JP2014208637A - 筋肉増強剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、安全であり、且つ効率的に筋肉量を増加又は維持することのできる剤及び組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、乳酸及び/又はその塩を有効成分として含有してなる筋肉増強剤、並びに乳酸及び/又はその塩を有効成分として含有してなる、筋肉増強作用を有する組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、筋肉増強剤に関し、より詳細には、乳酸及び/又はその塩を有効成分として含有してなる筋肉増強剤に関する。
定期的に運動を行うことが健康を維持するために重要であることは広く認識されている。しかし、定期的に運動を実施するスポーツ人口の割合は、全国の人口から見れば未だ低いレベルにとどまっており、運動が不足しがちな成人においては、加齢による影響と相俟って、筋肉量の顕著な減少が見受けられる。筋肉量の減衰は、日常生活におけるエネルギー代謝量を減少させ、生活習慣病の原因となるばかりでなく、日常生活における思わぬけがの原因ともなりうる。
手術後や病気療養などで長期の安静が必要な場合には、急激な筋萎縮や筋量減少が起きることがあり、治癒後の日常生活への早期復帰の妨げとなる。また、高齢者は一般に筋肉量が少なく、安全に生活するために筋量低下の抑制が望まれる場合がある。さらに、スポーツ選手は必要な筋肉の増強のために、効果的な栄養補給を心掛け、サプリメントを使用する場合もある。
筋肉増強剤としては、一般にステロイド剤や成長ホルモンが使用されることが知られており、例えば、シピオン酸テストステロンやメチルテストステロン等のアナボリックステロイド(蛋白同化ステロイド)が使用されている。しかしながら、そのような筋肉増強剤は筋肉以外の部分に作用するおそれもあり、血圧・コレステロール値の上昇や肝障害等の副作用の問題も同時に有している。そのため、特に安全性に焦点が当てられた筋肉増強剤についても多くの研究開発が行われており、例えば筋肉の材料となり得るタンパク質及びアミノ酸の利用や、植物抽出物の利用が報告されている(特許文献1〜3)。
一方、乳酸は、急激な運動(無酸素運動)を行った際、体内においてグルコースから一過性にATPを取得するために乳酸代謝される結果として合成される物質である。安静時の乳酸の血中濃度は0.5〜2.0mM程度であるが、運動の結果として生じる乳酸の血中濃度は4〜5mM程度になる。また、吐き気を催すほどの極めて激しい運動をした場合は、乳酸の血中濃度は20mM程度まで上昇することが知られている。
体内で合成された乳酸は、血液循環によって肝臓に運搬され、乳酸デヒドロゲナーゼによってピルビン酸に変換され、その後、糖新生によってグルコースが再生される。この一連の回路は、乳酸回路又はコリ回路と言われる。酸素供給不足を伴う運動時、乳酸の代謝除去を乳酸蓄積が上回る限界点があり、血中乳酸濃度が急速に増加を開始する時点を乳酸蓄積閾値と呼んでいる。有酸素運動のトレーニングでは、この乳酸蓄積閾値を酸素供給の指標として利用し、運動強度の設定に利用することがある。
乳酸は、このように体内で合成されている一方で、一般の食品にも含まれており、とりわけ発酵食品には多く含まれていることが知られている。そのような発酵食品としては、ヨーグルトや漬物などが挙げられる。また、飲料中に含まれることもあり、飲料への酸味付与物質として使用されることが開示されている(特許文献4〜6)。しかしながら、乳酸摂取によって筋肉増強効果が得られることは知られておらず、乳酸が筋肉増強剤として利用されることはこれまで報告されていない。むしろ、乳酸は運動によって合成されて体内に蓄積されることから、一般に疲労原因物質であると理解されており、乳酸の体内濃度を下げることが疲労回復や筋肉回復に有効であると考えられている。
特開2004−292325号公報 特開2010−235542号公報 特表2010−505784号公報 特開2011−254731号公報 特表2010−521163号公報 特表2011−521167号公報
継続的な運動を必要とせずとも筋肉量を増大又は維持することができ、特に、高齢者や療養中の患者を含めて幅広い対象に利用することができる剤は、極めて価値の高い発明であるといえる。そのため、本発明の目的は、安全であり、且つ効率的に筋肉量を増大又は維持することのできる剤及び組成物を提供することにある。
課題を解決しようとする手段
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに乳酸及び/又はその塩に筋肉増強作用があることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、さらに研究を重ねることによって本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に関する。
