JP2014214296A - 近赤外線吸収粒子、分散液およびその物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿環境に長期間暴露しても分光特性が変動することがなく、初期の良好な近赤外線吸収性が保持される近赤外線吸収粒子、それを用いた分散液および近赤外吸収膜を有する物品を提供する。【解決手段】近赤外線吸収粒子は、銅と多価カルボン酸成分を含有する化合物を含み、数平均凝集粒子径が200nm以下である。分散液は、上記近赤外線吸収粒子を分散媒に分散させてなる。近赤外吸収膜を有する物品は、近赤外線吸収粒子を含む近赤外線吸収膜が基材に形成されてなる。【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線領域の光を吸収する近赤外吸収粒子、分散液および近赤外吸収膜を有する物品に関する。
デジタルスチルカメラ等の撮像装置における撮像素子(CCD、CMOS等)、自動露出計等の表示装置における受光素子等の感度は、可視光領域から近赤外線領域にわたる。一方、人の視感度は可視光領域のみである。そのため、例えばデジタルスチルカメラにおいては、撮像レンズと撮像素子の間に可視光領域(420〜630nm)の光を透過し、かつ近赤外線領域(700〜1200nm)の光を吸収または反射する近赤外線フィルタを設けることで、人間の視感度に近づくように撮像素子の感度を補正している。
近赤外線フィルタとしては、近赤外線吸収粒子を分散媒に分散させた分散液にバインダ樹脂等を加えた塗料を、ガラス基材の表面に塗布して形成された近赤外線吸収膜を有するものが知られている。また、近赤外線吸収粒子として、例えば下記に示すような、銅およびリン酸を含むものが提案されている。
(1)フィチン酸に有機銅塩を反応させて得られるフィチン酸銅塩(特許文献1)
(2)リン酸エステル化合物と銅イオンよりなる成分および/またはリン酸エステル化合物と銅化合物との反応生成物(特許文献2)
(3)リン酸銅(特許文献3)
このような従来の近赤外線吸収粒子を用いて形成された近赤外線吸収膜は、いずれも可視光透過率が高く、かつ近赤外線を効率よく吸収することが確認されている。しかしながら、従来の近赤外線吸収粒子は、耐湿熱性にやや乏しく、高温高湿環境に長期間暴露すると分光特性が変動し、初期の近赤外線吸収特性が損なわれるという問題があった。
特開2001−97984号公報 特開2001−154015号公報 特開2004−231708号公報
本発明は、高温高湿環境に長期間暴露しても分光特性が変動することがなく、初期の近赤外線吸収特性が保持される近赤外線吸収粒子、またそのような近赤外線吸収粒子を用いた分散液および近赤外吸収膜を有する物品を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る近赤外線吸収粒子は、銅と多価カルボン酸成分を含有する化合物を含み、数平均凝集粒子径が200nm以下であることを特徴としている。
本発明の他の態様に係る分散液は、上記近赤外線吸収粒子を分散媒に分散させたことを特徴としている。
本発明のさらに他の態様に係る近赤外線吸収膜を有する物品は、上記近赤外線吸収粒子を含む近赤外線吸収膜が基材に形成されたことを特徴としている。
本発明によれば、高温高湿環境に長期間暴露しても分光特性が変動することがなく、初期の近赤外線吸収特性が保持される近赤外線吸収粒子、またそのような近赤外線吸収粒子を用いた分散液および近赤外吸収膜を有する物品が提供される。
例1の粒子のX線回折の結果を示す図である。 例1の粒子の拡散反射スペクトルである。 例2の粒子のX線回折の結果を示す図である。 例2の粒子の拡散反射スペクトルである。 例7の粒子の拡散反射スペクトルである。 例8の粒子の拡散反射スペクトルである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、銅および多価カルボン酸成分を含む化合物を含有し、数平均凝集粒子径が200nm以下である近赤外線吸収粒子は、高温高湿環境に長期間暴露しても分光特性の変動が小さいことを見出した。そのため、このような近赤外線吸収粒子は、近赤外線吸収膜に好適に使用できる。
<近赤外線吸収粒子>
本発明の近赤外線吸収粒子は、銅と多価カルボン酸成分とを含有する化合物(以下、銅含有多価カルボン酸成分ともいう)を主成分として含む粒子である。本発明の近赤外線吸収粒子は、銅と多価カルボン酸成分からなる化合物を含む粒子が好ましく、銅と多価カルボン酸成分からなる化合物をからなる粒子がより好ましい。なお、「からなる」とは、不可避不純物の混入は許容する。
本発明において、銅と多価カルボン酸成分とを含有する化合物の銅と多価カルボン酸成分との結合状態は、共有結合と配位結合のいずれでもよく、これらの結合の区別も形式的なもので、絶対的な区別を表すものではない。以下、本明細書中に示される構造式は、いくつも取り得る共鳴構造の中の1つの極限構造であり、共有結合(−で示す)と配位結合(…で示す)の区別も形式的なもので、絶対的な区別を表すものではない。
多価カルボン酸成分としては、脂肪族多価カルボン酸、脂環族多価カルボン酸、芳香族カルボン酸、およびこれらの誘導体が挙げられる。多価カルボン酸の誘導体としては、酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド等)、エステル化合物等が挙げられる。本発明においては、分子内に水酸基(−OH)を有する多価カルボン酸(ヒドロキシ多価カルボン酸)や、カルボン酸官能基(−COOH)を塩基で中和した化合物、例えば、−COONa基等を有する化合物等も使用可能である。多価カルボン酸成分は、2種以上の混合物であってもよい。多価カルボン酸成分としては、直鎖状多価カルボン酸またはその誘導体、および脂環式多価カルボン酸が好ましい。
