JP2015053149A - 光電変換素子、色素増感太陽電池および光電変換素子用逆電子移動防止剤 - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池および光電変換素子用逆電子移動防止剤 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率に優れた素子、色素増感太陽電池、光電変換素子用逆電子移動防止剤を提供する。【解決手段】導電性支持体上に、色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極をこの順で有する光電変換素子であって、導電性支持体と対極間に式(1)で表される化合物を含む光電変換素子、光電変換素子を具備する色素増感太陽電池、式(1)で表される化合物を含有する光電変換素子用逆電子移動防止剤である。(式(1)中、環Aは含窒素ヘテロアリール環を、XはN、SまたはOを、mは1以上の整数を表す。Acは酸性基を、Lは単結合または連結基を表す。Rは、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基等を表す。R1およびR2は各々独立に水素原子、置換基を、n1は0以上の整数を、n2、n3は1以上の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池および光電変換素子用逆電子移動防止剤に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。この光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。その中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループットおよびコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで色素増感太陽電池の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果である。彼らは、ポーラス酸化チタン薄膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の光電変換効率を実現した。これにより、高価な真空装置を使用しなくても製造できる色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
色素増感太陽電池に使用される色素は積極的に研究され、これまでに、N3、N719、N749、Z907、J2と呼ばれる色素(増感色素ともいう)等が開発されている。
一方、色素増感太陽電池に使用される電解質の添加剤については、従来、t−ブチルピリジンが多用されており、色素に比べると研究、報告例は多くない。例えば、特許文献1〜3が挙げられる。
特開2004−47229号公報 国際公開第2011/158922号パンフレット 特開2005−108663号公報
t−ブチルピリジンは、開放電圧を増大させる点で光電変換効率の向上に有用であるが、その一方で短絡電流を減少させることから、電圧増大による光電変換効率の向上を相殺してしまい、大幅な光電変換効率の向上は見込めない。そこで、色素増感太陽電池に使用される電解液およびその添加剤等について、光電変換効率の観点から検討したところ、特許文献1〜3に記載の電解質溶液またはその添加剤であっても、光電変換効率の向上効果が十分ではなく、改善の余地があることがわかった。
本発明は、光電変換効率に優れた光電変換素子、色素増感太陽電池、および、光電変換素子用逆電子移動防止剤を提供することを、課題とする。
本発明者らは、電解質の添加剤が光電変換効率に与える影響を検討したところ、電解質の添加剤において、含窒素ヘテロアリール環を構成する環構成ヘテロ原子と含窒素ヘテロアリール環が有する置換基とが光電変換効率の向上に重要であることがわかった。しかも、環構成へテロ原子を2つ以上有する含窒素ヘテロアリール環に特定の置換基とアミノ基とを導入すると、従来の添加剤に比べて、光電変換効率を向上できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>導電性支持体上に、色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とをこの順で有する光電変換素子であって、導電性支持体および対極の間に下記式(1)で表される化合物を含む光電変換素子。
Figure 2015053149
(式(1)中、環Aは含窒素ヘテロアリール環を表し、XはN、SまたはOを表す。mは1以上の整数を表し、mが2以上のときXはそれぞれ異なっていてもよい。Acは酸性基を表し、Lは単結合または連結基を表す。Rは、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基もしくはアルキニル基、炭素数6以上の分岐アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、炭素数6以上の分岐アルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、フッ素原子またはシアノ基を表す。分岐アルキル基、分岐アルコキシ基および分岐アルキルチオ基はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。n1は0以上の整数を表し、n2およびn3は各々独立に1以上の整数を表す。)
<2>上記化合物が下記式(2)または(3)で表される<1>に記載の光電変換素子。
Figure 2015053149
(式(2)および式(3)中、X〜Xは、各々独立に、CR(Rは水素原子または置換基を表す。)またはNを表し、X〜Xのうち少なくとも一つはNを表す。Xは、NR(Rは水素原子または置換基を表す。)、SまたはOを表す。Ac、L、R、R、R、n1、n2およびn3は式(1)のAc、L、R、R、R、n1、n2およびn3と同義である。)
<3>上記化合物が、下記式(4)〜(9)のいずれかの式で表される<1>または<2>に記載の光電変換素子。
Figure 2015053149
(式(4)〜式(9)中、Ac、L、R、R、R、n1、n2およびn3は式(1)のAc、L、R、R、R、n1、n2およびn3と同義である。)
<4>上記化合物が、上記式(9)で表される<3>に記載の光電変換素子。
<5>Rが、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である<1>〜<4>のいずれかに記載の光電変換素子。
<6>Rが、炭素数6以上の分岐アルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基である<1>〜<5>のいずれかに記載の光電変換素子。
<7>上記化合物が、少なくとも1つの酸性基を有する<1>〜<6>のいずれかに記載の光電変換素子。
<8>n1が1以上の整数であり、またはRおよびRの少なくとも一方が酸性基を有する置換基である<7>に記載の光電変換素子。
<9>酸性基が、カルボキシ基である<1>〜<8>のいずれかに記載の光電変換素子。
<10>上記化合物が、電解質中、および、半導体微粒子の表面の少なくとも一方に有する<1>〜<9>のいずれかに記載の光電変換素子。
<11><1>〜<10>のいずれかに記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
<12>下記式(1)で表される光電変換素子用逆電子移動防止剤。
Figure 2015053149
(式(1)中、環Aは含窒素ヘテロアリール環を表し、XはN、SまたはOを表す。mは1以上の整数を表し、mが2以上のときXはそれぞれ異なっていてもよい。Acは酸性基を表し、Lは単結合または連結基を表す。Rは、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基もしくはアルキニル基、炭素数6以上の分岐アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、炭素数6以上の分岐アルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、フッ素原子またはシアノ基を表す。分岐アルキル基、分岐アルコキシ基および分岐アルキルチオ基はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。n1は0以上の整数を表し、n2およびn3は各々独立に1以上の整数を表す。)
本明細書において、特に断りがない限り、炭素−炭素二重結合については、分子内にE型およびZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環、はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本発明においては、各置換基は、特に断らない限り、さらに置換基で置換されていてもよい。
本発明により、光電変換効率に優れた光電変換素子、色素増感太陽電池、および、光電変換素子用逆電子移動防止剤を提供することが可能となった。
本発明の光電変換素子の一実施態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子の第2の態様の色素増感太陽電池を模式的に示す断面図である。
<<光電変換素子および色素増感太陽電池>>
