JPWO2018079573A1 - 消化管における吸収低下の改善用組成物、および消化管における吸収の促進用組成物 - Google Patents

消化管における吸収低下の改善用組成物、および消化管における吸収の促進用組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを有効成分として含有する、消化管における吸収低下の改善用組成物、または消化管における吸収の促進用組成物を提供する。本発明の上記組成物は、種々の原因により引き起こされる消化管における吸収の低下、特に、ストレスや運動による消化管における吸収の低下を良好に改善することができ、また、消化管における吸収を促進することができる。

Description

本発明は、消化管における吸収低下の改善用組成物に関する。また、本発明は、消化管における吸収の促進用組成物に関する。
消化管における栄養素の消化および吸収は、(1)腔内での酵素による脂肪、タンパク質、炭水化物の加水分解、(2)刷子縁酵素による消化および最終産物の取り込み、(3)栄養素のリンパ輸送、の三段階で行われ、これらの段階のいずれが障害されても、消化管における吸収は低下し、栄養素の吸収不良が起こる。
消化管における吸収低下は、ビルロートII法胃切除術、胃結腸瘻、胃腸吻合術の施術等による胃での混合不十分、迅速排出;胆道閉塞、慢性肝不全、慢性膵炎、嚢胞性線維症、ラクターゼ欠乏症、膵臓がん等による消化酵素の不足;糖尿病、強皮症、甲状腺機能亢進症に続発する異常運動性、腸内細菌異常増殖等による消化管内環境の悪化;急性腸感染症、アルコール、ネオマイシン等による粘膜上皮の急性異常;アミロイドーシス、セリアック病、クローン病等による粘膜上皮の慢性異常;無βリポタンパク血症、アジソン病、乳糜管閉塞リンパ腫、結核、リンパ管拡張等による輸送障害等により生じる。
また、消化管は、消化管内の有害な異物を体内に侵入させないシステム、すなわち消化管バリア機能を有するが、種々のストレス負荷が消化管バリア機能の異常を誘導し、それにより生じる異物の進入が、消化管や各種臓器の炎症、免疫システムの攪乱を引き起こすことが報告されている(非特許文献1)。
さらに、激しい運動による消化管のバリア機能の低下が報告されている(非特許文献2)。
かかる消化管バリア機能の低下は消化管の機能障害を引き起こし、その結果、消化管における消化吸収能が低下すると考えられる。
消化管における吸収が低下した状態が持続すると、吸収されずに体内に残存する物質により、下痢、脂肪便、腹部膨満、ガス等の症状が出現する。また、特定の栄養素の吸収不良は、貧血、紫斑、点状出血、手足痙縮、浮腫、舌炎、夜盲症、四肢、骨の疼痛、病的骨折、末梢神経障害等の症状を引き起こす。
それゆえ、種々の原因により引き起こされる消化管における吸収の低下に対して有効な改善用組成物が望まれている。
特に、現代社会においては、ストレスは日常的に継続して負荷され、その軽減が困難であることが多い。また、運動選手等、運動を避けることのできない者の健康を維持する上でも、ストレスや運動により引き起こされる消化管における吸収の低下を改善する必要性は高い。
鈴木卓弥; 上原記念生物科学財団研究報告集 26 1-6 (2012) Kim van Wijck et al.; Plos One 6 (7) e22366 (2011)
そこで、本発明は、種々の原因により引き起こされる消化管における吸収の低下に対する改善用組成物、特に、ストレスや運動により引き起こされる消化管における吸収の低下を良好に改善し得る改善用組成物を提供することを目的とした。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つが、消化管における吸収低下を改善し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つが、消化管における吸収を促進することを見出した。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを有効成分として含有する、消化管における吸収低下の改善用組成物。
[2]シスチンおよびグルタミンを含有する、[1]に記載の組成物。
[3]シスチンとグルタミンとの含有量比(シスチン:グルタミン)が、重量比にて1:0.01〜1:100である、[2]に記載の組成物。
[4]消化管における水の吸収低下の改善用組成物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]消化管における栄養素の吸収低下の改善用組成物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[6]栄養素が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラルからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[5]に記載の組成物。
[7]ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンDおよびビタミンEからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[6]に記載の組成物。
[8]医薬組成物である、[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]食品組成物である、[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[10]消化管における吸収低下を呈する対象に、消化管における吸収低下を改善するために有効な量のシスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを、摂取させることまたは投与することを含む、消化管における吸収低下の改善方法。
[11]消化管における吸収低下を改善するために有効な量のシスチンおよびグルタミンを、摂取させることまたは投与することを含む、[10]に記載の方法。
[12]シスチンおよびグルタミンを、シスチンとグルタミンとの含有量比(シスチン:グルタミン)が、重量比にて1:0.01〜1:100で摂取させることまたは投与することを含む、[11]に記載の方法。
[13]消化管における水の吸収低下を改善する、[10]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]消化管における栄養素の吸収低下を改善する、[10]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[15]栄養素が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラルからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[14]に記載の方法。
[16]ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンDおよびビタミンEからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[15]に記載の方法。
[17]シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを有効成分として含有する、消化管における吸収の促進用組成物。
[18]消化管における栄養素の吸収の促進用組成物である、[17]に記載の組成物。
