JP2014214390A - 成形用表皮材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 成形時に伸ばしやすく、皺を発生させることのない、外観の優れる成形を実施できる、成形用表皮材を提供すること。
【解決手段】 本発明の成形用表皮材は、捲縮発現した潜在捲縮性繊維を含む不織布からなり、通気度が5〜20(cm/cm・s)、かつ少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上であることを特徴とする。このように伸びやすいものであるため、伸ばしやすい成形用表皮材であり、また、通気度が適正範囲にあるため、成形時にエアが抜けやすく、皺を発生させることなく成形できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は成形用表皮材に関する。特には、成形時に伸ばしやすく、皺を発生させることなく、外観の優れる成形を実施できる、成形用表皮材に関し、特に自動車用途の成形用表皮材として好適に使用できる。
従来から各種用途の形状に適合するように、表皮材を成形することが一般的に行われている。このような成形の方法として、一対の金型によって、表皮材に対して、熱と圧力を作用させることにより成形するヒートプレス法、予め加熱された表皮材に対して、一対の金型によって圧力を作用させることにより成形するコールドプレス法、が知られている。
前者のヒートプレス法により表皮材を成形する場合、表皮材の金型形状への追従性に優れているように、本願出願人は、「捲縮発現した潜在捲縮性繊維を含む繊維基材からなることを特徴とする成形用表皮材」を提案した(特許文献1)。
特開2012−102437号公報(特許請求の範囲)
前記成形用表皮材は追従性に優れているものの、緻密感がなく、外観品位の劣るものであった。なお、特許文献1においては、難燃性、撥水性、トリミング性、及び離型性を付与、向上させるために、バインダで接着されているのが好ましいことを記載し、実際に実施例において、バインダで接着している。このようにバインダで接着した場合であっても、緻密感がなく、外観品位の劣るものであり、バインダ量が多い場合には、成形時に伸ばしにくく、追従性が悪いばかりでなく、成形時のエアが抜けにくいことから成形時に皺が発生しやすいものであった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、成形時に伸ばしやすく、皺を発生させることのない、外観の優れる成形を実施できる、成形用表皮材を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「捲縮発現した潜在捲縮性繊維を含む不織布からなり、通気度が5〜20(cm/cm・s)、かつ少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上であることを特徴とする成形用表皮材。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、捲縮発現した潜在捲縮性繊維を含む不織布からなり、少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上と伸びやすいものであるため、成形時に、金型形状に沿って捲縮が伸びることができる、伸ばしやすい成形用表皮材である。また、通気度が5〜20(cm/cm・s)と適正範囲であることによって、成形時にエアが抜けやすく、皺を発生させることなく、外観品位の優れる成形を実施できる成形用表皮材である。
本発明の成形用表皮材(以下、単に「表皮材」と表現することがある)は捲縮発現した潜在捲縮性繊維を含む不織布からなる。本発明の不織布を構成する捲縮発現した潜在捲縮性繊維は多くの捲縮を有するため、成形時の圧力によって伸びやすい表皮材である。
このような捲縮発現した潜在捲縮性繊維は伸びやすいように、50個/インチ以上の捲縮数を有するのが好ましい。なお、捲縮数はJIS L1015:2010 8.12.1 けん縮数、に規定する方法により得られる値である。
この捲縮発現前の潜在捲縮性繊維としては、例えば、熱収縮率の異なる複数の樹脂が複合された複合繊維、繊維の一部に特定の熱履歴を施した繊維を挙げることができる。より具体的には、複合繊維として、偏心型芯鞘構造のもの、又はサイドバイサイド型構造のものを好適に用いることができる。熱収縮率の異なる樹脂の組み合わせとしては、例えば、ポリエステル−低融点ポリエステル、ポリアミド−低融点ポリアミド、ポリエステル−ポリアミド、ポリエステル−ポリプロピレン、ポリプロピレン−低融点ポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレンなど種々の合成樹脂を組み合わせたものが使用できる。特に、ポリエステル−低融点ポリエステル若しくはポリプロピレン−低融点ポリプロピレンの組み合わせからなる潜在捲縮性繊維は伸びやすいため好ましい。また、繊維の一部に特定の熱履歴を施した潜在捲縮性繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂からなる繊維の一側面を熱刃などにあてながら通過させたものを使用できる。