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上に、色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極(対向電極)とをこの順で有し、導電性支持体および対極の間に、後述の式(1)で表される化合物(本発明の化合物ともいう)を有している。本発明の化合物は、導電性支持体および対極の間であればいずれに存在してもよく、好ましくは電解質(電荷移動体層)中および半導体微粒子の表面の少なくとも一方に有している。
本発明の光電変換素子は、上記構成を有していれば、その他の構成は特に限定されず、光電変換素子に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子における各層は単層であっても複層であってもよく、必要により上記各層以外の層を有してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いてなる。
本発明の光電変換素子ないし色素増感太陽電池は、例えば、図1に示される実施形態とすることができる。図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、色素21により増感された半導体微粒子22を含む感光体層2、正孔輸送層である電荷移動体層3および対極4からなる。ここで、本実施形態においては、電荷移動体層3中に本発明の化合物を有していることが好ましい。また、半導体微粒子22に、色素21とともに、本発明の化合物または共吸着剤が吸着されていることが好ましい。感光体層2を設置した導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。本実施形態においては、この光電変換素子10を外部回路6で動作手段(電動モーター)Mに仕事をさせる電池用途に使用できるようにした色素増感太陽電池を利用したシステム100として示している。
感光体層2に入射した光は色素21を励起する。励起された色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。この電子移動により、色素21は酸化体となっているが、電極上の電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4、電解質が存在する電荷移動体層3を経由して、色素21の酸化体が存在する感光体層2に戻ることで太陽電池として働く。
本発明において光電変換素子もしくは色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材の作成方法については、この種のものにおける通常のものを採用すればよく、例えば米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,0843,65号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、本発明の化合物および主たる部材について概略を説明する。
< 式(1)で表される化合物 >
本発明の光電変換素子は、下記の、本発明の化合物を有している。
Figure 2015053149
式(1)中、環Aは含窒素ヘテロアリール環を表し、XはN、SまたはOを表す。mは1以上の整数を表し、mが2以上のときXはそれぞれ異なっていてもよい。
Acは酸性基を表し、Lは単結合または連結基を表す。
Rは、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基もしくはアルキニル基、炭素数6以上の分岐アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、炭素数6以上の分岐アルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、フッ素原子またはシアノ基を表す。分岐アルキル基、分岐アルコキシ基および分岐アルキルチオ基はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。
およびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。
n1は0以上の整数を表し、n2およびn3は各々独立に1以上の整数を表す。
本発明の化合物は、窒素原子と、窒素原子、硫黄原子または酸素原子の少なくとも1つのヘテロ原子とを環構成へテロ原子として有する含窒素ヘテロアリール環化合物であって、特定置換基Rおよびアミノ基NRを有している。好ましくは、酸性基Acを含む基「Ac−L」を有している。
このような本発明の化合物は、少なくとも、電解質中に含有され、または半導体微粒子の表面に吸着されているのが好ましい。これにより、光電変換効率を向上させることができる。
その理由は、まだ定かではないが、次のように推定される。
従来から多用されているt−ブチルピリジンは、半導体微粒子の表面に吸着して、半導体微粒子、すなわち感光体層に移動した電子と酸化還元対の酸化体イオン(例えばI )との再結合を抑制して光電変換素子の電圧低下を防止する効果に加え、電子供与性基の効果により、半導体微粒子のフェルミレベルを浅くすることで電圧を向上させる。一方、同時に伝導帯も浅くなることにより、色素の最低空軌道(LUMO)レベルとのエネルギー差が小さくなる。これによって、色素から半導体微粒子への電子移動が円滑に行われにくくなり、光電変換素子の電流が低下すると、考えられる。
これに対して、本発明の化合物は、環構成へテロ原子に加え、アミノ基も半導体微粒子に対する吸着基として機能することで、色素の近傍に存在して光励起された色素のカチオンを速やかに安定化できる。また、電極に吸着しているもの以外にも色素周辺に本発明の添加剤が存在することで酸化還元対の酸化体イオンが電極表面に接近し難くなる。これによって、(a)色素の励起状態から基底状態への失活、(b)酸化還元対の酸化体イオンへの逆電子移動、および、(c)半導体微粒子の伝導帯から色素の最高被占軌道(HOMO)への逆電子移動や再結合を、いずれも抑制できる。したがって、半導体微粒子に移動した電子は逆電子移動することなく、半導体微粒子内を伝導し、光電変換素子の電子移動効率が高くなるものと考えられる。この結果、本発明の化合物を含む本発明の光電変換素子は、電子移動効率の増大により電流が大きくなり、場合によっては電圧も大きくなって、光電変換効率が向上すると考えられる。
しかも、特定置換基Rにより色素近傍の溶媒を遠ざけることで、色素の光励起から半導体微粒子への電子移動時の色素電荷の変化に対する周辺溶媒分子の再配列エネルギーを小さくすることができる。これにより、電子移動時のエネルギー障壁を小さくし、電子移動が起こりやすくする。すなわち再配列エネルギーが低く、色素の電子移動が起こりやすいことで、電流が増大すると、考えられる。
まず、本発明の化合物における環Aについて説明する。
環Aは、窒素原子と、窒素原子、硫黄原子または酸素原子の少なくとも1つのヘテロ原子とを環構成へテロ原子として有する含窒素ヘテロアリール環であればよい。
環AのXは、N、SまたはOであり、NまたはSが好ましい。
環Aにおいて、mは1以上の整数を表し、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。なお、mが2以上の整数であるとき、2以上のXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
環Aは、半導体微粒子の表面に吸着した色素間に進入し、または吸着して色素のカチオンの安定化に資する点で、5員環または6員環が好ましく、5員環がより好ましい。同様の理由で、環Aは縮環していない単環であるのが好ましい。
環Aが5員環または6員環である本発明の化合物は、好ましくは、下記式(2)または(3)で表すことができる。
Figure 2015053149
式(2)および式(3)において、X〜Xは各々独立にCRまたはNを表し、X〜Xのうち少なくとも一つはNを表す。XはNR、SまたはOを表す。
式(2)および式(3)において、Ac、L、R、R、R、n1、n2およびn3は式(1)と同義である。
ここで、Rは、水素原子または置換基を表し、この置換基は特に限定されず、例えば、後述する置換基Wが挙げられる。
式(2)において、X〜Xの1つまたは2つがNであるのが好ましく、1つがNであるのが好ましい。なお、X〜XのいずれがNとなってもよい。
式(3)において、Xは、SまたはOが好ましく、Sがより好ましい。
6員環の環A、すなわち式(2)の含窒素ヘテロアリール環としては、特に限定されないが、例えば、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キナゾリン環が挙げられる。
5員環の環A、すなわち式(3)の含窒素ヘテロアリール環としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、ベンゾトリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。
これらの中でも、環Aは、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環、チアゾール環が好ましく、これらを環Aとする本発明の化合物は下記式(4)〜(9)で表すことができる。
Figure 2015053149
式(4)〜式(9)において、Ac、L、R、R、R、n1、n2およびn3は式(1)のAc、L、R、R、R、n1、n2およびn3と同義である。
