JP2019058140A - 栄養組成物 - Google Patents

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ライアン ムーア ダニエル
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Abstract

【課題】筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等または低栄養状態にある者に対し、少量で効率的に栄養を補給し得る栄養組成物を提供する。【解決手段】(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上、(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種、ならびに非必須アミノ酸の1種以上を含有する栄養組成物であって、分岐鎖アミノ酸の全アミノ酸に対する含有量比、フェニルアラニンおよびチロシンの少なくとも1種の分岐鎖アミノ酸に対する含有量比、ならびに全アミノ酸含有量が一定の値以上である栄養組成物とする。【選択図】図1

Description

本発明は、栄養組成物に関し、詳しくは、栄養不足の状態にある対象に対し、少量で必要量のアミノ酸の摂取を可能とする栄養組成物に関する。
わが国では、高齢化が著しく、人口に占める高齢者の割合が急速に高まっている。高齢者においては、食事の摂取量の低下により、低栄養状態となるおそれが高く、特に、疾患を有する高齢者や、要介護度の高い高齢者において、低栄養状態は高頻度で見られる。低栄養状態は、代謝性ストレスに対する抵抗力や免疫力の低下により、創傷、疾患の治癒の遅延、合併症の併発等を招く(非特許文献1)。
また、加齢に伴う筋力および筋量の減少は、体力の脆弱化および低下、機能低下ならびに運動障害につながる。筋肉の弱さおよび骨格筋量の損失には多くの要因が関与するが、骨格筋の不使用と低栄養のみが、治療介入により防ぐことができ、または元に戻すことができる。
しかしながら、若齢者であれば、低栄養に関連した筋機能不全は総合栄養剤の摂取によって改善するが、高齢者の場合、総合栄養剤は筋量・筋力を増加させることはできない(非特許文献2)。
さらに、低栄養は、高齢者のみでなく、過度のダイエットを行う若い女性等においても見られ、低栄養による骨格筋量の低下や骨密度の低下等が問題となっている。
また、筋力や持久力を要する長距離走等の持久的運動を行う選手においては、特にタンパク質・アミノ酸の摂取が重要であることが知られており、1日に、体重1kgあたり1.2g〜1.4gのタンパク質摂取が必要であるといわれている(非特許文献3)。
しかし、上記の必要量を、通常の食事のみで充足するとなると、タンパク質を含有する食品を多量に摂取する必要があり、非常に困難であった。
それゆえ、少量の摂取で、タンパク質・アミノ酸の必要量を充足し得る栄養組成物が求められている。
葛谷 雅文、老年歯学 20 (2) 119-123 (2005) M. A. Fiatarone et al., The New England of Medicine 330 (25) 1769-1775 (1994) P. W. R. Lemon, International Journal of Sport Nutrition 8 426-447(1998)
そこで、本発明は、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等または低栄養状態にある者に対し、少量で効率的に栄養を補給し得る栄養組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分岐鎖アミノ酸の1種以上、チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種、ならびに非必須アミノ酸の1種以上を含有する栄養組成物において、分岐鎖アミノ酸の全アミノ酸に対する含有量比、チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の分岐鎖アミノ酸に対する含有量比、ならびに全アミノ酸含有量を一定の値以上とすることにより、少量の摂取で効率的にアミノ酸の必要量を充足し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1](A)分岐鎖アミノ酸の1種以上、(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種を含有する栄養組成物であって、
(i)(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全アミノ酸に対する含有量比[(A)/全アミノ酸]が、重量比にして0.22以上であり、
(ii)(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[(B)/(A)]が、重量比にして0.06以上であり、
(iii)非必須アミノ酸を1種以上含有し、
(iv)全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.05g/kg体重以上となる量である、栄養組成物。
[2]全非必須アミノ酸の(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[全非必須アミノ酸/(A)]が、重量比にして0.01以上である、[1]に記載の栄養組成物。
[3](A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全必須アミノ酸に対する含有量比[(A)/全必須アミノ酸]が、重量比にして0.51以上である、[1]または[2]に記載の栄養組成物。
[4](A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の分岐鎖アミノ酸以外の必須アミノ酸に対する含有量比[(A)/分岐鎖アミノ酸以外の必須アミノ酸]が、重量比にして1.01以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の栄養組成物。
[5](B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の、分岐鎖アミノ酸およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸に対する含有量比[(B)/分岐鎖アミノ酸およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸]が、重量比にして0.14以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の栄養組成物。
