JP2014209578A - 金属錯体色素、光電変換素子、色素増感太陽電池および金属錯体色素を含有する色素溶液 - Google Patents

金属錯体色素、光電変換素子、色素増感太陽電池および金属錯体色素を含有する色素溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率、耐久性、繰返しの再現性に優れた光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体色素及び色素溶液を提供する。【解決手段】導電性支持体、電解質を含む感光体層、電解質を含む電荷移動体層及び対極を有し、感光体層が、1.0モル%以上の異性体を含む式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体色素及び色素溶液。M1(LA)(LD)Z1式(I)[M1は金属原子;Z1は単座配位子;LAは特定の含窒素ヘテロ環基連結の3座配位子;LDは式(DL−1)又は(DL−2)で表される2座配位子;(G1はH又は置換基;Eは配位原子が環構成の窒素アニオンである5員環含窒素ヘテロ環基)]【選択図】なし

Description

本発明は、金属錯体色素、光電変換素子、色素増感太陽電池および金属錯体色素を含有する色素溶液に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。この光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。その中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループットおよびコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで色素増感太陽電池の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果である。彼らは、ポーラス酸化チタン薄膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の変換効率を実現した。これにより、高価な真空装置を使用しなくても製造できる色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
現在までに、光電変換素子に使用される金属錯体色素として一般的にN3、N719、Z907、J2と呼ばれる色素等が開発されている。
一方、最近になって、特定の置換基を有する[4−スチリル−2−(3−トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−イル]ピリジンと4,4’,4”−トリカルボキシ−ターピリジンを配位子とするRu金属錯体色素が提案されている(特許文献1参照)。
米国特許出願公開第2010−0258175A1号明細書
特許文献1に記載の金属錯体色素を含め、従来の金属錯体色素は光電変換効率の向上と耐久性の向上に対しては、無機素材のシリコンを使用する太陽電池と比較すると、大幅な向上、改善が必要である。従って、特に有機素材の宿命である耐久性の改善は困難な課題であるがゆえに、新たな開発の切り口を見出すことが重要である。
本発明者等は、これに加えて、得られた光電変換素子、色素増感太陽電池の性能が安定しない、すなわち、同じように製造したとしても作製した光電変換素子や色素増感太陽電池で同じ性能が得られない問題があることがわかった。
従って、本発明は、光電変換効率に加え、耐久性が大きく改善され、しかも繰り返し製造してもこれらの性能が安定して維持された光電変換素子、色素増感太陽電池、このような性能を発現する金属錯体色素および金属錯体色素を含有する色素溶液を提供することを課題とする。
本発明者等は、光電変換効率と耐久性、さらには繰返し製造による光電変換素子の性能の安定化に、金属錯体色素の凝集が関与していることを見出した。金属錯体色素の凝集は、半導体微粒子表面に吸着させるための吸着液だけでなく、半導体微粒子表面に吸着した後でも金属錯体色素間の凝集が生じていることがわかった。吸着液での凝集は、低溶解性成分を発生させ、多層吸着等の非効率な吸着状態を形成し、変換効率低下を引き起こす。大きな凝集であれば、事前に確認できるが、小さな凝集であれば確認が困難である。一方、一度半導体微粒子表面に吸着しても、時間経過とともに色素凝集が進行し、これが耐久性を低くすることがわかった。凝集が起きはじめると、凝集した部分が不安定状態かつ多層吸着の状態となり、半導体微粒子表面からの色素が脱着、電子移動の非効率化を起こしやすくなる。このような現象が起こると、作製する光電変換素子や色素増感太陽電池での極僅かなバラつきが、大きな差となって、作製される毎に作製された光電変換素子、色素増感太陽電池の不安定な性能を引き起こすことになる。
このような解析から、本発明者らは、複数の金属錯体色素の混合使用も含め、種々検討した結果、優れた性能を示す金属錯体色素において、異性体を共存させることが有効であることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
(1)導電性支持体、電解質を含む感光体層、電解質を含む電荷移動体層および対極を有する光電変換素子であって、感光体層が、1.0モル%以上の異性体を含む下記式(I)で表される金属錯体色素の1種が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
(LA)(LD)Z 式(I)
式(I)において、Mは金属原子を表し、Zは単座の配位子を表す。LAは下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。LDは下記式(DL−1)または(DL−2)で表される2座の配位子を表す。
式(AL−1)において、Za、ZbおよびZcは5または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、Za、ZbおよびZcが形成する環のうち少なくとも1つは酸性基を有する。
式(DL−1)、式(DL−2)において、Gは水素原子または置換基を表す。Eは下記式(E−1)〜(E−5)のいずれかで表される基を表す。
式(E−1)〜(E−5)において、Rはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。mは0以上の整数を表す。ここで、*はピリジン環またはキノリン環の2位に結合する結合位置を示す。
(2)異性体の含有量が、1.0〜30モル%である(1)に記載の光電変換素子。
(3)異性体の含有量が、3.0〜30モル%である(1)または(2)に記載の光電変換素子。
(4)異性体の含有量が、5.0〜30モル%である(1)〜(3)のいずれかに記載の光電変換素子。
(5)異性体の含有量が、5.0〜20モル%である(1)〜(4)のいずれかに記載の光電変換素子。
(6)異性体の含有量が、21〜30モル%である(1)〜(4)のいずれかに記載の光電変換素子。
(7)Mが、Ruである(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素子。
(8)LAが、下記式(AL−2)で表される(1)〜(7)のいずれかに記載の光電変換素子。
式(AL−2)において、RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。a1およびa3は各々独立に、0〜4の整数を表し、a2は0〜3の整数を表す。ただし、a1〜a3の和は1以上であり、3つのピリジン環の少なくとも1つに置換したRA1〜RA3のいずれかは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩であって、ピリジン環に置換する。
(9)LAが、下記式(AL−3)で表される(1)〜(8)のいずれかに記載の光電変換素子。
式(AL−3)において、RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。
(10)カルボキシ基を含む基が、下記式(Anc−1)〜(Anc−4)で表される(8)または(9)に記載の光電変換素子。
式(Anc−1)〜(Anc−4)において、Rx〜Rx、RyおよびRyは各々独立に、水素原子または置換基を表す。Ryは置換基を表す。b1は1〜3の整数を表し、b2およびb3は各々独立に0〜2の整数を表す。c1は0〜4の整数を表す。
(11)LDが、式(DL−1)で表される(1)〜(10)のいずれかに記載の光電変換素子。
(12)Gが、下記式(GI)、(GII)または(GIII)で表される(1)〜(11)のいずれかに記載の光電変換素子。
式(GI)、(GII)および(GIII)において、環Aはアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、環Bはヘテロアリーレン基を表し、Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Rはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。nx、nyおよびnzは各々独立に1以上の整数を表す。
(13)Gが、式(GI)で表される(12)に記載の光電変換素子。
(14)式(GI)で表される基が、下記式(G1−1)〜(G1−8)のいずれかで表される(12)または(13)に記載の光電変換素子。
式(G1−1)〜(G1−8)において、XおよびYは各々独立に、酸素原子、硫黄原子、NRf、Se原子、またはSiRfを表す。ここで、Rfは水素原子またはアルキル基を表す。na、nbおよびncは各々独立に、1〜3の整数を表す。maは0〜4の整数を表す。Ra、Rb、RdおよびReは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Ra’はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
(15)式(G1−1)〜(G1−8)において、Ra、Rb、RdおよびReが水素原子であり、maが0であって、Rcがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基である(14)に記載の光電変換素子。
(16)式(G1−1)〜(G1−8)において、XおよびYが酸素原子または硫黄原子である(14)または(15)に記載の光電変換素子。
(17)式(G1−1)〜(G1−8)において、Xが硫黄原子である(14)〜(16)のいずれかに記載の光電変換素子。
(18)式(GI)で表される基が、下記式(G1−9)〜(G1−11)のいずれかで表される(12)または(13)に記載の光電変換素子。
式(G1−9)〜(G1−11)において、Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Rgはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。環Cは環構成原子が炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される5〜7員環を表す。ndおよびneは各々独立に、1〜3の整数を表し、nfは1〜4の整数を表す。mbは0〜4の整数を表し、mcおよびmdは各々独立に0以上の整数を表す。mb、mcおよびmdが各々において2以上のとき、複数のRgは互いに同一でも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
(19)式(GIII)で表される基が、下記式(G1−1a)〜(G1−8a)のいずれかで表される(12)に記載の光電変換素子。
式(G1−1a)〜(G1−8a)において、XおよびYは各々独立に、酸素原子、硫黄原子、NRf、Se原子、またはSiRfを表す。ここで、Rfは水素原子またはアルキル基を表す。nbは1〜3整数を表す。maは0〜4の整数を表す。Ra、Rb、RdおよびReは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Ra’はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
(20)Rcが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアルキルアミノ基である(12)〜(19)のいずれかに記載の光電変換素子。
(21)Rcが、アルキル基またはアルキルアミノ基である(12)〜(20)のいずれかに記載の光電変換素子。
(22)Gが、式(GII)で表される基であり、Rが、アルキル基またはアルキルアミノ基である(12)に記載の光電変換素子。
(23)RcおよびRが、炭素数5〜20のアルキル基または炭素数12〜20のアルキルアミノ基である(12)〜(22)のいずれかに記載の光電変換素子。
(24)式(I)で表される金属錯体色素が、下記式(II−1)〜(II−5)で表される(1)〜(23)のいずれかに記載の光電変換素子。