〔1〕乳酸及び/又はその塩を有効成分として含有してなる、筋肉増強剤。
〔2〕カフェインをさらに含有する、〔1〕に記載の剤。
〔3〕乳酸及び/又はその塩とカフェインとの含有比が、重量比として(ただし、乳酸塩の重量においては、乳酸としての重量に換算された値が用いられる)、0.9:1〜1000:1である、〔2〕に記載の剤。
〔4〕乳酸及び/又はその塩を有効成分として含有してなる、筋肉増強作用を有する組成物。
〔5〕カフェインをさらに含有する、〔4〕に記載の組成物。
〔6〕乳酸及び/又はその塩とカフェインとの含有比が、重量比として(ただし、乳酸塩の重量においては、乳酸としての重量に換算された値が用いられる)、0.9:1〜1000:1である、〔5〕に記載の組成物。
本発明によれば、効率的に筋肉量を増大又は維持することのできる剤及び組成物を提供することができる。また、本発明で用いられる乳酸及び/又はその塩は、体内で合成される物質であるばかりでなく、国内では食品添加物に指定されており、飲食品の酸味料やpH調整剤としても使用可能であることから、本発明の剤及び組成物は、ヒト等の動物に対して十分な安全性を有しているといえる。
図1は、前頸骨筋における筋肉増強効果を示すグラフである。グラフの縦軸は、運動群において重量測定された筋肉量を100%としたときの割合(%)を示す。横軸は、その他の群(Lac+Caf:運動+LC群、Lac:運動+L群、Caf:運動+C群)を示す。 図2は、長趾伸筋(長指屈筋)における筋肉増強効果を示すグラフである。グラフの縦軸は、運動群において重量測定された筋肉量を100%としたときの割合(%)を示す。横軸は、その他の群(Lac+Caf:運動+LC群、Lac:運動+L群、Caf:運動+C群)を示す。 図3は、ヒラメ筋における筋肉増強効果を示すグラフである。グラフの縦軸は、運動群において重量測定された筋肉量を100%としたときの割合(%)を示す。横軸は、その他の群(Lac+Caf:運動+LC群、Lac:運動+L群、Caf:運動+C群)を示す。 図4は、腓腹筋における筋肉増強効果を示すグラフである。グラフの縦軸は、運動群において重量測定された筋肉量を100%としたときの割合(%)を示す。横軸は、その他の群(Lac+Caf:運動+LC群、Lac:運動+L群、Caf:運動+C群)を示す。 図5は、足底屈筋における筋肉増強効果を示すグラフである。グラフの縦軸は、運動群において重量測定された筋肉量を100%としたときの割合(%)を示す。横軸は、その他の群(Lac+Caf:運動+LC群、Lac:運動+L群、Caf:運動+C群)を示す。 図6は、用量設定試験1の結果を示すグラフである。グラフの縦軸は、ラット体重における筋肉重量の割合を示す。横軸は、試験したラットの群を示す。 図7は、用量設定試験2の結果を示すグラフである。グラフの縦軸は、ラット体重における筋肉重量の割合を示す。横軸は、試験したラットの群を示す。 図8は、配合割合検討1の結果を示すグラフである。グラフの縦軸は、ラット体重における筋肉重量の割合を示す。横軸は、試験したラットの群を示す。 図9は、配合割合検討2の結果を示すグラフである。グラフの縦軸は、ラット体重における筋肉重量の割合を示す。横軸は、試験したラットの群を示す。 図10は、廃用性筋萎縮に対する乳酸及びカフェインの効果を示すグラフである。グラフの縦軸は、非固定筋重量に対する固定筋重量の割合(%)を示す。横軸は、試験した各筋肉の種類を示す。
本発明者は、乳酸の生理機能を研究する過程において、乳酸をモデル動物に投与した場合に、驚くべきことに、乳酸が動物の筋肉を増強する作用を有することを見出した。すなわち、この知見に基づいて、本発明は、一つの態様として、乳酸及び/又はその塩を有効成分として含有してなる筋肉増強剤を提供する(以下、「本発明の剤」と称する)。
本発明において用いられる乳酸とは、化学式CH−CH(OH)−COOHで表される化合物である。乳酸は、D体(D−乳酸)、L体(L−乳酸)及びDL体(DL−乳酸)のいずれもが使用可能であるが、本発明では、好ましくはL体及びDL体、より好ましくはL体が使用される。尚、D体のCAS登録番号は79−33−4であり、L体のCAS登録番号は10326−41−7であり、DL体のCAS登録番号は598−82−3又は50−21−5である。
