JP2014195763A - 複層フィルムの製造方法、偏光板保護フィルム及び偏光板 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、以下の通りである。
前記樹脂層が、蛍光X線分析による測定が可能な粒子(I)を含み、
前記製造方法が、
前記基材フィルム層の表面に前記樹脂層を形成する工程と、
形成された前記樹脂層について蛍光X線分析を行って蛍光X線の強度を測定する工程と、
測定された蛍光X線の強度を、前記蛍光X線分析の測定領域における前記樹脂層の平均厚みに換算する工程と、
換算された前記樹脂層の平均厚みに基づいて、前記樹脂層の平均厚みを制御する工程とを含む、複層フィルムの製造方法。
〔2〕 前記樹脂層を形成する工程が、単量体又は重合体、及び、前記樹脂層の平均厚みよりも大きい平均粒子径を有する少なくとも1種類の粒子(I)を混合して液状樹脂を得る工程と、前記液状樹脂を基材フィルム層の表面に塗布して前記液状樹脂の層を得る工程と、前記液状樹脂の層を硬化させる工程とを含む、〔1〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔3〕 前記樹脂層が、界面活性剤を含む、〔1〕又は〔2〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔4〕 前記界面活性剤の濃度が10ppm以上である、〔3〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔5〕 前記単量体又は重合体、及び、異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)を混合して前記液状樹脂を得る工程を含む、〔2〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔6〕 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が大きい粒子(I)の平均粒子径が、前記樹脂層の平均厚みの110%以上600%以下である、〔5〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔7〕 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が小さい粒子(I)の平均粒子径が、前記樹脂層の平均厚みの10%以上300%以下である、〔5〕又は〔6〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔8〕 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が大きい粒子(I)よりも、最も平均粒子径が小さい粒子の方が、粒子数が多い、〔5〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
〔9〕 前記蛍光X線の強度の1回の測定において測定される前記樹脂層の領域において、前記樹脂層が前記粒子(I)を100個以上含む、〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
〔10〕 前記複層フィルムが連続走行する状態において、前記蛍光X線の強度の測定を行う、〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
〔11〕 〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の製造方法により製造された複層フィルムを備える、偏光板保護フィルム。
〔12〕 偏光子と、〔11〕記載の偏光板保護フィルムとを備える、偏光板。
また、本発明の偏光板保護フィルム及び偏光板によれば、精密に制御された平均厚みを有する樹脂層を備えた偏光板保護フィルム及び偏光板を実現できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造方法では、図1に示すように、基材フィルム層110と、この基材フィルム層110の表面111に設けられた樹脂層120とを備える複層フィルム100を製造する。本実施形態に係るこの樹脂層120は、液状樹脂を基材フィルム層110の表面111に塗布し、必要に応じて硬化させた層である。
基材フィルム層110としては、通常、長尺のフィルムを用意する。本実施形態においては、長手方向に延伸処理を施された縦延伸フィルムを基材フィルム層110として用いた例を示して説明する。
本実施形態に係る製造方法では、複層フィルム100の製造に先立って、相関情報を用意する。この相関情報は、液状樹脂を用いて形成される樹脂層120の平均厚みと、その樹脂層120について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との相関を示す情報である。
具体的には、例えば次のような要領で、相関情報を用意する。
その後、得られた樹脂層の平均厚みを、電子顕微鏡による観察によって測定する。具体的には、樹脂層を含む試料をエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトームを用いてスライスし、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、樹脂層の厚みを測定する。そして、観察された範囲における平均厚みを計算し、その平均厚みを樹脂層の平均厚みとして採用する。