式(II−1)〜(II−5)において、Gは式(DL−1)、(DL−2)におけるGと同義である。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。Zはイソチオシアネート基、イソセレノシアネート基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
(25)式(I)で表される金属錯体色素が、下記式(III)で表される(1)〜(24)のいずれかに記載の光電変換素子。
式(III)において、Rc’はアルキル基またはアルキルアミノ基を表す。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。
(26)半導体微粒子に、さらに酸性基を1つ以上有する共吸着剤が担持されてなる(1)〜(25)のいずれかに記載の光電変換素子。
(27)共吸着剤が下記式(CA)で表される(26)に記載の光電変換素子。
式(CA)において、RC1は酸性基を有する置換基を表す。RC2は置換基を表す。lcは0以上の整数を表す。
(28)前記(1)〜(27)のいずれかに記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
(29)下記式(I)で表され、1.0モル%以上の異性体を含む、異性体混合金属錯体色素。
(LA)(LD)Z 式(I)
式(I)において、Mは金属原子を表し、Zは単座の配位子を表す。LAは下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。LDは下記式(DL−1)または(DL−2)で表される2座の配位子を表す。
式(AL−1)において、Za、ZbおよびZcは5または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、Za、ZbおよびZcが形成する環のうち少なくとも1つは酸性基を有する。
式(DL−1)、式(DL−2)において、Gは水素原子または置換基を表す。Eは下記式(E−1)〜(E−5)のいずれかで表される基を表す。
式(E−1)〜(E−5)において、Rはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。mは0以上の整数を表す。ここで、*はピリジン環またはキノリン環の2位に結合する結合位置を示す。
(30)Gが、下記式(GI)、(GII)または(GIII)で表される(29)に記載の異性体混合金属錯体色素。
式(GI)、(GII)および(GIII)において、環Aはアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、環Bはヘテロアリーレン基を表し、Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Rはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。nx、nyおよびnzは各々独立に1以上の整数を表す。
(31)式(I)で表される金属錯体色素が、下記式(II−1)〜(II−5)で表される(29)または(30)に記載の異性体混合金属錯体色素。
式(II−1)〜(II−5)において、Gは式(DL−1)、(DL−2)におけるGと同義である。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。Zはイソチオシアネート基、イソセレノシアネート基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
(32)式(I)で表される金属錯体色素が、下記式(III)で表される(29)〜(31)のいずれかに記載の異性体混合金属錯体色素。
式(III)において、Rc’はアルキル基またはアルキルアミノ基を表す。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。
(33)前記(29)〜(32)のいずれかに記載の異性体混合金属錯体色素を溶解してなる色素溶液。
特定の符号で表示された置換基や連結基、配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香環、ヘテロ環、はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本発明においては、各置換基は、特に断らない限り、さらに置換基で置換されていてもよい。
本発明により、光電変換効率が向上し、しかも耐久性が大きく改善され、繰り返し製造してもこれらの性能が安定して維持された光電変換素子、色素増感太陽電池、このような性能を発現する金属錯体色素および金属錯体色素を含有する色素溶液を提供できる。
本発明の光電変換素子の一実施態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 実施例1で作製した色素増感太陽電池を模式的に示す断面図である。
<<光電変換素子および色素増感太陽電池>>
本発明の光電変換素子は、例えば、図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、色素(金属錯体色素)21により増感された半導体微粒子22を含む感光体層2、正孔輸送層である電荷移動体層3および対極4からなる。感光体層2を設置した導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。本実施形態においては、この光電変換素子10を外部回路6で動作手段Mに仕事をさせる電池用途に使用できるようにした色素増感太陽電池を利用したシステム100として示している。
本実施形態において受光電極5は、導電性支持体1、および色素(金属錯体色素)21の吸着した半導体微粒子22を含む感光体層2よりなる。感光体層2は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。一層の感光体層中の色素(金属錯体色素)21は一種類でも多種類の混合でもよいが、そのうちの少なくとも1種には、後述する本発明の金属錯体色素を用いる。感光体層2に入射した光は色素(金属錯体色素)21を励起する。励起された色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素(金属錯体色素)21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき色素(金属錯体色素)21は酸化体となっているが、電極上の電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4を経由して、色素(金属錯体色素)21の酸化体および電解質が存在する感光体層2に戻ることで太陽電池として働く。
本発明において、光電変換素子もしくは色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材の作製方法については、この種のものにおいて通常なされる作製方法を採用すればよく、例えば米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、主たる部材について概略を説明する。
<感光体層>
感光体層は後述する電解質を含み、下記本発明の金属錯体色素を含む増感色素が担持された半導体微粒子を含む層である。
本発明では、半導体微粒子の表面に吸着される金属錯体色素は、光電変換効率等の基本性能に少なくとも優れた金属錯体色素である。このような金属錯体色素において、複数存在する異性体を1.0モル%以上含有する異性体混合金属錯体色素を使用するものである
<<異性体混合金属錯体色素>>
本発明で使用する金属錯体色素は、異性体が存在する金属錯体色素を使用するものである。
本発明では、詳細は以後に述べるが、後述の式(I)で表される金属錯体色素を使用する。例えば、ターピリジンのような3座配位子とピリジン環もしくはキノリン環と特定の5員環ヘテロアリール環が結合した2座の配位子と単座の配位子が金属原子に配位した金属錯体色素である。
<異性体>
本発明における異性体とは、立体異性体または構造異性体を意味する。
立体異性体の代表的な例は、置換基二重結合におけるE体、Z体、中心金属に対する配位子の空間的配置(絶対配置)による幾何異性体である。
一方、構造異性体の代表的な例は、イオン化異性体、配位異性体、結合異性体などが知られている。最も代表的な例で示せば、NCS(イソチオシアネート基)のように異なった原子で配位可能な配位子(両座配位子)を有し、異なった原子で配位した化合物間での異性体である。
このような異性体は、吸着液や半導体微粒子表面での吸着状態もしくは電解質液での媒体、吸着表面、色素間で比較的大きな相互作用を引き起こすため、本発明の効果を得やすい。
ここで、式(I)で表される金属錯体色素の代表的な金属錯体色素として、以下の色素で、異性体を説明する。
ここでRは置換基であり、配位子LAとして、環Aのピリジン環を3個有するターピリジン、配位子LDとして、環Bのピリジン環と環Cのピラゾール環が結合した2座の化合物、ZとしてNCS(イソチオシアネート基)がRuにオクタへドラルに配位したものである。
代表的な異性体としては、置換基の二重結におけるE体とZ体が挙げられ、例えば、環Bのピリジン環に置換するスチリル基の二重結合部分におけるE体(下記構造a)とZ体(下記構造b)である。
また、両座配位子における配位原子の相違による結合異性体が挙げられ、例えば、配位原子が窒素原子(N原子)である下記構造a、bと、配位原子が硫黄原子(S原子)である下記構造c、dである。
また、Ruに対する配位子の空間的配置による立体異性体も挙げられ、例えば、Ruを中心とする直行座標系において、z軸正方向に環Cのピラゾール、y軸負方向に環Bのピリジン環が配置される下記構造eと、z軸正方向に環Bのピリジン環、y軸負方向に環Cのピラゾール環が配置される下記構造fである。
本発明においては、上記のような異性体を含め、異性体混合は、異性体であれば、どのような異性体であっても構わないが、好ましくは、E体、Z体の異性体(上記構造aとbの関係)または配位子のRuに対する配位子の空間的配置による立体異性体(上記構造eとfの関係)である。
これらの異性体は、高速液体クロマトグラフィーで異なった位置にピークとして観測される。
このため、異性体の含有比率を調べることができる。含有比率は、例えば高速液体クロマトグラフィー(島津製作所)にて測定条件としてカラムAM−312、温度40℃、検出波長254nm、流速1.0mL/min、溶離液THF/水/TFAとした時に得られるそれぞれの面積%の比率で求めた。
本発明では、異性体の含有率は1.0モル%以上、すなわち、少なくとも2つの異性体が存在する場合、一つの異性体は1.0モル%〜99.0モル%、他方の異性体はその逆で、99.0モル%〜1.0モル%、合計100%の関係で含有することになる。
異性体含有率は、1.0〜30モル%が好ましく、3.0〜30モル%がより好ましく、5.0〜30モル%がさらに好ましい。
これより、さらに好ましい範囲は、光電変換素子の性能のうち、光耐久性と光電変換効率の若干好ましい範囲が異なり、光耐久性に対しては、21〜30モル%が特に好ましく、光電変換効率に対しては、5.0〜20モル%が特に好ましい。熱耐久性に関しては5.0〜30モル%が好ましい。
異性体の含有量をこのように調整することで、耐久性が大きく改善される原因は明確ではないが、電極上での凝集物の発生による剥離促進、多層吸着および色素非吸着部の形成が推定される。
異性体の含有率を調整するには、異性体の種類で異なる。
例えば、E体、Z体の異性体の場合、合成時の光照射またはpHと熱を調整することで、Ruに対する配位子の空間的配置による立体異性体の場合、合成時の熱または溶媒を調整することで、配位原子違いの異性体の場合、配位子導入時の配位子濃度等を調整することで、含有率を調整できる。
このような効果が発現されるには、基本となる金属錯体色素が、前記式(I)で表される金属錯体色素であることが重要である。
以下、前記式(I)で表される金属錯体色素を説明する。
<式(I)で表される金属錯体色素>
本発明の金属錯体色素は、下記式(I)で表される。
(LA)(LD)Z 式(I)
式(I)において、Mは金属原子を表し、Zは単座の配位子を表す。LAは下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。LDは下記式(DL−1)または(DL−2)で表される2座の配位子を表す。
式(AL−1)において、Za、ZbおよびZcは5または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、Za、ZbおよびZcが形成する環のうち少なくとも1つは酸性基を有する。
式(DL−1)、(DL−2)において、Gは水素原子または置換基を表す。Eは下記式(E−1)〜(E−5)のいずれかで表される基を表す。