この潜在捲縮性繊維の繊度は特に限定するものではないが、成形後の外観品位に優れているように、4.4dtex以下であるのが好ましく、3.3dtex以下であるのがより好ましい。繊度の下限は特に限定するものではないが、乾式法により不織布を形成する場合には、外観品位に優れる不織布であるように、また、伸びやすいように、0.5dtex以上であるのが好ましく、0.8dtex以上であるのがより好ましい。なお、繊度の異なる潜在捲縮性繊維を2種類含んでいる場合、次の式により算出される平均繊度が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。また、繊度の異なる潜在捲縮性繊維を3種類以上含んでいる場合も同様にして算出した値が前記繊度範囲内にあるのが好ましい。
Fav=1/[(Pa/100)/Fa+(Pb/100)/Fb]
ここで、Favは平均繊度(単位:dtex)、Paは不織布の繊維成分に占める一方の繊維(繊維A)の質量割合(単位:mass%)、Faは繊維Aの繊度(単位:dtex)、Pbは不織布の繊維成分に占める他方の繊維(繊維B)の質量割合(単位:mass%)、Fbは繊維Bの繊度(単位:dtex)を、それぞれ意味する。
また、潜在捲縮性繊維の繊維長は特に限定するものではないが、乾式法により不織布を形成する場合には、外観品位の優れる不織布であるように、20〜80mmであるのが好ましく、30〜70mmであるのがより好ましい。
本発明の不織布は上述のような潜在捲縮性繊維が捲縮発現したものであるが、潜在捲縮性繊維は加熱処理によって、捲縮発現させることができる。なお、加熱手段としては、例えば、熱風ドライヤー、赤外線ランプ、加熱ロールなどを挙げることができるが、潜在捲縮性繊維の捲縮発現を妨げないように、熱風ドライヤー、赤外線ランプなどの固体による強力な圧力がかからない条件下で実施するのが好ましい。繊維ウエブを形成した後に潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させる場合には、伸びやすい表皮材とすることができるように、捲縮発現による繊維ウエブの収縮分を見込んでオーバーフィードしながら加熱し、捲縮を発現させるのが好ましい。
本発明の不織布(表皮材)は伸びやすいように、潜在捲縮性繊維を少なくとも50mass%含むのが好ましく、70mass%以上含むのがより好ましく、80mass%以上含むのが更に好ましく、90mass%以上含むのが更に好ましく、潜在捲縮性繊維のみ(100mass%)から構成されているのが最も好ましい。
潜在捲縮性繊維以外の繊維としては難燃性に優れるように、200℃以上の融点又は分解点を有する合成繊維であるのが好ましく、例えば、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維など)、ポリアミド系繊維(6ナイロン繊維、66ナイロン繊維など)、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、フッ素繊維、アラミド繊維等の合成繊維を挙げることができる。このような合成繊維の繊度は、4.4dtex以下であるのが好ましく、3.3dtex以下であるのがより好ましい。なお、合成繊維の繊度の下限は特に限定するものではないが、0.5dtex以上であるのが好ましく、0.8dtex以上であるのが好ましい。また、合成繊維の繊維長は特に限定するものではないが、20〜80mmであるのが好ましく、30〜70mmであるのがより好ましい。
また、潜在捲縮性繊維以外の繊維として、セルロース系繊維を使用することもできる。セルロース系繊維は燃焼時に炭化することにより、燃焼速度を落とす効果を奏するため、難燃性に優れている。このセルロース系繊維としては、例えば、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、綿繊維、麻繊維などを挙げることができ、これらの中でも、綿繊維又はレーヨン繊維は経済性の面で好ましく、特にレーヨン繊維は染色等の加工性に優れ、しかも燃焼しても有毒ガスが発生せず、高温にもならないため、好適に使用できる。このセルロース系繊維の繊度は、4.4dtex以下であるのが好ましく、3.3dtex以下であるのがより好ましい。なお、セルロース系繊維の繊度の下限は特に限定するものではないが、0.5dtex以上であるのが好ましく、0.8dtex以上であるのがより好ましい。また、セルロース系繊維の繊維長は特に限定するものではないが、20〜80mmであるのが好ましく、30〜70mmであるのがより好ましい。