また別途、得られた樹脂層について蛍光X線分析を行い、蛍光X線の強度を測定する。具体的には、樹脂層にX線を照射し、X線を照射された樹脂層に含まれる粒子(I)から出される蛍光X線の強度を測定する。
これにより、樹脂層の平均厚みと、その樹脂層について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との組み合わせの情報が得られる。
例えば、樹脂層の平均厚みと蛍光X線の強度との組み合わせを、樹脂層の平均厚み及び蛍光X線の強度をそれぞれ軸にした座標系にプロットし、プロットされた座標を通る関数として、相関情報を得てもよい。具体例としては、樹脂層の平均厚みと蛍光X線の強度との組み合わせの情報が2組である場合は、それらのプロットされた2点を通る直線として検量線を引き、この検量線を表す一次関数を求めてもよい。すなわち、この一次関数を、相関情報として求めてもよい。
図3は、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造装置10を模式的に示す概略図である。
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造装置10は、表面処理部としてのコロナ処理機200、塗布部としてのコーター300、硬化処理部としてのオーブン400、延伸機500、蛍光X線分析装置600及び制御部700を備える。コロナ処理機200、コーター300、オーブン400、延伸機500及び蛍光X線分析装置600は、フィルム走行方向の上流からこの順に設けられている。したがって、この製造装置10においては、基材フィルム層110又は複層フィルム100が、コロナ処理機200、コーター300、オーブン400、延伸機500及び蛍光X線分析装置600をこの順に連続的に走行した状態で、複層フィルム100の製造が行われる。
掻き取りロール340は、基材フィルム層110の表面111に形成された液状樹脂の層140から液状樹脂の一部150を掻き取ることにより、液状樹脂の層140の厚みを所望の厚みに調整しうるロールである。掻き取りロール340は、基材フィルム層110の液状樹脂の層140側に設けられている。また、掻き取りロール340は、基材フィルム層110に対して所定の圧力で押し付けられうるように設けられている。さらに、掻き取りロール340は、矢印A340で示すように、基材フィルム層110の走行方向とは対向する向きに回転しうるように設けられている。このため、掻き取りロール340が回転することによって、基材フィルム層110の表面111に形成された液状樹脂の層140から液状樹脂の一部150が取り除かれ、液状樹脂の層140の厚みを所望の厚みに制御することができる。また、この掻き取りロール340の回転速度は、制御部700により制御されるように設けられている。
コーター300で所定の厚みの液状樹脂の層140を表面111に形成された基材フィルム層110は、オーブン400に送られる。
この複層フィルム100は、延伸機500に送られる。
判定の結果、換算された樹脂層120の平均厚みが目的とする厚みの範囲の上限値よりも厚い場合、厚み制御部730は、掻き取りロール340の回転速度を所定速度だけ速くするように、掻き取りロール340の駆動制御を行う。これにより、掻き取りロール340によって掻き取られる液状樹脂の量が多くなるので、コーター300によって基材フィルム層110の表面111に塗布される液状樹脂の量が減らされる。このため、樹脂層120の平均厚みを薄くできる。
また、判定の結果、換算された樹脂層120の平均厚みが目的とする厚みの範囲の下限値よりも薄い場合、厚み制御部730は、掻き取りロール340の回転速度を所定速度だけ遅くするように、掻き取りロール340の駆動制御を行う。これにより、掻き取りロール340によって掻き取られる液状樹脂の量が少なくなるので、コーター300によって基材フィルム層110の表面111に塗布される液状樹脂の量が増やされる。このため、樹脂層120の平均厚みを厚くできる。
さらに、判定の結果、換算された樹脂層120の平均厚みが目的とする厚みの範囲に収まっている場合、厚み制御部730は、掻き取りロール340の回転速度を変えないように、掻き取りロール340の駆動制御を行う。これにより、掻き取りロール340によって掻き取られる液状樹脂の量は変化しないので、コーター300によって基材フィルム層110の表面111に塗布される液状樹脂の量は変わらない。このため、樹脂層120の平均厚みを目的とする厚みの範囲に維持することができる。
また、この製造方法によれば、長尺の基材フィルム110を用いて連続的に複層フィルム100を製造できるので、効率の良い製造が可能である。
さらに、蛍光X線分析によれば、樹脂層120の厚みが薄くても、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みを正確に測定することが可能である。これにより、樹脂層120の平均厚みを精密に制御することが可能である。
また、蛍光X線分析によれば、局所的な点だけではなく、ある程度の面積を有する測定領域における樹脂層120の平均厚みを、1回の蛍光X線分析によって測定することが可能である。これは、例えば樹脂層120に粒子が含まれることによって樹脂層の厚みが均一でない場合のように、樹脂層120の局所的な地点の厚みではなく、ある面積を有する領域の平均厚みによって、樹脂層120の厚みの制御を行いたい場合に、好適である。また、蛍光X線分析によれば、ある領域の樹脂層120の平均厚みを測定する1回の操作当たりに要する時間を短くできる。したがって、樹脂層120の制御を時間において細かく行うことが可能であるので、この意味でも、樹脂層120の平均厚みの精密な制御が可能である。