また、乳酸の塩としては、特に制限されないが、たとえば、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩(具体的には、乳酸ナトリウム、乳酸カリウムなど)、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩(具体的には、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウムなど)、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛、乳酸マンガン及び乳酸鉄などを挙げることができる。本発明における乳酸の塩は、好ましくは乳酸ナトリウム、乳酸カルシウムである。尚、本発明において乳酸の塩は水和物であってもよい。
本発明において用いられる乳酸及びその塩は、それらの入手方法については特に限定されず、動物や植物に由来する天然のもの、或いは化学合成法や発酵法などにより得られるもののいずれであってもよい。得られる乳酸及びその塩の純度及び製造コスト等に基づき、好適な乳酸及びその塩の製造方法を適宜選択することができる。本発明においては、市販されている乳酸及びその塩を使用することができる。そのような市販品としては、例えば、株式会社武蔵野化学研究所、扶桑化学工業株式会社、株式会社内藤商店、和光純薬工業株式会社等で製造又は販売されている商品が挙げられる。また、本発明では、発酵法を利用して細菌(乳酸菌等)を培養しながら得られた乳酸又は乳酸を含む組成物(飲食品等)をそのまま、或いは加工して使用することもできる。
生体内において覚醒作用や興奮作用等の生理的機能を発揮する物質としてカフェインが存在する。カフェインによる筋肉増強効果は明らかではないが、本発明者は、乳酸の生理的機能に対する効果を研究する過程においてカフェインとの併用を試みたところ、驚くべきことに乳酸の筋肉増強効果が顕著に向上することを見出した。すなわち、この知見に基づいて、本発明の剤は、上記乳酸に加えてカフェインをさらに含有することができる。
カフェインは、プリン環を有するプリンアルカロイドの一種であり、コーヒー豆、緑茶、紅茶などに含まれる成分である。カフェインのIUPAC名は、1,3,7−トリメチルキサンチンであり、そのCAS登録番号は58−08−2である。
本発明におけるカフェインには、無水物(「無水カフェイン」とも称される)及び水和物(例えば、一水和物)の両方の態様が包含される。本発明ではいずれの態様も使用することができるが、好ましくは無水物が使用される。
本発明において用いられるカフェインは、特に限定されず、例えば、化学合成などによって得られる結晶物であってもよく、或いはカフェインを含有する植物抽出物をそのまま、又は濃縮若しくは精製したもの(即ち、カフェインを含む植物抽出物からカフェイン以外の成分を選択的に除去してカフェインの含有率を高めたもの)であってもよい。得られるカフェインの純度及び製造コスト等に基づき、好適なカフェインの製造方法を適宜選択することができる。カフェインを含む植物抽出物は、特に限定されないが、例えば、コーヒー豆、コーラの実、茶葉、カカオ等から水(又は熱水)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル等の溶媒で自体公知の方法を用いて抽出することにより製造される。
本発明においては、市販されているカフェインを使用することができる。そのような市販品としては、例えば、白鳥製薬株式会社、和光純薬工業株式会社等で製造又は販売されている商品が挙げられる。
本発明の剤における乳酸及び/又はその塩とカフェインとの含有比(乳酸及び/又はその塩:カフェイン)は、重量比として、通常0.9:1〜1000:1である。また、上記含有比は、好ましくは2:1〜500:1であり、より好ましくは4:1〜140:1であり、さらに好ましくは4:1〜56:1である。両者の比が上記範囲内であることにより、効率的に筋肉増強作用を発揮することが可能となる。尚、乳酸の塩を用いる場合は、乳酸の遊離体(フリー体)に換算した上で上記重量比を算出するものとする。本発明では、このように換算された重量が「乳酸としての重量に換算された値」として取り扱われる。また、各有効成分が水和物を形成している場合は、水分子を除いた遊離体(無水物)に換算した上で上記重量比を算出するものとする。
本発明において、「筋肉増強剤」とは、動物の筋肉を増強するために使用される剤を意味する。また、本発明における筋肉の増強は、結果的に筋肉が増強される限り特に限定されるわけではないが、主に筋肉量の増加に基づいて筋肉が増強されることを意味する。そのため、本発明の剤は筋肉増加剤と称することもできる。本発明の筋肉増強剤は、筋肉を増強するため、又は筋肉量を増加するために使用されることは勿論であるが、その目的のみならず、筋肉量維持の観点から、筋肉の減衰を抑制(防止)するため、又は筋肉量の低減を抑制(防止)するためにも使用されることができる。また、本発明の筋肉増強剤は、筋肉の萎縮(例えば、廃用性筋萎縮等)等により減少又は減衰した筋肉(筋肉量、筋力等)を回復させるためにも使用されることができる。