[19]栄養素が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラルからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[18]に記載の組成物。
[20]医薬組成物である、[17]〜[19]のいずれかに記載の組成物。
[21]食品組成物である、[17]〜[19]のいずれかに記載の組成物。
[22]消化管における吸収の促進を要する対象に、消化管における吸収を促進するために有効な量のシスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを、摂取させることまたは投与することを含む、消化管における吸収の促進方法。
[23]消化管における栄養素の吸収を促進する、[22]に記載の方法。
[24]栄養素が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラルからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[23]に記載の方法。
本発明の消化管における吸収低下の改善用組成物は、種々の原因、特に、ストレスや運動により引き起こされる消化管における吸収の低下を改善することができる。
すなわち、本発明の消化管における吸収低下の改善用組成物は、消化管を介した水、栄養素等の吸収が、ストレス、運動等、何らかの原因により低下するのを抑制することができ、また、消化管を介した水、栄養素等の吸収を、何らかの原因により低下した状態から、正常な状態もしくは良好な状態に向上させることができる。
さらに、本発明の消化管における吸収の促進用組成物は、消化管を介した栄養素等の吸収を促進することができる。
試験例1において、ペプチドトランスポーター遺伝子の発現に対する運動およびシスチンの効果を示す図である。図中、「§」はP<0.1で有意傾向にある差が認められることを示し、「**」はP<0.01で有意であることを示す。 試験例1において、アミノ酸トランスポーター遺伝子の発現に対する運動およびグルタミンの効果を示す図である。図中、「*」はP<0.05で有意であることを示す。 試験例1において、スカベンジャーレセプタークラスB遺伝子の発現に対する運動およびグルタミンの効果を示す図である。図中、「§」はP<0.1で有意傾向にある差が認められることを示す。 試験例1において、ABCタンパク質G8遺伝子の発現に対する運動およびグルタミンの効果を示す図である。図中、「*」はP<0.05で有意であることを示し、「**」はP<0.01で有意であることを示す。 試験例1において、ABCタンパク質G5遺伝子の発現に対する運動およびシスチンの効果を示す図である。図中、「*」はP<0.05で有意であることを示し、「**」はP<0.01で有意であることを示す。 試験例1において、葉酸トランスポーター遺伝子の発現に対する運動およびグルタミンの効果を示す図である。図中、「*」はP<0.05で有意であることを示す。 試験例1において、ビオチニダーゼ遺伝子の発現に対する運動ならびにグルタミンおよびシスチンの効果を示す図である。図中、「**」はP<0.01で有意であることを示す。 試験例1において、ナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター遺伝子の発現に対する運動およびシスチンの効果を示す図である。図中、「*」はP<0.05で有意であることを示し、「**」はP<0.01で有意であることを示す。 試験例1において、アクアポリン遺伝子の発現に対する運動ならびにグルタミンおよびシスチンの効果を示す図である。図中、「**」はP<0.01で有意であることを示す。 試験例2において、グルコース吸収能に対する運動およびシスチンの効果を示す図である。図中、「*」はP<0.05で有意であることを示す。 試験例2において、ナトリウム依存性グルコーストランスポーター遺伝子の発現に対する運動およびシスチンの効果を示す図である。図中、「§」はP<0.1で有意傾向にある差が認められることを示し、「**」はP<0.01で有意であることを示す。 試験例3において、非運動時のグルコース吸収能に対するシスチンの効果を示す図である。 試験例4において、運動時のグルコース吸収能に対するシスチンおよびグルタミンの併用摂取の効果を示す図である。図中、「§」はP<0.1で有意傾向にある差が認められることを示す。
本発明の消化管における吸収低下の改善用組成物(以下、本明細書において「本発明の組成物」ともいう)は、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを有効成分として含有する。
本明細書において、「消化管における吸収低下」とは、腔内での酵素による脂肪、タンパク質、炭水化物の加水分解、刷子縁酵素による消化および最終産物の取り込み、栄養素のリンパ輸送等が、何らかの原因により障害された結果、消化管を介した水、栄養素等の吸収が低下することをいう。
なお、本明細書において、「消化管」とは、食物の消化吸収を行う器官であり、咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)および大腸をいう。
また、本明細書において、「吸収低下の改善」とは、上記した消化管を介した水、栄養素等の吸収の低下を抑制し、または、消化管を介した水、栄養素等の吸収を、低下した状態から正常な状態もしくは良好な状態に向上させることをいう。
本発明の組成物に有効成分として含有されるシスチン、すなわち3,3’−ジチオビス(2−アミノプロパン酸)、およびグルタミン、すなわち2−アミノ−4−カルバモイルブタン酸は、L−体、D−体、DL−体のいずれも使用可能であるが、好ましくは、L−体およびDL−体であり、さらに好ましくは、L−体である。
また、本発明において、シスチンおよびグルタミンは、遊離体のみならず、塩の形態でも使用することができる。本明細書における「シスチン」および「グルタミン」という語は、塩をも包含する概念である。塩の形態としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、薬理学上許容される塩を選択することが好ましい。
具体的には、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸との塩およびアミノ酸との塩等が挙げられる。
無機塩基との塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩、モルホリン、ピペリジン等の複素環式アミンとの塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸等のモノカルボン酸との塩;シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸等の飽和ジカルボン酸との塩;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸との塩;クエン酸等のトリカルボン酸との塩;α−ケトグルタル酸等のケト酸との塩が挙げられる。
アミノ酸との塩としては、グリシン、アラニン等の脂肪族アミノ酸との塩;フェニルアラニン等の芳香族アミノ酸との塩;リシン等の塩基性アミノ酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩;ピログルタミン酸等のラクタムを形成したアミノ酸との塩等が挙げられる。
上記した塩は、それぞれ水和物(含水塩)であってもよく、かかる水和物としては、たとえば1水和物〜6水和物等が挙げられる。
本発明においては、上記した遊離体および塩の形態の「シスチン」および「グルタミン」は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の目的には、「シスチン」および「グルタミン」のそれぞれについて、遊離体および塩酸塩等が好ましい。
