JP2014216119A - 固体酸化物形燃料電池用グリーンシートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような封止部は、通常、例えばインターコネクタと単セルとの間(典型的にはインターコネクタと該単セルを構成するアノード層との間)にペースト状の封止材料(典型的にはガラスペースト)を付与したり、あるいは当該封止部位に焼結体(典型的にはガラスバルク焼結体)を配置したりして、これを焼成することによって形成される。
SiO2 60〜75質量%;
Al2O3 5〜20質量%;
Li2O、Na2OおよびK2Oのうちの少なくとも1種 3〜20質量%;
MgO、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1種 3〜20質量%;
から実質的に構成されている。かかる組成のガラスから構成される封止部は、緩衝作用を有し、より一層優れた気密性を発揮することができる。すなわち、このような組成のガラスはSOFCの使用温度域にガラス軟化点を有するため、封止部において好適な緩衝性能(応力緩和によるセル破損防止)を発揮し得、より高いシール性能(密着性)を実現することができる。したがって、本願発明の効果を高いレベルで発揮することができる。
(1)少なくとも導電性材料とバインダとを含むアノード層形成用の原料混合物を用意すること;
(2)上記アノード層形成用原料混合物を用いて、ロール成形によってアノード層を成形すること;
(3)少なくともガラスとバインダとを含む封止部形成用の原料混合物を用意すること;および、
(4)上記成形したアノード層と、上記封止部形成用原料混合物とを用いて、ロール成形によって上記アノード層と上記封止部とを備えるグリーンシートを成形すること;
を包含する。そして、上記アノード層形成用原料混合物および上記封止部形成用原料混合物の用意は、当該混合物に含まれる有機物の含有率が10質量%未満となるよう行う。
かかる方法によれば、より効率よく低コストで、有機物含有率の低減されたグリーンシートを製造することができる。また、かかる方法で得られたグリーンシートによれば、封止部の気密性に優れ、高い発電性能を長期に渡って発現可能なSOFCを実現することができる。
なお、本明細書において「気孔率」とは、水銀圧入法の測定によって得られる気孔容積Vbを見かけの体積Vaで除して100を掛けることにより算出した値(Vb/Va×100)をいう。
アノード層10は、少なくとも導電性材料とバインダとを含んでいる。
導電性材料としては、従来からSOFCのアノード層10の形成に用いられている電気触媒的作用(触媒活性)を有する物質のうち1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的には、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ランタン(La)、金(Au)等の金属材料;酸化コバルト(CoO、Co2O3、Co3O4)、酸化ニッケル(NiO、Ni2O3、Ni3O4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ルテニウム(RuO2)等の金属酸化物材料;等を用いることができる。なかでもニッケルは他の金属に比べて比較的安価であり、且つ高い反応活性を示す(高い触媒能を有する)ことから、特に好適な金属種である。したがって、ここで開示されるグリーンシートでは、導電性材料としてニッケル系材料(例えば酸化ニッケル)を好ましく用いることができる。
封止部60は、少なくともガラスとバインダとを含んでいる。
ガラスとしては、従来からSOFCの封止部60の形成に用いられている組成のものを適宜用いることができる。なかでも、高い気密性を実現する観点からは、SOFCの使用温度域において溶融し難い組成からなるものが好ましい。好ましい一態様として、構成成分として、SiO2と、Al2O3と、少なくとも1種のアルカリ金属酸化物と、少なくとも1種のアルカリ土類金属酸化物と、を含むガラスが挙げられる。上記成分を含むことで、室温〜SOFCの作動温度域(例えば800℃〜1200℃)において、機械的強度と気密性とを高いレベルで両立可能な封止部60を実現することができる。以下、各構成成分について順に説明する。
また、ここで開示されるグリーンシートは、ガラス構成成分としてホウ素(酸化物形態はB2O3)を含まないことが好ましい。ホウ素を含有しないことにより、固体電解質と電極との界面に飛散したホウ素が堆積してSOFCの性能を低下させる要因となる可能性を未然に防止することができる。
