以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
[第1の実施形態]
図1〜図5は、本発明の第1の実施形態のシステムトロリーを示す外観図である。このうち図1,図2は、本実施形態のシステムトロリーのモニタ取付用アーム装置を収納した状態(移動時の状態)を示し、図1は略正面側からの斜視図であり、図2は正面図である。また、図3,図4は、同システムトロリーのモニタ取付用アーム装置を伸ばした状態(使用時の状態)を示し、図3は略正面側からの斜視図であり、図4は正面図である。また、図5は、同システムトロリーを背面側から見た背面図である。なお、図5においては、一方のモニタ取付用アーム装置(メイン用)が収納状態にあり、他方のモニタ取付用アーム装置(サブ用)は伸びた状態を示している。
まず、本実施形態のシステムトロリーの概略構成について、主に図1〜図5を用いて以下に説明する。
本実施形態のシステムトロリー1は、図1〜図5に示すように、複数の棚24a,24b,24c,24dとメインフレーム27及び複数のフレーム部材(特に図示せず)等を有し、全体がフレーム構造によって形成されていて、各棚(24a〜24d)のそれぞれには内視鏡システム(不図示)を構成する各種構成ユニットのそれぞれを搭載設置することができるように形成されている。簡略に言えば、システムトロリー1は、内視鏡システム等の収納物を収納可能な領域を備える筐体として形成されている。
ここで、内視鏡システムを構成する各種構成ユニットとしては、例えば内視鏡を接続する各種機器類、例えばコントロールユニット,ビデオプロセッサ,光源装置,表示装置等の外部機器類等である。なお、内視鏡システムを構成する各種構成ユニットのうち、本発明に直接関わりのある外部機器は表示装置である。そこで、図1〜図5においては、図面の煩雑化を避けるため、内視鏡システムを構成する各種構成ユニットのうち特に二つの表示装置(メインモニタ11,サブモニタ12)を図示するのみに留め、その他の構成ユニットの図示は省略し、以下の説明においてはその詳細説明も省略する。
なお、本実施形態のシステムトロリー1に対し内視鏡システムを構成する各種構成ユニット等を搭載した状態にすると、その状態で当該内視鏡システムは使用可能な状態となる。また同様に、上記システムトロリー1に対し内視鏡システムを構成する各種構成ユニット等を搭載した状態において、当該内視鏡システムの不使用時には、その状態のまま、移動することができるように、最下段の棚24dには、その四隅のそれぞれにキャスター23が取り付けられている。
さらに、最下段の棚24dの底面側には、例えば外部電源(交流100V若しくは200V)からの電力供給を受けて当該内視鏡システムに適した電源種に変換する電源ユニット26が配設されている。
また、メインフレーム27には、薄型モニタパネルを備えた表示装置を取り付けるためのモニタ取付用アーム装置が複数(本実施形態では二つ;符号21,22)配設されている。具体的には、メインフレーム27の上部にはメインモニタ11を取り付ける第1アーム装置21が配設されている。また、メインフレーム27の一側部にはサブモニタ12を取り付ける第2アーム装置22が配設されている。
図5に示すように、上記第1アーム装置21及び上記第2アーム装置22は、基本的には略同様に構成されている。即ち、第1アーム装置21は、筐体(システムトロリー1)の外部へ向けて延出する二つのアーム部21a,21bと、この二つのアーム部21a,21bを連接し開閉可能に形成される関節部21cと、一方のアーム部21aの基端部をメインフレーム27の上部に固設する支持固定部21dと、他方のアーム部21bの先端部にメインモニタ11を取付固定するためのモニタ支持部21e等によって構成されている。
同様に、第2アーム装置22は、筐体(システムトロリー1)の外部へ向けて延出する二つのアーム部22a,22bと、この二つのアーム部22a,22bを連接する関節部22cと、一方のアーム部22aの基端部をメインフレーム27の一側部に固設する支持固定部22dと、他方のアーム部22bの先端部にサブモニタ12を取付固定するためのモニタ支持部22e等によって構成されている。
なお、第1アーム装置21を収納状態とした時(図1,図2,図5参照)には、図5に示すように、モニタ支持部21eの一部と支持固定部21dの一部とが係合状態となることによって、第1アーム装置21の収納状態を維持し、各アーム21a,21bが意図せずに展開することを抑止する係合固定機構が形成されている。
