ほどバインダーが多く含まれている負極を用いた二次電池が提案されている。しかしながら、正極活物質層のバインダーについて、良好な分散状態の分布に対する知見が全くないのが現状である。
特開2003−279508号公報 特開2015−69868号公報 再公表WO2013−054398号公報
以上のような事情を鑑み、本発明の課題は、添加量が少なくても結着性が良好で、高温や低温においてもサイクル充放電特性に優れた正極、二次電池を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、二次電池の正極として正極活物質、導電助剤、バインダーを含む正極のバインダーの分散状態を制御することで、高結着性で、特に高温や低温においてのサイクル充放電特性が優れた二次電池が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の正極が用いられた非水系電解質二次電池およびその製造方法を提供する。
本発明の態様は次のとおりである。
項1.
正極が正極活物質と導電助剤とバインダーを少なくとも含有し、バインダーが粒子形状を保って導電助剤とともに正極活物質間の凹部に偏在していることを特徴とする二次電池である。
項2.
正極に含まれるバインダーが粒子形状を保って導電助剤と結着して正極活物質の間を埋める海島構造として偏在していることを特徴とする項1に記載の二次電池である。
項3.
正極に含まれるバインダーが粒子形状を保って導電助剤とともに、正極活物質表面にも点在することを特徴とする項1または2記載の二次電池である。
項4.
正極に含まれる導電助剤の含有量が正極活物質100重量部に対して1〜20重量部であり、バインダーの含有量が1〜10重量部である項1〜3のいずれかに記載の二次電池である。
項5.
正極に含まれるバインダーが水系バインダーである項1〜4のいずれかに記載の二次電池である。
項6.
正極に含まれるバインダーがアクリル系共重合体を架橋させたバインダーである項1〜5のいずれかに記載の二次電池である。
項7.
該水系バインダーが、(A)(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位と、(B)(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位と、
(C)5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーとから誘導される構成単位と、
を含むアクリル系重合体である項5に記載の二次電池である。
項8.
リチウムイオン電池として構成された、項1〜7のいずれかに記載の二次電池である。
項9.
正極活物質、バインダーを水系溶剤で分散させる工程、さらに導電助剤を添加して分散させる工程、得られたスラリー溶液を集電体上に塗布し、乾燥させる工程を含むことを特徴とする正極の製造方法である。
項10.
該水系バインダーが、(A)(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位と、(B)(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位と、
(C)5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーとから誘導される構成単位と、
を含むアクリル系重合体である項9記載の正極の製造方法である。
項11.
項9または項10に記載の正極を用いたことを特徴とする二次電池の製造方法である。
本発明によれば、高結着性で、かつ、サイクル充放電特性に優れた正極、二次電池およびその製造方法を提供することができる。特に、高温や低温でのサイクル充放電特性に優れている。
本発明の正極は、バインダーが粒子形状を保って導電助剤とともに正極活物質間の凹部に偏在している。つまり、ラテックス時の粒子的な形状のままで導電助剤を結着させ、正極活物質の凹部に納まり、正極活物質をも結着させている。また、一部は正極活物質表面にも点在している。
そのため、正極活物質や導電助剤を被覆する面積が小さくなっており、点接着的な働きを行い、内部抵抗を下げることが可能となる。また、正極に存在するバインダー量が少なくても正極活物質や導電助剤を結着する効果が大きい。内部抵抗が低くなると電子やイオンの伝導がよくなるため、充放電のサイクル特性が良くなるという効果を有する。
実施例1の正極表面SEM観察画像(1,000倍) 実施例1の正極表面SEM観察画像(10,000倍) 実施例1の正極表面SEM観察画像(20,000倍) 実施例2の正極表面SEM観察画像(10,000倍) 比較例1の正極表面SEM観察画像(10,000倍) 比較例1の正極表面SEM観察画像(20,000倍) 以下、本発明の構成につき詳細に説明する。
本発明において、二次電池は正極および負極、その間にセパレータを挟んで電解塩を含んだ電解液が封入された構成となる。
正極は、例えば集電体としての金属電極基板と、金属電極基板上に正極活物質、導電助剤、および電解質と良好なイオンの授受を行い、かつ、導電助剤と正極活物質を金属基板に固定するためのバインダー等により構成されている。金属電極基板には、例えばアルミニウムが用いられるが、これに限るものではなく、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等であってもよい。
同様に負極は、例えば集電体としての金属電極基板と、金属電極基板上に負極活物質、および電解質と良好なイオンの授受を行い、かつ、導電助剤と負極活物質を金属基板に固定するためのバインダー等より構成されている。金属電極基板には、例えば銅が用いられるが、これに限るものではなく、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等であってもよい。
本発明の正極は、バインダーが粒子形状を保って導電助剤とともに正極活物質間の凹部に偏在している。つまり、ラテックス時の粒子的な形状のままで導電助剤を結着させ、正極活物質の凹部に納まり、正極活物質をも結着させている。また、一部は正極活物質表面にも点在している。即ち、バインダーが粒子形状を保って導電助剤を結着させて正極活物質の間を埋める海島構造を形成している。
ここで、粒子形状とは、初期の粒子状態をほぼ維持していることを意味する。
これは、本発明で使用されるバインダーが電解液や水に溶解せず、室温以上のある程度高いガラス転移温度(Tg)を有し、室温で形状を保ったまま結着性を有する懸濁粒子であり、ほぼその状態で正極内に存在することを特徴とする。
正極内部がこの状態を保つことで、バインダーが正極活物質や導電助剤を被覆する面積が小さくなり点接着的な働きを行い、内部抵抗を下げることが可能となる。また、そのために正極に含有するバインダー添加量も減らすことが可能となる。内部抵抗が低くなると電子やイオンの伝導がよくなるため、充放電のサイクル特性が良くなるという効果を有する。
これは、正極活物質同士の接触が導電助剤とバインダーとの偏在によって効果的に助長され、電子伝導も効果的に行われる。
さらに、バインダーがほぼ形状を保っているため、正極内に空隙ができやすく電解質溶液の浸み込みを助長し、電解質溶液が良く浸み込むのでイオン電導も良くなる。そのため、内部抵抗が低く、充放電のサイクル特性が良くなると考えている。
本発明で使用される水系バインダーは、以下の構成のアクリル系エマルジョンが好適に用いられる。
(A)(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位と、
