JP2014199736A - 高周波電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高周波信号発生器に異常が生じて、設定周波数に対する実際の出力周波数の誤差が生じたとしても、その異常が分からなかった。【解決手段】 進行波電力出力部30から出力された進行波電力を方向性結合器50で検出し、検出した進行波検出信号Vfをフィルタ100に送る。フィルタ100の出力は、入力信号Vinとして周波数情報検出部110に入力されて周波数情報が検出される。異常判定部120は、周波数設定部10から出力された設定周波数fsetと周波数情報検出部110から出力された周波数移動平均値情報Fave[t]とを入力し、設定周波数fsetと周波数移動平均値情報Fave[t]との差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたときに異常と判定し、異常信号Ferrを出力する。高周波信号発生器20等に異常が生じた場合に、その異常を検出することができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばプラズマエッチング、プラズマCVDを行うプラズマ処理装置等の負荷に電力を供給する高周波電源装置に関するものである。
図6は、高周波電源装置が適用される高周波電力供給システムの一例を示す図である。この高周波電力供給システムは、半導体ウエハや液晶基板等の被加工物に対して進行波電力を供給して、例えばプラズマエッチングといった加工処理を行うものである。この高周波電力供給システムは、高周波電源装置1、伝送線路2、インピーダンス整合器3、負荷接続部4及び負荷5で構成されている。なお、インピーダンス整合器3を用いない構成にしてもよい。
高周波電源装置1は、高周波信号発生器(発振器)から出力される高周波信号を増幅し、無線周波数帯域の出力周波数を有する進行波電力を出力して負荷5に供給するための装置である。高周波電源装置1から出力された進行波電力は、同軸ケーブルからなる伝送線路2及びインピーダンス整合器3及び遮蔽された銅板からなる負荷接続部4を介して負荷5に供給される。なお、一般にこの種の高周波電源装置では、数百kHz以上の周波数(例えば、13MHz,40MHz等の周波数)を有する進行波電力を出力している。
なお、高周波電源装置1から負荷5に向かう高周波電力を進行波電力PFといい、負荷5で反射されて高周波電源装置側に戻ってくる高周波電力を反射波電力PRという。
インピーダンス整合器3は、高周波電源装置1と負荷5とのインピーダンスを整合させるものである。より具体的には、例えば高周波電源装置1の出力端から高周波電源装置1側を見たインピーダンス(出力インピーダンス)が例えば50Ωに設計され、高周波電源装置1が、特性インピーダンス50Ωの伝送線路2でインピーダンス整合器3の入力端に接続されているとすると、インピーダンス整合器3は、当該インピーダンス整合器3の入力端から負荷5側を見たインピーダンスを50Ωに変換させるものである。
負荷5は、加工部を備え、その加工部の内部に搬入したウエハ、液晶基板等の被加工物を加工(エッチング、CVD等)するための装置である。この負荷5は、被加工物を加工するために、加工部にプラズマ放電用ガスを導入し、そのプラズマ放電用ガスに高周波電源装置1から供給された進行波電力(電圧)を印加することによって、上記のプラズマ放電用ガスを放電させて非プラズマ状態からプラズマ状態にしている。そして、プラズマを利用して被加工物を加工している。
特開2006−310245号
図6に示した高周波電源装置では、図示しない直流電源、高周波信号発生器(発振器)、増幅素子等を有し、高周波信号発生器から出力される高周波信号を、直流電源から出力される直流電力を用いて増幅素子によって増幅し、無線周波数帯域の出力周波数を有する進行波電力を出力している。高周波信号発生器から出力される高周波信号の周波数は、固定値の場合もあるし、変化させる場合もある。変化させる場合は、例えば、特許文献1のように反射波電力が小さくなるように変化させる。いずれにしても、設定周波数通りの出力周波数を有する進行波電力を出力している。そして、高周波電源装置1から設定周波数通りの出力周波数を有する進行波電力が出力されるのであれば、被加工物は正常に加工できる。
しかし、高周波信号発生器に異常が生じる等の何らかの原因で、設定周波数に対して実際の出力周波数に誤差が生じる可能性が絶対に無いとは言えない。もし、設定周波数に対して実際の出力周波数に誤差が生じた場合、負荷のインピーダンスに変動が生じる。そのため、設定周波数に対して実際の出力周波数に誤差が生じた場合、被加工物が正常に加工できない恐れがある。ところが、従来の高周波電源装置では、たとえ高周波信号発生器に異常が生じて、設定周波数に対して実際の出力周波数に誤差が生じたとしても、その異常を判定する手段が設けられていなかった。
そこで、本発明は、設定周波数に対して実際の出力周波数に誤差が生じていないかを判定する手段を設けた高周波電源装置を提供することを目的としている。
第1の発明によって提供される高周波電源装置は、
進行波電力を負荷に向けて出力する高周波電源装置において、
設定周波数に基づいて所定の周波数を有する高周波信号を発生させる高周波信号発生手段と、
直流電源及び増幅素子を内部に有し、前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号を、前記直流電源から出力される直流電力を用いて前記増幅素子によって増幅し、進行波電力として出力する進行波電力出力手段と、
前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号又はこの高周波信号と同じ周波数を有する高周波信号をアナログの正弦波信号Vinとして入力し、この正弦波信号Vinの周波数を検出し、その周波数情報を出力する周波数情報検出手段と、
前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号の設定周波数と前記周波数情報検出手段から出力された周波数情報が示す周波数との差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたときに、異常と判定する異常判定部と、
を備えている。
第2の発明によって提供される高周波電源装置は、
前記周波数情報検出手段の前段に、高周波信号から高調波成分を除去するフィルタを更に備え、前記周波数情報検出手段は、前記フィルタの出力をアナログの正弦波信号Vinとして入力することを特徴としている。
第3の発明によって提供される高周波電源装置は、前記周波数情報検出手段に関するものであり、
前記周波数情報検出手段は、
