JP2012153787A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】シリカの分散性に優れ、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランス良く向上できるタイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤とを混練する第一ベース練り工程と、前記第一ベース練り工程により得られた混練物と、シリカとを混練する第二ベース練り工程とを含む製造方法により得られるタイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来から、ゴムを補強するために、カーボンブラックやシリカなどの補強用充填剤がタイヤ用ゴム組成物に配合されている。カーボンブラックを配合すると、加工性が良く、また耐摩耗性等の強度の高いゴム組成物を得ることができるが、タイヤ物性の温度依存性が大きく、また発熱性が高くなり、タイヤの転がり抵抗が大きくなるという問題があった。一方、ゴム組成物中にシリカを分散性良く均一に配合すると、発熱性が低く、かつ物性の温度依存性が低くなり、ウェットグリップ性能が良好で、転がり抵抗の低い(低燃費性に優れた)タイヤ用ゴム組成物を得ることができる(例えば、特許文献1)。そのため、シリカを配合する技術が注目をあびている。
しかしながら、ゴム組成物にシリカを配合した場合、シリカはシリカ自身が有するシラノール基のため、シリカ同士で凝集しやすく、ゴム中に均一に分散させることが難しいという問題がある。
特開2005−047993号公報
本発明は、前記課題を解決し、シリカの分散性に優れ、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランス良く向上できるタイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤とを混練する第一ベース練り工程と、上記第一ベース練り工程により得られた混練物と、シリカとを混練する第二ベース練り工程とを含む製造方法により得られるタイヤ用ゴム組成物に関する。
上記第一ベース練り工程が、ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤と、カーボンブラックとを混練する工程であることが好ましい。
上記第一ベース練り工程の混練温度が120〜160℃であることが好ましい。
上記第一ベース練り工程の混練時間が3〜10分であることが好ましい。
上記含水炭酸カルシウムの含有量がゴム成分100質量部に対して、5〜70質量部、上記シランカップリング剤の含有量が、含水炭酸カルシウムとシリカの合計100質量部に対して、2〜15質量部であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対して、上記シリカを5〜100質量部、カーボンブラックを0〜50質量部含み、含水炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラックの合計含有量がゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部であることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤とを混練する第一ベース練り工程と、前記第一ベース練り工程により得られた混練物と、シリカとを混練する第二ベース練り工程とを含む製造方法により得られるタイヤ用ゴム組成物であるので、シリカの分散性に優れ、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランス良く向上できる。該ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に使用することにより、上記性能に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤とを混練する第一ベース練り工程と、前記第一ベース練り工程により得られた混練物と、シリカとを混練する第二ベース練り工程とを含む製造方法により得られる。
ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤とを第一ベース練り工程において混練することにより、含水炭酸カルシウム中に存在する水分により、シランカップリング剤同士が重縮合して、生成した網目状のかご状化合物中に炭酸カルシウムが取り込まれた二層構造をとることができ、第二ベース練り工程において、第一ベース練り工程により得られた混練物と、シリカとを混練する際に、シリカとシランカップリング剤の反応を阻害することなく、シリカ同士の凝集を抑制できるため、シリカの分散性を向上でき、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランス良く向上できるものと推測される。
<第一ベース練り工程>
第一ベース練り工程では、例えば、混練機を用いて、ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤が混練される。混練機としては従来公知のものを使用でき、例えば、バンバリーミキサーやニーダーなどの密閉型設備が挙げられる。なお、以下に述べる練り工程でも同様の混練機を使用できる。
第一ベース練り工程では、上記成分を混練温度120〜160℃で3〜10分間混練するのが好ましく、混練温度130〜160℃で4〜8分間混練するのがより好ましい。120℃未満では、シランカップリング剤同士の重縮合が充分に進行せず、シリカの分散性を充分に向上できず、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を充分に向上できないおそれがある。一方、160℃を越えると、ゴム成分が熱により劣化するおそれがあるため好ましくない。反応時間が上記下限値を下回る場合、シランカップリング剤同士の重縮合が充分に進行せず、シリカの分散性を充分に向上できず、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を充分に向上できないおそれがある。
本発明で使用できるゴム成分としては、特に限定されず、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、イソプレンブタジエンゴム等のジエン系ゴムが挙げられる。ジエン系ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を高度に両立できるという理由から、NR、SBRが好ましく、NR、SBRを併用することがより好ましい。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
SBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、低燃費性の改善効果が大きいという点から、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された変性SBRが好ましい。このような変性SBRとしては、旭化成ケミカルズ(株)製のアサプレンE15等を使用することができる。
含水炭酸カルシウムとしては特に限定されず、例えば、天然に存在する含水炭酸カルシウムを使用してもよく、Journal of Mineralogical and Petrological Sciences,103,345−349 2008(Transformation kinetics of monohydrocalcite to aragonite in aqueous solution)に記載の方法等により合成した含水炭酸カルシウムを使用してもよい。水和水の数も特に限定されず、モノハイドロカルサイト(CaCO・HO)、ヘキサハイドロカルサイト(CaCO・6HO)等が使用できる。