(B)(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位と、
(C)多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位、
を含む重合体エマルジョン。
ここで、(A)(メタ)アクリルモノマーとしては、(A−1)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(A−2)(メタ)アクリレートモノマーがあり、これらのそれぞれが1種又は2種以上併用できる。
(A−1)水酸基を有する(メタ)アクリレート系モノマーとしては、分子量が100〜1000のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。具体例としてはジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上併用できる。これらの中でも、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
(A−2)(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、および(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピルである。これら(メタ)アクリル酸エステルモノマーは1種又は2種以上併用できる。
(B)(メタ)アクリル酸モノマーは、エマルジョン作製時の乳化安定性確保や結着性を付与する。(B)(メタ)アクリル酸モノマーの具体例としては、メタクリル酸、アクリル酸が挙げられ、1種又は2種併用できる。メタクリル酸とアクリル酸の2種の組み合わせを重量比1:99〜99:1、例えば5:95〜95:5、特に20:80〜80:20で使用してもよい。
(C)多官能(メタ)アクリレートモノマーは、架橋剤として働く。(C)多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては2官能〜5官能(メタ)アクリレートが挙げられる。2官能〜5官能の架橋剤では、乳化重合での分散が良好であり、バインダーとしての物性(屈曲性、結着性)が優れている。(C)多官能(メタ)アクリレートモノマーは、好ましくは3官能または4官能(メタ)アクリレートである。
2官能(メタ)アクリレートの具体例としてはトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェートなどが挙げられる。
3官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2,2,2-トリス(メタ)アクリロイロキシメチルエチルコハク酸、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレートおよびトリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェートなどが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
4官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールEO付加テトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
5官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは1種であってよく又は2種以上を併用できる。
多官能(メタ)アクリレートの構成単位の量は、(A)(メタ)アクリルモノマーおよび(B)(メタ)アクリル酸モノマーの構成単位100重量部に対して、0.5〜50重量部、例えば1〜40重量部、特に2〜35重量部であってよい。
本発明の重合体は、(A)(メタ)アクリルモノマーから誘導される構成単位、(B)(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位、(C)多官能を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位を含む重合体であり、(A)(メタ)アクリルモノマーには、(A−1)水酸基を有する(メタ)アクリレート系モノマーから誘導される構成単位、(A−2)(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
重合体において、(A−1)水酸基を有するモノマーから誘導される構成単位、(A−2)(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位、(B)(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位、(C)多官能(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位の比が、(A−1)1〜30重量%、(A−2)40〜90重量%および(B)0.5〜20重量%、(C)0.5〜40重量%であり、好ましくは(A−1)1〜25重量%、(A−2)50〜85重量%および(B)1〜15重量%、(C)1〜30重量%である。
その他のモノマーとして、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−シアノアクリレート、シアン化ビニリデン、フマロニトリル等を用いることができる。
本発明の重合体を得る方法としては、一般的な乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、シード粒子にモノマー等を膨潤させた後に重合する方法等を使用することができる。具体的には、攪拌機および加熱装置付きの密閉容器に室温でモノマー、乳化剤、重合開始剤、水、必要に応じて分散剤、連鎖移動剤、pH調整剤等を含んだ組成物を不活性ガス雰囲気下で攪拌することでモノマー等を水に乳化させる。乳化の方法は撹拌、剪断、超音波等による方法等が適用でき、撹拌翼、ホモジナイザー等を使用することができる。次いで、攪拌しながら温度を上昇させて重合を開始させることで、重合体が水に分散した球形の重合体のラテックスを得ることができる。重合時のモノマーの添加方法は、一括仕込みの他に、モノマー滴下やプレエマルジョン滴下等でもよく、これらの方法を2種以上併用してもよい。
また本発明のバインダー中での重合体の粒子構造は特に限定されない。例えば、シード重合によって作製された、コア−シェル構造の複合重合体粒子を含む重合体のラテックスを用いることができる。シード重合法は、例えば、「分散・乳化系の化学」(発行元:工学図書(株))に記載された方法を用いることができる。具体的には、上記の方法で作製したシード粒子を分散した系にモノマー、重合開始剤、乳化剤を添加し、核粒子を成長させる方法であり、上記方法を1回以上繰り返してもよい。
シード重合には本発明の重合体または公知のポリマーを用いた粒子を採用しても良い。公知のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエーテルなどが例示できるが、限定されるものではなく、他の公知のポリマーを用いることができる。また、1種のホモポリマーまたは2種以上の共重合体またはブレンド体を用いても良い。
本発明のバインダー中での重合体の粒子形状としては球形以外に、板状、中空構造、複合構造、局在構造、だるま状構造、いいだこ状構造、ラズベリー状構造等が挙げられ、本発明を逸脱しない範囲で2種類以上の構造および組成の粒子を用いることができる。