ここで、本実施形態においては、第1アーム装置21の収納状態(図1,図2,図5参照)とは、具体的には、二つのアーム部21a,21bが垂直方向に重なるように配置される状態をいうものとする。また、第1アーム装置21の展開状態は、上述の収納状態から二つのアーム部21a,21bが相対的に移動した状態をいい、図3,図4に示すように二つのアーム部21a,21bが略直線状に延出されるように配置された状態となるまでの間の様々な形態を含む状態をいうものとする。
同様に、本実施形態における第2アーム装置22の収納状態(図1,図2参照)とは、具体的には、二つのアーム部22a,22bが略直交する位置関係となるように配置された状態をいうものとする。また、第2アーム装置22の展開状態は、上述の収納状態から二つのアーム部22a,22bが成す角度が略直角(角度約90度)状態から開く方向に移動した状態をいい、図3,図4,図5に示すように二つのアーム部22a,22bが略直線状に延出されるように配置された状態となるまでの間の様々な形態を含む状態をいうものとする。
また、システムトロリー1の最上段の棚24aには、当該システムトロリー1を移動させる際に、使用者が手をかけて把持するための把持部である移動用ハンドル25が形成されている。移動用ハンドル25は、例えば最上段の棚24aの周縁部に設けられており、当該棚24aの棚面と略平行な方向に周縁部から外方に向けて突設するようにループ形状に形成されている。なお、本実施形態のシステムトロリー1において、移動ハンドル25は、二つ備えられている例を示している。
ここで、図6は、本実施形態のシステムトロリーの上記移動ハンドルの配設部位を拡大して示し、その内部構成をあわせて示す要部拡大構成図である。上記移動用ハンドル25のループ形状の内側部位には、図6に示すように、レバー31が配設されている。このレバー31は、移動用ハンドル25(把持部)への把持動作に合わせてアーム部のロック機構(後述する)の固定操作や解除操作が可能な操作部である。なお、レバー31は、二つの移動ハンドル25のうちの少なくとも一方に設けられていればよい。
このレバー31は、移動用ハンドル25の内側に形成され支点となる支軸31aを回動中心として揺動自在に設けられている。レバー31の一腕31bは、使用者が移動用ハンドル25と共に把持する力点となる部位である。この一腕31bとは反対方向に向けて上記支軸31aを挟んで延出する他腕31cの一端部(作用点)にはワイヤー32の一端32aがワイヤ留ピン35aによって固設されている。
ワイヤー32は、移動用ハンドル25の内部から当該システムトロリー1を構成するフレーム部材(メインフレーム27を含む)を挿通するように形成される管状の挿通路33内に挿通されている。
この構成により、使用者がレバー31の一腕31bを移動用ハンドル25と共に把持すると、レバー31は、支軸31aを中心として図6の矢印A方向に揺動する。すると、レバー31の他腕31cの一端部に固設されたワイヤー32の一端32aは、図6の矢印B方向に移動する。これにより、当該ワイヤー32は、図6の矢印C,D方向に引っ張られる。この場合において、挿通路33内のワイヤー32がスムースに移動し得るように、フレーム内におけるワイヤー32の進行方向が変更される部分となる曲折点(例えば図6の符号33a,33b参照)には、ガイド軸34が植設されている。このように、ワイヤー32は、レバー31(操作部)の操作に合わせてアーム部のロック機構の固定操作や解除操作を行なう連動部として機能する。
ここで、図7は、本実施形態のシステムトロリーにおけるワイヤーの配置を示す概念図である。ワイヤー32は、その一端32aが上述したように移動用ハンドル25に設けられたレバー31の他腕31cの一端部に固設されていて、ここからフレーム部材内を挿通して、その途中において図7の符号27aで示す部位にて二方向に分岐する。なお、この符号27aで示す部分を分岐点というものとする。この分岐点27aにて分岐したワイヤー32の一方は、メインフレーム27内を挿通して第1アーム装置21のアーム部21a内を経て関節部21cへと至り、ここでワイヤー32の末端が所定の部位に固設されている(詳細は後述する)。また、ワイヤー32の他方は、メインフレーム27内を挿通して第2アーム装置22のアーム部22a内を経て関節部22cへと至り、ここで末端が所定の部位に固設されている(詳細は後述する)。
