JP2019142852A - 新規組成物 - Google Patents

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Masako Yasui
昌子 安居
克也 鈴木
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克也 鈴木
愛実 夏目
Manami Natsume
愛実 夏目
則子 川崎
Noriko Kawasaki
則子 川崎
慎 坂内
Shin Sakauchi
慎 坂内
晃子 山本
Akiko Yamamoto
晃子 山本
慎治 染川
Shinji Somekawa
慎治 染川
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Abstract

【課題】より良好な睡眠改善作用を示し、睡眠改善用組成物として有用で、かつ安全性が高く、連続した摂取または投与に適する組成物を提供する。【解決手段】グリシンまたはその塩と5−アミノレブリン酸またはその塩とを含有する組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な組成物に関し、詳しくは、不眠等の睡眠における問題を改善し、睡眠の質を高め得る、睡眠改善用組成物として有用な組成物に関する。
睡眠は、心身の疲労回復、記憶の定着、免疫機能の強化等の役割を有し、健やかな睡眠を保つことは、健康で活力のある日常生活を送る上で重要である。
しかしながら、高齢化社会の到来、ライフスタイルの多様化、24時間社会における生活リズムの乱れ、ストレスの増大等を背景に、不眠等、睡眠に何らかの問題を抱える人は多い。
睡眠に何らかの問題のある状態、すなわち睡眠障害の兆候または症状としては、大きく分けて、不眠、日中の過剰な眠気、睡眠中に起こる異常行動、異常知覚もしくは異常運動、睡眠・覚醒リズムの障害があり、原因や症状の程度等に応じて、薬物治療等が行われる。
上記睡眠障害のうち不眠は、わが国では成人の約20%に見られるが、その種類に応じて、超短時間型〜長時間型の各種ベンゾジアゼピン系睡眠薬や、抗不安薬が用いられる。
しかし、睡眠薬により誘導される睡眠は、正常の睡眠と質的に全く同一ではなく、ベンゾジアゼピン系睡眠薬では、睡眠のステージ2が増加し、ステージ3、4は減少することが知られている。
また、各種睡眠薬には、副作用(たとえばベンゾジアゼピン系睡眠薬の場合、精神作業能力、注意力、集中力の低下、反射運動能力の低下、眠気、ふらつき、めまい、頭痛等)や、薬物依存形成作用の報告されているものもあり、服用を中止する際にも半跳性不眠をきたす場合がある。
さらに、「睡眠に何らかの問題のある状態」には、「やや寝つきにくい」、「あまりぐっすり眠れない」といった状態が一過性または短期間に見られる場合のように、睡眠薬等による薬物治療の対象とはなりにくい場合も含まれる。
それゆえ、従来の睡眠障害治療用薬物によらずに睡眠障害を改善すべく、不眠をはじめとする睡眠障害を改善し得る有効成分を、食経験の豊かな食品中の成分に求める検討が多くなされてきた。
たとえば、鶏肉や魚介類、卵、豆類等に豊富に含まれるトリプトファンは、睡眠および生体リズムの調節機能を有するメラトニンの前駆体であるため、睡眠改善作用が期待されている。
また、種々の食品に含まれるグリシンが、深い眠りとされる徐波睡眠への移行を促進することが報告されている(特許文献1)。
さらに、ポルフィリン合成経路の最初の生成物である5−アミノレブリン酸により、核内受容体REV−ERBαの活性化と、REV−ERBαの標的遺伝子の転写抑制が観察され、5−アミノレブリン酸がヒトの概日リズムを制御する可能性があること(非特許文献1)、50mgの5−アミノレブリン酸を摂取したグループにおいて、対照に比べて、ピッツバーグ睡眠票における総得点の改善が見られたこと(非特許文献2)が報告されている。
しかしながら、より良好な睡眠改善作用を有し、かつ安全性が高く、連続した摂取または投与に適する睡眠改善用組成物が依然として求められている。
特許第4913410号公報
FEBS Open Bio 4 347-352 (2014) International Journal of Clinical Medicine 4 1-7 (2013)
そこで、本発明は、より良好な睡眠改善作用を有し、かつ安全性が高く、連続した摂取または投与に適する睡眠改善用組成物を提供することを目的とした。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、グリシンまたはその塩と5−アミノレブリン酸またはその塩とを含有する組成物が、睡眠潜時の短縮、中途覚醒、早期覚醒および熟眠障害の改善といった優れた睡眠改善作用を示し、睡眠改善用組成物として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1]グリシンと5−アミノレブリン酸とを含有する、組成物。
[2]グリシンが遊離体の形態で含有される、[1]に記載の組成物。
[3]5−アミノレブリン酸がリン酸塩の形態で含有される、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]グリシンと5−アミノレブリン酸の含有量比([グリシンの含有量]:[5−アミノレブリン酸の含有量])が、重量比にて10:1〜4000:1である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]就寝前に1回摂取させまたは投与する、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]ヒト成人の1日あたりのグリシンの摂取量または投与量が0.5g〜30gである、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]ヒト成人の1日あたりの5−アミノレブリン酸の摂取量または投与量が、0.1mg〜400mgである、[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]睡眠改善用である、[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]入眠困難、中途覚醒、早期覚醒または熟眠障害の改善用である、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]睡眠を改善する必要のある対象動物に、当該対象動物の睡眠を改善するのに有効な量のグリシンおよび5−アミノレブリン酸を摂取させることまたは投与することを含む、睡眠の改善方法。