本発明において、遊離体および塩の形態のシスチンおよびグルタミンは、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、あるいは、化学合成法、発酵法、酵素法又は遺伝子組換え法等によって得られるもののいずれを使用してもよいが、各社より提供されている市販の製品を利用してもよい。
本発明の組成物は、少なくとも、遊離体および塩の形態のシスチンの1種以上、および遊離体および塩の形態のグルタミンの1種以上のいずれかを含有する。
本発明の組成物におけるシスチンの含有量は、本発明の組成物におけるアミノ酸の全含有量に対し、0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%〜90重量%であることがより好ましく、5重量%〜50重量%であることがさらに好ましい。
また、本発明の組成物におけるグルタミンの含有量は、本発明の組成物におけるアミノ酸の全含有量に対し、0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%〜90重量%であることがより好ましく、5重量%〜50重量%であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、本発明の組成物におけるシスチンおよびグルタミンのそれぞれの含有量は、当該アミノ酸が塩の形態で含有される場合、遊離体に換算した含有量で表す。
後述するように、シスチンとグルタミンは、それぞれ小腸の異なる消化吸収関連遺伝子に対し、発現の低下を抑制しもしくは低下した発現を回復させ、または発現増加を促すことから、本発明の組成物には、シスチンおよびグルタミンの双方を含有させることが好ましい。
本発明の組成物が、シスチンおよびグルタミンの双方を含有する場合、これらの含有量比(シスチン:グルタミン)は、重量比にして1:0.01〜1:100であることが好ましく、1:0.1〜1:10であることがより好ましい。
本発明の組成物は、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つの他に、さらに糖質、脂質、タンパク質、シスチンおよびグルタミン以外のアミノ酸、ビタミン、ミネラル等の他の栄養成分を含有していてもよい。
本発明の組成物は、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つに、必要に応じて、他の栄養成分や、薬学的に許容される添加剤を加えて、製剤の分野で周知の製剤化手段、たとえば第十七改正日本薬局方製剤総則[3]製剤各条に記載された方法等により、溶液、懸濁液、乳濁液等の液状;ゲル、クリーム等の半固形状;粉末、顆粒、錠剤、カプセル等の固形状等、種々の形態とすることができる。
上記薬学的に許容される添加剤は、本発明の組成物の形態に応じて適宜選択することができ、たとえば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、被覆剤、基剤、溶剤、溶解補助剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、安定化剤、粘稠剤、無痛化剤、等張化剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、保存剤、矯味剤、甘味剤、香料、着色剤等が挙げられる。
具体的には、賦形剤としては、たとえば、炭酸マグネシウム、糖類(グルコース、ラクトース、コーンスターチ等)、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール等)等が挙げられる。
結合剤としては、たとえば、ゼラチン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、セルロースおよびその誘導体(結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等が挙げられる。
崩壊剤としては、たとえば、クロスポビドン、ポビドン、結晶セルロース等が挙げられる。
滑沢剤としては、たとえば、タルク、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
被覆剤としては、たとえば、メタクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体等が挙げられる。
基剤としては、たとえば、動植物性油脂(オリブ油、カカオ脂、牛脂、ゴマ油、硬化油、ヒマシ油等)、ロウ(カルナウバロウ、ミツロウ等)、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
溶剤としては、たとえば、精製水、注射用水、一価アルコール(エタノール等)、多価アルコール(グリセリン等)等が挙げられる。
溶解補助剤としては、たとえば、プロピレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
可溶化剤、乳化剤、分散剤および懸濁化剤としては、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート20、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤等が挙げられる。
安定化剤としては、たとえば、アジピン酸、β−シクロデキストリン、エチレンジアミン、エデト酸ナトリウム等が挙げられる。
粘稠剤としては、たとえば、水溶性高分子(ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等)、多糖類(アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガント等)等が挙げられる。
無痛化剤としては、たとえば、アミノ安息香酸エチル、クロロブタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
等張化剤としては、たとえば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、生理食塩水等が挙げられる。
pH調整剤としては、たとえば、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
抗酸化剤としては、たとえば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸等が挙げられる。
防腐剤および保存剤としては、たとえば、パラベン(メチルパラベン等)、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸等が挙げられる。
矯味剤としては、たとえば、アスコルビン酸、エリスリトール、L−グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
甘味剤としては、たとえば、アスパルテーム、カンゾウエキス、サッカリン等が挙げられる。
香料としては、たとえば、l−メントール、d−カンフル、バニリン等が挙げられる。
着色剤としては、たとえば、タール色素(食用赤色2号、食用青色1号、食用黄色4号等)、無機顔料(三二酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄等)、天然色素(ウコン抽出液、β−カロテン、銅クロロフィリンナトリウム等)等が挙げられる。
本発明においては、上記添加剤は、1種または2種以上を用いることができる。