図8,図9,図10は、本実施形態のシステムトロリーにおける第2アーム装置の関節部(図7の符号[8]で示す部位)の内部構成を示す概念図である。図8,図10は当該関節部を側面からみた図であり、図9は当該関節部を図8の符号[9]方向からから見た図である。ここで、図8,図9は第2アーム装置が延びた状態(展開状態)を示しており、図10は第2アーム装置が屈曲した状態(収納状態)を示している。
第2アーム装置22は、上述したように二つのアーム部22a,22bが関節部22cを介して連結されている。具体的には、一方のアーム部22aの先端部と、他方のアーム部22bの基端部とが連結している。一方のアーム部22aの先端部には凹状部22abが形成されており、他方のアーム部22bの基端部には上記アーム部22aの先端部の凹状部22abに係合可能な凸形状部22bbが形成されている。アーム部22bの凸形状部22bbには、貫通穴22bcが形成されている。また、アーム部22aの凹状部22abの底部の略中心部には凹状穴部22acが形成されている。
そして、二つのアーム部22a,22bは、図8に示すように、凹状部22abに対して凸形状部22bbが係合した状態で、上記貫通穴22bc及び凹状穴部22acに関節軸部材22caが貫通配置されている。これにより、二つのアーム部22a,22bは、関節軸部材22caを回動中心として互いに回動自在の状態で連結されている。
上記凹状部22abの内周面上の所定の部位には係止用穴22adが形成されている。この係止用穴22adには、アーム部22aの先端部の周縁に沿うように配設されるアームロック部材36のロックピン部36cが挿抜自在となる遊嵌状態で係合している。アームロック部材36は、上記ロックピン部36cと、このロックピン部36cに対して直交する方向に曲げられた連結部36bと、この連結部36bに対して直交する方向であって上記ロックピン部36cと同方向に延出するように形成されたワイヤ接続部36aとを有して形成され、例えば金属部材等によって構成される一部品である。アームロック部材36のロックピン部36cには、付勢スプリング37が巻回配置されている。この付勢スプリング37は、アームロック部材36を、ロックピン部36cの軸方向であって図8に示す矢印F方向に向けて常に付勢している。一方、アームロック部材36のワイヤ接続部36aの端部近傍には、ワイヤー32の他端32bがワイヤ留ピン35bによって固設されている。したがって、この構成により、上述のようにして、使用者がレバー31の一腕31bを移動用ハンドル25と共に把持すると、ワイヤー32は図6の矢印C,D方向に引っ張られる。このことは、図8,図9に示す部位においては、ワイヤー32は矢印E方向に引っ張られることを示す。すると、このときワイヤー32はアームロック部材36を同図8,図9の矢印E方向に引く。これを受けたアームロック部材36は、付勢スプリング37の付勢力(矢印F方向)に抗して同矢印E方向に移動する。
また、第2アーム装置22を収納状態としたときに、上記アーム部22aの係止用穴22adに対向する部位であって、アーム部22bの凸形状部22bbの外周面上の一部には、図10に示すように、被嵌合穴22bdが形成されている。この被嵌合穴22bdは、ロックピン部36cの先端部が嵌合し得る形状及びサイズに設定されている。
つまり、第2アーム装置22が収納状態にあるときに、使用者がレバー31と共に移動用ハンドル25を把持してワイヤー32を引っ張ると、上述したように、アームロック部材36が図8,図9の矢印E方向に移動して、同アームロック部材36は、付勢スプリング37の付勢力(矢印F方向)に抗して同矢印E方向に移動する。このとき、アームロック部材36のロックピン部36cの先端部が被嵌合穴22bdに嵌合する。すると、第2アーム装置22の二つのアーム部22a,22bは、互いに回動して展開し得ないロック状態になる。
また、このとき、使用者がレバー31と共に移動用ハンドル25の把持を開放すると、ワイヤー32は弛緩する。すると、アームロック部材36は付勢スプリング37の付勢力によって図10の矢印F方向に所定量だけ移動する。これにより、ロックピン部36cの先端部は、被嵌合穴22bdから離脱して両者の嵌合状態は解除される。これにより、二つのアーム部22a,22bのロック状態も解除され、二つのアーム部22a,22bは関節部22cにおいて相対的に自由に回動し得る状態に復帰する。
このように、本実施形態のシステムトロリー1は、アーム部をロックし解除するロック機構を具備している。