本発明において、多価カルボン酸は、分子内にカルボン酸官能基(−COOH)を2個以上有する化合物である。分子内のカルボン酸官能基の数は特に限定されないが、好ましくは2〜4個であり、より好ましくは2個である。以下、分子内にカルボン酸官能基を2個含有する化合物を、2価カルボン酸、またはジカルボン酸という。同様に、分子内にカルボン酸官能基を3個有する化合物を、3価カルボン酸、またはトリカルボン酸といい、分子内にカルボン酸官能基を4個有する化合物を、4価カルボン酸、またはテトラカルボン酸という。
本発明において使用される多価カルボン酸のうち、2価カルボン酸の具体例としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、プロピルマロン酸、コハク酸、2−メチルコハク酸、2−ドデシルコハク酸、グルタル酸、3−メチルペンタンジカルボン酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、2−メチルオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、3,8−ジメチルデカンジカルボン酸、3,7−ジメチルデカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;これらの誘導体等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸等のC3−10シクロアルカン−ジカルボン酸等の飽和脂環族ジカルボン酸;1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、1,3−シクロヘキセンジカルボン酸等のC3−10シクロアルケン−ジカルボン酸等の不飽和脂環族ジカルボン酸;ボルナンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等のジまたはトリシクロC7−10アルカン−ジカルボン酸等の多環式アルカンジカルボン酸類;ボルネンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸等のジまたはトリシクロC7−10アルケン−ジカルボン酸等の多環式アルケンジカルボン酸類;およびこれらの誘導体等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸等)、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸等の芳香族C8−16ジカルボン酸;およびこれらの誘導体等が挙げられる。
多価カルボン酸のうち、3価カルボン酸の具体例としては、トリカルバリル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸等;およびこれらの誘導体等が挙げられる。
多価カルボン酸のうち、4価カルボン酸の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等;およびこれらの誘導体等が挙げられる。
ヒドロキシ多価カルボン酸の具体例としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸等;およびこれらの誘導体等が挙げられる。
本発明に、より好ましく用いられる2価カルボン酸成分は、シュウ酸およびその誘導体である。これらの2価カルボン酸と銅を含有する化合物の具体例として、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014214296
一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、−OR、−OR、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、リン酸基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる官能基を表し、前記RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、第1級もしくは第2級の置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基もしくはヘテロ環基である。また、nは2〜3の整数である。なお、以下、nが2とは、銅の配位数が4であり、nが3とは銅の配位数が6である構造をとることを意味する。
前記RおよびRは、それぞれ独立に、−OR、−OR、スルホ基、リン酸基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる官能基が好ましい。分子構造内の窒素原子は銅(II)イオンと結合し、可視光波長で光を吸収するおそれがある。
また、前記nは2が好ましい。
シュウ酸またはその誘導体と銅を含有する化合物の具体例として、下記一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2014214296
一般式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ環基、または第1級もしくは第2級の置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基である。また、nは2〜3の整数である。