前記フィルタから出力されたアナログの正弦波信号Vinを、予め定めたサンプリング周期(サンプリング周波数fの逆数:1/f)でデジタル信号に変換することによって得られる時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を順次出力することにより、複数のサンプリングデータで構成される正弦波信号に変換するA/Dコンバータと、
時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を微分した余弦値(cos(α[t]))の推定値を、時刻[t−1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t−1]、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]及び既知の値を用いて演算する余弦値推定部と、
時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を正弦要素(sin要素)とし、前記余弦値推定部20で推定された時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を余弦要素(cos要素)として、逆正接関数(tan−1)を用いて時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の位相α[t]を演算する位相推定部と、
前記位相推定部で演算された時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]に基づいて、時刻[t]における位相変位量Δα[t]を演算する位相変位量演算部と、
前記位相変位量演算部で演算された時刻[t]における位相変位量Δα[t]に基づいて、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報を演算する周波数推定部と、
前記周波数推定部で演算された時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報の移動平均値を演算する移動平均部と、
を備えている。
第4の発明によって提供される高周波電源装置は、前記余弦値推定部に関するものであり、
前記余弦値推定部は、入力信号Vinの設定周波数fset(=前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号の設定周波数)を用いて演算される定数をKとしたときに、余弦値(cos(α[t]))を下式によって演算することを特徴としている。
cos(α[t])=K・{Vin[t+1]−Vin[t−1]}
第5の発明によって提供される高周波電源装置は、
前記定数Kを下式によって演算することを特徴としている。
K=1/{2sin(2π・(fset/f)[t])}
第6の発明によって提供される高周波電源装置は、
前記進行波電力出力手段と負荷との間に挿入されて、その挿入された位置における電気情報を検出し、電気情報検出信号として出力する電気情報検出手段と、
前記電気情報検出手段から出力された電気情報検出信号に基づいて進行波電力検出値を演算する進行波電力値演算手段と、
前記進行波電力出力手段から出力させる進行波電力の出力設定値を設定する出力設定手段と、
前記進行波電力検出値が前記出力設定値と等しくなるように、前記高周波信号発生手段又は前記進行波電力出力手段を制御する出力電力制御手段と、
を、更に備えている。
本発明によれば、高周波信号発生手段等に異常が生じて、設定周波数に対して実際の周波数に誤差が生じた場合に、その異常を検出することができる。
第1実施形態の高周波電源装置1の構成例である。 周波数情報検出部110の構成例である。 入力信号Vinの周波数finが設定周波数fsetからずれていると想定した場合に、移動平均部116から出力される差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]のシミュレーション結果である。 入力信号Vinの周波数finが設定周波数fsetからずれていると想定した場合に、移動平均部116から出力される差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]の他のシミュレーション結果である。 第2実施形態の高周波電源装置1の構成例である。 高周波電源装置が適用される高周波電力供給システムの一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、従来と同一又は同様の構成には、同一符号を付している。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の高周波電源装置1の構成例である。この高周波電源装置1は、図6に示したように高周波電力供給システムに適用される。また、高周波電源装置1は、図1に示すように、周波数設定部10、高周波信号発生器20、進行波電力出力部30、ローパスフィルタ40、方向性結合器50、進行波電力演算部60、反射波電力演算部70、出力設定部80、出力制御部90、フィルタ100、周波数情報検出部110及び異常判定部120を備えている。また説明を簡略化するため、高周波電源装置1の符号は図6と同じにしている。
なお、周波数情報検出部110は周波数情報検出手段の一例であり、高周波信号発生器20は高周波信号発生手段の一例であり、進行波電力出力部30は進行波電力出力手段の一例であり、方向性結合器50は電気情報検出手段の一例であり、進行波電力演算部60は進行波電力値演算手段の一例であり、出力設定部80は出力設定手段の一例であり、出力制御部90は出力電力制御手段の一例であり、周波数情報検出部110は周波数情報検出手段の一例であり、異常判定部120は異常判定手段の一例である。
周波数設定部10は、高周波信号発生器20から出力する高周波信号の設定周波数fset(周波数の設定値)を設定し、その設定周波数fsetを出力する。設定周波数fsetは、固定値でもよいし、可変値でもよい。固定値の場合は、例えば、設定周波数fsetが13.56MHzに設定される。可変値の場合は、例えば、特許文献1のように、後述する反射波電力演算部70から出力される反射波検出信号Vrが小さくなるように設定周波数fsetを変化させる。そのため、反射波検出信号Vrを入力している。制御方法は公知であるので説明を省略する。また、設定周波数fsetは、外部の装置から入力してもよい。また、設定周波数fsetの代わりに角周波数の設定値(設定角周波数)を出力してもよいが、以下では、設定周波数fsetを用いて説明する。
