JP2014200163A - ステッピングモータ制御回路、ムーブメント及びアナログ電子時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも3つの区間T1〜T3に区分した検出区間Tにおいてステッピングモータ105が発生する所定の基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出し、各区間T1〜T3において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出したか否かを表すパターンに基づいて回転状況を検出する回転検出部と、相互にエネルギが相違する複数種類の主駆動パルスP1の中から、前記回転検出部が検出した回転状況に応じた主駆動パルスP1を選択してステッピングモータ105を駆動する制御部とを備え、回転検出部は、最初の区間T1において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出しないときは、最初の区間T1以外の少なくとも一つの区間の終了位置を所定量後方にシフトして検出する。
【選択図】 図1
Description
本発明に係るムーブメントによれば、負荷が大きい場合でも駆動エネルギの余裕の程度を正確に検出することにより、適正な駆動エネルギの駆動パルスで駆動して、エネルギの浪費を抑制することが可能なアナログ電子時計を構築することができる。
また、本発明に係るアナログ電子時計によれば、負荷が大きい場合でも駆動エネルギの余裕の程度を正確に検出することにより、適正な駆動エネルギの駆動パルスで駆動して、エネルギの浪費を抑制することが可能になる。
図1において、アナログ電子時計は、所定周波数の信号を発生する発振回路101、発振回路101で発生した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生する分周回路102、アナログ電子時計を構成する各電子回路要素の制御や駆動パルスの変更制御等の制御を行う制御回路103、制御回路103からの制御信号に基づいてモータ回転駆動用の駆動パルスを選択し出力する駆動パルス選択回路104、駆動パルス選択回路104からの駆動パルスによって回転駆動されるステッピングモータ105、ステッピングモータ105によって回転駆動され時刻を表示するための時刻針(図1の例では時針107、分針108、秒針109の3種類)や日にち表示用のカレンダ表示部110を有するアナログ表示部106を備えている。
また、アナログ電子時計は、ステッピングモータ105の自由振動によって発生し回転状況を表す誘起信号VRsを所定の検出区間Tにおいて検出する回転検出回路111、回転検出回路111が所定の基準しきい電圧(基準しきい値)Vcompを超える誘起信号VRsを検出した時刻と複数の区間とを比較して前記誘起信号VRsがどの区間において検出されたのかを判別し、回転の有無や負荷に対する駆動パルスの駆動エネルギの余裕の程度といったステッピングモータ105の回転状況を表す検出信号を出力する負荷検出回路112を有している。
尚、本発明の各実施の形態では後述するように、ステッピングモータ105が回転したか否かを検出する検出区間Tは複数の区間に区分している。
負荷検出回路112は、前記複数の区間の中の最初の区間において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが検出されないときは、前記最初の区間以外の少なくとも一つの区間の終了位置を所定量後方にシフトして、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号が検出された区間を判定する。
一般に、時計の動力源、時間基準などの装置からなる時計の機械体をムーブメントと称する。電子式のものをモジュールと呼ぶことがある。時計としての完成状態では、ムーブメントには文字板、針が取り付けられ、時計ケースの中に収容される。
図2において、ステッピングモータ105は、ロータ収容用貫通孔203を有するステータ201、ロータ収容用貫通孔203に回転可能に配設されたロータ202、ステータ201と接合された磁心208、磁心208に巻回されたコイル209を備えている。ステッピングモータ105をアナログ電子時計に用いる場合には、ステータ201及び磁心208はネジ(図示せず)によって地板(図示せず)に固定され、互いに接合される。コイル209は、第1端子OUT1、第2端子OUT2を有している。
