JP2014195763A - 複層フィルムの製造方法、偏光板保護フィルム及び偏光板 - Google Patents

複層フィルムの製造方法、偏光板保護フィルム及び偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】基材フィルム層と、その基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える複層フィルムの製造方法であって、樹脂層の平均厚みを精密に制御できる複層フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】基材フィルム層と、前記基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える複層フィルムの製造方法であって、前記樹脂層が、蛍光X線分析による測定が可能な粒子(I)を含み、前記製造方法が、前記基材フィルム層の表面に前記樹脂層を形成する工程と、形成された前記樹脂層について蛍光X線分析を行って蛍光X線の強度を測定する工程と、測定された蛍光X線の強度を、前記蛍光X線分析の測定領域における前記樹脂層の平均厚みに換算する工程と、換算された前記樹脂層の平均厚みに基づいて、前記樹脂層の平均厚みを制御する工程とを含む、複層フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、複層フィルムの製造方法、並びにその製造方法で製造された複層フィルムを備える偏光板保護フィルム及び偏光板に関する。
2層以上の層を備える光学フィルムの製造方法の一つとして、塗布法を用いた製造方法がある。この製造方法では、例えば、基材フィルム層の表面に液状の樹脂組成物を塗布し、その樹脂組成物の層を乾燥等の硬化処理によって硬化させて、基材フィルム層上に所望の樹脂層を形成する。これにより、基材フィルム層と所望の樹脂層とを備える複層フィルムとして、光学フィルムを得ることができる。このような技術は、例えば特許文献1に記載されている。
特開2011−168049号公報
ところが、塗布法によって厚みが薄い樹脂層を形成しようとする場合、その樹脂層の厚みを精密に制御することは難しい。このように精密な厚みの制御が困難であった理由の一つとしては、例えば数百ナノメートル以下のように厚みが薄い樹脂層は、その厚みを正確に測定することが困難であったことが挙げられる。
例えば製造ラインにおいて、長尺の基材フィルム層を長手方向に連続的に走行させながら、その基材フィルム層の表面に塗布法によって厚みが薄い樹脂層を形成しようとする場合を想定する。この場合、基材フィルム層が走行した状態で、その基材フィルム層上の樹脂層の厚みを測定することは難しかった。そのため、形成される樹脂層の厚みを精密に制御することが難しかった。
また、製造ラインを止めることにより基材フィルム層の走行を停止した状態であれば、例えば電子顕微鏡による観察によって、厚みが薄い樹脂層であっても、その厚みを測定することは可能である。しかし、このように製造ラインを止めると、製造効率が低下するので、工業生産の現場では採用し難い。
さらに、樹脂層が粒子を含む場合、その粒子によって樹脂層の表面が平坦でなくなり、樹脂層の厚みも均一でなくなることがありえる。一般に、このように厚みが均一でない樹脂層においては、その平均厚みを目的となる範囲内に収めるように厚みの制御が行われる。ところが、電子顕微鏡による観察によって樹脂層の平均厚みを測定するためには、複数の地点において樹脂層の厚みを測定することが求められるので、手間が多くなる点で、効率が良くない。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、基材フィルム層と、その基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える複層フィルムの製造方法であって、樹脂層の平均厚みを精密に制御できる複層フィルムの製造方法、並びに、その製造方法で製造された複層フィルムを備える偏光板保護フィルム及び偏光板を提供することを目的とする。
本発明者は上述した課題を解決するべく鋭意検討した結果、蛍光X線分析による測定が可能な粒子(I)を含む樹脂層を備える複層フィルムは、蛍光X線分析を用いることにより、その蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを測定しながら製造することが可能であることを見出した。また、測定された蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを用いることにより、実際に製造されている樹脂層全体の平均厚みの制御を行うことが可能であることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて創案されたものである。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕 基材フィルム層と、前記基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える複層フィルムの製造方法であって、
前記樹脂層が、蛍光X線分析による測定が可能な粒子(I)を含み、
前記製造方法が、
前記基材フィルム層の表面に前記樹脂層を形成する工程と、
形成された前記樹脂層について蛍光X線分析を行って蛍光X線の強度を測定する工程と、
測定された蛍光X線の強度を、前記蛍光X線分析の測定領域における前記樹脂層の平均厚みに換算する工程と、
換算された前記樹脂層の平均厚みに基づいて、前記樹脂層の平均厚みを制御する工程とを含む、複層フィルムの製造方法。
〔2〕 前記樹脂層を形成する工程が、単量体又は重合体、及び、前記樹脂層の平均厚みよりも大きい平均粒子径を有する少なくとも1種類の粒子(I)を混合して液状樹脂を得る工程と、前記液状樹脂を基材フィルム層の表面に塗布して前記液状樹脂の層を得る工程と、前記液状樹脂の層を硬化させる工程とを含む、〔1〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔3〕 前記樹脂層が、界面活性剤を含む、〔1〕又は〔2〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔4〕 前記界面活性剤の濃度が10ppm以上である、〔3〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔5〕 前記単量体又は重合体、及び、異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)を混合して前記液状樹脂を得る工程を含む、〔2〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔6〕 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が大きい粒子(I)の平均粒子径が、前記樹脂層の平均厚みの110%以上600%以下である、〔5〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔7〕 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が小さい粒子(I)の平均粒子径が、前記樹脂層の平均厚みの10%以上300%以下である、〔5〕又は〔6〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔8〕 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が大きい粒子(I)よりも、最も平均粒子径が小さい粒子の方が、粒子数が多い、〔5〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
〔9〕 前記蛍光X線の強度の1回の測定において測定される前記樹脂層の領域において、前記樹脂層が前記粒子(I)を100個以上含む、〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
〔10〕 前記複層フィルムが連続走行する状態において、前記蛍光X線の強度の測定を行う、〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
〔11〕 〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の製造方法により製造された複層フィルムを備える、偏光板保護フィルム。
〔12〕 偏光子と、〔11〕記載の偏光板保護フィルムとを備える、偏光板。
本発明の複層フィルムの製造方法によれば、基材フィルム層とその基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える複層フィルムを、その樹脂層の平均厚みを精密に制御しながら製造することができる。
また、本発明の偏光板保護フィルム及び偏光板によれば、精密に制御された平均厚みを有する樹脂層を備えた偏光板保護フィルム及び偏光板を実現できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る複層フィルムを模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態において、樹脂層の平均厚みと、その樹脂層について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との組み合わせをプロットした座標系の一例を表す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る複層フィルムの製造装置を模式的に示す概略図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、長尺状とは、フィルムの幅方向に対し少なくとも5倍程度以上の長さを有するものを言い、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管または運搬される程度の長さを有するものを言う。
また、以下の説明において、粒子の平均粒子径とは、別に断らない限り、メジアン径を意味する。このメジアン径は、レーザー回折法によって試料である粒子の粒子径分布を測定し、測定された粒子径分布において小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径のことをいう。
さらに、以下の説明において、「偏光板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
[1.実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造方法では、図1に示すように、基材フィルム層110と、この基材フィルム層110の表面111に設けられた樹脂層120とを備える複層フィルム100を製造する。本実施形態に係るこの樹脂層120は、液状樹脂を基材フィルム層110の表面111に塗布し、必要に応じて硬化させた層である。
この複層フィルム100の製造方法は、基材フィルム層110及び液状樹脂を用意する工程;樹脂層120の平均厚みの測定に用いる相関情報を用意する工程;基材フィルム層110の表面111に前記樹脂層120を形成する工程;形成された樹脂層120について蛍光X線分析を行って蛍光X線の強度を測定する工程;測定された蛍光X線の強度を、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みに換算する工程;並びに、換算された樹脂層120の平均厚みに基づいて、樹脂層120の平均厚みを制御する工程を含む。ここで、蛍光X線分析の測定領域とは、蛍光X線分析において蛍光X線の測定が行われる対象となる、樹脂層の領域のことを指す。
〔1.1.基材フィルム層及び液状樹脂の用意〕
基材フィルム層110としては、通常、長尺のフィルムを用意する。本実施形態においては、長手方向に延伸処理を施された縦延伸フィルムを基材フィルム層110として用いた例を示して説明する。