高周波信号発生器20は、周波数設定部10から出力された設定周波数fsetが示す通りの周波数を有する高周波信号を発生させて出力する機能を有する発振器である。また、高周波信号の電圧レベルを外部から与える指令値(デジタルデータ)通りにすることができる。この高周波信号発生器20には、例えば、ダイレクト・デジタル・シンセサイザー(DDS)を用いることができる。
進行波電力出力部30は、図示しない直流電源、増幅素子等を有し、高周波信号発生器20から出力される高周波信号を、直流電源から出力される直流電力を用いて増幅素子によって増幅し、無線周波数帯域の出力周波数を有する進行波電力を出力するものである。この出力周波数は、進行波電力出力部30が正常であれば、高周波信号発生器20から出力する高周波信号の周波数と同じである。
進行波電力出力部30から出力された進行波電力は、主に高調波を除去するためのローパスフィルタ40、方向性結合器50を介して負荷5に供給される。なお、進行波電力出力部30の増幅素子としては、例えば、FETやトランジスタ等が用いられる。また、ローパスフィルタ40の代わりにバンドパスフィルタを用いることがある。また、ローパスフィルタ40を省略することが可能な場合もある。
また、進行波電力出力部30は、後述する出力制御部90によって出力する進行波電力の大きさが制御されるが、進行波電力出力部30の増幅方式によって制御方法が異なる。具体的には、(1)高周波信号発生器20から出力される高周波信号の電圧レベルを調整することよって進行波電力の大きさを制御する方式と、(2)図示しない直流電源から増幅素子に与える直流電圧の大きさを調整することによって進行波電力の大きさを制御する方式がある。これらの方式は周知であるので、詳細な説明は省略する。
方向性結合器50は、進行波電力出力部30と負荷となる負荷5との間に挿入されて、高周波電源装置1から負荷5に向かう進行波電圧VFを検出し、その検出信号を進行波検出信号V(電気情報検出信号の一例)として出力する。この進行波検出信号Vには、進行波電力出力部30から出力される進行波電力の情報が含まれる。また、負荷で反射された反射波電圧VRを検出し、その検出信号を進行波検出信号Vとして出力する。この反射波検出信号Vには、負荷で反射された反射波電力の情報が含まれる。
進行波電力演算部60は、進行波検出信号Vに基づいて進行波電力検出値Pを演算する。なお、方向性結合器50と進行波電力演算部60との間に、主に高調波を除去するためのローパスフィルタ又はバンドパスフィルタを用いることがあるが、この図1では省略している。
反射波電力演算部70は、反射波検出信号Vに基づいて反射波電力検出値Pを演算する。なお、方向性結合器50と反射波電力演算部70との間に、主に高調波を除去するためのローパスフィルタ又はバンドパスフィルタを用いることがあるが、この図1では省略している。
出力設定部80は、進行波電力出力部30から出力させる進行波電力の設定値である出力設定値PFsetを設定する。設定された出力設定値PFsetは、出力制御部90に送られる。なお、出力設定値PFsetは、外部の装置から入力してもよいし、変更も可能である。
出力制御部90は、内部に補償器91を有している。また、出力制御部90には、出力設定値PFset及び進行波電力検出値Pが入力される。そして、出力設定値PFsetから進行波電力検出値Pを減算したもの(出力設定値PFsetと進行波電力検出値Pとの差分)が補償器91に入力される。
補償器91は、出力設定値PFsetと進行波電力検出値Pfとの差分に基づいて、進行波電力検出値Pと出力設定値PFsetとを等しくするための出力制御信号Pcntを高周波信号発生器20又は進行波電力出力部30に送る。
すなわち、上記のように、進行波電力出力部30の増幅方式には2種類あるが、このうち、(1)の高周波信号発生器20から出力される高周波信号の電圧レベルを調整することよって進行波電力の大きさを制御する方式の場合は、出力制御信号Pcntを高周波信号発生器20に送る。この場合、出力制御信号Pcntが指令値となるので、高周波信号発生器20では、高周波信号の電圧レベルを出力制御信号Pcntが示す通りにすることができる。これにより、進行波電力検出値Pが、出力設定値PFsetと等しくなるように制御される。
また、(2)の図示しない直流電源から増幅素子に与えられる直流電圧の大きさを調整することによって進行波電力の大きさを制御する方式の場合は、出力制御信号Pcntを進行波電力出力部30に送る(図1の出力制御部90から進行波電力出力部30に向かう点線の矢印参照)。この場合、進行波電力出力部30では、出力制御信号Pcntに基づいて直流電源から増幅素子に与える直流電圧の大きさを調整するので、進行波電力検出値Pが、出力設定値PFsetと等しくなるように制御される。なお、(2)の増幅方式の場合、高周波信号発生器20は所定の電圧レベルで高周波信号を出力すればよい。
フィルタ100は、ローパスフィルタ又はバンドバスであり、方向性結合器50から出力される進行波検出信号Vから高調波成分を除去し、基本周波数成分を通過させる。これにより、フィルタ100から出力される信号は正弦波信号となり、周波数情報検出部110へ送られる。本明細書では、フィルタ100から出力される信号を周波数情報検出部110への入力信号Vinとする。
なお、入力信号Vinは、アナログの電圧信号であるので、出力周波数をf、時間をt、位相オフセットをθ、角周波数をω(=2π・f)とすると、入力信号Vinは、式(1)のように表すことができる。なお、ここでは、正弦波信号の振幅を「1」としている。
in=sin(2π・f・t+θ)
=sin(ω・t+θ) ・・・(1)
また、方向性結合器50から出力される進行波検出信号Vに高調波成分が含まれていない場合や高調波成分の割合が非常に小さい場合は、フィルタ100を省略することも可能である。この場合は、方向性結合器50から出力される進行波検出信号Vを入力信号Vinとして周波数情報検出部110に送ればよい。
また、フィルタ100の後段には、後述するA/Dコンバータ111(図2参照)の入力範囲に適するように信号のレベルを変換するレベル変換回路を設けてもよいが、この図1では省略している。
フィルタ100から出力された入力信号Vinは、周波数情報検出部110に入力される。周波数情報検出部110では、後述するように入力信号Vinの周波数移動平均値情報Fave[t]を出力する。出力された周波数移動平均値情報Fave[t]は、異常判定部120に送られる。
異常判定部120は、周波数設定部10から出力された設定周波数fsetと周波数情報検出部110から出力された周波数移動平均値情報Fave[t]とを入力し、設定周波数fsetと周波数移動平均値情報Fave[t]との差の絶対値が、予め定めた閾値(例えば10Hz)を超えたときに異常と判定し、異常信号Ferrを出力する。