SiO2 60〜75質量%(例えば、65〜70質量%);
Al2O3 5〜20質量%(例えば、10〜15質量%);
Li2O、Na2OおよびK2Oのうちの少なくとも1種 3〜20質量%(例えば、5〜15質量%);
MgO、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1種 3〜20質量%(例えば、5〜15質量%);
から実質的に構成されている。このような組成のガラスを採用することにより、緩衝作用があり、シール性能に優れる封止部を形成することができる。
なお、封止部60には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、さらに各種添加剤(例えば、可塑剤、酸化防止剤、増粘剤、分散剤等)を必要に応じて含ませることもできる。
好適な一態様では、図1(b)に示すように、アノード層10の表面であって封止部60の形成されていない部位に、固体電解質層20をさらに備える。該固体電解質層は、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとを含んでいる。
酸化物イオン伝導体としては、従来からSOFCの固体電解質層20の形成に用いられている物質のうち1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。好適例として、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)を含む酸化物が挙げられる。具体的には、イットリア(Y2O3)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc2O3)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb2O3)、エルビア(Er2O3)等の安定化剤で結晶構造を安定化させたジルコニア(ZrO2);イットリア(Y2O3)、ガドリニア(Gd2O3)、サマリア(Sm2O3)等のドープ剤をドープした酸化セリウム(CeO2);等を用いることができる。なかでも、ジルコニア(ZrO2)にイットリウムの酸化物(例えば、イットリア(Y2O3))を固溶させたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を好適に用いることができる。YSZは高い酸化物イオン伝導性を示し得るため、起動性に優れたSOFCを実現することができる。固溶させる酸化物の量は特に限定されないが、例えば凡そ1mol%〜20mol%(通常、凡そ5mol%〜10mol%)とすることができる。
上述のようなグリーンシートを作製する方法は特に限定されないが、例えば、以下の工程を包含する製造方法によって好適に製造することができる。
(1)アノード層形成用の原料混合物を用意すること。
(2)上記原料混合物を用いて、ロール成形によってアノード層10を成形すること。
(3)封止部形成用の原料混合物を用意すること。
(4)成形したアノード層10と、上記封止部形成用原料混合物とを用いて、ロール成形によりアノード層10と封止部60とを備えるグリーンシート14を成形すること。
また、好適な一態様では、上記(4)の後に、さらに以下の工程を包含する。
(5)アノード層10の表面であって封止部60の形成されていない部位に、固体電解質層20を形成し、アノード層10と固体電解質層20と封止部60とを備えるグリーンシート16を得ること。
以下、各工程を順に説明する。
ここで開示される製造方法では、先ず、アノード層10を形成するための原料混合物を用意する。かかる原料混合物は、例えば、上述のような導電性材料、バインダ、および必要に応じて用いられる他の成分(典型的には造孔材や可塑剤)を任意の撹拌混合装置に投入し、撹拌混合することによって調製することができる。撹拌混合装置としては、例えば、ボールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等を用いることができる。装置の運転条件は、例えば、撹拌速度:50rpm〜300rpm、撹拌時間:0.5時間〜1時間程度とすることができる。これによって均質な原料混合物を安定的に且つ効率よく調製することができる。
ここで開示される製造方法では、次に、上記調製した原料混合物を用いて、アノード層10を成形する。アノード層10は、典型的には、反対方向に回転する一対のロールの間に原料混合物を供給し、該一対のロールで原料混合物を圧縮することによって所望の形状に成形される。ロール成形法によれば、等方性や均質性に優れた(例えば組成や気孔率にバラつきが少ない)アノード層10を安定的に成形することができる。