また、液状樹脂としては、蛍光X線分析による測定が可能な粒子(I)を含む液状の樹脂を用いる。本実施形態においては、液状樹脂として、重合体と、粒子(I)と、溶媒とを含む液状樹脂を用いた例を示す。
ここで、粒子(I)が蛍光X線分析による測定が可能であるとは、粒子(I)にX線を照射した場合に当該粒子(I)が蛍光X線を生じ、その蛍光X線を測定できることを示す。蛍光X線分析においては、一般に、試料にX線を照射し、その試料に含まれる所定の原子が生じる蛍光X線の強度を測定する。この蛍光X線の強度を測定することにより、試料の量を測定できる。したがって、粒子(I)としては、X線の照射によって測定可能な蛍光X線を発しうる原子を含む粒子を用いる。通常、周期表の原子番号が11以上の原子を含む粒子は蛍光X線分析が可能であるので、周期表の原子番号が11以上の原子を含む単体又は化合物の粒子は、粒子(I)として用いうる。
〔1.2.相関情報の用意〕
本実施形態に係る製造方法では、複層フィルム100の製造に先立って、相関情報を用意する。この相関情報は、液状樹脂を用いて形成される樹脂層120の平均厚みと、その樹脂層120について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との相関を示す情報である。
通常、樹脂層120の厚みが厚いほど、その樹脂層120に含まれる粒子(I)の量は多い。また、一般に、粒子(I)の数が多いほど、蛍光X線分析により測定される蛍光X線の強度は大きい。したがって、樹脂層120の厚みが厚いほど、蛍光X線分析において測定される蛍光X線の強度は大きくなる。このように、樹脂層120の厚みと蛍光X線分析によって測定される蛍光X線の強度との間には相関がある。また、粒子(I)を含む樹脂層は、その厚みが面内で均一にならないことが多いが、前記の厚みの代わりに平均厚みを用いることにより、精度の高い相関情報が得られる。すなわち、樹脂層120の平均厚みと蛍光X線分析によって測定される蛍光X線の強度との間には、高度な相関がある。本実施形態で用いる相関情報は、この相関を表す具体的な情報を含むものである。
具体的には、例えば次のような要領で、相関情報を用意する。
まず、液状樹脂を任意の基材に塗布して、基材上に液状樹脂の層を得る。その後、この液状樹脂の層を硬化させて、基材上に樹脂層を形成する。液状樹脂の層を硬化させる際、通常は、複層フィルムを製造するときと同様の条件で硬化させる。
その後、得られた樹脂層の平均厚みを、電子顕微鏡による観察によって測定する。具体的には、樹脂層を含む試料をエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトームを用いてスライスし、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、樹脂層の厚みを測定する。そして、観察された範囲における平均厚みを計算し、その平均厚みを樹脂層の平均厚みとして採用する。
また別途、得られた樹脂層について蛍光X線分析を行い、蛍光X線の強度を測定する。具体的には、樹脂層にX線を照射し、X線を照射された樹脂層に含まれる粒子(I)から出される蛍光X線の強度を測定する。
これにより、樹脂層の平均厚みと、その樹脂層について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との組み合わせの情報が得られる。
前記の操作は、樹脂層の平均厚みを変えて繰り返し行う。これにより、樹脂層の平均厚みと、その樹脂層について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との組み合わせの情報が複数組得られる。
こうして得られた樹脂層の平均厚みと蛍光X線の強度との組み合わせの情報を用いて、相関情報を用意する。
例えば、樹脂層の平均厚みと蛍光X線の強度との組み合わせを、樹脂層の平均厚み及び蛍光X線の強度をそれぞれ軸にした座標系にプロットし、プロットされた座標を通る関数として、相関情報を得てもよい。具体例としては、樹脂層の平均厚みと蛍光X線の強度との組み合わせの情報が2組である場合は、それらのプロットされた2点を通る直線として検量線を引き、この検量線を表す一次関数を求めてもよい。すなわち、この一次関数を、相関情報として求めてもよい。
また、例えば、図2に示すように樹脂層の平均厚みと蛍光X線の強度との組み合わせが3組以上であれば、最小二乗法などの近似法により、プロットされた点P1〜P5の座標を一次関数等の関数に近似してもよい。ここで、図2は、本発明の一実施形態において、樹脂層の平均厚みと、その樹脂層について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との組み合わせをプロットした座標系の一例を表す図である。この図2に示す例においては、点P1〜P5が直線Lとしての検量線で表される一次関数で近似されている。
本実施形態においては、図2に示すように、一次関数で示される検量線の情報を、液状樹脂を用いて形成された樹脂層120の平均厚みと、その樹脂層120について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との相関情報として用いる例を示す。
ただし、相関情報を用意する工程は、複層フィルムの製造を行うたびに行う必要は無く、例えば予め相関情報が判明している場合には省略しても構わない。
〔1.3.複層フィルムの製造〕
図3は、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造装置10を模式的に示す概略図である。
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造装置10は、表面処理部としてのコロナ処理機200、塗布部としてのコーター300、硬化処理部としてのオーブン400、延伸機500、蛍光X線分析装置600及び制御部700を備える。コロナ処理機200、コーター300、オーブン400、延伸機500及び蛍光X線分析装置600は、フィルム走行方向の上流からこの順に設けられている。したがって、この製造装置10においては、基材フィルム層110又は複層フィルム100が、コロナ処理機200、コーター300、オーブン400、延伸機500及び蛍光X線分析装置600をこの順に連続的に走行した状態で、複層フィルム100の製造が行われる。
用意された基材フィルム層110は、製造装置10のコロナ処理機200に供給される。コロナ処理機200は、連続走行する基材フィルム層110の表面111にコロナ放電処理を施しうる装置である。コロナ放電処理によって基材フィルム層110の表面111が改質されて、基材フィルム層110の表面111は液状樹脂130が定着し易くなる。また、コロナ処理機200においてコロナ放電処理を施された基材フィルム層110は、コーター300へ送られる。
コーター300は、連続走行する基材フィルム層110の表面111に液状樹脂130を塗布しうる装置である。コーター300は、上流側押さえロール310、コーティングロール320、下流側押さえロール330及び掻き取りロール340を、上流からこの順に備える。
上流押さえロール310及び下流押さえロール330は、基材フィルム層110をコーティングロール320とは反対側から押さえうるロールである。上流押さえロール310及び下流押さえロール330は、基材フィルム層110を押さえることにより、基材フィルム層110をコーティングロール320に所望の圧力で押さえることができるように設けられている。この圧力を調整することにより、コーティングロール320によって基材フィルム層110に塗布される液状樹脂130の量を調整できるので、樹脂層120の厚みを制御することができる。
コーティングロール320は、液状樹脂130を基材フィルム層110の表面111に塗布しうるロールである。コーティングロール320の下部には液状樹脂130を溜めた液溜め321が設置されていて、コーティングロール320の一部は前記の液溜め321に溜められた液状樹脂130に浸かっている。また、コーティングロール320は、周方向に回転しうるように設けられている。本実施形態では、矢印A320で示すように、コーティングロール320が基材フィルム層110の走行方向とは対向する向きで回転する例を示すが、コーティングロール320は基材フィルム層110の走行方向と同じ向きで回転しても構わない。
このような構成により、コーター300に基材フィルム層110が送られてくると、コーティングロール320が回転することによって液溜め321に溜められた液状樹脂130を基材フィルム層110の表面111に塗布できる。これにより、基材フィルム層110の表面111に液状樹脂の層140が形成される。
コーティングロール320によって液状樹脂の層140を形成された基材フィルム110は、その後、掻き取りロール340に送られる。
掻き取りロール340は、基材フィルム層110の表面111に形成された液状樹脂の層140から液状樹脂の一部150を掻き取ることにより、液状樹脂の層140の厚みを所望の厚みに調整しうるロールである。掻き取りロール340は、基材フィルム層110の液状樹脂の層140側に設けられている。また、掻き取りロール340は、基材フィルム層110に対して所定の圧力で押し付けられうるように設けられている。さらに、掻き取りロール340は、矢印A340で示すように、基材フィルム層110の走行方向とは対向する向きに回転しうるように設けられている。このため、掻き取りロール340が回転することによって、基材フィルム層110の表面111に形成された液状樹脂の層140から液状樹脂の一部150が取り除かれ、液状樹脂の層140の厚みを所望の厚みに制御することができる。また、この掻き取りロール340の回転速度は、制御部700により制御されるように設けられている。
また、掻き取りロール340の下部には回収器341が設置されている。このため、掻き取りロール340によって掻き取られた液状樹脂342は、この回収器341に回収される。
コーター300で所定の厚みの液状樹脂の層140を表面111に形成された基材フィルム層110は、オーブン400に送られる。
オーブン400は、基材フィルム110の表面111に形成された液状樹脂の層140を加熱する装置である。オーブン400において液状樹脂の層140が加熱されるので、乾燥により液状樹脂の層140から溶媒が除去される。また、場合によっては、この加熱により、液状樹脂に含まれる重合体の重合反応又は架橋反応が進行する。このため、液状樹脂の層140が硬化するので、基材フィルム層110の表面111に樹脂層120が形成される。これによって、基材フィルム層110の表面111に、液状樹脂の固形分である重合体及び粒子(I)を含む樹脂層120を備える複層フィルム100が得られる。
この複層フィルム100は、延伸機500に送られる。
延伸機500は、複層フィルム100を所望の方向に延伸しうる装置である。本実施形態では、延伸機500として、複層フィルム100を幅方向に延伸しうるテンター延伸機を用いている例を示して説明する。延伸機500で延伸されることにより、複層フィルム100並びにそれに含まれる基材フィルム層110及び樹脂層120の厚みが小さくなる。このように延伸処理を施された複層フィルム100は、蛍光X線分析装置600に送られる。
蛍光X線分析装置600は、複層フィルム100の樹脂層120について蛍光X線分析を行って、蛍光X線の強度を測定しうる装置である。この蛍光X線分析装置600は、複層フィルム100の樹脂層120にX線を照射しうるX線照射部610と、X線が照射された樹脂層120に含まれる粒子(I)が生じる蛍光X線の強度を測定しうる蛍光X線測定部620とを備える。また、この蛍光X線分析装置600は制御部700に接続されていて、蛍光X線分析装置600で測定した蛍光X線の強度の情報を制御部700に送ることができるように設けられている。
