以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
<超音波診断装置の基本構成>
図1には、本実施形態に係る超音波診断装置10の斜視図が示されている。また、図2には、超音波診断装置10の側面図が示されている。超音波診断装置10は、医療の分野において用いられ、生体(特に人体)に対して超音波の送受波を行って受信信号を取り込み、その受信信号に基づいて超音波画像を形成する装置である。なお、図1及び図2において、超音波診断装置10の左右方向をX軸、奥行き方向(前後方向)をY軸、高さ方向をZ軸と規定している。
超音波診断装置10は、本体部12、アーム機構14、及びモニタ16を有している。
本体部12は、箱型の形態を有するベースユニット18、ベースユニットの下側に配置されたベースプレート20、ベースプレート20の下側に配置された4つのキャスタ22、操作パネルプレート24、操作パネルプレート24上に載置された操作パネル26、及び操作パネルプレート24上に載置されたサブモニタ28を含んで構成されている。
ベースユニット18の内部には複数の電子回路基板や電源部が収容されている。ベースユニット18の前側面には超音波プローブが着脱自在に接続される複数のプローブコネクタ18aが設けられている。また、ベースユニット18の上側面の最後部には、当該上側面から上方へ立設されたハンドル18bが形成されている。ハンドル18bは、超音波診断装置10を搬送する際に搬送者が掴む部分である。
操作パネルプレート24は、操作パネル26などを載置するための平坦部分24aを有し、平坦部分24aがベースユニット18に連結されている。また、操作パネルプレート24は、平坦部分24aから後側方向(Y軸正方向)に延伸する延伸部24bを有する。延伸部24bの後側端部上面には、アーム機構14が連結される台座24c(図2参照)が設けられる。また、操作パネルプレート24は、平坦部分24aの左右両側に設けられた複数のプローブホルダ24dを有する。さらに、操作パネルプレート24は、平坦部分24aの前方においてハンドル24eを有する。
操作パネルプレート24は、ベースユニット18に対して上下運動、及び前後方向へのスライド移動が可能なように連結される。あるいは、水平面において旋回可能であってもよい。これにより、操作パネル26あるいはサブモニタ28の位置あるいは姿勢をユーザが任意に変更できる。ユーザは、ハンドル24eを掴むことで、好適に操作パネルプレート24の位置あるいは姿勢を変更することができる。
操作パネル26は、複数のスイッチ、あるいはトラックボールなどの操作子を有している。これらの操作子を操作することで、超音波診断条件などが設定される。サブモニタ28は、例えば液晶パネルなどで構成され、超音波診断条件などが表示される。サブモニタ28はタッチパネルであってもよく、その場合、ユーザは、サブモニタ28をタッチすることで超音波診断装置10に対して指示を入力できる。
モニタ16は、表示面を含むモニタデバイス16aと、表示面が露出するようにモニタデバイス16aを包み込むモニタ筐体16bとを含んで構成されている。
<アーム機構の構成>
図3には、アーム機構14及びモニタ16の背面側斜視図が示されている。また、図4には、アーム機構14の側面図が示されている。なお、図4においてはモニタ16が一部省略されている。アーム機構14は可動であり、それにより、ユーザがモニタ16の位置あるいは姿勢を任意に変更できる。アーム機構14は、複数の運動部材が連結されて形成されており、各運動部材が運動することでモニタ16の位置あるいは姿勢が変更される。以下、アーム機構14に含まれる各運動部材の詳細について説明する。
アーム機構14は、操作パネルプレート24に設けられた台座24c側からモニタ16へ向かって順に連結された、旋回ベースアーム30、近位側平行リンク32、中間旋回アーム34、遠位側平行リンク36、モニタ側旋回アーム38を含んで構成されている。なお、近位側平行リンク32と中間旋回アーム34との間に設けられているのはカバー40である。カバー40により、アーム機構の内側部分が外部から視認されるのを防いでいる。なお、本明細書における「近位」の語は、アーム機構14の連結方向における台座24c側を意味し、「遠位」の語は、同連結方向におけるモニタ16側を意味する。また、本明細書においては、水平面における回転を「旋回」と、垂直面における回転を「回転」と記載する。
旋回ベースアーム30は、台座24cに連結される。台座24cは略円筒形状を有しており、旋回ベースアーム30の下面には円筒形の穴が形成されている。台座24cが当該穴にベアリングなどを介して嵌合されることで、旋回ベースアーム30は、台座24cに対して第1垂直軸50を中心として旋回可能に連結される。
旋回ベースアーム30は旋回運動することから、旋回ベースアーム30の上側面30aは、常に水平(略水平を含む)を保つことになる。上側面30aには凹部であるピット52が形成されている。ピット52の作用については後述する。
旋回ベースアーム30の遠位端部には、近位側平行リンク32の近位端部が連結される。例えば、旋回ベースアーム30と近位側平行リンク32の一方に円形の孔が形成され、他方に形成された軸が当該孔に挿通されることで両者が連結される。これにより、近位側平行リンク32は、旋回ベースアーム30に対して第1水平軸54を中心として垂直面において回転可能となる。