環Aは、オキサゾール環、チアゾール環がより好ましく、チアゾール環がさらに好ましい。すなわち、本発明の化合物は、式(8)および(9)で表される化合物がより好ましく、式(9)で表される化合物がさらに好ましい。
式(1)〜式(9)において、「Ac−L」で表される基のAcは酸性基であり、具体的には、半導体微粒子の表面に吸着する吸着基であればよい。ここで、酸性基とは、解離性のプロトンを有する基が好ましく、具体的には、pKaが11以下であるものが好ましい。酸性基Acはプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。本発明の化合物が酸性基Acを有していると光電変換効率を上昇できる。
酸性基Acは、カルボキシ基(−COH)、−SOH、−PO、−OH、−SHまたはこれらの塩が好ましく、−COH、−OHまたはこれらの塩がさらに好ましく、−COHまたはこの塩が特に好ましい。
Lは、単結合または連結基を表す。連結基としては、環Aと酸性基Acを連結する2価の基であればよく、例えば、後述する置換基Wを2価にした基が挙げられる。例えば、アルキレン基、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基、ヘテロ芳香環基およびこれらを組み合わせた基が好ましい。Lは単結合またはアルキレン基が好ましい。なお、Lで表される連結基は置換基を有してもよく、該置換基としては後述する置換基Wが挙げられる。
式(1)〜式(9)において、特定置換基Rは、上記のいずれかの基であればよいが、光電変換効率の点で、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、または、置換基を有していてもよいアルケニル基もしくはアルキニル基が好ましい。
特定置換基Rは、電流増大による光電変換効率の向上効果が大きい点で、より好ましくは、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子で置換されたアルキル基である。
一方、電圧増大による光電変換効率の向上効果が大きい点で、より好ましくは、炭素数が6以上の分岐アルキル基である。
炭素数6以上の分岐アルキル基は、特に限定されないが、光電変換効率の向上効果により優れ、しかも有機溶媒等への溶解性にも優れる点で、炭素数6〜40が好ましく、6〜35がより好ましく、6〜30がさらに好ましい。分岐アルキル基としては、例えば、4−メチルペンチル、1−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、3-エチルヘプチル、3−デシルペンタデシル等が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されたアルキル基は、アルキル基を構成する炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されているものであれば特に限定されず、直鎖アルキル基であっても分岐アルキル基であってもよい。水素原子を置換するハロゲン原子も特に限定されず、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、光電変換効率の向上効果に優れる点で、フッ素原子が好ましい。また、ハロゲン原子で置換される水素原子数および置換位置も特に限定されず、いずれも適宜に設定される。ハロゲン原子の置換位置はアルキル基の末端であるのが好ましい。
このアルキル基は、光電変換効率の向上効果により優れ、しかも有機溶媒等への溶解性にも優れる点で、炭素数1〜40が好ましく、3〜35がより好ましく、6〜30がさらに好ましい。ハロゲン原子で置換された直鎖アルキル基として、例えば、トリフルオロメチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロ−1−ヘキシル等が挙げられる。また、ハロゲン原子で置換された分岐アルキル基として、例えば、2−フルオロ−2−プロピル等が挙げられる。
分岐アルキル基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子以外であれば特に限定されず、例えば、後述の置換基Wが挙げられる。
また、ハロゲン原子で置換されたアルキル基は、置換基を有していてもよく、該置換基として後述の置換基Wが挙げられる。
アルケニル基は、特に限定されず、直鎖アルケニル基であってもよく、分岐アルケニル基であってもよい。アルケニル基は、炭素数5〜40が好ましく、6〜35がより好ましく、8〜30がさらに好ましい。アルケニル基としては、例えば、1−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル等が挙げられる。
アルキニル基は、特に限定されず、直鎖アルキニル基であってもよく、分岐アルキニル基であってもよい。アルキニル基は、炭素数2〜40が好ましく、5〜30がより好ましく、6〜18がさらに好ましい。アルキニル基としては、例えば、エチニル、ブチニル、3,3−ジメチルブチニル、等が挙げられる。
アルケニル基及びアルキニル基がそれぞれ有していてもよい置換基は、特に限定されず、例えば、後述の置換基Wが挙げられる。
炭素数6以上の分岐アルコキシ基および炭素数6以上の分岐アルキルチオ基は、それぞれ、分岐アルキル部分が上記分岐アルキル基と同じであるのが好ましく、好ましい範囲も上記分岐アルキル基と同じである。分岐アルコキシ基および分岐アルキルチオ基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子以外であれば特に限定されず、例えば、後述の置換基Wが挙げられる。
ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基およびハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基は、それぞれ、アルキル部分が上記の、ハロゲン原子で置換されたアルキル基と同じであるのが好ましく、好ましい範囲も上記の、ハロゲン原子で置換されたアルキル基と同じである。このアルコキシ基およびアルキルチオ基が有していてもよい置換基は、特に限定されず、例えば、後述の置換基Wが挙げられる。
アミノ基NRにおけるRおよびRは、各々独立に、水素原子または置換基を表す。置換基としては、特に限定されないが、アミド基、後述する置換基W、および、酸性基を有する置換基が挙げられる。酸性基を有する置換基としては、上記酸性基Acを有する置換基であればよく、例えば、酸性基Ac、「Ac−L」で表される基、後述する置換基Wのうち酸性基を有する置換基、及び、酸性基Acで置換された置換基W等が挙げられる。RおよびRが採り得る、酸性基を有する置換基としては、特に限定されないが、例えば、−(CH)n−COOH(nは1以上の整数を表す。)、−C−COOH等が挙げられる。
およびRは、それぞれ、水素原子、アミド基、アルキル基、酸性基を有する置換基が好ましい。
本発明の化合物は、特定置換基R、アミノ基NRおよび「Ac−L」で表される基の他に、置換基を有していてもよい。このような他の置換基としては、特に限定されないが、例えば、後述する置換基Wのうち、特定置換基R、アミノ基NRおよび「Ac−L」で表される基以外の基が挙げられる。他の置換基は1つまたは複数有していてもよい。他の置換基は、特定置換基R、アミノ基NRまたは「Ac−L」で表される基と結合してこれらと共に環を形成してもよく、また他の置換基が複数あるときは互いに結合して環を形成してもよい。
式(1)〜式(9)において、n1は0以上の整数を表し、好ましくは0以上3以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数であり、さらに好ましくは1または2である。
n2は1以上の整数を表し、好ましくは1以上4以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数であり、さらに好ましくは1または2である。
n3は1以上の整数を表し、好ましくは1以上4以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数であり、さらに好ましくは1または2である。
n1、n2およびn3は、適宜に設定されるが、n1、n2およびn3の合計は1以上であるのが好ましく、2以上5以下の整数であるのがより好ましい。
本発明の化合物は、半導体微粒子の表面への吸着性の点で、少なくとも1つの酸性基を有するのが好ましい。したがって、式(1)〜式(9)において、少なくとも1つの酸性基が存在するように、アミノ基NRにおけるRおよびRの種類が選択され、または、n1およびn2が上述の範囲から選択される。例えば、n1が1以上の整数であり、または、RおよびRの少なくとも一方が酸性基を有する置換基であり、nが1以上の整数であるのが好ましい。
式(1)〜式(9)において、特定置換基R、アミノ基NRおよび「Ac−L」で表される基は、環Aを構成するいずれの環構成原子に結合していてもよい。アミノ基NRおよび「Ac−L」で表される基の結合位置は、半導体微粒子の表面への吸着性の点で、それぞれ、環Aの窒素原子に隣接する環構成原子が好ましい。特定置換基Rの結合位置は、(b)酸化体イオンとの再結合および(c)色素との再結合を抑制できる点で、便宜上、環Aの窒素原子を1位、かつアミノ基NRの結合位置を便宜上2位としたときに、4位または5位が好ましい。