このような構成の蛍光X線分析装置600によって、樹脂層120について蛍光X線分析を行って蛍光X線の強度を測定する工程を行う。すなわち、蛍光X線分析装置600に送られてきた複層フィルム100の樹脂層120の測定領域に、X線照射部610からX線を照射する。X線が照射された樹脂層120の測定領域では、その樹脂層120に含まれる粒子(I)にX線が入射する。X線が入射した粒子(I)は、蛍光X線を発する。この蛍光X線の強度は、蛍光X線測定部620で測定される。これらの蛍光X線の強度の測定は、複層フィルム100が連続走行した状態において行われるので、複層フィルム100の製造効率を低下させない。
蛍光X線分析装置600による蛍光X線分析1回当たりの測定領域の面積は、その測定領域の樹脂層120に含まれる粒子(I)の数が100個以上となるように設定することが好ましい。測定領域の樹脂層120に含まれる粒子(I)の数を多くすることにより、測定領域毎の測定誤差を小さくできるので、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みの測定精度を高めることができる。より詳しくは、蛍光X線の強度の1回の測定において測定される樹脂層120の測定領域において、樹脂層120が粒子(I)を、100個以上含むことが好ましく、1000個以上含むことがより好ましく、3000個以上含むことが特に好ましい。上限に制限は無いが、通常1000000個以下である。
蛍光X線分析装置600において測定された蛍光X線の強度の情報は、制御部700に送られる。
制御部700は、記憶部710、厚み換算部720及び厚み制御部730を備える。記憶部710は、樹脂層の平均厚みと、その樹脂層について蛍光X線分析を行った場合に測定される蛍光X線の強度との相関情報である検量線を記憶している。また、厚み換算部720は、相関情報としての検量線に基づいて、蛍光X線分析装置600から送られてきた蛍光X線の強度を、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みに換算しうる機能部である。さらに、厚み制御部730は、厚み換算部720で換算された樹脂層120の平均厚みに基づいて、樹脂層120全体の平均厚みを制御しうる機能部である。
この制御部700のハードウェア構成に制限はないが、通常は、CPU等のプロセッサ、RAM及びROM等のメモリ、入出力端子等のインターフェースなどで構成されるコンピュータにより構成される。そして、予めメモリ等に記録された処理内容に従って処理を行い、そのコンピュータが制御部700の機能を実現しうる構成を有する。
制御部700においては、厚み換算部720が、蛍光X線の強度を蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みに換算する工程を行う。すなわち、制御部700においては、厚み換算部720が、蛍光X線分析装置600から送られてきた蛍光X線の強度の情報を受け取る。この蛍光X線の強度の情報を受け取ると、厚み換算部720は、記憶部710に記憶されている検量線に基づいて、蛍光X線の強度を蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みに換算する。具体的には、厚み換算部720は、蛍光X線の強度の入力を受け、入力された蛍光X線の強度に対応する樹脂層120の平均厚みを検量線から特定し、その特定した平均厚みを蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みとして出力する。
得られた樹脂層120の平均厚みの情報は、厚み制御部730による制御に用いられる。この厚み制御部730は、蛍光X線の強度から換算された樹脂層120の平均厚みに基づいて樹脂層120の平均厚みを制御する工程を行う。本実施形態においては、厚み制御部730はコーター300による基材フィルム層110の表面111への液状樹脂の塗布量を調整することにより、樹脂層120の平均厚みの制御を行う。具体的には、次のような制御を行う。
厚み制御部730は、厚み換算部720で換算された樹脂層120の平均厚みが、目的とする厚みの範囲の上限値よりも厚いか、目的とする厚みの範囲の下限値よりも薄いか、目的とする厚みの範囲に収まるかを判定する。
判定の結果、換算された樹脂層120の平均厚みが目的とする厚みの範囲の上限値よりも厚い場合、厚み制御部730は、掻き取りロール340の回転速度を所定速度だけ速くするように、掻き取りロール340の駆動制御を行う。これにより、掻き取りロール340によって掻き取られる液状樹脂の量が多くなるので、コーター300によって基材フィルム層110の表面111に塗布される液状樹脂の量が減らされる。このため、樹脂層120の平均厚みを薄くできる。
また、判定の結果、換算された樹脂層120の平均厚みが目的とする厚みの範囲の下限値よりも薄い場合、厚み制御部730は、掻き取りロール340の回転速度を所定速度だけ遅くするように、掻き取りロール340の駆動制御を行う。これにより、掻き取りロール340によって掻き取られる液状樹脂の量が少なくなるので、コーター300によって基材フィルム層110の表面111に塗布される液状樹脂の量が増やされる。このため、樹脂層120の平均厚みを厚くできる。
さらに、判定の結果、換算された樹脂層120の平均厚みが目的とする厚みの範囲に収まっている場合、厚み制御部730は、掻き取りロール340の回転速度を変えないように、掻き取りロール340の駆動制御を行う。これにより、掻き取りロール340によって掻き取られる液状樹脂の量は変化しないので、コーター300によって基材フィルム層110の表面111に塗布される液状樹脂の量は変わらない。このため、樹脂層120の平均厚みを目的とする厚みの範囲に維持することができる。
したがって、蛍光X線分析装置600によって樹脂層120について蛍光X線分析を行って蛍光X線の強度を測定する工程と、制御部700の厚み換算部720によって蛍光X線の強度を蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みに換算する工程と、換算された樹脂層120の厚みに基づいて制御部700の厚み制御部730によって樹脂層120の平均厚みを制御する工程とを周期的に繰り返し行うことにより、複層フィルム100の樹脂層120の平均厚みを、目的とする厚みの範囲に収めることができる。
また、得られた複層フィルム100は、巻き芯810に巻き取られて、ロール800として保管される。
以上のように、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造方法によれば、所望の平均厚みを有する樹脂層120を備えた複層フィルム100を製造できる。
また、この製造方法によれば、長尺の基材フィルム110を用いて連続的に複層フィルム100を製造できるので、効率の良い製造が可能である。
さらに、蛍光X線分析によれば、樹脂層120の厚みが薄くても、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みを正確に測定することが可能である。これにより、樹脂層120の平均厚みを精密に制御することが可能である。
また、蛍光X線分析によれば、局所的な点だけではなく、ある程度の面積を有する測定領域における樹脂層120の平均厚みを、1回の蛍光X線分析によって測定することが可能である。これは、例えば樹脂層120に粒子が含まれることによって樹脂層の厚みが均一でない場合のように、樹脂層120の局所的な地点の厚みではなく、ある面積を有する領域の平均厚みによって、樹脂層120の厚みの制御を行いたい場合に、好適である。また、蛍光X線分析によれば、ある領域の樹脂層120の平均厚みを測定する1回の操作当たりに要する時間を短くできる。したがって、樹脂層120の制御を時間において細かく行うことが可能であるので、この意味でも、樹脂層120の平均厚みの精密な制御が可能である。
〔1.4.変形例〕
以上、本発明の一実施形態に係る複層フィルム100の製造方法について説明したが、本発明は更に変更して実施してもよい。
例えば、基材フィルム層110に対しては、コロナ放電処理以外の表面処理を施してもよい。また、表面処理を省略してもよい。
また、上述した実施形態では掻き取りロール340の回転速度を調整することにより基材フィルム層110への液状樹脂130の塗布量を調整したが、これ以外の方法によって液状樹脂130の塗布量を調整してもよい。例えば、基材フィルム層110のコーティングロール320に対する押し当て圧力を調整することにより、液状樹脂130の塗布量を調整してもよい。また、例えば、掻き取りロール340の基材フィルム層110に対する押し当て圧力の大きさを調整することにより、液状樹脂130の塗布量を調整してもよい。
さらに、例えば、コーター300による液状樹脂130の塗布量の調整以外の方法で、樹脂層120の平均厚みの制御を行ってもよい。
また、例えば、延伸機500による延伸処理は、省略しても構わない。
さらに、例えば、蛍光X線分析装置600を、延伸機500よりも上流に設けてもよい。これにより、延伸前の複層フィルム100において樹脂層120の平均厚みを測定できる。ただし、製品における樹脂層120の平均厚みの制御をより正確に行う観点からは、製造工程においてより後の工程で蛍光X線分析を行うことが好ましく、巻き芯810による巻取りの直前に蛍光X線分析を行うことが特に好ましい。
また、例えば、複層フィルム100の製造方法は、上述した実施形態において説明した以外の工程を含んでいてもよい。例えば、製造された複層フィルム100を、更に別のフィルムと貼り合せる工程を行ってもよい。
さらに、上述した実施形態では、蛍光X線の強度を蛍光X線分析の測定領域における樹脂層120の平均厚みに換算する工程、及び、換算された樹脂層120の平均厚みに基づいて樹脂層120の平均厚みを制御する工程は制御部700が行なうことにより自動化したが、制御部700によらず使用者がこれらの工程を行うようにしてもよい。
また、例えば、樹脂層120は加熱以外の方法で硬化をしてもよい。例えば、紫外線や電子線の照射により硬化を行ってもよい。
[2.基材フィルム層]
次に、本発明に係る基材フィルム層の好ましい例を、より具体的に説明する。
基材フィルム層としては、樹脂フィルム層を用いることが好ましい。基材フィルム層を形成する樹脂のうち、好ましい例としては、脂環式構造含有重合体を含む樹脂(以下、適宜「脂環式構造含有重合体樹脂」ということがある。)が挙げられる。脂環式構造含有重合体樹脂は、透明性、低吸湿性、寸法安定性および軽量性などに優れ、光学フィルムに適している。
脂環式構造含有重合体は、重合体の構造単位中に脂環式構造を有する重合体であり、主鎖に脂環式構造を有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれを用いてもよい。中でも、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造含有重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系重合体は、透明性と成形性が良好なため、特に好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と任意の単量体との開環共重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と任意の単量体との付加共重合体、又はそれらの水素化物;等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。ここで、「(共)重合体」とは、重合体及び共重合体のことをいう。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン系重合体の中でも、以下の3要件を全て満たすものが好ましい。すなわち、第一に、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有する。第二に、これらの構造単位の含有量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上である。第三に、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60である。このようなノルボルネン系重合体を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる複層フィルムを得ることができる。