以上、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造方法について説明したが、本発明は更に変更して実施してもよい。
例えば、基材フィルム層110に対しては、コロナ放電処理以外の表面処理を施してもよい。また、表面処理を省略してもよい。
さらに、例えば、コーター300による液状樹脂130の塗布量の調整以外の方法で、樹脂層120の平均厚みの制御を行ってもよい。
さらに、例えば、蛍光X線分析装置600を、延伸機500よりも上流に設けてもよい。これにより、延伸前の複層フィルム100において樹脂層120の平均厚みを測定できる。ただし、製品における樹脂層120の平均厚みの制御をより正確に行う観点からは、製造工程においてより後の工程で蛍光X線分析を行うことが好ましく、巻き芯810による巻取りの直前に蛍光X線分析を行うことが特に好ましい。
さらに、上述した実施形態では、蛍光X線の強度を蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みに換算する工程、及び、換算された樹脂層120の平均厚みに基づいて樹脂層120の平均厚みを制御する工程は制御部700が行なうことにより自動化したが、制御部700によらず使用者がこれらの工程を行うようにしてもよい。
次に、本発明に係る基材フィルム層の好ましい例を、より具体的に説明する。
基材フィルム層としては、樹脂フィルム層を用いることが好ましい。基材フィルム層を形成する樹脂のうち、好ましい例としては、脂環式構造含有重合体を含む樹脂(以下、適宜「脂環式構造含有重合体樹脂」ということがある。)が挙げられる。脂環式構造含有重合体樹脂は、透明性、低吸湿性、寸法安定性および軽量性などに優れ、光学フィルムに適している。
さらに、基材フィルム層は、延伸処理を施されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸処理を施された延伸フィルムであってもよい。
さらに、複層フィルムを光学フィルムとして用いる場合には、基材フィルム層は、1mm厚換算でのヘイズが、0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることが特に好ましい。ここで、ヘイズは、JIS K7136−1997に準拠して測定しうる。
次に、本発明に係る樹脂層の形成に用いる液状樹脂の好ましい例を、より具体的に説明する。
前述した実施形態のように、樹脂層は、例えば、液状樹脂を基材フィルム層の表面に塗布して液状樹脂の層を得る工程と、その液状樹脂の層を硬化させる工程とを含む製造方法により、製造しうる。この液状樹脂は、粒子(I)を含む。また、液状樹脂は、通常、樹脂層を形成する樹脂に含まれる重合体、又は、重合反応又は架橋反応によって樹脂層を形成する樹脂に含まれる重合体が得られる単量体又は重合体を含む。また、液状樹脂は、溶媒を含んでいてもよい。さらに、液状樹脂は、更に界面活性剤を含むことが好ましい。
粒子(I)としては、蛍光X線分析による測定が可能な粒子を用いうる。このような粒子(I)の材質としては、例えば、シリカ、アルミナ等の、金属又は半金属の酸化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;チタン酸バリウム等のチタン酸塩;タルク、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の珪酸塩;燐酸カルシウム等の燐酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;クレイ;等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液状樹脂は、樹脂層を形成する樹脂に含まれる重合体を用みうる。また、液状樹脂は、重合反応又は架橋反応によって樹脂層を形成する樹脂に含まれる重合体が得られる単量体又は重合体を用みうる。これらの重合体の具体的な種類は、樹脂層に求められる特性に応じて任意に選択しうる。
ポリオール化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、2,5−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして、例えば、前記のポリオール化合物のアルキレンオキシド付加物;アルキレンオキシドと環状エーテル(例えばテトラヒドロフランなど)との開環(共)重合体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体;グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコールなどのグリコール類;などが挙げられる。
ポリエステルポリオールとして、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸又はその無水物と、上記(1)で挙げられたようなエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオール、ネオペンチルグリコールなどのポリオール化合物とを、水酸基過剰の条件で重縮合させて得られたものなどが挙げられる。より具体的には、例えば、エチレングリコール−アジピン酸縮合物、ブタンジオール−アジピン縮合物、ヘキサメチレングリコール−アジピン酸縮合物、エチレングリコール−プロピレングリコール−アジピン酸縮合物、或いはグリコールを開始剤としてラクトンを開環重合させたポリラクトンジオールなどが挙げられる。