近位側平行リンク32は、2本のアームを有する平行リンク構造を有している。これにより、近位側平行リンク32が回転運動したとしても、近位側平行リンク32よりも遠位側に接続された各部材の姿勢が維持される。また、ユーザがモニタ16から手を離した後に、重力の作用によりモニタ16が下側へ移動してしまうことがないように、近位側平行リンク32には、重力をキャンセルする機能を有する自重補償機能が備えられている。
近位側平行リンク32の遠位端部には、中間旋回アーム34が連結される。例えば、近位側平行リンク32の遠位端部に設けられた垂直方向に延びる略円筒形の軸が、中間旋回アーム34の下面に形成された円形の穴にベアリングなどを介して嵌合されることで両者が連結される。これにより、中間旋回アーム34は、近位側平行リンク32に対して第2垂直軸56を中心として垂直面において回転可能となる。なお、上述の通り、近位側平行リンク32は平行リンク構造を有していることから、近位側平行リンク32の回転運動に関わらず、第2垂直軸56は常に垂直方向に延伸する。
中間旋回アーム34の遠位端部には、遠位側平行リンク36の近位端部が連結される。例えば、旋回ベースアーム30と近位側平行リンク32との間の連結同様、中間旋回アーム34と遠位側平行リンク36一方に円形の孔が形成され、他方に形成された軸が当該孔に挿通されることで両者が連結される。これにより、遠位側平行リンク36は、中間旋回アーム34に対して第2水平軸58を中心として垂直面において回転可能となる。
近位側平行リンク32同様、遠位側平行リンク36は、2本のアームを有する平行リンク構造を有している。これにより、遠位側平行リンク36が回転運動したとしても、遠位側平行リンク36よりも遠位側に接続された各部材の姿勢が維持される。また、遠位側平行リンク36にも重力をキャンセルする機能を有する自重補償機能が備えられている。
遠位側平行リンク36の遠位端部には、モニタ側旋回アーム38が連結される。例えば、近位側平行リンク32と中間旋回アーム34との間の連結同様、モニタ側旋回アーム38が遠位側平行リンク36に軸支される。これにより、モニタ側旋回アーム38は、遠位側平行リンク36に対して第3垂直軸60を中心として垂直面において回転可能となる。なお、本実施形態においては、モニタ側旋回アーム38は水平方向に延伸した腕状の形状を有するが、モニタ側旋回アーム38としては、腕状ではなく、例えばブロック状の形状を有していてもよい。
上述の通り、垂直面において回転運動を行う近位側平行リンク32と遠位側平行リンク36は、いずれも平行リンク構造を有していることから、これらの回転運動に関わらずモニタ側旋回アーム38の姿勢が保たれる。これにより、モニタ側旋回アーム38の下側面38aは、常に水平(略水平を含む)を保ち、且つ、第3垂直軸は常に垂直方向に延伸する。下側面38aにはロックブロック62が形成されている。ロックブロック62は第3垂直軸60の真下に設けられている。ロックブロック62の作用については後述する。
モニタ側旋回アーム38の遠位端部には、モニタ16が連結される。例えば、旋回ベースアーム30と近位側平行リンク32との間などの連結同様、モニタ16がモニタ側旋回アーム38に軸支される。これにより、モニタ16は、モニタ側旋回アーム38に対して第3水平軸64を中心として垂直面において回転可能となる。これにより、モニタ16の傾斜角調整運動(チルト運動)が可能になる。つまり、モニタ側旋回アーム38とモニタ16との間に跨ってモニタ16をチルトさせるためのチルト機構が形成されており、当該チルト機構によりモニタのチルト運動を可能としている。以上のように、本実施形態においては、表示器保持機構は、モニタ側旋回アーム38及びチルト機構を含んで構成される。
<アーム機構の運動によるモニタの位置あるいは姿勢の変化>
以下、図5〜図9を用いて、アーム機構14の運動によるモニタ16の位置あるいは姿勢が変化する様子を説明する。
図5には、旋回ベースアーム30が旋回運動する様子が示されている。旋回ベースアーム30は、その遠位端(近位側平行リンク32との連結部)が第1垂直軸50の真後ろ方向に配置される位置(図3に示された位置)を基準位置とすると、当該基準位置から、平面視で反時計回り方向に最大120度旋回可能である。旋回ベースアーム30が反時計回り方向に最大限旋回した様子が図5(a)に示されている。図5(a)においては、旋回ベースアーム30の旋回運動と共に、中間旋回アームが旋回運動することで、モニタ16の表示面の向きが前方に保たれている。もちろん、旋回ベースアーム30の旋回運動に伴って、他の部材も旋回運動、あるいは回転運動してよく、それにより、モニタ16は様々な位置あるいは姿勢を取ることができる。
特に、アーム機構14のうち最も近位側に位置する旋回ベースアーム30が旋回運動することで、それよりも遠位側に位置する各部材も共に旋回運動することになる。つまり、アーム機能のうち最も近位側の部材を旋回可能とすることで、モニタ16の可動範囲(特に水平方向における可動範囲)をより大きく広げることができる。
旋回ベースアーム30は、基準位置から平面視で時計回り方向においても最大120度旋回可能である。旋回ベースアーム30が時計回り方向に最大限旋回した様子が図5(b)に示されている。
図6には、近位側平行リンク32が回転運動する様子が示されている。近位側平行リンク32は、垂直方向に立設された状態(旋回ベースアーム30と近位側平行リンク32とが成す角が90度となる状態)を基準位置とすると、近位側平行リンク32は、基準位置から後側方向に45度回転可能であり、また、基準位置から前側方向に30度回転可能である。