本発明の電池電極用バインダー組成物中における上記重合体の粒子径は、動的光散乱法、透過型電子顕微鏡法や光学顕微鏡法などによって計測できる。動的光散乱法を用いて得た散乱強度により算出した平均粒径は、1nm〜1mm、好ましくは1nm〜0.5mmである。具体的な測定装置としてはスペクトリス製のゼータサイザーナノ、堀場製作所製LB−500、シンパテック製NANOPHOX/R等が例示できる。
本発明で用いられる乳化剤は特に限定されず、乳化重合法おいて一般的に用いられるノニオン性乳化剤およびアニオン性乳化剤等を使用することができる。ノニオン乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等があげられ、アニオン性乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩等があげられ、これらを1種または2種以上用いてもよい。アニオン性乳化剤の代表例としてはドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンが挙げられる。
本発明で用いられる乳化剤の使用量は乳化重合法おいて一般的に用いられる量であればよい。具体的には、仕込みのモノマー量に対して、0.01〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.05〜5重量%、更に好ましくは0.05〜3重量%である。モノマー成分として、反応性界面活性剤を用いる場合は、乳化剤の添加は必ずしも必要でない。
本発明で用いられる重合開始剤は特に限定されず、乳化重合法おいて一般的に用いられる重合開始剤を使用することができる。その具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩に代表される水溶性の重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドに代表される油溶性の重合開始剤、ハイドロパーオキサイド、4−4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン、2−2’−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)2−2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロパンアミド、2−2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}、2−2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)および2−2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロパンアミド}などのアゾ系開始剤、レドックス開始剤等が挙げられる。これら重合開始剤は1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる重合開始剤の使用量は乳化重合法おいて一般的に用いられる量であればよい。具体的には、仕込みのモノマー量に対して、0.01〜5重量%の範囲であり、好ましくは0.01〜3重量%、更に好ましくは0.02〜1重量%である。
連鎖移動剤は、必要に応じて用いることができる。連鎖移動剤の具体例としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いてもよい。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、仕込モノマー量100重量部に対して0〜5重量部にて使用される。
重合時間および重合温度は特に限定されない。使用する重合開始剤の種類等から適宜選択できるが、一般的に、重合温度は20〜100℃であり、重合時間は0.5〜100時間である。
さらに上記の方法によって得られた重合体は、必要に応じてpH調整剤として塩基を用いることでpHを調整することができる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、無機アンモニウム化合物、有機アミン化合物等が挙げられる。pHの範囲はpH2〜11、好ましくはpH3〜10、更に好ましくはpH4〜9の範囲である。
<電池電極用スラリーの調整方法>
電池電極用スラリーの調整方法としては特に限定されず、正極活物質あるいは負極活物質、本発明のバインダー組成物、増粘剤、導電助剤、水等を通常の攪拌機、分散機、混練機、遊星型ボールミル、ホモジナイザーなど用いて分散させればよい。分散の効率を上げるために材料に影響を与えない範囲で加温してもよい。
本発明においては、正極が正極活物質と導電助剤とバインダーを少なくとも含有し、バインダーが粒子形状を保って導電助剤とともに正極活物質間の凹部に偏在されていれば、特に製造方法に限定されないが、正極活物質、バインダーを水系溶剤で分散させる工程、さらに導電助剤を添加して分散させる工程、得られたスラリー溶液を集電体上に塗布し、乾燥させる工程を含むことを特徴とする製造方法を例示することができる。
本発明のバインダー組成物を用いた電池電極用スラリーを作製する際に用いる水は特に限定されず、一般的に用いられる水を使用することができる。その具体例としては水道水、蒸留水、イオン交換水および超純水などが挙げられる。その中でも、好ましくは蒸留水、イオン交換水および超純水である。
電池電極用スラリーの塗布性を改善するために、必要に応じて分散剤を、重合体を含むバインダー組成物に予め添加あるいは電池電極用スラリーに添加することもできる。分散剤であれば、種類および使用量は特に限定されず、一般的に用いられる分散剤を任意の量で自由に使用することができる。
電池電極用スラリーの塗布性を改善するために消泡剤を、重合体を含むバインダー組成物に予め添加あるいは電池電極用スラリーに添加することもできる。消泡剤を添加すると電池電極用スラリー調整時に、各成分の分散性が良好になり、スラリーの塗布性が改善され、電極に気泡が残り欠陥となることを防ぐことができるため、結果として電池製造時の歩留まりが改善できる。消泡剤としては金属原子を含まない消泡剤が好ましく、シリコーン系消泡剤、鉱油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤などがある。シリコーン系および鉱油系消泡剤が好ましい。
シリコーン系消泡剤としてはジメチルシリコーン系、メチルフェニルシリコーン系、メチルビニルシリコーン系消泡剤があり、好ましくはジメチルシリコーン系である。また、消泡剤を界面活性剤と共に水中に分散してなるエマルジョン型消泡剤として用いることができる。これらの消泡剤は、それぞれ単独で、または2種以上を混合して使用できる。
本発明の電池電極用バインダー組成物を用いたスラリー組成物の固形分濃度は、10〜90重量%、好ましくは20〜85重量%、より好ましくは30〜80重量%である。
本発明の電池電極用バインダー組成物を用いたスラリー組成物の固形分中の重合体量の割合は、0.1〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.3〜7重量%である。
<電池用電極の作製方法>
電池用の電極の作製方法は特に限定されず一般的な方法が用いられる。電池電極用スラリー(塗工液)をドクターブレード法やアプリケーター法、シルクスクリーン法などにより集電体(金属電極基板)表面上に適切な厚さに均一に塗布することより行われる。