ポリエーテルエステルポリオールとして、例えば、エーテル基含有ポリオール(例えば、前記(2)のポリエーテルポリオールやジエチレングリコール等)または、これと他のグリコールとの混合物を上記(3)で例示したようなジカルボン酸又はその無水物に加えてアルキレンオキシドを反応させてなるものなどが挙げられる。より具体的には、例えば、ポリテトラメチレングリコール−アジピン酸縮合物などが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、一般式HO−R−(O−C(O)−O−R)x−OH(ただし、式中、Rは炭素原子数1〜12の飽和脂肪酸ポリオール残基を示す。また、xは分子の構造単位の数を示し、通常5〜50の整数である。)で示される化合物などが挙げられる。これらは、飽和脂肪族ポリオールと置換カーボネート(例えば、炭酸ジエチル、ジフェニルカーボネートなど)とを、水酸基が過剰となる条件で反応させるエステル交換法;前記飽和脂肪族ポリオールとホスゲンとを反応させるか、または必要に応じて、その後さらに飽和脂肪族ポリオールを反応させる方法;などにより得ることができる。
液状樹脂は、通常、溶媒を含む。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等の有機溶媒;などが挙げられる。中でも、水を用いることが好ましい。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液状樹脂は、界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、液状樹脂における粒子(I)の分散性を高めることができ、ひいては樹脂層における粒子(I)の分散性を高めることができる。そのため、樹脂層の平均厚みの測定精度を向上させることができる。また、通常は、界面活性剤により、液状樹脂の塗布性を向上させたり、樹脂層からの粒子(I)の離脱を抑制したりできる。また、液状樹脂が界面活性剤を含む場合、通常は、その液状樹脂から製造される樹脂層も前記の界面活性剤を含む。
液状樹脂は、上述した成分以外にも任意の成分を含みうる。
例えば、液状樹脂は、樹脂層の機械強度を向上させる目的で架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。この中でも、特にエポキシ化合物、アミノ化合物及びオキサゾリン化合物が、接着性の観点から好ましい。
さらに、架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液状樹脂は、例えば、当該液状樹脂に含まれる各成分を同時に又は任意の順番で混合することにより製造しうる。また、例えば水系ウレタン樹脂及びコロイダルシリカ等のように、溶媒に溶解又は分散した組成物として用意される成分を混合する場合には、必ずしもその組成物からポリウレタン及びシリカ等の成分を取り出す必要は無く、溶媒に溶解又は分散した状態のまま混合してもよい。
また、例えば、異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)を含む液状樹脂を製造する場合、それらの異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)、単量体又は重合体、並びに、必要に応じて溶媒、界面活性剤及び任意の成分を混合することにより、その液状樹脂を製造しうる。
次に、本発明に係る複層フィルムの好ましい例を、より具体的に説明する。
上述した製造方法により製造される複層フィルムは、基材フィルム層と、この基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える。この樹脂層は、粒子(I)を含む樹脂の層である。例えば、この樹脂層が前記の液状樹脂を用いて製造された物である場合、通常、樹脂層は液状樹脂の固形分を含む。
また、複層フィルムは、1mm厚換算でのヘイズが、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
偏光板は、通常、偏光子と偏光板保護フィルムとを備える。このような偏光板は、例えば、偏光子と偏光板保護フィルムとを貼り合わせることにより製造しうる。貼り合せる際、接着層を介することなく直接に偏光子と偏光板保護フィルムとを貼り合せてもよく、接着層を介して貼り合せてもよい。さらに、偏光子の一方の面だけに偏光板保護フィルムを貼り合せてもよく、両方の面に貼り合せてもよい。偏光子の一方の面だけに偏光板保護フィルムを貼り合わせる場合、偏光子の他方の面には、透明性の高い任意のフィルムを貼り合せてもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
(10μm2当たりの粒子数の計算方法)
樹脂層に含まれる各粒子の、樹脂層の面積10μm2当たりの粒子数は、液状樹脂の塗布量から計算により求めた。すなわち、液状樹脂の固形分に対する当該液状樹脂に含まれる各粒子の濃度(個数/グラム)を計算した。また、TEMによる観察で測定された樹脂層の平均厚みに、面積10μm2を乗算して、面積10μm2当たりの樹脂層の体積を計算した。さらに、この体積に樹脂層の密度を乗算して、面積10μm2当たりの樹脂層の重量を計算した。こうして求められた面積10μm2当たりの樹脂層の重量に、前記の各粒子の濃度を乗算することにより、各粒子の樹脂層の面積10μm2当たりの粒子数を求めた。
樹脂層に含まれる全ての粒子(I)の、蛍光X線の測定領域内での粒子数は、樹脂層10μm2当たりの各粒子の粒子数に、蛍光X線分析による測定領域の面積を乗算し、10で除して求めた。