本発明の組成物の1日あたりの摂取量または投与量は、適用される対象(以下本明細書において、「適用対象」ともいう)の種類、性別、年齢、適用対象において観察される消化管における吸収低下の状態およびその程度、ならびに本発明の組成物の形態、投与方法等により適宜決定されるが、適用対象がヒト成人である場合、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つの量(遊離体に換算した量)(シスチンおよびグルタミンを併用する場合はこれらの総量(遊離体に換算した量の総量))にして、通常0.1mg/kg〜5000mg/kg、好ましくは1mg/kg〜2500mg/kg、より好ましくは10mg/kg〜1000mg/kgである。
上記の量は、1回で摂取させまたは投与してもよく、1日数回(2〜3回)に分けて摂取させまたは投与してもよい。
また、本発明の組成物の摂取または投与期間も、適用対象に観察される消化管における吸収低下の状態およびその程度等に応じて適宜設定される。消化管における吸収低下が、日常的に負荷されるストレスに起因して引き起こされる場合や、継続して実施される運動により引き起こされる場合等においては、本発明の組成物は、長期間にわたり継続して摂取させまたは投与することが好ましい。
本発明の組成物は、単位包装形態とすることができる。本明細書において「単位包装形態」とは、特定量(たとえば、1回あたりの摂取量または投与量等)を1単位とし、該1単位又は2単位以上が一つの容器に充填され、または包装体に包装される等して収容された形態をいい、たとえば、1回あたりの摂取量または投与量を1単位とする単位包装形態は、「1回あたりの摂取量または投与量単位の包装形態」と称する。単位包装形態に用いられる容器または包装体は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択し得るが、たとえば、紙製の容器または袋体、プラスチック製の容器または袋体、パウチ、アルミ缶、スチール缶、ガラス瓶、ペットボトル、PTP(press through pack)包装シート等が挙げられる。
本発明の組成物の適用対象としては、哺乳動物(たとえば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ等)や、鳥類(たとえば、アヒル、ニワトリ、ガチョウ、七面鳥等)等が挙げられる。
本発明の組成物をヒト以外の適用対象動物(以下、単に「対象動物」ともいう)に適用する場合、本発明の組成物の摂取量または投与量は、対象動物の種類、性別、体重等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の組成物は、種々の原因により生じる消化管における水や栄養素等の吸収低下を良好に改善することができる。なかでも、ストレス負荷や運動により誘導される消化管障害等により生じる水、栄養素等の吸収低下に対してより有効である。
ここで、本発明の組成物により消化管における吸収低下が改善され得る栄養素としては、植物性タンパク質(ダイズタンパク質等)、動物性タンパク質等のタンパク質;ペプチド;必須アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン、スレオニン等)、非必須アミノ酸(グリシン、アラニン等)等のアミノ酸;単糖類(ブドウ糖、果糖等)、二糖類(麦芽糖、ショ糖等)、オリゴ糖(マルトトリオース等)、デキストラン、デキストリン、デンプン等の糖質;単純脂質(アシルグリセロール等)、複合脂質(グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質等)、誘導脂質(脂肪酸、カロテノイド、コレステロール等)等の脂質;ビタミンA(レチノール、レチナール、レチノイン酸等)、ビタミンB群(ビタミンB(チアミン)、ビタミンB(リボフラビン)、ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)、ビタミンB(ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシン)、ビオチン、葉酸、パントテン酸、ビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン)等)、ビタミンC(アスコルビン酸等)、ビタミンD(コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール等)、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール等)、ビタミンK(フィロキノン、メナキノン、メナジオン等)等のビタミン;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸二カリウム、硫酸マグネシウム等のミネラル等が挙げられる。
本発明の組成物は、後述するように、小腸上皮細胞において、栄養素の吸収に関与するトランスポーター(solute carrier transporter群(SLCファミリー)、ATP binding cassette transporter(ABC)群(ABCファミリー)、グルコーストランスポーター(GLUT)、ナトリウム依存性グルコーストランスポーター(SGLT))や、水やミネラルの吸収に関与するアクアポリンの遺伝子発現に対し、ストレス負荷や運動による低下を抑制し、もしくは低下した発現を回復させ、または発現を増加させて、水や栄養素の消化管における吸収の低下を改善し得る。
ビタミンの吸収低下に関しては、特に、ビオチニダーゼ、葉酸トランスポーター、ナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター、および脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE等)の吸収に関与するトランスポーター(スカベンジャーレセプタークラスB等)の遺伝子の発現に対し、ストレス負荷や運動による低下を抑制し、もしくは低下した発現を回復させ、または発現を増加させて、ビタミンB群(ビオチン、葉酸、パントテン酸等)および脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE等)の消化管における吸収の低下を改善することができる。
本発明の組成物は、消化管における水や栄養素の吸収の低下を改善することができ、水や栄養素の吸収不良により生じる種々の症状の発現を防止し、または前記症状を改善することができる。
水の吸収不良により生じる症状としては、脱水症、熱中症等が挙げられる。
栄養素の吸収不良により生じる症状としては、鉄の吸収不良による低色素性貧血;ビタミンB12、葉酸の吸収不良による大球性貧血;ビタミンKおよびビタミンCの吸収不良による出血、紫斑、点状出血;カルシウム、マグネシウムの吸収不良による手足痙縮;タンパク質の吸収不良による浮腫;ビタミンBおよびB12、葉酸、ナイアシン、鉄の吸収不良による舌炎;ビタミンAの吸収不良による夜盲症;カリウム、マグネシウム、カルシウム、ビタミンDの吸収不良による四肢、骨の疼痛、病的骨折;ビタミンB、B、B12の吸収不良による末梢神経障害等が挙げられる。
従って、本発明の組成物は、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈する者に好適に摂取させまたは投与される。
上述したように、本発明の組成物は、ストレスや運動に起因する消化管における水、栄養素等の吸収低下に対しより有効であるため、ストレス負荷や運動により、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈する者に、より好適に摂取させまたは投与され得る。
