JP6400275B2 - 高周波電源装置 - Google Patents
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Description
なお、高周波電源装置1から負荷5に向かう高周波電力を進行波電力PFといい、負荷5で反射されて高周波電源装置側に戻ってくる高周波電力を反射波電力PRという。
進行波電力を負荷に向けて出力する高周波電源装置において、
設定周波数に基づいて所定の周波数を有する高周波信号を発生させる高周波信号発生手段と、
直流電源及び増幅素子を内部に有し、前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号を、前記直流電源から出力される直流電力を用いて前記増幅素子によって増幅し、進行波電力として出力する進行波電力出力手段と、
前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号又はこの高周波信号と同じ周波数を有する高周波信号をアナログの正弦波信号Vinとして入力し、この正弦波信号Vinの周波数を検出し、その周波数情報を出力する周波数情報検出手段と、
前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号の設定周波数と前記周波数情報検出手段から出力された周波数情報が示す周波数との差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたときに、異常と判定する異常判定部と、
を備え、
前記周波数情報検出手段は、
入力されるアナログの正弦波信号V in を、予め定めたサンプリング周期(サンプリング周波数f s の逆数:1/f s )でデジタル信号に変換することによって得られる時刻[t]における入力信号V in の瞬時値V in [t]を順次出力することにより、複数のサンプリングデータで構成される正弦波信号に変換するA/Dコンバータと、
時刻[t]における入力信号V in の瞬時値V in [t]を微分した余弦値(cos(α[t]))の推定値を、時刻[t−1]における入力信号V in の瞬時値V in [t−1]、時刻[t+1]における入力信号V in の瞬時値V in [t+1]及び入力信号V in の設定周波数f set を用いて演算される定数Kを用いた下式によって演算する余弦値推定部と、
時刻[t]における入力信号V in の瞬時値V in [t]を正弦要素(sin要素)とし、前記余弦値推定部で推定された時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を余弦要素(cos要素)として、逆正接関数(tan −1 )を用いて時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の位相α[t]を演算する位相推定部と、
前記位相推定部で演算された時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]に基づいて、時刻[t]における位相変位量Δα[t]を演算する位相変位量演算部と、
前記位相変位量演算部で演算された時刻[t]における位相変位量Δα[t]に基づいて、時刻[t]における入力信号V in の周波数推定値情報を演算する周波数推定部と、
前記周波数推定部で演算された時刻[t]における入力信号V in の周波数推定値情報の移動平均値を演算する移動平均部と、
を備えている。
cos(α[t])=K・{V in [t+1]−V in [t−1]}
前記周波数情報検出手段の前段に、高周波信号から高調波成分を除去するフィルタを更に備え、前記周波数情報検出手段は、前記フィルタの出力をアナログの正弦波信号Vinとして入力することを特徴としている。
前記定数Kを下式によって演算することを特徴としている。
K=1/{2sin(2π・(fset/fs)・Δt)}
ただし、サンプリング周期(1/f s )=Δtとする。
前記進行波電力出力手段と負荷との間に挿入されて、その挿入された位置における電気情報を検出し、電気情報検出信号として出力する電気情報検出手段と、
前記電気情報検出手段から出力された電気情報検出信号に基づいて進行波電力検出値を演算する進行波電力値演算手段と、
前記進行波電力出力手段から出力させる進行波電力の出力設定値を設定する出力設定手段と、
前記進行波電力検出値が前記出力設定値と等しくなるように、前記高周波信号発生手段又は前記進行波電力出力手段を制御する出力電力制御手段と、
を、更に備えている。
図1は、第1実施形態の高周波電源装置1の構成例である。この高周波電源装置1は、図6に示したように高周波電力供給システムに適用される。また、高周波電源装置1は、図1に示すように、周波数設定部10、高周波信号発生器20、進行波電力出力部30、ローパスフィルタ40、方向性結合器50、進行波電力演算部60、反射波電力演算部70、出力設定部80、出力制御部90、フィルタ100、周波数情報検出部110及び異常判定部120を備えている。また説明を簡略化するため、高周波電源装置1の符号は図6と同じにしている。