脂環式構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、通常100,000以下、好ましくは80,000以下、より好ましくは50,000以下である。ここで、前記の重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてシクロヘキサン(試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、複層フィルムの機械的強度および成型加工性が高度にバランスされ好適である。
基材フィルム層を形成する樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、重合体以外にもその他の任意成分を含んでいてもよい。任意成分の例を挙げると、顔料、染料等の着色剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;耐電防止剤;酸化防止剤;滑剤;などの添加剤が挙げられる。また、任意成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
基材フィルム層は、その製法によって特に制限されない。例えば、基材フィルム層として樹脂フィルム層を用いる場合、樹脂を公知のフィルム成形法で成形することによって基材フィルム層を製造してもよい。フィルム成形法としては、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。中でも、溶剤を使用しない溶融押出法は、残留揮発成分量を効率よく低減させることができ、地球環境や作業環境の観点、及び製造効率に優れる観点から好ましい。溶融押出法としては、ダイスを用いるインフレーション法などが挙げられるが、生産性や厚さ精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
また、基材フィルム層は、一層のみを備える単層構造のフィルムであってもよく、二層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。
さらに、基材フィルム層は、延伸処理を施されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸処理を施された延伸フィルムであってもよい。
基材フィルム層の厚みは特に制限はないが、材料コストの観点、並びに薄型及び軽量化の観点から、通常1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上であり、通常1000μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下である。
また、複層フィルムを光学フィルムとして用いる場合には、基材フィルム層は、1mm厚換算での全光線透過率が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して測定しうる。
さらに、複層フィルムを光学フィルムとして用いる場合には、基材フィルム層は、1mm厚換算でのヘイズが、0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることが特に好ましい。ここで、ヘイズは、JIS K7136−1997に準拠して測定しうる。
[3.液状樹脂]
次に、本発明に係る樹脂層の形成に用いる液状樹脂の好ましい例を、より具体的に説明する。
前述した実施形態のように、樹脂層は、例えば、液状樹脂を基材フィルム層の表面に塗布して液状樹脂の層を得る工程と、その液状樹脂の層を硬化させる工程とを含む製造方法により、製造しうる。この液状樹脂は、粒子(I)を含む。また、液状樹脂は、通常、樹脂層を形成する樹脂に含まれる重合体、又は、重合反応又は架橋反応によって樹脂層を形成する樹脂に含まれる重合体が得られる単量体又は重合体を含む。また、液状樹脂は、溶媒を含んでいてもよい。さらに、液状樹脂は、更に界面活性剤を含むことが好ましい。
〔3.1.粒子(I)〕
粒子(I)としては、蛍光X線分析による測定が可能な粒子を用いうる。このような粒子(I)の材質としては、例えば、シリカ、アルミナ等の、金属又は半金属の酸化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;チタン酸バリウム等のチタン酸塩;タルク、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の珪酸塩;燐酸カルシウム等の燐酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;クレイ;等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、粒子(I)は、1種類の粒子(I)を単独で用いてもよく、平均粒子径が異なる2種類以上の粒子(I)を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。例えば、平均粒子径が異なる2種類以上の粒子(I)を用意し、これらの用意した粒子(I)を液状樹脂に含まれうる他の成分と混合して、液状樹脂を得てもよい。通常、このように平均粒子径が異なる2種類以上の粒子(I)を含む液状樹脂から製造される樹脂層は、これら2種類以上の粒子(I)の混合物を含む構造を有する。したがって、その樹脂層に含まれる粒子(I)全体の粒子径分布は、通常、用いた粒子(I)それぞれの平均粒子径に対応したピークを有する。
なかでも、複層フィルムの光学特性とブロッキング防止性の両方を良好にする観点では、粒子(I)として、平均粒子径が異なる2種類以上の粒子(I)を組み合わせて用いることが好ましい。したがって、樹脂層に含まれる粒子(I)全体の粒子径分布が、2つ以上のピークを有することが好ましい。
また、樹脂層を形成する工程において、樹脂層の平均厚みよりも大きい平均粒子径を有する少なくとも1種類の粒子(I)を用いることが好ましい。すなわち、1種類の粒子(I)だけを液状樹脂に含まれうる他の成分と混合して液状樹脂を調製する場合には、その粒子(I)の平均粒子径が樹脂層の平均厚みよりも大きいことが好ましい。また、平均粒子径が異なる2種類以上の粒子(I)を液状樹脂に含まれうる他の成分と混合して液状樹脂を調製する場合には、それらの粒子(I)のうち少なくとも1種類の平均粒子径が樹脂層の平均厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、樹脂層の表面を粗くできるので、樹脂層の表面の滑り性を高め、複層フィルムのブロッキングを防止することができる。
また、平均粒子径が異なる2種類以上の粒子(I)を組み合わせて用いる場合、それらの粒子(I)のうちで最も平均粒子径が大きい粒子(I)の平均粒子径は、樹脂層の平均厚みの、好ましくは110%以上、より好ましくは150%以上、特に好ましくは200%以上であり、好ましくは600%以下、より好ましくは400%以下、特に好ましくは300%以下である。最も平均粒子径が大きい粒子(I)の平均粒子径が前記範囲の下限値以上であることにより、複層フィルムのブロッキングを安定して防止できる。また、上限値以下にすることにより、巨大粒子による光学欠陥の発生を防止できる。
また、平均粒子径が異なる2種類以上の粒子(I)を組み合わせて用いる場合、それらの粒子(I)のうちで最も平均粒子径が小さい粒子(I)の平均粒子径は、樹脂層の平均厚みの、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、特に好ましくは40%以上であり、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下、特に好ましくは150%以下である。最も平均粒子径が小さい粒子(I)の平均粒子径が前記範囲の下限値以上であることにより、複層フィルムのブロッキングを効果的に防止することができる。また、上限値以下にすることにより、樹脂層から粒子(I)が脱離することを防止でき、また樹脂層において蛍光X線分析により測定可能な原子の偏りを防止できるので、樹脂層の平均厚みの測定を精度良く行なうことができる。
さらに、平均粒子径が異なる2種類以上の粒子(I)を組み合わせて用いる場合、それらの粒子(I)のうちで最も平均粒子径が大きい粒子(I)よりも最も平均粒子径が小さい粒子(I)の方が、粒子数が多いことが好ましい。これにより、樹脂層において蛍光X線分析により測定可能な原子の偏りを防止できるので、樹脂層の平均厚みの測定を精度良く行なうことができる。
粒子(I)の量は、樹脂層に含まれる重合体100重量部に対して、好ましくは2重量部以上、より好ましくは3重量部以上、特に好ましくは5重量部以上であり、好ましくは25重量部以下、より好ましくは20重量部以下、特に好ましくは15重量部以下である。粒子の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、複層フィルムのブロッキングを効果的に防止でき、また蛍光X線測定において測定面積当たりのX線強度が強くなるので測定精度を高く、かつ測定時間を短縮することができる。また、上限値以下にすることにより、複層フィルムの光学特性を維持したままブロッキングを防止することができる。
〔3.2.単量体又は重合体〕
液状樹脂は、樹脂層を形成する樹脂に含まれる重合体を用みうる。また、液状樹脂は、重合反応又は架橋反応によって樹脂層を形成する樹脂に含まれる重合体が得られる単量体又は重合体を用みうる。これらの重合体の具体的な種類は、樹脂層に求められる特性に応じて任意に選択しうる。
例えば、樹脂層として易接着層を形成する場合には、液状樹脂が含む重合体としてポリウレタンを用いてもよい。ここで易接着層とは、基材フィルム層を偏光子等の任意の部材と貼り合わせる際に、接着剤による基材フィルム層と任意の部材との接着を補強してより強固に接着させる機能を有する層を示す。重合体としてポリウレタンを用いる場合、通常は、溶媒として水を用いる。これにより、粒子(I)、ポリウレタン及び水を含む水系樹脂として、液状樹脂を用意できる。この水系樹脂においては、通常、粒子(I)及びポリウレタンは水中に分散している。ただし、水系樹脂において、ポリウレタンは、例えば、エマルション、コロイド分散系、水溶液などの形態となっていてもよい。
ポリウレタンとしては、例えば、(i)1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分と(ii)多価イソシアネート成分とを反応させて得られるポリウレタン;または、上記(i)成分及び(ii)成分をイソシアネート基過剰の条件下で、反応に不活性で水との親和性の大きい有機溶媒中でウレタン化反応させてイソシアネート基含有プレポリマーとし、次いで、該プレポリマーを中和し、鎖延長剤を用いて鎖延長し、水を加えて分散体とすることによって製造されるポリウレタン;などが挙げられる。また、これらのポリウレタンは、その分子構造に酸構造を含んでいてもよい。
イソシアネート基含有プレポリマーの鎖延長方法は公知の方法を採用しうる。例えば、鎖延長剤として、水、水溶性ポリアミン、グリコール類などを使用し、イソシアネート基含有プレポリマーと鎖延長剤とを、必要に応じて触媒の存在下で反応させてもよい。
前記(i)成分(すなわち、1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分)としては、特に限定されるものではないが、水酸基性の活性水素を有するものが好ましい。このような化合物の具体例としては、次の(1)〜(5)のようなものが挙げられる。
(1)ポリオール化合物:
ポリオール化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、2,5−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオールなどが挙げられる。
(2)ポリエーテルポリオール:
ポリエーテルポリオールとして、例えば、前記のポリオール化合物のアルキレンオキシド付加物;アルキレンオキシドと環状エーテル(例えばテトラヒドロフランなど)との開環(共)重合体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体;グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコールなどのグリコール類;などが挙げられる。
(3)ポリエステルポリオール:
ポリエステルポリオールとして、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸又はその無水物と、上記(1)で挙げられたようなエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオール、ネオペンチルグリコールなどのポリオール化合物とを、水酸基過剰の条件で重縮合させて得られたものなどが挙げられる。より具体的には、例えば、エチレングリコール−アジピン酸縮合物、ブタンジオール−アジピン縮合物、ヘキサメチレングリコール−アジピン酸縮合物、エチレングリコール−プロピレングリコール−アジピン酸縮合物、或いはグリコールを開始剤としてラクトンを開環重合させたポリラクトンジオールなどが挙げられる。
(4)ポリエーテルエステルポリオール:
ポリエーテルエステルポリオールとして、例えば、エーテル基含有ポリオール(例えば、前記(2)のポリエーテルポリオールやジエチレングリコール等)または、これと他のグリコールとの混合物を上記(3)で例示したようなジカルボン酸又はその無水物に加えてアルキレンオキシドを反応させてなるものなどが挙げられる。より具体的には、例えば、ポリテトラメチレングリコール−アジピン酸縮合物などが挙げられる。
(5)ポリカーボネートポリオール:
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、一般式HO−R−(O−C(O)−O−R)−OH(ただし、式中、Rは炭素原子数1〜12の飽和脂肪酸ポリオール残基を示す。また、xは分子の構造単位の数を示し、通常5〜50の整数である。)で示される化合物などが挙げられる。これらは、飽和脂肪族ポリオールと置換カーボネート(例えば、炭酸ジエチル、ジフェニルカーボネートなど)とを、水酸基が過剰となる条件で反応させるエステル交換法;前記飽和脂肪族ポリオールとホスゲンとを反応させるか、または必要に応じて、その後さらに飽和脂肪族ポリオールを反応させる方法;などにより得ることができる。
上記の(1)から(5)に例示したような化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記(i)成分と反応させる(ii)成分(即ち、多価イソシアネート成分)としては、例えば、1分子中に平均2個以上のイソシアネート基を含有する脂肪族、脂環族または芳香族の化合物を使用しうる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、炭素原子数1〜12の脂肪族ジイソシアネートが好ましく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、炭素原子数4〜18の脂環式ジイソシアネートが好ましく、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)などが挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、酸構造を含有するポリウレタンは、界面活性剤を使用せずに、若しくは界面活性剤の量が少なくても、水中に分散させることが可能となるので、樹脂層の耐水性が良くなることが期待される。これを自己乳化型といい、界面活性剤を使用すること無く分子イオン性のみで、水中にポリウレタンの粒子が分散安定化しうることを意味する。また、酸構造を含有するポリウレタンは、界面活性剤が不要又は少量で済むので、脂環式構造含有重合体樹脂との接着性に優れ、かつ高い透明性を維持できるため、好ましい。
酸構造としては、例えば、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)等の酸基などを挙げることができる。また、酸構造は、ポリウレタンにおいて側鎖に存在していてもよく、末端に存在していてもよい。酸構造は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
酸構造の量としては、液状樹脂中の酸価として、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは25mgKOH/g以上であり、好ましくは250mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下である。酸価を前記範囲の下限値以上にすることによりポリウレタンの水分散性を良好にできる。また、上限値以下にすることにより、樹脂層の耐水性を良好にできる。
ポリウレタンに酸構造を導入する方法としては、例えば、ジメチロールアルカン酸を、前記(2)から(4)に記載したグリコール成分の一部もしくは全部と置き換えることによって、予めポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等にカルボキシル基を導入する方法が挙げられる。ここで用いられるジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。ここで、ジメチロールアルカン酸は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、ポリウレタンが含む酸構造の一部又は全部は、中和することが好ましい。酸構造を中和することにより、複層フィルムは、高温下に曝された熱履歴を有しても、光学材料としての特性を維持したり、他の部材と強い接着力で接着したりすることが可能である。また、酸構造を中和しても、界面活性剤を使用せずに、若しくは界面活性剤の量が少なくても、ポリウレタンの粒子を水中に分散させることは可能である。
ポリウレタンが含む酸構造のうち、中和される酸構造の割合は、20%以上が好ましく、50%以上が特に好ましい。酸構造のうちの20%以上が中和されることにより、複層フィルムが高温下に曝された熱履歴を有しても、光学材料としての特性を維持したり、他の部材と強い接着力で接着したりすることが可能である。
酸構造を中和する中和剤としては、通常、不揮発性塩基を用いる。不揮発性塩基としては、例えば、液状樹脂を基材フィルム層に塗布した後に乾燥させる際の処理条件下(例えば80℃で1時間放置した場合)において、実質的に不揮発性である塩基が挙げられる。ここで実質的に不揮発性であるとは、通常、不揮発性塩基の減少分が80%以下であることをいう。
不揮発性塩基としては、無機塩基を用いてもよく、有機塩基を用いてよい。中でも、沸点100℃以上の有機塩基が好ましく、沸点100℃以上のアミン化合物がより好ましく、沸点200℃以上のアミン化合物が特に好ましい。また、有機塩基は低分子化合物でもよく、重合体でもよい。
不揮発性塩基の例を挙げると、無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。また、有機塩基としては、例えば、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ[(2−ヒドロキシ)−1−プロピル]アミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパン水酸化カリウム、亜鉛アンモニウム錯体、銅アンモニウム錯体、銀アンモニウム錯体、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、3−ウレイドプロピルトリメトシキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシカルボン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタール酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、キノリン、ピコリン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イロプロパノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N−N−ジエタノールアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、アミノヘキシルエタノールアミン、アミノエチルプロパノールアミン、アミノプロピルプロパノールアミン、アミノヘキシルプロパノールアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアイミダゾール、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−アミノエチル)−2−エチルイミダゾール、2−アミノイミダゾールサルフェート、2−(2−アミノエチル)−ベンゾイミダゾール、ピラゾール、5−アミノピラゾール、1−メチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、アミノ樹脂(例えば、1,3−ジメチル−4−クロロ−メラミン樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂等)などが挙げられる。なお、中和剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタンの数平均分子量は、1,000以上が好ましく、より好ましくは20,000以上であり、1,000,000以下が好ましく、より好ましくは200,000以下である。
また、ポリウレタンは、ポリウレタン及び水を含む市販の水系ウレタン樹脂として用意してもよい。市販の水系ウレタン樹脂としては、例えば、旭電化工業社製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井東圧化学社製の「オレスター」シリーズ、大日本インキ化学工業社製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン」シリーズ、バイエル社製の「インプラニール」シリーズ、日本ソフラン社製の「ソフラネート」シリーズ、花王社製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業社製の「サンプレン」シリーズ、保土谷化学工業社製の「アイゼラックス」シリーズ、第一工業製薬社製の「スーパーフレックス」シリーズ、ゼネカ社製の「ネオレッツ」シリーズ等が挙げられる。
〔3.3.溶媒〕
液状樹脂は、通常、溶媒を含む。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等の有機溶媒;などが挙げられる。中でも、水を用いることが好ましい。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の量は、液状樹脂の固形分濃度が、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、また、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下となる量にする。これにより、液状樹脂の取り扱い性及び塗布性を良好にできる。
〔3.4.界面活性剤〕