およびRは、水素原子、または第1級もしくは第2級の置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基が好ましい。分子構造内にヘテロ環基が含まれると、可視光波長でのπ−π遷移とこれによる光の吸収が生じるおそれがある。
nは2が好ましい。
本明細書において、前記第1級の置換基とは、炭化水素基の1つの炭素とのみ結合する置換基である。また、本明細書において、前記第2級の置換基とは、炭化水素基の2つの炭素と結合する置換基をいい、炭化水素基の炭素結合間に位置する置換基である。なお、前記炭化水素基は、直鎖、分岐、脂肪族環または芳香族環構造を有してもよく、炭素間結合の全部または一部に不飽和結合を有してもよい。ただし、前記炭化水素基のうち、環状構造の中に第2級の置換基を有する脂肪族環または芳香族環構造は除かれる。
炭化水素基が、前記置換基を有する場合、炭化水素基内の分子構造内において、第1級および第2級の置換基の位置は限定されず、置換基の数も特に限定されない。すなわち、分子構造内に上記した第1級および第2級の置換基のいずれか1つのみを有してもよく、いずれか1つを複数個有してもよい。また、分子構造内に上記した第1級および第2級の置換基を複数種有してもよい。さらに、置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
炭化水素基の炭素原子数は、1〜15が好ましく、1〜10がより好ましい。炭化水素基は、直鎖、分岐または脂肪族環構造が好ましく、直鎖または分岐構造がより好ましい。また、炭素間結合は、飽和結合のみからなることが好ましい。炭化水素基の分子構造に芳香族環や不飽和結合を含むと、π―π遷移とこれによる光の吸収が生じるおそれがある。
前記第1級の置換基としては、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、リン酸基、またはハロゲン原子等が挙げられる。中でも、スルファニル基、スルホ基、リン酸基またはハロゲン原子が好ましく、リン酸基またはハロゲン原子がより好ましい。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
前記第2級の置換基としては、エーテル結合性の酸素原子、硫黄原子、セレン原子、スルフィニル基、スルホニル基、アミド基、ウレイド基、カルボニル基、イミノ基、アゾ基、ホスホリル基または、ヒドロキシホスホリル基等が挙げられる。中でもエーテル結合性の酸素原子もしくは硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、イミノ基またはホスホリル基が好ましく、エーテル結合性の酸素原子または硫黄原子がより好ましい。
エーテル結合性の酸素原子を有する炭化水素基としては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロピルオキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ペンチルオキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−オクチルオキシエチル基、2−ドデシルオキシエチル基、2−シクロペンチルオキシエチル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、2−フェノキシエチル基、2−ナフチルオキシエチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2−ヘキシル)エトキシエチル基、2−(tert−ブトキシ)エチル基、2−メトキシプロピル基、2−エトキシプロピル基、2−プロピルオキシプロピル基、2−ブトキシプロピル基、2−ペンチルオキシプロピル基、2−ヘキシルオキシプロピル基、2−オクチルオキシプロピル基、2−ドデシルオキシプロピル基、2−シクロペンチルオキシプロピル基、2−シクロヘキシルオキシプロピル基、2−フェノキシプロピル基、2−ナフチルオキシプロピル基、2−(2−エトキシエトキシ)プロピル基、3−メトキシブチル基、(3−メトキシ−3−メチル)ブチル基等が挙げられる。
硫黄原子またはセレン原子を有する炭化水素基としては、2−メチルチオエチル基、2−エチルチオエチル基、2−プロピルチオエチル基、2−(イソプロピルチオ)エチル基、2−ブチルチオエチル基、2−ペンチルチオエチル基、2−ヘキシルチオエチル基、2−オクチルチオエチル基、2−ドデシルチオエチル基、2−シクロペンチルチオエチル基、2−シクロヘキシルチオエチル基、2−フェニルチオエチル基、2−ナフチルチオエチル基、2−(ヒドロキシエチル)チオエチル基、(2−(2−ヒドロキシエチル)チオエチル)チオエチル基、2−メチルチオプロピル基、2−エチルチオプロピル基、2−プロピルチオプロピル基、2−(イソプロピルチオ)プロピル基、2−ブチルチオプロピル基、2−ペンチルチオプロピル基、2−ヘキシルチオプロピル基、2−オクチルチオプロピル基、2−ドデシルチオプロピル基、2−シクロペンチルチオプロピル基、2−シクロヘキシルチオプロピル基、2−フェニルチオプロピル基、2−ナフチルチオプロピル基、2−エチルセレノエチル基、等が挙げられる。
スルフィニル基を有する炭化水素基としては、2−(メチルスルフィニルエチル)基、2−(エチルスルフィニル)エチル基、2−(ブチルスルフィニル)エチル基、2−(シクロヘキシルスルフィニル)エチル基、2−(2−エチルヘキシルスルフィニル)エチル基、2−(ドデシルスルフィニル)エチル基、2−(フェニルスルフィニル)エチル基、2−(ナフチルスルフィニル)エチル基、2−(2−ピリジルスルフィニル)エチル基等が挙げられる。