式(E−1)〜(E−5)において、Rはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。mは0以上の整数を表す。ここで、*はピリジン環またはキノリン環の2位に結合する結合位置を示す。
− 金属原子M
は金属原子を表す。このような金属としては、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnまたはZnが好ましく、Ru、Os、ZnまたはCuがより好ましく、RuまたはOsがさらに好ましく、Ruが特に好ましい。
− 配位子LA −
配位子LAは、前記式(AL−1)で表される。
Za、ZbおよびZcは5または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
形成される5または6員環は含窒素ヘテロ環となるが、形成される環は芳香環、すなわちヘテロアリール環であっても芳香環でないヘテロ環であっても構わない。これらの環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子以外に、他のヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子を含んでもよい。
本発明においては、形成される環はヘテロアリール環が好ましい。
5員環のヘテロアリール環としては、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環が挙げられる。6員環のヘテロアリール環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環が挙げられ、5員環としては、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環が挙げられる。
これらの環は、単環であってもベンゼン環のようなアリール環や、ヘテロ環、脂肪族の環が縮環していてもよい。
5員環の場合はイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環又はトリアゾール環を形成するのが好ましく、6員環の場合はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環またはピラジン環を形成するのが好ましい。なかでもイミダゾール環またはピリジン環がより好ましい。
本発明においては、6員環のヘテロアリール環が好ましく、中でも環構成原子のヘテロ原子が窒素原子のみのものが好ましく、ピリジン環が特に好ましい。
本発明においては、Za、ZbおよびZcが形成する環のうち少なくとも1つは酸性基を有する。
・酸性基Ac
本発明において酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基など、あるいはこれらのいずれかを有する基が挙げられ、好ましくはカルボキシ基、ホスホニル基あるいはこれを有する基である。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。塩となるとき、対イオンとしては特に限定されないが、例えば、下記対イオンCIにおける正のイオンの例が挙げられる。上記のように本発明では、酸性基は、連結基を介して結合した基でもよく、例えば、カルボキシビニレン基、ジカルボキシビニレン基、シアノカルボキシビニレン基、カルボキシフェニル基などを好ましいものとして挙げることができる。このような基のうち、特にカルボキシ基もしくはその塩の場合、後述する式(Anc−1)〜(Anc−4)で表される基が好ましい。
なお、ここで挙げた酸性基及びその好ましい範囲を酸性基Acということがある。
前記LAは、下記式(AL−2)で表される配位子が好ましい。
式(AL−2)において、RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。a1およびa3は各々独立に、0〜4の整数を表し、a2は0〜3の整数を表す。ただし、a1〜a3の和は1以上であり、3つのピリジン環の少なくとも1つに置換したRA1〜RA3のいずれかは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩であって、該ピリジン環に置換する。
前記LAは、下記式(AL−3)で表される配位子がより好ましい。
式(AL−3)において、RA1〜RA3は前記式(AL−2)におけるRA1〜RA3と同義であり、好ましい範囲も同じである。なお、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。
このように、本発明の配位子LAは、少なくとも1つの酸性基または前記RA1〜RA3のうちピリジン環に置換する少なくとも1つが、カルボキシ基もしくはその塩である場合が好ましい。
一方、本発明では、カルボキシ基を含む基が、下記式(Anc−1)〜(Anc−4)で表される基を有することも好ましい。
式(Anc−1)〜(Anc−4)において、Rx〜Rx、RyおよびRyは各々独立に、水素原子または置換基を表す。Ryは置換基を表す。b1は1〜3の整数を表し、好ましくは1または2である。b2およびb3は各々独立に0〜2の整数を表し、好ましくは0または1である。c1は0〜4の整数を表し、好ましくは0〜2である。
Rx〜Rx、Ry、RyおよびRyにおける置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。
以下に、配位子LAの具体例を示すが、これによって、本発明が限定されるものではない。
− 配位子LD −
本発明においては、配位子LDは、前記式(DL−1)または(DL−2)で表されるが、式(DL−1)で表される基が好ましい。
式(E−1)〜式(E−4)におけるRは、ハロゲン原子またはアルキル基が好ましく、アルキル基は、電子吸引性基が置換してもよいアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、特にフッ素原子が置換したアルキル基が好ましい。なかでもフッ素原子が置換したアルキル基が好ましい。
ハロゲン原子が置換したアルキル基は、パーハロゲン化アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましく、パーフルオロメチル基が特に好ましい。
mは、0または1が好ましく、なかでも、式(E−2)では、mは1が好ましい。
式(E−1)〜(E−5)のうち、式(E−1)〜(E−4)が好ましく、式(E−2)が特に好ましい。
は水素原子または置換基を表し、該置換基は、後述の置換基Tが挙げられる。Gにおける置換基は、二重結合のみの基、二重結合を介してアリール環もしくはヘテロアリール環を有する基、または直接、ヘテロアリール基が好ましい。
は、これらの中でも、下記式(GI)、(GII)または(GIII)で表される基であることが好ましい。
式(GI)、(GII)および(GIII)において、環Aはアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、環Bはヘテロアリーレン基を表し、Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Rはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。nx、nyおよびnzは各々独立に1以上の整数を表す。
環Aにおけるアリーレン基のアリール環としては、ベンゼン環またはナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
環Aおよび環Bにおけるヘテロアリーレン基のヘテロアリール環は、5または6員環が好ましく、環構成ヘテロ原子は、硫黄原子、酸素原子、窒素原子が好ましい。
該ヘテロアリール環は、ベンゼン環などのアリール環やヘテロアリール環などのヘテロ環、エチレンジオキシ環などの非芳香族系ヘテロ環で縮環していてもよい。
該アリール環やヘテロアリール環は置換基で置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
環Aおよび環Bはチオフェン環もしくはこれと他の環が縮環した環が特に好ましい。
Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、これらの各基は後述の置換基Tにおける対応する基が好ましい。Rcは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基がより好ましい。
はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表すが、これらの各基は、後述の置換基Tの対応する基が好ましい。
nx、nyおよびnzはいずれも1以上の整数を表すが、nxおよびnyは1〜2の整数が好ましく、nxとnyの和は2または3が好ましい。nzは1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1がさらに好ましい。
式(GI)〜(GIII)で表される基のうち、式(GI)または式(GIII)で表される基が好ましい。
式(GI)で表される基は、下記式(G1−1)〜(G1−8)のいずれかで表される基が好ましい。
式(G1−1)〜(G1−8)において、XおよびYは各々独立に、酸素原子、硫黄原子、NRf、Se原子、またはSiRfを表す。ここで、Rfは水素原子またはアルキル基を表す。na、nbおよびncは各々独立に、1〜3の整数を表す。maは0〜4の整数を表す。Ra、Rb、RdおよびReは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Ra’はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
XおよびYは酸素原子、硫黄原子が好ましく、Xは硫黄原子がより好ましく、Yは酸素原子がより好ましい。
Ra、Ra’、Rb、RdおよびReで規定される各基は後述の置換基Tにおける対応する基が好ましい。
na、nbおよびncは1または2が好ましく、1がより好ましい。
また、式(GI)で表される基は、下記式(G1−9)〜(G1−11)のいずれかで表される基が好ましい。
式(G1−9)〜(G1−11)において、Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Rgはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。環Cは環構成原子が炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される5〜7員環を表す。ndおよびneは各々独立に、1〜3の整数を表し、nfは0〜4の整数を表す。mbは0〜4の整数を表し、mcおよびmdは各々独立に0以上の整数を表す。mb、mcおよびmdが各々において2以上のとき、複数のRgは互いに同一でも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
式(G1−9)〜(G1−11)のうち、式(G1−9)、(G1−10)で表される基が好ましい。
Rgはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表すが、これらの各基は後述する置換基Tの対応する基が好ましい。
mb〜mdは0または1が好ましい。
nfは0〜4の整数を表すが、ここで、例えば、nfが0の場合、表示されている環はベンゼン環であることを意味し、nfが1の場合、ナフタレン環であることを意味するものである。
nfは0または1が好ましい。
環Cは、環構成原子が炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される5〜7員環を表すが、該環としてはヘテロアリール環が好ましく、含酸素、含硫黄、または含窒素ヘテロアリール環が好ましく、含硫黄または含窒素ヘテロアリール環がより好ましく、含窒素へテロアリール環がさらに好ましい。
また環Cは5員環のヘテロアリール環が好ましく、チオフェン環、フラン環、ピロール環がより好ましく、チオフェン環、ピロール環がさらに好ましく、ピロール環が特に好ましい。
式(GI)で表される基は式(G1−1)〜(G1−11)のうち、式(G1−1)〜(G1−8)で表される基が好ましい。
Rcは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアルキルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアルキルアミノ基がより好ましく、炭素数5〜20のアルキル基または炭素数12〜20のアルキルアミノ基がさらに好ましい。
式(GII)で表される基の場合、Rが、アルキル基またはアルキルアミノ基が好ましく、炭素数5〜20のアルキル基または炭素数12〜20のアルキルアミノ基がより好ましい。
式(GIII)で表される基は、下記式(G1−1a)〜(G1−8a)のいずれかで表される基が好ましい。