例えばドクターブレード法では、電池電極用スラリーを金属電極基板に塗布した後、所定のスリット幅を有するブレードにより適切な厚さに均一化する。電極は活物質塗布後、余分な有機溶剤および水を除去するため、例えば、100℃の熱風や80℃真空状態で乾燥する。乾燥後の電極はプレス装置によってプレス成型することで電極材が製造される。プレス後に再度熱処理を施して水、溶剤、乳化剤等を除去してもよい。
正極に含まれる正極活物質は、AMO、AM、AMO、AMBOのいずれかの組成からなるアルカリ金属含有複合酸化物である。Aはアルカリ金属、Mは単一または2種以上の遷移金属からなり、その一部に非遷移金属を含んでもよい。BはP、Siまたはその混合物からなる。なお正極活物質は粉末が好ましく、その粒子径には、好ましくは50ミクロン以下、より好ましくは20ミクロン以下のものを用いる。これらの活物質は、3V(vs. Li/Li+)以上の起電力を有するものである。
正極活物質の好ましい具体例としては、LixCoO2, LixNiO2, LixMnO2, LixCrO2, LixFeO2, LixCoaMn1-aO2, LixCoaNi1-aO2, LixCoaCr1-aO2, LixCoaFe1-aO2, LixCoaTi1-aO2, LixMnaNi1-aO2, LixMnaCr1-aO2, LixMnaFe1-aO2, LixMnaTi1-aO2, LixNiaCr1-aO2, LixNiaFe1-aO2, LixNiaTi1-aO2, LixCraFe1-aO2, LixCraTi1-aO2, LixFeaTi1-aO2, LixCobMncNi1-b-cO2, LixCrbMncNi1-b-cO2, LixFebMncNi1-b-cO2, LixTibMncNi1-b-cO2, LixMn2O4, LixMndCo2-dO4, LixMndNi2-dO4, LixMndCr2-dO4, LixMndFe2-dO4, LixMndTi2-dO4, LiyMnO3, LiyMneCo1-eO3, LiyMneNi1-eO3, LiyMneFe1-eO3, LiyMneTi1-eO3, LixCoPO4, LixMnPO4, LixNiPO4, LixFePO4, LixCofMn1-fPO4, LixCofNi1-fPO4, LixCofFe1-fPO4, LixMnfNi1-fPO4, LixMnfFe1-fPO4, LixNifFe1-fPO4,LiyCoSiO4, LiyMnSiO4, LiyNiSiO4, LiyFeSiO4, LiyCogMn1-gSiO4, LiyCogNi1-gSiO4, LiyCogFe1-gSiO4, LiyMngNi1-gSiO4, LiyMngFe1-gSiO4, LiyNigFe1-gSiO4, LiyCoPhSi1-hO4, LiyMnPhSi1-hO4, LiyNiPhSi1-hO4, LiyFePhSi1-hO4, LiyCogMn1-gPhSi1-hO4, LiyCogNi1-gPhSi1-hO4, LiyCogFe1-gPhSi1-hO4, LiyMngNi1-gPhSi1-hO4, LiyMngFe1-gPhSi1-hO4, LiyNigFe1-gPhSi1-hO4などのリチウム含有複合酸化物をあげることができる。(ここで、x=0.01〜1.2, y=0.01〜2.2, a=0.01〜0.99, b=0.01〜0.98, c=0.01〜0.98但し、b+c=0.02〜0.99, d=1.49〜1.99, e=0.01〜0.99, f=0.01〜0.99, g=0.01〜0.99, h=0.01〜0.99である。)
また、前記好ましい正極活物質のうち、より好ましい正極活物質としては、具体的には、LixCoO2, LixNiO2, LixMnO2, LixCrO2, LixCoaNi1-aO2, LixMnaNi1-aO2, LixCobMncNi1-b-cO2, LixMn2O4, LiyMnO3, LiyMneFe1-eO3, LiyMneTi1-eO3, LixCoPO4, LixMnPO4, LixNiPO4, LixFePO4, LixMnfFe1-fPO4, をあげることができる。(ここで、x=0.01〜1.2, y=0.01〜2.2, a=0.01〜0.99, b=0.01〜0.98, c=0.01〜0.98但し、b+c=0.02〜0.99, d=1.49〜1.99, e=0.01〜0.99, f=0.01〜0.99である。なお、上記のx, yの値は充放電によって増減する。)
本発明で使用される負極活物質としてはリチウムイオンを吸蔵・放出可能な構造(多孔質構造)を有する炭素材料(天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質炭素等)か、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム、アルミニウム系化合物、スズ系化合物、シリコン系化合物、チタン系化合物等の金属からなる粉末である。粒子径は10nm以上100μm以下が好ましく、更に好ましくは20nm以上20μm以下である。また、金属と炭素材料との混合活物質として用いてもよい。なお負極活物質にはその気孔率が、70%程度のものを用いるのが望ましい。
導電助剤の具体例としては、黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維、または金属粉末等が挙げられる。これら導電助剤は1種または2種以上用いてもよい。
<電池の製造方法>
本発明の電極を用いた電池、特に二次電池の製造方法は特に限定されず、正極、負極、セパレータ、電解液、集電体で構成され、公知の方法にて製造される。例えば、コイン型のリチウムイオン二次電池の場合、正極、セパレータ、負極を外装缶に挿入する。これに電解液を入れ含浸する。その後、封口体とタブ溶接などで接合して、封口体を封入し、カシメることで蓄電池が得られる。電池の形状は限定されないが、例としてはコイン型、円筒型、シート型などがあげられ、2個以上の電池を積層した構造でもよい。
セパレータとしては正極と負極が直接接触して電池内でショートすることを防止するものであり、公知の材料を用いることができる。具体的には、ポリオレフィンなどの多孔質高分子フィルムあるいは紙などからなっている。この多孔質高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのフィルムが電解液によって影響を受けないため好ましい。
電解液は電解質リチウム塩化合物および溶媒として非プロトン性有機溶剤等からなる溶液である。電解質リチウム塩化合物としては、リチウムイオン電池に一般的に利用されているような、広い電位窓を有するリチウム塩化合物が用いられる。たとえば、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiN[CF3SC(C25SO23]2などを挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
非プロトン性有機溶剤としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジプロピルカーボネート、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、アニソール、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、ジエチルエーテルなどの直鎖エーテルを使用することができ、2種類以上混合して使用してもよい。
また、溶媒として常温溶融塩を用いることができる。常温溶融塩とは、常温において少なくとも一部が液状を呈する塩をいい、常温とは電源が通常作動すると想定される温度範囲をいう。電源が通常作動すると想定される温度範囲とは、上限が120℃程度、場合によっては60℃程度であり、下限は−40℃程度、場合によっては−20℃程度である。