本明細書において化合物(錯体、色素を含む)の表示については、当該化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Wが挙げられる。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基Wを参照するものであり、また、各々の基、例えば、アルキル基が記載されているのみの時は、この置換基Wの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
置換基Wとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル、トリフルオロメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20で、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基がより好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ等)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、2−プロピニルオキシ、4−ブチニルオキシ等)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、ヘテロ環オキシ基(例えば、イミダゾリルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、トリアジニルオキシ、プリニルオキシ)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20で、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノ、トリアジニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましく、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、4−メチルシクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましく、例えば、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリル、ジメチルフェニルシリル等)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリエチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジエチルベンジルシリルオキシ、ジメチルフェニルシリルオキシ等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボキシ基、スルホ基、ホスホニル基、ホスホリル基、ホウ酸基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはシアノ基が挙げられる。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、アリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
以下に、本発明の化合物の具体例を示すが、これによって、本発明が、これらに限定されるものではない。
Figure 2015053149
本発明の化合物は、J. Chem. Soc., 1951,p2430、Eur. J. Med. Chem., 1999,Vol.34,No.10,p883、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2011,Vol.21,No.18,p5408、J. Org. Chem., 1959,Vol.24,p187、および、J. Med. Chem., 2007,Vol.50,No.16,p3897等に記載された方法に準じた方法で合成することができる。
< 導電性支持体 >
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスもしくはプラスチックの支持体であるのが好ましい。プラスチックの支持体としては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体としては、ガラスおよびプラスチックの他、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いてもよい。導電性支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能が挙げられる。
導電膜層の厚さは0.01〜30μmが好ましく、0.03〜25μmが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。透明導電性支持体としては、ガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。金属酸化物としてはスズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープ酸化物が特に好ましい。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスもしくはプラスチックの支持体1m当たり0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
< 感光体層 >
感光体層は、目的に応じて設計され、色素が担持された半導体微粒子を有している。感光体層2中の色素21は一種類でも多種の混合でもよい。この感光体層は、好ましくは、色素とともに、本発明の化合物および共吸着剤の少なくとも一方が担持された半導体微粒子を有している。
本実施形態において、受光電極5は、導電性支持体1と感光体層2とよりなる。
− 半導体微粒子 −
半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの半導体微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、または、ルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア半導体微粒子に混合するか、または半導体電極として用いてもよい。
半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、湿式法の他、乾式法、その他の方法が挙げられる。
透明導電膜と半導体層(感光体層)の間には、電解質と電極が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。また、光散乱層を設けてもよい。光電極(受光電極)と対極の接触を防ぐために、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。半導体微粒子は多くの色素、所望により本発明の化合物等を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子の層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素等の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体微粒子層(半導体層)である感光体層の好ましい厚みは光電変換素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、焼成処理に付すことが好ましい。当該焼成条件は、例えば100〜800℃で10分〜10時間とすることができる。半導体微粒子層の成膜温度に特に制限はないが、例えば、導電性支持体がガラスであれば、60〜400℃で成膜することが好ましい。
なお、半導体微粒子の支持体1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
− 色素 −
本発明の光電変換素子(例えば光電変換素子10)および色素増感太陽電池(例えば色素増感太陽電池20)においては、色素を使用する。本発明において、色素は、光電変換素子および色素増感太陽電池における通常のものを特に限定されることなく、使用できる。
このような色素として、例えば、Ru金属錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、有機色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素が挙げられる。有機色素はシアニン色素が好ましい。
(Ru金属錯体色素)
Ru金属錯体色素は、下記式(DA)で表される色素が好ましく、また、ビピリジンまたはターピリジン骨格の配位子が配位したRu金属錯体色素が好ましく、分子内にアミノ基を有するRu金属錯体色素も好ましい。下記式(DA)で表される色素であって、ビピリジンまたはターピリジン骨格の配位子が配位したRu金属錯体色素が好ましい。
式(DA)
Ru(L1)m1(L2)m2(L3)m3・CI
式中、L1は1座の配位子を表し、L2は2座の配位子を表し、L3は3座の配位子を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。m1は0〜3の整数を表し、m2は0〜3の整数を表し、m3は0〜2の整数を表す。ただし、m1+m2×2+m3×3=6である。