式(G1−1a)〜(G1−8a)において、X、Y、nb、ma、Ra、Ra’、Rb、Rc、RdおよびReは前記式(G1−1)〜(G1−8)におけるX、Y、nb、ma、Ra、Ra’、Rb、Rc、RdおよびReと同義であり、好ましい範囲も同じである。
本発明においては、式(I)で表される金属錯体色素は、下記式(II−1)〜(II−5)で表される金属錯体色素が好ましい。
式(II−1)〜(II−5)において、Gは前記式(DL−1)、(DL−2)におけるGと同義である。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は前記式(AL−2)におけるRA1〜RA3と同義であり、好ましい範囲も同じである。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。Zはイソチオシアネート基、イソセレノシアネート基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基が好ましく、ハロゲン原子が置換したアルキル基がより好ましく、該ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
また、パーハロゲン化アルキル基が好ましく、なかでもパーフルオルアルキル基が好ましく、パーフルオロメチル基が特に好ましい。
式(II−1)〜(II−5)のうち、式(II−1)〜(II−4)が好ましく、式(II−1)がより好ましい。
式(I)で表される金属錯体色素は、下記式(III)で表される金属錯体色素が特に好ましい。
式(III)において、RA1〜RA3、R10は前記式(II−1)におけるRA1〜RA3、R10と同義であり、好ましい範囲も同じである。
Rc’はアルキル基またはアルキルアミノ基を表す。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。
ここで、Rc’におけるヘテロ環基のヘテロ環は、5または6員環のヘテロ環が好ましく、ヘテロアリール環がより好ましい。該ヘテロ環はベンゼン環やヘテロ環で縮環していてもよい。
ヘテロ環基のヘテロ環としては、チオフェン環もしくはチオフェン環を含むヘテロ環が好ましい。
− 配位子Z
は単座の配位子を表す。Zは、例えば、アシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、セレネート基、イソセレネート基、イソセレノシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する単座の配位子、またはハロゲン原子、ホスフィン配位子、カルボニル、ジアルキルケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドおよびチオ尿素からなる群より選ばれる単座の配位子を挙げることができる。
は、イソチオシアネート基、イソセレノシアネート基、イソシアネート基、ハロゲン原子またはシアノ基が好ましい。なお、配位子Zがアルキル部位、アルケニル部位、アルキニル部位、アルキレン部位等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール部位、ヘテロ環部位、シクロアルキル部位等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
以下に、式(I)で表される金属錯体色素の具体例を示すが、これによって、本発明が限定されるものではない。
本発明の式(I)で表される金属錯体色素は、米国特許出願公開第2010/0258175A1号明細書、特許第4298799号公報、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,2054−2058に記載の方法、該文献で挙げられている参照文献に記載の方法、またはこれらに準じた方法で合成することができる。
本発明の金属錯体色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
本発明においては、本発明の金属錯体色素と他の色素を併用してもよい。
併用する色素としては、特表平7−500630号公報に記載のRu錯体色素(特に第5頁左下欄5行目〜第7頁右上欄7行目に例1〜例19で合成された色素)、特表2002−512729号公報に記載のRu錯体色素(特に第20頁の下から3行目〜第29頁23行目に例1〜例16で合成された色素)、特開2001−59062号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0087〜0104に記載の色素)、特開2001−6760号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0093〜0102に記載の色素)、特開2001−253894号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0009〜0010に記載の色素)、特開2003−212851号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0005に記載の色素)、国際公開第2007/91525号パンフレットに記載のRu錯体色素(特に、[0067]に記載の色素)、特開2001−291534号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0120〜0144に記載の色素)、特開2012−012570号公報に記載のRu錯体色素(特に、段落番号0095〜0103に記載の色素)、特開平11−214730号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0036〜0047に記載の色素)、特開2012−144688号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0039〜0046および段落番号0054〜0060に記載の色素)、特開2012−84503号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0066〜0076などに記載の色素)、特開2004−063274号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0017〜0021に記載の色素)、特開2005−123033号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0021〜0028に記載の色素)、特開2007−287694号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0091〜0096に記載の色素)、特開2008−71648号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0030〜0034に記載の色素)、国際公開第2007/119525号パンフレットに記載の有機色素(特に、[0024]に記載の色素)、Angew.Chem.Int.Ed.,49,1〜5(2010)等に記載のポルフィリン色素、Angew.Chem.Int.Ed.,46,8358(2007)等に記載のフタロシアニン色素が挙げられる。
併用する色素として好ましくは、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、または有機色素が挙げられる。
本発明の金属錯体色素と他の色素を併用する場合、本発明の金属錯体色素の質量/他の色素の質量の比は、95/5〜10/90が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、95/5〜60/40がさらに好ましく、95/5〜65/35が特に好ましく、95/5〜70/30が最も好ましい。
− 導電性支持体 −
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスもしくはプラスチックの支持体であるのが好ましい。プラスチックの支持体としては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体としては、ガラスおよびプラスチックの他、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いてもよい。導電性支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
導電膜層の厚さは0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。透明導電性支持体としては、ガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。金属酸化物としてはスズ酸化物が好ましく、インジウム−スズ酸化物、フッ素ドープド酸化物が特に好ましい。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスもしくはプラスチックの支持体1m当たり0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
− 半導体微粒子 −
半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合するか、または半導体電極として用いてもよい。
半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、湿式法、乾式法、その他の方法が挙げられる。
透明導電膜と半導体層(感光体層)の間には、電解質と電極が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。光電極と対極の接触を防ぐために、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子を含む層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体層である感光体層の好ましい厚みは素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は、1〜50μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成してもよい。支持体としてガラスを用いる場合、製膜温度は60〜400℃が好ましい。
なお、半導体微粒子の支持体1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。色素の使用量は、全体で、支持体1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。この場合、本発明の金属錯体色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子における増感効果が十分に得られる。
前記色素が塩である場合、前記特定の金属錯体色素の対イオンは特に限定されず、例えばアルカリ金属イオンまたは4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
色素を吸着させた後に、アミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてピリジン類(例えば4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン)等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
本発明の光電変換素子(例えば光電変換素子10)および色素増感太陽電池(例えば色素増感太陽電池20)においては、少なくとも上記の本発明の金属錯体色素を使用する。
− 電荷移動体層 −
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極と対極(対向電極)との間に設けられる。電荷移動体層は電解質を含む。電解質の例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。光電変換効率を高めるためには液体電解質が好ましい。液体電解質の溶媒はニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が用いられるが、ニトリル化合物が好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合せ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合せ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうち、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせまたは2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましい。