複層フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム(大和工業社製「RUB−2100」)を用いてスライスし、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察した。観察された像から、その像における樹脂層の平均厚みを計算し、これを樹脂層の平均厚みとした。
各実施例又は比較例で製造した液状の水系樹脂を基材フィルム層に塗布し、各実施例又は比較例と同様の条件で乾燥させて、基材フィルム層上に樹脂層を形成した。この樹脂層の平均厚みを、前記の要領でTEMにより測定した。また、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「ZSX Primus」)によって、その樹脂層に所定のX線を照射したときに生じる蛍光X線の強度を測定した。
前記の操作を、樹脂層の平均厚みを変えて繰り返し行うことにより、各実施例及び比較例における水系樹脂を用いて樹脂層を形成した場合の、その樹脂層の平均厚みと、その平均厚みに対応して測定される蛍光X線の強度との組み合わせのデータを複数組得た。これらのデータを、蛍光X線の強度を横軸にし、樹脂層の平均厚みを縦軸にした座標系にプロットした。プロットされた点を、最小二乗法によって直線に近似し、検量線を得た。
〔1.1.液状樹脂の製造〕
温度計、攪拌機、窒素導入管及び冷却管を備えた反応器に、ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製「マキシモールFSK−2000」;水酸基価56mgKOH/g)840部、トリレンジイソシアネート119部、及びメチルエチルケトン200部を入れ、窒素を導入しながら75℃で1時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却し、ジメチロールプロピオン酸35.6部を加え、75℃で反応させて、酸構造を含有するポリウレタンの溶液を得た。前記のポリウレタンのイソシアネート基(−NCO基)の含有量は、0.5%であった。
脂環式構造含有重合体樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1430」;ガラス転移温度135℃)のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥した。その後、このペレットを用いて、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用して、溶融樹脂温度270℃、Tダイの幅1500mmの成形条件で、基材フィルム層を製造した。製造された基材フィルム層の厚みは80μm、幅は1200mmであった。
前記の基材フィルム層を生産ラインに連続的に供給し、基材フィルム層を長手方向に連続的に走行させながら、以下の工程を行った。
基材フィルム層を、ロール間の周速差を利用してフィルムを縦方向に一軸延伸しうる延伸機に連続的に供給した。この延伸機において、基材フィルム層を、延伸温度136℃、延伸倍率1.15倍で縦方向に延伸して、基材フィルム層を幅1200mmの縦延伸フィルムにした。
縦延伸された基材フィルムの片面に、コロナ処理機(春日電機社製)で、周波数10kHz、出力0.6kwの条件にて、3本の電極によりコロナ放電処理を行なった。
コロナ放電処理を施された基材フィルム層の面に、前記の水系樹脂を、ロールコーターにより塗布した。この際、塗布量は、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが100nmになるように設定した。得られた水系樹脂の層を120℃で3分乾燥して水系樹脂を硬化させて、基材フィルム層上に樹脂層を形成した。これにより、基材フィルム層及び樹脂層を備える複層フィルムを得た。
その後、複層フィルムを、さらに長手方向に走行させて、テンター法を用いた横延伸機に供給した。この横延伸機を用いて、複層フィルムを143℃の温度で横方向に1.5倍に延伸した。こうして得られた複層フィルムは、ロール状に巻き取った。
横延伸後の複層フィルムについて、上述した要領で、以下の(i)及び(ii)の値を測定した。ここで、(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを測定する際、樹脂層の測定領域の面積は2826μm2に設定した。
(i)TEMによって測定された樹脂層の平均厚み。
(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが15nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが30nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが162.5nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度15%のアモルファスシリカの水分散液(日本触媒社製「シーホスターKE−W10」;平均粒子径110nm)10部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが60nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部と、シリカ粉末(日本アエロジル社製「AEROSIL 50」;平均粒子径30nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが20nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(アドマテックス社製「アドマファインSO−C2」;平均粒子径500nm)10部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが400nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度15%のアモルファスシリカの水分散液(日本触媒社製「シーホスターKE−W10」;平均粒子径110nm)10部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
