JP6136256B2 - 光学フィルムの巻回体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムの巻回体の製造方法に関する。
通常、工業用の光学フィルムは、長尺且つ幅広のフィルムの巻回体として供給される。光学フィルムの巻回体は、巻き取り時並びに巻き取り後の保存及び搬送時に、光学フィルムの光学性能が維持されることが求められる。
巻回体における光学フィルムの劣化の態様として、巻回体中の、重なったフィルム同士のブロッキングによる変形及び欠陥の発生が挙げられる。
フィルムの性能を低減させることなくブロッキングを防止するための手法として、例えば特許文献1に記載のように、フィルム幅手方向の両端部へのナーリング処理によって、ブロッキングを防止することが提案されている。即ち、フィルムの端部にナール構造などを設け、かかる構造により、フィルム幅手方向の両端部以外の箇所におけるフィルム間の接触の圧力を低減し、それによりブロッキングを防止することが提案されている。
特開平8−175708号公報
しかしながら、かかるナール構造を設けたフィルムを巻き取ると、巻回体の端部の径が、中央部に比べて相対的に増大し、それに基づく、トラフと呼ばれる畝状の変形が生じ、巻回体に巻き取られたフィルムにシワを発生させ、却って光学フィルムに欠陥をもたらす場合がある。
従って、本発明の目的は、有効にブロッキングが低減され、且つ、トラフの発生が少なく、その結果、光学フィルムの光学性能が巻き取り時並びに巻き取り後の保存及び搬送時に良好に維持される光学フィルムの巻回体を提供しうる、光学フィルムの巻回体の製造方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するべく検討した結果、光学フィルムの巻き取りにおいて、巻き取り張力、ナール構造の高さ、またはその両方を、特定の基準で調整することにより、当該課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 長尺の光学フィルムの巻回体の製造方法であって、
前記光学フィルムの少なくとも一方の面の幅手方向の両端部にナール構造を付与する工程、及び
ナール構造が付与された前記光学フィルムを巻き芯を中心にロール状に巻き取る巻回工程
を含み、
前記巻回工程は、
前記巻き芯の外半径R(mm)、巻き取り途中の巻回体のフィルムの幅手方向の中央部の外半径r(mm)、及び巻き取り途中の巻回体のフィルムの幅手方向の端部の外半径r(mm)が、少なくともr>1.05Rとなった後は、下記式(1)及び(2):
式(1):h/r≦X
式(2):h>0.1
(ただし、h=r−rであり、Xは光学フィルムの種類によって決まる定数である)
を常に満たすように、前記巻回工程における巻き取り張力、前記ナール構造の高さ、またはこれらの両方を調整することを含む、光学フィルムの巻回体の製造方法。
〔2〕 前記Xが、下記式(3):
式(3):X=σmax/E
で求められる値(ただし、σmaxは光学フィルムに引張試験を行い、トラフが発生したときの引張応力(N/m)、Eは光学フィルムを構成する材料のヤング率(N/m)である)である〔1〕記載の製造方法。
〔3〕 前記光学フィルムの厚さが1〜300μmである、〔1〕または〔2〕記載の製造方法。
〔4〕 前記光学フィルムの幅が500〜5000mmである、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明によれば、有効にブロッキングが低減され、且つ、トラフの発生が少なく、その結果、光学フィルムの光学性能が巻き取り時並びに巻き取り後の保存及び搬送時に良好に維持される光学フィルムの巻回体を提供しうる、光学フィルムの巻回体の製造方法を提供しうる。
図1は、本発明の製造方法を実施するための製造ラインの一例を概略的に示す側面図である。 図2は、図1で示した製造ライン中の巻回体40及び径測定装置50の形状及び位置関係の例を概略的に示す後面図である。 図3は、図1に示したナール構造モニター装置23及び24によるナール構造のモニターの例を、より具体的に示す斜視図である。 図4は、モニター用レーザー光によるナール構造の高さの測定の原理を具体的に示す断面図である。 図5は、長尺のフィルムに引張張力をかけた状態の例を概略的に示す模式図である。 図6は、長尺のフィルムに引張張力をかけた状態の別の例を概略的に示す模式図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「基材」及び「偏光板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
(製造方法の概要)