[6]全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.6g/kg体重以上となる量である、[1]〜[5]のいずれかに記載の栄養組成物。
[7]アミノ酸の補給を要する対象動物に対し、
(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上、(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種を含有する栄養組成物であって、
(i)(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全アミノ酸に対する含有量比[(A)/全アミノ酸]が、重量比にして0.22以上であり、
(ii)(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[(B)/(A)]が、重量比にして0.06以上であり、
(iii)非必須アミノ酸を1種以上含有し、
(iv)全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.05g/kg体重以上となる量である、栄養組成物
を摂取させることまたは投与することを含む、アミノ酸を補給する方法。
[8]栄養組成物における全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.6g/kg体重以上となる量である、[7]に記載の方法。
[9]筋力もしくは筋肉量の低下の防止または改善を要する対象動物に対し、
(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上、(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種を含有する栄養組成物であって、
(i)(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全アミノ酸に対する含有量比[(A)/全アミノ酸]が、重量比にして0.22以上であり、
(ii)(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[(B)/(A)]が、重量比にして0.06以上であり、
(iii)非必須アミノ酸を1種以上含有し、
(iv)全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.05g/kg体重以上となる量である、栄養組成物
を摂取させることまたは投与することを含む、筋力もしくは持久力の向上方法、あるいは筋力もしくは筋肉量の低下を防止または改善する方法。
[10]栄養組成物における全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.6g/kg体重以上となる量である、[9]に記載の方法。
本発明によれば、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等に対し、少量の摂取で効率的に必要量のアミノ酸を補給することができる。
従って、本発明の栄養組成物は、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等において、筋力や筋持久力を効率的に向上させることができる。
また、低栄養状態を呈する者等において、不足したアミノ酸を効率的に補給し、栄養状態を改善することができる。
図1は、試験例1における13CO排泄速度(F13CO)の算出結果を示す図である。図中、「BASE」、「BCAA」、「EAA」、「NEAA」および「SUF」は、それぞれBASE、BASE+BCAA、BASE+EAA、BASE+NEAAおよびSUFの各試験食を摂取した群を示す。また、「*」は、BASE摂取群に対しp<0.05にて有意差があることを示し、「***」は、BASE摂取群に対しp<0.001にて有意差があることを示し、「+」は、SUF摂取群に対しp<0.05にて有意差があることを示す。 図2は、試験例2における13CO排泄速度(F13CO)の算出結果を示す図である。図中、「BASE」、「BCAA」、「Low EAA」、および「High EAA」は、それぞれBASE、BASE+BCAA、BASE+Low EAAおよびBASE+High EAAの各試験食を摂取した群を示す。また、「a」および「b」は、それぞれ異なる文字間でp<0.05にて有意差があることを示す。
本発明の栄養組成物は、(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上、(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種を含有し、次の(i)〜(iv)を満たすことを特徴とする。
(i)(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全アミノ酸に対する含有量比[(A)/全アミノ酸]が、重量比にして0.22以上である。
(ii)(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の、(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[(B)/(A)]が、重量比にして0.06以上である。
(iii)非必須アミノ酸を1種以上含有する。
(iv)全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.05g/kg体重以上となる量である。
本発明の栄養組成物に(A)成分として含有される分岐鎖アミノ酸は、分岐を有する脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、具体的には、タンパク質を構成する必須アミノ酸であるロイシン、イソロイシンおよびバリンが挙げられる。
本発明の栄養組成物は、(A)成分として、分岐鎖アミノ酸の1種以上を含有するが、筋力や筋肉量の低下に対する予防または改善効果の観点からは、(A)成分として、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを含有することが好ましい。
本発明の栄養組成物は、(B)成分として、チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種、すなわち、少なくともこれらのいずれかを含有する。