本発明で対象とされる筋肉は、特に限定されないが、主に骨格筋(随意筋)である。本発明における筋肉は、頭部から下肢までの全身に及ぶことができる(具体的には、頭部、頸部、胸部、腹部、背部、上肢、下肢)。各部における筋肉の中から、本発明における筋肉として、例えば抗重力筋(脊柱起立筋、腹直筋、大臀筋、大腿四頭筋等)を挙げることができる。本発明においては、特に限定されないが、下肢の筋肉が好ましい。下肢の筋肉としては、下肢帯筋、大腿筋、下腿筋、足筋等が挙げられるが、これらの中では下腿筋が好ましい。下腿筋としては、下腿伸筋群の筋肉、腓骨筋、下腿屈筋群の筋肉等が挙げられるが、これらの中では、下腿伸筋群の筋肉及び下腿屈筋群の筋肉が好ましい。下腿伸筋群の筋肉としては、前頸骨筋、長趾伸筋(長指伸筋)、第三腓骨筋、長母趾伸筋等が挙げられる。下腿屈筋群の筋肉としては、足底筋(足底屈筋)、膝窩筋、下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋等)、長趾屈筋、後頸屈筋、長母趾屈筋等が挙げられる。
本発明の剤は、筋肉増強作用を通じて以下の用途にも有用である:骨折関節損傷、肉離れ、捻挫等の負傷時のリハビリテーション用;加齢による(高齢者の)筋力低下の改善用;加齢による(高齢者の)筋肉量減少の改善用;寝たきり状態の改善用;運動選手の筋肉増強用など。また、本発明の剤は、筋力低下又は筋肉量減少に関連する疾患(例えば、筋肉減少症)の改善用として使用することもできる。尚、本発明において「改善」とは、現在の状態をより良い状態にすることと現在の状態よりも悪い状態になることを防ぐこととの両方の概念を包含することを意味し、「治療又は予防」と読み替えてもよい。
本発明の剤は、医薬及び食品などとして有用であり、その適用対象は哺乳動物であり得る。このような哺乳動物としては、例えば、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー)、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、モルモット)、ペット(例、イヌ、ネコ、ウサギ)、使役動物又は家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ)が挙げられるが、本発明ではヒトが好ましい。尚、ヒト以外の哺乳動物に適用する場合、本発明の剤の投与量(摂取量)は、動物の体重又は大きさに応じて適宜加減すればよい。
本発明はまた、更なる一つの態様として、乳酸及び/又はその塩を含有してなる組成物を提供する(以下、「本発明の組成物」と称する)。本発明の組成物は、上記の本発明の剤により発揮される効果をすべて有することができる。すなわち、本発明の組成物は、筋肉増強作用を有することができる。ここで、本発明の組成物における筋肉の増強は、主に筋肉量の増加に基づいており、本発明の組成物は筋肉増加作用も合わせて有することが意図される。また、本発明の組成物は、筋肉を増強するため、又は筋肉量を増加するために使用されることは勿論であるが、その目的のみならず、筋肉の減衰を抑制(防止)するため、又は筋肉量の低減を抑制(防止)するためにも使用されることができる。また、本発明の組成物は、筋肉の萎縮(例えば、廃用性筋萎縮等)等により減少又は減衰した筋肉(筋肉量、筋力等)を回復させるためにも使用されることができる。尚、本発明の組成物は、本発明の剤を含有しているということもできる。
本発明の組成物が対象とする筋肉は、本発明の剤と同様に、特に限定されないが、主に骨格筋(随意筋)である。その対象とされる筋肉は、頭部から下肢までの全身に及ぶことができる(具体的には、頭部、頸部、胸部、腹部、背部、上肢、下肢)。各部における筋肉の中から、本発明における筋肉として、例えば抗重力筋(脊柱起立筋、腹直筋、大臀筋、大腿四頭筋等)を挙げることができる。本発明においては、特に限定されないが、下肢の筋肉が好ましい。下肢の筋肉としては、下肢帯筋、大腿筋、下腿筋、足筋等が挙げられるが、これらの中では下腿筋が好ましい。下腿筋としては、下腿伸筋群の筋肉、腓骨筋、下腿屈筋群の筋肉等が挙げられるが、これらの中では、下腿伸筋群の筋肉及び下腿屈筋群の筋肉が好ましい。下腿伸筋群の筋肉としては、前頸骨筋、長趾伸筋(長指伸筋)、第三腓骨筋、長母趾伸筋等が挙げられる。下腿屈筋群の筋肉としては、足底筋(足底屈筋)、膝窩筋、下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋等)、長趾屈筋、後頸屈筋、長母趾屈筋等が挙げられる。
本発明の組成物は、担体を含有することができる。当該担体としては、例えば、薬学的に許容される担体、及び飲食品に許容される担体(飲食品の分野において通常使用される担体)等が使用される。本発明の組成物に含まれる担体は、組成物の形態により適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶剤、安定化剤、溶解補助剤、酸化防止剤、着色剤、着香剤、甘味剤等の添加剤が挙げられる。