ここで開示される製造方法では、次に、封止部60を形成するための原料混合物を用意する。かかる原料混合物は、例えば、上述のようなガラス、バインダ、および必要に応じて用いられる他の成分(典型的には可塑剤)を任意の撹拌混合装置に投入し、撹拌混合することによって調製することができる。好適な一態様では、封止部形成用の原料混合物には、上記アノード層形成用の原料混合物と同様に、実質的に有機溶媒(有機溶剤)を含まない。これによって、以後の焼成において発生し得る不都合(例えば成形体の反りや変形)を一層抑制することができる。なお、撹拌混合操作は、上記アノード層形成用の原料混合物と同様に行うことができる。
ここで開示される製造方法では、次に、上記成形したアノード層10と、上記調製した封止部形成用の原料混合物とを用いて、図1(a)に示すようなSOFC形成用のグリーンシート14を成形する。かかるグリーンシートの成形は、例えば下記(4−1)または(4−2)のような方法によって行うことができる。
(4−1)先ず、封止部形成用の原料混合物を用いてロール成形によって封止部60を成形し、次に、成形したアノード層10および封止部60を合わせて、再度ロール成形、圧延する方法(2段階ロール成形)。
(4−2)成形したアノード層10と封止部形成用の原料混合物とを同時にロール成形する方法(1段階ロール成形)。
以下、2通りの成形方法について、より詳しく説明する。
2段階ロール成形では、先ず、封止部形成用の原料混合物を用いてロール成形によって封止部60を成形する。封止部60の成形は、例えば図1に示す装置を用いて、アノード層10と同様の方法で行うことができる。これによって、所望の性状(形状や大きさ、平均厚み等)を有する封止部60を成形することができる。なお、封止部60を複雑な形状(パターン)で形成したい場合や、あるいは封止部60を自立し難いほど薄く形成したい場合には、例えば、キャリアシート(担持体)上に封止部形成用の原料混合物を添加し、ロール成形機を通過させることによって、キャリアシート上に封止部60を形成することもできる。
次に、成形したアノード層10と封止部60(キャリアシートに担持された形態であり得る。)とを合わせて再度ロール成形機に通すことで圧延し、一体化させる。これによって、アノード層10と封止部60とを備えたグリーンシート14を得ることができる。
1段階ロール成形では、成形したアノード層10と、封止部形成用の原料混合物とを同時にロール成形する。具体的には、アノード層10の表面に封止部形成用の原料混合物を添加した状態でロール成形機を通過させて、グリーンシート14を成形する。かかる方法によれば、より一層効率的且つ生産的にグリーンシート14を製造することができる。このことは、作業容易性やコストの観点からも好ましい。
好適な一態様では、さらに、アノード層10の表面であって封止部60の形成されていない部位に、固体電解質層20を形成する。これによって、図1(b)に示すようなグリーンシート16を得ることができる。固体電解質層20には、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとが含まれる。固体電解質層20の形成は、例えば、ロール成形、印刷成形、ドクターブレードによって行うことができる。具体的には、例えば、下記(5−1),(5−2),(5−3)のいずれかの方法によって行うことができる。
(5−1)先ず、上述のような酸化物イオン伝導体とバインダと必要に応じて含まれる添加剤(例えば可塑剤)とを混合して固体電解質層形成用の原料混合物を調製し、かかる原料混合物を用いて、ロール成形によって任意のキャリアシート上に固体電解質層20を形成する。次に、キャリアシートに担持された形態の固体電解質層20と、グリーンシート14とを合わせて再度ロール成形し、圧延する。
(5−2)先ず、(5−1)と同様に原料混合物を調製し、次に、固体電解質層形成用の原料混合物とグリーンシート14とを同時にロール成形する。
(5−3)先ず、上述のような酸化物イオン伝導体、バインダ、および必要に応じて含まれる添加剤(例えば可塑剤)を溶媒に分散させてなるスラリー状の組成物(固体電解質層形成用スラリー)を調製し、次に、この固体電解質層形成用スラリーを、アノード層10の表面であって封止部60の形成されていない部位に任意の手法で付与し、乾燥させる。