L1における1座の配位子は、ハロゲンイオン、シアネートアニオン、イソシアネートアニオン、チオシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン、セレノシアネートアニオン、イソセレノシアネートアニオンが好ましく、イソシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン、イソセレノシアネートアニオンがより好ましく、イソチオシアネートアニオンが特に好ましい。
L2における2座の配位子としては、ビピリジン(特に2,2’−ビピリジン)、1,3−ジケトンが好ましく、ビピリジンがより好ましく、カルボキシ基が置換したビピリジン(特に、4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)がさらに好ましい。
L3における3座の配位子は、含窒素ヘテロアリール環の環構成窒素原子に結合する環構成炭素同士が単結合で3個の含窒素ヘテロアリール環が結合した配位子が好ましい。含窒素ヘテロアリール環としては、Rにおけるヘテロアリール基で例示した環が好ましく挙げられる。L3はなかでもターピリジン(特に、2,2’:6’,2”−ターピリジン)が好ましい。
これらの含窒素ヘテロアリール環はカルボキシ基が置換したものが好ましく、2つ以上の含窒素ヘテロアリール環にカルボキシ基が置換したものがより好ましく、3つの含窒素ヘテロアリール環にカルボキシ基が置換したものがさらに好ましい。
なかでも、4,4’,4”−トリカルボキシ−2,2’:6’,2”−ターピリジンが好ましい。
CIは、Cl、I、CFSO (TfO)、PF 、H、N(C (NBu )が挙げられ、Cl、N(C が好ましい。
このようなRu金属錯体色素としては、例えば、特表平7−500630号公報に記載のRu金属錯体色素(特に第5頁左下欄5行目〜第7頁右上欄7行目に例1〜例19で合成された色素)、特表2002−512729号公報に記載のRu金属錯体色素(特に第20頁の下から3行目〜第29頁23行目に例1〜例16で合成された色素)、特開2001−59062号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0087〜0104に記載の色素)、特開2001−6760号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0093〜0102に記載の色素)、特開2001−253894号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0009〜0010に記載の色素)、特開2003−212851号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0005に記載の色素)、国際公開第2007/91525号パンフレットに記載のRu金属錯体色素(特に、[0067]に記載の色素)、特開2001−291534号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0120〜0144に記載の色素)、特開2012−012570号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0095〜0103に記載の色素)、特開2013−084594号公報に記載のRu金属錯体色素(特に、段落番号0072〜0081などに記載の色素)、国際公開第2013/088898号パンフレットに記載のRu金属錯体色素(特に、[0286]〜[0293]に記載の色素)が挙げられる。
以下に、Ru金属錯体色素の具体例を示すが、これによって、本発明が、これらに限定されるものではない。なお、下記において、「Bu」はブチル基を示す。
以下では、一部Ru以外のOs金属錯体色素も、例示したが、Ru金属錯体色素に次いで、好ましい金属錯体色素である。
Figure 2015053149
Figure 2015053149
スクアリリウムシアニン色素としては、例えば、特開平11−214730号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0036〜0047に記載の色素)、特開2012−144688号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0039〜0046および段落番号0054〜0060に記載の色素)、特開2012−84503号公報に記載のスクアリリウムシアニン色素(特に、段落番号0066〜0076などに記載の色素)が挙げられる。
有機色素としては、例えば、特開2004−063274号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0017〜0021に記載の色素)、特開2005−123033号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0021〜0028に記載の色素)、特開2007−287694号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0091〜0096に記載の色素)、特開2008−71648号公報に記載の有機色素(特に、段落番号0030〜0034に記載の色素)、国際公開第2007/119525号パンフレットに記載の有機色素(特に、[0024]に記載の色素)が挙げられる。
ポルフィリン色素としては、例えば、Angew. Chem. Int. Ed., 49,1〜5(2010)などに記載のポルフィリン色素が挙げられる。
フタロシアニン色素としては、例えば、Angew. Chem. Int. Ed., 46,8358(2007)などに記載のフタロシアニン色素が挙げられる。
本発明においては、複数の色素を併用してもよい。併用する色素としては、上記のRu金属錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、または有機色素が挙げられる。
色素の使用量は、全体で、支持体1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。本発明で用いる色素は単独で色素増感太陽電池の増感色素として機能するものが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子における増感効果が十分に得られる。
色素が塩である場合、対イオンは特に限定されず、上記CIの他に、例えばアルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
本発明において、半導体微粒子への色素の吸着は、後述するように、色素を含有する色素溶液を用いて行うことが好ましい。例えば、支持体上に半導体微粒子層(感光体層)を形成させた半導体電極を、色素を溶解してなる色素溶液に浸漬するなどして行うことができる。
− 本発明の化合物 −
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池においては、本発明の化合物を使用し、電解質に含有させ、または、色素とともに半導体微粒子の表面に吸着させるのが好ましい。本発明においては、本発明の化合物を複数併用してもよい。本発明の化合物は上述した通りである。
半導体微粒子に本発明の化合物を吸着させる場合に、該化合物の使用量は、特に限定されない。
半導体微粒子に本発明の化合物を吸着させる場合には、半導体微粒子に色素を吸着させた後に、本発明の化合物を含む後述する表面処理液を用いて半導体微粒子の表面を処理するのが好ましい。この処理により、半導体微粒子の表面に本発明の化合物を吸着させることができる。表面処理液および半導体微粒子の表面処理方法については後述する。
− 共吸着剤 −
本発明の光電変換素子においては、共吸着剤を使用し、色素とともに半導体微粒子の表面に吸着させるのが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシ基もしくはその塩の基)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
共吸着剤としては、特開2012−012570号公報の段落番号0107に記載の化合物が好ましく、該特開2012−012570号公報の段落番号0107の記載が、そのまま本願明細書に好ましく取り込まれる。
共吸着剤は、半導体微粒子に吸着させることにより、色素の非効率な会合を抑制する効果および半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は特に限定されないが、色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルであることが上記の作用を効果的に発現させられる観点から好ましい。
< 電荷移動体層 >
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層は、受光電極と対極との間に設けられる。この電荷移動体層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層である。
− 電解質 −
電荷移動体層は電解質を有する。本実施形態において電荷移動体層は電解質からなる。
電解質の例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。効率を高めるためには液体電解質が好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合せ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合せ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましく、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせが特に好ましい。