なお、上述の説明においては、第2アーム装置22の関節部22c近傍の詳細な構成を説明しているが、第1アーム装置21の内部構成も略同様である。その詳細説明は省略するが、第1アーム装置21にも同様構成のアーム部をロックし解除するロック機構が設けられている。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、システムトロリー1を移動させる際に使用者が必ず把持するために設けられている移動用ハンドル25の近傍にレバー31を設け、このレバー31を移動用ハンドル25と共に把持すると、フレーム部材の内部に挿通させたワイヤー32を介して予め収納状態にしたモニタ取付用アーム装置(21,22)をロック状態とすることができるようにしたロック機構を設けて構成した。
このような構成によって、使用者は、システムトロリー1を移動するのに先立って、予めモニタ取付用アーム装置(21,22)を収納状態にしておけば、システムトロリー1の移動時に通常行なう動作、即ちまず移動用ハンドル25を把持する動作に伴ってレバー31を握る操作を行なうのみで、使用者は特に意識することなくモニタ取付用アーム装置(21,22)の収納状態をロック状態のまま維持することができる。したがって、使用者は、従来のシステムトロリー1を移動させる時のようにモニタ取付用アーム装置のアーム部等を抑える等といった煩わしい行為を排除することができる。つまり、システムトロリー1の移動時における安全性を確保しつつ移動操作性の向上に寄与することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態の構成は、基本的には上述の第1の実施形態と略同様であり、モニタ取付用アーム装置の構成が異なる。したがって、上述の第1の実施形態と同様の構成は、その詳細説明を省略し、以下に異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態の以下に説明に際し、上述の第1の実施形態の構成と同じ構成に対しては同じ符号を用いて説明する。
図11〜図13は、本発明の第2の実施形態のシステムトロリーにおけるモニタ取付用アーム装置のうち第2アーム装置の概略構成を示す概念図である。このうち図11はモニタ取付用アーム装置(第2アーム装置)が延びた状態(展開状態)を示している。また図12はモニタ取付用アーム装置(第2アーム装置)が折り曲げられた状態(収納状態)を示している。なお、図11(A),図12(A)は、表示装置の取り付けられたモニタ取付用アーム装置(第2アーム装置)全体の概略図を示し、図11(B),図12(B)は、図11(A),図12(A)の各関節部の内部構成を拡大して示す図である。図13は図12(B)の符号[13]方向から見た内部構成を示す概念図である。
本実施形態のシステムトロリーにおけるモニタ取付用アーム装置のうち第2アーム装置22Aの基本的な構成は、上述の第1の実施形態における第2アーム装置22と略同様である。即ち、第2アーム装置22Aは、メインフレームの一側部にサブモニタ12を取り付けるためのモニタ取付用アーム装置である。この第2アーム装置22Aは、図11(A)に示すように、二つのアーム部22Aa,22Abと、この二つのアーム部22Aa,22Abを連接する関節部22Acと、一方のアーム部22Aaの基端部をメインフレームの一側部に固設する支持固定部22dと、他方のアーム部22Abの先端部にサブモニタ12を取付固定するためのモニタ支持部22e等によって構成されている。
ここで、本実施形態においては、二つのアーム部22Aa,22Abと関節部22Acとの構成が上述の第1の実施形態と異なる。即ち、本実施形態においては、一方のアーム部22Aaの先端部であって関節部22Acを形成する部位の平面形状は、図11,図12に示すように、略円形状に形成されている。また、同アーム部22Aaの先端部の同部位の断面形状は、図13に示すように、略チャンネル状に形成されており、そのチャンネル形状の開口は、最先端側及び両側部に向けて開くように形成されている。そして、同アーム部22Aaの先端部の同部位には、当該アーム部22Aaの長軸方向に対して直交する方向であって、上記開口を縦貫する貫通孔22Aacが形成されている。また、他方のアーム部22Abの基端部であって関節部22Acを形成する部位の平面形状は、図11,図12に示すように、先端が略円形状に形成され、その円形は、上記一方のアーム部22Aaの先端部の円形状よりも小となるように形成されている。また、同アーム部22Abの基端部には、当該アーム部22Abの長軸方向に対して直交する方向に貫通する貫通孔22Abcが形成されている。
そして、上記貫通孔22Aacと貫通孔22Abcとには、関節部22Acの関節軸部材22Acaが嵌合している。これにより、二つのアーム部22Aa,22Abは関節部22Acの関節軸部材22Acaを中心として所定の範囲内で回動自在となるように構成されている。