チロシンは、生体内でフェニルアラニンから生合成され得る非必須アミノ酸であり、フェニルアラニンは、生体内で生合成することのできない必須アミノ酸である。
本発明の栄養組成物は、本発明の特徴を損なわない範囲で、(A)成分である分岐鎖アミノ酸および(B)成分であるフェニルアラニン以外の必須アミノ酸を含有することができる。
かかるアミノ酸としては、リシン、ヒスチジン、メチオニン、スレオニンおよびトリプトファンが挙げられ、1種または2種以上を含有し得る。
本発明の栄養組成物には、上記(A)および(B)成分は、次の(i)および(ii)を満たすように含有される。
(i)(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全アミノ酸に対する含有量比[(A)/全アミノ酸]が、重量比にして0.22以上である。
上記含有量比は、好ましくは0.23以上であり、より好ましくは0.23以上0.68以下である。
さらに、(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全必須アミノ酸に対する含有量比[(A)/全必須アミノ酸]が、重量比にして0.51以上であることが好ましく、0.53以上であることがより好ましく、0.53以上0.69以下であることがより一層好ましい。
また、(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の、分岐鎖アミノ酸以外の必須アミノ酸(すなわちリシン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニンおよびトリプトファン)の総含有量に対する含有量比[(A)/(A)以外の必須アミノ酸]が、重量比にして1.01以上であることが好ましく、1.12以上であることがより好ましく、1.12以上2.40以下であることがより一層好ましい。
(ii)(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の、(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[(B)/(A)]が、重量比にして0.06以上である。
上記含有量比は、好ましくは0.10以上である。また、上記含有量比は、通常0.4以下であり、好ましくは0.19以下である。
さらに、(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の、分岐鎖アミノ酸およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸(すなわちリシン、ヒスチジン、メチオニン、スレオニンおよびトリプトファン)の総含有量に対する含有量比[(B)/((A)およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸)]が、重量比にして0.14以上であることがより好ましく、0.23以上であることがより一層好ましい。
なお、上記含有量比は、0.55以下であることがより好ましく、0.5以下であることがより一層好ましい。
本発明の栄養組成物はさらに、(iii)非必須アミノ酸を1種以上含有する。
かかる非必須アミノ酸としては、(B)成分として含有され得るチロシンの他に、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、セリン、プロリンが挙げられ、これらの1種または2種以上が含有される。
従って、本発明の栄養組成物が(B)成分としてチロシンを含有しない場合には、チロシン以外の非必須アミノ酸が1種以上含有される。
本発明の栄養組成物が(B)成分としてチロシンを含有する場合であっても、チロシン以外の非必須アミノ酸が1種以上含有されてもよい。
本発明の栄養組成物における全非必須アミノ酸の(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[全非必須アミノ酸/(A)]は、重量比にして0.01以上であることが好ましく、0.01以上2.35以下であることがより好ましい。
本発明の栄養組成物において、(A)成分として含有される分岐鎖アミノ酸、(B)成分として含有されるチロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種、必要に応じて含有されるフェニルアラニン以外の必須アミノ酸、ならびに、チロシン以外の非必須アミノ酸としては、L−体、D−体、DL−体のいずれも使用できるが、好ましくは、L−体およびDL−体であり、さらに好ましくは、L−体である。
また、上記各アミノ酸は、遊離体のみならず、塩の形態でも使用することができる。本明細書における「分岐鎖アミノ酸」、「チロシン」、「フェニルアラニン」、「必須アミノ酸」、「非必須アミノ酸」および「全アミノ酸」という語は、それぞれ塩をも包含する概念である。塩の形態としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、薬理学上許容される塩を選択することが好ましい。
具体的な上記アミノ酸の塩としては、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸との塩およびアミノ酸との塩等が挙げられる。
無機塩基との塩としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩としては、たとえば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩、モルホリン、ピペリジン等の複素環式アミンとの塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、たとえば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩等が挙げられる。
有機酸との塩としては、たとえば、ギ酸、酢酸、プロパン酸等のモノカルボン酸との塩;シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸等の飽和ジカルボン酸との塩;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸との塩;クエン酸等のトリカルボン酸との塩;α−ケトグルタル酸等のケト酸との塩等が挙げられる。
アミノ酸との塩としては、グリシン、アラニン等の脂肪族アミノ酸との塩;フェニルアラニン等の芳香族アミノ酸との塩;リシン等の塩基性アミノ酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩;ピログルタミン酸等のラクタムを形成したアミノ酸との塩等が挙げられる。
