JP2014216297A - 燃料電池用単セル,燃料電池,および燃料電池用単セルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以上に鑑み,本発明は,発電および発熱の均一化が容易な燃料電池用単セル,燃料電池,および燃料電池用単セルの製造方法を提供することを目的とする。
燃料ガスの流れる方向に関して上流側と,前記燃料ガスの流れる方向に関して下流側とでの組成比が略同一の,第1のセラミック材料と,前記上流側と,前記下流側とでの組成比が略同一の,金属材料とで構成された複合材料,を含み,
前記上流側での抵抗率が前記下流側での抵抗率より大きい,燃料極層と,
前記燃料極層に積層され,第2のセラミック材料を含む,固体電解質層と,
前記固体電解質層に積層され,第3のセラミック材料を含む,空気極層と,
を具備する。
燃料ガスは,上流側から下流側に流れる間に,流れが拡がり,また燃料ガスが消費される。従い,燃料ガスは上流側から下流側にかけて濃度勾配があるのが通例である。このため,上流側,下流側の抵抗率が等しいと,上流側で燃料ガスの消費,発熱が集中し,燃料電池用単セル内で温度が不均一となり,燃料電池用単セルが破損する畏れがある。
これに対して,本態様では,上流側での抵抗率が前記下流側での抵抗率より大きいことで,上流側での燃料ガスの消費が低減され,燃料電池用単セル内での発電および温度が均一化される。
抵抗率が,連続的に変化することで,燃料電池用単セル内での発電および温度がより均一化される。
組成比が略同一の状態で,上流側での金属材料の粒径を,下流側での金属材料の粒径より大きくすることで,上流側での抵抗率を下流側での抵抗率より大きくすることができる。組成比が略同一の状態で,粒径を大きくすると,金属材料の粒同士が離間し易くなり,抵抗率が増加する。
燃料極層の表面近傍での発電反応を低減し,燃料極層の電極面方向での発電および温度が均一化される。
組成比が略同一の状態で,表面側での金属材料の粒径を,固体電解質層側での金属材料の粒径より大きくすることで,表面側での抵抗率を固体電解質層側での抵抗率より大きくすることができる。
燃料電池での発電および温度が均一化される。
第1のセラミック材料および金属材料を含む,燃料極層と,
前記燃料極層に積層され,第2のセラミック材料を含む,固体電解質層と,
前記固体電解質層に積層され,第3のセラミック材料を含む,空気極層と,
を有する構造体を準備する工程と,
水蒸気を含むガスの流れに前記燃料極層を暴露する工程と,
を具備する。
燃料極層の電極面に沿って,抵抗率の勾配を形成できる。
対向する流入口,流出口間に抵抗率の勾配を形成できる。
水素ガス,窒素ガスの何れかを含むガスを用いて,抵抗率の勾配を形成できる。
10mol%以上,70mol%以下の水蒸気を含むガスを用いて,抵抗率の勾配を形成できる。水蒸気がNiに接触すると,Niが酸化される。これと同時に水素が発生し,この水素により,酸化されたNiの一部が還元してNiに戻る。水蒸気の濃度が10mol%未満では,水蒸気が不足し,燃料極層の上流側でも,Niの凝集が不十分となる可能性がある。水蒸気の濃度が70mol%より大きいと,燃料極層の上流側で,Niの酸化が支配的となり,還元されたNiが再酸化する。この再酸化は,Niの体積を膨張させ,その結果,単セルが割れる可能性がある。
(第1の実施の形態)
図1は,第1の実施形態に係る燃料電池スタック(燃料電池)100を表す斜視図である。燃料電池スタック100は,電池単位103,空気供給流路104,空気排気流路105,燃料供給流路106,燃料排気流路107,固定部材109から構成される。
電池単位103は,発電の最小単位であり,インターコネクタ112,113,単セル120,空気室116,燃料室(ガス室)117,集電体118,119,を有する。
単セル120は,インターコネクタ112,113のほぼ中間に位置し,電解質102,空気極114,燃料極115を有する。電解質102の上面,下面に空気極114,燃料極115が配置される。なお,この詳細は後述する。
空気室116は,インターコネクタ112と空気極114との間に配置され,酸化剤ガスが供給される空間である。空気室116は,セパレータ123,空気極絶縁フレーム124, インターコネクタ112によって形成される。
空気極絶縁フレーム124は,セパレータ123と上のインターコネクタ112との間に設置されて,集電体118の周りを囲う枠形状の絶縁フレームである。