上記コバルト錯体は、特開2013−077449号公報の段落番号0060〜0063に記載の式(A)で表される錯体が好ましく、該特開2013−077449号公報の段落番号0060〜0077の記載が、そのまま本願明細書に好ましく取り込まれる。
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合せを用いる場合、5員環または6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩をさらに併用するのが好ましい。
電解質は、酸化還元対に加えて、好ましくは本発明の化合物を有する。本発明の化合物は上述した通りである。
電解質への添加物としては、本発明の化合物のほか、従来公知のピリジン化合物又はアミノピリジン化合物、本発明の化合物以外のベンズイミダゾール化合物、本発明の化合物以外のアミノトリアゾール化合物、本発明の化合物以外のアミノチアゾール化合物、本発明の化合物以外のイミダゾール化合物、本発明の化合物以外のアミノトリアジン化合物、尿素誘導体、アミド化合物、本発明の化合物以外のピリミジン化合物および窒素を含まない複素環を加えることができる。
酸化還元対、好適に含有される本発明の化合物、場合により含有される上記添加物を溶かす有機溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。
特に、液体電解質の有機溶媒は、ニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が用いられ、ニトリル化合物が好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。
溶融塩としては、例えばヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり光電変換効率が向上する。
また、光電変換効率を向上するために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。ヨウ素の毒性軽減のために、ヨウ素とシクロデキストリンの包摂化合物の使用をしてもよく、逆に水分を常時補給する方法を用いてもよい。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
電解質として溶融塩を用いてもよく、好ましい溶融塩としては、イミダゾリウムまたはトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、オキサゾリウム系、ピリジニウム系、グアニジウム系およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらカチオン系に対して特定のアニオンと組み合わせてもよい。これらの溶融塩に対しては添加物を加えてもよい。液晶性の置換基を持っていてもよい。また、四級アンモニウム塩系の溶融塩を用いてもよい。
これら以外の溶融塩としては、例えば、ヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化してもよい。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物、分子量500〜5000の範囲のSi含有化合物、特定の酸性化合物と塩基性化合物からできる有機塩、ソルビトール誘導体、ポリビニルピリジンが挙げられる。
また、マトリックス高分子、架橋型高分子化合物またはモノマー、架橋剤、電解質および溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いてもよい。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子およびこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン系、メタクリレート・アクリレート系、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルキレングリールとデキストリンなどの包摂化合物、含酸素または含硫黄高分子を添加した系、天然高分子などが挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子などを添加してもよい。
マトリックスポリマーとして2官能以上のイソシアネートを一方の成分として、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基などの官能基と反応させた架橋ポリマーを含む系を用いても良い。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子、ポリスルホン酸またはポリカルボン酸などを2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法などを用いても良い。
上記擬固体の電解質との組み合わせで好ましく用いることができる溶媒としては、特定のリン酸エステル、エチレンカーボネートを含む混合溶媒、特定の比誘電率を持つ溶媒などが挙げられる。固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させても良く、その方法として好ましくは、導電性高分子膜、繊維状固体、フィルタなどの布状固体が挙げられる。
以上の液体電解質および擬固体電解質の代わりにp型半導体あるいはホール輸送材料などの固体電荷輸送層、例えば、CuI、CuNCSなどを用いることができる。また、Nature, vol.486,p.487,2012等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いても良い。ホール輸送層として好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシランなどの導電性高分子および2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物、トリアリールアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリフェニレン誘導体、含窒素複素環誘導体、液晶性シアノ誘導体が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度で含有するのが好ましい。好ましい濃度としては合計で0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
また、本発明の化合物は、その機能を発揮するため、ある程度の濃度で含有するのが好ましい。好ましい濃度としては、0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
< 対極 >
対極は、色素増感太陽電池(光電気化学電池)の正極として働くものであることが好ましい。対極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対極との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対極としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明は、特許第4260494号公報、特開2004−146425号公報、特開2000−340269号公報、特開2002−289274号公報、特開2004−152613号公報、特開平9−27352号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。また、特開2004−152613号公報、特開2000−90989号公報、特開2003−217688号公報、特開2002−367686号公報、特開2003−323818号公報、特開2001−43907号公報、特開2000−340269号公報、特開2005−85500号公報、特開2004−273272号公報、特開2000−323190号公報、特開2000−228234号公報、特開2001−266963号公報、特開2001−185244号公報、特表2001−525108号公報、特開2001−203377号公報、特開2000−100483号公報、特開2001−210390号公報、特開2002−280587号公報、特開2001−273937号公報、特開2000−285977号公報、特開2001−320068号公報等に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。
<<光電変換素子用逆電子移動防止剤>>
本発明の光電変換素子用逆電子移動防止剤は本発明の化合物からなり、好ましくは光電変換素子に用いられると、上述のように電圧低下を防止する効果と色素の電子移動を促進する効果を発揮する。本発明の化合物は上述した通りである。
本発明の光電変換素子用逆電子移動防止剤は、光電変換素子用の電解質組成物、または、光電変換素子の半導体微粒子もしくは感光体層の表面処理液に添加されて、例えば光電変換素子を製造するのに使用される。
<<電解質組成物および表面処理液>>
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、電解質組成物、および、半導体微粒子または感光体層の表面処理液の少なくとも一方を用いて、製造されるのが好ましい。電解質組成物および表面処理液は、本発明の化合物を光電変換素子用逆電子移動防止剤として含有する。なお、本発明の化合物は上述した通りである。