本発明の栄養組成物に含有される遊離体および塩の形態の上記アミノ酸は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の目的には、(A)成分としては遊離体および塩酸塩等が好ましく、遊離体がより好ましい。
また、(B)成分としては遊離体および塩酸塩等が好ましく、遊離体がより好ましい。
なお、(A)および(B)成分のアミノ酸ならびに前記以外の必須アミノ酸および非必須アミノ酸が塩の形態で含有される場合、当該アミノ酸の含有量は遊離体に換算した含有量で表され、上記した(A)/全アミノ酸、(A)/全必須アミノ酸、(A)/(A)以外の必須アミノ酸、(B)/(A)、(B)/((A)およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸)ならびに非必須アミノ酸/(A)の各含有量比についても、遊離体に換算した含有量により算出される。
本発明において、遊離体および塩の形態の上記アミノ酸は、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、あるいは、化学合成法、発酵法、酵素法又は遺伝子組換え法等によって得られるもののいずれを使用してもよいが、各社より提供されている市販の製品を利用してもよい。
また、上記アミノ酸を構成アミノ酸として含有するタンパク質やペプチドも、上記アミノ酸の供給源として使用することができるが、消化を要さず、栄養素としての利用効率が良好である点で、遊離のアミノ酸の形態で用いることが好ましい。
さらに、本発明の栄養組成物においては、(iv)全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、少なくとも0.05g/kg体重以上となる量であることを要する。
後述の試験例における検討結果から、1日あたりのアミノ酸要求量は、少なくとも、0.6g/kg体重であることが示唆される。
また、1日あたりのアミノ酸要求量を充足するためには、アミノ酸摂取量は1日あたり0.8g/kg体重以上であることが好ましく、1日あたり0.98g/kg体重以上であることがより好ましい。
従って、本発明の好ましい一実施態様として、本発明の栄養組成物が食事の代替用の製品として提供される場合には、本発明の栄養組成物における全アミノ酸含有量は、本発明の栄養組成物を摂取または投与することにより、1日あたりのアミノ酸要求量を充足するために必要な量として設定され、少なくとも1日あたり0.6g/kg体重以上となる量であり、好ましくは1日あたり0.8g/kg体重以上となる量であり、より好ましくは1日あたり0.98g/kg体重以上となる量であるように設計され得る。
本発明の好ましい他の実施態様として、本発明の栄養組成物が、通常摂取される食事に対し、1日あたりのアミノ酸要求量を充足するために不足するアミノ酸量を補うための製品として提供される場合には、健常者が通常生活する上で、食事により最低1日あたり0.55g/kg体重のアミノ酸が摂取される(Stefan M Pasiakos et al.; J. Nutr. 145 605-614 (2015))ことから、本発明の栄養組成物における全アミノ酸含有量は、少なくとも1日あたり0.05g/kg体重以上となる量であり、好ましくは1日あたり0.25g/kg体重以上となる量であり、より好ましくは0.43g/kg体重以上となる量であるように設計され得る。
なお、栄養組成物の製剤安定性等の観点から、本発明の栄養組成物における全アミノ酸含有量は、通常1日あたりの摂取量として、4.0g/kg体重以下となる量である。
なお、本発明の栄養組成物に含有されるアミノ酸の中に、塩の形態で含有されるアミノ酸が存在する場合は、当該アミノ酸については遊離体に換算した含有量にて、上記した全アミノ酸含有量が算出される。
本発明の栄養組成物には、本発明の特徴を損なわない範囲で、アミノ酸およびその供給源としてのタンパク質、ペプチド以外の栄養成分を含有させることができる。
かかる栄養成分としては、単糖(ブドウ糖、果糖等)、二糖(麦芽糖、ショ糖等)、オリゴ糖、多糖(デキストラン、デキストリン、澱粉、グリコーゲン等)等の炭水化物;植物性油脂(大豆油等)、動物性油脂(卵黄レシチン等)等の脂肪;ビタミンA(レチノール、レチナール、レチノイン酸等)、ビタミンB群(ビタミンB(チアミン)、ビタミンB(リボフラビン)、ビタミンB(ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシン)、ビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン)、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸等)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)、ビタミンK(フィロキノン、メナキノン)等のビタミン;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、イオウ、塩素、亜鉛等のミネラル等が挙げられる。
これらは、必要に応じて、1種または2種以上を含有させることができる。
本発明の栄養組成物は、溶液状、懸濁液状、乳液状等の液状;ゲル状、クリーム状等の半固形状;粉末状、顆粒状、タブレット状、カプセル状等の固形状の形態で提供することができ、経口摂取または投与、点滴等の経静脈投与、経腸、経鼻、胃瘻等の経管投与等により、摂取させまたは投与することができる。
上記各形態の栄養組成物は、製剤の分野で周知の製剤化手段、たとえば第十七改正日本薬局方製剤総則[3]製剤各条等に記載された方法等により、調製することができる。その際、必要に応じて、薬理学的に許容し得る各種の製剤用添加剤を用いることができる。当該添加剤は、本発明の栄養組成物の形態に応じて適宜選択することができるが、たとえば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、被覆剤、基剤、溶剤、希釈剤、溶解補助剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、安定化剤、粘稠剤、無痛化剤、等張化剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、保存剤、矯味剤、風味剤、甘味剤、香料、着色剤等が挙げられる。
具体的には、たとえば賦形剤として、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、糖類(たとえば、ラクトース等)、糖アルコール(たとえば、マンニトール等)、カゼイン等を挙げることができる。