常温溶融塩はイオン性液体とも呼ばれており、ピリジン系、脂肪族アミン系、脂環族アミン系の4級アンモニウム有機物カチオンが知られている。4級アンモニウム有機物カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム、などのイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。特に、イミダゾリウムカチオンが好ましい。
なお、テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アルキルピリジウムイオンとしては、N−メチルピリジウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、1−エチル−2メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−2,4ジメチルピリジニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いても良い。
電解液には必要に応じて種々の添加剤を使用することができる。例えば、難燃剤や不燃剤として、臭素化エポキシ化合物、ホスファゼン化合物、テトラブロムビスフェノールA 、塩素化パラフィン等のハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル、ポリリン酸塩、及びホウ酸亜鉛等が例示できる。負極表面処理剤としてはビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等が例示できる。正極表面処理剤として炭素や金属酸化物(MgОやZrO等)の無機化合物やオルト−ターフェニル等の有機化合物等が例示できる。過充電防止剤としてはビフェニルや1−(p−トリル)アダマンタン等が例示できる。
本発明を実施するための具体的な形態を以下に実施例を挙げて説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、電極及びコイン電池を作製し、電極の評価として電極の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)写真による状態観察、電極の屈曲試験、結着性試験、コイン電池の評価として内部抵抗測定、充放電サイクル特性試験を以下の実験にて行った。
[作製した電極の表面状態観察]
作製した電極の表面を走査型電子顕微鏡を用いて以下の条件で状態観察を行なった。
走査型電子顕微鏡:JSM−6700S(日本電子(株)社製)
加速電圧:2kV
倍率:1,000倍、10,000倍および20,000倍
ワーキングディスタンス:3.0〜3.4mm
前処理:なし
[作製した電極の物性評価]
作製した電極の物性評価としては、屈曲試験と結着性試験を行った。評価結果を表1にまとめて示した。
<屈曲試験>
屈曲試験はマンドレル屈曲試験にて行った。具体的には電極を幅3cm×長さ8cmに切り、長さ方向の中央(4cm部分)の基材側(電極表面が外側を向くように)に直径2mmのステンレス棒を支えにして180°折り曲げたときの折り曲げ部分の塗膜の状態を観察した。この方法で5回測定を行い、5回とも電極表面のひび割れまたは剥離や集電体からの剥がれが全く生じていない場合を○、1回でも1箇所以上のひび割れまたは剥がれが生じた場合を×と評価した。
<結着性試験>
結着性試験はクロスカット試験にて行った。具体的には電極を幅3cm×長さ4cmに切り、1マスの1辺が1mmとなるように直角の格子パターン状にカッターナイフで切れ込みを入れ、縦5マス×横5マスの25マスからなる碁盤目にテープ(粘着テープ:ニチバン製)を貼り付け、電極を固定した状態でテープを一気に引き剥がしたとき、電極から剥がれずに残ったマスの数を計測した。試験は5回実施し、その平均値を求めた。
[作製した電池の特性評価]
作製したコイン電池の特性評価としては、充放電による内部抵抗の測定と、充放電装置を用いて充放電サイクル特性試験を行い、容量維持率を求めた。評価結果を表2にまとめて示した。
<内部抵抗の測定>
作製したリチウムイオン電池を、定電流−定電圧充電により、4.2Vまで充電した。終止電流は2C相当であった。充電後、電池を10分間休止させた。次いで定電流放電を実施し、電流値I(mA)及び10秒後の電圧降下ΔE(mV)より、リチウムイオン電池の内部抵抗R(Ω)=ΔE/Iを測定した。
<容量維持率>
正極活物質としてマンガン酸リチウムや3元系を使用した場合、電気化学特性は東洋システム(株)製の充放電装置を用い、4.2Vを上限、3.0Vを下限とし、初回から3回目において8時間で所定の充電および放電が行える試験条件(C/8)、4回目以降1Cにて一定電流通電により正極の充放電サイクル特性を評価した。試験温度は60℃環境とした。容量維持率は充放電を100サイクル行った後の容量と4サイクル目の容量の比で評価した。
<バインダーの合成例>
[バインダーの実施合成例1]
攪拌機付き反応容器に、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油製:ブレンマーAP−400)6重量部、メタアクリル酸メチル77重量部、アクリル酸3重量部、メタアクリル酸6重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)8重量部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王製:エマール10G)の固形分として2重量部、イオン交換水150重量部および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液のpHを8.2に調整し、バインダーA(重合転化率99%以上)(固形分濃度40wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.213μmであった。
[バインダーの実施合成例2]
攪拌機付き反応容器に、メタアクリル酸メチル57重量部、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油製:ブレンマーAP−400)23重量部、アクリル酸1重量部、メタアクリル酸4重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)15重量部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王製:エマール10G)の固形分として2重量部、イオン交換水150重量部および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液をpH8.1に調整し、バインダーB(重合転化率99%以上)(固形分濃度41wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.193μmであった。
[バインダーの実施合成例3]
攪拌機付き反応容器に、メタアクリル酸メチル72重量部、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油製:ブレンマーAP−400)12重量部、アクリル酸3重量部、メタアクリル酸6重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)7重量部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王製:エマール10G)の固形分として3重量部、イオン交換水150重量部および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液をpH8.1に調整し、バインダーC(重合転化率99%以上)(固形分濃度40wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.219μmであった。