それゆえ、本発明の組成物は、日常的にストレスにさらされる者や、日常的に運動を続ける必要のある者(たとえば運動療法を行っている患者等)、または日常的に激しい運動を行う運動選手等において、消化管における水、栄養素等の吸収低下を改善するために、より好適に摂取させまたは投与され得る。
なお、日常的に運動を続ける必要のある者や運動選手等に本発明の組成物を摂取させまたは投与する場合、本発明の組成物は運動を行う前、運動の途中または運動後のいずれにおいて摂取させまたは投与してもよい。
本発明の組成物は、医薬組成物(以下、本明細書において「本発明の医薬組成物」とも称する)として提供することができる。
本発明の医薬組成物は、そのまま、または必要に応じて上記した薬学的に許容される添加剤を加えて、錠剤、被覆錠剤、チュアブル錠、丸剤、(マイクロ)カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、エリキシル剤、リモナーゼ剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、経口ゼリー剤等の経口製剤、溶液状、懸濁液状、乳液状等の注射剤、用時溶解または懸濁して用いる固形状の注射剤、輸液剤、持続性注射剤等の注射用製剤、経管液剤等の剤形とすることができる。
本発明の医薬組成物は、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈し、水、栄養素等の吸収不良による症状を有する患者、または、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈し、水、栄養素等の吸収不良による症状を発現するおそれのある患者等に対し、好適に投与され得る。
また、本発明の医薬組成物は、ストレスによる消化管障害等により、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈する患者や、運動療法を継続し、運動により消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈する患者、または、激しい運動により、消化管における水、栄養素等の吸収低下を来した者に対し、より好適に投与することができる。
本発明の医薬組成物は、上記適用対象に対し、1日あたりに、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つの投与量が、上記した1日あたりの投与量となるように、投与される。
さらに、本発明の組成物は、各種食品に添加して摂取させることができる。本発明の組成物が添加される食品は特に制限されず、一般的に食事やデザートに供される形態の食品であれば如何なるものでもよい。
たとえば、本発明の組成物を清涼飲料水等の飲料に添加し、所望により適当な風味を加えて、ドリンク剤とすることができる。
より具体的には、本発明の組成物は、たとえば、果汁飲料、スポーツ飲料等の清涼飲料水;牛乳、ヨーグルト等の乳製品;ゼリー、チョコレート、キャンディ等の菓子等に添加することができる。
本発明の組成物は、1日あたりに摂取される量の上記各種食品に対し、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つの摂取量が、上記した1日あたりの摂取量となるように添加されることが好ましい。
また、本発明の組成物は、食品組成物(以下、本明細書において「本発明の食品組成物」とも称する)として提供することができる。
本発明の食品組成物は、そのまま、または必要に応じて一般的な食品添加物を加え、通常の食品製造技術により、液状、懸濁液状、乳状、ゲル状、クリーム状、粉末状、顆粒状、シート状、カプセル状、タブレット状等、種々の形態とすることができる。
さらに、本発明の食品組成物は、本発明の組成物を各種食品原材料に加え、必要に応じて一般的な食品添加物を加えて、清涼飲料水(果汁飲料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、茶系飲料等)、乳製品(乳酸菌飲料、発酵乳、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等)、畜肉製品(ハム、ソーセージ、ハンバーグ等)、魚肉練り製品(蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等)、卵製品(だし巻き、卵豆腐等)、菓子(クッキー、ゼリー、チューイングガム、キャンディ、スナック菓子、冷菓等)、パン、麺類、漬物、干物、佃煮、スープ、調味料等、種々の形態の食品とすることができ、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルトパウチ食品であってもよい。
上記食品添加物としては、製造用剤(かんすい、結着剤等)、増粘安定剤(キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、ゲル化剤(ゼラチン、寒天、カラギーナン等)、ガムベース(酢酸ビニル樹脂、ジェルトン、チクル等)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、サポニン、レシチン等)、保存料(安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ε−ポリリシン等)、酸化防止剤(アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン等)、光沢剤(セラック、パラフィンワックス、ミツロウ等)、防かび剤(チアベンタゾール、フルジオキソニル等)、膨張剤(炭酸水素ナトリウム、グルコノδ−ラクトン、ミョウバン等)、甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、カンゾウ抽出物等)、苦味料(カフェイン、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物等)、酸味料(クエン酸、酒石酸、乳酸等)、調味料(L−グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸二ナトリウム等)、着色料(アナトー色素、ウコン色素、クチナシ色素等)、香料(アセト酢酸エチル、アニスアルデヒド等の合成香料、オレンジ、ラベンダー等の天然香料)等が挙げられる。
本発明において、上記食品添加物は、1種または2種以上を用いることができる。
本発明の食品組成物は、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈する者、または、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈するおそれのある者に対し、好適に摂取させ得る。
また、本発明の食品組成物は、日常的にストレスにさらされ、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈するおそれのある者、または、運動療法を行っている者や運動選手等、運動により、消化管における水、栄養素等の吸収低下を呈するおそれのある者に対し、より好適に摂取させ得る。
従って、本発明の食品は、消化管における水、栄養素等の吸収低下の改善用の保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等)、特別用途食品(病者用食品、高齢者用食品等)、健康補助食品、ダイエタリーサプリメント等としても提供され得る。