アーム部22Aaの内部には、ワイヤー32が挿通配置されている。ワイヤー32の基端側の一端32aは移動用ハンドル25のレバー31の他腕31cの一端部に固設されている。この構成は上述の第1の実施形態と同様である。一方、ワイヤー32の先端側の他端32bはワイヤ留ピン35cによって上記他方のアーム部22Abの基端部の内部の所定の部位に固設されている。このときワイヤー32は、図11,図12に示すように、ワイヤ留ピン35cによる上記他方のアーム部22Abの内部固設部位から同アーム部22Abの先端円形部位の外周に沿って配設された後、上記一方のアーム部22Aa内へと延設されている。
このような構成からなる当該第2アーム装置22Aにおいては、図11に示すように、二つのアーム部22Aa,22Abが延びた状態にある時に、使用者がレバー31と共に移動用ハンドル25を把持すると、ワイヤー32が図11〜図13に示す矢印E方向に引っ張られる。すると、このワイヤー32の引っ張り力は、関節部22Acを閉方向へと回動させて上記他方のアーム部22Abを図11の矢印H方向に回動させる。これにより、当該第2アーム装置22Aは、図11(B)に示す展開状態から図12(B)に示す収納状態へと変位する。
つまり、本実施形態においては、使用者がトロリーの移動のためにレバー31を握る操作を行なうことで、展開状態の第2アーム装置22Aを折り畳んで収納状態へと変位させることができ、さらに、レバー31を握り続けている間は、その収納状態を維持し続けることができるような構成となっている。
また、使用者がトロリーの移動を中止してレバー31を握る操作を解除すれば、第2アーム装置22Aは展開状態への変位が可能な状態になる。したがって、使用者は任意に第2アーム装置22Aの二つのアーム部22Aa,22Abを手動によって展開させることができる。また、レバー31を握る操作を解除するとワイヤー32の引っ張り力が消滅するのみであり第2アーム装置22Aの収納状態は維持されている(展開状態へ復元することはない)。したがって、システムトロリーを所定の収納室等に保管する際にも、トロリーを所定の位置に移動させた後は、レバー31の把持を開放して、例えばキャスター23をロックすればよい。
なお、上述の第2の実施形態の説明においては、第2アーム装置22Aの関節部22Ac近傍の詳細な構成を説明しているが、第1アーム装置についても同様の構成のアーム折畳機構が設けられている。
以上説明したように上記第2の実施形態によれば、システムトロリーを移動させる際に使用者が必ず把持するために設けられている移動用ハンドル25の近傍に設けられたレバー31を移動用ハンドル25と共に把持することで、展開状態にあるモニタ取付用アーム装置(21,22)をフレーム部材の内部に挿通させたワイヤー32を介して折り畳むことができるようにしたアーム折畳機構を設けて構成した。
このような構成によって、使用者は、システムトロリーを移動する際の通常の動作、即ち移動用ハンドル25を把持する動作に伴ってレバー31を握る操作を行なうのみで、使用者は特に意識することなくモニタ取付用アーム装置(21,22)の展開状態を収納状態に変位させることができる。そして、レバー31を握った状態を維持することによって、アームの収納状態を維持し続けることができる。したがって、使用者は、システムトロリーを移動させる際に、レバー31を握った状態を維持すれば、モニタ取付用アーム装置のアーム部が意図せずに展開してしまうことがないので、従来のように移動時にアーム部等を抑える等といった煩わしい行為が不要となる。本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、システムトロリーの移動時における安全性を確保しつつ移動操作性の向上に寄与することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。上述の第1,第2の実施形態においては、移動ハンドル25とレバー31を共に把持することで、モニタ取付用アーム装置をロックさせるロック機構を作動させたり、収納状態へと折り畳む折畳機構を作動させる構成例を示している。