前記コバルト錯体は、なかでも下記式(CC)で表される錯体が好ましい。
Co(LL)ma(X)mb・CI 式(CC)
式(CC)において、LLは2座または3座の配位子を表す。Xは単座の配位子を表す。maは0〜3の整数を表す。mbは0〜6の整数を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
一般に、錯体が陽イオンまたは陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、錯体中の金属、配位子および置換基に依存する。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機または有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、アルカリ金属イオンまたはプロトンである。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは錯体と逆電荷を有する他の錯体を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
なお、本発明の金属錯体色素においても必要な場合はCIを含んでもよい。
LLは下記式(LC)で表される配位子が好ましい。
式(LC)において、XLC1およびXLC3は各々独立に炭素原子または窒素原子を表す。ここで、XLC1が炭素原子の場合、XLC1とN原子の結合は二重結合(XLC1=N)を表し、XLC3が炭素原子の場合、XLC3とN原子の結合は二重結合(XLC3=N)を表し、XLC1が窒素原子の場合、XLC1とN原子の結合は単結合(XLC1−N)を表し、XLC3が窒素原子の場合、XLC3とN原子の結合は単結合(XLC3−N)を表す。
LC1、ZLC2およびZLC3は各々独立に、5員環または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ZLC1、ZLC2およびZLC3は置換基を有していてもよく、置換基を介して隣接する環と閉環していてもよい。qは0または1を表す。該置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。なお、qが0の場合、XLC3がZLC2で形成される5員環または6員環に結合する位置の炭素原子は、水素原子、またはZLC3で形成されるヘテロ環基以外の置換基が結合する。
Xは前記式(I)におけるZが挙げられ、このなかでもハロゲンイオンが好ましい。
上記式(LC)で表される配位子は、下記式(LC−1)〜(LC−4)で表される配位子がより好ましい。
LC1〜RLC11は各々独立に置換基を表す。q1、q2、q6およびq7は各々独立に、0〜4の整数を表す。q3、q5、q10およびq11は各々独立に、0〜3の整数を表す。q4は0〜2の整数を表す。
式(LC−1)〜(LC−4)において、RLC1〜RLC11における置換基は、例えば、脂肪族基、芳香族基、複素環基等が挙げられる。置換基の具体的な例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環等を挙げることができる。好ましい例としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)、アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、n−ブチルチオ、n−ヘキシルチオ、2−エチルヘキシルチオ等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフトキシ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、ヘテロ環基(例えば、2−チエニル、2−フリル等)を挙げることができる。
式(LC)で表される配位子を有するコバルト錯体の具体例としては、例えば以下の錯体が挙げられる。
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合せを用いる場合、5員環または6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩をさらに併用するのが好ましい。
酸化還元対を溶かす有機溶媒としては、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。溶融塩としては、例えばヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり変換効率が向上する。
電解質への添加物として、前述の4−tert−ブチルピリジンのほか、アミノピリジン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、アミノトリアゾール系化合物およびアミノチアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、アミノトリアジン系化合物、尿素誘導体、アミド化合物、ピリミジン系化合物および窒素を含まない複素環を加えることができる。
また、光電変換効率を向上するために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。ヨウ素の毒性軽減のために、ヨウ素とシクロデキストリンの包摂化合物の使用をしてもよく、水分を常時補給する方法を用いてもよい。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
電解質として溶融塩を用いてもよく、好ましい溶融塩としては、イミダゾリウムまたはトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、オキサゾリウム系、ピリジニウム系、グアニジウム系およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらカチオン系に対して特定のアニオンと組み合わせてもよい。これらの溶融塩に対しては添加物を加えてもよい。液晶性の置換基を持っていてもよい。また、四級アンモニウム塩系の溶融塩を用いてもよい。
これら以外の溶融塩としては、例えば、ヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化してもよい。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物、分子量500〜5000の範囲のSi含有化合物、特定の酸性化合物と塩基性化合物からできる有機塩、ソルビトール誘導体、ポリビニルピリジンが挙げられる。
また、マトリックス高分子、架橋型高分子化合物またはモノマー、架橋剤、電解質および溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いてもよい。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子およびこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン系、メタクリレート・アクリレート系、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルキレングリコールとデキストリンなどの包摂化合物、含酸素または含硫黄高分子を添加した系、天然高分子などが挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子などを添加してもよい。
マトリックスポリマーとして2官能以上のイソシアネートを一方の成分として、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基などの官能基と反応させた架橋ポリマーを含む系を用いても良い。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子、ポリスルホン酸またはポリカルボン酸などを2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法などを用いてもよい。
上記擬固体の電解質との組み合わせで好ましく用いることができる溶媒としては、特定のリン酸エステル、エチレンカーボネートを含む混合溶媒、特定の比誘電率を持つ溶媒等が挙げられる。固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させてもよく、その方法として好ましくは、導電性高分子膜、繊維状固体、フィルタなどの布状固体が挙げられる。
以上の液体電解質および擬固体電解質の代わりにp型半導体あるいはホール輸送材料などの固体電荷輸送層、例えば、CuI、CuNCSなどを用いることができる。また、Nature,vol.486,p.487(2012)等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いてもよい。ホール輸送層として好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシランなどの導電性高分子および2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物、トリアリールアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリフェニレン誘導体、含窒素複素環誘導体、液晶性シアノ誘導体が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度が必要である。好ましい濃度としては合計で0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限は特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
− 共吸着剤 −
本発明の光電変換素子においては、本発明の金属錯体色素または必要により併用する色素とともに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシ基もしくはその塩)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
好ましい共吸着剤は、下記式(CA)で表される化合物である。
式中、RC1は酸性基を有する置換基を表す。RC2は置換基を表す。lcは0以上の整数を表す。
酸性基は、先に示したものと同義であり、好ましい範囲も同じである。
C1は、これらの中でも、カルボキシ基またはスルホ基もしくはそれらの塩が置換したアルキル基が好ましく、−CH(CH)CHCHCOH、−CH(CH)CHCHCONHCHCHSOHがさらに好ましい。
C2としては、後述の置換基Tが挙げられるが、中でもアルキル基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アルキルアミノカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニルオキシ基が好ましく、アルキル基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基がより好ましい。
lcは2〜4であることが好ましい。
これらの具体的化合物は、上述のステロイド骨格を有する化合物として例示した化合物が挙げられる。
本発明の共吸着剤は、半導体微粒子に吸着させることにより、色素の非効率な会合を抑制する効果および半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は特に限定されないが、上記色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルであることが、上記の作用を効果的に発現させられ、好ましい。
<置換基T>
