JP2014214266A - ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、シリカは、シリカ表面における水分量(図1)が多いと、その表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり(図2)、ゴム中へのシリカ粒子の分散が不十分になり、加熱押出時には収縮が生じ、ゴム加工性が悪化するという問題がある。
本発明のゴム組成物は、少なくとも、ゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤とを含んでなり、さらに必要に応じて、カーボンブラック、その他の成分を含んでなる。
前記ゴム成分としては、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを10質量%以上含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その他のゴム成分を含んでいてもよい。
前記溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量としては、6,000〜1,400,000である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100,000〜1,000,000が好ましく、300,000〜600,000がより好ましい。
前記溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量が、6,000未満であると、発熱性に優れる空気入りタイヤが得られず、1,400,000を超えると、ゴム組成物の加工性が低下する。一方、前記溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量が、より好ましい範囲内であると、発熱性及び加工性のバランスの点で有利である。
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定されたポリスチレン換算の値である。
また、耐摩擦性及び破壊強度の観点から、伸展油(例えば、アロマオイル)によって油展されたものを用いてもよい。
前記製造方法に用いられるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、四塩化スズなどのポリハロゲン化スズ化合物、テトラクロロシランなどのポリハロゲン化ケイ素化合物、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼン等のポリハロゲン化置換炭化水素化合物、アジピン酸ジエチル等のポリカルボン酸エステル類、エポキシ化液体ポリブタジエンやエポキシ化植物油等のポリエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイミン化合物、ポリアルデヒド類、ポリケトン類、ポリカルボン酸無水物、ジグリシジルアミノ基含有多官能化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを、溶液重合法により製造することにより、重量平均分子量をコントロールできる他、ブタジエン部のミクロ構造、すなわち、シス、トランス及びビニル結合量やスチレン含量を任意にコントロールすることができ、ゴム組成物の要求特性に合った、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを得ることができる。
前記含有量が10質量%以上であれば、WET摩擦力に優れたタイヤを与えるゴム組成物を得ることができる。
前記その他のゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、天然ゴム(NR)、ジエン系合成ゴム、などが挙げられる。
前記シリカとしては、BET比表面積が100m2/g〜300m2/gであり、表面の含水率が0.50質量%〜5.0質量%である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来よりゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。
前記シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、などが挙げられる。
前記シリカの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、東ソー・シリカ(株)製のAQ、VN3、LP、NA等、デグッサ社製のウルトラジルVN3(BET法による窒素吸着比表面積(N2SA):210m2/g)等、が挙げられる。
前記シリカのBET比表面積が、100m2/g未満であると、摩耗に劣り、300m2/gを超えると、加工性及び発熱性に劣る。一方、前記シリカのBET比表面積が、より好ましい範囲内であると、加工性等の点で有利である。
なお、前記BET比表面積(BET法による窒素吸着比表面積(N2SA))は、例えば、ISO5794−1に準拠して測定することができる。
前記シリカの表面の含水率が、0.50質量%未満であると、シリカ自体の生産性に劣り、5.0質量%を超えると、発熱性が高い。一方、前記シリカの表面の含水率が、より好ましい範囲内であると、発熱性及びゴム収縮等の点で有利である。
なお、前記シリカの表面の含水率とは、例えば、図1に示すように、前記シリカ表面から1μm以内の領域に存在する水の質量のシリカ質量に対する割合を意味する。
また、前記シリカの表面の含水率は、例えば、一般的な乾熱オーブンなどを用いて、加熱重量減分することにより測定することができる。
前記シリカの含有量が80質量部未満であると、WET摩擦力に劣り、250質量部を超えると、発熱性に劣る。一方、前記シリカの含有量がより好ましい範囲内であると、WET摩擦力及び発熱性バランスの点で有利である。
また、前記シリカの数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記シランカップリング剤としては、下記一般式(I)で表される保護化メルカプトシランである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記一般式(I)において、炭素数1〜18の一価の炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、などが挙げられる。
ここで、前記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、前記アリール基及びアラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよい。
前記R8で表される炭素数1〜18のアルキレン基としては、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよいが、特に、直鎖状のものが好ましい。前記直鎖状のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、などが挙げられる。
また、前記R4で表される炭素数1〜18の二価の炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基、などが挙げられる。前記アルキレン基及びアルケニレン基としては、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、前記シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基としては、環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよい。
前記R4としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の直鎖状アルキレン基がより好ましい。
本発明のゴム組成物は、前記シランカップリング剤を用いることにより、未加硫ゴムの粘度が低下することにより、混練り中におけるヤケが発生するまでの時間が長くなることによって長時間の混練が可能となりゴム加工時の作業性に優れると共に、シリカのゴム成分への分散が改良され、かつ、シリカ、ポリマーとの反応性が改良されることによりヒステリシスロスを低減することができる。この改善分を活用してシリカなどの補強性充填材の配合量を増やすことが可能となり、その結果として加工時の作業性を維持することができる。
前記シランカップリング剤の配合量が2質量%〜20質量%の範囲内にあれば、前記本発明の効果が充分に発揮される。