[11]グリシンを遊離体の形態で摂取させまたは投与する、[10]に記載の改善方法。
[12]5−アミノレブリン酸をリン酸塩の形態で摂取させまたは投与する、[10]または[11]に記載の改善方法。
[13]睡眠の改善が、入眠困難、中途覚醒、早期覚醒または熟眠障害の改善である、[10]〜[12]のいずれかに記載の改善方法。
[14]就寝前に1回摂取させまたは投与する、[10]〜[13]のいずれかに記載の改善方法。
[15]ヒト成人に対し、1日あたりにグリシンを0.5g〜30g摂取させまたは投与する、[10]〜[14]のいずれかに記載の改善方法。
[16]ヒト成人に対し、1日あたりに5−アミノレブリン酸を0.1mg〜400mg摂取させまたは投与する、[10]〜[15]のいずれかに記載の改善方法。
本発明により、優れた睡眠改善作用を示し、かつ安全性が高く、連続した摂取または投与に適し、睡眠改善用組成物として有用な組成物を提供することができる。
本発明の組成物は、睡眠改善用組成物として、特に睡眠潜時の短縮作用、中途覚醒、早期覚醒および熟眠障害の改善作用に優れ、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒または熟眠障害を呈する不眠の改善効果に優れる。
試験例1において観察される睡眠について、覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠および総睡眠の量(時間)を示す図である。図中、「wake」は覚醒時間を、「NREM」はノンレム睡眠の量(時間)を、「REM」はレム睡眠の量(時間)を、「total sleep」は総睡眠量(時間)を示す。 試験例1において観察される睡眠について、睡眠潜時(最初にノンレム睡眠が観察されるまでの時間)を示す図である。 試験例1において観察される睡眠について、ノンレム睡眠の1回あたりの持続時間を示す図である。 試験例2において別途観察した睡眠について、睡眠潜時を示す図である。 試験例3において観察される睡眠について、覚醒、ノンレム睡眠および総睡眠の量(時間)を示す図である。図中、「wake」は覚醒時間を、「NREM」はノンレム睡眠の量(時間)を、「total sleep」は総睡眠量(時間)を示す。 試験例4において、就寝時の脳波測定により求められる中途覚醒時間(WASO)を示す図である。
本発明は、グリシンと5−アミノレブリン酸とを含有する新規な組成物(以下、本明細書において「本発明の組成物」ともいう)を提供する。
本発明の組成物は、優れた睡眠改善作用を示し、睡眠改善用組成物として有用である。
ここで、本明細書において、「睡眠改善作用」とは、睡眠に何らかの問題のある状態を改善し得る作用をいう。
本発明の組成物の睡眠改善作用の対象となる「睡眠に何らかの問題のある状態」(以下、本明細書において「睡眠障害」ともいう)としては、不眠や、睡眠および覚醒リズムの障害が挙げられる。
「不眠」としては、急性のストレス等に起因し、数日間程度持続する一過性の不眠、長期的なストレス等に起因し、1〜3週間程度持続する短期不眠、種々の原因により、1ヶ月以上持続する長期不眠が挙げられる。
上記長期不眠としては、神経症性不眠;呼吸器障害(睡眠時無呼吸症候群、肺胞低換気症等)、周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群、高血圧、心疾患等の身体的疾患に伴う不眠;神経症、躁うつ病、統合失調症、老年性認知症等の精神疾患に伴う不眠;アルコール、薬物摂取に起因する不眠;老人性不眠等が挙げられる。
また、上記「不眠」の症状としては、入眠障害(一般に入眠に30分以上を要する場合)、中途覚醒(夜間に2回以上覚醒する場合)、早期覚醒(希望する時刻、あるいは通常の2時間以上前に目が覚め、その後眠れない場合)および熟眠障害(眠りが浅く、睡眠時間のわりに熟睡した感じが得られない場合)が挙げられる。
「睡眠および覚醒リズムの障害」としては、時差症候群、交替勤務性睡眠障害、睡眠相後退もしくは前進症候群、非24時間睡眠覚醒リズム症候群、不規則型睡眠覚醒パターン、高齢者の睡眠障害等が挙げられる。
さらに、本発明の組成物の睡眠改善作用の対象となる「睡眠に何らかの問題のある状態」には、たとえばDSM−5の診断基準等により、治療が必要な不眠症とは診断されないような状態、たとえば、環境の変化やストレス等に起因する一過性の不眠等も含まれる。
本発明の組成物は、後述するように、特に、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒または熟眠障害といった不眠の状態または症状に対して良好な改善作用を示し、前記の不眠の状態または症状としては、一過性のもの、短期間に見られるもの、または長期にわたって見られるものが含まれる。
本発明の組成物に含有される「グリシン」は2−アミノ酢酸であり、タンパク質を構成するアミノ酸の中で最も単純な構造を有し、非極性側鎖アミノ酸に分類される。
また、本発明の組成物に含有される「5−アミノレブリン酸」は5−アミノ−4−オキソ−ペンタン酸であり、ポルフィリン合成経路の最初の生成物である。
本発明において、「グリシン」および「5−アミノレブリン酸」は、それぞれ遊離体のみならず、塩の形態でも用いることができる。
従って、本明細書における「グリシン」および「5−アミノレブリン酸」の語は、塩をも包含する概念である。
塩の形態としては、薬理学上許容される塩であれば特に制限されず、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、具体的には、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸との塩およびアミノ酸との塩等が挙げられる。
無機塩基との塩としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩としては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩、モルホリン、ピペリジン等の複素環式アミンとの塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、たとえば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩等が挙げられる。