燃料室117は,インターコネクタ113と燃料極115との間に配置され,燃料ガスが供給される空間である。燃料室117は,インターコネクタ113,燃料極絶縁フレーム121,および燃料極フレーム122との組合せによって形成される。
集電体118は,空気室116の内部に配置され,空気極114と上のインターコネクタ112とを電気的に接続する接続部材である。
集電体119は,燃料室117の内部に配置され,燃料室117と下のインターコネクタ113とを電気的に接続する接続部材である。
連接部119cは,コネクタ当接部119aと単セル当接部119bとをつなぐU字状の部材である。
燃料電池スタック100は,前記電池単位103を複数セット積層してセル群となし,該セル群を固定部材109で固定して構成される。
なお,電池単位103を複数セット積層した場合において,下に位置する電池単位103の上のインターコネクタ112と,その上に載る電池単位103の下のインターコネクタ113は,一体にして上下の電池単位103,103同士で共有する。
一対のエンドプレート145a,145bは,セル群の上下を挟む。
締め付け部材146a〜146dは,エンドプレート145a,145bとセル群をエンドプレート145a,145bのコーナー孔(図示せず)とセル群の前記コーナー通孔147にボルトを通してナットで締め付ける。締め付け部材146a〜146dの材質は,例えばインコネル601である。
以下,単セル120の詳細を説明する。図3は,単セル120の模式断面図である。既述のように,単セル120は,電解質(固体電解質層)102,空気極(空気極層)114,燃料極(燃料極層)115を有する。
電解質102と空気極114の間に,これらの間での反応を防止する反応防止層を配置しても良い。反応防止層は,例えば,ガドリアドープセリア(GDC)から構成できる。
但し,体積抵抗率自体の測定が困難な場合,体積抵抗率に替えて表面抵抗率(シート抵抗率)を用いることができる。
なお,図3では,電解質102側での燃料極115中の,金属粒子115の粒径も大きくなっており,金属粒子115の粗大化が進んだ状態を表す。
図4は,変形例に係る単セル120aを示す。
単セル120aでは,燃料ガスの上流側において,表面側での燃料極115中の,金属粒子115bの粒径が,電解質102側での燃料極115中の,金属粒子115bの粒径より大きい。
図5は,比較例に係る単セル120xを示す。
単セル120xでは,燃料極115中の,金属粒子115bの粒径は均一であり,燃料極115の抵抗率も均一である。
図6,図7はそれぞれ,単セル120xと単セル120(または単セル120a)での発熱状態を表す模式上面図である。
単セル120xでは,燃料極115の抵抗率が均一である(導電パスが均一に燃料極115内に分布している)。そのため,図6に示すように,燃料ガスが最初に通る入口部分(上流側)に発電が集中してしまう。このとき,発生した熱の逃げ場が下流側にしか無く,熱の逃げ場が制限され,上流側に発電,発熱が集中する(発電(・発熱)集中領域R0の発生)。
以下,本実施形態に係る単セル120(あるいは変形例に係る単セル120a)の製造手順を説明する。次に示すように,燃料電池スタック100形成後の処理により,燃料極115での抵抗率に上流側から下流側にかけて抵抗率の分布を形成できる。
複数の電池単位103を積層して,燃料電池スタック100を形成する。既述のように,電池単位103には,燃料ガス(例:水素)を流入,流出する燃料供給連絡部(ガス流入口)140,燃料排気連絡部(ガス流出口)144が対向して設けられている。
燃料電池スタック100を例えば,700℃まで電気炉で加熱し,空気極114に空気を,燃料極115に水素を導入する。この状態で,例えば,3時間放置する。
なお,この段階では,金属粒子は,上流側,下流側で粒径に実質的な違いを有しない。
次のように,燃料極115中の金属粒子の酸化,還元を繰り返すことで,ガス上流部で電子伝導性が断絶した燃料極115を作成できる。
ここで,ガス上流部に位置する燃料極115のすべてが下流部より高抵抗率である必要はない。上流部の一部が,下流部よりも抵抗率が低いことが許容される。即ち,平均的な抵抗率が,上流側で高く,下流側で低ければ良い。
作成された燃料極115のガス上流部と下流部からそれぞれ5.0mmx20mmの短冊片をサンプリングし,4探針法抵抗測定器により,サンプルの抵抗率を計測する(水蒸気に曝された面を計る)。これにより,上流部の方が下流部より表面抵抗率(シート抵抗率)が2倍以上高くなっていることが判った。