近位側平行リンク32の回転運動により、例えばモニタ16の前後方向への運動が実現される。図6において、基準位置から後側方向に45度回転した近位側平行リンク32の状態が符号32Aで示されており、その時のモニタ16の位置が位置16Aで示されている。基準位置から前側方向に30度回転した近位側平行リンク32の状態が符号32Bで示されており、その時のモニタ16の位置が位置16Bで示されている。図6に示されたモニタ16の位置16Aから位置16Bへの変化は、アーム機構14において近位側平行リンク32のみが運動した場合の位置の変化である。この場合、モニタ16の運動軌跡は、近位側平行リンク32の回転運動に応じて円弧状となる。なお、上述のように、近位側平行リンク32は平行リンク構造を有しているため、近位側平行リンク32が回転してもモニタ16の姿勢が変化することはない。
近位側平行リンク32が回転運動可能であることにより、近位側平行リンク32及び遠位側平行リンク36がモニタ16の引き出し方向と平行に揃って配置されている場合においても、モニタ16を好適に引き出し方向に引き出すことができる。例えば、図1〜4に示された状態のように、近位側平行リンク32と遠位側平行リンク36が共に前後方向(Y軸方向)に揃って並んだ状態であっても、モニタ16を前側(Y軸負方向側)へ引き出す場合、前側方向へ力を加えるだけで、近位側平行リンク32が回転運動することでモニタ16が前側へ引き出される。
なお、近位側平行リンク32の後側方向への回転を基準位置から45度までとしたことで、モニタ16を引き出す際のユーザに与える操作感をより向上させている。詳しくは、近位側平行リンク32が45度以上後側方向へ倒れると、その状態からモニタ16を引き出す場合、ユーザは、倒れた近位側平行リンク32を起こすべく、モニタ16に対してより多くの力を加える必要がある。具体的には、引き出し方向への力よりも上側方向への力をより多くモニタ16に加える必要がある。近位側平行リンク32の後側への倒れ込み角度が45度以内であれば、上側方向への力は引き出し方向への力以下であってよく、これによりユーザはより好適にモニタを引き出すことができる。
図7には、遠位側平行リンク36が回転運動する様子が示されている。遠位側平行リンク36は、水平方向に維持された状態を基準位置とすると、遠位側平行リンク36は、基準位置から上側方向に30度回転可能であり、また、基準位置から下側方向に45度回転可能である。
図7において、基準位置から上側方向に30度回転した遠位側平行リンク36の状態が符号36Aで示されており、その時のモニタ16の位置が位置16Cで示されている。基準位置から下側方向に45度回転した遠位側平行リンク36の状態が符号36Bで示されており、その時のモニタ16の位置が位置16Dで示されている。図7に示されたモニタ16の位置16Cから位置16Dへの変化は、アーム機構14において遠位側平行リンク36のみが運動した場合の位置の変化である。この場合も、モニタ16の運動軌跡は、遠位側平行リンク36の回転運動に応じて円弧状となる。なお、上述のように、遠位側平行リンク36は平行リンク構造を有しているため、遠位側平行リンク36が回転してもモニタ16の姿勢が変化することはない。
また、遠位側平行リンク36の回転運動及び近位側平行リンク32の回転運動の協働によって、モニタ16の上側方向への可動範囲がより広げられる。近位側平行リンク32が垂直方向に立設された状態であり、遠位側平行リンク36が基準位置から上側方向に最大限(30度)回転した状態において、モニタ16は最大限高い位置に配置される。
図8には、モニタ側旋回アーム38が旋回運動する様子が示されている。モニタ側旋回アーム38の旋回運動により、モニタ16の左右方向への首振り運動が実現される。モニタ16の表示面が真正面を向く位置(そのようなモニタの位置が図8において位置16Eで示されている)を基準位置とすると、モニタ側旋回アーム38は、基準位置から平面視において反時計周りに約80度回転可能であり、また、基準位置から平面視において時計周りに約80度回転可能である。図8において、モニタ側旋回アーム38が基準位置から反時計回りに約80度回転したときのモニタ16の位置が位置16Fで示されており、基準位置から時計回りに約80度回転したときのモニタ16の位置が位置16Gで示されている。
図9には、モニタ側旋回アーム38がチルト運動する様子が示されている。図9において、モニタ16の表示面が垂直面と平行になる基準向きが状態16Hで示されており、モニタ16が最大限下側に向いた状態が状態16Iで示されており、モニタ16が最大限上側に向いた状態が状態16Jで示されている。モニタ16のチルト運動により、モニタ16の表示面は、下側に10〜15度程度まで傾けることができ、上側に約55度まで傾けることができる。アーム機構14により、モニタ16が比較的高い位置に設定された場合に、モニタ16を下側に傾けることで、表示面の視認性を向上させることができる。また、上側に大きくチルト可能としたことで、超音波診断装置10の搬送時においてモニタ16が搬送者の視界を遮らず、搬送者が好適に装置前側端を視認することができる。また、収納時において、超音波診断装置10をよりコンパクトにまとめることが可能になる。
アーム機構14は、上記の他、モニタ16をロール運動させるロール機構(不図示)を有する。ロール運動とは、モニタ16を左右に傾ける運動であり、例えばモニタ16の表示面が垂直面と平行に保たれている場合、モニタ16を垂直面において左右に傾ける運動である。本実施形態のロール機構によれば、モニタ16を水平方向から左右に1.5度ずつ傾けることができる。これにより、モニタ16の左右方向の傾きの微調整を行うことができる。