なお、入力信号Vinは、アナログの電圧信号であるので、出力周波数をf、時間をt、位相オフセットをθ、角周波数をω(=2π・f)とすると、入力信号Vinは、式(1)のように表すことができる。なお、ここでは、正弦波信号の振幅を「1」としている。
Vin=sin(2π・f・t+θ)
=sin(ω・t+θ) ・・・(1)
またこの場合は、既に、設定周波数fsetと周波数移動平均値情報Fave[t]との差、又は、設定角周波数と周波数移動平均値情報Fave[t]との差が求まっているので、それぞれの絶対値が対応する閾値を超えたときに異常と判定し、異常信号Ferrを出力する。
Vin[t]=sin(2π・(fin/fs)[t]+θ’)
=sin(ωin[t]+θ’) ・・・・・(2)
cos(α[t])
={(2sin(ωin ・Δt)・cos(α[t])}/(2sin(ωin ・Δt))
={sin(α[t]+ωin ・Δt)−sin(α[t]−ωin ・Δt)}/(2sin(ωin ・Δt))
={sin(2ωin ・Δt+θ’)−sin(θ’)}/(2sin(ωin ・Δt)) ・・・(3)
2sin(ωin ・Δt)=2sin(2π・(fin/fs)・Δt)
→ 2sin(2π・(fset/fs)・Δt) ・・・(4)
cos(α[t])=K・{sin(2ωin ・Δt+θ’)−sin(θ’)}
=K・{Vin[t+1]−Vin[t−1]} ・・・(5)
α[t]=tan−1(Vin[t]/cosα[t]) ・・・(6)
Δα[t]=α[t]−α[t−1] ・・・(7)
Δα[t]=(α[t]−α[t−1])+2π ・・・(8)
ωest[t]=Δα・fs ・・・(9)
fest[t]=Δα・fs/(2π) ・・・(10)
ωdif[t] =ωest[t]−ωset[t] ・・・(11)
fdif[t] =fest[t]−fset[t] ・・・(12)
予め定めた数のデータがメモリに保存されていない。そのため、予め定めた数のデータがメモリに保存されていない間は、予め定めた数よりも少ないデータを用いて移動平均値を演算してもよい。または、予め定めた数のデータがメモリに保存された後に、移動平均値を演算してもよい。どのように移動平均値を演算するかは、予め定めておけばよい。
上記のように、時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))には、誤差が含まれているので、位相α[t]にも誤差が含まれる。もちろん、時刻[t−1]における余弦値(cos(α)[t−1])、位相α[t−1]にも誤差が含まれる。その結果、位相変位量Δα[t]にも誤差が含まれる。そのため、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]にも誤差が含まれる。
この時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の誤差は、上記のように正になることもあれば負になることもあるので、時刻[t]における入力信号Vinの周波数推定値情報Fest[t]の誤差も正になることもあれば負になることもある。そこで、移動平均部116によって、複数のデータの移動平均を行えば、誤差が相殺するので、誤差を小さくし、精度のよい周波数情報を得ることができる。
図3は、入力信号Vinの周波数finが設定周波数fsetからずれていると想定した場合に、移動平均部116から出力される差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]のシミュレーション結果である。図3(a)は、入力信号Vinの差周波数の推定値fdif[t]のシミュレーション結果であり、図3(b)は、入力信号Vinの差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]のシミュレーション結果であり、図3(c)は、図3(b)の一部拡大図である。また、図3(a)及び図3(b)は、サンプリング開始後、約150〜160μs間のデータであり、図3(c)は、サンプリング開始後、約159〜160μs間のデータである。
(1)サンプリング周波数fs :50MHz
(2)設定周波数fset :13.56MHz
(3)入力信号Vinの周波数fin:13.563MHz
(設定周波数fsetと3,000Hzだけずれていると想定)
(4)移動平均値の演算に用いるデータ数:500個(10μsの移動平均値)
なお、この図4は、入力信号Vinの周波数finが13.5603MHz(設定周波数fsetと300Hzだけずれていると想定)であることを除き、図3と同じ条件でのシミュレーション結果である。
このように、入力信号Vinの周波数が設定周波数fsetに対して大幅にずれている場合であっても、移動平均部116から出力される差周波数の推定値fdif[t]の移動平均値fdif_ave[t]は、検出すべき周波数に対して誤差が小さい。
図5は、第2実施形態の高周波電源装置1の構成例である。