さらに、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが90nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(アドマテックス社製「アドマファインSO−C1」;平均粒子径300nm)15部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)10部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(アドマテックス社製「アドマファインSO−C2」;平均粒子径500nm)15部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)7部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
さらに、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが400nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)15部と、アルミナ粉末(日本アエロジル社製「AEROSIL MOX80」;平均粒子径30nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
また、前記工程〔1.2〕において、脂環式構造含有重合体樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1430」;ガラス転移温度135℃)を使用して基材フィルム層を製造する代わりに、以下の工程により基材フィルム層を製造した。ゴム粒子を含むメタクリル樹脂(住友化学社製「HTT55Z」;ガラス転移温度108℃)からなるb層、スチレン−無水マレイン酸共重合体(ノヴァケミカルジャパン社製「ダイラークD332」;ガラス転移温度130℃、ビカット軟化温度130℃、オリゴマー成分含有量3重量%)からなるa層を、b層(厚み70μm)−a層(厚み40μm)−b層(厚み70μm)の順に備える未延伸の3層構造のフィルムを、共押出成形により製造し、これを基材フィルム層として用いた。
さらに、前記工程〔1.4〕において、蛍光X線分析装置の測定ヘッドを複層フィルムの製造ラインに直接組み込み、「(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み」の測定を、複層フィルムをロール状に巻き取る前に連続的に行った。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のジルコニアゾルの水分散液(日産化学工業社製「ナノユースZR−40BL」;平均粒子径90nm)8部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)7部と、アクリル粒子(日本触媒社製「エポスターMX050W」;平均粒子径80nm)1部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し1000ppmとなる量に変更した。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが80nmになるように設定した。
さらに、前記工程〔1.4〕において、蛍光X線分析装置の測定ヘッドを複層フィルムの製造ラインに直接組み込み、「(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み」の測定を、複層フィルムをロール状に巻き取る前に連続的に行った。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)15部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤を用いなかった。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(アドマテックス社製「アドマファインSO−C1」;平均粒子径300nm)12部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)2部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
さらに、前記工程〔1.4〕において、(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを測定する際、樹脂層の測定領域の面積は28μm2に設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)10部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)2部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが180nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、アクリル粒子(日本触媒社製「エポスターMX100W」;平均粒子径160nm)30部を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