電解質組成物は、光電変換素子の電解質となる材料である。この電解質組成物は、電解質として、上記の液体電解質、ゲル電解質および溶融塩のいずれを含有してもよいが、液体電解質が好ましい。これらの電解質が有する成分および有機溶媒ならびに含有量は上述した通りである。
光電変換素子や色素増感太陽電池における電解質組成物の水分含有量の調整は、本発明の効果を効果的に奏するうえで好ましく、例えば、この電解質組成物の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することがより好ましい。
この電解質組成物は、光電変換素子の製造において、感光体層と対極の間に設けられる。例えば、液体電解質であれば感光体層と対極の間に注入または流入させることができる。
表面処理液は、本発明の化合物を含有していればよく、通常、溶媒を含有する組成物である。溶媒としては、特に限定されないが、電解質で例示したものと同じものを挙げることができる。
表面処理液が含有してもよいその他の成分として、アミノピリジン化合物などの上記添加物および共吸着剤等が挙げられる。
表面処理液中の、本発明の化合物の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.01〜1.0モル/Lが好ましく、0.05〜0.5モル/Lがより好ましい。
この表面処理液は、光電変換素子の製造において、半導体微粒子または感光体層に塗布、又は浸漬液として使用される。具体的には、色素を吸着させた半導体微粒子を有する基板を、本発明の化合物を0.05モル/Lの濃度で含有するアセトニトリル溶液に30分間浸す等の方法が挙げられる。
<<色素増感太陽電池の製造方法>>
本発明においては、本発明の化合物を含有する電解質組成物を用いて、電荷移動体層を設けるのが好ましい。該電解質組成物を用いて電荷移動体層を設ける方法は、特に限定されず、液体電解質の場合は上記方法が挙げられる。
また、本発明においては、本発明の化合物を含有する表面処理液を用いて、半導体微粒子または感光体層を表面処理するのが好ましい。該表面処理液を用いて半導体微粒子または感光体層を表面処理する方法は上述した通りである。
本発明においては、色素を含有する色素溶液を使用して色素吸着電極を製造することが好ましい。このような色素溶液には、上記色素が溶媒に溶解されてなり、必要により共吸着剤や他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特に限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール類、アミド類、ニトリル類、炭化水素類、および、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール類と、アミド類、ニトリル類または炭化水素類から選択される溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール類とアミド類、アルコール類と炭化水素類の混合溶媒、特に好ましくはアルコール類とアミド類の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましい。
ここで、色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を作成する際に、この溶液をこのまま使用できるように、色素や共吸着剤が濃度調整されているものが好ましい。本発明においては、色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。
色素溶液は、水分含有量を調整することが特に好ましく、従って、本発明においては水の含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが特に好ましい。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体電極が備える半導体微粒子表面に色素を担持させてなる色素増感太陽電池用半導体電極が好ましい。
また、上記色素溶液を用いて、半導体電極が備える半導体微粒子表面に色素を担持させることにより色素増感太陽電池を製造することが好ましい。
以下に実施例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。
実施例1
< 色素増感太陽電池の作製 >
下記のようにして、色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率の測定を行った。
下記化合物T1〜T4、T6、T8、T13、T20〜T23を用いた。これら化合物のうち市販されていないものは化合物T2の下記合成方法に準じて合成した。
Figure 2015053149
(化合物T2の合成)
下記のスキームに従って化合物T2を合成した。
Figure 2015053149
化合物T2bの合成
化合物T2a(3.5g)をジエチルエーテル(100mL)に溶解し、−10℃に冷却した。この溶液に臭素(1当量)を加えて2時間攪拌した後、室温に戻した。水を加えて分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物T2b(2.5g)を得た。
化合物T2の合成
化合物T2b(2.3g)を酢酸ナトリウム(1当量)および化合物T2c(1当量)と共にエタノール中、90℃で5時間攪拌した。その後、水と酢酸エチルを加え、分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物T2(1.0g)を得た。
化合物T2の構造はMS測定により確認した。
MS−ESI m/z= 185.1 (M+H)
色素として下記N749(Black Dye)を用いた。
Figure 2015053149
以下に示す手順により、特開2002−289274号公報に記載の図5に示されている光電極12と同様の構成を有する光電極を作製し、さらに、光電極を用いて、同公報の図3における光電極以外は色素増感太陽電池20と同様の構成を有する10×10mmのスケールの色素増感太陽電池20を作製した。具体的な構成は本願に添付の図2に示した。
本願の図2では、41が透明電極、42が半導体電極、43が透明導電膜、44が基板、45が半導体層、46が光散乱層、40が光電極、20が色素増感太陽電池、CEが対極、Eが電解質、Sがスペーサーである。
(ペーストの調製)
(ペーストA)球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm、以下、球形TiO粒子Aという)を硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト1)球形TiO粒子Aと、球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm、以下、球形TiO粒子Bという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO粒子Aの質量:TiO粒子Bの質量=30:70)を調製した。
(ペースト2)ペーストAに、棒状TiO粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子Cという)を混合し、棒状TiO粒子Cの質量:ペーストAの質量=30:70のペーストを調製した。
(光電極の作製)
ガラス基板44上にフッ素ドープされたSnO導電膜43(膜厚;500nm)を形成した透明電極41を準備した。そして、このSnO導電膜上に、上述のペースト1をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト2を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、SnO導電膜上に図2に示す半導体電極42と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;20μm、半導体層の層厚;15μm、光散乱層の層厚;5μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子Cの含有率;30質量%)を形成し、色素を含有していない光電極を作製した。
(色素吸着)
次に、上記のようにして作製した光電極に上記色素(N749)を以下のようにして吸着させた。
先ず、N,N−ジメチルホルムアミド/t−BuOH=2/1を溶媒として、これに色素を、その濃度が5×10−4mol/Lとなるように溶解し、さらに共吸着剤として、ケノデオキシコール酸とコール酸の等モル混合物を色素1モルに対して20モル加え、色素溶液を調製した。この色素溶液をカール・フィッシャー滴定により水分量を測定したところ、水は0.01質量%未満であった。次に、この溶液に、上記で作製した半導体電極を浸漬し、これにより、半導体電極42に色素が約1.5×10−7mol/cm吸着した光電極40を完成させた。