有機酸との塩としては、たとえば、ギ酸、酢酸、プロパン酸等のモノカルボン酸との塩;シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸等の飽和ジカルボン酸との塩;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸との塩;クエン酸等のトリカルボン酸との塩;α−ケトグルタル酸等のケト酸との塩等が挙げられる。
アミノ酸との塩としては、アラニン等の脂肪族アミノ酸との塩;チロシン等の芳香族アミノ酸との塩;アルギニン、リシン等の塩基性アミノ酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩;ピログルタミン酸等のラクタムを形成したアミノ酸との塩等が挙げられる。
上記した塩は、それぞれ水和物(含水塩)であってもよく、かかる水和物としては、たとえば1水和物〜6水和物等が挙げられる。
本発明においては、上記した遊離体および塩の形態のグリシン、および遊離体および塩の形態の5−アミノレブリン酸は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の目的には、「グリシン」として、遊離体および塩酸塩が好ましく、遊離体がより好ましい。
また、「5−アミノレブリン酸」として、塩酸塩およびリン酸塩が好ましく、リン酸塩がより好ましい。
本発明において、上記した遊離体および塩の形態のグリシンおよび5−アミノレブリン酸は、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、あるいは、化学合成法、発酵法、酵素法又は遺伝子組換え法等によって得られるもののいずれを使用してもよいが、各社より提供されている市販の製品を利用してもよい。
本発明の組成物において、グリシンは、組成物の全量に対し、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上、さらに一層好ましくは85重量%以上含有され、好ましくは99.999重量%以下、より好ましくは99.99重量%以下、さらに好ましくは99重量%以下、さらにより好ましくは95重量%以下、さらに一層好ましくは90重量%以下含有される。
あるいは、グリシンは、組成物の全量に対し、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上、さらに一層好ましくは85重量%以上、より一層好ましくは90重量%以上含有され、好ましくは99.999重量%以下、より好ましくは99.99重量%以下、さらに好ましくは99重量%以下含有される。
また、5−アミノレブリン酸は、組成物の全量に対し、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.02重量%以上含有され、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下含有される。
さらに、本発明の組成物におけるグリシンと5−アミノレブリン酸の含有量比([グリシンの含有量]:[5−アミノレブリン酸の含有量])は、重量比にて3:1〜6000:1であることが好ましく、10:1〜4000:1であることがより好ましく、100:1〜2000:1であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、本発明の組成物におけるグリシンおよび5−アミノレブリン酸の含有量は、それらが塩の形態で含有される場合は、遊離体に換算した含有量で表す。
本発明の組成物には、本発明の特徴を損なわない範囲で、グリシンおよび5−アミノレブリン酸の他に、さらに睡眠を改善する効果や、睡眠に対する良好な影響が報告されている他の成分を含有させてもよい。
かかる成分としては、トリプトファン、テアニン、γ−アミノ酪酸等の他のアミノ酸;ビタミンB群(ビタミンB(チアミン)、ビタミンB(リボフラビン)、ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)、ビタミンB(ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシン)、ビオチン、葉酸、ビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン)等)等のビタミン等の栄養成分や、カミツレ(Matricaria recutita L.)、セイヨウカノコソウ(Valeriana officinalis)、トケイソウ(Passiflora caerulea)、レモンバーム(Melissa officinalis)等の抽出物等の鎮静効果等を有する植物抽出物等が挙げられる。
上記の睡眠を改善する効果等の報告されている他の成分は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
また、本発明の組成物には、本発明の特徴を損なわない範囲で、さらに他の栄養成分を含有させることができる。
他の栄養成分としては、糖質(ブドウ糖、ショ糖、デンプン等)、脂質(動植物油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等)、タンパク質(アルブミン等)、ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、リン等)等が挙げられ、これらは、必要に応じて1種または2種以上を含有させることができる。
本発明の組成物は、グリシンおよび5−アミノレブリン酸に、必要に応じて、睡眠を改善する効果等の報告されている他の成分や、他の栄養成分、薬学的に許容される添加剤等を加えて、製剤の分野で周知の製剤化手段、たとえば第十七改正日本薬局方製剤総則[3]製剤各条に記載された方法等により、溶液、懸濁液、乳濁液等の液状;ゲル、クリーム等の半固形状;粉末、顆粒、錠剤、カプセル等の固形状等、種々の形態とすることができる。