なお、図1(b)に示す例では、封止部60と固体電解質層20との厚みが概ね同等に形成されているが、単セルや封止部の形状等によって適宜変更することができる。例えば、後述する図4のような構成のSOFC50では、固体電解質層20に比べて封止部60の厚みがより厚い。このような場合は、例えばアノード層10の表面に、先ず固体電解質層20を形成し、次に固体電解質層20の端部と一部が重なるように封止部60を形成することが好ましい。
また、本発明により、アノード層10と固体電解質層20とカソード層40と封止部60とを備えたSOFCが提供される。ここで、アノード層10および封止部60は、上述のようなグリーンシート14を焼成してなる焼成体によって構成されている。
焼成後の封止部60は緻密構造を有している。封止部60の気孔率は通常凡そ5体積%以下であり、好ましくは5体積%未満、より好ましくは3体積%以下である。かかる範囲を満たす場合、気密性に優れ、発電性能と信頼性(耐久性)とを高いレベルで両立可能なSOFCを実現することができる。
焼成後の固体電解質層20は薄膜状で緻密構造を有している。固体電解質層20の気孔率は通常凡そ30体積%以下であり、20体積%以下であることが好ましい。かかる範囲を満たす場合、より出力密度の高いSOFCを実現することができる。
例えば、固体電解質層20に酸化ジルコニウム系の材料を含み、且つ後述するカソード層40にペロブスカイト構造の酸化物材料を含む場合、これらの接触する部分(界面)で固相反応を生じ、固体電解質層20および/またはカソード層40間の酸化物イオン伝導性が低下する場合がある。このため、上記材料を用いる場合には、固体電解質層20とカソード層40との間に反応抑止層30を備えることが好ましい。これにより固体電解質層20とカソード層40との界面を安定化することができる。
セリウム酸化物としては、例えば固体電解質層20の形成材料として例示したセリウム酸化物を用いることができる。好適例として、ガドリニア(Gd2O3)をドープした酸化セリウム(CeO2)が挙げられる。置換的な構成元素の量(異元素のドープ量)は、特に限定されないが、例えば当該置換元素の酸化物換算で1mol%〜20mol%(例えば5mol%〜15mol%)とすることができる。バインダとしては特に限定されず、例えば固体電解質層20の形成用として例示したものの中から適宜採用することができる。
カソード層40を構成する材料としては、ペロブスカイト型酸化物やバインダが挙げられる。ペロブスカイト型酸化物としては、例えばランタンコバルテート(LaCoO3)系、ランタンマンガネート(LaMnO3)系、ランタンフェライト(LaFeO3)系、ランタンニッケラート(LaNiO3)系のペロブスカイト型酸化物;サマリウムコバルテート(SmCoO3)系ペロブスカイト型酸化物;等を用いることができる。これらの酸化物は、酸化雰囲気において優れた耐久性を発揮し得るため好ましい。
また、セル対向面72には複数の溝が形成されており、供給された空気(Air)が流れる空気流路74を構成している。同様に、反対側のセル対向面76にも複数の溝が形成されており、供給された燃料ガス(例えばH2ガス)が流れるための燃料ガス流路78を構成している。かかる形態のインターコネクタ70では、典型的には空気流路74と燃料ガス流路78とが互いに直交するように形成されている。
例1では、ロール成形によって成形したシート状のアノード層および封止部を貼り合わせて圧延することにより、グリーンシートを作製した。
具体的には、先ず、導電性材料としての平均粒径0.5μmの酸化ニッケル(NiO)粉末と、平均粒径0.5μmのイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y2O3−ZrO2、以下「8YSZ」と略称することがある。)粉末とを、NiO:8YSZ=60:40の質量比率で混ぜ合わせ、混合粉末(平均粒径50μm)を得た。かかる混合粉末と、バインダ(ポリエチレンオキサイド;PEO)と、造孔材(カーボン)と、可塑剤(グリコールエーテル)とを、85:2:8:5で混練することにより、アノード層形成用の原料混合物を調製した。この原料混合物を一対のロールの間に供給して圧縮成形することによって、平均厚みが500μm程度のシート状のアノード層を成形した。
SiO2 68質量%;
Al2O3 12質量%;
K2O 10質量%;
MgO 7質量%;
CaO 3質量%;