次に、対極CEとして上記の光電極40と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ;100nm)、電解質Eとして、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド(0.4M)、ヨウ素(0.1M)およびヨウ化リチウム(0.1M)を含む溶液と、上記本発明の化合物または比較化合物(濃度0.50モル/L)とをアセトニトリルに溶解して電解質組成物(液体電解質)を調製した。この電解質組成物をカール・フィッシャー滴定により水分量を測定したところ、水は0.01質量%未満であった。更に、半導体電極42の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備し、特開2002−289274号公報に記載の図3に示されているように、光電極40と対極CEとスペーサーSを介して対向させ、内部に上記電解質組成物を充填して電解質Eとし、光電極を使用した色素増感太陽電池を完成させた。
< 短絡電流JSCおよび開放電圧VOCの測定ならびに光電変換効率の評価 >
電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率を求めた。測定された短絡電流JSCおよび開放電圧VOC、ならびに、求められた光電変換効率を、下記の比較化合物TAに対し、以下の基準で評価した。
(短絡電流JSC
A:1.13倍以上
B:1.10倍以上1.13倍未満
C:1.07倍以上1.10倍未満
D:1.03倍以上1.07倍未満
E:0.99倍以上1.03倍未満
F:0.93倍以上0.99倍未満
(開放電圧VOC
AA:1.07倍以上
A:1.06倍以上1.07倍未満
B:1.05倍以上1.06倍未満
C:1.04倍以上1.05倍未満
D:0.98倍以上1.04倍未満
(光電変換効率)
A:1.20倍以上のもの
:1.18倍以上1.20倍未満
B:1.16倍以上1.18倍未満
:1.13倍以上1.16倍未満
C:1.10倍以上1.13倍未満
D:1.07倍以上1.10倍未満
E:1.03倍以上1.07倍未満
F:0.98倍以上1.03倍未満
Figure 2015053149
Figure 2015053149
比較化合物TAは従来用いられているt−ブチルピリジン(TBP、特許文献2に記載の比較例2)である。比較化合物TBは特許文献1に記載の化合物No.18である。比較化合物TCは特許文献3に記載の「2−アミノ−4−t−ブチルチアゾール」である。
上記表1から明らかなように、本発明の化合物を含む本発明の色素増感太陽電池(試料No.1〜11)は、短絡電流JSCが増大しており、光電変換効率に優れていることがわかった。
試料No.5及び6の対比から、XがOよりもSの方が高い光電変換効率が得られることがわかった。これは、HSAB(Hard and Soft Acids and Bases)則において、ソフトな酸である色素のカチオンに対して比較的ソフトな原子であるSを含んだ方が高い親和力を持つためと、考えている。
特に、環Aが式(9)で表されるチアゾール環であると、短絡電流JSCの増大量が大きく、光電変換効率に優れていることがわかった。
また、環Aが有する特定置換基Rが分岐アルキル基またはハロゲン原子が置換したアルキル基であると短絡電流JSCおよびまたは開放電圧VOCがさらに増大し、さらに優れた光電変換効率を発揮することがわかった。これは、特定置換基Rを有する本発明の化合物が、環Aによる色素のカチオン周辺に局在化することで、再配列エネルギーの低下と逆電子移動抑制効果を発揮したことによるものと考えられる。
さらに、特定置換基Rおよびアミノ基NRに加えて酸性基Acを有すると、短絡電流JSCおよび開放電圧VOCがさらに増大して、特に優れた光電変換効率を発揮することがわかった。これは、半導体微粒子の表面に吸着されて電子の逆電子移動が効果的に抑制され、光電変換効率がさらに上昇すると考えられる。
これに対して、1つの窒素原子のみを環構成原子とするピリジン環を基本骨格とする比較化合物TA(試料No.c1)および比較化合物TB(試料No.c2)は、短絡電流JSCおよび開放電圧VOCが小さく、光電変換効率も小さかった。このように、ピリジン環を基本骨格とする化合物では、特に短絡電流JSCが小さく、優れた光電変換効率が得られないことが確認された。これは、ピリジン環では、色素周辺および/または電極表面に局在化する力が弱く、また再配列エネルギーを低下させる置換基も有していないことによるものと推測される。
また、分岐アルキル基を有するアミノチアゾールであっても分岐アルキル基の炭素数が4である比較化合物TC(試料No.c3)は、短絡電流JSCおよび開放電圧VOCが小さく、光電変換効率も小さかった。
1 導電性支持体
2 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 色素増感太陽電池を利用したシステム
M 電動モーター(扇風機)
20 色素増感太陽電池
40 光電極
41 透明電極
42 半導体電極
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
CE 対極
E 電解質
S スペーサー

Claims (12)

  1. 導電性支持体上に、色素が担持された半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とをこの順で有する光電変換素子であって、前記導電性支持体および前記対極の間に下記式(1)で表される化合物を含む光電変換素子。
    Figure 2015053149
    (式(1)中、環Aは含窒素ヘテロアリール環を表し、XはN、SまたはOを表す。mは1以上の整数を表し、mが2以上のときXはそれぞれ異なっていてもよい。Acは酸性基を表し、Lは単結合または連結基を表す。Rは、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基もしくはアルキニル基、炭素数6以上の分岐アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、炭素数6以上の分岐アルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、フッ素原子またはシアノ基を表す。前記分岐アルキル基、前記分岐アルコキシ基および前記分岐アルキルチオ基はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。n1は0以上の整数を表し、n2およびn3は各々独立に1以上の整数を表す。)
  2. 前記化合物が、下記式(2)または(3)で表される請求項1に記載の光電変換素子。
    Figure 2015053149
    (式(2)および式(3)中、X〜Xは、各々独立に、CR(Rは水素原子または置換基を表す。)またはNを表し、X〜Xのうち少なくとも一つはNを表す。Xは、NR(Rは水素原子または置換基を表す。)、SまたはOを表す。Ac、L、R、R、R、n1、n2およびn3は前記式(1)のAc、L、R、R、R、n1、n2およびn3と同義である。)
  3. 前記化合物が、下記式(4)〜(9)のいずれかの式で表される請求項1または2に記載の光電変換素子。
    Figure 2015053149
    (式(4)〜式(9)中、Ac、L、R、R、R、n1、n2およびn3は前記式(1)のAc、L、R、R、R、n1、n2およびn3と同義である。)
  4. 前記化合物が、前記式(9)で表される請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 前記Rが、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記Rが、炭素数6以上の分岐アルキル基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記化合物が、少なくとも1つの酸性基を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 前記n1が1以上の整数であり、または前記RおよびRの少なくとも一方が酸性基を有する置換基である請求項7に記載の光電変換素子。
  9. 前記酸性基が、カルボキシ基である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  10. 前記化合物が、前記電解質中、および、前記半導体微粒子の表面の少なくとも一方に有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
  12. 下記式(1)で表される光電変換素子用逆電子移動防止剤。
    Figure 2015053149
    (式(1)中、環Aは含窒素ヘテロアリール環を表し、XはN、SまたはOを表す。mは1以上の整数を表し、mが2以上のときXはそれぞれ異なっていてもよい。Acは酸性基を表し、Lは単結合または連結基を表す。Rは、炭素数6以上の分岐アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基もしくはアルキニル基、炭素数6以上の分岐アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、炭素数6以上の分岐アルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、フッ素原子またはシアノ基を表す。前記分岐アルキル基、前記分岐アルコキシ基および前記分岐アルキルチオ基はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。n1は0以上の整数を表し、n2およびn3は各々独立に1以上の整数を表す。)
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