図10には、折り畳み状態におけるアーム機構14及びモニタ16の状態が示されている。アーム機構14及びモニタ16が図10に示されたような折り畳み状態にされた上で、装置が搬送され、あるいは収納される。折り畳み状態においては、旋回ベースアーム30は基準位置に配置される。近位側平行リンク32は、最大限(約45度)後側に回転させられ、遠位側平行リンク36は最大限(約45度)下側に回転させられる。モニタ側旋回アーム38は基準位置に配置され、モニタ16は最大限上側にチルトされる。これにより、折り畳み状態においては、旋回ベースアーム30とモニタ側旋回アーム38は、上下に重なって並ぶ状態となる。また、近位側平行リンク32と遠位側平行リンク36も上下に重なって並ぶ状態となる。このように、折り畳み状態においては、アーム機構14及びモニタ16がコンパクトに折り畳まれる。
折り畳み状態においては、旋回ベースアーム30の上側面30aとモニタ側旋回アーム38の下側面38aとが接合する。詳しくは、旋回ベースアーム30の上側面30aに設けられたピット52(図3参照)に、モニタ側旋回アーム38に設けられたロックブロック62(図4参照)が挿入されることで、上側面30aと下側面38aとが接合する。後述のように、ピット52にロックブロック62が挿入されると、アーム機構14の各部材の旋回運動及び回転運動が規制される。
図11には、折り畳み状態の超音波診断装置10の側面図が示されている。上述のように、搬送時においては、搬送者が超音波診断装置10の背面側に立ち、ハンドル18bを掴んで超音波診断装置10を押して動かす。折り畳み状態においては、アーム機構14及びモニタ16が折り畳まれているから、搬送者は、モニタ16により視界が遮られずに、超音波診断装置10の最前部(操作パネルプレート24の最前部)が視認可能となる。これにより、超音波診断装置10の搬送時における損傷のリスクが低減される。
具体的には、超音波診断装置10の最後部から距離L後方であり、高さHの位置を搬送者の視点位置Aとしたときに、視点位置Aから操作パネルプレート24を直線で結んだ搬送者の視線Eよりも下側空間にモニタ16及びアーム機構14が収納される。本実施形態では、距離Lとして約200[mm]、高さHとして約1500[mm]としている。これにより、ほとんどの搬送者が搬送時に操作パネルプレート24の前側端を視認可能となる。
<ロック機構>
上述の通り、旋回ベースアーム30の上側面30aに設けられたピット52に、モニタ側旋回アーム38に設けられたロックブロック62が挿入されることで、各部材の旋回運動及び回転運動が規制される。超音波診断装置10が有する運動規制機構によれば、ピット52にロックブロック62を挿入するという1つの動作を行うだけで、アーム機構14の複数の部材の運動が規制される。以下、当該運動規制機構について具体的に説明する。
図12には、旋回ベースアーム30の上側面30aの拡大斜視図が示されている。上述のように、上側面30aにはピット52が設けられている。ピット52は略直方体形状の穴(凹部)であり、前後方向に延伸した形状を有している。ピット52は、前側壁、後側壁、左側壁、右側壁、及び底面を有している。
ピット52は、前後方向中央部付近において、左側壁からさらに左側方向にくり抜かれた略直方体形状のくり抜き部70を有する。くり抜き部70にロック爪72が設けられている。ロック爪72の下部右端側は切り欠かれており、それにより顎部72aが形成されている。顎部72aの上側面において、上側及び右側を向く斜面72bが設けられている。また、ロック爪72は左右方向にスライド移動可能となっている。ロック爪72には弾性部材(本実施形態ではコイルバネ、図12において不図示、図15参照)が設けられており、当該弾性部材によりロック爪72は右側方向に付勢されている。これにより、ロック爪72に外部から力が加えられていない状態においては、顎部72aを含むロック爪72の一部が、くり抜き部70からピット52内に進入した状態となっている。
旋回ベースアーム30の側部(本実施形態では右側部)には、ロック解除スイッチ74が設けられている。ロック解除スイッチ74は、ロック爪72と連動して左右方向に運動する。ロック解除スイッチ74の作用については後述する。また、旋回ベースアーム30が有する旋回規制ピン76の一部が、ピット52の底面から上側に突出している。旋回規制ピン76の作用については後述する。
図13には、モニタ側旋回アーム38の下側面に設けられたロックブロック62の拡大斜視図が示されている。図13においては、モニタ側旋回アーム38の筐体の図示は省略されている。ロックブロック62は、外形が略直方体形状となっており、左側に向かって開口した開口部80を有している。開口部80内には、チルト規制ボルト82が設けられている。チルト規制ボルト82は、前後方向(Y軸方向)に延びる水平軸84を中心に垂直面(XZ面)において回転可能にブロック筐体86に軸支されている。チルト規制ボルト82は、弾性部材(本実施形態ではトーションバネ88)により、その下部が左側、つまり開口部80の開口側に向けて付勢されている。チルト規制ボルト82の上部は、ロックブロック62の上部であってモニタ側旋回アーム38の左右側部に設けられた2つのチルト規制プレート90に連結されている。
図14には、チルト規制プレート90の拡大図が示されている。図14においても、モニタ側旋回アーム38の筐体の図示は省略されている。図14には、2つのチルト規制プレート90のうち、左側のチルト規制プレート90のみが示されているが、右側にも同様の規制プレートが設けられている。2つのチルト規制プレート90の構造及び作用は同じであるため、以下、片側のチルト規制プレート90についてのみ説明する。