スルホニル基を有する炭化水素基としては、2−(メチルスルホニル)エチル基、2−(エチルスルホニル)エチル基、2−(ブチルスルホニル)エチル基、2−(シクロヘキシルスルホニル)エチル基、2−(2−エチルヘキシルスルホニル)エチル基、2−(ドデシルスルホニル)エチル基、2−(フェニルスルホニル)エチル基、2−(ナフチルスルホニル)エチル基、2−(2−ピリジルスルホニル)エチル基、2−(アミノスルホニル)エチル基、2−(メチルアミノスルホニル)エチル基等が挙げられる。
アミド基を有する炭化水素基としては、2−(メチルカルボニルアミノ)エチル基、2−(エチルカルボニルアミノ)エチル基、2−(ジメチルカルボニルアミノ)エチル基、2−(プロピルカルボニルアミノ)エチル基、2−(ペンチルカルボニルアミノ)エチル基、2−(シクロヘキシルカルボニルアミノ)エチル基、2−(2−エチルヘキシルカルボニルアミノ)エチル基、2−(オクチルカルボニルアミノ)エチル基、2−(ドデシルカルボニルアミノ)エチル基、2−(フェニルカルボニルアミノ)エチル基、2−(ナフチルカルボニルアミノ)エチル基、2−(アミノカルボニル)エチル基、2−(メチルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジメチルアミノカルボニル)エチル基、2−(プロピルアミノカルボニル)エチル基、2−(ペンチルアミノカルボニル)エチル基、2−(シクロヘキシルアミノカルボニル)エチル基、2−(オクチルアミノカルボニル)エチル基、2−(2−エチルヘキシルアミノカルボニル)エチル基、2−(ドデシルアミノカルボニル)エチル基、2−(フェニルアミノカルボニル)エチル基、2−(ナフチルアミノカルボニル)エチル基、2−(2−ピリジルアミノカルボニル)エチル基等が挙げられる。
ウレイド基を有する炭化水素基としては、2−(メチルウレイド)エチル基、2−(エチルウレイド)エチル基、2−(ペンチルウレイド)エチル基、2−(シクロヘキシルウレイド)エチル基、2−(オクチルウレイド)エチル基、2−(ドデシルウレイド)エチル基、2−(フェニルウレイド)エチル基、2−(ナフチルウレイド)エチル基、2−(2−ピリジルアミノウレイド)エチル基等が挙げられる。
カルボニル基を有する炭化水素基としては、2−アセチルエチル基、2−カルボキシルエチル基、2−(メトキシカルボニル)エチル基、2−(エトキシカルボニル)エチル基、2−(アセトキシ)エチル基、2−(エチルカルボニルオキシ)エチル基、2−(ブチルカルボニルオキシ)エチル基、2−(オクチルカルボニルオキシ)エチル基、2−(ドデシルカルボニルオキシ)エチル基、2−(フェニルカルボニルオキシ)エチル基等が挙げられる。
イミノ基を有する炭化水素基としては、2−アミノエチル基、2−(エチルアミノ)エチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、2−(ジエチルアミノ)エチル基、2−(ブチルアミノ)エチル基、2−(ジブチルアミノ)エチル基、2−(シクロペンチルアミノ)エチル基、2−(2−エチルヘキシルアミノ)エチル基、2−(ドデシルアミノ)エチル基、2−(アニリノ)エチル基、2−(N−メチルアニリノ)エチル基、2−(ナフチルアミノ)エチル基、2−(2−ピリジルアミノ)エチル基等が挙げられる。
アゾ基を有する炭化水素基としては、2−(メチルアゾ)エチル基、2−(フェニルアゾ)エチル基、等が挙げられる。
ホスホリル基を有する炭化水素基としては、2−(ジメトキシホスホニル)エチル基、2−(ジフェニルホスホリル)エチル基等が挙げられる。
ヒドロキシホスホリル基を有する炭化水素基としては、2−(ヒドロキシホスホリル)エチル基、2−(ヒドロキシホスホリル)プロピル基等が挙げられる。
前記ヘテロ環基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基、等が挙げられる。
ヘテロ環基は、1以上の炭素原子が、上述した第1級の置換基、または、第1級もしくは第2級の置換基を有してもよい炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。
本発明の近赤外線吸収粒子の数平均凝集粒子径は、200nm以下であり、100nm以下が好ましい。また、本発明の近赤外線吸収粒子の数平均凝集粒子径は、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上がより一層好ましい。数平均凝集粒子径が200nm以下であれば、これを用いて形成された近赤外線吸収膜のヘーズを低くでき、すなわち近赤外線吸収膜の透過率を高くできる。そのため、例えばカメラの近赤外線吸収フィルタの用途等に好適となる。前記ヘーズとは近赤外線吸収膜を通過する透過光が拡散されている状態をいう。また、数平均凝集粒子径が10nm以上であれば、十分な近赤外線吸収特性を発現できる。ここで数平均凝集粒子径は、近赤外線吸収粒子を分散媒に分散させた粒子径測定用分散液について、動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
本発明の近赤外線吸収粒子の、拡散反射スペクトルにおける波長400〜550nmの範囲の光の平均反射率は、60%以上であることが好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上がより一層好ましく、85%以上が特に好ましい。
また、本発明の近赤外線吸収粒子の、拡散反射スペクトルにおける波長700nmの光の反射率は、50%以下であることが好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がより一層好ましく、35%以下が特に好ましい。