これにより、可飽和部210、211が飽和して磁気抵抗が大きくなり、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は図2の矢印方向に180度回転し、磁極軸が角度θ1位置で安定的に停止する。
尚、ステッピングモータ105を回転駆動することによって通常動作(本発明の各実施の形態はアナログ電子時計であるため運針動作)を行わせるための回転方向(図2では反時計回り方向)を正方向とし、その逆(時計回り方向)を逆方向としている。
これにより、可飽和部210、211が先ず飽和し、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は前記と同一方向(正方向)に180度回転し、磁極軸が角度θ0位置で安定的に停止する。
制御回路103は、基本的には、相互に極性の異なる主駆動パルスP1で交互に駆動することによってステッピングモータ105を回転駆動し、主駆動パルスP1で回転できなかった場合には、当該主駆動パルスP1と同極性の補正駆動パルスP2で回転駆動する。
図3において、P1は主駆動パルスP1の駆動範囲を表すと共にロータ202が主駆動パルスP1によって回転駆動される範囲を表し、又、a〜eは主駆動パルスP1の駆動停止後の自由振動によるロータ202の回転位置を表す領域である。
検出区間Tにおいて誘起信号VRsを検出する場合、回転検出回路111は所定のサンプリング周期で誘起信号VRsをサンプリングすることによって誘起信号VRsを検出するように構成されている。検出区間Tは複数のサンプリング周期によって構成されており、前記各サンプリング周期において誘起信号VRsをサンプリングすることにより、複数の時点で誘起信号VRsが検出される。
ロータ202を中心として、その回転によってロータ202の主磁極Aが位置するXY座標空間を第1象限I〜第4象限IVに区分した場合、通常負荷を駆動する際の主駆動パルスP1のエネルギの余裕の大きさ(エネルギ余裕度)に応じて、区間T1、区間T2、区間T3は次のように表すことができる。ここで、通常負荷とは通常時に駆動される負荷を意味しており、本実施の形態では、軽い所定重量の時刻針(時針107、分針108、秒針109)を駆動する場合の負荷を通常負荷としている。
即ち、負荷に対する主駆動パルスのエネルギが「通常針で十分なエネルギ状態」(主駆動パルスP1を1ランク小さいエネルギの主駆動パルスP1に変更(ランクダウン)した場合でもステッピングモータ105を回転させることが可能な状態であり、誘起信号パターン(0,1,0)が得られる状態)、「搭載針大で十分なエネルギ状態」(主駆動パルスP1を1ランク小さいエネルギの主駆動パルスP1にランクダウンした場合でもステッピングモータ105を回転させることが可能な状態であり、誘起信号パターン(0,1,0)が得られる状態)、及び、「かなりエネルギ低い状態」(今回の駆動ではステッピングモータを回転させることはできたが回転させることができなくなる可能性があるため主駆動パルスP1を1ランクアップする必要がある状態であり、誘起信号パターン(0,0,1)が得られる状態)においては、検出区間T(区間T1、T2、T3を合計した区間)の幅は前述した「ややエネルギが低い状態」等の各状態と同じであるが、区間T2の終了位置Tcompがこれらの状態のときに用いる区間T2よりも所定量後方にシフトさせて回転状況を検出する。
尚、検出区間Tの幅は必ずしも一定にする必要はなく、区間T2の終了位置Tcompを所定量シフトした場合の幅と所定量シフトしない場合の幅を変えるようにしてもよい。
制御回路103は、パターン(0,1,0/1)の場合、通常針で十分なエネルギ状態の回転と判定して、この状態が所定回数(N回)連続して行われた場合には主駆動パルスP1の駆動エネルギをランクダウンするようにパルス制御を行う。
図5は、本発明の第1の実施の形態の動作を示すフローチャートであり、主として制御回路103の処理を示すフローチャートである。
図1において、発振回路101は所定周波数の基準クロック信号を発生し、分周回路102は発振回路101で発生した前記信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生し、制御回路103に出力する。
尚、負荷検出回路112の区間の変更は、負荷検出回路112自身が行うように構成してもよく又、制御回路103が負荷検出回路112の区間を変更するように制御するよう構成してもよい。後者の場合、制御回路103が有する負荷検出回路112の区間を変更する制御機能も含めて回転検出部を構成することになる。