本発明における「融点」は、JIS K7121−1987の規定に則り、熱流束示差走査熱量測定(DSC)により得たDSC曲線から読み取った融解温度をいい、「補外融解開始温度」は、JIS K7121−1987の規定に則り、熱流束示差走査熱量測定(DSC)により得たDSC曲線から読み取った補外融解開始温度をいい、「分解点」はJIS K 7120-1987(プラスチックの熱重量測定方法)に定義される開始温度Tをいう。また、「繊度」はJIS L 1015:2010、8.5.1(正量繊度)に規定されているA法により得られる値を意味し、「繊維長」はJIS L 1015:2010、8.4.1[補正ステープルダイヤグラム法(B法)]により得られる値を意味する。
このような捲縮発現した潜在捲縮性繊維を含む不織布は、例えば、捲縮発現する前の潜在捲縮性繊維を含む繊維ウエブをカード法、エアレイ法などの乾式法、湿式法、又はスパンボンド法などの直接法により形成した後、熱処理を実施することによって製造することができる。なお、不織布の形態安定性を高めるために、熱処理を実施する前に、ニードルや水流などの流体で絡合するのが好ましい。特に、水流で絡合すると、伸びやすく、しかも意匠性に優れる不織布を製造できるため好適である。
本発明の表皮材は前述のような不織布からなるが、その通気度は5〜20(cm/cm・s)、かつ少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上である必要がある。
通気度が5(cm/cm・s)未満であるということは、一定の吸引圧力(差圧)を与えたときの空気流量が少ないことを意味することから、成形時にエアが抜けにくく、皺が発生しやすいためで、通気度が20(cm/cm・s)を超えるということは、一定の吸引圧力(差圧)を与えたときの空気流量が多いことを意味することから、粗い構造であることを意味し、結果として表面状態も粗く、外観品位に劣るためで、好ましい通気度は10〜15(cm/cm・s)である。この通気度はJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」に規定される6.8.1(フラジール形法)によって測定される値をいう。
本発明の不織布(表皮材)は前述のような通気度、つまり、繊維が緻密で表面品位が優れているにもかかわらず、少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上の、成形時に伸びやすいものである。つまり、従来、前述のような通気度とするには、メルトブロー不織布を使用したり、バインダで接着することによって皮膜を形成するなど、繊維同士が融着又は接着しており、成形時に伸びないものであったが、本発明においては、前記通気度の外観品位の優れるものであるにもかかわらず、少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上の、成形時に伸びやすいものである。この10N荷重時の伸びが大きいほど、成形時に伸びやすいものであるため、55mm以上であるのが好ましく、60mm以上であるのがより好ましく、65mm以上であるのが更に好ましく、70mm以上であるのが更に好ましい。
この10N荷重時の伸びは、次の方法により測定した値をいう。
(1)表皮材から、200mm×30mmの大きさを有する試験片を3枚採取する。例えば、不織布製造時における流れ方向(たて方向)に200mmで、よこ方向(たて方向と直交する方向)に30mmの試験片を3枚採取する。或いは、よこ方向に200mmで、たて方向に30mmの試験片を3枚採取する。
(2)インストロンタイプの引張試験機を用い、チャック間100mm、引張速度200mm/min.の条件で、各々の試験片の10N荷重時の伸びを測定する。
(3)試験片の各々3点の算術平均値を算出し、「10N荷重時の伸び」とする。
このような通気度が5〜20(cm/cm・s)、かつ少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上である不織布(表皮材)は、例えば、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させた後に、カレンダー加工を施すことによって製造することができる。好ましくは、ニードルや水流などの流体で絡合した後に潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させ、カレンダー加工を施すことによって製造することができる。