[バインダーの実施合成例4]
攪拌機付き反応容器に、メタアクリル酸メチル70重量部、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート(日油製:ブレンマーAE−90)5重量部、アクリル酸1重量部、メタアクリル酸4重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)20重量部、乳化剤としてとしてラウリル硫酸ナトリウム(花王製:エマール10G)の固形分として3重量部、イオン交換水150重量部および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液をpH8.1に調整し、バインダーD(重合転化率99%以上)(固形分濃度40wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.204μmであった。
[バインダーの実施合成例5]
攪拌機付き反応容器に、アクリル酸ブチル74重量部、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート(日油製:ブレンマーPE−90)6重量部、アクリル酸3重量部、メタアクリル酸10重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学製:A−TMPT)7重量部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム溶液(花王製:エマール2F−30)の固形分として2重量部、イオン交換水150重量部および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させたのち、窒素雰囲気下で60℃に加温し5時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液をpH8.1に調整し、バインダーE(重合転化率99%以上)(固形分濃度41wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.199μmであった。
[バインダーの比較合成例1]
攪拌機付き反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート10.75重量部、アクリロニトリル1.25重量部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム溶液(花王製:エマール2F−30)の固形分として0.12重量部、イオン交換水89重量部および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.2重量部を入れ、ホモジナイザーを用いて十分乳化させた後、窒素雰囲気下で60℃に加温し90分重合させたのち、2−エチルヘキシルアクリレート67重量部、アクリロニトリル19重量部、メタクリル酸2重量部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム溶液(花王製:エマール2F−30)の固形分として0.7重量部、イオン交換水46重量部を加えてホモジナイザーを用いて十分乳化させた溶液を反応器の中に180分かけて滴下したのち、60℃で3時間重合し、その後冷却した。冷却後、28%アンモニア水溶液を用いて、重合液をpH8.1に調整し、バインダーF(重合転化率99%以上)(固形分濃度42wt%)を得た。得られた重合体の平均粒子径は0.154μmであった。
電池の作製例
[実施例1]
[電極の実施作製例1]
正極活物質には、平均粒径13.5μmのマンガン酸リチウムを用いた。この正極活物質94重量部に対して、バインダーとして合成例1で得られたバインダーAの固形分として2重量部、水を溶媒として添加し、遊星ミルを用いて、8時間混練した。十分に分散されたスラリーにさらに、導電助剤としてアセチレンブラックを4重量部添加し、スラリーの固形分が55重量%となるように水を添加して遊星ミルを用いて、さらに2時間混練して正極用のスラリー組成物1を得た。
得られた正極用のスラリー組成物1を厚さ20μmのアルミニウム集電体上に130μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスして、更にアルゴンガス雰囲気下にて120℃で12時間熱処理を施して、厚さ40μmの正極シート1を作製した。
得られた正極シート1のロールプレス前の表面を、走査型電子顕微鏡を用いて前述の条件で観察した。得られた写真が[図1]、[図2]および[図3]である。図1から判るように、バインダーは導電助剤と一緒になって活物質の凹部に偏在しており、図2、図3には、球状の状態で導電助剤と絡んで接着している様子が見てとれる。
[コイン電池の実施製造例1]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、コインセルに電極の実施作製例1で得た正極、セパレータとして厚み18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を2枚、更に対極として厚さ300μmの金属リチウム箔を貼り合わせた積層物を入れ、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとジメチルカーボネート溶液(体積比1:1)を十分に含浸させてコインセルでふたをしてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。内部抵抗の測定結果と100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の実施例1に示す。
[実施例2]
[電極の実施作製例2]
正極活物質には、平均粒径13.5μmのマンガン酸リチウムを用いた。この正極活物質94重量部に対して、バインダーとして合成例2で得られたバインダーBの固形分として2重量部、水を溶媒として添加し、遊星ミルを用いて、8時間混練した。十分に分散されたスラリーにさらに、導電助剤としてアセチレンブラックを4重量部添加し、スラリーの固形分が55重量%となるように水を添加して遊星ミルを用いて、さらに2時間混練して正極用のスラリー組成物2を得た。
得られた正極用のスラリー組成物2を厚さ20μmのアルミニウム集電体上に130μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスして、更にアルゴンガス雰囲気下にて120℃で12時間熱処理を施して、厚さ40μmの正極シート2を作製した。
得られた正極シート2のロールプレス前の表面を走査型電子顕微鏡を用いて前述の条件で観察した。得られた写真が[図4]である。図4から判るように、バインダーは導電助剤と一緒になって活物質の凹部に偏在しており、球状の状態で導電助剤と絡んで接着している。また、活物質表面にも点在している様子が見てとれる。