区間T2の第2終了位置Tcomp2をどの位置にするかは、使用する時刻針の重さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、当初の区間T3の1/2位置まで終了位置Tcompをシフトさせるように構成することができる。
また、第2区間として、区間の終了位置Tcompが異なる複数の区間を用意しておき、使用する時刻針の重さ等に応じて適切な区間を選択して使用することにより、区間終了位置Tcompを所定量後方にシフトさせて回転状況を検出するように構成することができる。
制御回路103は、処理ステップS506において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを新区間T2内で検出していないと判定した場合(パターンが(0,0,x)の場合である。)、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを、前述したようにして幅を狭くした区間T3内で検出したか否かを判定する(ステップS507)。
次回の駆動は前記のようにして設定された主駆動パルスP1(n+1)によって行われ又、区間T2の終了位置Tcompが第1終了位置Tcomp1に設定された状態で回転検出動作が開始されることになる。
制御回路103は、処理ステップS514において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを区間T2内で検出したと判定した場合(パターンが(1,1,x)の場合である。)、回数Nを0にリセットする(ステップS515)。その後、処理ステップS516を介して処理ステップS503に戻る。
また、前記回転検出部は、第1区間T1において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出しない場合に、第2区間T2の終了位置Tcompを所定量後方にシフトして第2区間T2の幅を広くすると共に検出区間Tの幅が変化しないように第3区間T3の幅を狭くして検出するように構成することができる。
また、ランクアップを駆動余裕が低下してきた場合にのみ適用させることができ、不要なランクアップによる電力浪費を抑制することが可能になる。
また、電源として電池を用いた場合でも、搭載する針モーメントによって電池寿命が大幅に変動/低下することを防止し、目標電池寿命を満足できる搭載針モーメントの限界値を向上させることができ、製品付加価値を向上させることができる。
前記実施の形態において、区間T2の終了位置Tcompを第2終了位置Tcomp2に設定した後、区間T1において誘起信号「1」を検出すると、区間T2の終了位置Tcompを第1終了位置Tcomp1に戻すように構成することができるが、この場合、駆動余裕が低下したパターンが得られると主駆動パルスP1を直ちにランクアップする場合がある。このため、時刻針107〜109として重量が大きい大針を使用している場合にはロータ202の回転が遅く誘起信号VRsの発生が遅れるため、エネルギが不足していない(ランクアップが不要)にも拘わらずパターン(1,0,1)が検出され、不必要にランクアップを行う可能性がある。
図6は本発明の第2の実施の形態の動作を説明するためのタイミング図で、図3と同一部分には同一符号を付している。
本他の実施の形態のブロック図、使用するステッピングモータの構成図、判定チャートは、各々、図1、図2、図4と同じである。
制御回路103は、時計信号を計数して計時動作を行い、先ず主駆動パルスP1のエネルギランクnを1に、同一エネルギの主駆動パルスによる連続駆動回数Nを0に又、所定のパターン(本他の実施の形態ではパターン(1,0,1))が連続して検出された回数の計数値である負荷判定計数値Mを0にリセットして(図7のステップS801)、最小パルス幅の主駆動パルスP11でステッピングモータ105を回転駆動するように制御信号を出力する(ステップS502、S503)。
尚、前記実施の形態同様に、負荷検出回路112の区間の変更は、負荷検出回路112自身が行うように構成してもよく又、制御回路103が負荷検出回路112の区間を変更するように制御するよう構成してもよい。
一方、図6において、大針で十分なエネルギ状態の場合には、基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsは通常針でエネルギも十分な場合に比べ、発生時刻が遅れる。これは、負荷量が大きいためロータ202の回転速度が遅くなり、誘起信号VRsの発生が遅れるためである。