この好適であるカレンダー加工によって潜在捲縮性繊維等の繊維を融着させると、メルトブロー不織布と同様に、成形時に伸びにくい表皮材となってしまうため、潜在捲縮性繊維等の繊維を融着させない条件でカレンダー加工を実施し、前述の通気度、かつ伸びとなるように調整するのが好ましい。このカレンダー加工条件は前記通気度と10N荷重時の伸びを満たせば良く、特に限定するものではないが、例えば、潜在捲縮性繊維を構成する樹脂成分の中で最も補外融解開始温度の低い樹脂成分の補外融解開始温度よりも低い温度(好ましくは、補外融解開始温度よりも10℃以上低い温度)、かつ線圧10kg/cm以上、好ましくは30kg/cm以上、より好ましくは40kg/cm以上で加圧する。
なお、本発明の表皮材は基本的にバインダを含んでいないが、前述の通気度、かつ伸びを満たす限り、バインダで接着していても良い。また、バインダに加えて、又は替えて、難燃剤(例えば、リン系難燃剤、臭素系難燃剤、無機系難燃剤)、熱硬化性樹脂、撥水剤、撥油剤、染料、顔料、及び/又は界面活性剤などを含んでいても良い。
本発明の表皮材の目付、厚さは、表皮材の使用用途、所要強度、繊維の配合等によって異なるため、特に限定するものではないが、目付は70〜140g/mであるのが好ましく、80〜130g/mであるのがより好ましい。また、表皮材の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.2〜0.5mmであるのがより好ましい。
本発明における目付はJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」に規定される6.2[単位面積当たりの質量(ISO法)]によって測定される値を意味し、厚さは前田式圧縮弾性測定器を用い、圧接子5cm、圧接荷重1.96kPaで測定した値を意味する。
本発明の表皮材は成形時に伸ばしやすく、皺を発生させることのない、外観の優れる成形を実施できる表皮材であるため、目視により美観を必要とする用途に好適に使用することができる。特に自動車用途の成形用表皮材として好適に使用できる。なお、成形はヒートプレスによる成形であっても、コールドプレスによる成形であっても、成形時に伸ばしやすく、皺を発生させることなく、外観の優れる成形を実施できる。
本発明の成形用表皮材は単体で使用することもできるが、別の材料と複合することによって、各種用途に適用できるため、表皮材の片面に接着剤を備えているのが好ましい。本発明の表皮材が複合体の表面に位置し、美観を醸し出すことができるように、接着剤は表皮材の片面のみに存在するのが好ましい。
この接着剤は成形の際に別の材料と接着しやすいように、200℃以下の融点をもつ樹脂(以下、「接着樹脂」ということがある)を含んでいるのが好ましく、190℃以下であるのが好ましく、180℃以下であるのがより好ましい。一方で、融点が低すぎると、耐熱性が低下し、適用用途が限定されるため、80℃以上であるのが好ましく、90℃以上あるのがより好ましい。
このような接着樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体などから選ばれる樹脂を、1種類又は2種類以上使用することができる。これらの中でもポリエチレンは、成形温度が低く、また接着性も優れているため好適である。
このような接着剤は別の材料との接着性に優れるように、例えば、接着樹脂が繊維形態又はパウダー形態を採っており、表皮材の片面に積層された状態にあるのが好ましい。より具体的には、接着性樹脂繊維、接着樹脂繊維を含む繊維シート(例えば、不織布、織物、編物)又は接着樹脂パウダーが表皮材の片面に積層されているのが好ましい。
なお、表皮材の片面に接着樹脂繊維が積層された表皮材は、接着樹脂繊維を表皮材に積層した後に、水流などの絡合を作用させることにより、及び/又は接着樹脂繊維の接着性を発現させることによって製造することができ、表皮材の片面に接着樹脂繊維を含む繊維シートが積層された表皮材は、表皮材に繊維シートを積層し、水流などの絡合を作用させることにより、及び/又は接着樹脂繊維の接着性を発現させることによって製造することができ、表皮材の片面に接着樹脂を有する表皮材は、接着樹脂パウダーを表皮材の片面に散布し、接着樹脂パウダーの接着性を発現させることによって製造することができる。
このように表皮材が接着剤を備えている場合、接着剤量は特に限定するものではないが、10〜60g/mであるのが好ましく、20〜50g/mであるのがより好ましい。また、接着剤を備えている表皮材の厚さも特に限定するものではないが、0.1〜0.7mmであるのが好ましく、0.2〜0.6mmであるのがより好ましい。
なお、本発明の表皮材と接着複合化できる別の材料は接着複合体の使用用途によって異なり、特に限定するものではないが、好適である自動車用途の場合、剛性、耐熱性、難燃性、吸音性等を考慮して、例えば、樹脂含浸したガラスウールマット、フェルト、ロックウールマット、レジンフェルト、ポリウレタン、ポリスチレン又はポリオレフィン系樹脂の発泡体、ポリエステル繊維等の合成繊維からなる不織布などであることができる。