含水炭酸カルシウムの平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上である。0.1μm未満であると、含水炭酸カルシウムの分散性が低く、充分に低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を向上できないおそれがある。
上記平均粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。10μmを超えると、含水炭酸カルシウムが破壊核となるおそれがあり、充分に耐摩耗性を向上できないおそれがある。
なお、含水炭酸カルシウムの平均粒子径とは、含水炭酸カルシウムの直径の平均値(形態が球でない場合は長径と短径の平均値)であり、走査型電子顕微鏡による観察や、透過型電子顕微鏡における透過電子像の観察により測定することができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性が得られるという理由からスルフィド系のシランカップリング剤が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが更に好ましい。
第一ベース練り工程では、上記ゴム成分、含水炭酸カルシウム、シランカップリング剤以外にも、カーボンブラック、タルク等の充填剤等を混練してもよい。
なかでも、カーボンブラックを混練することが好ましい。第一ベース練り工程で、上記ゴム成分、含水炭酸カルシウム、シランカップリング剤と共に、カーボンブラックを混練することにより、シリカの分散性をより向上でき、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をよりバランス良く向上できる。
カーボンブラックとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは25m/g以上、より好ましくは45m/g以上である。25m/g未満では、充分な補強性が得られず、充分な耐摩耗性が得られない傾向がある。カーボンブラックのNSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは100m/g以下である。200m/gを超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定される値である。
<第二ベース練り工程>
第二ベース練り工程では、例えば、混練機を用いて、第一ベース練り工程により得られた混練物と、シリカが混練される。
第二ベース練り工程では、例えば、上記成分を140〜160℃で2〜8分間混練すればよい。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。30m/g未満では、補強効果が小さく、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは220m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。220m/gを超えると、シリカの分散性が低下し、充分な低燃費性、耐摩耗性が得られないおそれがある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
第二ベース練り工程では、上記混練物、シリカ以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、オイル等の軟化剤、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を混練してもよい。
<仕上げ練り工程、加硫工程>
上記第二ベース練り工程の後、得られたゴム組成物に、例えば、混練機を用いて、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤等の成分を混練する仕上げ練り工程を行い、さらに得られたゴム組成物(未加硫ゴム組成物)を130〜190℃で5〜30分間加硫反応を行うことにより、本発明のタイヤ用ゴム組成物が得られる。
上記製法により得られるゴム組成物は、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を高度に両立できるという理由から、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。また、同様の理由により、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、60〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましい。
含水炭酸カルシウムの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上である。5質量部未満であると、シリカの分散性が充分に改善されず、充分に低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を向上できないおそれがある。上記含水炭酸カルシウムの含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。70質量部を超えると、耐摩耗性が低下するおそれがある。
シランカップリング剤の含有量は、含水炭酸カルシウムとシリカの合計100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上、更に好ましくは6質量部以上である。シランカップリング剤の含有量が2質量部未満では、シリカの分散性が充分に改善されず、充分に低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を向上できないおそれがある。また、シランカップリング剤の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が15質量部を越えると、耐摩耗性が低下するおそれがある。
カーボンブラックを配合する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満の場合、充分な補強性が得られず、充分な耐摩耗性が得られないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。50質量部を超えると、低燃費性の改善効果が損なわれるおそれがある。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。5質量部未満では、充分な低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性が得られない傾向がある。また、シリカの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。100質量部を超えると、シリカの再凝集により加工性が悪化し、さらに耐摩耗性も低下する傾向がある。
含水炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは80質量部以上、特に好ましくは115質量部以上である。10質量部未満では、充分な低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性が得られない傾向がある。また、上記合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは150質量部以下、より好ましくは140質量部以下である。150質量部を超えると、低燃費性、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。20質量部を超えると、ウェットグリップ性能が低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材(特に、トレッド)に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(特に、トレッド)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(製造例)(含水炭酸カルシウム(モノハイドロカルサイト(CaCO・HO))の調製)