上記薬学的に許容される添加剤は、本発明の組成物の形態に応じて適宜選択することができ、たとえば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、被覆剤、基剤、溶剤、溶解補助剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、安定化剤、粘稠剤、無痛化剤、等張化剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、保存剤、矯味剤、甘味剤、香料、着色剤等が挙げられる。
具体的には、賦形剤としては、たとえば、炭酸マグネシウム、糖類(ブドウ糖、乳糖、コーンスターチ等)、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール等)等が挙げられる。
結合剤としては、たとえば、ゼラチン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、セルロースおよびその誘導体(結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等が挙げられる。
崩壊剤としては、たとえば、クロスポビドン、ポビドン、結晶セルロース等が挙げられる。
滑沢剤としては、たとえば、タルク、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
被覆剤としては、たとえば、メタクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体等が挙げられる。
基剤としては、たとえば、動植物性油脂(オリブ油、カカオ脂、牛脂、ゴマ油、硬化油、ヒマシ油等)、ロウ(カルナウバロウ、ミツロウ等)、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
溶剤としては、たとえば、精製水、注射用水、一価アルコール(エタノール等)、多価アルコール(グリセリン等)等が挙げられる。
溶解補助剤としては、たとえば、プロピレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
可溶化剤、乳化剤、分散剤および懸濁化剤としては、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート20等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤等が挙げられる。
安定化剤としては、たとえば、アジピン酸、β−シクロデキストリン、エチレンジアミン、エデト酸ナトリウム等が挙げられる。
粘稠剤としては、たとえば、水溶性高分子(ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等)、多糖類(アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガント等)等が挙げられる。
無痛化剤としては、たとえば、アミノ安息香酸エチル、クロロブタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
等張化剤としては、たとえば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、生理食塩水等が挙げられる。
pH調整剤としては、たとえば、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
抗酸化剤としては、たとえば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸等が挙げられる。
防腐剤および保存剤としては、たとえば、パラベン(メチルパラベン等)、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸等が挙げられる。
矯味剤としては、たとえば、アスコルビン酸、エリスリトール、L−グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
甘味剤としては、たとえば、アスパルテーム、カンゾウエキス、サッカリン等が挙げられる。
香料としては、たとえば、l−メントール、d−カンフル、バニリン等が挙げられる。
着色剤としては、たとえば、タール色素(食用赤色2号、食用青色1号、食用黄色4号等)、無機顔料(三二酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄等)、天然色素(ウコン抽出液、β−カロテン、銅クロロフィリンナトリウム等)等が挙げられる。
本発明においては、上記添加剤は、1種または2種以上を用いることができる。
なお、本発明の組成物は、グリシンを含有する組成物と、5−アミノレブリン酸を含有する組成物をそれぞれ調製し、それらを同時にまたは連続して投与しまたは摂取させる形態で提供することもできる。
本発明の組成物の1日あたりの摂取量または投与量は、適用される対象(以下、本明細書において「適用対象」ともいう)において観察される睡眠の状態(不眠等の睡眠障害の症状、程度等)、性別、年齢、および本発明の組成物の形態、投与方法等により適宜決定されるが、適用対象がヒト成人である場合、1日あたり、グリシン(遊離体に換算した量)の摂取量または投与量として通常0.5g〜30g、好ましくは0.8g〜20g、より好ましくは1g〜10g、さらに好ましくは1g〜6gであり、5−アミノレブリン酸(遊離体に換算した量)の摂取量または投与量として通常0.1mg〜400mg、より好ましくは0.3mg〜300mg、さらに好ましくは1mg〜200mg、より一層好ましくは1mg〜50mgである。
上記の量は、1回で摂取させまたは投与してもよく、1日数回(2〜3回)に分けて摂取させまたは投与してもよい。
睡眠改善作用の観点からは、上記の量の本発明の組成物は、就寝前に1回摂取させまたは投与することが好ましい。「就寝前に摂取させまたは投与する」とは、通常、就寝の直前〜120分前に摂取させまたは投与することであり、好ましくは、就寝の直前〜60分前に摂取させまたは投与することをいう。
また、本発明の組成物は、食経験の豊かなグリシンと5−アミノレブリン酸を含有するため、安全性が高い。それゆえ、適用対象の睡眠障害が長期間にわたり継続して出現する場合や、一過性または短期間の睡眠障害が繰り返し出現する場合等には、本発明の組成物は、長期間にわたり連続して摂取させまたは投与することができる。