なお,燃料極115の厚さ等が均一であることから,体積抵抗率も同様の傾向で有ると考えられる。
図10は,第2の実施形態に係る燃料電池スタック(燃料電池)100aを表す模式斜視図である。
燃料電池スタック100aは,略円筒形状の単セル120aを有する。単セル120aは,電解質102,空気極114,燃料極115を有する。単セル120aの内部に燃料ガスが流入,流出する。ここでは,略円筒形状としているが,扁平な筒形状であっても,良い。
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
102 電解質
103 電池単位
104 空気供給流路
105 空気排気流路
106 燃料供給流路
107 燃料排気流路
109 固定部材
112,113 インターコネクタ
114 空気極
115 燃料極
115a 酸素イオン導電性酸化物セラミック粒子
115b 金属粒子
116 空気室
117 燃料室
118 集電体
119 集電体
119a コネクタ当接部
119b 単セル当接部
119c 連接部
120 単セル
121 燃料極絶縁フレーム
122 燃料極フレーム
123 セパレータ
124 空気極絶縁フレーム
129 空気供給通孔
145a,145b エンドプレート
146a-146d 締め付け部材
158 スペーサ
Claims (11)
- 燃料ガスの流れる方向に関して上流側と,前記燃料ガスの流れる方向に関して下流側とでの組成比が略同一の,第1のセラミック材料と,前記上流側と,前記下流側とでの組成比が略同一の,金属材料とで構成された複合材料,を含み,
前記上流側での抵抗率が前記下流側での抵抗率より大きい,燃料極層と,
前記燃料極層に積層され,第2のセラミック材料を含む,固体電解質層と,
前記固体電解質層に積層され,第3のセラミック材料を含む,空気極層と,
を具備することを特徴とする燃料電池用単セル。 - 前記燃料極層の抵抗率が,前記上流側から前記下流側にかけて,連続的に変化する部分を有する,
ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用単セル。 - 前記上流側での前記燃料極層中の,前記金属材料の粒径が,前記下流側での前記燃料極層中の,前記金属材料の粒径より大きい,
ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用単セル。 - 表面側での前記燃料極層の抵抗率が,前記固体電解質層側での前記燃料極層の抵抗率より大きい,
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池用単セル。 - 前記表面側での前記燃料極層中の,前記金属材料の粒径が,前記固体電解質層側での前記燃料極層中の,前記金属材料の粒径より大きい
ことを特徴とする請求項4記載の燃料電池用単セル。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃料電池用単セル,
を具備することを特徴とする燃料電池。 - 第1のセラミック材料および金属材料を含む,燃料極層と,
前記燃料極層に積層され,第2のセラミック材料を含む,固体電解質層と,
前記固体電解質層に積層され,第3のセラミック材料を含む,空気極層と,
を有する構造体を準備する工程と,
水蒸気を含むガスの流れに前記燃料極層を暴露する工程と,
を具備することを特徴とする燃料電池用単セルの製造方法。 - 前記暴露する工程において,前記燃料極層の電極面に沿って,前記ガスを流す,
ことを特徴とする請求項7記載の燃料電池用単セルの製造方法。 - 前記暴露する工程において,流入口から前記ガスを流入させ,流出口から前記ガスを流出させ,これら流入口,流出口が前記燃料極を挟むように対向して配置される
ことを特徴とする請求項8記載の燃料電池用単セルの製造方法。 - 前記水蒸気を含むガスが,水素ガス,窒素ガスの何れかを含む,
ことを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の燃料電池用単セルの製造方法。 - 前記水蒸気を含むガスが,10mol%以上,70mol%以下の水蒸気を含む,
ことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の燃料電池用単セルの製造方法。
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