しかしながら本他の実施の形態では、処理ステップS505において、区間T2の終了位置Tcompが第2終了位置Tcomp2と遅い時刻に設定されるため、誘起信号VRsのパターンは(0,1,0)となり、回数Nが増加し、主駆動パルスP1のランクダウンが可能となる。
負荷検出回路112は、処理ステップS804において負荷判定が終了していると判定した場合、区間T2の終了位置Tcompが既に終了位置Tcomp1又はTcomp2に設定されているので、処理ステップS514に移行して、以後制御回路103は、前記実施の形態と同様にしてパターンの判定やパルス制御動作を行う(ステップS514、S515、S507〜S509)。
図6において通常針でややエネルギ低い状態2では、誘起信号VRsのパターンは(1,1,0)となり主駆動パルスP1のランクが維持されることになる。
制御回路103は、処理ステップS806において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを区間T2内で検出したと判定した場合(パターンが(1,1,x)の場合である。)、回数Nを0にリセットした後(ステップS812)、負荷判定が終了した旨の指示を行って(例えば負荷判定が終了した旨表すフラグを立てて)処理ステップS503に戻る(ステップS811)。このようにして、処理ステップS812を経由する場合の誘起信号VRsのパターンにより、負荷が通常針であると判定され、区間T2の終了位置Tcompは第1終了位置Tcomp1に設定される。
このようにして、処理ステップS813、S814を経由する場合の誘起信号VRsのパターンにより、負荷が通常針であると判定され、区間T2の終了位置Tcompは第1終了位置Tcomp1に設定される。
制御回路103が処理ステップS809において負荷判定計数値Mが所定値に到達した(即ちパターン(1,0,1)を所定回数連続して維持した)と判定すると、負荷検出回路112は区間T2の終了位置Tcompを第2終了位置Tcomp2に設定する(ステップS810)。この場合、制御回路103は、負荷判定済みの指示をした後(ステップS811)、処理ステップS503に戻る。
制御回路103は、処理ステップS809において負荷判定計数値Mが所定値に到達していないと判定すると、直ちに処理ステップS503に戻る。
尚、処理ステップS802、S804〜S811の処理において、区間T1の判定値が「1」の場合には、一旦、区間T2の終了位置Tcompを第1終了位置Tcomp1に戻すが(ステップS805)、主駆動パルスP1のランクアップが必要であることを示すパターン(本他の実施の形態ではパターン(1,0,1))が所定回数連続して得られたときは、前記所定回数得られるまでは主駆動パルスP1をランクアップすることなく維持し、前記パターンが前記所定回数得られたとき前記元に戻した区間T2の終了位置Tcompを第1終了位置Tcomp1から後方の第2終了位置Tcomp2に所定量シフトして以降の検出を行うことになる。このように、終了位置Tcompを変更する際に、ランクアップを示すパターンが発生しても、負荷を決定するまではランク維持するため、不必要にランクアップすることがなく、エネルギの浪費を抑制するができる。
処理ステップS803、S804では、処理ステップS811で負荷判定が終了したか否かが判定される。負荷検出回路112は、誘起信号VRsのパターンに基づいて負荷判定を終了した後は、区間T2等の最初の区間T1以外の区間の終了位置Tcompを当該サイクル内では変更しない。負荷検出回路112は、電池交換時やシステムリセット時に、図7の処理を行うことによって負荷判定を実施し、区間T2等の終了位置Tcompを設定する。
図8は、本発明の第3の実施の形態において、主駆動パルスP1によってステッピングモータ105を駆動した場合のタイミング図で、負荷に対する主駆動パルスP1のエネルギの余裕度を表す状態、ロータ202の回転挙動、誘起信号VRsの発生タイミング、回転状況を表す誘起信号VRsのパターン(各区間T1〜T3における誘起信号VRsの判定値)を示している。
Tcomp1は区間T1と区間T2の境界、Tcomp2は区間T2と区間T3の境界である。境界Tcomp1の位置として、複数(本実施の形態では、第1位置(前方)K1及び第1位置K1よりも後方の第2位置(後方)K2の2種類)の位置が用意されており、ステッピングモータ105の回転状況に応じていずれかの位置K1又はK2に設定して回転状況の検出が行われる。
また、位置K1、K2として、複数種類の位置を用意しておき、使用する時刻針の重さ等に応じて適切な位置を選択して使用することにより、良好な回転検出を実現できるように構成することができる。