近赤外線吸収粒子の拡散反射スペクトルは、該近赤外線吸収粒子を用いて形成される近赤外線吸収膜の透過率スペクトルの目安となる。拡散反射スペクトルで近赤外線吸収粒子の反射率が高いことは、近赤外線吸収粒子による光の吸収が少ないことを示す。一方で、近赤外線吸収粒子の反射率が低いことは、近赤外線吸収粒子による光の吸収が多いことを示す。なお、拡散反射スペクトルは、粉体状態の近赤外線吸収粒子について、紫外可視分光光度計を用いて測定される。
<近赤外線吸収粒子の製造方法>
本発明の近赤外線吸収粒子は、例えば、下記の工程を含む方法により製造される。
(a)銅塩と前述した多価カルボン酸成分とを混合して反応させるか、または多価カルボン酸成分を生成する際に、銅塩を加え、反応させる工程
(b)前記工程(a)で得られた生成物を、数平均凝集粒子径が200nm以下、好ましくは10〜200nmとなるように解砕する工程
(工程(a)について)
銅塩としては、硫酸銅(II)5水和物、塩化銅(II)2水和物、酢酸銅(II)1水和物、臭化銅(II)、硝酸銅(II)3水和物、過塩素酸銅(II)6水和物等が挙げられる。
多価カルボン酸成分は、前記した多価カルボン酸のいずれかを使用する。
銅塩と多価カルボン酸成分等と反応させる際の条件は、反応温度が通常5〜150℃、反応時間が通常30分〜8時間である。銅塩と多価カルボン酸成分を反応させる場合、その割合は銅イオンに対するカルボン酸基のモル比が1〜10となる範囲が好ましい。
生成物は、濾過や遠心分離等によって分離された後、必要に応じて、洗浄、乾燥、乾式粉砕される。洗浄には、水、熱水、または有機溶媒等が使用される。
(工程(b)について)
解砕方法としては、公知の乾式粉砕法または湿式粉砕法が挙げられ、数平均凝集粒子径を200nm以下としやすい点から、湿式粉砕法が好ましい。
乾式粉砕法としては、ボールミル、ジェットミル、ミル型粉砕機、ミキサー型粉砕機等を用いる方法等が挙げられる。
湿式粉砕法としては、湿式ミル(ボールミル、遊星ミル等)、クラッシャー、乳鉢、衝撃粉砕装置(ナノマイザー等)、湿式微粒子化装置等を用いる方法等が挙げられ、最も簡便かつ安価に粉砕処理が可能な湿式ミルを用いる方法が好ましい。
湿式粉砕法の場合、工程(a)で得られた生成物を分散媒に分散させて解砕用分散液とする必要がある。分散媒としては、水、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、またはアルデヒド等が挙げられる。分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。分散媒としては、作業環境の点から、水またはアルコールが好ましく、解砕用分散液に高圧力をかける場合は、水が特に好ましい。分散媒の量は、分散性を維持する点から、解砕用分散液(100質量%)のうち、3〜50質量%が好ましい。
解砕物は、必要に応じて、遠心分離等によって分散液から分離された後、洗浄、乾燥、乾式粉砕される。乾燥方法としては、加熱乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、真空乾燥法等が挙げられる。
以上のようにして得られた近赤外線吸収粒子は、耐候性、耐酸性、耐水性等の向上や表面改質によるバインダ樹脂との相溶性の向上を目的に、公知の方法にて表面処理されてもよい。表面処理の方法としては、近赤外線吸収粒子を含む分散液中に、表面処理剤または溶媒で希釈した表面処理剤を添加し、撹拌して処理した後、溶媒を除去し乾燥させる方法(湿式法)、あるいは近赤外線吸収粒子を撹拌しながら、表面処理剤または溶媒で希釈した表面処理剤を、乾燥空気または窒素ガスで噴射させて処理した後、乾燥させる方法(乾式法)が挙げられる。
表面処理剤としては、界面活性剤、カップリング剤等が挙げられる。
<用途>
本発明の近赤外線吸収粒子は、分散媒に分散させて分散液として用いてもよく、樹脂に分散させて樹脂組成物として用いてもよい。
<分散液>
本発明の分散液は、分散媒と、該分散媒に分散された本発明の近赤外線吸収粒子とを含み、必要に応じて分散剤、バインダ樹脂、他の光吸収材を含む。近赤外線吸収粒子の量は、分散液の固形分(100質量%)のうち、10〜60質量%が好ましい。近赤外線吸収粒子の量が10質量%以上であれば、十分な近赤外線吸収特性を発現できる。近赤外線吸収粒子の量が60質量%以下であれば、可視光領域の光の透過率を高く維持できる。
(分散媒)
分散媒としては、水、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、アルデヒド、アミン、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、または芳香族炭化水素等が挙げられる。分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。分散媒としては、作業環境の点から、水またはアルコールが好ましい。分散媒の量は、近赤外線吸収粒子の分散性を維持する点から、分散液(100質量%)のうち、40〜90質量%、すなわち近赤外線吸収粒子が10〜60質量%が好ましい。
(分散剤)
分散剤としては、近赤外線吸収粒子の表面に対して改質効果を示すもの、例えば、界面活性剤、シラン系カップリング剤、シリコーンレジン、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、アルキルリン酸エステル等)、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ソルビタン高級カルボン酸エステル等)、カチオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルアミンカルボン酸エステル、アルキルアミン、アルキルアンモニウム塩等)、両性界面活性剤(高級アルキルベタイン等)が挙げられる。