本発明の組成物は、単位包装形態とすることができる。本明細書において「単位包装形態」とは、特定量(たとえば、1回あたりの摂取量または投与量等)を1単位とし、該1単位又は2単位以上が一つの容器または包装体に収容された形態をいい、たとえば、1回あたりの摂取量または投与量を1単位とする単位包装形態は、「1回あたりの摂取量または投与量単位の包装形態」と称する。単位包装形態に用いられる容器または包装体は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択し得るが、たとえば、紙製の容器または袋体、プラスチック製の容器または袋体、パウチ、アルミ缶、スチール缶、ガラス瓶、ペットボトル、PTP(press through pack)包装シート等が挙げられる。
本発明の組成物の適用対象としては、哺乳動物(たとえば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ等)や、鳥類(たとえば、アヒル、ニワトリ、ガチョウ、七面鳥等)が挙げられる。
本発明の組成物をヒト以外の適用対象動物(以下、単に「対象動物」ともいう)に適用する場合、本発明の組成物の摂取量または投与量は、対象動物の種類、性別、体重等に応じて適宜設定すればよい。
上述した通り、本発明の組成物は、優れた睡眠改善作用を示す。後述するように、本発明の組成物は、特に、睡眠潜時(ノンレム睡眠潜時)を短縮して入眠に要する時間を短縮する効果、ノンレム睡眠の持続時間を増加させ、ノンレム睡眠量を増加させる効果を有することから、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害といった不眠の改善に有効である。
不眠の改善の具体的な態様としては、入眠障害の改善として寝つきの改善が、中途覚醒の改善として中途覚醒回数の減少、睡眠持続時間の改善が挙げられる。早期覚醒の改善として覚醒時間の正常化、睡眠持続時間の改善が、熟眠障害の改善として熟眠感の改善が挙げられる。
従って、本発明の組成物は、睡眠改善用組成物として有用であり、睡眠障害、特に、上記した入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害といった不眠の症状を呈する者に、好適に摂取させまたは投与することができる。
本発明の組成物は、そのまま、またはさらに上記した薬学的に許容される添加剤を加えて、医薬品(以下、本明細書において「本発明の医薬品」とも称する)として提供することができる。
本発明の医薬品は、錠剤、被覆錠剤、チュアブル錠、丸剤、(マイクロ)カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、エリキシル剤、リモナーゼ剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、経口ゼリー剤等の経口製剤、溶液状、懸濁液状、乳液状等の注射剤、用時溶解または懸濁して用いる固形状の注射剤、輸液剤、持続性注射剤等の注射用製剤、経管液剤等の剤形とすることができる。
本発明の医薬品は、睡眠障害、特に、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害といった不眠の症状を呈する者に、好適に投与され得る。
本発明の医薬品は、上記適用対象に対し、1日あたりに、グリシンおよび5−アミノレブリン酸の各投与量が、上記した1日あたりのそれぞれの投与量となるように、投与される。
また、本発明の医薬品は、睡眠改善効果の観点からは、就寝前に1回投与することが好ましい。
さらに、本発明の医薬品は、適用対象の睡眠障害が長期にわたり継続する場合や、一過性または短期の睡眠障害が繰り返し出現する場合等には、長期間連続して投与することができる。
さらに、本発明の組成物は、各種食品に添加して摂取させることができる。本発明の組成物が添加される食品は特に制限されず、一般的に食事やデザートに供される形態の食品であれば如何なるものでもよい。
たとえば、本発明の組成物を清涼飲料水等の飲料に添加し、所望により適当な風味を加えて、ドリンク剤とすることができる。
より具体的には、本発明の組成物は、たとえば、果汁飲料、スポーツ飲料等の清涼飲料水;牛乳、ヨーグルト等の乳製品;ゼリー、チョコレート、キャンディ等の菓子等に添加することができる。
本発明の組成物は、1日あたりに摂取される量の上記各種食品に対し、グリシンおよび5−アミノレブリン酸の各摂取量が、上記した1日あたりのそれぞれの摂取量となるように添加されることが好ましい。
また、本発明の組成物が添加された食品は、通常の食事またはデザートとして摂取させ得るが、睡眠改善効果の観点からは、就寝前に1回摂取させることが好ましい。
また、本発明の組成物は、そのまま、または必要に応じて一般的な食品添加物を加えて、通常の食品製造技術により、食品(以下、本明細書において「本発明の食品」とも称する)として提供することができる。
本発明の食品は、溶液状、懸濁液状、乳状等の液状;ゲル状、クリーム状等の半固形状;粉末状、顆粒状、シート状、カプセル状、タブレット状等の固形状等、種々の形態とすることができる。
さらに、本発明の食品は、本発明の組成物を各種食品原材料に加え、必要に応じて一般的な食品添加物を加えて、清涼飲料水(果汁飲料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、茶系飲料等)、乳製品(乳酸菌飲料、発酵乳、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等)、畜肉製品(ハム、ソーセージ、ハンバーグ等)、魚肉練り製品(蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等)、卵製品(だし巻き卵、卵豆腐等)、菓子(クッキー、ゼリー、チューイングガム、キャンディ、スナック菓子、冷菓等)、パン、麺類、漬物、干物、佃煮、スープ、調味料等、種々の形態の食品とすることができ、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルトパウチ食品であってもよい。