制御回路103は、パターン(0,1,0/1)の場合、通常針で十分なエネルギ状態の回転と判定して、この状態が所定回数連続して行われた場合には主駆動パルスP1の駆動エネルギをランクダウンするようにパルス制御を行う。
図10は、本発明の第3の実施の形態の動作を示すフローチャートであり、主として制御回路103の処理を示すフローチャートである。図5と同一処理を行う部分には同一符号を付している。
制御回路103は、分周回路102からの時計信号を計数して計時動作を行い、先ず主駆動パルスP1nのエネルギランクnを1にすると共に回数Nを0にして(図10のステップS501)、最小パルス幅の主駆動パルスP11でステッピングモータ105を回転駆動するように制御信号を出力する(ステップS502、S503)。
また、駆動余裕が低下してきた場合にのみランクアップさせることができ、不要なランクアップによる電力浪費を抑制することが可能になる。
また、駆動余裕過多にも関わらずランクダウンできない、あるいは、駆動余裕無いにも関わらずランクアップできないといった回転検出上の不具合を解消し、安定駆動を実現することが可能である。
また、他のエネルギ状態においても、区間T1〜T3とロータ202の回転位置との関係は図3と同じである。
尚、本第4の実施の形態においても、ブロック図及びステッピングモータの構成は図1、図2と同じである。
また、第3の実施の形態では図8に示すように負荷検出回路112は、区間T1が「0」のとき区間T1と区間T2の境界(即ち区間T1の終了位置)Tcomp1を前方の第1位置K1に設定すると共に、区間T1が「1」のとき区間T1と区間T2の境界(即ち区間T1の終了位置)Tcomp1を後方の第2位置K2に設定するように構成している。
即ち、本第4の実施の形態では、図11に示すように負荷検出回路112は、区間T1が「0」の場合、区間T1と区間T2の境界(即ち区間T1の終了位置)Tcomp1を前方の第1位置K1に設定すると共に、区間T2と区間T3の境界(即ち区間T2の終了位置)Tcomp2を後方の第2終了位置に設定する。
また、区間T1は、全検出区間Tにおける先頭の検出領域を必ず含むように構成されている。即ち、区間T1においては、必ず最初に出現する検出用パルス(誘起信号VRsを検出するためのサンプリングパルス)による検出が行われるように構成されている。
前記第1〜第3の実施の形態と同様に、制御回路103が時計信号を計数して計時動作を行い、駆動パルス選択回路104が主駆動パルスP1によってステッピングモータ105を回転駆動すると、回転検出回路111は駆動後の検出区間Tにおいてステッピングモータ105が発生する基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出し、負荷検出回路112は基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsが区間T1において検出したか否かの判定結果を表す検出信号を制御回路103に出力する。
尚、初期設定として区間T1と区間T2の境界Tcomp1(即ち区間T1の終了位置)は第2位置K2よりも前方の第1位置K1に設定されているため、各駆動サイクルにおける回転検出動作が終了する度に、負荷検出回路112は、区間T1と区間T2の境界Tcomp1を前方の第1位置K1に設定して回転検出を行う。
尚、区間T1は、全検出区間Tの先頭の検出領域を必ず含むように構成されている。これにより、区間T1において、必ず最初に出力される検出用パルス(サンプリングパルス)による検出が行われるように構成されている。
また、駆動余裕が過多になった場合、区間T1は判定値が「0」となるべきにも拘わらず「1」となって誘起信号VRsパターン(1,1,0)と誤判定したり、あるいは駆動余裕ぎりぎりの状態における誘起信号VRsパターン(1,1,0)と誤判定するような事態の発生を同時に解消することができる。
したがって、適正なパルス制御を実現することで、消費電流減と、駆動余裕無い場合の適正なパルス設定により、長寿命、安定動作を行うことが可能になる。
図12は、本発明の第5の実施の形態において、主駆動パルスP1によってステッピングモータ105を駆動した場合のタイミング図で、負荷に対する主駆動パルスP1のエネルギの余裕度を表す状態、ロータ202の回転挙動、誘起信号VRsの発生タイミング、回転状況を表す誘起信号VRsのパターン(各区間T1〜T3における誘起信号VRsの判定値)、モータ挙動を示している。前記第1〜第4実施の形態と同じ部分には同じ記号を付している。