本発明の食品組成物は、上記適用対象に、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つの摂取量が、上記した1日あたりの摂取量となるように摂取させることが好ましい。
上記した本発明の組成物は、消化管における吸収の低下を改善するのみならず、消化管における吸収を促進する効果を示す。
従って、本発明の組成物は、消化管における吸収の促進用組成物としても機能する。ここで、「消化管における吸収の促進」とは、消化管における栄養素等の吸収を、通常よりも向上させることをいう。
従って、本発明は、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを有効成分として含有する、消化管における吸収の促進用組成物をも提供する。
本発明の消化管における吸収の促進用組成物は、医薬組成物または食品組成物として提供することができ、また、食品に添加して摂取させることもできる。
本発明の消化管における吸収の促進用組成物について、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つの1日あたりの摂取量または投与量、1日あたりの摂取または投与の回数、摂取または投与期間等は、上記した消化管における吸収の低下の改善用組成物の場合と同様である。
本発明の消化管における吸収の促進用組成物は、より多くの栄養素を必要とする者、たとえば作業量の多い労働に従事する者、日常的に激しい運動を行うスポーツ選手、成長期にある児童、青少年等に対し、好適に摂取させまたは投与することができる。
さらに本発明は、消化管における吸収低下を改善する必要のある対象動物の消化管における吸収低下の改善方法(以下、本明細書において「本発明の方法」ともいう)をも提供する。
本発明の方法は、消化管における吸収低下を改善する必要のある対象動物に、当該対象動物の消化管における吸収低下を改善するのに有効な量のシスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを摂取させること、または投与することを含む。
本発明の方法における対象動物としては、哺乳動物(たとえば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ等)や、鳥類(たとえば、アヒル、ニワトリ、ガチョウ、七面鳥等)等が挙げられる。
本発明の方法は、種々の原因により生じる消化管における吸収低下の改善に有効であり、ストレスや運動に起因する消化管における吸収低下の改善に、より有効である。
ヒトの場合、本発明の方法は、消化管における吸収低下を呈する患者、特に、ストレスによる消化管障害等により、消化管における吸収低下を呈する者、または日常的にストレスにさらされ、消化管における吸収低下を来すおそれのある者、あるいは、運動療法を行っている患者や運動選手であって、消化管における吸収低下を呈し、または消化管における吸収低下を来すおそれのある者等に、好適に適用される。
本発明の方法におけるシスチンおよびグルタミンの少なくとも一つの有効量は、対象動物の種類、年齢、性別、消化管における吸収低下の症状または程度等に応じて決定されるが、本発明の組成物において、ヒトおよびヒト以外の対象動物について、上記した摂取量または投与量と同様の量を、上記した回数および期間にて摂取させまたは投与することができる。
さらに、本発明の方法において、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを摂取させまたは投与する方法としては、経口投与、経腸経管投与、輸液による投与等が挙げられるが、医療機関にて医師の指導監督下に行う必要がなく、簡便に摂取させることができることから、経口投与が好ましい。
上記の通り、シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つは、消化管における吸収の低下を改善するのみならず、消化管における吸収を促進する効果を有するため、本発明は、消化管における吸収を促進する必要のある対象動物に、当該対象動物の消化管における吸収を促進するのに有効な量のシスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを摂取させること、または投与することを含む、消化管における吸収の促進方法をも提供する。
シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つの有効量、摂取または投与の回数および期間等は、消化管における吸収の低下の改善方法の場合と同様である。
本発明の消化管における吸収の促進方法は、作業量の多い労働に従事する者、日常的に激しい運動を行うスポーツ選手、成長期にある児童、青少年等、より多くの栄養素を要する者に対し、好適に適用され得る。
以下に本発明について、実施例によりさらに詳細に説明する。
[試験例1]小腸の消化吸収関連遺伝子の発現に対するシスチンおよびグルタミンの効果の検討
7週齢の雄性CD2F1マウス(日本チャールス・リバー株式会社)を4群(「Sed」、「Ex」、「Ex+Gln」および「Ex+Cys2」の各群)に群分けし(n=6/群)、Sed群およびEx群に対しては、標準精製飼料(AIN−93G組成)を、Ex+Gln群に対しては、カゼインと置き換えることにより、グルタミン(2重量%)を添加した標準精製飼料(AIN−93G組成)を、Ex+Cys2群に対しては、カゼインと置き換えることにより、シスチン(2重量%)を添加した標準精製飼料(AIN−93G組成)を、それぞれ7日間摂取させた。その後、各群を一晩絶食させ、Ex群、Ex+Gln群およびEx+Cys2群については、回転車内で4時間走行させた(速度=10.5m/min)。Ex群、Ex+Gln群およびEx+Cys2群を走行運動させている間、Sed群については絶食を継続した。走行終了1時間後に各群のマウスより小腸を採取し、Rneasy Lipid Tissue Mini Kit(キアゲン(QIAGEN)社)を用いてtotal RNAを抽出した。網羅的遺伝子発現の測定には、GeneChip Mouse Genome 430 2.0(3’IVT)アレイ(アフィメトリックス(Affymetrix)社)を用いた。各群の遺伝子発現量の差については、一元配置分散分析の後にダネットの検定を行った。
タンパク質およびペプチドの吸収に関与するペプチドトランスポーター、アミノ酸の吸収に関与するアミノ酸トランスポーター、脂質や脂溶性ビタミンの吸収に関与するスカベンジャーレセプタークラスB、コレステロールの吸収に関与するABCタンパク質G8およびABCタンパク質G5、葉酸の吸収に関与する葉酸トランスポーター、ビオチンの吸収に関与するビオチニダーゼ、パントテン酸、ビオチンおよびリポ酸の吸収に関与するナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター、ならびに水およびミネラルの吸収に関与するアクアポリンのそれぞれをコードする遺伝子(Slc15a1、Slc7a7、Scarb1、Abcg8、Abcg5、Slc46a1、Btd、Slc5a6およびAqa3)の発現量を、それぞれのmRNA量にて図1〜9に示した。各群のmRNA量の測定結果は、6匹のマウスの平均値±平均値の標準誤差にて示した。