シラン系カップリング剤のシランとしては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザンが挙げられる。シランカップリング剤としては、官能基(グリシドキシ基、ビニル基、アミノ基、アルケニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アンモニウム基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等)を有するアルコキシシラン等が代表的な例として挙げられる。
シリコーンレジンとしては、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジンが挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、アシロキシ基、ホスホキシ基、ピロホスホキシ基、スルホキシ基、アリーロキシ基等を有するものが挙げられる。
アルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。
ジルコアルミネート系カップリング剤としては、アミノ基、メルカプト基、アルキル基、アルケニル基等を有するものが挙げられる。
分散剤の量は、分散剤の種類にもよるが、分散液(100質量%)のうち、0.5〜10質量%が好ましい。分散剤の量が該範囲内であれば、近赤外線吸収粒子の分散性が良好となり、透明性が損なわれず、また、経時的に近赤外線吸収粒子が沈降することが抑えられる。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキド系樹脂等)、熱硬化性樹脂(エポキシ系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、シルセスキオキサン系樹脂等)が挙げられる。近赤外線吸収膜に透明性が必要となる場合、バインダ樹脂としては、アクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂が好ましい。バインダ樹脂の量は、分散液の固形分(100質量%)のうち、40〜90質量%が好ましい。
(他の光吸収材)
他の光吸収材としては、紫外線吸収材、他の赤外線吸収材等が挙げられる。
紫外線吸収材としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、マイカ、カオリン、セリサイト等が挙げられる。
他の赤外線吸収材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、ATO(Antimony doped Tin Oxide)等が挙げられる。ITOは、可視光領域の透過率が高く、かつ1100nmを超える電波領域も含めた広範囲の電磁波吸収性を有するため、電波遮蔽性を必要とする場合に特に好ましい。
他の光吸収材の数平均凝集粒子径は、透明性の点から、100nm以下が好ましい。
(分散液の調製)
本発明の分散液は、本発明の近赤外線吸収粒子、分散媒、必要に応じて分散剤、バインダ樹脂等を混合し、自転・公転式ミキサー、ビーズミル、遊星ミル、超音波ホモジナイザ等によって撹拌することにより調製できる。高い透明性を確保するためには、十分に撹拌する必要がある。撹拌は、連続的に行ってもよく、断続的に行ってもよい。
以上説明した分散液においては、本発明の近赤外線吸収粒子を分散媒に分散させたものであるため、可視光領域の透過率が高く、近赤外線領域の透過率が低く、かつ耐湿熱性に優れる近赤外線吸収膜の形成に有用である。
<近赤外線吸収膜を有する物品>
近赤外線吸収膜を有する物品は、基材面に上記した本発明の近赤外線吸収粒子を含む近赤外線吸収膜を有するものである。かかる近赤外線吸収膜を有する物品は、前述した分散液を、基材の表面に塗布し、乾燥させることによって得られる。
近赤外線吸収膜を有する物品としては、撮像装置等における近赤外線遮蔽フィルタ、プラズマディスプレイ用の光学フィルタ、車両(自動車等)用のガラス窓、ランプ等が挙げられる。基材の形状としては、フィルムでも板状でもよい。基材の材料としては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、フッ素樹脂等が挙げられ、透明性および耐熱性の点から、ガラスが好ましい。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は当然にこれらの実施例に限定されない。なお、例1〜6は実施例であり、例7および例8は比較例である。
近赤外線吸収粒子のX線回折、数平均凝集粒子径および拡散反射スペクトルの測定方法は次の通りである。
(X線回折)
粉体状態の近赤外線吸収粒子について、X線回折装置(RIGAKU社製、装置名:SmartLab)を用いてX線回折の測定を行い、結晶構造の同定を行った。
(数平均凝集粒子径)
近赤外線吸収粒子を水に分散させて粒子径測定用分散液(固形分濃度:5質量%)を調製し、この分散液について動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装社製、装置名:マイクロトラック超微粒子粒度分析計UPA−150)を用いて近赤外線吸収粒子の粒度分布を測定し、数平均凝集粒子径を求めた。