第1実施形態では、方向性結合器50から出力される進行波検出信号Vfをフィルタ100に入力していた。しかし、図5のように高周波信号発生器20から出力される高周波信号をフィルタ100に入力してもよい。この場合、フィルタ100は、高周波信号発生器20から出力される高周波信号から高調波成分を除去し、基本周波数成分を通過させる。これにより、フィルタ100から出力される信号は正弦波信号となり、周波数情報検出部110へ送られる。
2 伝送線路
3 インピーダンス整合器
4 負荷接続部
5 負荷5
10 周波数設定部
20 高周波信号発生器
30 進行波電力出力部
40 ローパスフィルタ
50 方向性結合器
60 進行波電力演算部
70 反射波電力演算部
80 出力設定部
90 出力制御部
100 フィルタ
110 周波数情報検出部
111 A/Dコンバータ
112 余弦値推定部
113 位相推定部
114 位相変位量演算部
115 周波数推定部
116 移動平均部
120 異常判定部
Claims (4)
- 進行波電力を負荷に向けて出力する高周波電源装置において、
設定周波数に基づいて所定の周波数を有する高周波信号を発生させる高周波信号発生手段と、
直流電源及び増幅素子を内部に有し、前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号を、前記直流電源から出力される直流電力を用いて前記増幅素子によって増幅し、進行波電力として出力する進行波電力出力手段と、
前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号又はこの高周波信号と同じ周波数を有する高周波信号をアナログの正弦波信号Vinとして入力し、この正弦波信号Vinの周波数を検出し、その周波数情報を出力する周波数情報検出手段と、
前記高周波信号発生手段から出力する高周波信号の設定周波数と前記周波数情報検出手段から出力された周波数情報が示す周波数との差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたときに、異常と判定する異常判定部と、
を備え、
前記周波数情報検出手段は、
入力されるアナログの正弦波信号V in を、予め定めたサンプリング周期(サンプリング周波数f s の逆数:1/f s )でデジタル信号に変換することによって得られる時刻[t]における入力信号V in の瞬時値V in [t]を順次出力することにより、複数のサンプリングデータで構成される正弦波信号に変換するA/Dコンバータと、
時刻[t]における入力信号V in の瞬時値V in [t]を微分した余弦値(cos(α[t]))の推定値を、時刻[t−1]における入力信号V in の瞬時値V in [t−1]、時刻[t+1]における入力信号V in の瞬時値V in [t+1]及び入力信号V in の設定周波数f set を用いて演算される定数Kを用いた式(1)によって演算する余弦値推定部と、
時刻[t]における入力信号V in の瞬時値V in [t]を正弦要素(sin要素)とし、前記余弦値推定部で推定された時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))を余弦要素(cos要素)として、逆正接関数(tan −1 )を用いて時刻[t]における余弦値(cos(α[t]))の位相α[t]を演算する位相推定部と、
前記位相推定部で演算された時刻[t−1]における位相α[t−1]及び時刻[t]における位相α[t]に基づいて、時刻[t]における位相変位量Δα[t]を演算する位相変位量演算部と、
前記位相変位量演算部で演算された時刻[t]における位相変位量Δα[t]に基づいて、時刻[t]における入力信号V in の周波数推定値情報を演算する周波数推定部と、
前記周波数推定部で演算された時刻[t]における入力信号V in の周波数推定値情報の移動平均値を演算する移動平均部と、
を備えている高周波電源装置。
cos(α[t])=K・{V in [t+1]−V in [t−1]} ・・・(1) - 前記周波数情報検出手段の前段に、高周波信号から高調波成分を除去するフィルタを更に備え、前記周波数情報検出手段は、前記フィルタの出力をアナログの正弦波信号Vinとして入力する請求項1に記載の高周波電源装置。
- 前記定数Kを式(2)によって演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波電源装置。
K=1/{2sin(2π・(fset/fs)・Δt)} ・・・(2)
ただし、サンプリング周期(1/f s )=Δtとする。
- 前記進行波電力出力手段と負荷との間に挿入されて、その挿入された位置における電気情報を検出し、電気情報検出信号として出力する電気情報検出手段と、
前記電気情報検出手段から出力された電気情報検出信号に基づいて進行波電力検出値を演算する進行波電力値演算手段と、
前記進行波電力出力手段から出力させる進行波電力の出力設定値を設定する出力設定手段と、
前記進行波電力検出値が前記出力設定値と等しくなるように、前記高周波信号発生手段又は前記進行波電力出力手段を制御する出力電力制御手段と、
を、更に備えた請求項1〜3のいずれかに記載の高周波電源装置。
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