結合剤としては、たとえばゼラチン、澱粉、セルロースおよびその誘導体等を挙げることができる。
崩壊剤としては、たとえばクロスポビドン、結晶セルロース等を挙げることができる。
滑沢剤としては、たとえばタルク、ステアリン酸マグネシウム等を挙げることができる。
被覆剤としては、たとえばメタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体等を挙げることができる。
基剤としては、たとえば動物および植物油、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
溶剤としては、たとえば精製水、注射用水、一価または多価アルコール(たとえば、グリセリン等)を挙げることができる。
乳化剤または分散剤としては、たとえばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。
安定化剤としては、たとえばアジピン酸、β−シクロデキストリン等を挙げることができる。
粘稠剤としては、たとえば水溶性高分子(たとえば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等)、多糖類(アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガント等)等を挙げることができる。
無痛化剤としては、たとえばアミノ安息香酸エチル、クロロブタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール等を挙げることができる。
等張化剤としては、たとえば塩化カリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、生理食塩液等を挙げることができる。
pH調整剤としては、たとえば塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
抗酸化剤としては、たとえばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、α−トコフェロール、エリソルビン酸等を挙げることができる。
防腐剤または保存剤としては、たとえばパラベン(たとえば、メチルパラベン等)、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸等を挙げることができる。
矯味剤または風味剤としては、たとえばアスコルビン酸、エリスリトール、L−グルタミン酸ナトリウム等を挙げることができる。
甘味剤としては、たとえばアスパルテーム、カンゾウエキス、サッカリン等を挙げることができる。
香料としては、たとえばl−メントール、d−カンファー、シネオール等を挙げることができる。
着色剤としては、たとえばタール色素(たとえば、赤色2号、青色1号、黄色4号等)、無機顔料(たとえば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等)、天然色素(たとえば、アナトー色素、ウコン色素、β−カロテン等)等を挙げることができる。
本発明の栄養組成物の摂取量または投与量は、適用される対象(以下、本明細書において、「適用対象」ともいう)の性別、年齢、状態または症状、たとえば持久運動を継続して行う運動選手であるか、低栄養状態の患者であるか等、および栄養組成物の形態、投与方法等により適宜決定されるが、適用対象の体重1kgあたり、それぞれ摂取または投与される態様に応じて、上記した1日あたりの全アミノ酸量が摂取または投与されるように設定される。
上記の1日あたりの摂取または投与量は、1回で摂取させまたは投与してもよく、あるいは2回以上(たとえば、2〜12回)に分けて摂取させまたは投与することもできる。
また、運動した後に摂取させる場合等、アミノ酸の要求量の大きい場合には、該要求量を充足させ得る量(たとえば1日あたりの摂取量の1/3〜1/12量)を、1回に摂取させることもできる。
本発明の栄養組成物の摂取または投与の時期は特に制限されず、たとえば、適用対象が持続運動をする運動選手である場合は、運動開始前、運動中、運動終了後等のいずれの時期であってもよい。また、適用対象が低栄養状態の高齢者等である場合には、通常の食事に代えて、または通常の食事と同時に摂取させまたは投与することができ、食前、食間、食後等に摂取させまたは投与することもできる。
本発明の栄養組成物は、運動選手や低栄養状態を呈する者等において、アミノ酸の補給を要する時に単回摂取させまたは投与してもよいが、一定の時間をおいて複数回摂取させまたは投与することもできる。摂取または投与の間隔としては、通常0.5時間〜10日間であり、好ましくは1時間〜8時間であり、より好ましくは2時間〜6時間である。
本発明の栄養組成物の摂取または投与の期間(最初の摂取または投与から、最後の摂取または投与までの期間)は特に限定されないが、通常0.5時間〜12週間であり、より本発明の効果が発揮される観点から、好ましくは1日間〜8週間であり、より好ましくは2日間〜4週間である。
本発明の栄養組成物は、単位包装形態とすることができる。本明細書において「単位包装形態」とは、特定量(たとえば、1回あたりの摂取量または投与量)を1単位とし、該1単位又は2単位以上が一つの容器または包装体に収容された形態をいい、たとえば、1回あたりの摂取量を1単位とする単位包装形態は、「1回あたりの摂取量単位の包装形態」と称する。単位包装形態に用いられる容器または包装体は、本発明の栄養組成物の形態等に応じて適宜選択し得るが、たとえば、紙製の容器または袋体、プラスチック製の容器または袋体、パウチ、アルミ缶、スチール缶、ガラス瓶、ペットボトル、PTP(press through pack)包装シート等が挙げられる。
本発明の栄養組成物の適用対象としては、哺乳動物(たとえば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ、サル等)や、鳥類(たとえば、ニワトリ等)が挙げられる。なお、本発明の栄養組成物をヒト以外の適用対象動物(以下、単に「対象動物」ともいう)に適用する場合、本発明の栄養組成物の摂取または投与量は、対象動物の種類、性別、体重等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の栄養組成物は、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等に対し、少量の摂取で効率的に必要量のアミノ酸を補給することができる。
従って、本発明の栄養組成物は、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等において、筋力や筋持久力を効率的に向上させることができる。