ここで、一つの球状粉体の集合を仮定し、その粉体の集団の全個数を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径は累積中位径(Median径)であり、これを数平均凝集粒子径とした。
(拡散反射スペクトル)
粉体状態の近赤外線吸収粒子について、紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、装置名:U−4100形)を用いて拡散反射スペクトルを測定した。ベースラインとして、硫酸バリウムを用いた。
〔例1〕
市販のシュウ酸銅・0.5水和物(関東化学社製)の粉体について、X線回折を測定した。結果を図1に示す。
上記粉体2.0gと水18.0gを混合し、この混合物にジルコニア製ビーズ(φ0.5mm)50.0gを加え、ボールミルを用いて48時間湿式粉砕を行い、粒子径測定用分散液を調製し、数平均凝集粒子径を求めた。結果を表1に示す。
また、上記シュウ酸銅・0.5水和物の粉体について、拡散反射スペクトルを測定した。結果を図2に実線で示す。また、その測定結果から、可視光(波長400〜550nm)の平均反射率および近赤外光(波長700nm)の反射率を求めた。結果を表1に示す。
さらに、高温高湿環境試験として、上記シュウ酸銅・0.5水和物をるつぼに入れ、温度85℃、相対湿度85%に設定した恒温恒湿槽での暴露試験を1000時間行った後、拡散反射スペクトルを測定した。結果を図2に破線で示す。また、その測定結果から、可視光(波長400〜550nm)の平均反射率および近赤外光(波長700nm)の反射率を求めた。結果を表1に示す。
〔例2〕
シュウ酸(純正化学社製)9.0g、エタノール(関東化学社製)18g、96%濃硫酸(関東化学社製)0.02g、および硫酸銅・5水和物(関東化学社製)25.0gを混合し、100℃で2時間還流して、水色の沈殿物を得た。遠心分離により沈殿物を分取し、70℃の熱水で5回洗浄した。さらに150℃で30分加熱し、水色の粉体を得た。
得られた粉体について、X線回折を測定した。結果を図3に示す。X線回折の結果から、例1と同一のパターンが確認され、該粉体が例1と同一の結晶構造をもつ粒子であることが同定された。
上記粉体を例1と同様の方法で粉砕し、数平均凝集粒子径、拡散反射スペクトル、高温高質環境試験を行った。結果を表1に示す。図4の拡散反射スペクトルは、高温高質試験前を実線で、高温高質試験後を破線で示す。
〔例3〕
シュウ酸(純正化学社製)9.0g、1−ヘキサノール(純正化学社製)20.1g、96%濃硫酸(関東化学社製)0.02g、および硫酸銅・5水和物(関東化学社製)25.0gを混合し、100℃で2時間還流して、水色の沈殿物を得た。遠心分離により沈殿物を分取し、70℃の熱水で5回洗浄した。さらに150℃で30分加熱し、水色の粉体を得た。
得られた粉体について、X線回折を測定したところ、該粉体が例1と同一の結晶構造をもつ粒子であることが同定された。
上記粉体を例1と同様の方法で粉砕し、数平均凝集粒子径、拡散反射スペクトル、高温高質環境試験を行った。結果を表1に示す。
〔例4〕
シュウ酸(純正化学社製)9.0g、2−ブトキシエタノール(関東化学社製)23.6g、および96%濃硫酸(関東化学社製)0.02gを混合し、150℃で6時間還流した。得られた溶液をカラムを用いて精製した。この精製物2.3gをアセトン1gに溶解させて第1の溶液とし、この第1の溶液に、過塩素酸銅・6水和物(Ardrich社製)3.7gをアセトン4gに溶解させた第2の溶液を加え、30分撹拌した後、静置して、水色の沈殿物を得た。遠心分離により沈殿物を分取し、水で5回、さらにアセトンで1回洗浄した。その後、70℃で2時間加熱し、水色の粉体を得た。
得られた粉体について、X線回折を測定したところ、該粉体が例1と同一の結晶構造をもつ粒子であることが同定された。
上記粉体を例1と同様の方法で粉砕し、数平均凝集粒子径、拡散反射スペクトル、高温高質環境試験を行った。結果を表1に示す。
〔例5〕
シュウ酸(純正化学社製)9.0g、2−エチルチオエタノール(東京化成工業社製)21.2g、および96%濃硫酸(関東化学社製)0.02gを混合し、150℃6時間還流した。得られた溶液をカラムを用いて精製した。この精製物2.7gを70℃で加熱撹拌した後、過塩素酸銅・6水和物(Ardrich社製)3.7gを添加し、さらに2時間撹拌した。その後、静置して、水色の沈殿物を得た。遠心分離により沈殿物を分取し、水で5回、さらにアセトンで1回洗浄した後、70℃で2時間加熱し、水色の粉体を得た。
得られた粉体について、X線回折を測定したところ、該粉体が例1と同一の結晶構造をもつ粒子であることが同定された。
上記粉体を例1と同様の方法で粉砕し、数平均凝集粒子径、拡散反射スペクトル、高温高質環境試験を行った。結果を表1に示す。
〔例6〕
シュウ酸(純正化学社製)9.0g、2−ジエチルアニリノエタノール(東京化成工業社製)23.4g、および96%濃硫酸(関東化学社製)0.02gを混合し、150℃で6時間還流した。得られた溶液を、カラムを用いて精製した。この精製物2.9gを70℃で加熱撹拌した後、過塩素酸銅・6水和物(Ardrich社製)3.7gを添加し、さらに2時間撹拌した。その後、静置して、水色の沈殿物を得た。遠心分離により沈殿物を分取し、水で5回、さらにアセトンで1回洗浄した後、70℃で2時間加熱し、水色の粉体を得た。
得られたX線回折を測定したところ、該粉体が例1と同一の結晶構造をもつ粒子であることが同定された。
上記粉体を例1と同様の方法で粉砕し、数平均凝集粒子径、拡散反射スペクトル、高温高質環境試験を行った。結果を表1に示す。