負荷検出回路112は、区間T1において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを所定回数検出した場合(図12における「ややエネルギ低い状態」、「かなりエネルギ低い状態」、「非常にエネルギ低い状態」、「非回転状態」の場合)には、区間T1において基準しきい値Vcompを超える誘起信号VRsを検出しない場合(図12における「十分なエネルギ状態」の場合)よりも、区間T1の終了位置(即ち区間T1と区間T2の境界)Tcompを後方に所定量シフトした状態(第1終了位置Tcomp1から第2終了位置Tcomp2へシフトした状態)で、区間T2以降の検出を行うように構成している。
他のエネルギ状態において、区間T1〜T3とロータ202の回転位置との関係は図3と同じである。
回転検出回路111が基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsの有無を検出し、負荷検出回路112が前記誘起信号VRsの属する区間を判定したパターンに基づいて、制御回路103内部に記憶した図15の判定チャートを参照して、制御回路103は主駆動パルスP1のランクアップやランクダウンあるいは補正駆動パルスP2による駆動等のパルス制御を行ってステッピングモータ105を回転制御する。
制御回路103は、パターン(0/1,0,1)の場合、かなりエネルギ低い状態又は非常にエネルギ低い状態の回転でありランクアップが必要と判定して、次駆動サイクルにおいて1ランク上の主駆動パルスP1を用いて駆動するように駆動パルス選択回路104を制御する。
図13に示すように、区間T1における判定値「1」が所定の複数回得られたときでも区間T1の幅を変更しない場合、「非常にエネルギが低い状態」において、本来のパターン(1,0,1)が得られずにパターン(1,1,1)が得られ、主駆動パルスP1のランクがアップされずに維持されてしまうことになる。したがって、次駆動サイクルにおいて主駆動パルスP1による駆動が行われ、さらに駆動余裕がなくなると、非回転となって補正駆動パルスP2による駆動が行われ、消費電力が大きくなるという問題がある。しかしながら本発明の実施の形態によれば、係る事態の発生を抑制することができる。
尚、検出区間Tの幅は必ずしも一定にする必要はなく、区間T1の終了位置Tcompをシフトした場合の検出区間Tの幅と、シフトしない場合の検出区間Tの幅を変えるようにする等種々の変形が可能である。
本第5の実施の形態では、区間T1の終了位置Tcompを終了位置Tcomp2から終了位置Tcomp1に戻す場合、区間T1において判定値「0」が得られたとき直ちに終了位置Tcomp1に戻すのではなく、区間T1において判定値「0」が所定の複数回数得られた場合に終了位置Tcomp1に戻すように構成している。
図16は、本発明の実施の形態の動作を示すフローチャートであり、主として制御回路103の処理を示すフローチャートである。
制御回路103は、分周回路102からの時計信号を計数して計時動作を行い、先ず主駆動パルスP1nのランクnを1にリセットし、ランクnを変更するために使用するランク変更計数値(第1計数値)Nを0にリセットし、区間T1の終了位置Tcompを終了位置Tcomp2に変更するために使用する終了位置変更計数値(第2計数値)Ntを0にリセットし、又、区間T1の終了位置Tcompを終了位置Tcomp1に戻すために使用する終了位置リセット計数値(第3計数値)Nrを0にリセットする(図16のステップS701)。ランク変更計数値N、終了位置変更計数値Nt及び終了位置リセット計数値Nrを計数するカウンタは制御回路103の機能として設けられている。
駆動パルス選択回路104は、制御回路103からの制御信号に対応する主駆動パルスP1n(ここでは主駆動パルスP11)を選択してステッピングモータ105を回転駆動する。ステッピングモータ105は主駆動パルスP11によって回転駆動されて、時刻針107〜109(日付が変わるときにはカレンダ表示部110)を回転駆動する。これにより、ステッピングモータ105が正常に回転した場合には、表示部106では、時刻針107〜109によって現在時刻が表示される。また、カレンダ表示部110によって今日の日付が表示される。
一方、負荷検出回路112は、処理ステップS706において終了位置リセット計数値Nrが所定値になっていないと判定すると、終了位置Tcompを変更することなく処理ステップS708に移行して、区間T2において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを検出したか否かを判定する。