図1〜図9に示されるように、標準精製飼料を摂取させて運動させなかった群(Sed)に比べて、標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex)では、上記各遺伝子の発現量が低下した(ペプチドトランスポーター、スカベンジャーレセプタークラスBの各遺伝子についてはP<0.1で有意傾向、アミノ酸トランスポーター、葉酸トランスポーターの各遺伝子についてはP<0.05で有意、ABCタンパク質G8、ABCタンパク質G5、ビオチニダーゼ、ナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター、アクアポリンの各遺伝子についてはP<0.01で有意)。この結果から、4時間の走行運動により、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラルおよび水の吸収が低下することが確認された。
一方、図1、図5、図7〜図9に示されるように、標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex)に比べて、シスチンを添加した標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex+Cys2)では、ペプチドトランスポーター、ABCタンパク質G5、ビオチニダーゼ、ナトリウム依存性マルチビタミントランスポーターおよびアクアポリンの各遺伝子の発現が増加した(ペプチドトランスポーター、ビオチニダーゼ、アクアポリンの各遺伝子についてはP<0.01で有意、ABCタンパク質G5、ナトリウム依存性マルチビタミントランスポーターについてはP<0.05で有意)。
また、図2〜図4、図6、図7、図9に示されるように、標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex)に比べて、グルタミンを添加した標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex+Gln)では、アミノ酸トランスポーター、スカベンジャーレセプタークラスB、ABCタンパク質G8、葉酸トランスポーター、ビオチニダーゼおよびアクアポリンの各遺伝子の発現が増加した(アミノ酸トランスポーター遺伝子についてはP=0.1で有意傾向、スカベンジャーレセプタークラスB遺伝子についてはP<0.1で有意傾向、ABCタンパク質G8、葉酸トランスポーターの各遺伝子についてはP<0.05で有意、ビオチニダーゼ、アクアポリンの各遺伝子についてはP<0.01で有意)。
上記の結果から、シスチンおよびグルタミンは、運動による水や栄養素の吸収の低下を改善することが示された。また、シスチンとグルタミンでは、発現の低下の抑制もしくは回復、または発現の増加を促す小腸の消化吸収関連遺伝子が異なることが認められた。
従って、運動による水および栄養素の吸収低下を有効に改善するには、シスチンおよびグルタミンを併用することが好ましいことが示唆された。
[試験例2]小腸の糖質吸収およびナトリウム依存性グルコーストランスポーター遺伝子発現に対する運動およびシスチンの効果の検討
7週齢の雄性CD2F1マウス(日本チャールス・リバー株式会社)を3群(「Sed」、「Ex」、および「Ex+Cys2」の各群)に群分けし(n=12/群)、Sed群およびEx群に対しては、標準精製飼料(AIN−93G組成)を、Ex+Cys2群に対しては、カゼインと置き換えることにより、シスチン(2重量%)を添加した標準精製飼料(AIN−93G組成)を、それぞれ7日間摂取させた。その後、各群を一晩絶食させ、Ex群およびEx+Cys2群については、回転車内で4時間走行させた(速度=10.5m/min)。Ex群およびEx+Cys2群を走行運動させている間、Sed群については絶食を継続した。走行終了直後に小腸を採取し、KirKらの方法(ADVANCES In Physiology Education 37 (4) 415-426 (2013))に従って腸管反転サンプルを作製した。なお、腸管反転サンプルには、幽門部より4cmの箇所から下8cmの部分を用いた。
作製した各群の腸管反転サンプルの漿膜側および絨毛側に、それぞれ10mMグルコースを含むリンゲル緩衝液を添加し、酸素供給下、37℃で90分間インキュベーションを行った。その後、腸管反転サンプルを取り出し、漿膜側および絨毛側のリンゲル緩衝液中のグルコース濃度を、グルコース測定用キット(「グルコースCIIテストワコー」(和光純薬工業株式会社))を用いて測定した。各群のグルコース吸収能は、絨毛側と漿膜側とのグルコース濃度の差により算出した。
さらに、腸管反転サンプルの作製に用いた小腸の一部から、Rneasy Lipid Tissue Mini Kit(キアゲン(QIAGEN)社)を用いて、total RNAを抽出した。ナトリウム依存性グルコーストランスポーター遺伝子(SGLT1)発現の測定には、QuantStudio 12K Flex Real−Time PCR System(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)社)を用いた。各群のグルコース吸収能および遺伝子発現量の差については、一元配置分散分析の後ダネットの検定を行った。
各群のグルコース吸収能について、絨毛側と漿膜側とのグルコース濃度の差により図10に示した。また、ナトリウム依存性グルコーストランスポーター遺伝子(SGLT1)発現量について、mRNA量により図11に示した。これらは、12匹のマウスの平均値±平均値の標準誤差にて示した。
図10に示されるように、標準精製飼料を摂取させて運動させなかった群(Sed)に比べて、標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex)では、グルコース吸収能が低下した。
一方、標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex)に比べて、シスチンを添加した標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex+Cys2)では、有意(P<0.05)にグルコース吸収能が向上した。
さらに、Ex+Cys2におけるグルコースの吸収能は、Sed群よりも高いことから、シスチンの摂取により、運動によるグルコース吸収能の低下が改善されただけでなく、グルコース吸収能が向上したことが認められた。
また、図11に示されるように、標準精製飼料を摂取させて運動させなかった群(Sed)に比べて、標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex)では、グルコースの吸収に関与するナトリウム依存性グルコーストランスポーターの遺伝子(SGLT1)の発現が増加した(P<0.01で有意)。さらに標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex)に比べて、シスチンを添加した標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex+Cys2)では、SGLT1の発現が増加する傾向が認められた(P<0.1で有意傾向)。
試験例2の上記結果から、4時間の走行運動によりグルコース吸収能は低下するが、シスチンの摂取によりその低下が改善され、さらに、シスチンの摂取により、グルコース吸収能は、通常レベルよりも増強されることが確認された。
また、シスチンが、ナトリウム依存性グルコーストランスポーター(SGLT1)遺伝子の発現を、通常よりも増加させることが確認された。
[試験例3]非運動時おける小腸の糖質吸収に対するシスチンの効果の検討
7週齢の雄性CD2F1マウス(日本チャールス・リバー株式会社)を2群(「Sed」および「Sed+Cys2」の各群)に群分けし(n=6/群)、Sed群に対しては、標準精製飼料(AIN−93G組成)を、Sed+Cys2群に対しては、カゼインと置き換えることにより、シスチン(2重量%)を添加した標準精製飼料(AIN−93G組成)を、それぞれ7日間摂取させた。次いで、各群を一晩絶食させてから小腸を採取し、KirKらの方法(ADVANCES In Physiology Education 37 (4) 415-426 (2013))に従って腸管反転サンプルを作製した。なお、腸管反転サンプルには、幽門部より4cmの箇所から下8cmの部分を用いた。