[コイン電池の実施製造例2]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、コインセルに電極の実施作製例2で得た正極、セパレータとして厚み18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を2枚、更に対極として厚さ300μmの金属リチウム箔を貼り合わせた積層物を入れ、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとジメチルカーボネート溶液(体積比1:1)を十分に含浸させてコインセルでふたをしてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。内部抵抗の測定結果と100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の実施例2に示す。
[実施例3]
[電極の実施作製例3]
正極活物質には、平均粒径10μmのコバルト酸リチウムを用いた。この正極活物質94重量部に対して、バインダーとして合成例3で得られたバインダーCの固形分として2重量部、水を溶媒として添加し、遊星ミルを用いて、7時間混練した。十分に分散されたスラリーにさらに、導電助剤としてアセチレンブラックを4重量部添加し、スラリーの固形分が55重量%となるように水を添加して遊星ミルを用いて、さらに3時間混練して正極用のスラリー組成物3を得た。
得られた正極用のスラリー組成物3を厚さ20μmのアルミニウム集電体上に130μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスして、更にアルゴンガス雰囲気下にて120℃で12時間熱処理を施して、厚さ40μmの正極シート3を作製した。
得られた正極シート3のロールプレス前の表面を走査型電子顕微鏡を用いて前述の条件で観察した。その結果、実施例2の正極と同じようにバインダーは導電助剤と一緒になって活物質の凹部に偏在しており、球状の状態で導電助剤と絡んで接着している。また、活物質表面にも点在していた。
[コイン電池の実施製造例3]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、コインセルに電極の実施作製例3で得た正極、セパレータとして厚み18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を2枚、更に対極として厚さ300μmの金属リチウム箔を貼り合わせた積層物を入れ、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとジメチルカーボネート溶液(体積比1:1)を十分に含浸させてコインセルでふたをしてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。内部抵抗の測定結果と100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の実施例3に示す。
[実施例4]
[電極の実施作製例4]
正極活物質には、平均粒径10μmのニッケル/マンガン/コバルト酸リチウム(3元系)を用いた。この正極活物質95重量部に対して、バインダーとして合成例4で得られたバインダーDの固形分として2重量部、水を溶媒として添加し、遊星ミルを用いて、7時間混練した。十分に分散されたスラリーにさらに、導電助剤としてアセチレンブラックを3重量部添加し、スラリーの固形分が55重量%となるように水を添加して遊星ミルを用いて、さらに3時間混練して正極用のスラリー組成物4を得た。
得られた正極用のスラリー組成物4を厚さ20μmのアルミニウム集電体上に130μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスして、更にアルゴンガス雰囲気下にて120℃で12時間熱処理を施して、厚さ45μmの正極シート4を作製した。
得られた正極シート4の表面を走査型電子顕微鏡を用いて前述の条件で観察した。その結果、実施例2の正極と同じようにバインダーは導電助剤と一緒になって活物質の凹部に偏在しており、球状の状態で導電助剤と絡んで接着している。また、活物質表面にも点在していた。
[コイン電池の実施製造例4]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、コインセルに電極の実施作製例4で得た正極、セパレータとして厚み18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を2枚、更に対極として厚さ300μmの金属リチウム箔を貼り合わせた積層物を入れ、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとジメチルカーボネート溶液(体積比1:1)を十分に含浸させてコインセルでふたをしてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。内部抵抗の測定結果と100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の実施例4に示す。
[実施例5]
[電極の実施作製例5]
正極活物質には、平均粒径10μmのニッケル/マンガン/コバルト酸リチウム(3元系)を用いた。この正極活物質95重量部に対して、バインダーとして合成例5で得られたバインダーEの固形分として2重量部、水を溶媒として添加し、遊星ミルを用いて、7時間混練した。十分に分散されたスラリーにさらに、導電助剤としてアセチレンブラックを3重量部添加し、スラリーの固形分が55重量%となるように水を添加して遊星ミルを用いて、さらに3時間混練して正極用のスラリー組成物5を得た。
得られた正極用のスラリー組成物5を厚さ20μmのアルミニウム集電体上に130μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスして、更にアルゴンガス雰囲気下にて120℃で12時間熱処理を施して、厚さ45μmの正極シート5を作製した。
得られた正極シート5の表面を走査型電子顕微鏡を用いて前述の条件で観察した。その結果、実施例2の正極と同じようにバインダーは導電助剤と一緒になって活物質の凹部に偏在しており、球状の状態で導電助剤と絡んで接着している。また、活物質表面にも点在していた。
[コイン電池の実施製造例5]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、コインセルに電極の実施作製例5で得た正極、セパレータとして厚み18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を2枚、更に対極として厚さ300μmの金属リチウム箔を貼り合わせた積層物を入れ、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとジメチルカーボネート溶液(体積比1:1)を十分に含浸させてコインセルでふたをしてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。内部抵抗の測定結果と100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の実施例5に示す。
[比較例1]
[電極の比較作製例1]
正極活物質には、平均粒径13.5μmのマンガン酸リチウムを用いた。この正極活物質94重量部に対して、導電助剤としてアセチレンブラックを4重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF:固形分濃度12重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液)の固形分2重量部を加え、更に、スラリーの固形分が55重量%となるようにNMP(N−メチルピロリドン)を溶媒として遊星ミルを用いて、10時間混練して正極用のスラリー組成物6を得た。