制御回路103は、処理ステップS714において、ランク変更計数値Nが所定値になっていないと判定した場合は処理ステップS702に戻る。
負荷検出回路112は終了位置変更計数値Ntがリセットされる前に累積して所定値になったと判定した場合(ステップS717)、負荷検出回路112は区間T1の終了位置を第2終了位置Tcomp2に設定すると共に制御回路103は終了位置変更計数値Ntを0にリセットする(ステップS718)。
負荷検出回路112はこの状態で区間T2における誘起信号VRsの判定を行い、制御回路103は、負荷検出回路112の判定結果に基づいて区間T2における判定値を得る(ステップS719)。
以後、前記処理を繰り返すことにより、ステッピングモータ105の回転制御動作が行われる。
また、前記回転検出部は、最初の区間T1の終了位置Tcompを後方に所定量シフトした後、最初の区間T1において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを所定の複数回検出しなかった場合には、最初の区間T1の終了位置Tcompを元に戻して以後の検出を行うように構成することができる。
また、前記回転検出部は、第1区間T1の終了位置Tcompを後方に所定量シフトした後、第1区間T1において基準しきい電圧Vcompを超える誘起信号VRsを所定の複数回検出しなかった場合には、第1区間T1の幅を元に戻して狭くすると共に検出区間Tの幅が変化しないように第2区間T2の幅を広くして以後の検出を行うように構成することができる。
また、駆動余裕が無い場合に、誘起信号VRsが区間T1から区間T2への流出することを防ぐことができ、無理にランク維持された主駆動パルスでの駆動による回転不可を回避することができる。
また、主駆動パルスP1での回転不可状態の発生を回避することが可能になるため、補正駆動パルスP2による駆動頻度を抑制し、消費電力を抑制することが可能になる。したがって、電源として電池を使用する場合、電池寿命を長くすることができる。
尚、前記各実施の形態では、検出区間Tを3つの区間T1〜T3に区分したが、2つ以上の区間に区分してもよい。
また、境界を変える方法として、境界Tcomp1のみを変える、境界Tcomp1とともに境界Tcomp2を変える、境界Tcomp2のみを変える等の変更が可能であり、又、検出区間Tの長さに関しても不変又は可変のいずれに構成することも可能である。
また、ステッピングモータの応用例として電子時計の例で説明したが、モータを使用する電子機器に適用可能である。
また、本発明に係るムーブメント及び電子時計は、カレンダ機能付きアナログ電子腕時計、クロノグラフ時計をはじめ、各種のアナログ電子時計に適用可能である。
102・・・分周回路
103・・・制御回路
104・・・駆動パルス選択回路
105・・・ステッピングモータ
106・・・アナログ表示部
107・・・時針
108・・・分針
109・・・秒針
110・・・カレンダ表示部
111・・・回転検出回路
112・・・負荷検出回路
113・・・時計ケース
114・・・ムーブメント
201・・・ステータ
202・・・ロータ
203・・・ロータ収容用貫通孔
204、205・・・切り欠き部(内ノッチ)
206、207・・・切り欠き部(外ノッチ)
208・・・磁心
209・・・コイル
210、211・・・可飽和部
OUT1・・・第1端子
OUT2・・・第2端子
Claims (12)
- 少なくとも3つの区間に区分した検出区間においてステッピングモータが発生する所定の基準しきい値を超える誘起信号を検出し、前記各区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出したか否かを表すパターンに基づいて回転状況を検出する回転検出部と、
相互にエネルギが相違する複数種類の主駆動パルスの中から、前記回転検出部が検出した回転状況に応じた主駆動パルスを選択して前記ステッピングモータを駆動する制御部とを備え、
前記回転検出部は、前記複数の区間の中の最初の区間である第1区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出しないときは、前記最初の区間以外の少なくとも一つの区間の終了位置を所定量後方にシフトして検出することを特徴とするステッピングモータ制御回路。 - 前記検出区間を、主駆動パルスによる駆動後の前記第1区間、前記第1区間よりも後の第2区間、前記第2区間よりも後の第3区間に区分し、主駆動パルスのランクを変更しない状態において、前記第1区間は前記ステッピングモータのロータを中心とする空間の第2象限において前記ロータの最初の正方向回転状況を判定する区間、前記第2区間は第2象限及び第3象限において前記ロータの最初の正方向回転状況を判定する区間、前記第3区間は第3象限において前記ロータの最初の逆方向回転以後の回転状況を判定する区間であり、