したがって、高周波信号発生器20等に異常が生じて、設定周波数に対する実際の出力周波数の誤差が閾値を超えた場合に、異常と判定できるので、対策を講じることが可能となる。この第1実施形態では、高周波信号発生器20と入力信号Vinの元となる進行波検出信号Vを検出する方向性結合器50との間に進行波電力出力部30があるので、異常が生じている箇所は、高周波信号発生器20又は進行波電力出力部30と推定できる。
なお、周波数設定部10から角周波数の設定値(設定角周波数)を出力する場合は、予め定めた閾値も角周波数で表される閾値にすればよい。また、周波数情報検出部110から出力する周波数移動平均値情報Fave[t]も角周波数の情報にすればよい。この場合も同様に、設定角周波数と周波数移動平均値情報Fave[t]との差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたときに異常と判定し、異常信号Ferrを出力する。
また、周波数移動平均値情報Fave[t]として、後述する差角周波数の推定値ωdif[t]又は差周波数の推定値fdif[t]を周波数情報検出部110から出力する場合は、異常判定部120に設定周波数fset又は設定角周波数を入力する必要はない。
またこの場合は、既に、設定周波数fsetと周波数移動平均値情報Fave[t]との差、又は、設定角周波数と周波数移動平均値情報Fave[t]との差が求まっているので、それぞれの絶対値が対応する閾値を超えたときに異常と判定し、異常信号Ferrを出力する。
また、高周波信号発生器20から出力する高周波信号の設定周波数fsetが固定値の場合は、周波数設定部10を省略することも可能である。この場合、設定周波数fsetの情報を周波数情報検出部110に保持させておけばよい。
図2は、周波数情報検出部110の構成例である。周波数情報検出部110は、図2に示すように、A/Dコンバータ111、余弦値推定部112、位相推定部23、位相変位量演算部114、周波数推定部115及び移動平均部116を備えている。
A/Dコンバータ111は、フィルタ100から出力されるアナログの入力信号Vinを予め定めたサンプリング周期(サンプリング周波数fの逆数:1/f)でデジタル信号に変換する。A/D変換されたサンプリングデータは、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]として順次出力される。これにより、交流のアナログ信号波形が、複数のサンプリングデータで構成されるデジタル信号波形に変換される。なお、フィルタ100から出力される入力信号Vinが正弦波信号であれば、A/Dコンバータ111から出力されるデジタル信号波形も正弦波信号となる。
ここで、入力信号Vinの周波数をfin、サンプリング周波数をf、位相オフセットをθ’、相対角周波数をωin=2π・(fin/f)とすると、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]は、式(2)のように表すことができる。なお、ここでは、正弦波信号の振幅を「1」としている。また時間データ「t」はサンプリング周期毎にインクリメントされる変数である。
in[t]=sin(2π・(fin/f)[t]+θ’)
=sin(ωin[t]+θ’) ・・・・・(2)
余弦値推定部112は、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を微分した余弦値「cos(ωin[t]+θ’)」の推定値を、時刻[t−1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t−1]、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]及び既知の値を用いて演算する。推定した余弦値「cos(ωin[t]+θ’)」は位相推定部23に送られる。以下、具体的に説明する。
「α[t]=ωin[t]+θ’=2π・(fin/f)[t]+θ’」とすると、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))は、式(3)で表すことができる。
cos(α[t])
={(2sin(ωin[t])・cos(α[t])}/(2sin(ωin[t]))
={sin(α[t]+ωin[t])−sin(α[t]−ωin[t])}/(2sin(ωin[t]))
={sin(2ωin[t]+θ’)−sin(θ’)}/(2sin(ωin[t])) ・・・(3)
式(2)を参照すると、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]は「sin(ωin[t]+θ’)」であるので、入力信号Vinの周波数finが変化しなければ、サンプリング周期(1/f)毎の相対角周波数ωinの変位量は「ωin[t]」で一定である。したがって、式(3)の分子は、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]から、時刻[t−1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t−1]を減算することを表している。
また、式(3)の分母の「sin(ωin[t])」は、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]から位相オフセットθ’を省略したものとなっている。
したがって、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))は、時刻[t−1]、[t]及び[t+1]における3つの入力信号Vinの瞬時値Vin[t−1]、Vin[t]及びVin[t+1]を用いて推定することができる。
ただし、上記のように、「sin(ωin[t])」は、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]から位相オフセットθ’を省略したものとなっているので、式(3)の分母には誤差が生じる。ここで、正弦関数の値(sinの値)は、0を中心として±1の範囲で変化するものであるから、誤差は正になることもあれば負になることもある。
後述するように、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を推定した後、位相α[t]を演算し、さらに位相α[t]のサンプリング周期毎の位相変位量Δα[t]に基づいて入力信号Vinの周波数の推定値fest[t]又は角周波数の推定値ωest[t]を演算する。その後、演算した周波数の推定値fest[t]又は角周波数の推定値ωest[t]の移動平均値を演算するので、式(3)の分母の誤差は、殆ど相殺される。