得られた正極用のスラリー組成物を厚さ20μmのアルミニウム集電体上に130μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスして、更にアルゴンガス雰囲気下にて120℃で12時間熱処理を施して、厚さ40μmの正極シート6を作製した。
得られた正極シート6の表面を前述の条件で走査型電子顕微鏡を用いて前述の条件で観察した。得られた写真が[図5]および[図6]である。図4から判るように、活物質表面にもバインダーが貼り付いている感じがあり、図6ではバインダーが活物質表面にべったり膜として付いている様子が見られる。
[コイン電池の比較製造例1]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、コインセルに電極の実施作製例1で得た正極、セパレータとして厚み18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を2枚、更に対極として厚さ300μmの金属リチウム箔を貼り合わせた積層物を入れ、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとジメチルカーボネート溶液(体積比1:1)を十分に含浸させてコインセルでふたをしてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。内部抵抗の測定結果と100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の比較例1に示す。
[比較例2]
[電極の比較作製例2]
正極活物質には、平均粒径13.5μmのマンガン酸リチウムを用いた。この正極活物質94重量部に対して、導電助剤としてアセチレンブラックを4重量部、水を溶媒として添加し、さらに、バインダーとして比較合成例1で得られたバインダーFの固形分として2重量部を添加し、遊星ミルを用いて、8時間混練した。十分に分散されたスラリーにさらに、スラリーの固形分が55重量%となるように水を添加して遊星ミルを用いて、さらに2時間混練して正極用のスラリー組成物7を得た。
得られた正極用のスラリー組成物7を厚さ20μmのアルミニウム集電体上に130μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、110℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスして、更にアルゴンガス雰囲気下にて120℃で12時間熱処理を施して、厚さ40μmの正極シート7を作製した。
得られた正極シート7の表面を前述の条件で走査型電子顕微鏡を用いて前述の条件で観察した。比較例1と同様に活物質表面にもバインダーが貼り付いている感じがあり、拡大するとバインダーが活物質表面に膜として付いている様子が見られた。
[コイン電池の比較製造例2]
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内において、コインセルに電極の実施作製例1で得た正極、セパレータとして厚み18μmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン多孔質膜を2枚、更に対極として厚さ300μmの金属リチウム箔を貼り合わせた積層物を入れ、電解液として1mol/Lの6フッ化リン酸リチウムのエチレンカーボネートとジメチルカーボネート溶液(体積比1:1)を十分に含浸させてコインセルでふたをしてかしめ、試験用2032型コイン電池を製造した。内部抵抗の測定結果と100サイクル後の容量維持率の評価結果を表1の比較例2に示す。
表1に実施例および比較例の電極の物性評価結果を示す。
表2に実施例および比較例のコイン電池の評価結果を示す。
本発明の正極を用いたリチウムイオン電池である実施例1〜実施例5は比較例1〜2と比べて接着性に優れており、またコイン電池としても比較例1〜2に比べて内部抵抗が低く、その結果、100サイクル後の容量維持率においても、非常に優れていることが示された。
本発明の非水電解質二次電池は高容量で、かつ、サイクル充放電特性に優れている。本発明の電池は携帯電話やノートパソコン、カムコーダーなどの電子機器など小型の電池から、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの車載用途や家庭用電力貯蔵用の蓄電池といった大型の二次電池用途に好適に利用可能である。

Claims (11)

  1. 正極が正極活物質と導電助剤とバインダーを少なくとも含有し、バインダーが粒子形状を保って導電助剤とともに正極活物質間の凹部に偏在していることを特徴とする二次電池。
  2. 正極に含まれるバインダーが粒子形状を保って導電助剤と結着して正極活物質の間を埋める海島構造として偏在していることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  3. 正極に含まれるバインダーが粒子形状を保って導電助剤とともに、正極活物質表面にも点在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二次電池。
  4. 正極に含まれる導電助剤の含有量が正極活物質100重量部に対して1〜20重量部であり、バインダーの含有量が1〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池。
  5. 正極に含まれるバインダーが水系バインダーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池。
  6. 正極に含まれるバインダーがアクリル系共重合体を架橋させたバインダーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池。
  7. 該水系バインダーが、(A)(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位と、(B)(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位と、
    (C)5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーとから誘導される構成単位と、
    を含むアクリル系重合体であることを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
  8. リチウムイオン電池として構成されたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の二次電池。
  9. 正極活物質、バインダーを水系溶剤で分散させる工程、さらに導電助剤を添加して分散させる工程、得られたスラリー溶液を集電体上に塗布し、乾燥させる工程を含むことを特徴とする正極の製造方法。
  10. 該水系バインダーが、(A)(メタ)アクリレートモノマーから誘導される構成単位と、(B)(メタ)アクリル酸モノマーから誘導される構成単位と、
    (C)5官能以下の多官能(メタ)アクリレートモノマーとから誘導される構成単位と、
    を含むアクリル系重合体であることを特徴とする請求項9に記載の正極の製造方法。
  11. 請求項9または請求項10に記載の正極を用いたことを特徴とする二次電池の製造方法
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