液状樹脂は、界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、液状樹脂における粒子(I)の分散性を高めることができ、ひいては樹脂層における粒子(I)の分散性を高めることができる。そのため、樹脂層の平均厚みの測定精度を向上させることができる。また、通常は、界面活性剤により、液状樹脂の塗布性を向上させたり、樹脂層からの粒子(I)の離脱を抑制したりできる。また、液状樹脂が界面活性剤を含む場合、通常は、その液状樹脂から製造される樹脂層も前記の界面活性剤を含む。
界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性界面活性剤および非イオン性界面活性剤のいずれでもよいが、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤としては三重結合の二つの隣接炭素原子にいずれも水酸基及びメチル基が置換されたアセチレングリコール及び/又はそのエチレンオキサイド付加物である非イオン系界面活性剤が好ましい。かかる界面活性剤は具体的には、式:R−C(CH)(OR)−C≡C−C(CH)(OR)−Rで表される構造を有する。式中、RおよびRはそれぞれ独立して、−(CH−Hを表す。nは0以上の整数を表し、0〜400が好ましく、0または20〜100であることがより好ましく、40〜70であることが特に好ましい。RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、イソプロピル基が好ましい。かかる界面活性剤としては、例えば、日信化学工業社製のサーフィノール104シリーズ、サーフィノール400シリーズなどを用いることができる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、樹脂層における界面活性剤の濃度が、好ましくは10ppm以上、より好ましくは50ppm以上、また、好ましくは10,000ppm以下、より好ましくは1,000ppm以下となる量に設定する。これにより、樹脂層における粒子(I)の分散性を効果的に高めることができる。
〔3.5.任意の成分〕
液状樹脂は、上述した成分以外にも任意の成分を含みうる。
例えば、液状樹脂は、樹脂層の機械強度を向上させる目的で架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。この中でも、特にエポキシ化合物、アミノ化合物及びオキサゾリン化合物が、接着性の観点から好ましい。
エポキシ化合物としては、2個以上のエポキシ基を有する化合物を用いうる。その例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエーテル化によって得られるジエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モル以上とのエーテル化によって得られるポリエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエステル化によって得られるジエポキシ化合物等のエポキシ化合物;などが挙げられる。
アミノ化合物としては、2個以上のアミノ基を有する化合物を用いうる。その例としては、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタール酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、グリコリック酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、メラミン樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば、2個以上の非ブロック型のイソシアネート基若しくはブロック型のイソシアネート基を有する化合物を用いうる。非ブロック型のイソシアネート化合物としては、例えば、多官能イソシアネート化合物と一価又は多価のノニオン性ポリアルキレンエーテルアルコールとを反応させて得られる化合物が挙げられる。ブロック型イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルシクロヘキシルジイソシアネート(H6TDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジイソシアネート(TIDI)、1,12−ジイソシアネートドデカン(DDI)、2,4,−ビス−(8−イソシアネートオクチル)−1,3−ジオクチルシクロブタン(OCDI)、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、およびこれらのイソシアヌレート変性体、アダクト変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、並びに、これらの重合体で1個以上のイソシアネート基を有するものをポリオキシアルキレン基、カルボキシル基等で変性し、水溶性およびまたは水分散性にし、イソシアネート基をブロック剤(フェノール、ε−カプロラクタムなど)でマスクすることにより得られる化合物などが挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、2個以上のカルボジイミド結合(−N=C=N−)を有する化合物を用いうる。2個以上のカルボジイミド結合を有する化合物は、例えば、2分子以上のポリイソシアネートとカルボジイミド化触媒とを用いて、2個のイソシアネート基を脱炭酸反応させてカルボジイミド結合を形成させる方法によって得ることができる。2個以上のカルボジイミド結合を有する化合物を作製する際に使用されるポリイソシアネートおよびカルボジイミド化触媒は特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
オキサゾリン化合物としては、2個以上のオキサゾリン基を有する化合物を用いうる。
また、これらの中でも、液状樹脂において用いる場合、溶媒に溶解性があるか、又はエマルジョン化しうる架橋剤を用いることが好ましい。
さらに、架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の量は樹脂層に求められる物性に応じて任意に設定しうる。例えば、重合体としてポリウレタンを含む液状樹脂においては、架橋剤の量は、ポリウレタン100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは70重量部以下、より好ましくは65重量部以下である。これにより、樹脂層の強度と、ポリウレタンの水中における分散安定性とを両立できる。
さらに、任意の成分の別の例としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等が挙げられる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔3.6.液状樹脂の製造方法〕
液状樹脂は、例えば、当該液状樹脂に含まれる各成分を同時に又は任意の順番で混合することにより製造しうる。また、例えば水系ウレタン樹脂及びコロイダルシリカ等のように、溶媒に溶解又は分散した組成物として用意される成分を混合する場合には、必ずしもその組成物からポリウレタン及びシリカ等の成分を取り出す必要は無く、溶媒に溶解又は分散した状態のまま混合してもよい。
例えば、1種類の粒子(I)を含む液状樹脂を製造する場合には、その粒子(I)、単量体又は重合体、並びに、必要に応じて溶媒、界面活性剤及び任意の成分を混合することにより、その液状樹脂を製造しうる。
また、例えば、異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)を含む液状樹脂を製造する場合、それらの異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)、単量体又は重合体、並びに、必要に応じて溶媒、界面活性剤及び任意の成分を混合することにより、その液状樹脂を製造しうる。
[4.複層フィルム]
次に、本発明に係る複層フィルムの好ましい例を、より具体的に説明する。
上述した製造方法により製造される複層フィルムは、基材フィルム層と、この基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える。この樹脂層は、粒子(I)を含む樹脂の層である。例えば、この樹脂層が前記の液状樹脂を用いて製造された物である場合、通常、樹脂層は液状樹脂の固形分を含む。
粒子(I)を含むので、通常、樹脂層の表面には凹部又は凸部が形成される。そのため、樹脂層の表面の表面粗さは粗くなっている。これにより、複層フィルムのブロッキングを防止することが可能となっている。
また、上述した製造方法では樹脂層の平均厚みを精密に制御できるので、複層フィルムの長手方向において樹脂層の厚みのバラツキは小さくできる。ここで樹脂層の厚みのバラツキとは、樹脂層の厚みの最大値と最小値との差を指す。
樹脂層の平均厚みに制限は無いが、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、特に好ましくは20nm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下である。ここで、樹脂層の平均厚みは、以下の方法で測定しうる。すなわち、複層フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトームを用いてスライスし、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察する。そして、観察された範囲において樹脂層の平均厚みを測定する。この操作を、複層フィルムの幅方向における任意の5箇所のおいて行い、その5箇所で測定された平均厚みの平均値を計算し、計算された平均値を当該樹脂層の平均厚みとして採用する。
複層フィルムは、光学部材としての機能を安定して発揮させる観点から、1mm厚換算での全光線透過率が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また、複層フィルムは、1mm厚換算でのヘイズが、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
複層フィルムは、通常、光学フィルムとして使用される。複層フィルムの用途となる光学フィルムの例を挙げると、保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどが挙げられる。
中でも、本発明に係る複層フィルムは、偏光板保護フィルムに適している。本発明に係る複層フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、その偏光板保護フィルムは本発明に係る複層フィルムを備え、必要に応じて更に任意の層を備えうる。例えば、複層フィルム単独で偏光板保護フィルムとして用いてもよく、複層フィルムと任意のフィルムとを組み合わせて偏光板保護フィルムとして用いてもよい。
[5.偏光板]
偏光板は、通常、偏光子と偏光板保護フィルムとを備える。このような偏光板は、例えば、偏光子と偏光板保護フィルムとを貼り合わせることにより製造しうる。貼り合せる際、接着層を介することなく直接に偏光子と偏光板保護フィルムとを貼り合せてもよく、接着層を介して貼り合せてもよい。さらに、偏光子の一方の面だけに偏光板保護フィルムを貼り合せてもよく、両方の面に貼り合せてもよい。偏光子の一方の面だけに偏光板保護フィルムを貼り合わせる場合、偏光子の他方の面には、透明性の高い任意のフィルムを貼り合せてもよい。
偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素若しくは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって製造しうる。また、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによっても製造しうる。さらに、偏光子として、例えば、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの、偏光を反射光と透過光とに分離する機能を有する偏光子を用いてもよい。これらの中でも、ポリビニルアルコールを含んでなる偏光子が好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の平均厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光子と偏光板保護フィルムとを接着するための接着剤としては、光学的に透明な任意の接着剤を用いうる。接着剤としては、例えば、水性接着剤、溶剤型接着剤、二液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、感圧性接着剤などが挙げられる。この中でも、水性接着剤が好ましく、特にポリビニルアルコール系の水性接着剤が好ましい。また、接着剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
接着層の平均厚みは、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である。
偏光板保護フィルムと偏光子とを貼り合わせる方法に制限は無いが、例えば、偏光子の一方の面に必要に応じて接着剤を塗布した後、ロールラミネーターを用いて偏光子と偏光板保護フィルムとを貼り合せ、必要に応じて乾燥を行う方法が好ましい。乾燥時間及び乾燥温度は、接着剤の種類に応じて適宜選択される。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[評価方法]
(10μm当たりの粒子数の計算方法)
樹脂層に含まれる各粒子の、樹脂層の面積10μm当たりの粒子数は、液状樹脂の塗布量から計算により求めた。すなわち、液状樹脂の固形分に対する当該液状樹脂に含まれる各粒子の濃度(個数/グラム)を計算した。また、TEMによる観察で測定された樹脂層の平均厚みに、面積10μmを乗算して、面積10μm当たりの樹脂層の体積を計算した。さらに、この体積に樹脂層の密度を乗算して、面積10μm当たりの樹脂層の重量を計算した。こうして求められた面積10μm当たりの樹脂層の重量に、前記の各粒子の濃度を乗算することにより、各粒子の樹脂層の面積10μm当たりの粒子数を求めた。
(蛍光X線分析の測定領域内での粒子数の計算方法)
樹脂層に含まれる全ての粒子(I)の、蛍光X線の測定領域内での粒子数は、樹脂層10μm当たりの各粒子の粒子数に、蛍光X線分析による測定領域の面積を乗算し、10で除して求めた。
(TEMによる樹脂層の平均厚みの測定方法)
複層フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム(大和工業社製「RUB−2100」)を用いてスライスし、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察した。観察された像から、その像における樹脂層の平均厚みを計算し、これを樹脂層の平均厚みとした。
(蛍光X線による樹脂層の平均厚みの測定方法)
各実施例又は比較例で製造した液状の水系樹脂を基材フィルム層に塗布し、各実施例又は比較例と同様の条件で乾燥させて、基材フィルム層上に樹脂層を形成した。この樹脂層の平均厚みを、前記の要領でTEMにより測定した。また、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「ZSX Primus」)によって、その樹脂層に所定のX線を照射したときに生じる蛍光X線の強度を測定した。
前記の操作を、樹脂層の平均厚みを変えて繰り返し行うことにより、各実施例及び比較例における水系樹脂を用いて樹脂層を形成した場合の、その樹脂層の平均厚みと、その平均厚みに対応して測定される蛍光X線の強度との組み合わせのデータを複数組得た。これらのデータを、蛍光X線の強度を横軸にし、樹脂層の平均厚みを縦軸にした座標系にプロットした。プロットされた点を、最小二乗法によって直線に近似し、検量線を得た。
実施例又は比較例で製造した複層フィルムに、前記の蛍光X線分析装置を用いてX線を照射し、その際に生じる蛍光X線の強度を測定した。測定された蛍光X線の強度を、前記の検量線に適用することにより、各実施例及び比較例で製造した複層フィルムの蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを求めた。
[実施例1]
〔1.1.液状樹脂の製造〕
温度計、攪拌機、窒素導入管及び冷却管を備えた反応器に、ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製「マキシモールFSK−2000」;水酸基価56mgKOH/g)840部、トリレンジイソシアネート119部、及びメチルエチルケトン200部を入れ、窒素を導入しながら75℃で1時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却し、ジメチロールプロピオン酸35.6部を加え、75℃で反応させて、酸構造を含有するポリウレタンの溶液を得た。前記のポリウレタンのイソシアネート基(−NCO基)の含有量は、0.5%であった。
次いで、このポリウレタンの溶液を40℃にまで冷却し、水1,500部、イソフタル酸ジヒドラジド(東京化成工業社製)86部(ポリウレタン100部に対し5部)を加え、ホモミキサーで高速撹拌することにより乳化を行った。この乳化液から加熱減圧下にメチルエチルケトンを留去し、中和されたポリウレタンの水分散体を得た。この水分散体の固形分濃度は40%であった。
さらに、このポリウレタンの水分散体を、含まれるポリウレタンが100部となる量取り、ここにエポキシ化合物としてグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「デナコールEX−313」;エポキシ当量141g/eq)20部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、界面活性剤として非イオン系界面活性剤(日信化学工業社製「サーフィノール465」)とを混合し、さらに水を加えて固形分濃度を4%に調整して、未硬化状態のウレタン樹脂としての液状の水系樹脂を得た。なお、界面活性剤の添加量は、得られる水系樹脂の固形分に対し100ppmとなる量とした。
〔1.2.基材フィルム層の製造〕
脂環式構造含有重合体樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1430」;ガラス転移温度135℃)のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥した。その後、このペレットを用いて、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用して、溶融樹脂温度270℃、Tダイの幅1500mmの成形条件で、基材フィルム層を製造した。製造された基材フィルム層の厚みは80μm、幅は1200mmであった。
〔1.3.複層フィルムの製造〕
前記の基材フィルム層を生産ラインに連続的に供給し、基材フィルム層を長手方向に連続的に走行させながら、以下の工程を行った。
(縦延伸工程)
基材フィルム層を、ロール間の周速差を利用してフィルムを縦方向に一軸延伸しうる延伸機に連続的に供給した。この延伸機において、基材フィルム層を、延伸温度136℃、延伸倍率1.15倍で縦方向に延伸して、基材フィルム層を幅1200mmの縦延伸フィルムにした。
(コロナ放電処理工程)
縦延伸された基材フィルムの片面に、コロナ処理機(春日電機社製)で、周波数10kHz、出力0.6kwの条件にて、3本の電極によりコロナ放電処理を行なった。
(塗布工程)
コロナ放電処理を施された基材フィルム層の面に、前記の水系樹脂を、ロールコーターにより塗布した。この際、塗布量は、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが100nmになるように設定した。得られた水系樹脂の層を120℃で3分乾燥して水系樹脂を硬化させて、基材フィルム層上に樹脂層を形成した。これにより、基材フィルム層及び樹脂層を備える複層フィルムを得た。
(横延伸工程)
その後、複層フィルムを、さらに長手方向に走行させて、テンター法を用いた横延伸機に供給した。この横延伸機を用いて、複層フィルムを143℃の温度で横方向に1.5倍に延伸した。こうして得られた複層フィルムは、ロール状に巻き取った。
〔1.4.複層フィルムの評価〕
横延伸後の複層フィルムについて、上述した要領で、以下の(i)及び(ii)の値を測定した。ここで、(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを測定する際、樹脂層の測定領域の面積は2826μmに設定した。
(i)TEMによって測定された樹脂層の平均厚み。
(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み。
[実施例2]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが15nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例3]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが30nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例4]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例5]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)20部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが162.5nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例6]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度15%のアモルファスシリカの水分散液(日本触媒社製「シーホスターKE−W10」;平均粒子径110nm)10部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが60nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例7]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部と、シリカ粉末(日本アエロジル社製「AEROSIL 50」;平均粒子径30nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが20nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例8]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(アドマテックス社製「アドマファインSO−C2」;平均粒子径500nm)10部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが400nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例9]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度15%のアモルファスシリカの水分散液(日本触媒社製「シーホスターKE−W10」;平均粒子径110nm)10部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