そこで、もともと誤差のある式(3)の分母を構成する入力信号Vinの周波数finを、式(4)のように、設定周波数fsetに置き換えても殆ど影響はない。ここで、設定周波数fsetとは、入力信号Vinの設定周波数であるので、誤差も小さい。例えば、図1の例では、発振器100から出力される高周波信号の周波数である。この設定周波数fsetは、予め分かっているので、例えば余弦値推定部112に入力しておけばよい。もちろん、設定角周波数ωset(=2π・fin)を用いてもよい。
2sin(ωin[t])=2sin(2π・(fin/f)[t])
→ 2sin(2π・(fset/f)[t]) ・・・(4)
ここで、式(4)を構成する各要素は、全て既知の値である。そのため、「1/{2sin(2π・(fset/f)[t])}」を定数Kで表すと、式(3)は式(5)のように変形できる。したがって、本来であれば、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を推定する際には、式(3)を用いる必要があるので複雑な演算が必要であるが、式(5)を用いることによって、演算式を簡略化でき、演算負荷を低減できる。
cos(α[t])=K・{sin(2ωin[t]+θ’)−sin(θ’)}
=K・{Vin[t+1]−Vin[t−1]} ・・・(5)
上記のように、余弦値推定部112は、A/Dコンバータ111によってデジタル信号となった複数の入力信号Vinのデータを用いて時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を演算する。そのため、余弦値推定部112は図示しないメモリを有し、そのメモリにA/Dコンバータ111から出力された入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を順次記憶していく。
なお、上記のように、余弦値推定部112では、時刻[t−1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t−1]と、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]とを用いるが、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を用いない。しかし、後述するように位相推定部23で行う演算には時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を用いるので、メモリには、少なくとも瞬時値Vin[t−1]、瞬時値Vin[t]及び瞬時値Vin[t+1]の連続する3つのデータを記憶しておく。
また、上記の例では、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を演算することができる。
位相推定部23は、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を正弦要素(sin要素)とし、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を余弦要素(cos要素)として、式(6)に示すように、逆正接関数(tan−1)を用いて時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の位相α[t]を演算する。この位相α[t]は、±π[単位:rad]の範囲で演算される。演算された位相α[t]は、位相変位量演算部114に送られる。
α[t]=tan−1(Vin[t]/cosα[t]) ・・・(6)
なお、上記のように、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))が演算されるので、位相α[t]も、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に演算される。また、位相α[t]の演算に必要な時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]は、余弦値推定部112に設けたメモリから読み出せばよい。
位相変位量演算部114は、位相推定部23で演算された時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]に基づいて、時刻[t]における位相変位量Δα[t]を演算する。演算された位相変位量Δα[t]は、周波数推定部115に送られる。
ここで、位相変位量演算部114は、時刻[t−1]から時刻[t]のサンプリング周期の間に生じた位相変位量Δα[t]を演算するのであるが、位相推定部23から出力される時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の位相α[t]が、上記のように±π[単位:rad]の範囲で演算されるため、{「α[t]−α[t−1]}が正の場合は、位相変位量Δα[t]を式(7)を用いて演算し、{「α[t]−α[t−1]}が負の場合は、位相変位量Δα[t]を式(8)を用いて演算する。
Δα[t]=α[t]−α[t−1] ・・・(7)
Δα[t]=(α[t]−α[t−1])+2π ・・・(8)
なお、上記のように、位相変位量演算部114は、位相推定部23によって演算された時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]を用いて時刻[t]における位相変位量Δα[t]を演算するので、位相変位量演算部114は、図示しないメモリを有し、そのメモリに位相推定部23から出力された位相α[t]を順次記憶していく。このメモリには、少なくとも時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]を記憶しておく。
また、上記のように、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に、時刻[t]における位相α[t]が演算されるので、位相変位量Δα[t]も、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に演算される。
周波数推定部115は、位相変位量演算部114で演算された時刻[t]における位相変位量Δα[t]に基づいて、時刻[t]における入力信号Vinの角周波数の推定値ωest[t]又は周波数の推定値fest[t]を演算する。演算された入力信号Vinの角周波数の推定値ωest[t]又は周波数の推定値fest[t]は、移動平均部116に送られる。