一方、本実施形態の構成は、基本的には上述の第1,第2の実施形態と略同様であるが、本実施形態においては、移動ハンドル25とレバー31を共に把持することで、キャスターのロック状態を解除し、レバー31を把持しない通常状態ではキャスターをロックするキャスターロック機構を備えた構成例である。したがって、上述の各実施形態と同様の構成は、その詳細説明を省略し、以下に異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態の以下に説明に際し、上述の各実施形態の構成と同じ構成に対しては同じ符号を用いて説明する。
図14,図15は、本発明の第3の実施形態を示す図である。このうち図14は、本実施形態のシステムトロリーにおけるワイヤーの配置を示す概念図である。図15は、本実施形態のシステムトロリーにおけるキャスターを拡大してその内部構成の概略を示す概念図である。
図14に示すように、本実施形態のシステムトロリー1の基本構成は、上述の各実施形態のものと略同様である。なお、図14では、モニタ取付用アーム装置及び表示装置の図示を省略しているが、これらの構成については、上記各実施形態と同様のものが適用されているものとする。
本実施形態のシステムトロリー1においては、ワイヤー32は、その一端32aが上述の各実施形態で説明したのと同様に、二つの移動用ハンドル25のうちの一方に設けられたレバー31の一端部に固設されていて、ここからフレーム部材内を挿通して、その途中において二方向に分岐し、それぞれが、当該システムトロリー1の底面部に設けられた四つのキャスター23のうちの二つのキャスター23へと至り、ワイヤー32の各末端が各キャスター23の所定の部位に固設されている(詳細は後述する)。
ここで、キャスター23の詳細構成を図15を用いて説明する。キャスター23は、脚部23aと、車輪部23bと、レバー支持部23cと、車輪止レバー41と、レバー押圧バネ42等によって構成されている。
脚部23aは、先端部近傍に車輪部23bを取付るための支持体である。この脚部23aは、最下段の棚24dの底面側において、例えばその四隅のそれぞれに取り付られており、棚24dの底面に対して直交する軸を中心として回動自在に設けられている。
車輪部23bは、脚部23aの先端側の部位において、棚24dの底面と略平行方向に設けられる軸部材23dによって回転自在に軸支される略円板形状の車輪である。車輪部23bの円板形状の少なくとも外周面は例えばゴム等の部材によって形成されている。
レバー支持部23cは、脚部23aの一部から延出するように形成され、内部にワイヤー32を挿通させ得るように空洞が設けられている。また、レバー支持部23cの先端部には、車輪止レバー41を回動自在に軸支する軸部43が設けられている。
車輪止レバー41は、先端部に上記車輪部23bに当接しこれを押圧することで、当該車輪部23bにブレーキをかけ、その回転を係止するブレーキゴム41aと、レバー支持部23cの先端部の軸部43によって回動自在に軸支されるレバー部材41b等によって構成されている。ブレーキゴム41aは、レバー部材41bの先端部において、キャスター23を組み立てた状態とした時に、車輪部23bの外周面に対向するように配設されている。
車輪止レバー41には、ワイヤー32の末端がワイヤ留ピン35dによって固設されている。ワイヤー32は、当該車輪止レバー41からレバー支持部23cの内部を挿通して、棚24dの底面部を経てフレーム部材内を挿通して、上述したようにレバー31へと到達している。この場合において、車輪止レバー41の末端とレバー支持部23cの先端部との間には、レバー押圧バネ42が介在しており、ワイヤー32はレバー押圧バネ42の内側を挿通している。なお、レバー押圧バネ42の付勢力は、常に車輪止レバー41の一端を図15の矢印K方向に押圧している。したがって、車輪止レバー41は、レバー押圧バネ42の付勢力によって軸部43を回動中心として図15の矢印R方向に回動する力量が加わっている。そして、車輪止レバー41のブレーキゴム41aが車輪部23bの外周面上に当接しこれを押圧している。これにより、車輪止レバー41は、所定以上の回動が阻止されているのと同時に、車輪部23bの回転を阻止するブレーキの役目をしている。
このような構成により、本実施形態のシステムトロリー1においては、通常状態にあるとき、即ち使用者がレバー31を握っていない状態のときには、常にキャスター23の車輪部23bの回転が阻止された状態となっており、システムトロリー1がキャスター23の作用で移動してしまうことがないように構成される。
一方、使用者が、システムトロリー1を移動する際には、移動用ハンドル25と共にレバー31を握ると、ワイヤー32が引っ張られてキャスター23の車輪止レバー41による車輪部23bの回転阻止力が解除される。そして、使用者は、レバー31を握り続けることによってキャスター23のロック解除状態を維持することができるように構成されている。