本明細書において化合物(錯体、色素を含む)の表示については、当該化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、本明細書において置換または無置換を明記していない置換基(連結基および配位子についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換または無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基Tを参照するものであり、また、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみの場合は、この置換基Tの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル、トリフルオロメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20で、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5員環または6員環のヘテロ環基がより好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ等)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、2−プロピニルオキシ、4−ブチニルオキシ等)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、ヘテロ環オキシ基(例えば、イミダゾリルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、トリアジニルオキシ、プリニルオキシ)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20で、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノ、トリアジニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましく、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、4−メチルシクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましく、例えば、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリル、ジメチルフェニルシリル等)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリエチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジエチルベンジルシリルオキシ、ジメチルフェニルシリルオキシ等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボキシ基、スルホ基、ホスホニル基、ホスホリル基、ホウ酸基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、上記アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはシアノ基が挙げられる。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
<対極(対向電極)>
対極は、色素増感太陽電池(光電気化学電池)の正極として働くものであることが好ましい。対極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光体層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対極との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対極としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明は、特許第4260494号公報、特開2004−146425号公報、特開2000−340269号公報、特開2002−289274号公報、特開2004−152613号公報、特開平9−27352号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。また、特開2004-152613号公報、特開2000-90989号公報、特開2003−217688号公報、特開2002−367686号公報、特開2003−323818号公報、特開2001−43907号公報、特開2000−340269号公報、特開2005−85500号公報、特開2004−273272号公報、特開2000−323190号公報、特開2000−228234号公報、特開2001−266963号公報、特開2001−185244号公報、特表2001−525108号公報、特開2001−203377号公報、特開2000−100483号公報、特開2001−210390号公報、特開2002−280587号公報、特開2001−273937号公報、特開2000−285977号公報、特開2001−320068号公報等に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。
<<色素溶液、それを用いた色素吸着電極および色素増感太陽電池の製造方法>>
本発明においては、本発明の金属錯体色素を含有する色素溶液を使用して色素吸着電極を製造することが好ましい。
このような色素溶液には、本発明の金属錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により共吸着剤や他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが特に限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール類、アミド類、ニトリル類、炭化水素類、および、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール類と、アミド類、ニトリル類または炭化水素類から選択される溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール類とアミド類、アルコール類と炭化水素類の混合溶媒、特に好ましくはアルコール類とアミド類の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましく、共吸着剤としては、前述の共吸着剤が好ましく、なかでも前記式(CA)で表される化合物が好ましい。
ここで、本発明の色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を製造する際に、この溶液をこのまま使用できるように、金属錯体色素や共吸着剤が濃度調整されているものが好ましい。本発明においては、本発明の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。
色素溶液は、水分含有量を調整することが特に好ましく、従って、本発明では水の含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
同様に、光電変換素子や色素増感太陽電池における電解質の水分含有量の調整も、本発明の効果を効果的に奏するために好ましく、このため、この電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。この電解質の調整は、色素溶液で行なうのが特に好ましい。
本発明では、上記色素溶液を用いて、半導体電極が備える半導体微粒子表面に金属錯体色素を担持させてなる色素増感太陽電池用の半導体電極である色素吸着電極が好ましい。
すなわち、色素増感太陽電池用の色素吸着電極は、上記色素溶液から得られてなる組成物を、半導体微粒子を付与した導電性支持体上に塗布し、塗布後の該組成物を硬化させて感光体層としたものが好ましい。
本発明では、この色素増感太陽電池用の色素吸着電極を使用し、電解質、および対極を準備し、これらを用いて組み立てることで、色素増感太陽電池を製造することが好ましい。
以下に実施例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。
実施例1
<金属錯体色素の合成>
以下の金属錯体色素を合成した。
以下に、本発明の金属錯体色素の合成方法を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体及び合成ルートについてはこれにより限定されるものではない。
各異性体は、最終物または中間体粉末に対し50℃以上で一定時間加温する、または配位子導入工程の温度または溶媒を変更することで発生させたものをカラムクロマトグラフィーで分離し、必要に応じて残りの反応工程を実施することで得た。
(例示金属錯体色素29、31の合成)
米国特許出願公開第2012/0111410A1号明細書に記載の方法に従って、例示金属錯体色素29および31を合成した。なお、得られた反応粗生成物は、記載の方法に従って、セファデッククス LH−20カラムを使用したアルミナカラムクロトで精製した。
これらの金属錯体色素は、高速液体クロマトグラフィーにより、純度95.0%であり、H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルから、下記の立体構造である。
一方、反応粗生成物を上記のように、アルミナカラムクロマトで分離する際、別のピークを分取し、H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、赤外・ラマンスペクトルおよびMSスペクトル、X線構造解析から、下記の異性体(Z体)を単離した。
(例示金属錯体色素25、33、35、36、38、39、55、61、63および64の合成)
上記金属錯体色素29、31と同様にして、金属錯体色素25、33、35、36、38、39、55、61、63、64を合成した。
また、これらの異性体を金属錯体色素29、31と同様にして、単離した。
(例示金属錯体色素55、61、63および64の合成)
NCS(イソチオシアネート基)を単座配位子として導入する工程において、通常N原子で配位したものが主成分となるが、温度80℃以下で実施することでS原子で配位したものの比率を増加させることができる。これをカラムクロマトグラフィーで分離し、N原子配位したものとS原子配位したものをそれぞれ得た。これらに対し残りの工程を実施した後に、実施例記載の異性体比率になるように混合した。
(比較金属錯体色素 Black Dyeの合成)
Journal of the American Chemical Society,2001,123,1613〜1624に記載の方法に従って、比較色素骨格のBlack Dyeを合成した。
なお、得られたBlack Dyeの構造は、X線結晶構造解析が行われており、構造が確定している。
Black Dyeの下記の異性体は、金属錯体色素29、31と同様にして、単離した。H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、MSスペクトル、X線構造解析からも、上記の立体構造を支持している。
上記のようにして、下記の構造の金属錯体色素および異性体を準備し、以下のようにして光電変換素子の色素増感太陽電池を作製した。
なお、異性体の含有量は、単離した異性体を混合することで、半導体微粒子に吸着させた。
以下に合成した金属錯体色素のMS測定結果をまとめて下記表1に示した。
(色素増感太陽電池の作製)
光電極を構成する半導体電極の半導体層または光散乱層形成するため、下記のペーストを調製し、このペーストを用いて、色素増感太陽電池を作製した。
[ペーストの調製]
(ペーストA)
球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm以下、球形TiO粒子Aという。)を硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト1)
球形TiO粒子Aと、球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm以下、球形TiO粒子Bという。)を硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO粒子Aの質量:TiO粒子Bの質量=30:70)を調製した。
(ペースト2)
ペーストAに、棒状TiO粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5以下、棒状TiO粒子Cという。)を混合し、棒状TiO粒子Cの質量:ペーストAの質量=30:70のペーストを調製した。
[光電極の作製]
以下に示す手順により、特開2002−289274号公報に記載の図5に示されている光電極12と同様の構成を有する光電極を作製し、更に、光電極を用いて、同公報に記載の図3に示されている光電極以外は色素増感太陽電池20と同様の構成を有する10mm×10mmのスケールの色素増感太陽電池1を作製した。具体的な構成は本願に添付の図2に示した。20が色素増感太陽電池、41が透明電極、42が半導体電極、43が透明導電膜、44が基板、45が半導体層、46が光散乱層、40が光電極、CEが対極、Eが電解質、Sがスペーサーである。
ガラス基板上にフッ素ドープされたSnO導電膜(膜厚;500nm)を形成した透明電極を準備した。そして、このSnO導電膜上に、上述のペースト1をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト2を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、SnO導電膜上に本願に添付の図2に示す半導体電極42と同様の構成の半導体電極A(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;17μm、色素吸着層の層厚;12μm、光散乱層の層厚;5μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子Cの含有率;30質量%)を形成し、増感色素を含有していない光電極Aを作製した。