ここで、位相変位量Δα[t]は、サンプリング周期の間に生じた位相変位量であるから、式(9)に示すように、位相変位量Δα[t]にサンプリング周波数fを乗算すると、1秒間に生じる位相変位量を求めることができる。すなわち、時刻[t]における入力信号Vinの角周波数の推定値ωest[t][単位:rad/s]を演算することができる。また、式(10)に示すように、時刻[t]における位相変位量Δα[t]にサンプリング周波数fを乗算するとともに「2π」で除算することにより、時刻[t]における周波数の推定値fest[t][単位:Hz]を演算することができる。
ωest[t]=Δα・f ・・・(9)
est[t]=Δα・f/(2π) ・・・(10)
また、角周波数の推定値ωest[t]と設定角周波数ωsetとの差角周波数の推定値ωdif[t]は、式(11)のように演算できる。なお、設定角周波数ωsetは、「2π・fset」である。また周波数の推定値fest[t]と設定周波数fsetとの差周波数の推定値fdif[t]は、式(12)のように演算できる。そのため、周波数推定部115は、差角周波数の推定値ωdif[t]、差周波数の推定値fdif[t]を出力することもできる。この場合、例えば、周波数推定部115に設定周波数fsetを入力すればよい。もちろん、周波数推定部115に設定角周波数ωsetを入力してもよい。また設定周波数fsetから設定角周波数ωsetを演算してもよいし、その逆に、設定角周波数ωsetから設定周波数fsetを演算してもよい。
ωdif[t] =ωest[t]−ωset[t] ・・・(11)
dif[t] =fest[t]−fset[t] ・・・(12)
なお、本明細書では、入力信号Vinの角周波数の推定値ωest[t]、周波数の推定値fest[t]、差角周波数の推定値ωdif[t]及び差周波数の推定値fdif[t]を総称して時刻[t]における入力信号Vinの「周波数推定値情報Fest[t]」という。
また、入力信号Vinの角周波数の推定値ωest[t]、周波数の推定値fest[t]、差角周波数の推定値ωdif[t]及び差周波数の推定値fdif[t]は、いずれか1つを出力すればよいが、複数を出力するようにしてもよい。
なお、上記のように、時刻[t]における位相変位量Δα[t]は、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に演算されるので、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]も、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に演算される。
移動平均部116は、周波数推定部115から出力された時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]の移動平均値を演算する。移動平均値は、予め定めたデータ数を用いて演算される。
なお、上記のように、移動平均部116は、周波数推定部115から出力された時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]に基づいて、予め定めたデータ数の移動平均値を演算するので、移動平均部116は、図示しないメモリを有し、そのメモリに周波数推定部115から出力された周波数推定値情報Fest[t]を順次記憶していく。このメモリには、少なくとも移動平均値の演算に必要な予め定めた数のデータを記憶しておく。
また、上記のように、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]が演算されるので、角周波数の移動平均値ωave[t]、周波数の移動平均値fave[t]も、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]が余弦値推定部112に入力された後に演算される。
また、データのサンプリングを開始した直後は、移動平均値を演算するために必要な
予め定めた数のデータがメモリに保存されていない。そのため、予め定めた数のデータがメモリに保存されていない間は、予め定めた数よりも少ないデータを用いて移動平均値を演算してもよい。または、予め定めた数のデータがメモリに保存された後に、移動平均値を演算してもよい。どのように移動平均値を演算するかは、予め定めておけばよい。
また、移動平均部116は、差角周波数の推定値ωdif[t]の移動平均値ωdif_ave[t]又は差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]を出力することもできる。
また、本明細書では、時刻[t]における角周波数の推定値ωest[t]の移動平均値ωave[t]、周波数の推定値fest[t]の移動平均値fave[t]、差角周波数の推定値ωdif[t]の移動平均値ωdif_ave[t]及び差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]を総称して、時刻[t]における入力信号Vinの「周波数移動平均値情報Fave[t]」という。
また、角周波数の推定値ωest[t]の移動平均値ωave[t]、周波数の推定値fest[t]の移動平均値fave[t]、差角周波数の推定値ωdif[t]の移動平均値ωdif_ave[t]及び差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]は、いずれか1つを出力すればよいが、複数を出力するようにしてもよい。
なお、差角周波数の推定値ωdif[t]の移動平均値ωdif_ave[t]を演算した場合は、移動平均値ωdif_ave[t]に設定角周波数ωsetを加算すれば、時刻[t]における角周波数の推定値ωest[t]と同等の値になる。また、差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]を演算した場合は、移動平均値fdif_ave[t]に設定周波数fsetを加算すれば、時刻[t]における周波数の推定値fest[t]と同等の値になる。そのため、差角周波数の推定値ωdif[t]の移動平均値ωdif_ave[t]、又は、差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]を用いることもできる。
上記のようにして求めた入力信号Vinの周波数移動平均値情報Fave[t]は、図1に示した高周波信号発生器20に送られ、高周波電源装置1の出力周波数を高周波電源装置1の出力周波数に合わせるために用いることができる。
なお、移動平均部116から出力される入力信号Vinの周波数移動平均値情報Fave[t]をデジタルデータとするとともに、上記のように高周波信号発生器20をデジタルデータである周波数移動平均値情報Fave[t]が示す周波数を有する高周波信号を発生できるように構成しておく。