以上説明したように上記第3の実施形態によれば、システムトロリー1を移動させる際に使用者が必ず把持するために設けられている移動用ハンドル25の近傍に設けられたレバー31を移動用ハンドル25と共に把持することで、フレーム部材の内部に挿通させたワイヤー32を介してキャスター23のロック状態を解除することができると共に、レバー31を握らない状態とすれば常にキャスター23がロック状態となるようにしたキャスターロック機構を設けて構成した。
このような構成によって、使用者は、システムトロリーを移動する際の通常の動作、即ち移動用ハンドル25を把持する動作に伴ってレバー31を握る操作を行なうのみで、使用者は特に意識することなくキャスター23のロック状態を解除することができ、レバー31を握り続けていればその状態を維持できるので、スムースにトロリーの移動を開始することができる。また、レバー31の把持をやめれば、キャスター23を即座にロック状態とすることができるので、移動時や保管時にキャスター23のロック操作やロック解除操作を意識する必要がなくなる。したがって、本実施形態においても、上記各実施形態と同様に、システムトロリーの移動時における安全性を確保しつつ移動操作性の向上に寄与することができる。これと同時に、保管時の安全性をも確保することが容易となる。
なお、上述の第3の実施形態においては、キャスター23のロック若しくは解除を行なうロック機構のみを設けたシステムトロリー1として説明しているが、これに加えて、もう一方の移動用ハンドル25に同様のレバー31を設けることにより、上記各実施形態で説明したモニタ取付用アーム装置のロック機構やアーム折畳機構を並設することも容易にできる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。上述の各実施形態においては、移動ハンドル25とレバー31を共に把持することで、機械的にモニタ取付用アーム装置をロックさせるロック機構を作動させたり、収納状態へと折り畳む折畳機構を作動させたり、キャスターのロック解除を行なう構成例を示している。
これに対し、本実施形態の構成は、基本的には上述の第2の実施形態と略同様であるが、本実施形態においては、主電源のオンオフ操作に連動させて、電動によってモニタ取付用アーム装置のアーム折畳機構を作動させる機構を備えた構成例である。したがって、上述の各実施形態と同様の構成は、その詳細説明を省略し、以下に異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施形態の以下に説明に際し、上述の各実施形態の構成と同じ構成に対しては同じ符号を用いて説明する。
図16〜図19は、本発明の第4の実施形態を示す図である。このうち図16は、本実施形態のシステムトロリーの概略構成を示すと共にワイヤーの配置を示す概念図である。図17は、本実施形態のシステムトロリーにおける電気的な構成の概略を示すブロック構成図である。図18,図19は、本実施形態のシステムトロリーにおけるモニタ取付用アーム装置の関節部近傍の内部構成の概略を示す概念図である。このうち図18は図19の符号[18]方向から見た図であり、図19は図18の符号[19]方向から見た図である。
図16に示すように、本実施形態のシステムトロリー1Bの基本構成は、上述の各実施形態のものと略同様である。本実施形態のシステムトロリー1Bにおいては、最上段の棚24aの所定の部位、例えば移動用ハンドル25の近傍等に、当該システムトロリー1Bに載置される筐体、即ち内視鏡システム(不図示)への電力供給のオンオフを切り換える主電源スイッチ51が設けられている。この主電源スイッチ51は、フレーム部材の内部を挿通する電気ケーブル52a(図16参照)を介して当該システムトロリー1Bの最下段の棚24dの底面側に配設されている電源ユニット26や二つのモニタ取付用アーム装置(21B,22B)内の電気構成部品等(図16では不図示;後述する)との間で電気的に接続されている。
本実施形態のシステムトロリー1Bにおける電気的な構成は、図17に示すように、上記主電源スイッチ(SW)51と、上記電源ユニット26と、二つのモニタ取付用アーム装置(21B,22B)内の電気回路構成部品等によって構成される。
上記電源ユニット26は、上述したように、システムトロリー1Bの最下段の棚24dの底面側に配設されており、その内部には、後述する駆動モータ53に電力を供給するバッテリ26a,外部から供給される電力の電圧変換等を行なうトランス26b等のほか、図示を省略しているが、本システムトロリー1Bの電源を統括的に制御する制御回路等が具備されている。