チルト規制プレート90は、前後方向に延びる板状の部材である。チルト規制プレート90は、左右方向(X軸方向)に延びる水平軸92を中心に垂直面(YZ面)において回転可能に、モニタ側旋回アーム38の支持体38bの側部に軸支されている。チルト規制プレート90は、例えばトーションバネなどの弾性部材(不図示)により、その後部(Y軸正方向側)が上側に向けて付勢されている。これにより、チルトロックされていない状態において、チルト規制プレート90は、その前部が後部に比してやや下方に位置する姿勢で維持される。チルト規制プレート90の後部がチルト規制ボルト82の上部に連結されている。
チルト規制プレート90の前部には、長孔94が設けられている。長孔94は、チルト規制プレート90の長手方向に対して斜めに形成されており、前側に進むにつれ斜め下へ向かって延びている。長孔94には、左右方向に延びる円筒形状のチルト規制軸96が挿通されている。また、チルト規制軸96は、モニタ側旋回アーム38の支持体38bに設けられた長孔(図14において不図示、図17参照)にも挿通されている。支持体38bに設けられた長孔は、水平方向に対して斜めに形成されており、チルト規制プレート90の長孔94とは異なり、前側に進むにつれ斜め上へ向かって延びている。したがって、チルトロックされていない状態においては、チルト規制軸96は支持体38bに設けられた長孔の下側端によって、チルト規制プレート90の長孔94の内を移動することなく、図14に示された位置に保持される。
チルト規制プレート90の前方には、側面視で略円形の回転プレート100が設けられている。回転プレート100は、2つのチルト規制プレート90に対応して2枚設けられている。回転プレート100は、モニタ16のチルト運動に連動して第3水平軸64(図4参照)を中心に回転する。回転プレート100の外周部には、切り欠き100aが設けられている。切り欠き100aは、モニタ16のチルト運動規制時においてチルト規制軸96が嵌合するものであるため、切り欠き100aはチルト規制軸96の形状に沿った形状(半円形状)となっている。
図15には、ピット52にロックブロック62が挿入された状態(ロック状態)が示されている。つまり、旋回ベースアーム30とモニタ側旋回アーム38との接合状態が示されている。ロックブロック62がピット52に対して上方から接近すると、まずロックブロック62の底面の左側端部がロック爪72の斜面72bに接触する。接触後においてさらにロックブロック62が下方に押し付けられると、斜面72bはロックブロック62から下側および左側方向に力を受ける。これにより、コイルバネ72cが縮み、ロック爪72が左側へ移動する。
ロックブロック62がロック爪72を左側へ押し込みながらさらに下降して、ロックブロック62の底面とピット52の底面が接触すると、ロックブロック62に開口部80が設けられているためにロックブロック62によるロック爪72の左方向への押し込み力が解除され、コイルバネ72cの力によりロック爪72が右側、つまり元の位置へ向かって移動する。これにより、ロックブロック62の開口部80内にロック爪72の顎部72aが進入する。すると、ロック爪72の顎部72aの下側面と、開口部80の底面80aとが接触した状態、つまり顎部72aが開口部80に引っ掛かった状態となる。これにより、旋回ベースアーム30とモニタ側旋回アーム38との接合状態がロックされる。このように、本実施形態においては、ロックブロック62とピット52との係合状態をロックするロック機構は、ロック爪72と開口部80とを含んで構成される。
上述の通り、ロックブロック62は、モニタ側旋回アーム38の旋回軸である第3垂直軸60の真下に設けられている。これにより、ロックブロック62をピット52に挿入させる際に、ユーザが旋回ベースアーム30に対してモニタ側旋回アーム38を上側から押し付けることによるモニタ側旋回アーム38に係る負荷(曲げ負荷)が低減される。
図15に示した接合状態において、ロックブロック62の底面がピット52の底面に接触しているから、それによりロックブロック62の下方への運動が規制され、ロック爪72が開口部80に引っ掛かっているから、それによりロックブロック62の上方への運動が規制される。旋回ベースアーム30に対するモニタ側旋回アーム38の上下方向の運動は、遠位側平行リンク36の回転運動により実現されるため、ロックブロック62がロック爪72によりロックされることで、遠位側平行リンク36の回転運動が規制される。
また、ロックブロック62がピット52内に挿入されていることで、ロックブロック62の前側面がピット52の前側壁に突き当たることにより、ロックブロック62(つまりモニタ側旋回アーム38)の前側方向への移動が規制される。同様に、ロックブロック62の後側面がピット52の後側壁に突き当たることにより、モニタ側旋回アーム38の後側方向への移動が規制される。旋回ベースアーム30に対するモニタ側旋回アーム38の前後方向の運動は、近位側平行リンク32の回転運動により実現されるため、ロックブロック62がピット52内に挿入されることで、近位側平行リンク32の回転運動が規制される。