このような接着複合体は、接着剤を備えている表皮材の接着剤を別の材料と当接するように積層した状態で成形(例えば、ヒートプレス、コールドプレス)して製造できる。或いは、接着剤を備えていない表皮材を、前述の接着剤構成材料(例えば、接着樹脂パウダー、接着樹脂繊維、接着樹脂繊維を含む繊維シートなど)を介して別の材料と積層した状態で成形(例えば、ヒートプレス、コールドプレス)して製造できる。
このような接着複合体は、例えば、自動車、産業用機械、建設機械などのエンジンルームにおける吸音材、マンション、住宅、学校、病院、図書館などの建築物用吸音材、自動車天井材などに使用することができ、自動車のエンジンルームにおける吸音材として好適に使用できる。特に、別の材料として吸音性能に優れるものを使用した場合、自動車のエンジンルームにおける吸音材として好適に使用できる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜2)
ポリプロピレン/ポリプロピレンランダムコポリマー(補外融解開始温度:150℃)の組み合わせで、芯鞘型に構成された潜在捲縮性繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm、宇部日東化成製、SW−V)を100%用い、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、ノズル径0.13mm、ノズルピッチ0.6mmのノズルプレートから水圧4MPaの水流を繊維ウエブの両面に対して噴出して、絡合繊維ウエブを形成した。
続いて、絡合繊維ウエブを110℃で乾燥した後、オーバーフィードしながら、熱風ドライヤーによる温度139℃での熱処理を約15秒間実施することによって、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させ、捲縮発現繊維ウエブを形成した。
そして、捲縮発現繊維ウエブを表1に示すような加熱、加圧条件でカレンダー加工を実施し、表1に示すような物性を有する表皮材をそれぞれ製造した。
Figure 2014214390
(比較例3)
実施例1〜3と同様にして製造した捲縮発現繊維ウエブ(目付:90g/m)に対して、アクリル樹脂エマルジョンバインダを塗布(固形分量:30g/m)した後、温度140℃に設定したドライヤーにより乾燥して、表2に示す物性を有するバインダ接着表皮材を製造した。
(比較例4)
表2に示す物性を有するポリプロピレン製メルトブロー不織布(平均繊維径:1.7μm)を用意し、表皮材とした。
Figure 2014214390
(成形後の外観評価)
実施例1〜3及び比較例1〜4の表皮材を、120℃に加熱した一対の金型(最大深さ:3cm)により90秒間加圧して、エンジンルームサイレンサーの形状に成形した。
その後、成形体の外観を観察し、次の基準にしたがって評価した。これらの結果は表3に示す通りであった。
(基準)
○:皺がなく、繊維の緻密感もあり、外観品位に優れる
△:緻密感がないため、外観品位に劣る
▲:皺が発生しているため、外観品位に劣る
×:破断してしまい、外観品位が著しく劣る
Figure 2014214390
この表3の結果から、次のことがわかった。
1.実施例1〜3と比較例1〜2との比較から、通気度が5〜20(cm/cm・s)、かつ少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上であることによって、外観品位の優れる成形体を得ることができること。
2.比較例3から、バインダー量を少なくして、少なくとも一方向において、10N荷重時に50mm以上の伸びを確保しても、通気度が高く、緻密感がないために、外観品位に劣っていること。
3.比較例4から、繊維同士が融着したメルトブロー不織布は通気度を満たすことはできても伸びないため、破断してしまい、外観品位が著しく悪いこと。
本発明の成形用皮材は成形時に伸ばしやすく、皺を発生させることのない、外観の優れる成形を実施できる表皮材であるため、目視により美観を必要とする用途に好適に使用することができる。特に自動車用途の成形用表皮材として好適に使用でき、例えば、自動車のダッシュインシュレーター、自動車天井材などの表皮材として好適に使用できる。

Claims (1)

  1. 捲縮発現した潜在捲縮性繊維を含む不織布からなり、通気度が5〜20(cm/cm・s)、かつ少なくとも一方向における10N荷重時の伸びが50mm以上であることを特徴とする成形用表皮材。
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