二つのモニタ取付用アーム装置(21B,22B)内の電気回路構成部品としては、関節部22Bc内若しくはその近傍に設けられ、アーム部の閉じる動作、即ち折畳み動作を行なうための駆動モータ53と、この駆動モータ53の駆動制御を行なうモータ駆動用制御基盤52と、上記駆動モータ53の正逆回転方向における回転位置を検出するモータリミッタ54a,54b等がある。
この構成により、本実施形態においては、主電源スイッチ51がオフ操作されると、その指示信号は、モータ駆動用制御基盤52へと伝送される。これを受けて、モータ駆動用制御基盤52は、バッテリ26aからの電力を駆動モータ53へと供給する制御を行なう。これにより、主電源スイッチ51のオフ操作に連動して、アーム部が閉じられて折り畳まれた状態になり、その状態が維持されるロック状態になる。
ここで、二つのモニタ取付用アーム装置(21B,22B)の内部構成の概略を、図18,図19を用いて簡単に説明する。二つのモニタ取付用アーム装置としては、上記各実施形態と略同様に第1アーム装置21Bと第2アーム装置22Bがある。これら二つのモニタ取付用アーム装置の内部構成は、基本的には略同様であるものとし、以下の説明では、その概略を説明する。なお、以下の説明では、符号を付す関係から第2アーム装置22Bの構成として説明する。
本実施形態のシステムトロリー1Bにおける第2アーム装置22Bは、二つのアーム部22Ba,22Bbと、関節部22Bcによって主に構成される点において、上述の各実施形態と同様である。また、本実施形態の二つのアーム部22Ba,22Bbの機構的な構成は、上述の第2の実施形態と略同様である。
上述の第2の実施形態においては、ワイヤー32の一端32aがレバー31に固設され、他端(末端)が第2アーム装置22の関節部22cに固設される構成とすることで、レバー31を握るとワイヤー32が引っ張られて第2アーム装置22の折畳み動作を行なうように構成していた。
これに対し、本実施形態においては、ワイヤー32の一端32aが駆動モータ53のプーリー53aの外周面上に対してワイヤ留ピン35eによって固設されている。また、ワイヤー32の他端(末端)32bは、上述の第2の実施形態と同様の構成、即ち第2アーム装置22Bの関節部22Bcにワイヤ留ピン35cによって固設されている。この構成により、本実施形態においては、主電源スイッチ51がオフ操作されて、駆動モータ53が回転駆動を開始し、プーリー53aが例えば図18の矢印L2方向に回転すると、ワイヤー32は図18の矢印E方向に引っ張られる。これにより、アーム部21Bbは図18に示す矢印L1方向、即ちアーム部21Bbを折り畳む方向に回動する。このとき、プーリー53aの回転は、モータリミッタ54bによって検出され、プーリー53aが所定量だけ回転して、アーム部21Bbが収納状態になると、モータリミッタ54bからの検出信号を受けてモータ駆動用制御基盤52は、駆動モータ53の回転駆動を停止する制御を行なう。なお、この時点でも、駆動モータ53によるワイヤー32の引っ張りはある程度の力量で継続しており、よって、アーム部21Bbの収納状態(折畳み状態)は維持され続けている。一方で、主電源スイッチ51がオン操作されると、モータ駆動用制御基盤52は、バッテリ26aからの電力を駆動モータ53へと供給する制御を行ない、プーリー53aが例えば図18の矢印L2方向とは逆方向に回転するとワイヤー32は緩んだ状態となる。これによりアーム部21Bbは展開状態への変位が可能な状態になる。このとき、プーリー53aの回転は、54aによって検出され、プーリー53aが所定量だけ回転して、ワイヤー32が緩んだ状態になると、モータリミッタ54aからの検出信号を受けてモータ駆動用制御基盤52は、駆動モータ53の回転駆動を停止する制御を行なう。
以上説明したように上記第4の実施形態によれば、主電源スイッチ51のオフ/オン操作に連動させてモニタ取付用アーム装置の折畳機構を作動させ、収納状態を維持した状態/展開状態への変位が可能な状態にすることができるので、上記各実施形態と同様に、システムトロリーの移動時における安全性を確保しつつ移動操作性の向上に寄与することができる。
なお、本実施形態に対しても、さらにレバー31を設けることにより、キャスター23のロック解除機構を合わせて設けることもできる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。