<移動平均値を演算する理由>
上記のように、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))には、誤差が含まれているので、位相α[t]にも誤差が含まれる。もちろん、時刻[t−1]における余弦値(cos(α)[t−1])、位相α[t−1]にも誤差が含まれる。その結果、位相変位量Δα[t]にも誤差が含まれる。そのため、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]にも誤差が含まれる。
すなわち、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]に含まれる誤差は、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))に起因する。
この時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の誤差は、上記のように正になることもあれば負になることもあるので、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]の誤差も正になることもあれば負になることもある。そこで、移動平均部116によって、複数のデータの移動平均を行えば、誤差が相殺するので、誤差を小さくし、精度のよい周波数情報を得ることができる。
したがって、時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を微分した余弦値(cos(α[t]))」を推定する際に、設定周波数fsetを用い、式(5)の一部を定数とすることで、周波数情報を得るための演算負荷を低減させるとともに、精度のよい周波数情報を得ることができる。
<シミュレーション結果>
図3は、入力信号Vinの周波数finが設定周波数fsetからずれていると想定した場合に、移動平均部116から出力される差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]のシミュレーション結果である。図3(a)は、入力信号Vinの差周波数の推定値fdif[t]のシミュレーション結果であり、図3(b)は、入力信号Vinの差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]のシミュレーション結果であり、図3(c)は、図3(b)の一部拡大図である。また、図3(a)及び図3(b)は、サンプリング開始後、約150〜160μs間のデータであり、図3(c)は、サンプリング開始後、約159〜160μs間のデータである。
なお、シミュレーション条件は次のとおりである。
(1)サンプリング周波数f :50MHz
(2)設定周波数fset :13.56MHz
(3)入力信号Vinの周波数fin:13.563MHz
(設定周波数fsetと3,000Hzだけずれていると想定)
(4)移動平均値の演算に用いるデータ数:500個(10μsの移動平均値)
図4は、入力信号Vinの周波数finが設定周波数fsetからずれていると想定した場合に、移動平均部116から出力される差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]の他のシミュレーション結果である。図4(a)は、入力信号Vinの差周波数の推定値fdif[t]のシミュレーション結果であり、図4(b)は、入力信号Vinの差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]のシミュレーション結果であり、図4(c)は、図4(b)の一部拡大図である。
なお、この図4は、入力信号Vinの周波数finが13.5603MHz(設定周波数fsetと300Hzだけずれていると想定)であることを除き、図3と同じ条件でのシミュレーション結果である。
図3(a)のように、入力信号Vinの周波数が設定周波数fset(13.56MHz)に対して3,000Hzずれていると想定した場合、入力信号Vinの差周波数の推定値fdif[t]は、検出すべき周波数(3,000Hz)に対して約±400Hzの範囲でばらついているが、図3(b)及び図3(c)に示すように、差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]は、検出すべき周波数(3,000Hz)に対して約±0.6Hzの範囲に収まっていることが分かる。
このように、入力信号Vinの周波数が設定周波数fsetに対して大幅にずれている場合であっても、移動平均部116から出力される差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]は、検出すべき周波数に対して誤差が小さい。
また、図4(a)のように、入力信号Vinの周波数finが設定周波数fset(13.56MHz)に対して300Hzずれていると想定した場合、入力信号Vinの差周波数の推定値fdif[t]は、検出すべき周波数(300Hz)に対して約±40Hzの範囲でばらついているが、図4(b)及び図4(c)に示すように、差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]は、検出すべき周波数(300Hz)に対して約±0.05Hzの範囲に収まっていることが分かる。したがって、精度良く入力信号Vinの周波数を検出できていることが分かる。
そのため、異常判定部120において、周波数設定部10から出力された設定周波数fsetと周波数情報検出部110から出力された周波数移動平均値情報Fave[t]との誤差を精度良く判定することができる。したがって、高周波信号発生器20等に異常が生じて、設定周波数に対して実際の出力周波数に誤差が生じた場合に、その異常を検出し、対策を講じることができるようになる。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の高周波電源装置1の構成例である。
第1実施形態では、方向性結合器50から出力される進行波検出信号Vをフィルタ100に入力していた。しかし、図5のように高周波信号発生器20から出力される高周波信号をフィルタ100に入力してもよい。この場合、フィルタ100は、高周波信号発生器20から出力される高周波信号から高調波成分を除去し、基本周波数成分を通過させる。これにより、フィルタ100から出力される信号は正弦波信号となり、周波数情報検出部110へ送られる。