さらに、ロックブロック62がピット52内に挿入されていることで、ロックブロック62の右側面がピット52の右側壁に突き当たることにより、ロックブロック62(つまりモニタ側旋回アーム38)の右側方向への移動が規制される。同様に、ロックブロック62の左側面がピット52の左側壁に突き当たることにより、モニタ側旋回アーム38の左側方向への移動が規制される。旋回ベースアーム30に対するモニタ側旋回アーム38の左右方向の運動は、中間旋回アーム34の旋回運動、又は、モニタ側旋回アーム38の旋回運動により実現されるため、ロックブロック62がピット52内に挿入されることで、中間旋回アーム34及びモニタ側旋回アーム38の旋回運動が規制される。
以下、モニタ16のチルト運動を規制するチルト規制機構の動作について説明する。図15に示した接合状態において、開口部80内に配置されたチルト規制ボルト82の下部が、開口部80内に進入した顎部72aにより右側(開口部80の内側)方向に押し込まれる。これにより、チルト規制ボルト82は水平軸84を中心に回転し、それによってチルト規制ボルト82の上部が左側方向へ移動する。チルト規制ボルト82の上部の左側方向への移動に連動して、チルト規制ボルト82の上部に連結されたチルト規制プレート90が回転させられる。具体的には、図16を参照して、チルト規制ボルト82の回転に連動して、チルト規制プレート90の後部が下側に引き下げられる。これにより、チルト規制プレート90は水平軸92を中心に回転し、それによってチルト規制プレート90の前部が上側方向へ移動する。
図17には、チルト規制軸96の拡大側面図が示されている。図17は、チルト規制プレート90の内側に位置する、支持体38bに設けられた長孔38cが示されている。図16及び図17を参照して、チルト規制プレート90の回転に伴うチルト規制軸96の動きを説明する。チルト規制プレート90の前部が上側方向へ移動すると、チルト規制軸96は、チルト規制プレート90の長孔94の下側端により押し上げられ、支持体38bに設けられた長孔38c内を斜め上側方向へせり上がりつつ、長孔94内を斜め下側方向へ移動する。
図16に示された状態は、チルト規制軸96が回転プレート100の外周端部に当接するまで前方へ移動した状態である。この状態においては、未だモニタ16のチルト運動は規制されておらず、いわばチルト運動規制準備状態である。この状態において、モニタ16がチルト運動し(それに伴い回転プレート100が回転して切り欠き100aの位置が変動し)、モニタ16のチルト角度が所定の角度に設定されると、チルト規制軸96が回転プレート100に設けられた切り欠き100aに嵌合する。図17に示された状態は、チルト規制軸96が切り欠き100aに嵌合した状態である。図17に示す通り、チルト規制プレート90の前部が上側へ移動したことにより、長孔94と長孔38cの位置関係が変化している。これにより、チルト規制軸96は、長孔38cの斜め下方向(非ロック状態における位置に戻る方向)への移動が長孔94の下側端によって規制され、チルト規制軸96と切り欠き100aの嵌合状態が維持される。この状態を持って、モニタ16のチルト運動が規制される。
本実施形態においては、モニタ16が最大限上側にチルトされた状態において、そのチルト運動が規制される。これにより、超音波診断装置10がモニタ16のチルト状態運動が規制された上で搬送されることを前提とすれば、搬送時において、モニタ16を常に最大限上側にチルトした状態とすることができる。これにより、搬送時において、モニタ16の姿勢が図11に示されたような、装置の搬送に適した姿勢に常に保たれる。
以上のように、モニタ16のチルト運動を規制するチルト規制機構は、ロックブロック62からチルト機構まで跨って形成される。具体的には、チルト規制機構は、ロック爪72、チルト規制ボルト82、チルト規制プレート90、チルト規制軸96、回転プレート100の切り欠き100aを含んで構成され、これらの各部材の協働によりモニタ16のチルト運動が規制される。
以下、旋回ベースアーム30の旋回運動を規制するベース旋回規制機構の動作について説明する。まず、ベース旋回規制機構の一部をなす旋回規制ピン76の詳細について説明する。図18には、旋回規制ピン76の構造が示されている。図18(a)には、非ロック状態における旋回規制ピン76の状態が示されており、図18(b)には、ロック状態における旋回規制ピン76の状態が示されている。なお、図18(a)においては、一部の部材の図示が省略されている。
旋回規制ピン76は、ピット52(図12参照)の底面から上側へ突出する上側ピン76a、及び、旋回ベースアーム30の下側面から下側へ突出する下側ピン76bを有する。上側ピン76a及び下側ピン76bは略円筒形状となっている。上側ピン76aと下側ピン76bは相対的に上下に移動可能である。また、旋回規制ピン76は、上側ピン76aを上側へ付勢する弾性部材である上側コイルバネ76c、及び、下側ピン76bを上側へ付勢する弾性部材である下側コイルバネ76dを有する。これにより、上側コイルバネ76cにより、非ロック状態において、上側ピン76aがピット52の底面から上側へ突出した状態が維持される。また、下側コイルバネ76dにより、非ロック状態において、下側ピン76bが旋回ベースアーム30の下側面から下側へ突出しない状態が維持される。また、旋回規制ピン76は、下側ピン76bを下側へ押し出す作用を有する弾性部材である中間コイルバネ76eを有する。
以下、図18を参照しつつ、図19〜図22を用いて旋回規制ピン76の動作について説明する。図19には、非ロック状態における上側ピン76aの状態が示されている。非ロック状態においては、上側ピン76aは、ロックブロック62により押し込まれていないため、上側コイルバネ76cの付勢力によりピット52の底面から突き出した状態となっている。