賦形剤としては、糖類(白糖、乳糖、ブドウ糖、マンニトール等)、デンプン(コーンスターチ等)、結晶セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどが、結合剤としては、α化デンプン、ゼラチン、トラガントガム、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油などが、崩壊剤としては、デンプン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、寒天、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、デキストリンなどが、溶剤としては、水、エタノール、グリセロール、生理食塩水、大豆油などが、安定化剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、プロピレングルコールなどが、溶解補助剤としては、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸などが、酸化防止剤としては、アスコルビン酸、トコフェロール、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、クエン酸などが、着色剤、着香剤、甘味剤としては、医薬及び食品分野において通常添加することが許容されているものがそれぞれ挙げられる。
本発明の組成物は、本発明の剤の場合と同様に、カフェインをさらに含有することができ、そして本発明の組成物における乳酸及び/又はその塩とカフェインとの含有比(乳酸及び/又はその塩:カフェイン)もまた、本発明の剤の場合と同様に、重量比として、通常0.9:1〜1000:1、好ましくは2:1〜500:1であり、より好ましくは4:1〜140:1であり、さらに好ましくは4:1〜56:1である。両者の比が上記範囲内であることにより、効率的に筋肉増強作用を発揮することが可能となる。尚、乳酸の塩を用いる場合は、乳酸の遊離体(フリー体)に換算した上で上記重量比を算出するものとする。本発明では、このように換算された重量が「乳酸としての重量に換算された値」として取り扱われる。また、各有効成分が水和物を形成している場合は、水分子を除いた遊離体(無水物)に換算した上で上記重量比を算出するものとする。
上述した乳酸、乳酸の塩及びカフェインは、単一の組成物に同時に調製されていてもよく、或いはそれぞれ別個の組成物に調製されていてもよい。別個の組成物とする場合には、各組成物を併用する態様で用いられる。本発明では、投与又は摂取の簡便性から、乳酸及び/又はその塩とカフェインとは単一の組成物に調製して使用することが好ましい。
本発明の組成物における乳酸及び/又はその塩の含有量は、本発明の組成物の全重量に対し、通常0.10〜99.99重量%であり、好ましくは0.60〜99.90重量%であり、より好ましくは1.00〜99.90重量%である。また、本発明の組成物におけるカフェインの含有量は、本発明の組成物の全重量に対し、通常0.01〜33.33重量%であり、好ましくは0.02〜33.30重量%であり、より好ましくは0.04〜33.30重量%である。上記重量比と同様に、乳酸の塩を用いる場合は、乳酸の遊離体(フリー体)に換算した上で上記含有量を算出し、各有効成分が水和物を形成している場合は、水分子を除いた遊離体(無水物)に換算した上で上記含有量を算出するものとする。上記の含有量範囲は、乳酸及び/又はその塩及びカフェインをそれぞれ別個の組成物に調製した場合も採用されることができる。
本発明の組成物は、医薬(即ち、医薬組成物)として使用することができる。この場合、本発明の医薬組成物は、筋力低下又は筋肉量減少に関連する疾患の予防又は治療薬として取り扱うことが可能であり、かかる疾患の具体例は上述したとおりである。
本発明の医薬組成物の投与方法としては、特に限定されるものではなく、一般に経口投与による投与方法が挙げられるが、対象患者の状態、重症度等に応じて、非経口投与(血管内(静脈内、動脈内)投与、皮下投与、経皮投与、直腸内投与等)を適宜選択してもよい。有効成分である乳酸及び/又はその塩及びカフェインはいずれも飲食可能であることから、本発明では経口投与を採用することが好ましい。