実施例及び比較例の結果を、下記の表1〜表4に示す。下記の表1〜表4において、略称の意味は、以下の通りである。
b/a/b:ゴム粒子を含むメタクリル樹脂からなるb層/スチレン−無水マレイン酸共重合体からなるa層/ゴム粒子を含むメタクリル樹脂からなるb層の3層フィルム。
粒径/厚み:{(粒子(I)の平均粒子径)/(樹脂層の平均厚み)}で表される比。
厚み(TEM):TEMを用いて測定された樹脂層の平均厚み。
厚み(蛍光X線):蛍光X線分析の結果から換算された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み。
ズレ量:「TEMを用いて測定された樹脂層の平均厚み」に対する「蛍光X線分析の結果から換算された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み」の比。
表1〜表4に示すように、実施例においては蛍光X線分析を用いることにより、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを精密に測定することができた。したがって、蛍光X線分析によって樹脂層の平均厚みを測定しながら複層フィルムの製造を行うことにより、平均厚みを精密に制御された樹脂層を備える複層フィルムを製造できることが確認された。
100 複層フィルム
110 基材フィルム層
111 基材フィルム層の表面
120 樹脂層
130 液状樹脂
140 液状樹脂の層
150 液状樹脂の一部
200 コロナ処理機
300 コーター
310 上流側押さえロール
320 コーティングロール
321 液溜め
330 下流側押さえロール
340 掻き取りロール
341 回収器
342 液状樹脂
400 オーブン
500 延伸機
600 蛍光X線分析装置
610 X線照射部
620 蛍光X線測定部
700 制御部
710 記憶部
720 厚み換算部
730 厚み制御部
800 ロール
810 巻き芯
Claims (12)
- 基材フィルム層と、前記基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える複層フィルムの製造方法であって、
前記樹脂層が、蛍光X線分析による測定が可能な粒子(I)を含み、
前記製造方法が、
前記基材フィルム層の表面に前記樹脂層を形成する工程と、
形成された前記樹脂層について蛍光X線分析を行って蛍光X線の強度を測定する工程と、
測定された蛍光X線の強度を、前記蛍光X線分析の測定領域における前記樹脂層の平均厚みに換算する工程と、
換算された前記樹脂層の平均厚みに基づいて、前記樹脂層の平均厚みを制御する工程とを含む、複層フィルムの製造方法。 - 前記樹脂層を形成する工程が、単量体又は重合体、及び、前記樹脂層の平均厚みよりも大きい平均粒子径を有する少なくとも1種類の粒子(I)を混合して液状樹脂を得る工程と、前記液状樹脂を基材フィルム層の表面に塗布して前記液状樹脂の層を得る工程と、前記液状樹脂の層を硬化させる工程とを含む、請求項1記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記樹脂層が、界面活性剤を含む、請求項1又は2記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記界面活性剤の濃度が10ppm以上である、請求項3記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記単量体又は重合体、及び、異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)を混合して前記液状樹脂を得る工程を含む、請求項2記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が大きい粒子(I)の平均粒子径が、前記樹脂層の平均厚みの110%以上600%以下である、請求項5記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が小さい粒子(I)の平均粒子径が、前記樹脂層の平均厚みの10%以上300%以下である、請求項5又は6記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が大きい粒子(I)よりも、最も平均粒子径が小さい粒子の方が、粒子数が多い、請求項5〜7のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記蛍光X線の強度の1回の測定において測定される前記樹脂層の領域において、前記樹脂層が前記粒子(I)を100個以上含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記複層フィルムが連続走行する状態において、前記蛍光X線の強度の測定を行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法により製造された複層フィルムを備える、偏光板保護フィルム。
- 偏光子と、請求項11記載の偏光板保護フィルムとを備える、偏光板。
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