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FEF、GPF、SRF、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAF、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAFが、諸物性、特に破壊特性の改良効果の点で、好ましい。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば、無機充填材、プロセスオイル、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を含有させることができる。
前記無機充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al2O3)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩、などが挙げられる。
前記プロセスオイルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系、などが挙げられる。
引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。
前記プロセスオイルの使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、40質量部〜100質量部が好ましい。
また、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムが伸展油により油展されている場合、前記伸展油と後添加されたプロセスオイルとが同じであることが好ましい。
前記加硫剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄、などが挙げられる。
前記加硫剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.5質量部〜5.0質量部が好ましく、1.0質量部〜3.0質量部がより好ましい。
前記加硫促進剤としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系;DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系、などが挙げられる。
前記加硫促進剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.5質量部〜3.0質量部が好ましく、1.0量部〜2.0質量部がより好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、前述の本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させたゴム組成物が未加硫の段階でタイヤトレッドに加工され、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型され、生タイヤが成型される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、発熱性が維持され、ウェットグリップ性能が優れたタイヤである。
表1に示す配合組成の4種類のゴム組成物をバンバリーミキサーを用いて調製した。なお、表1の「組成」の欄における数字の単位は、質量部である。各ゴム組成物(未加硫ゴム)について、混練作業性(加工性)、貯蔵弾性率G’、収縮率(%)を評価すると共に、加硫温度145℃、加硫時間45分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、硬度(Hd)、破断伸び(EB)、破壊強度(TB)、モジュラス(M100,M300)、損失正接(tanδ)、ラボWET−μ(WET−μ)を評価した。その結果を表1に示す。
また、ゴム成分の重量平均分子量(ポリスチレン換算の値)については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した。
なお、シリカのBET比表面積をISO5794−1に準拠して測定し、また、シリカ表面の含水率を一般的な乾熱オーブンを用いて、加熱減量分を測定することにより測定した。
表1中の材料を混練りして、ゴム組成物(未加硫ゴム)の混練作業性(加工性)を評価した。
なお、表1において、「NP」は、加硫促進剤および硫黄以外の材料を180℃以下で混練りするステージを示し、「NPX」は、分散を進めるため、NPで得られたゴムを一度冷やし、再度180℃以下で混練りするステージを示し、「P」は、加硫促進剤と硫黄を添加し、130℃以下で近練りするステージを示し、「粘度」は「加工がしにくいこと」を示し、「焦げ」は「加工不良」を示し、「鱗片状」は「作業性劣るも加工に問題無し」を示す。
粘弾性測定装置(商品名:RPA−2000、アルファテクノロジーズ社製)を用いて、130℃、100%歪の条件で、ゴム組成物の貯蔵弾性率(G')を測定した。指数値が大きい程、貯蔵弾性率が低く、優れることを示す。
一般的なロールミルを用いて、ゴムを巻付時に標点を付け、シート切り出し後の標点間の距離の条件で、ゴム組成物(未加硫ゴム)の収縮率(%)を評価した。
JIS K6301(スプリング式A型)に準じて、加硫ゴムサンプルの硬度(Hd)を求めた。
JIS K6301に準拠し、引張り速度500mm/分、24℃にて、加硫ゴムサンプルの破断伸び(EB)、破壊強度(TB)及びモジュラス(M100,M300)を測定した。なお、M100は100%伸長時のモジュラスであり、M300は300%伸長時のモジュラスである。
レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用い、温度60℃、周波数15Hz、歪50%でtanδを測定した。指数値が小さい程、優れていることを示す。
湿潤路面におけるタイヤの制動性能の指標として測定したものである。これは路面摩擦試験機(実開平5−66545号公報に開示)を用いて、湿潤路面上における摩擦力を20℃にて測定し、比較例2の値を100として、指数表示した。数値の大きい方が制動性能が良好である。
*1.JSR製「JSR 1723」(スチレンブタジエン共重合体(重量平均分子量:約71万)100質量部とアロマオイル37.5質量部との混合物)
*2.旭カーボン製「N134相当品」
*3.国際公開2009/091057の段落「0039」の製造例Aと同様の製造方法で製造したもの
*4.国際公開2009/091057の段落「0044」の製造例Fと同様の製造方法で製造したもの
*5.Degussa社製「シランカップリング剤Si75」
*6.General Electric社製、商品名「NXTシラン」:3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン
*7.N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
*8.ジフェニルグアニジン:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
*9.N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド:大内新興化学工業社製「ノクセラーCZ」
11 ポリマー
Claims (3)
- (A)重量平均分子量が6,000〜1,400,000である溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを10質量%以上含むゴム成分100質量部に対し、
(B)BET比表面積が100m2/g〜300m2/gであり、表面の含水率が0.50質量%〜5.0質量%であるシリカを80質量部〜250質量部含み、
(C)下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤を、前記(B)成分のシリカに対して2質量%〜20質量%の割合でさらに含むことを特徴とするゴム組成物。
- 前記(A)成分のゴム成分100質量部に対し、カーボンブラック50質量部以下をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
- 請求項1又は2に記載のゴム組成物を、トレッドに用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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