本発明の医薬組成物の形態は、特に限定されず、投与方法に適した形態にすることができる。経口投与に適した形態としては、例えば、錠剤、ロゼンジ、硬質又は軟質カプセル、水性又は油性懸濁液、乳液、分散性粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシルなどが挙げられる。非経口投与に適した形態としては、例えば、非経口注射に適した形態として、静脈内、皮下、筋肉内、血管内又は注入投与のための滅菌溶液、懸濁液、乳液などが、経皮投与に適した形態として、クリーム、軟膏、ゲル、水性又は油性の液剤(懸濁液を含む)などが挙げられる。
本発明の組成物はまた、飲食品(即ち、飲食品組成物)として使用することもできる。この場合、本発明の飲食品組成物は、上述した担体等を用いて常法により調製することができる。
本発明における飲食品は、飲食品全般を意味するが、いわゆる健康食品を含む一般食品の他、消費者庁に規定されている特別用途食品(特定保健用食品、病者用食品、えん下困難者用食品など)や栄養機能食品をも含むものであり、さらにサプリメント、飼料等も本発明の飲食品に包含される。
本発明の飲食品組成物は、その形態は特に限定されず、細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤(タブレット)(コーティング錠、糖衣錠を含む)、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、飲料、ドリンク剤、液剤(シロップ剤、乳剤、懸濁剤を含む)、粉末食品、ゼリー、飴等の形態とすることができる。
本発明の剤及び組成物の投与量(摂取量)は、特に限定されず、体内において筋肉増強作用が発現することができる有効量の範囲内であればよく、対象の個人差、症状、投与方法等に応じて適宜設定することができる。例えば、上記投与量(摂取量)は、乳酸の重量として、体重60kgの成人1日あたり40〜10,000mgであり、好ましくは100〜5,000mgであり、より好ましくは500〜3,500mgである。また、上記投与量(摂取量)は、カフェインの重量として、例えば、体重60kgの成人1日あたり10〜1000mgであり、好ましくは10〜500mgであり、より好ましくは15〜200mgである。上記1日あたりの投与量(摂取量)は、一度にもしくは数回(例えば、2、3回)に分けて投与(摂取)することができる。本発明の剤及び組成物の投与(摂取)は、食前、食後及び食間を問わず、またその期間は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されない。以下、本明細書において用語「投与」が使用される場合は、該用語は「摂取」の概念も包含することを意味する。
上述したとおり、乳酸及び/又はその塩及びカフェインは別個の組成物に調製することができ、その場合、本発明において両組成物は併用されることができる。乳酸及び/又はその塩及びカフェインは同時に投与されてもよく、或いはいずれかの順序で逐次的に投与されることもできる。
本発明の剤及び組成物を使用する場合はまた、筋肉増強作用を有する既存の成分と併用することも可能である。そのような場合、本発明の剤及び組成物と上記既存の成分とを投与する順序は、同時又は別々であってもよい。別々の場合、本発明の剤及び組成物の投与は、上記既存の成分の前又は後のいずれでもよい。
上記既存の成分としては、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、グルタミン酸等のアミノ酸、ペプチド、成長ホルモン、加味四物湯等の漢方、サラシア等の植物若しくはその抽出物又はこれらの組み合わせ等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施例1.動物試験における乳酸及びカフェインの効果
1.試験材料および方法
1.1.被験物質及び媒体
1.1.1.被験物質
乳酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)及びカフェイン(和光純薬工業株式会社製)を使用した。入手後は、いずれも試験施設の被験物質保管室の保管庫内に室温(設定温度:23℃、許容範囲:18.0〜28.0℃)の条件下で保管した。
1.1.2.媒体
注射用水(株式会社大塚製薬工場製)を使用した。入手後は、試験施設の被験物質保管室内に室温(設定温度:23℃、実測値:18.0〜28.0℃)の条件下で保管した。
1.2.投与検体
乳酸ナトリウム及びカフェインの必要量を秤量後、注射用水を用いて、それぞれ最終濃度が200mg/mL及び7.2mg/mLとなるように混合して溶解した(混合したものを被験物質LCとした)。
1.3.試験系
1.3.1.試験動物および飼育条件
試験には、薬効薬理試験に一般的に用いられている動物種で、その系統維持が明らかな雄性F344ラット(SPF、日本エスエルシー株式会社)を使用した。
動物は、設定温度:23℃、明暗各12時間(照明:午前8時〜午後8時)、に設定された動物飼養施設で飼育した。ケージ及び給餌器の交換は1週間に1回以上行った。