各群の腸管反転サンプルの漿膜側および絨毛側に、それぞれ10mMグルコースを含むリンゲル緩衝液を添加し、酸素供給下、37℃で90分間インキュベーションを行った。その後、腸管反転サンプルを取り出し、漿膜側および絨毛側のリンゲル緩衝液中のグルコース濃度を、グルコース測定用キット(「グルコースCIIテストワコー」(和光純薬工業株式会社))を用いて測定した。各群のグルコース吸収能は、絨毛側と漿膜側とのグルコース濃度の差により算出した。各群のグルコース吸収能の差については、2群間比較t−検定を行った。
各群のグルコース吸収能について、絨毛側と漿膜側とのグルコース濃度の差により図12に示した。グルコース濃度の差の測定結果は、6匹のマウスの平均値±平均値の標準誤差にて示した。
図12に示されるように、標準精製飼料を摂取させた群(Sed)に比べて、シスチンを添加した標準精製飼料を摂取させた群(Sed+Cys2)では、グルコース吸収能が向上したことが認められた。
上記試験例3の結果から、非運動時において、シスチンの摂取により、グルコース吸収能が向上し、グルコースの吸収が促進されることが確認された。
[試験例4]運動時における小腸の糖質吸収に対するシスチンおよびグルタミンの併用摂取の効果の検討
7週齢の雄性CD2F1マウス(日本チャールス・リバー株式会社)を3群(「Ex」、「Ex+CG1」および「Ex+CG2」の各群)に群分けし(n=6〜8/群)、Ex群に対しては、標準精製飼料(AIN−93G組成)を、Ex+CG1群に対しては、カゼインと置き換えることにより、シスチン(0.6重量%)およびグルタミン(2.0重量%)を添加した標準精製飼料(AIN−93G組成)を、Ex+CG2群に対してはカゼインと置き換えることにより、シスチン(2.0重量%)およびグルタミン(2.0重量%)を添加した標準精製飼料(AIN−93G組成)をそれぞれ7日間摂取させた。
その後、各群を一晩絶食させ、回転車内で4時間走行させた(速度=10.5m/min)。走行終了直後に小腸を採取し、KirKらの方法(ADVANCES In Physiology Education 37 (4) 415-426 (2013))に従って腸管反転サンプルを作製した。なお、腸管反転サンプルには、幽門部より4cmの箇所から下8cmの部分を用いた。
作製した各群の腸管反転サンプルの漿膜側および絨毛側に、それぞれ10mMグルコースを含むリンゲル緩衝液を添加し、酸素供給下、37℃で90分間インキュベーションを行った。その後、腸管反転サンプルを取り出し、漿膜側および絨毛側のリンゲル緩衝液中のグルコース濃度を、グルコース測定用キット(「グルコースCIIテストワコー」(和光純薬工業株式会社))を用いて測定した。各群のグルコース吸収能は、絨毛側と漿膜側とのグルコース濃度の差により算出した。
各群のグルコース吸収能の差については、一元配置分散分析の後、ダネットの検定を行った。
各群のグルコース吸収能について、絨毛側と漿膜側とのグルコース濃度の差により図13に示した。グルコース濃度の差の測定結果は、6〜8匹のマウスの平均値±平均値の標準誤差にて示した。
図13に示されるように、標準精製飼料を摂取させて運動させた群(Ex)に比べて、シスチンとグルタミンを添加した標準精製飼料を摂取させた群(Ex+CG1およびEx+CG2)では、グルコース吸収能が向上する傾向が認められた(ExとEx+CG2の間においてP<0.1で有意傾向)。
上記試験例4の結果から、運動時において、シスチンとグルタミンを併用して摂取させることにより、グルコース吸収能が向上し、グルコースの吸収が促進されることが確認された。
[実施例1]消化管における吸収低下改善用組成物
シスチンおよびグルタミンを、重量比にて7:30となるように混合し、実施例1の製剤とした。
以上詳述したように、本発明により、種々の原因による消化管における水、栄養素等の吸収の低下を良好に改善し得る、消化管における吸収低下の改善用組成物を提供することができる。
本発明の消化管における吸収低下の改善用組成物は、消化管を介した吸収の低下を抑制することができ、また、消化管を介した吸収を、低下した状態から正常な状態もしくは良好な状態に向上させることができる。
本発明の消化管における吸収低下の改善用組成物は、ストレスや運動による消化管における吸収の低下に対し、特に有効である。
また、本発明により、消化管における栄養素等の吸収を促進し得る、消化管における吸収の促進用組成物を提供することができる。
本発明の消化管における吸収の促進用組成物により、栄養素等の利用効率を向上させることができる。
本願は、日本国で出願された特願2016−209926を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (14)

  1. シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを有効成分として含有する、消化管における吸収低下の改善用組成物。
  2. シスチンおよびグルタミンを含有する、請求項1に記載の組成物。
  3. シスチンとグルタミンとの含有量比(シスチン:グルタミン)が、重量比にて1:0.01〜1:100である、請求項2に記載の組成物。
  4. 消化管における水の吸収低下の改善用組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 消化管における栄養素の吸収低下の改善用組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 栄養素が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラルからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項5に記載の組成物。
  7. ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンDおよびビタミンEからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項6に記載の組成物。
  8. 医薬組成物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 食品組成物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  10. シスチンおよびグルタミンの少なくとも一つを有効成分として含有する、消化管における吸収の促進用組成物。
  11. 消化管における栄養素の吸収の促進用組成物である、請求項10に記載の組成物。
  12. 栄養素が、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラルからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項11に記載の組成物。
  13. 医薬組成物である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 食品組成物である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の組成物。
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