また、低栄養状態を呈する者等において、不足したアミノ酸を効率的に補給し、栄養状態を改善することができる。
さらに、通常の生活を送る上でも、食事のみでは不足しがちなアミノ酸を効率よく補給することができる。
本発明はまた、本発明の栄養組成物を含有する、アミノ酸補給用の医薬品(以下、「本発明の医薬品」とも称する)を提供する。
本発明の医薬品は、本発明の栄養組成物に、必要に応じて上記した賦形剤、溶剤、希釈剤等の添加剤を加えて、製剤の分野で周知の製剤化手段、たとえば第十七改正日本薬局方製剤総則[3]製剤各条等に記載された方法等により、調製することができる。
本発明の医薬品は、錠剤、被覆錠剤、チュアブル錠、丸剤、(マイクロ)カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、エリキシル剤、リモナーゼ剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、経口ゼリー剤等の経口製剤、溶液状、懸濁液状、乳液状等の注射剤、用時溶解または懸濁して用いる固形状の注射剤、輸液剤、持続性注射剤等の注射用製剤等の剤形で提供することができ、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等、または低栄養状態を呈する者等に、好適に投与される。
本発明の医薬品における上記(A)成分および(B)成分の各含有量は、分岐鎖アミノ酸の総含有量にして1重量%〜94.4重量%、フェニルアラニンおよびチロシンの少なくとも1種の総含有量にして0.05重量%〜5.6重量%である。
なお、本発明の医薬品の投与量は、本発明の栄養組成物について上記した総アミノ酸量が投与されるように設定され得る。
さらに、本発明の栄養組成物は、各種食品に添加して使用することができる。本発明の栄養組成物が添加される食品は特に制限されず、一般的に食事に供される形態の食品であれば如何なるものでもよい。たとえば、本発明の栄養組成物を飲料に添加し、所望により適当な風味を加えて、ドリンク剤(たとえば、清涼飲料等)とすることができる。より具体的には、本発明の栄養組成物は、たとえば、ジュース、牛乳、菓子、ゼリー、ヨーグルト、飴等に添加することができる。
さらにまた、本発明は、本発明の栄養組成物を含有する、アミノ酸補給用の食品組成物(以下、「本発明の食品組成物」とも称する)を提供する。
本発明の食品組成物は、本発明の栄養組成物に、必要に応じて、製造用剤、増粘安定剤、ガムベース、乳化剤、保存料、酸化防止剤、光沢剤、pH調整剤、甘味料、苦味料、酸味料、着色料、香料等の食品添加物を加えて、あるいは、食品または食品原材料中に本発明の栄養組成物を添加し、一般的な食品の製造方法を用いることにより、加工、製造することができる。
本発明の食品組成物は、たとえばジュース類、清涼飲料水、茶類等の飲料;乳酸菌飲料、発酵乳、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等の乳製品;ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉製品;蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等の魚肉練り製品;だし巻き、卵豆腐等の卵製品;クッキー、ゼリー、チューイングガム、キャンディー、スナック菓子、冷菓等の菓子類;パン類;麺類;漬物類;燻製品;干物;佃煮;塩蔵品;スープ類;調味料等、種々の形態で提供することができ、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルトパウチ食品であってもよい。また、粉末状、顆粒状、シート状、カプセル状、タブレット状、ゼリー状等の形態とすることもできる。
本発明の食品組成物は、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等、または低栄養状態を呈する者等に、好適に摂取させることができる。
従って、本発明の食品組成物は、アミノ酸補給用または筋力や筋肉量の低下の防止または改善用の特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の保健機能食品、病者用食品、高齢者用食品等の特別用途食品、健康補助食品等として好適に提供することができる。
さらに、本発明の栄養組成物を、濃厚流動食や、食品補助剤に添加して使用することも可能である。
「濃厚流動食」とは、1kcal/mL程度の濃度に調整され、長期間これのみを摂取する場合であっても、著しい栄養素の過不足が生じないように、各栄養素の質的構成が十分に考慮され、1日の栄養所要量をもとに設計された総合栄養食品(液体状食品)である。
本発明における「食品補助剤」とは、食品として摂取されるもの以外に栄養を補助する目的で摂取されるものをいい、栄養補助剤、サプリメントなどもこれに含まれる。本発明の栄養組成物を食品補助剤に添加する場合、所望により他の栄養成分や添加剤を加えて、たとえば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、懸濁剤、チュアブル剤、シロップ剤等の形態に調製することができる。
本発明の食品組成物における上記(A)成分および(B)成分の各含有量は、分岐鎖アミノ酸の総含有量にして1重量%〜94.4重量%、フェニルアラニンおよびチロシンの少なくとも1種の総含有量にして0.05重量%〜4.4重量%である。
なお、本発明の食品組成物の摂取量は、本発明の栄養組成物について上記した1日あたりの全アミノ酸量が摂取されるように設定され得る。
本発明はまた、本発明の栄養組成物と、本発明の栄養組成物をアミノ酸の補給、筋力や持久力の向上、あるいは筋力や筋肉量の低下の防止または改善に使用することができること、または使用すべきであることを記載した記載物とを含む、商業的パッケージをも提供する。
さらに本発明は、アミノ酸の補給を要する対象動物に対し、アミノ酸を補給する方法、あるいは筋力もしくは持久力の向上、または筋力もしくは筋肉量の低下の防止または改善を要する対象動物の筋力もしくは持久力の向上方法、あるいは筋力もしくは筋肉量の低下を防止または改善する方法(以下、本明細書において「本発明の方法」ともいう)をも提供する。
本発明の方法は、アミノ酸の補給を要する対象動物等に対し、アミノ酸の補給等に有効な量の本発明の栄養組成物を摂取させまたは投与することを含む。
本発明の方法における対象動物としては、ヒトおよび、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ、サル等のヒト以外の哺乳動物、ならびにニワトリなどの鳥類が挙げられる。