[色素吸着]
次に、上記のようにして作製した光電極(色素吸着電極の前駆体)に色素を以下のようにして吸着させた。先ず、マグネシウムエトキシドで脱水した無水ブタノールとジメチルホルムアミドの1:1(体積比)の混合物を溶媒として、下記表5に記載の金属錯体色素を3×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらに共吸着剤として、ケノデオキシコール酸とコール酸の等モル混合物を金属錯体色素1モルに対して20モル加え、各色素溶液を調製した。この色素溶液をカール・フィッシャー滴定により水分量を測定したところ、水は0.01質量%未満であった。次に、この溶液に半導体電極を40℃10時間浸漬し、引き上げ後50℃で乾燥させることにより、半導体電極に色素が約2×10−7mol/cm吸着した光電極40をそれぞれ完成させた。
[色素増感太陽電池セルの作製]
次に、対極として上記の光電極と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ;100nm)、電解質Eとして、0.05Mヨウ素、0.01Mヨウ化リチウム、0.6M1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムヨージドおよび4−tert−ブチルピリジン、を含むヨウ素系レドックス溶液を調製した。更に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備し、特開2002−289274号公報に記載の図3に示されているように、光電極40と対極CEとスペーサーSを介して対向させ、内部に上記の電解質を充填して光電極Aを使用した光電変換素子からなる色素増感太陽電池(セルA)を完成させた。
1)光電変換効率(η/%)
電池特性試験を行い、色素増感太陽電池について、光電変換効率(η/%)を測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η/%)を求めた。D以上が合格レベルである。
評価基準
AAA:8.5%以上
AA:8.0%以上8.5%未満
A:7.6%以上8.0%未満
B:7.2%以上7.6%未満
C:6.8%以上7.2%未満
D:6.4%以上6.8%未満
E:6.0%以上6.4%未満
F:6.0%未満
2)耐久性(暗所 80℃経時)
作製した色素増感太陽電池セルの光電変換効率を測定した後、耐久性として80℃、400時間暗所で経時後に光電変換効率を測定し、光電変換効率の低下率(%)を求めた。
低下率(%)は、〔(初期の効率−暗所経時後の効率)/初期の効率〕×100により求めた。
C以上が合格レベルである。
評価基準
A:6.0%未満
B:6.0%以上8.0%未満
C:8.0%以上10.0%未満
D:10.0%以上
3)光安定性
作製した色素増感太陽電池セルの光電変換効率を測定した後、耐久性として500時間、光照射を行い、光電変換効率の低下率(%)を求めた。
低下率(%)は、〔(初期の効率−光照射後の効率)/初期の効率〕×100により求めた。
C以上が合格レベルである。
評価基準
AA:5.0%未満
A:5.0%以上6.5%未満
B:6.5%以上8.0%未満
C:8.0%以上9.5%未満
D:9.5%以上
4)色素吸着時の仕損じ率
色素吸着条件
溶媒:tBuOH/DMF=9/1
濃度:1.0mM
温度:室温
吸着時間:24時間
上記条件で酸化チタン電極への色素吸着を行った後、表面観察を目視または光学顕微鏡で行い凝集物の有無を確認した。各サンプル30枚以上のセルから、凝集物のあるものを仕損じ品として評価した。
C以上が合格レベルである。
評価基準
A:仕損じ率(0%以上〜1%未満)
B:仕損じ率(1%以上〜3%未満)
C:仕損じ率(3%以上〜6%未満)
D:仕損じ率(6%以上)
5)色素溶液の5℃保管での凝集物析出
色素溶液条件
溶媒:tBuOH/DMF=1/1
濃度:0.5mM
上記溶液を5℃、暗所で保管し凝集物(析出物)が生じるまでの時間を評価する。
C以上がが合格レベルである。
評価基準
A:20日以上
B:10日以上20日未満
C:3日以上10日未満
D:3日未満
得られた結果をまとめて、下記表2に示す。
上記表2より、異性体を含むものは、変換効率、耐久性低下率、光安定性低下率のいずれの値でも異性体を含まないものよりも高性能であることがわかった。また、セル作成時の仕損じ率、色素溶液保存時の凝集物析出の面でも優れており、生産性が高いことがわかる。
実施例2
以下のようにして、金属錯体色素を合成した。
(例示金属錯体色素1の合成)
下記のスキームの方法に従って例示金属錯体色素1(Dye 1)を合成した。
(i)化合物d−1−2の合成
化合物d−1−1(2−アセチル 4−メチルピリジン)25gをTHF(テトラヒドロフラン)200mlに溶解し、窒素雰囲気下、0℃で攪拌しならがら、ナトリウムエトキシド18.9gを添加し15分攪拌した。その後、トリフルオロ酢酸エチル28.9gを滴下し、外温70℃で20時間攪拌した。室温に戻した後、塩化アンモニウム水溶液を滴下、分液し、有機層を濃縮し、粗精製物d−1−2 72.6gを得た。
(ii)化合物d−1−3の合成
化合物d−1−2 72.6gをエタノール220mlに溶解し窒素雰囲気下、室温で攪拌しながら、ヒドラジン1水和物5.6mlを添加し、外温90℃で12時間加熱した。その後、濃塩酸5mlを添加し、1時間攪拌した。濃縮後、重曹水150mlと酢酸エチル150mlで抽出・分液後、有機層を濃縮した。アセトニトリルで再結晶後、化合物d−1−3 31.5gを得た。
(iii)化合物d−1−5の合成
ジイソプロピルアミン 4.1gとテトラヒドロフラン30mlを窒素雰囲気下、−40℃で攪拌しながら、1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液を23.1ml滴下した後、2時間攪拌した。その後、化合物d−1−3 4.0gを添加し0℃で80分攪拌した後、化合物d−1−4 3.45gをテトラヒドロフラン15mlに溶解した溶液を滴下した。その後、0℃で80分攪拌し、室温で5時間攪拌した。その後塩化アンモニウム溶液を添加し、酢酸エチルで抽出分液した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、化合物d−1−5 5.7gを得た。
(iv)化合物d−1−6の合成
化合物d−1−5 5.0gとPPTS(ピリジニウムパラトルエンスルホン酸)5.9gを、トルエン50mlに加え、窒素雰囲気下で5時間加熱還流を行った。濃縮後、飽和重曹水および塩化メチレンで分液を行い、有機層を濃縮した。得られた結晶はメタノールおよび塩化メチレンで再結晶後、化合物d−1−6 4.3gを得た。
得られた化合物d−1−6の構造はMS(マススペクトル)測定により確認した。
MS−ESI m/z=404.2(M−H)
(v)例示金属錯体色素1(Dye 1)の合成
化合物d−1−7 1.22g、化合物d−1−6 1.62g、をNMP(N−メチルピロリドン)150mlに加え窒素雰囲気下、70℃で3時間攪拌した。その後化合物d−1−8 1.63gを加え160℃で8時間加熱攪拌した。その後チオシアン酸アンモニウム 10.7gを加え160℃で8時間攪拌した。濃縮後、水を加えろ過した。ろ物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物d−1−9を得た後、アセトン30mlと1N水酸化ナトリウム水溶液40mlの混合溶媒に加え、外温65℃で24時間攪拌した。室温に戻し、塩酸でpHを3に調整し、析出物をろ過し、粗精製物の金属錯体色素1(Dye 1) 3.3gを得た。
これをTBAOH(水酸化テトラブチルアンモニウム)と共にメタノール溶液に溶解し、SephadexLH−20カラムで精製した。主層の分画を回収し濃縮後トリフルオロメタンスルホン酸0.1M溶液を加え、pH3に調整し、析出物をろ過し例示金属錯体色素1(Dye 1) 2.4gを得た。
得られた例示金属錯体色素1(Dye 1)の構造はMS測定により確認した。
MS−ESI m/z=928.1(M−H)
得られた例示金属錯体色素1(Dye 1)について、340μmol/lテトラブチルアンモニウムヒドロキシドメタノール溶媒で色素濃度が17μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、最大吸収波長は521nmであった。
(例示金属錯体色素8の合成)
下記のスキームの方法に従って化合物d−2−2を合成し、例示金属錯体色素1(Dye 1)の化合物d−1−4を化合物d−2−2に変更して、例示金属錯体色素1(Dye 1)と同様にして例示金属錯体色素8を合成した。
得られた例示金属錯体色素8(Dye 8)の構造はMS測定により確認した。
MS−ESI m/z=986.1(M−H)
得られた例示金属錯体色素8(Dye 8)について、340μmol/lテトラブチルアンモニウムヒドロキシドメタノール溶媒で色素濃度が17μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、最大吸収波長は521nmであった。
(例示金属錯体色素2〜7、15、17〜24、27、30、34、37、40、41、43、47、52、53、56〜58、66〜70、72および73の合成)
上記の例示金属錯体1と同様にして、下記の例示金属錯体色素2〜7、15、17〜24、27、30、34、37、40、41、43、47、52、53、56〜58、66〜70、72および73を合成した。
(例示金属錯体色素23および30の合成)
NCS(イソチオシアネート基)を配位子として導入する工程において、通常N原子で配位したものが主成分となるが、温度80℃以下で実施することで、S原子で配位したものの比率を増加させることができる。これをカラムクロマトグラフィーで分離し、N原子配位したものとS原子配位したものをそれぞれ得た。これらに対し残りの工程を実施した後に、実施例記載の異性体比率になるように混合した。
(例示金属錯体色素34、37、40、41および43の合成)
本発明の色素はRuに対し配位子LA、LDのどちらから配位させて合成してもよい。LA、LDのいずれか一方が配位したRuに対し、残りの配位子LAまたはLDを配位させる際の反応温度を90℃以下で行うことで、前述したRuに対する配位子空間の立体異性体であるeまたはfに当たる異性体の比率を高めることができる。これをアルミナカラムクロマトグラフィーで分離することでe、fの関係に当たるそれぞれの構造を得た。必要に応じて残りの工程を実施した後に、実施例記載の異性体比率になるように混合した。
以下に合成した金属錯体色素のMS測定結果をまとめて下記表3に示した。
実施例1と同様にして光電変換素子の色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この結果を、下記表4にまとめた。
ここで、実験No.239では、金属錯体色素1をテトラブチルアンモニウム塩(表中ではTBA塩と記した)にした後に半導体微粒子に吸着させた。
上記表4より、異性体を含んだ本発明では、変換効率、耐久性低下率、光安定性低下率、またセル作成時の仕損じ率、色素溶液保存時の凝集物析出の全ての面で合格レベルであることがわかる。
1 導電性支持体
2 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 色素増感太陽電池を利用したシステム
M 電動モーター(扇風機)
20 色素増感太陽電池
40 光電極
41 透明電極
42 半導体電極
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
CE 対極
E 電解質
S スペーサー

Claims (33)

  1. 導電性支持体、電解質を含む感光体層、電解質を含む電荷移動体層および対極を有する光電変換素子であって、該感光体層が、1.0モル%以上の異性体を含む下記式(I)で表される金属錯体色素の1種が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
    (LA)(LD)Z 式(I)
    式(I)において、Mは金属原子を表し、Zは単座の配位子を表す。LAは下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。LDは下記式(DL−1)または(DL−2)で表される2座の配位子を表す。
    式(AL−1)において、Za、ZbおよびZcは5または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、Za、ZbおよびZcが形成する環のうち少なくとも1つは酸性基を有する。