上記食品添加物としては、製造用剤(かんすい、結着剤等)、増粘安定剤(キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、ゲル化剤(ゼラチン、寒天、カラギーナン等)、ガムベース(酢酸ビニル樹脂、ジェルトン、チクル等)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、サポニン、レシチン等)、保存料(安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ε−ポリリシン等)、酸化防止剤(アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン等)、光沢剤(セラック、パラフィンワックス、ミツロウ等)、防かび剤(チアベンダゾール、フルジオキソニル等)、膨張剤(炭酸水素ナトリウム、グルコノδ−ラクトン、ミョウバン等)、甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、カンゾウ抽出物等)、苦味料(カフェイン、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物等)、酸味料(クエン酸、酒石酸、乳酸等)、調味料(L−グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸二ナトリウム等)、着色料(アナトー色素、ウコン色素、クチナシ色素等)、香料(アセト酢酸エチル、アニスアルデヒド等の合成香料、オレンジ、ラベンダー等の天然香料)等が挙げられる。
本発明において、上記食品添加物は、1種または2種以上を用いることができる。
本発明の食品は、睡眠障害、特に、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害といった不眠の症状を呈する者に好適に摂取させ得る。
また、本発明の食品は、ストレス等に起因する一過性の睡眠障害や、時差のある地域に旅行した場合に出現する睡眠障害等に対しても、幅広く摂取させることができる。
従って、本発明の食品は、睡眠改善用の特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の保健機能食品、病者用食品、高齢者用食品等の特別用途食品、健康補助食品等としても提供され得る。
本発明の食品は、上記適用対象に、1日あたりに、グリシンおよび5−アミノレブリン酸の各摂取量が、上記した1日あたりのそれぞれの摂取量となるように摂取させることが好ましい。
また、本発明の食品は、通常の食事またはデザートとして摂取させ得るが、睡眠改善効果の観点からは、就寝前に1回摂取させることが好ましい。
さらに本発明は、何らかの睡眠障害を呈する対象動物の睡眠の改善方法(以下、本明細書において「本発明の方法」ともいう)をも提供する。
本発明の方法は、何らかの睡眠障害を呈し、睡眠を改善する必要のある対象動物に、当該対象動物の睡眠を改善するのに有効な量のグリシンおよび5−アミノレブリン酸を摂取させること、または投与することを含む。
本発明の方法における対象動物としては、哺乳動物(たとえば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ等)や、鳥類(たとえば、アヒル、ニワトリ、ガチョウ、七面鳥等)が挙げられる。
本発明の方法は、睡眠障害の改善、特に、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害といった不眠の改善に有効である。
ヒトの場合、本発明の方法は、何らかの睡眠障害を呈する者、特に、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害といった不眠の症状を呈する者に好適に適用される。
本発明の方法におけるグリシンおよび5−アミノレブリン酸の有効量は、対象動物の種類、年齢、観察される睡眠障害の症状または状態等に応じて適宜決定されるが、本発明の組成物において、ヒトおよびヒト以外の対象動物について、上記した摂取量または投与量と同様の量を、上記した回数にて摂取させまたは投与することができる。
上記有効量のグリシンおよび5−アミノレブリン酸は、対象動物に対し、就寝前に1回摂取させまたは投与することが好ましい。
また、対象動物における睡眠障害が長期にわたって観察される場合や、一過性または短期間の睡眠障害が繰り返し観察される場合等には、グリシンおよび5−アミノレブリン酸の摂取または投与は、長期間にわたり連続して行うことができる。
さらに、本発明の方法におけるグリシンおよび5−アミノレブリン酸の摂取または投与方法としては、経口投与、経腸経管投与、輸液による投与等が挙げられるが、医療機関にて医師の指導監督下に行う必要がなく、簡便に摂取させることができることから、経口投与が好ましい。
以下に本発明について、実施例によりさらに詳細に説明する。
[試験例1]グリシンおよび5−アミノレブリン酸リン酸塩の睡眠に対する効果の検討(1)
SDラット(雄性、7週齢)を日本チャールスリバー株式会社より購入し、7週齢〜8週齢にて脳波測定のための施術を行い、10週齢〜19週齢の間に脳波の測定を行った。
上記のラットは表1に示す4群に分け、明暗ボックスに入れた後に、脳波の測定を開始した。暗室にて4時間経過した後に、表1に示す通り、各群にベヒクル(精製水)、グリシンおよび5−アミノレブリン酸リン酸塩をそれぞれ経口投与し、新しいケージに移して軽くストレスを負荷し、脳波の測定を継続した。
本試験は6回のクロスオーバー試験にて実施し、4回目までのデータを採用した。実験を繰り返す場合は、10日〜11日の間隔を空けて実施した。
(1)覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠および総睡眠の量
経口投与後240分間に観察された睡眠について、覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠および総睡眠の量(時間)を求め、各匹数のラットについての平均値+平均値の標準誤差にて、図1に示した。測定結果については、一元配置分散分析の後、ダネットの検定を行った。
図1中、「#」、「*」および「**」は、それぞれA群との間にP<0.1、P<0.05およびP<0.01にて有意差があることを示す。