ヒトの場合、本発明の方法は、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等、または低栄養状態を呈する者等に、好適に適用することができる。
本発明の方法における本発明の栄養組成物の摂取量または投与量は、対象動物の種類、年齢、症状または状態等に応じて決定されるが、本発明の栄養組成物において、ヒトおよびヒト以外の対象動物について、上記した摂取または投与量と同様の量を、上記した回数および期間にて摂取させまたは投与することができる。
さらに、本発明の方法における本発明の栄養組成物の摂取または投与方法としては、経口摂取または投与、点滴等の経静脈投与、経腸、経鼻、胃瘻等の経管投与等が挙げられるが、医療機関にて医師の指導監督下に行う必要がなく、簡便に行うことができることから、経口摂取または投与が好ましい。
以下、試験例および実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の実施範囲はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[試験例1]指標アミノ酸酸化法による制限アミノ酸の検討
持久的な運動を日常的に実施する運動選手において、持久的な運動の負荷により要求されるアミノ酸について、最も充足率の低いアミノ酸、すなわち制限アミノ酸を明らかにするため、指標アミノ酸酸化(Indicator Amino Acid Oxidation: IAAO)法を用いて、以下の検討を行った。
(1)被験者
日常的に持久的な運動を行っている健常男性5名を被験者とした。
(2)試験食
1日の総エネルギー量(安静時エネルギー消費量の1.6倍量、および運動によって消費されるエネルギー消費量)、ならびに持久的な運動を行う運動選手における1日の炭水化物摂取推奨量(9g/kg体重/日)を満たし、さらに表1に示す組成のアミノ酸を含有する下記試験食を調製した。なお、全試験食におけるチロシンおよびフェニルアラニン含有量が同一となるように調整した。
(i)卵タンパク質と同じ組成のアミノ酸を含有する基本食(BASE):全アミノ酸含有量=0.77g/kg体重/日
(ii)卵タンパク質に、アミノ酸要求量を充足するようにアミノ酸を加えた標準食(SUF):全アミノ酸含有量=1.60g/kg体重/日
(iii)BASEに分岐鎖アミノ酸の不足分を補填した試験食(BASE+BCAA):全アミノ酸含有量=0.98g/kg体重/日
(iv)BASEに必須アミノ酸(分岐鎖アミノ酸を含む)の不足分を補填した試験食(BASE+EAA):全アミノ酸含有量=1.14g/kg体重/日
(v)SUFと同量のアミノ酸含有量となるように、BASEに非必須アミノ酸を添加した試験食(BASE+NEAA):全アミノ酸含有量=1.61g/kg体重/日
(3)代謝試験
2日間通常の食事を摂取させ、運動を実施させた後、一晩絶食させて代謝試験を実施した。被験者は、計5回の代謝試験に参加し、試験全体で25回の代謝試験を実施した。
代謝試験当日は、各被験者に1.2g/kg体重相当の炭水化物を含む飲料を摂取させた後、トレッドミル上にて20kmの走行運動を実施させた。その後、1時間に1度、8時間にわたり試験食を摂取させ、試験開始5時間後において、二酸化炭素の排泄速度を測定し、試験終盤の1.5時間において、呼気および尿を採取した。
各試験食はそれぞれ12等分し、試験日ごとに異なる試験食を1時間に1度摂取させた。8回の試験食のうち後半4回は、13Cで標識したフェニルアラニンを含有する試験食を摂取させた。
同位体比質量分析機により測定した呼気中の二酸化炭素の13C標識率の平均値と、二酸化炭素の排泄速度から、13CO排泄速度(F13CO)、すなわちフェニルアラニンの酸化速度を求め、各試験食摂取群間の差をターキーの検定(Turkey’s test )を用いて比較した。
結果は、各試験食摂取群における平均値±標準誤差にて、図1に示した。
図1に示されるように、BASE摂取群に比べてSUF摂取群では、F13COは有意(p<0.001)に低い値であり、BASE摂取群では、タンパク質・アミノ酸要求量が充足されていないことが確認された。
一方、BASE+BCAA摂取群、およびBASE+EAA摂取群では、BASE摂取群に比べてF13COは有意(p<0.001)に低く、また、SUF摂取群との間に有意な差は見られなかった。この結果から、タンパク質・アミノ酸要求量が充足されていない基本食(BASE)に分岐鎖アミノ酸を補填することにより、タンパク質・アミノ酸要求量を充足するレベルに達することが示され、卵タンパク質において、分岐鎖アミノ酸が制限アミノ酸となっていることが示唆された。
また、BASE+NEAA摂取群では、BASE摂取群に比べて、F13COは低い値を示すものの、SUF摂取群に比べて有意(p<0.05)に高い値を示した。この結果は、非必須アミノ酸の添加により、基本食(BASE)のタンパク質・アミノ酸充足性は改善されるものの、未だSUF摂取群には及ばないことを意味し、非必須アミノ酸は、卵タンパク質の制限アミノ酸ではないことが示唆された。
[試験例2]持続的運動負荷後の運動選手における非必須アミノ酸摂取の必要性の検討
持久的な運動を日常的に実施する運動選手において、持久的な運動を負荷した後のタンパク質・アミノ酸を充足するために、非必須アミノ酸摂取が必要であるか否かについて、下記の通りIAAO法を用いて検討した。
(1)被験者
日常的に持久的な運動を行っている健常男性7名を被験者とした。
(2)試験食
1日の総エネルギー量(安静時エネルギー消費量の1.6倍量、および運動によって消費されるエネルギー消費量)、ならびに持久的な運動を行う運動選手における1日の炭水化物摂取推奨量(9g/kg体重/日)を満たし、さらに表2に示す組成のアミノ酸を含有する下記試験食を調製した。なお、全試験食に、同一含有量となるようにチロシンおよびフェニルアラニンを添加した。
(i)卵タンパク質と同じ組成のアミノ酸を含有する基本食(BASE):全アミノ酸含有量=0.77g/kg体重/日
(ii)BASEに分岐鎖アミノ酸の不足分(0.23g/kg体重/日)を補填した試験食(BASE+BCAA):全アミノ酸含有量=0.98g/kg体重/日
(iii)BASE+BCAA中の必須アミノ酸(分岐鎖アミノ酸を含む)のみを含有する試験食(Low EAA):全アミノ酸含有量=0.59g/kg体重/日
(iv)Low EAAに、全アミノ酸含有量がBASE+BCAAと同量となるように、必須アミノ酸(分岐鎖アミノ酸を含む)を追加した試験食(High EAA):全アミノ酸含有量=0.98g/kg体重/日
(3)代謝試験
2日間通常の食事を摂取させ、運動を実施させた後、一晩絶食させて代謝試験を実施した。被験者は、計4回の代謝試験に参加し、試験全体で28回の代謝試験を実施した。