前記回転検出部は、前記第1区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出しない場合には、前記基準しきい値を超える誘起信号を検出した場合よりも前記第2区間の終了位置を所定量後方にシフトして検出することを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ制御回路。 - 前記回転検出部は、前記第1区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出しない場合に、前記第2区間の終了位置を所定量後方にシフトして前記第2区間の幅を広くすると共に前記検出区間の幅が変化しないように前記第3区間の幅を狭くして検出することを特徴とする請求項2記載のステッピングモータ制御回路。
- 前記回転検出部は、前記制御部が前記主駆動パルスによって前記ステッピングモータを駆動する度に、前記第1区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出しない場合には前記基準しきい値を超える誘起信号を検出した場合よりも前記第2区間の終了位置を所定量後方にシフトして検出することを特徴とする請求項2又は3記載のステッピングモータ制御回路。
- 前記回転検出部は、前記最初の区間以外の少なくとも一つの区間の終了位置を所定量後方にシフトした後、前記最初の区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出したときは、前記後方にシフトした区間の終了位置を元に戻して検出を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
- 前記回転検出部は、前記後方にシフトした区間の終了位置を元に戻して検出を行う場合において、主駆動パルスのランクアップが必要であることを示すパターンが所定回数得られたときは、前記所定回数得られるまでは主駆動パルスのランクを維持し、前記所定回数得られたとき前記元に戻した区間の終了位置を所定量後方にシフトして検出することを特徴とする請求項5記載のステッピングモータ制御回路。
- 前記回転検出部は、前記第1区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出しない場合には前記第2区間の終了位置を後方の第2終了位置に設定して検出し、前記第1区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出した場合には前記第2区間の終了位置を前記第2終了位置よりも前方の第1終了位置に設定すると共に前記第1区間と第2区間の境界を前記第1区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を検出しない場合よりも後方の位置に設定して検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
- 前記第1区間は、全検出区間の先頭の検出領域を必ず含むように構成されて成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
- 前記回転検出部は、前記複数の区間中の最初の区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を所定の複数回検出したときは、前記最初の区間の終了位置を後方に所定量シフトして以後の検出を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路。
- 前記回転検出部は、前記最初の区間において前記基準しきい値を超える誘起信号を所定の複数回検出した場合に、前記最初の区間の終了位置を後方にシフトして前記最初の区間の幅を所定量広くすると共に前記検出区間の幅が変化しないように他の区間の幅を狭くして以後の検出を行うことを特徴とする請求項9記載のステッピングモータ制御回路。
- 請求項1乃至10のいずれか一に記載のステッピングモータ制御回路を備えて成ることを特徴とするムーブメント。
- 請求項11記載のムーブメントを備えて成ることを特徴とするアナログ電子時計。
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