図1に示されるように、B群(グリシン2g/kg体重投与群)、C群(グリシン2g/kg体重+5−アミノレブリン酸リン酸塩3mg/kg体重(5−アミノレブリン酸に換算した量=1.72mg/kg体重)投与群)およびD群(グリシン2g/kg体重+5−アミノレブリン酸リン酸塩10mg/kg体重(5−アミノレブリン酸に換算した量=5.72mg/kg体重)投与群)では、それぞれA群(ベヒクル投与群)に比べてノンレム睡眠量および総睡眠量の増加が認められた。ノンレム睡眠量については、B群とA群との間にP<0.1にて有意差が認められ、C群とA群との間にP<0.01にて有意差が認められ、D群とA群との間にP<0.05にて有意差が認められた。総睡眠量については、B群とA群との間にP<0.1にて有意差が認められ、C群およびD群の各群とA群との間にP<0.05にて有意差が認められた。
また、ノンレム睡眠量および総睡眠量は、C群およびD群で、B群よりも増加したことが認められた。
(2)睡眠潜時
経口投与後240分間に観察された睡眠について、睡眠潜時(最初にノンレム睡眠が観察されるまでの時間)を求め、A群とB群およびA群とC群との間で比較した。各群の睡眠潜時は、各匹数のラットについての平均値+平均値の標準誤差にて、図2に示した。睡眠潜時については、A群とB群、およびA群とC群との間でt検定を実施した。図2中、「*」はA群との間にP<0.05にて有意差があることを示す。
図2に示されるように、B群(グリシン2g/kg体重投与群)およびC群(グリシン2g/kg体重+5−アミノレブリン酸リン酸塩3mg/kg体重(5−アミノレブリン酸に換算した量=1.72mg/kg体重)投与群)では、A群(ベヒクル投与群)に比べて睡眠潜時が短縮される傾向が認められたが、C群では睡眠潜時の短縮がより明らかに認められた(P<0.05で有意)。
(3)ノンレム睡眠の持続時間
経口投与後240分間に観察されたノンレム睡眠について、1回あたりの持続時間の平均値を求め、各群の匹数のラットについての平均値+平均値の標準誤差にて、図3に示した。ノンレム睡眠の持続時間の平均値については、A群とB群〜D群の各群との間でクラスカル=ウォリスの順位に基づく分散分析の後、ダネットの検定を実施した。図3中、「#」および「*」は、それぞれA群との間にP<0.1、P<0.05にて有意差があることを示す。
図3に示されるように、ノンレム睡眠の1回あたりの持続時間は、B群(グリシン2g/kg体重投与群)ではA群(ベヒクル投与群)との間に有意差は見られなかったが、C群(グリシン2g/kg体重+5−アミノレブリン酸リン酸塩3mg/kg体重(5−アミノレブリン酸に換算した量=1.72mg/kg体重)投与群)およびD群(グリシン2g/kg体重+5−アミノレブリン酸リン酸塩10mg/kg体重(5−アミノレブリン酸に換算した量=5.72mg/kg体重)投与群)では、A群に比べて有意な増加が認められた(C群ではA群に比べてP<0.05にて有意、D群ではA群に比べてP<0.1にて有意)。
ラットの睡眠において観察された上記ノンレム睡眠の持続時間の延長効果から、ヒトにおいて中途覚醒および早期覚醒を改善する効果を有する可能性が示唆された。
[試験例2]グリシンおよび5−アミノレブリン酸リン酸塩の睡眠に対する効果:睡眠潜時に対する効果の検討(2)
SDラット(雄性、7週齢)を日本チャールスリバー株式会社より購入し、8週齢〜9週齢にて脳波測定のための施術を行い、10週齢〜15週齢の間に脳波の測定を行った。
上記のラットを、表2に示す通り3群に分け、明暗ボックスに入れた後に、脳波の測定を開始した。暗室にて4時間経過した後に、表2に示す試料をそれぞれ経口投与し、新しいケージに移して軽くストレスを負荷し、脳波の測定を継続した。
経口投与後240分間に観察された睡眠について睡眠潜時を求め、A群とB群およびA群とD群との間で比較した。各群の睡眠潜時は、7匹のラットについての平均値+平均値の標準誤差にて、図4に示した。睡眠潜時については、A群とB群およびA群とD群との間で対応のあるt検定を実施した。図4中、「*」はA群との間にP<0.05にて有意差があることを示す。
図4に示されるように、B群(グリシン2g/kg体重投与群)およびD群(グリシン2g/kg体重+5−アミノレブリン酸リン酸塩10mg/kg体重(5−アミノレブリン酸に換算した量=5.72mg/kg体重)投与群)では、A群(ベヒクル投与群)に比べて睡眠潜時が短縮される傾向が認められ、D群では睡眠潜時の短縮がより明確に認められた(P<0.05で有意)。
試験例1、2において、グリシンと5−アミノレブリン酸塩とを併用することにより、ノンレム睡眠量および総睡眠量の増加ならびに睡眠潜時の短縮が認められたことから、本発明の組成物について、入眠困難および熟眠障害に対する改善効果が示唆された。
さらに、グリシンと5−アミノレブリン酸塩とを併用することにより、ノンレム睡眠の持続時間の増加が認められたことから、本発明の組成物について、中途覚醒および早期覚醒の改善効果が示唆された。
[試験例3]グリシンおよび5−アミノレブリン酸リン酸塩の睡眠に対する効果の検討(3)
SDラット(雄性、7週齢)を日本チャールスリバー株式会社より購入し、8週齢にて脳波測定のための施術を行い、10週齢〜15週齢の間に脳波の測定を行った。
上記のラットは表3に示す4群に分け、明暗ボックスに入れた後に、脳波の測定を開始した。暗室にて2時間経過した後に、表3に示す通り、各群にベヒクル(精製水)、グリシンおよび5−アミノレブリン酸リン酸塩をそれぞれ経口投与し、新しいケージに移して軽くストレスを負荷し、脳波の測定を4時間行った。
本試験は4回のクロスオーバー試験で実施し、上記実験を繰り返す場合は、10日間の間隔を空けて実施した。
経口投与後240分間に観察された睡眠について、覚醒、ノンレム睡眠および総睡眠の量(時間)を求め、9匹のラットについての平均値+平均値の標準誤差にて、図5に示した。測定結果については、一元配置分散分析の後、ダネットの検定を行った。
図5中、「#」、「*」および「**」は、それぞれA群との間にP<0.1、P<0.05およびP<0.01にて有意差があることを示す。
図5に示されるように、ノンレム睡眠量については、B群(グリシン2g/kg体重投与群)ではA群(ベヒクル投与群)に比べて増加した(P<0.1にて有意)が、C群(5−アミノレブリン酸リン酸塩10mg/kg体重(5−アミノレブリン酸に換算した量=5.72mg/kg体重)投与群)では、A群に比べて有意な増加は認められなかった。一方、D群(グリシン2g/kg体重+5−アミノレブリン酸リン酸塩10mg/kg体重(5−アミノレブリン酸に換算した量=5.72mg/kg体重)投与群)では、A群に比べてより有意な(P<0.05)増加が認められた。