代謝試験当日は、各被験者に1.2g/kg体重相当の炭水化物を含む飲料を摂取させた後、トレッドミル上にて20kmの走行運動を実施させた。その後、1時間に1度、8時間にわたり試験食を摂取させ、試験開始5時間後において、二酸化炭素の排泄速度を測定し、試験終盤の1.5時間において、呼気および尿を採取した。
各試験食はそれぞれ12等分し、試験日ごとに異なる試験食を1時間に1度摂取させた。8回の試験食のうち後半4回は、13Cで標識したフェニルアラニンを含有する試験食を摂取させた。
同位体比質量分析機により測定した呼気中の二酸化炭素の13C標識率の平均値と、二酸化炭素の排泄速度から、13CO排泄速度(F13CO)、すなわちフェニルアラニンの酸化速度を求め、各試験食摂取群間の差をターキーの検定(Turkey’s test )を用いて比較した。
結果は、各試験食摂取群における平均値±標準誤差にて、図2に示した。
図2に示されるように、BASE摂取群に比べて、BASE+BCAA摂取群は、有意(p<0.01)に低いF13CO値を示した。
Low EAA摂取群では、F13CO値はBASE摂取群と同等であり、BASE+BCAA摂取群に比べて有意(p<0.05)に高いことが認められた。
一方、High EAA摂取群では、BASE群に比べて、F13CO値は有意に低く、BASE+BCAA摂取群との間でF13CO値に有意な差は見られなかった。
以上の結果から、必要量の分岐鎖アミノ酸を含有し、かつ必須アミノ酸含有量が、アミノ酸要求量を充足し得る量であれば、非必須アミノ酸は必要ではないことが示唆された。しかしながら、必須アミノ酸含有量が充分でない場合に非必須アミノ酸を添加することにより、必須アミノ酸の利用性を向上させ、必須アミノ酸の要求量を低下させ得ることが示唆された。
また、持久的な運動を継続的に実施する運動選手が20km走行した日において、アミノ酸要求量を満たすためには、1日あたり0.59g/kg体重を超える量、少なくとも1日あたり0.6g/kg体重のアミノ酸摂取が必要であることが示唆され、また、1日あたり0.98g/kg体重のアミノ酸を摂取することが好ましいことが示唆された。
[実施例1]栄養組成物
本発明の栄養組成物の組成を表3に示す。実施例1の栄養組成物は、卵タンパク質のアミノ酸組成に対し、不足分の分岐鎖アミノ酸を添加し、フェニルアラニンおよびチロシンをそれぞれ30.5mg/gおよび40.0mg/gとなるように添加し、さらに、1日あたりの全アミノ酸含有量を0.98g/kg体重となるように調製される。
表3に示されるように、実施例1の栄養組成物において、(A)成分である分岐鎖アミノ酸の全アミノ酸に対する含有量比[(A)/全アミノ酸]は0.39であり、全必須アミノ酸に対する含有量比[(A)/全必須アミノ酸]は0.69であり、分岐鎖アミノ酸以外の必須アミノ酸に対する含有量比[(A)/(A)以外の必須アミノ酸]は2.21である。
一方、(B)成分であるチロシンおよびフェニルアラニンの分岐鎖アミノ酸に対する含有量比[(B)/(A)]は0.19、分岐鎖アミノ酸およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸に対する含有量比[(B)/(A)およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸]は0.5である。
さらに、全非必須アミノ酸の分岐鎖アミノ酸に対する含有量比[全非必須アミノ酸/(A)]は1.13である。
以上詳述したように、本発明により、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等に対し、少量の摂取で効率的に必要量のアミノ酸を補給することのできる栄養組成物を提供することができる。
本発明の栄養組成物は、筋力や持久力を要する運動選手や、筋力や筋肉量の低下を防止または改善する必要のある高齢者等において、筋力や筋持久力を効率的に向上させることができ、また、低栄養状態を呈する者等において、不足したアミノ酸を効率的に補給し、栄養状態を改善することができる。

Claims (6)

  1. (A)分岐鎖アミノ酸の1種以上、(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種を含有する栄養組成物であって、
    (i)(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全アミノ酸に対する含有量比[(A)/全アミノ酸]が、重量比にして0.22以上であり、
    (ii)(B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[(B)/(A)]が、重量比にして0.06以上であり、
    (iii)非必須アミノ酸を1種以上含有し、
    (iv)全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.05g/kg体重以上となる量である、栄養組成物。
  2. 全非必須アミノ酸の(A)分岐鎖アミノ酸の1種以上に対する含有量比[全非必須アミノ酸/(A)]が、重量比にして0.01以上である、請求項1に記載の栄養組成物。
  3. (A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の全必須アミノ酸に対する含有量比[(A)/全必須アミノ酸]が、重量比にして0.51以上である、請求項1または2に記載の栄養組成物。
  4. (A)分岐鎖アミノ酸の1種以上の分岐鎖アミノ酸以外の必須アミノ酸に対する含有量比[(A)/分岐鎖アミノ酸以外の必須アミノ酸]が、重量比にして1.01以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の栄養組成物。
  5. (B)チロシンおよびフェニルアラニンの少なくとも1種の、分岐鎖アミノ酸およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸に対する含有量比[(B)/分岐鎖アミノ酸およびフェニルアラニン以外の必須アミノ酸]が、重量比にして0.14以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の栄養組成物。
  6. 全アミノ酸含有量が、1日あたりの摂取量として、0.6g/kg体重以上となる量である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の栄養組成物。
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