飼料は、製造後5ヵ月以内の固形高脂肪飼料(HFD−60、オリエンタル酵母工業株式会社)を給餌器に入れて自由に摂取させた。
1.3.2.群分け
5週齢のラットに対し、6週間、高脂肪食HFD−60を自由摂取させた。11週齢の時点で、ラットをランダムに運動群(n=9)、運動+L群(n=9)、運動+C群(n=9)、運動+LC群(n=9)に分類した。
1.3.3.個体識別法及びケージラベル
動物は、入手日に油性インクを用いた尾への記入法及び油性インクを用いて四肢への色素塗布法を併用して識別した。群分け後は、油性インクを用いて尾への動物番号(下3桁)の記入により識別した。各ケージには、予備飼育期間中は試験番号、入手年月日、予備飼育動物番号を記入したラベルを、群分け後は、試験番号、群名称及び動物番号を記入し、群ごとに色分けしたラベルを取り付けた。
1.3.4.運動負荷
運動負荷は自発性走運動を週3回、2日に1回の頻度で行った。自発性走運動は回転運動機(Lafayette Instrument、型番80859)を用いた。
1.3.5.投与
投与は、試験施設で用いている通常の方法に従って、ラット用金属製胃ゾンデを取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒(テルモ株式会社製)を用いて強制的に経口投与した。投与操作時には、投与検体を転倒混和により撹拌しながら注射筒に必要量を吸引した。
自発性走運動終了後30分以内に(午前10時から)、投与日に最も近い測定日の体重値より投与液量を5mL/kgで算出し、1日1回、5週間投与した。
1.3.6.群構成
1.4.試験方法
1.4.1.一般状態
一般状態及び死亡の有無を1日1回暗期(投与日については投与前)に観察した。
1.4.2.体重測定
1週間に1回投与前及び剖検日に測定した。
1.4.3.摂餌量の測定
1週間に1回投与前に測定した。
1.4.4.剖検
投与してから35日目に4%ペントバルビタールナトリウム麻酔下で翼付静注針を用いて腹部大動脈から採血を行った。そのまま麻酔下で骨格筋(腓腹筋、ヒラメ筋、前頸骨筋、長趾伸筋、足底屈筋)を摘出した。そして、動物をペントバルビタールナトリウムの過剰投与により安楽死させた後に、脂肪(副精巣周囲脂肪及び皮下脂肪)及び心臓、肝臓、副腎、脳、を摘出した。また、副腎、脂肪及び筋肉は重量を測定した。
採取した血液は遠心機を用いて遠心分離[設定温度:4℃、3000rpm(2150×g)、15分間]した。得られた血清は、委託者送付用にチューブに分取し、超低温フリーザーに凍結保管した。
筋肉は左右別々に重量を測定し、右の筋肉は液体窒素で冷やしたイソペンタンを用いて凍結保存(−80℃)した。摘出した右の筋肉以外の臓器(左の筋肉も含む)は液体窒素を介して瞬間凍結させてから凍結保存(−80℃)した。
2.結果
重量測定を行った腓腹筋、ヒラメ筋、前頸骨筋、長趾伸筋(長指屈筋)及び足底屈筋について、運動群の各筋肉量を100%として、それに対する運動+L群、運動+C群及び運動+LC群の各筋肉量の割合を求めた。尚、測定された筋肉重量(mg)はラット個体の体重(g)で除し、個体間の体重差の影響を無くすようにした。
その結果、運動+L群では、前頸骨筋、長趾伸筋及びヒラメ筋において筋肉増強効果が見られた。一方、運動+C群では、いずれの筋肉においても筋肉増強効果は見られなかった。これらの結果に対し、運動+LC群では、全ての筋肉において著しい筋肉増強効果が見られ、その効果は運動+L群で得られた結果をさらに上回るものであった。
実施例2.乳酸及びカフェインの用量及び配合割合検討
(1)用量設定試験1
[被験動物]
5週齢のSlc:SDラット(SPF)を使用した。
[被験試料]
下記の試料を、水を用いて調製した(A群は水のみ)。尚、表中の「L:C」は乳酸とカフェインとの比を示している(以下に記載のL:Cも同様である)。
[方法]
ラットを飼料CE−2で7日間馴化させた後、ラットの体重に基づいて群分けを行った(各群:n=6)。各ラットに対して経口投与(強制経口投与:0.01mL/g/day)を2日間実施し、翌日剖検を行った。剖検は、麻酔下で腹腔大動脈から採血した後、下肢の筋肉を摘出して行った。対象とする筋肉は実施例1の結果に基づいてヒラメ筋とし、ヒラメ筋の重量を測定してラット体重における割合を求めた。
[結果]
図6に示されるように、B群において筋肉量増加(筋肉増強)の傾向が確認された。また、B2群においてもA群(コントロール)よりも筋肉量が増加していた。
以上の結果より、乳酸Na及びカフェインは、乳酸Na:35.14mg/ml以上、カフェイン:1.152mg/ml以上の濃度において筋肉を増強することが示唆された。
(2)用量設定試験2
下記の被験試料を使用した以外は全て上記用量設定試験1と同一の内容で、用量設定試験2を実施した。
[被験試料]