なお、図5ではフィルタ100を用いた例を示したが、高周波信号発生器20から出力する高周波信号に高調波成分が含まれていない場合や高調波成分の割合が非常に小さい場合は、フィルタ100を省略することも可能である。フィルタ100を省略する場合は、高周波信号発生器20から出力する高周波信号を入力信号Vinとして周波数情報検出部110に送ればよい。他は第1実施形態と同じなので説明を省略する。
このように高周波電源装置1を構成することによって、高周波信号発生器20に異常が生じて、設定周波数fsetに対する実際の高周波信号の周波数の誤差が閾値を超えた場合に、異常と判定できるので、対策を講じることが可能となる。
この第2実施形態では、入力信号Vinの元となる信号が高周波信号発生器20から出力する高周波信号であるので、異常が生じている箇所は、高周波信号発生器20と推定できる。
1 高周波電源装置
2 伝送線路
3 インピーダンス整合器
4 負荷接続部
5 負荷5
10 周波数設定部
20 高周波信号発生器
30 進行波電力出力部
40 ローパスフィルタ
50 方向性結合器
60 進行波電力演算部
70 反射波電力演算部
80 出力設定部
90 出力制御部
100 フィルタ
110 周波数情報検出部
111 A/Dコンバータ
112 余弦値推定部
113 位相推定部
114 位相変位量演算部
115 周波数推定部
116 移動平均部
120 異常判定部

Claims (6)

  1. 進行波電力を負荷に向けて出力する高周波電源装置において、
    設定周波数に基づいて所定の周波数を有する高周波信号を発生させる高周波信号発生手段と、
    直流電源及び増幅素子を内部に有し、前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号を、前記直流電源から出力される直流電力を用いて前記増幅素子によって増幅し、進行波電力として出力する進行波電力出力手段と、
    前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号又はこの高周波信号と同じ周波数を有する高周波信号をアナログの正弦波信号Vinとして入力し、この正弦波信号Vinの周波数を検出し、その周波数情報を出力する周波数情報検出手段と、
    前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号の設定周波数と前記周波数情報検出手段から出力された周波数情報が示す周波数との差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたときに、異常と判定する異常判定部と、
    を備えた高周波電源装置。
  2. 前記周波数情報検出手段の前段に、高周波信号から高調波成分を除去するフィルタを更に備え、前記周波数情報検出手段は、前記フィルタの出力をアナログの正弦波信号Vinとして入力する請求項1に記載の高周波電源装置。
  3. 前記周波数情報検出手段は、
    前記フィルタから出力されたアナログの正弦波信号Vinを、予め定めたサンプリング周期(サンプリング周波数fの逆数:1/f)でデジタル信号に変換することによって得られる時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を順次出力することにより、複数のサンプリングデータで構成される正弦波信号に変換するA/Dコンバータと、
    時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を微分した余弦値(cos(α[t]))の推定値を、時刻[t−1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t−1]、時刻[t+1]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t+1]及び既知の値を用いて演算する余弦値推定部と、
    時刻[t]における入力信号Vinの瞬時値Vin[t]を正弦要素(sin要素)とし、前記余弦値推定部20で推定された時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を余弦要素(cos要素)として、逆正接関数(tan−1)を用いて時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の位相α[t]を演算する位相推定部と、
    前記位相推定部で演算された時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]に基づいて、時刻[t]における位相変位量Δα[t]を演算する位相変位量演算部と、
    前記位相変位量演算部で演算された時刻[t]における位相変位量Δα[t]に基づいて、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報を演算する周波数推定部と、
    前記周波数推定部で演算された時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報の移動平均値を演算する移動平均部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波電源装置。
  4. 前記余弦値推定部は、入力信号Vinの設定周波数fset(=前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号の設定周波数)を用いて演算される定数をKとしたときに、余弦値(cos(α[t]))を式(1)によって演算することを特徴とする請求項3に記載の周波数情報検出部。
    cos(α[t])=K・{Vin[t+1]−Vin[t−1]} ・・・(1)
  5. 前記定数Kを式(2)によって演算することを特徴とする請求項4に記載の周波数情報検出部。
    K=1/{2sin(2π・(fset/f)[t])} ・・・(2)
  6. 前記進行波電力出力手段と負荷との間に挿入されて、その挿入された位置における電気情報を検出し、電気情報検出信号として出力する電気情報検出手段と、
    前記電気情報検出手段から出力された電気情報検出信号に基づいて進行波電力検出値を演算する進行波電力値演算手段と、
    前記進行波電力出力手段から出力させる進行波電力の出力設定値を設定する出力設定手段と、
    前記進行波電力検出値が前記出力設定値と等しくなるように、前記高周波信号発生手段又は前記進行波電力出力手段を制御する出力電力制御手段と、
    を、更に備えた請求項1〜5のいずれかに記載の高周波電源装置。
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