〔例7〕
市販のアセチルアセトナト銅(純正化学社製)2.0gと水18.0gを混合し、この混合物にジルコニア製ビーズ(φ0.5mm)50.0gを加え、ボールミルを用いて48時間湿式粉砕を行い、粒子径測定用分散液を調製し、数平均凝集粒子径を求めた。結果を表1に示す。
ここで、上記湿式粉砕工程において、アセチルアセトナト銅の変色が見られ、また、表1から明らかなように、数平均分散粒子径も十分に小さくすることができなかったことから、アセチルアセトナト銅が湿式粉砕工程で組成変化したことが示唆される。
例1と同様の方法で拡散反射スペクトル、高温高質環境試験を行った。結果を表1および図5に示す。図5の拡散反射スペクトルは、高温高質試験前を実線で、高温高質試験後を破線で示す。
〔例8〕
50%フィチン酸銅(東京化成社製)13.7gを撹拌しながら、酢酸銅・1水和物4.15gを添加し、完全に溶解させた。この溶液を、イソプロパノール400mLとメタノール50mLを混合し、激しく撹拌した溶液中に少量ずつ滴下し、静置したところ、結晶が生成した。この結晶を吸引濾過により分取し、イソプロパノールで洗浄したところ、粘性固体が得られた。この粘性固体をメタノールで湿らせながら薬匙で粉砕し、さらにメタノールを加えて30分撹拌した。この溶液を吸引濾過した後、真空乾燥し、青色の粉体を得た。
例1と同様の方法で拡散反射スペクトル、高温高質環境試験を行った。結果を表1および図6に示す。図6の拡散反射スペクトルは、高温高質試験前を実線で、高温高質試験後を破線で示す。なお、上記粉体は水に溶解するため、水溶液中での粒度分布測定は実施できなかった。
Figure 2014214296
表1等から明らかなように、銅と多価カルボン酸成分を含有する化合物を含む例1〜6の粒子はいずれも、高温高湿試験後も、試験前とほとんど変わらない分光特性を有していた。
これに対し、多価カルボン酸を含まない銅化合物であるアセチルアセトナト銅を含む例7の粒子では、可視領域の拡散反射スペクトルの反射率が低いうえに、わずか51時間の高温高湿試験で、拡散反射スペクトルにおける反射率が大きく変動し、特に可視領域の全波長における反射率が低くなった。これは、例7の粒子を用いて形成される近赤外線吸収膜は、湿熱環境下において、可視光透過率が低くなることを示している。
例8のフィチン酸銅は、リン酸銅系近赤外線吸収化合物である。この化合物は、図6から明らかなように、わずか16時間の高温高湿試験において、拡散反射スペクトルにおける反射率が大きく変動しており、例7と同様、例8の粒子を用いて形成される近赤外線吸収膜は、湿熱環境下において、可視光透過率が低くなることを示している。
本発明の近赤外線吸収粒子は、可視光反射率が高く、かつ近赤外光の光を効率よく吸収し、さらに高温高湿環境に暴露した後も分光特性が変動しない。このため、撮像装置等の近赤外線遮蔽フィルタ、プラズマディスプレイ用の光学フィルタ、車両(自動車等)用のガラス窓、ランプ等の近赤外線吸収膜に含有させる近赤外線吸収材として有用である。

Claims (9)

  1. 銅と多価カルボン酸成分を含有する化合物を含み、数平均凝集粒子径が、200nm以下である、近赤外線吸収粒子。
  2. 前記多価カルボン酸成分は、2価カルボン酸成分である、請求項1に記載の近赤外線吸収粒子。
  3. 前記銅と2価カルボン酸成分は、実質的に下記一般式(1)で表される化合物として含まれる、請求項2に記載の近赤外線吸収粒子。
    Figure 2014214296
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、−OR、−OR、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、リン酸基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる官能基を表し、前記RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、第1級もしくは第2級の置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基もしくはヘテロ環基である。また、nは2〜3の整数である。)
  4. 前記一般式(1)中、nが2である、請求項3に記載の近赤外線吸収粒子。
  5. 前記銅と2価カルボン酸成分は、実質的に下記一般式(2)で表される化合物として含まれる、請求項2または3に記載の近赤外線吸収粒子。
    Figure 2014214296
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ環基、または第1級もしくは第2級の置換基を有してもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基である。また、nは2〜3の整数である。)
  6. 拡散反射スペクトルにおける波長400〜550nmの範囲の光の平均反射率が60%以上であり、かつ波長700nmの光の反射率が50%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粒子を分散媒に分散させた、分散液。
  8. 分散液の固形分として近赤外線吸収粒子を10〜60質量%含有する、請求項7記載の分散液。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収粒子を含む近赤外線吸収膜が基材に形成された、近赤外線吸収膜を有する物品。
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