図20は、非ロック状態における旋回ベースアーム30の下側を示す斜視図である。図19に示されるように、下側ピン76bの下側面が旋回ベースアーム30の下側面30bにおいて露出しており、下側ピン76bは下側面30bから突出可能となっている。上述の通り、旋回ベースアーム30の下側には台座24cが配置されている。台座24cは平面視で円形となっており、上述の回転プレート100同様、台座24cの外周部には、切り欠き110が設けられている。切り欠き110は、旋回ベースアーム30の旋回運動規制時において旋回規制ピンが嵌合するものであるため、切り欠き110は旋回規制ピンの形状に沿った形状(半円形状)となっている。
図20に示される通り、非ロック状態においては、下側ピン76bは、下側コイルバネ76dの付勢力により旋回ベースアーム30の下側面30bからは突出していない。したがって、旋回ベースアーム30は運動規制されずに、台座24cに対して旋回運動することができる。
図21には、ロック状態における上側ピン76aの状態が示されている。図21においては、ロックブロック62の図示が省略されている。ロック状態においては、上側ピン76aは、ロックブロック62の下側面により押し込まれ、下側に引っ込んだ状態となる。
図22は、ロック状態における旋回ベースアーム30の下側を示す斜視図である。ロック状態においては、上側ピン76aが押し込まれ、それにより中間コイルバネ76eが縮み、その弾性力により下側ピン76bが下側に押し下げられる。それにより、下側ピン76bは下側面30bから下側へ突出する。そして、下側へ突出した下側ピン76bが台座24cの切り欠き110に嵌合することで、旋回ベースアーム30の台座24cに対する旋回運動が規制される。
図20及び図22に示される通り、切り欠き110は台座24cの真後ろ側に配置されている。したがって、旋回ベースアーム30は、基準位置においてその旋回運動が規制される。もちろん、旋回ベースアーム30の運動規制状態における位置に応じて、切り欠き110の位置は適宜決定されてよい。旋回ベースアーム30が基準位置以外の位置にあるときに、上側ピン76aが押し込まれた場合、下側ピン76bの下側面は台座24cの上側面に突き当たった状態となる。なお、この場合であっても、中間コイルバネ76eが縮むことにより、上側ピン76aの押し込みが許容される。この状態においては、未だ旋回ベースアーム30の旋回運動は規制されておらず、いわば旋回運動規制準備状態である。
この状態において、旋回ベースアーム30が旋回運動して基準位置へ戻ると、下側ピン76bは中間コイルバネ76eの弾性力により下側へ押し出され、切り欠き110に嵌合し、旋回ベースアーム30の旋回運動が規制される。
図23には、ロック状態を解除する様子が示されている。旋回ベースアーム30の側部に設けられたロック解除スイッチ74が左側に押し込まれると、それに連動してロック爪72も左側に移動する。これにより、ロック爪72の顎部72aとロックブロック62の開口部80との引っ掛かりが解除される。つまりロック状態が解除される。
ロック解除スイッチ74の押し込み状態において、モニタ側旋回アーム38の旋回ベースアーム30に対する上下運動の規制が解除される。つまり、遠位側平行リンク36の回転運動の規制が解除される。また、ロック解除スイッチ74の押し込み状態において、ロック爪72によるチルト規制ボルト82の押し込みが解除され、それに連動してチルト規制プレート90が回転し、それにより、チルト規制軸96と回転プレート100の切り欠き100aとの嵌合が解除される(図13〜17参照)。つまり、モニタ16のチルト運動の規制が解除される。
そして、遠位側平行リンク36の回転運動により、ロックブロック62がピット52から取り外されると、ロックブロック62の移動がピット52により規制されることがなくなる。つまり、遠位側平行リンク36の回転運動の規制、中間旋回アーム34の旋回運動の規制、及び、モニタ側旋回アーム38の旋回運動の規制が解除される。また、ロックブロック62がピット52から取り外されると、旋回規制ピン76の上側ピン76aが上側コイルバネ76cの弾性力により上側に押し出される。それに伴い、下側ピン76bが下側コイルバネ76dの弾性力により上側に移動する。これにより、旋回ベースアーム30の旋回運動の規制が解除される。
以上説明した通り、超音波診断装置10が有するアーム機構14の運動を規制する運動規制機構によれば、ロックブロック62をピット52に挿入するだけで、アーム機構14が有する複数の運動部材の運動が規制される。特に、ピット52が設けられた旋回ベースアーム30、ロックブロック62が設けられたモニタ側旋回アーム38、及びそれらの間に配置された各運動部材(近位側平行リンク32、中間旋回アーム34、遠位側平行リンク36)のみならず、モニタ側旋回アーム38よりもモニタ16側に位置する運動部材(チルト機構)の運動が規制される。つまり、ユーザは、1つの動作にて複数の運動部材の運動を規制することができるから、アーム機構14の運動を規制する手間がかからない。
また、ロックブロック62とピット52の係合状態がロックされることで、好適に係合状態を維持することができる。さらに、ロック解除スイッチ74を設けたことで、ユーザはロック状態の解除をワンタッチで行うことができる。そして、ロックを解除した状態でロックブロック62をピット52から取り外すだけで、アーム機構14の各運動部材の運動規制が解除される。つまり、アーム機構14の各運動部材の運動規制を解除する手間もかからない。
<モニタ筐体の構造>