さらに、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが90nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例10]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(アドマテックス社製「アドマファインSO−C1」;平均粒子径300nm)15部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)10部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例11]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(アドマテックス社製「アドマファインSO−C2」;平均粒子径500nm)15部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)7部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
さらに、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが400nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例12]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)15部と、アルミナ粉末(日本アエロジル社製「AEROSIL MOX80」;平均粒子径30nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
また、前記工程〔1.2〕において、脂環式構造含有重合体樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1430」;ガラス転移温度135℃)を使用して基材フィルム層を製造する代わりに、以下の工程により基材フィルム層を製造した。ゴム粒子を含むメタクリル樹脂(住友化学社製「HTT55Z」;ガラス転移温度108℃)からなるb層、スチレン−無水マレイン酸共重合体(ノヴァケミカルジャパン社製「ダイラークD332」;ガラス転移温度130℃、ビカット軟化温度130℃、オリゴマー成分含有量3重量%)からなるa層を、b層(厚み70μm)−a層(厚み40μm)−b層(厚み70μm)の順に備える未延伸の3層構造のフィルムを、共押出成形により製造し、これを基材フィルム層として用いた。
さらに、前記工程〔1.4〕において、蛍光X線分析装置の測定ヘッドを複層フィルムの製造ラインに直接組み込み、「(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み」の測定を、複層フィルムをロール状に巻き取る前に連続的に行った。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例13]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のジルコニアゾルの水分散液(日産化学工業社製「ナノユースZR−40BL」;平均粒子径90nm)8部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)7部と、アクリル粒子(日本触媒社製「エポスターMX050W」;平均粒子径80nm)1部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し1000ppmとなる量に変更した。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが80nmになるように設定した。
さらに、前記工程〔1.4〕において、蛍光X線分析装置の測定ヘッドを複層フィルムの製造ラインに直接組み込み、「(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み」の測定を、複層フィルムをロール状に巻き取る前に連続的に行った。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例14]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)15部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)3部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤を用いなかった。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例15]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、シリカ粉末(アドマテックス社製「アドマファインSO−C1」;平均粒子径300nm)12部と、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)2部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.1〕において、界面活性剤の添加量を、得られる水系樹脂の固形分に対し500ppmとなる量に変更した。
さらに、前記工程〔1.4〕において、(ii)蛍光X線によって測定された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを測定する際、樹脂層の測定領域の面積は28μmに設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[実施例16]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)10部と、シリカ粉末(電気化学工業社製「UFP−80」;平均粒子径40nm)2部とを組み合わせて用いた。
また、前記工程〔1.3〕において、水系樹脂の塗布量を、乾燥及び横延伸後の樹脂層の平均厚みが180nmになるように設定した。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[比較例1]
前記工程〔1.1〕において、固形分濃度40%のコロイダルシリカの水分散液(日産化学工業社製「MP2040」;平均粒子径180nm)を25部用いる代わりに、アクリル粒子(日本触媒社製「エポスターMX100W」;平均粒子径160nm)30部を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、複層フィルムを製造し、評価した。
[結果]
実施例及び比較例の結果を、下記の表1〜表4に示す。下記の表1〜表4において、略称の意味は、以下の通りである。
b/a/b:ゴム粒子を含むメタクリル樹脂からなるb層/スチレン−無水マレイン酸共重合体からなるa層/ゴム粒子を含むメタクリル樹脂からなるb層の3層フィルム。
粒径/厚み:{(粒子(I)の平均粒子径)/(樹脂層の平均厚み)}で表される比。
厚み(TEM):TEMを用いて測定された樹脂層の平均厚み。
厚み(蛍光X線):蛍光X線分析の結果から換算された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み。
ズレ量:「TEMを用いて測定された樹脂層の平均厚み」に対する「蛍光X線分析の結果から換算された、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚み」の比。
Figure 2014195763
Figure 2014195763
Figure 2014195763
Figure 2014195763
[検討]
表1〜表4に示すように、実施例においては蛍光X線分析を用いることにより、蛍光X線分析の測定領域における樹脂層の平均厚みを精密に測定することができた。したがって、蛍光X線分析によって樹脂層の平均厚みを測定しながら複層フィルムの製造を行うことにより、平均厚みを精密に制御された樹脂層を備える複層フィルムを製造できることが確認された。
10 複層フィルムの製造装置
100 複層フィルム
110 基材フィルム層
111 基材フィルム層の表面
120 樹脂層
130 液状樹脂
140 液状樹脂の層
150 液状樹脂の一部
200 コロナ処理機
300 コーター
310 上流側押さえロール
320 コーティングロール
321 液溜め
330 下流側押さえロール
340 掻き取りロール
341 回収器
342 液状樹脂
400 オーブン
500 延伸機
600 蛍光X線分析装置
610 X線照射部
620 蛍光X線測定部
700 制御部
710 記憶部
720 厚み換算部
730 厚み制御部
800 ロール
810 巻き芯

Claims (12)

  1. 基材フィルム層と、前記基材フィルム層の表面に設けられた樹脂層とを備える複層フィルムの製造方法であって、
    前記樹脂層が、蛍光X線分析による測定が可能な粒子(I)を含み、
    前記製造方法が、
    前記基材フィルム層の表面に前記樹脂層を形成する工程と、
    形成された前記樹脂層について蛍光X線分析を行って蛍光X線の強度を測定する工程と、
    測定された蛍光X線の強度を、前記蛍光X線分析の測定領域における前記樹脂層の平均厚みに換算する工程と、
    換算された前記樹脂層の平均厚みに基づいて、前記樹脂層の平均厚みを制御する工程とを含む、複層フィルムの製造方法。
  2. 前記樹脂層を形成する工程が、単量体又は重合体、及び、前記樹脂層の平均厚みよりも大きい平均粒子径を有する少なくとも1種類の粒子(I)を混合して液状樹脂を得る工程と、前記液状樹脂を基材フィルム層の表面に塗布して前記液状樹脂の層を得る工程と、前記液状樹脂の層を硬化させる工程とを含む、請求項1記載の複層フィルムの製造方法。
  3. 前記樹脂層が、界面活性剤を含む、請求項1又は2記載の複層フィルムの製造方法。
  4. 前記界面活性剤の濃度が10ppm以上である、請求項3記載の複層フィルムの製造方法。
  5. 前記単量体又は重合体、及び、異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)を混合して前記液状樹脂を得る工程を含む、請求項2記載の複層フィルムの製造方法。
  6. 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が大きい粒子(I)の平均粒子径が、前記樹脂層の平均厚みの110%以上600%以下である、請求項5記載の複層フィルムの製造方法。
  7. 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が小さい粒子(I)の平均粒子径が、前記樹脂層の平均厚みの10%以上300%以下である、請求項5又は6記載の複層フィルムの製造方法。
  8. 前記の異なる平均粒子径を有する2種類以上の粒子(I)のうち、最も平均粒子径が大きい粒子(I)よりも、最も平均粒子径が小さい粒子の方が、粒子数が多い、請求項5〜7のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
  9. 前記蛍光X線の強度の1回の測定において測定される前記樹脂層の領域において、前記樹脂層が前記粒子(I)を100個以上含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
  10. 前記複層フィルムが連続走行する状態において、前記蛍光X線の強度の測定を行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の複層フィルムの製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法により製造された複層フィルムを備える、偏光板保護フィルム。
  12. 偏光子と、請求項11記載の偏光板保護フィルムとを備える、偏光板。
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