    式(DL−1)、式(DL−2)において、Gは水素原子または置換基を表す。Eは下記式(E−1)〜(E−5)のいずれかで表される基を表す。
    式(E−1)〜(E−5)において、Rはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。mは0以上の整数を表す。ここで、*はピリジン環またはキノリン環の2位に結合する結合位置を示す。
  2. 前記異性体の含有量が、1.0〜30モル%である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記異性体の含有量が、3.0〜30モル%である請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記異性体の含有量が、5.0〜30モル%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記異性体の含有量が、5.0〜20モル%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記異性体の含有量が、21〜30モル%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記Mが、Ruである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 前記LAが、下記式(AL−2)で表される請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    式(AL−2)において、RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。a1およびa3は各々独立に、0〜4の整数を表し、a2は0〜3の整数を表す。ただし、a1〜a3の和は1以上であり、3つのピリジン環の少なくとも1つに置換したRA1〜RA3のいずれかは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩であって、該ピリジン環に置換する。
  9. 前記LAが、下記式(AL−3)で表される請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    式(AL−3)において、RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。
  10. 前記カルボキシ基を含む基が、下記式(Anc−1)〜(Anc−4)で表される請求項8または9に記載の光電変換素子。
    式(Anc−1)〜(Anc−4)において、Rx〜Rx、RyおよびRyは各々独立に、水素原子または置換基を表す。Ryは置換基を表す。b1は1〜3の整数を表し、b2およびb3は各々独立に0〜2の整数を表す。c1は0〜4の整数を表す。
  11. 前記LDが、前記式(DL−1)で表される請求項1〜10のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  12. 前記Gが、下記式(GI)、(GII)または(GIII)で表される請求項1〜11のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    式(GI)、(GII)および(GIII)において、環Aはアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、環Bはヘテロアリーレン基を表し、Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Rはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。nx、nyおよびnzは各々独立に1以上の整数を表す。
  13. 前記Gが、前記式(GI)で表される請求項12に記載の光電変換素子。
  14. 前記式(GI)で表される基が、下記式(G1−1)〜(G1−8)のいずれかで表される請求項12または13に記載の光電変換素子。
    式(G1−1)〜(G1−8)において、XおよびYは各々独立に、酸素原子、硫黄原子、NRf、Se原子、またはSiRfを表す。ここで、Rfは水素原子またはアルキル基を表す。na、nbおよびncは各々独立に、1〜3の整数を表す。maは0〜4の整数を表す。Ra、Rb、RdおよびReは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Ra’はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
  15. 前記式(G1−1)〜(G1−8)において、Ra、Rb、RdおよびReが水素原子であり、maが0であって、Rcがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基である請求項14に記載の光電変換素子。
  16. 前記式(G1−1)〜(G1−8)において、XおよびYが酸素原子または硫黄原子である請求項14または15に記載の光電変換素子。
  17. 前記式(G1−1)〜(G1−8)において、Xが硫黄原子である請求項14〜16のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  18. 前記式(GI)で表される基が、下記式(G1−9)〜(G1−11)のいずれかで表される請求項12または13に記載の光電変換素子。
    式(G1−9)〜(G1−11)において、Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Rgはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。環Cは環構成原子が炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される5〜7員環を表す。ndおよびneは各々独立に、1〜3の整数を表し、nfは1〜4の整数を表す。mbは0〜4の整数を表し、mcおよびmdは各々独立に0以上の整数を表す。mb、mcおよびmdが各々において2以上のとき、複数のRgは互いに同一でも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
  19. 前記式(GIII)で表される基が、下記式(G1−1a)〜(G1−8a)のいずれかで表される請求項12に記載の光電変換素子。
    式(G1−1a)〜(G1−8a)において、XおよびYは各々独立に、酸素原子、硫黄原子、NRf、Se原子、またはSiRfを表す。ここで、Rfは水素原子またはアルキル基を表す。nbは1〜3整数を表す。maは0〜4の整数を表す。Ra、Rb、RdおよびReは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Ra’はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
  20. 前記Rcが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアルキルアミノ基である請求項12〜19のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  21. 前記Rcが、アルキル基またはアルキルアミノ基である請求項12〜20のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  22. 前記Gが、前記式(GII)で表される基であり、Rが、アルキル基またはアルキルアミノ基である請求項12に記載の光電変換素子。
  23. 前記RcおよびRが、炭素数5〜20のアルキル基または炭素数12〜20のアルキルアミノ基である請求項12〜22のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  24. 前記式(I)で表される金属錯体色素が、下記式(II−1)〜(II−5)で表される請求項1〜23のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    式(II−1)〜(II−5)において、Gは前記式(DL−1)、(DL−2)におけるGと同義である。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。Zはイソチオシアネート基、イソセレノシアネート基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
  25. 前記式(I)で表される金属錯体色素が、下記式(III)で表される請求項1〜24のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    式(III)において、Rc’はアルキル基またはアルキルアミノ基を表す。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。
  26. 前記半導体微粒子に、さらに酸性基を1つ以上有する共吸着剤が担持されてなる請求項1〜25のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  27. 前記共吸着剤が下記式(CA)で表される請求項26に記載の光電変換素子。
    式(CA)において、RC1は酸性基を有する置換基を表す。RC2は置換基を表す。lcは0以上の整数を表す。
  28. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
  29. 下記式(I)で表され、1.0モル%以上の異性体を含む、異性体混合金属錯体色素。
    (LA)(LD)Z 式(I)
    式(I)において、Mは金属原子を表し、Zは単座の配位子を表す。LAは下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。LDは下記式(DL−1)または(DL−2)で表される2座の配位子を表す。
    式(AL−1)において、Za、ZbおよびZcは5または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、Za、ZbおよびZcが形成する環のうち少なくとも1つは酸性基を有する。
    式(DL−1)、式(DL−2)において、Gは水素原子または置換基を表す。Eは下記式(E−1)〜(E−5)のいずれかで表される基を表す。
    式(E−1)〜(E−5)において、Rはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。mは0以上の整数を表す。ここで、*はピリジン環またはキノリン環の2位に結合する結合位置を示す。
  30. 前記Gが、下記式(GI)、(GII)または(GIII)で表される請求項29に記載の異性体混合金属錯体色素。
    式(GI)、(GII)および(GIII)において、環Aはアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、環Bはヘテロアリーレン基を表し、Rcは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。Rはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基を表す。nx、nyおよびnzは各々独立に1以上の整数を表す。
  31. 前記式(I)で表される金属錯体色素が、下記式(II−1)〜(II−5)で表される請求項29または30に記載の異性体混合金属錯体色素。
    式(II−1)〜(II−5)において、Gは前記式(DL−1)、(DL−2)におけるGと同義である。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。Zはイソチオシアネート基、イソセレノシアネート基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
  32. 前記式(I)で表される金属錯体色素が、下記式(III)で表される請求項29〜31のいずれか1項に記載の異性体混合金属錯体色素。
    式(III)において、Rc’はアルキル基またはアルキルアミノ基を表す。R10は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基またはヘテロ環基を表す。RA1〜RA3は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩を表す。ただし、RA1〜RA3のいずれか1つは、カルボキシ基もしくはその塩またはカルボキシ基を含む基もしくはその塩である。
  33. 請求項29〜32のいずれか1項に記載の異性体混合金属錯体色素を溶解してなる色素溶液。
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