以下、超音波診断装置10のモニタ16の構造、特に、モニタ16の筐体構造について説明する。
図24は、モニタ16の背面斜視図である。また、図25には、モニタ16下部の左右方向中央部分における断面側面図が示されている。なお、図24においては、アーム機構の図示は省略されている。
図24及び図25に示される通り、モニタ16が有するモニタ筐体16bの裏面の下側縁部において、左右方向に延びる下側突条120が設けられている。下側突条120は、モニタ筐体16bの左右方向の実質的全体に亘り設けられている。モニタ筐体16b裏面の左右方向中央部において、下側突条120のすぐ内側(モニタ16の中央側)に、水平方向に延びる水平溝122が形成されている。図25に示される通り、左右方向中央部において、下側突条120の中央部分は、水平溝122の底面122aよりも後方に突出するように形成されている。
モニタ筐体16b裏面の右側(図24においては向かって左側)縁部において、上下方向に延びる右側突条124が形成されている。そして、モニタ筐体16bの右側下部には、モニタ筐体16bの右側縁部及び下側縁部に沿って延びる右側L字溝126が設けられている。右側L字溝126は、下側突条120の内側に沿って伸びる水平溝126a、及び右側突条124の内側に沿って伸びる右側垂直溝126bを有する。右側突条124は、右側L字溝126の底面126cよりも後方に突出するように形成されている。また、下側突条120の右側部分も、右側L字溝126の底面126cよりも後方に突出するように形成されている。
同様に、モニタ筐体16b裏面の左側(図24においては向かって右側)縁部において、上下方向に延びる左側突条128が形成されている。そして、モニタ筐体16bの左側下部には、モニタ筐体16bの左側縁部及び下側縁部に沿って延びる左側L字溝130が設けられている。左側L字溝130は、下側突条120の内側に沿って伸びる水平溝130a、及び左側突条128の内側に沿って伸びる左側垂直溝130bを有する。左側突条128は、左側L字溝130の底面130cよりも後方に突出するように形成されている。また、下側突条120の左側部分も、左側L字溝130の底面130cよりも後方に突出するように形成されている。
モニタ筐体16bの裏面において上記の構造が形成されていることにより、ユーザは好適にモニタ16の位置あるいは姿勢を変更することができる。具体的には、ユーザは、モニタ16の下側からモニタ16の裏面に指を回し、下側突条120に引っ掛けることができる。これによりモニタ16の位置あるいは姿勢を変更することができる。このとき、好適には、ユーザの指が水平溝122の底面122a、右側L字溝126の水平溝126aの底面126c、又は、左側L字溝130の水平溝130aの底面130cに当接することで、ユーザはより安定的にモニタ16を操作することができる。特に、モニタ16を手前側へ引き出すにあたり、指を上記溝の底面に押し当てて手前側に力を入れることで、容易にモニタ16の手前側へ引き出すことができる。
上述のように、下側フック構造としては、下側突条120、水平溝122、右側L字溝126の水平溝126a、及び左側L字溝130の水平溝130aを含んで構成される。
また、ユーザは、モニタ16の右側からモニタ16の裏面に指を回し、右側突条124に引っ掛けることができる。このとき、好適には、ユーザの指が右側L字溝126の右側垂直溝126bの底面126cに当接することで、ユーザはより安定的にモニタ16を操作することができる。このように、右側フック構造としては、右側突条124、及び右側L字溝126の右側垂直溝126bを含んで構成される。
同様に、ユーザは、モニタ16の左側からモニタ16の裏面に指を回し、左側突条128に引っ掛けることができる。このとき、好適には、ユーザの指が左側L字溝130の左側垂直溝130bの底面130cに当接することで、ユーザはより安定的にモニタ16を操作することができる。このように、左側フック構造としては、左側突条128、及び左側L字溝130の左側垂直溝130bを含んで構成される。
右側突条124及び左側突条128が設けられたことにより、ユーザは、モニタ筐体16b裏面の下側縁だけではなく、その右側縁及び左側縁にも指を引っ掛けることができる。これにより、ユーザのモニタ16の操作性がさらに向上されている。
右側垂直溝126b(及び右側突条124)は、モニタ筐体16bの下側縁部から、モニタ筐体16bの上下方向中央を超えた位置124aまで設けられている。同様に、左側垂直溝130b(及び左側突条128)は、モニタ筐体16bの下側縁部から、モニタ筐体16bの上下方向中央を超えた位置128aまで設けられている。
右側垂直溝126b(及び右側突条124)、並びに、左側垂直溝130b(及び左側突条128)をモニタ筐体16bの右側縁及び左側縁の実質的全部に沿って形成すれば、ユーザの指の引っ掛け位置がより多くなり、モニタ16の操作性の観点からはその方が望ましい。しかし、右側垂直溝126bあるいは左側垂直溝130bが大きくなる程、モニタ筐体16bの内部空間が狭くなる。当該内部空間は、基板などの部品を配置するために必要な空間である。したがって、モニタ筐体16bの内部空間を一定量保ちつつ、モニタ16の操作性を向上させる観点から、右側垂直溝126b及び左側垂直溝130bは、モニタ筐体16bの右側縁及び左側縁の一部に沿って設けられている。特に、ユーザが指を引っ掛ける頻度が高いと考えられる下側縁から一定の位置まで形成している。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。