下記の試料を、水を用いて調製した(A群は水のみ)。
[結果]
図7に示されるように、G群及びG2群のいずれにおいてもA群(コントロール)より筋肉量が増加していた。以上の結果より、乳酸Na:35.14mg/ml以上の濃度において筋肉を増強することが示唆された。
(3)配合割合検討1
[被験動物]
5週齢のSlc:SDラット(SPF)を使用した。
[被験試料]
下記の試料を、水を用いて調製した(A群は水のみ)。
[方法]
ラットを飼料CE−2で7日間馴化させた後、ラットの体重に基づいて群分けを行った(各群:n=6)。各ラットに対して経口投与(強制経口投与:0.01mL/g/day)を2日間実施し、翌日剖検を行った。剖検は、麻酔下で腹腔大動脈から採血した後、下肢の筋肉を摘出して行った。対象とする筋肉は実施例1の結果に基づいてヒラメ筋とし、ヒラメ筋の重量を測定してラット体重における割合を求めた。
[結果]
図8に示されるように、B群、E2群及びF2群において有意な筋肉量の増加(筋肉増強)が確認された。B2群においても、A群(コントロール)より筋肉量が増加していた。以上の結果より、乳酸Na:35.14mg/ml以上の投与は筋肉を増強させ、その効果はカフェイン量を増加させることで高められることが示唆された。
(4)配合割合検討2
下記の被験試料を使用した以外は全て上記配合割合検討1と同一の内容で、配合割合検討2を実施した。
[被験試料]
下記の試料を、水を用いて調製した(A群は水のみ)。
[結果]
図9に示されるように、B群において有意な筋肉量の増加(筋肉増強)が確認された。また、C群及びD群においてもA群(コントロール)より筋肉量が増加していた。
実施例3.廃用性筋萎縮に対する乳酸及びカフェインの有用性検討
ギブス固定による筋肉量減少からの回復について乳酸及びカフェインが有効であるかどうかを調べるため、以下の試験を実施した。
[被験動物]
10週齢のSDラットを使用した(n=6)。
[被験試料]
下記の試料を、水を用いて調製した(コントロール群は水のみ)。
[方法]
ラットの左足をギブスで固定し、10日後にギブスを解除した。11日目〜17日目の7日間ラットに対して経口投与(強制経口投与:0.01mL/g/day)を実施し、翌日(18日目)に剖検(筋肉及び血液の採取)を行った。採取した筋肉は、重量測定後イソペンタンを用いて凍結し、血液は血清にして凍結保管した。
採取した筋肉の重量を測定し、非固定筋(右足の筋肉)重量に対する固定筋(左足の筋肉)重量の割合を求めた。また、対象とする筋肉は、腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、長指伸筋及び前頚骨筋とした。
[結果]
図10に示されるように、いずれの筋肉においても、回復した筋肉の割合(固定/非固定)が乳酸及びカフェインの投与により増加した。この結果より、乳酸及びカフェインの投与は、筋肉の回復(特に、萎縮した筋肉の回復)を促進する作用があることが示唆された。
処方例:
実施例1〜3の結果に基づいて、以下の処方例を提示する。
処方例1
表7に示した組成で飲料を製造した。
処方例2
表8に示した組成で飲料を製造した。
処方例3
表9に示した組成で飲料を製造した。
処方例4
表10に示した組成で飲料を製造した。
処方例5
表11に示した組成で飲料を製造した。
処方例6
表12に示した組成でハードカプセルを製造した。
処方例7
表13に示した組成でハードカプセルを製造した。
処方例8
表14に示した組成でハードカプセルを製造した。
処方例9
表15に示した組成で飲料を製造した。
処方例10
表16に示した組成で飲料を製造した。
処方例11
表17に示した組成で錠剤(タブレット)を製造した。

本発明の剤及び組成物は、筋肉増強作用を有する上で医薬分野において有用であり、またその極めて高い安全性の観点から、医薬分野のみならず食品分野においても有用である。

Claims (6)

  1. 乳酸及び/又はその塩を有効成分として含有してなる、筋肉増強剤。
  2. カフェインをさらに含有する、請求項1に記載の剤。
  3. 乳酸及び/又はその塩とカフェインとの含有比が、重量比として(ただし、乳酸塩の重量においては、乳酸としての重量に換算された値が用いられる)、0.9:1〜1000:1である、請求項2に記載の剤。
  4. 乳酸及び/又はその塩を有効成分として含有してなる、筋肉増強作用を有する組成物。
  5. カフェインをさらに含有する、請求項4に記載の組成物。
  6. 乳酸及び/又はその塩とカフェインとの含有比が、重量比として(ただし、乳酸塩の重量においては、乳酸としての重量に換算された値が用いられる)、0.9:1〜1000:1である、請求項5に記載の組成物。
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