また、総睡眠量についても、B群ではA群に比べて増加した(P<0.05にて有意)が、C群ではA群に比べて有意な増加は認められなかった。D群では、A群に比べてより有意な(P<0.01)増加が認められた。
試験例3の結果から、ノンレム睡眠の増加および総睡眠量の増加といった睡眠改善効果はグリシン単独でも認められるが、5−アミノレブリン酸塩単独では認められないことが示された。また、単独では睡眠改善効果の認められない5−アミノレブリン酸塩を併用することにより、グリシンの有する睡眠改善効果が増強されることが示された。
[試験例4]ヒトにおけるグリシンおよび5−アミノレブリン酸摂取の効果の検討
(1)試験食品の調製
表4に示す通り、グリシン3.0gを含有する顆粒(アクティブ1)と、前記顆粒において、グリシン3.0gの代わりにパラチノース3.0gを含有する顆粒(プラセボ1)を、常法に従って調製した。
また、表5に示す通り、5−アミノレブリン酸リン酸塩3.0mg(5−アミノレブリン酸に換算した量=1.72mg)を含有するハードカプセル(アクティブ2)と、5−アミノレブリン酸リン酸塩をデキストリンに置き換えたハードカプセル(プラセボ2)を、常法に従って調製した。
(2)被験者
健常であるが、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI−J)におけるスコアが6点以上であり、睡眠に対してある程度の不満を有する成人(すなわち、不眠症等、治療を要する睡眠障害を有するには至っていないが、何らかの睡眠障害の自覚がある者)25名(男性19名、女性6名、平均年齢=47.6±1.8歳)を被験者とした。
(3)試験の実施
被験者を2群に分け、表6に示す試験食をブラインドにて、1日1回就寝前1時間以内に5日間(月〜金)各群に摂取させ、就寝時の脳波を測定した。本試験は、1週間のウォッシュアウト期間を設定し、クロスオーバー試験にて実施した。
就寝時の脳波測定は、額および頸部に電極パットを貼付し、スリープスコープ(SLEEPSCOPE)(スリープウェル株式会社)を用いて行い、就寝中に生じる中途覚醒の指標として、中途覚醒時間(Wake time after sleep onset)(WASO)を求めた。
脳波の解析は、試験食の各摂取期間の水、木、金の3日間のデータを基本として行った。測定不備などで脳波の測定値が得られない場合は、火曜日の測定値で補完した。なお、火曜日の測定値が採用できない場合は、月曜日の測定値で補完し、検定に用いた。
統計処理は、解析ソフトSAS(SAS 9.4)を用いて行い、A群とB群の群間比較にて、対応のあるt−検定を行なった。WASO値は各群の平均値+平均値の標準誤差で示した。
(4)結果
得られたWASO値は、A群が40.55+4.96分、B群が34.66+3.51分であり、A群に比べてB群で低下が認められた。また、B群とA群の間にP<0.1にて有意差が認められた。
本試験のピッツバーグ睡眠質問票(PSQI−J)におけるスコアの平均値は10.8点であった。
そこで、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI−J)におけるスコアが6点以上で10.8点未満である被験者11名(男性8名、女性3名、平均年齢=48.5±2.3歳)のWASO値を用いて再度解析を行った結果を、図6に示した。なお、図6中、「*」はA群とB群との間にP<0.05にて有意差があることを示す。
図6に示されるように、上記被験者11名におけるWASO値は、A群が44.86+8.03分、B群が36.84+5.71分であり、やはりA群に比べてB群で低下が認められたが、B群とA群の間にP<0.05にて有意差が認められた。
上記試験例4において、グリシンを含有する顆粒と5−アミノレブリン酸リン酸塩を含有するカプセルの双方を摂取させることにより、中途覚醒時間の低下が認められたことから、本発明の組成物が中途覚醒の改善効果を有することが示唆された。
なお、上記中途覚醒の改善効果は、治療を要する程度には至らない睡眠障害を有する者においても認められることが示唆された。
以上、詳述したように、本発明により、優れた睡眠改善作用を示し、睡眠改善用組成物として有用で、さらに安全性が高く、連続した摂取または投与に適する新規な組成物を提供することができる。
本発明の組成物は、特に睡眠潜時の短縮作用、中途覚醒、早期覚醒および熟眠障害の改善作用に優れ、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒または熟眠障害を呈する不眠の改善効果に優れる。
本願は、わが国で出願された特願2018−026414を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (9)

  1. グリシンと5−アミノレブリン酸とを含有する、組成物。
  2. グリシンが遊離体の形態で含有される、請求項1に記載の組成物。
  3. 5−アミノレブリン酸がリン酸塩の形態で含有される、請求項1または2に記載の組成物。
  4. グリシンと5−アミノレブリン酸の含有量比([グリシンの含有量]:[5−アミノレブリン酸の含有量])が、重量比にて10:1〜4000:1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 就寝前に1回摂取させまたは投与する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. ヒト成人の1日あたりのグリシンの摂取量または投与量が0.5g〜30gである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. ヒト成人の1日あたりの5−アミノレブリン酸の摂取量または投与量が0.1mg〜400mgである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 睡眠改善用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 入眠困難、中途覚醒、早期覚醒または熟眠障害の改善用である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
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