上記調製したガラス原料粉末を1000℃〜1500℃の温度域(ここでは1400℃)で溶融し、急冷してガラスを形成した。その後、ガラスを粉砕し、800℃〜1000℃で30〜60分間熱処理した。かかる熱処理により、クリストバライト結晶、リューサイト結晶およびフォーステライト結晶のうちの少なくとも1種の結晶をガラスマトリックス中に析出させた。その後、得られた結晶析出ガラスを粉砕し、さらに分級を行うことによって、平均粒径50μmの結晶化ガラス粉末を得た。かかる結晶化ガラス粉末と、バインダ(PEO)と、可塑剤(グリコールエーテル)とを、93:2:5で混練することにより、封止部形成用の原料混合物を調製した。この原料混合物を一対のロールの間に供給して圧縮成形することによって、平均厚み500μm程度のシート状の封止部を成形した。
例2では、ロール成形によって成形したシート状のアノード層の上に封止部形成用の原料混合物を添加しながらロール成形機を通過させることにより、グリーンシートを作製した。なお、各部位の構成材料や封止部の成形方法以外の操作は、例1と同様である。
例3では、ドクターブレードによって成形したシート状のアノード層の表面に、印刷によってスラリー状の組成物を塗布することにより、グリーンシートを作製した。
具体的には、先ず、上記アノード層の形成時に、NiO粉末および8YSZ粉末を含む混合粉末と、バインダ(PEO)と、造孔材(カーボン)と、可塑剤(グリコールエーテル)と、溶媒(イソプロピルアルコール(IPA))とを、77:5:8:10:100で混練することにより、スラリー状のアノード層形成用組成物を調製し、これをドクターブレードによってシート状に成形した。次に、結晶化ガラス粉末と、バインダ(PEO)と、可塑剤(グリコールエーテル)と、溶媒(IPA)とを、85:5:10:100で混練することにより、スラリー状の封止部形成用組成物を調製した。この封止部形成用スラリーをスクリーン成形によってアノード層の表面に塗布して、封止部を形成した。
例4では、ドクターブレードによって成形したシート状のアノード層と、ドクターブレードによって成形したシート状の封止部とを貼り合わせて圧延することにより、グリーンシートを作製した。
具体的には、先ず、上記例3と同様に、ドクターブレードでシート状のアノード層を成形した。次に、上記例3と同様に調製した封止部形成用スラリーを、ドクターブレードでシート状に成形した。そして、上記成形したシート状のアノード層と封止部とを合わせてロール成形機に通して圧延した。
例5では、ドクターブレードによって成形したシート状のアノード層と、ロール成形によって成形したシート状の封止部とを貼り合わせて圧延することにより、グリーンシートを作製した。
具体的には、先ず、上記例3と同様に、ドクターブレードでシート状のアノード層を成形した。次に、例1と同様に、ロール成形でシート状の封止部を成形した。そして、上記成形したシート状のアノード層と封止部とを合わせてロール成形機に通して圧延した。
上記作製したグリーンシートの状態を観察し、クラックや破れ等の不都合がないか確認した。なお、観察手法としては目視および走査型電子顕微鏡(SEM)観察を併用した。結果を、表1の「積層時の状態」の欄に示す。当該欄の「○」は、クラックや破れ等がなかったことを、「×」は、クラックや破れ等の不具合が認められたことを示す。
次に、上記グリーンシートを大気雰囲気中において1400℃の温度で3時間焼成した。そして、焼成後の積層体について、アルコールを用いたリークチェックを行った。具体的には、焼成後の積層体の封止部側の表面全体にアルコールを滴下し、その浸み込み具合によって、ピンホール(貫通孔)の有無を確認した。結果を、表1の「焼成後のリーク」の欄に示す。1点でもアルコールの浸み込みが認められた場合は、当該欄において「あり」と表記している。
また、別途、封止部のみのサンプルを作製し、一般的な水銀ポロシメータ(マイクロメリテック社製品、商品名:AUTOPORE IV 9500)を使用して気孔率の測定を行った。ここでは、4psi〜60000psiの圧力範囲で測定を行うことによって、50μm〜0.003μmの範囲の細孔径の測定を行った。結果を、表1の「封止部の気孔率」の欄に示す。
他方、ロール成形によってアノード層および封止部を成形した例1,2では、焼成後の積層体においてリークの発生は認められなかった。この結果から、ロール成形を用いることで封止部を高い気密性(シール性)で接合封止し得ることがわかった。以上の結果より、本発明によれば、気密性に優れ、長期に渡り安定して高い性能を発揮し得るSOFCを実現することができる。
1a 原料混合物
1b フィーダー
2 ロール
5 ロール成形機
10 アノード層
12 アノード層端部
14 アノード層−封止部グリーンシート
16 アノード層−固体電解質層−封止部グリーンシート
20 固体電解質層
30 反応抑止層
40 カソード層
50 SOFC(単セル)
60 封止部
70 ガス管
Claims (13)