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences,103,345−349 2008(Transformation kinetics of monohydrocalcite to aragonite in aqueous solution)に記載の方法を参考にモノハイドロカルサイトを合成した。具体的には、以下のように行った。
(1)溶液A(CaCl0.06mol/l、MgCl0.06mol/l)にNaCO溶液を加え、撹拌することで最終CO 2−濃度が0.08mol/lとなる溶液Bを作成した。
(2)溶液Bは白色沈殿を示したが、そのまま室温で48時間撹拌し続けた。
(3)この白濁液Bを0.2μmポアサイズのメンブレンでフィルターろ過することで、白色沈殿物Cを回収した。
(4)回収した白色沈殿物Cをイオン交換水で数回洗浄した後、室温で風乾させることで含水炭酸カルシウム(モノハイドロカルサイト(CaCO・HO))を得た。
(5)ICP発光分光分析により、目的の含水炭酸カルシウム(モノハイドロカルサイト(CaCO・HO))が得られたことを確認した。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
SBR:旭化成ケミカルズ(株)製のアサプレン E15(分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)したS−SBR、スチレン含量:23質量%、ビニル含量:63質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN351(NSA:69m/g、DBP:128ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
含水炭酸カルシウム:上記製造例で調製した含水炭酸カルシウム(モノハイドロカルサイト(CaCO・HO))
シランカップリング剤A:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
シランカップリング剤B:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
実施例1〜6及び比較例1〜6
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、第一ベース練り工程に記載の各成分を、温度140℃で5分間混練し、混練物を得た(第一ベース練り工程)。次いで、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、第一ベース練り工程により得られた混練物と、第二ベース練り工程に記載の各成分を、温度150℃で3分間混合し、混練物を得た(第二ベース練り工程)。次に、第二ベース練り工程により得られた混練物に、仕上げ練り工程に記載の加硫促進剤と硫黄を加え、オープンロールで70℃で2分間混練して、未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。次に、得られた未加硫ゴム組成物を150℃で15分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た(加硫工程)。
得られた加硫ゴム組成物について下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(ペイン効果(シリカ分散性))
アルファーテクノロジー社製RPA2000を用いて、測定温度110℃(予熱1分)、周波数6cpm、振幅0.28〜10%の条件で、各加硫ゴム組成物の貯蔵弾性率の歪依存性を測定し、歪量0.56%時の貯蔵弾性率の値を求めた。結果を比較例1の値を100とした指数で表示した。数値が小さい程、分散不良塊が少なく、シリカの分散性が良好であることを示す。
(粘弾性試験)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(ウェットグリップ性能)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度0℃、初期歪み10%、動歪み5%の条件下で各加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した(ウェットグリップ性能指数)。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(各配合のtanδ)/(比較例1のtanδ)×100
(耐摩耗性)
各加硫ゴム組成物について、ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。さらに、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1のランボーン摩耗指数を100とし、各配合の容積損失量を指数表示した(ランボーン摩耗指数)。ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
Figure 2012153787
ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤とを混練する第一ベース練り工程と、前記第一ベース練り工程により得られた混練物と、シリカとを混練する第二ベース練り工程とを含む製造方法により得られたタイヤ用ゴム組成物である実施例では、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランス良く向上できた。

Claims (8)

  1. ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤とを混練する第一ベース練り工程と、
    前記第一ベース練り工程により得られた混練物と、シリカとを混練する第二ベース練り工程とを含む製造方法により得られるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記第一ベース練り工程が、ゴム成分と、含水炭酸カルシウムと、シランカップリング剤と、カーボンブラックとを混練する工程である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記第一ベース練り工程の混練温度が120〜160℃である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記第一ベース練り工程の混練時間が3〜10分である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記含水炭酸カルシウムの含有量がゴム成分100質量部に対して、5〜70質量部、前記シランカップリング剤の含有量が、含水炭酸カルシウムとシリカの合計100質量部に対して、2〜15質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. ゴム成分100質量部に対して、前記シリカを5〜100質量部、カーボンブラックを0〜50質量部含み、含水炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラックの合計含有量がゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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