- 固体酸化物形燃料電池の構築に用いられるグリーンシートであって、
少なくとも導電性材料とバインダとを含むアノード層と、該アノード層の表面に形成された封止部であって少なくともガラスとバインダとを含む封止部とを備え、
前記アノード層および前記封止部はロール成形によってなり、前記グリーンシートの有機物含有率は10質量%未満であることを特徴とする、グリーンシート。 - 前記封止部を構成する前記ガラスは、構成成分としてSiO2と、Al2O3と、少なくとも1種のアルカリ金属酸化物と、少なくとも1種のアルカリ土類金属酸化物と、を含む、請求項1に記載のグリーンシート。
- 前記封止部を構成する前記ガラスは、酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO2 60〜75質量%;
Al2O3 5〜20質量%;
Li2O、Na2OおよびK2Oのうちの少なくとも1種 3〜20質量%;
MgO、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1種 3〜20質量%;
から実質的に構成される、請求項1または2に記載のグリーンシート。 - 前記封止部の熱膨張係数が10×10−6/K〜13×10−6/Kである、請求項1から3のいずれか一項に記載のグリーンシート。
- 前記アノード層および前記封止部には、前記バインダとしてエーテル系ポリマーを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のグリーンシート。
- 前記アノード層の表面であって前記封止部の形成されていない部位に、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとを含む固体電解質層をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のグリーンシート。
- 固体酸化物形燃料電池の構築に用いられるグリーンシートの製造方法であって、
少なくとも導電性材料とバインダとを含むアノード層形成用の原料混合物を用意すること;
前記アノード層形成用原料混合物を用いて、ロール成形によってアノード層を成形すること;
少なくともガラスとバインダとを含む封止部形成用の原料混合物を用意すること;および、
前記成形したアノード層と、前記封止部形成用原料混合物とを用いて、ロール成形によって前記アノード層と前記封止部とを備えるグリーンシートを成形すること;
を包含し、
ここで、前記アノード層形成用原料混合物の用意および前記封止部形成用原料混合物の用意は、該混合物中に含まれる有機物の含有率が10質量%未満となるよう行う、グリーンシートの製造方法。 - 前記ガラスとしては、構成成分として、SiO2と、Al2O3と、少なくとも1種のアルカリ金属酸化物と、少なくとも1種のアルカリ土類金属酸化物と、を含むものを用いる、請求項7に記載の製造方法。
- 前記グリーンシートの成形は、前記成形したアノード層と前記封止部形成用原料混合物とを同時にロール成形することによって行う、請求項7または8に記載の製造方法。
- 前記アノード層の表面であって前記封止部の形成されていない部位に、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとを含む固体電解質層を形成すること、をさらに包含する、請求項7から9のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記固体電解質層の形成は、ロール成形によって行う、請求項10に記載の製造方法。
- アノード層と、固体電解質層と、カソード層と、封止部と、を備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記アノード層および前記封止部は、請求項1から5のいずれか一項に記載のグリーンシート、または、請求項7から9のいずれか一項に記載の製造方法によって得られたグリーンシートを焼成してなる焼成体によって構成される、固体酸化物形燃料電池。 - 前記封止部の気孔率は5%以下である、請求項12に記載の固体酸化物形燃料電池。
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JP2013091087A JP5973377B2 (ja) | 2013-04-24 | 2013-04-24 | 固体酸化物形燃料電池用グリーンシートおよびその製造方法 |
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