本発明の製造方法は、長尺光学フィルムの巻回体の製造方法である。以下の説明では、本発明の製造方法で得られた光学フィルムの巻回体を、単に「巻回体」と呼ぶ場合がある。また、巻回体を製造する工程の途中において、最終的な巻回体が有する光学フィルムの一部のみが巻き取られた状態のものを、「巻き取り途中の巻回体」と呼ぶが、文脈上明らかな場合は、巻き取り途中の巻回体を、単に巻回体という場合もある。
光学フィルムが「長尺」であるとは、当該フィルムが、フィルムの幅方向に対し少なくとも5倍程度以上の長さを有することを言い、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管または運搬される程度の長さを有するものを言う。
本発明の製造方法では、光学フィルムの少なくとも一方の面の幅手方向の両端部にナール構造を付与する工程(以下において、単に「ナール構造付与工程」ともいう。)、及びナール構造が付与された前記光学フィルムを巻き芯を中心にロール状に巻き取る巻回工程を含む。以下の説明では、文脈上明らかな場合は、ナール構造付与前の光学フィルム及びナール構造付与後の光学フィルムを、区別せず単に光学フィルムと称する。
かかるナール構造付与工程及び巻回工程の具体的な例を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の製造方法を実施するための製造ラインの一例を概略的に示す側面図である。図1は、かかる製造ラインを、製造ラインの側面、即ち巻回体の回転軸に平行な方向から観察した状態を示している。
図1において、長尺の光学フィルム10は、矢印A11で示される方向に搬送され、ナール構造付与装置21及び22の間に導かれる。ナール構造付与装置21及び22は、光学フィルムの幅手方向の両端部に、ナール構造を付与する(ナール構造付与工程)。付与されたナール構造の高さは、ナール構造モニター装置23及び24により、インラインで測定される。
ナール構造が付与された光学フィルム10は、続いて、矢印A12で示される方向に搬送され、張力付与装置30に導かれる。張力付与装置は、上流ロール31、下流ロール33、上流ロール31と下流ロール33との間に位置するダンサーロール32、及びエアーシリンダー34を備える。エアーシリンダー34の先端34Tは、ダンサーロール32の軸32Sに連結されている。エアーシリンダー34は、気圧などの適切な手段により、先端34Tを、矢印A21の方向に付勢することができ、且つその付勢の力の大きさを調節可能である。かかる力の調節により、張力付与装置30は、光学フィルム10の長手方向に、張力を調節可能に付与することができる。
張力付与装置30から搬出された光学フィルム10は、続いて、矢印A13で示される方向に搬送され、円柱形の外形を有する巻き芯41に巻き取られる(巻回工程)。巻き芯41は、矢印A22で示される方向に回転するよう駆動され、これにより光学フィルム10は巻き取られ巻回体40となる。巻き芯の駆動方式としては、例えばセンタードライブ方式を用いることが好ましい。巻き取り途中の巻回体40の径は、径測定装置50によりモニターされる。径測定装置50は、透光部51及び受光部52を有する。透光部51から出射された光53は、その一部が巻回体40により遮られ、残りが受光部52に到達する。受光部52により光53の状態を観察することにより、巻回体40の径を非接触的に測定することができる。
(巻回工程における調整)
本発明の巻回体の製造方法における巻回工程は、巻き芯の外半径R(mm)、巻き取り途中の巻回体のフィルムの幅手方向の中央部の外半径r(mm)、及び巻き取り途中の巻回体のフィルムの幅手方向の両端部の外半径r(mm)が、少なくともr>1.05Rとなった後は、下記式(1)及び(2):
式(1):h/r≦X
式(2):h>0.1
(ただし、h=r−rであり、Xは光学フィルムの種類によって決まる定数である)
を常に満たすように、巻回工程における巻き取り張力、ナール構造の高さ、またはこれらの両方を調整することを含む。
ここで規定される数値を、図面を再び参照して説明する。図2は、図1で示した製造ライン中の巻回体40及び径測定装置50の形状及び位置関係の例を概略的に示す後面図である。図2は、製造ラインの後面、即ち、巻回体の回転軸に垂直で且つ地面に水平な方向に、透光部51に近い側から観察した状態を示している。
図2において、巻回体40の巻き芯41の外半径R、幅手方向の中央部の外半径r、及び幅手方向の端部の外半径rは、巻回体40の軸41Cから、それぞれ、巻き芯41の外面までの距離、幅手方向の中央部の巻回体の外面までの距離、及び幅手方向の端部の巻回体の外面までの距離である。幅手方向の中央部の外半径とは、巻回体40の幅方向の全長W1の中点Pに対応する位置の外半径である。
幅手方向の端部とは、ナール構造が付与される部分であり、巻回体40の端面42から、所定の幅W2の範囲内の部分である。通常の光学フィルムの巻回体の製造においては、巻き取りは高い精度で均等に行われるので、当該端部内における外半径rは、一方の端部及び他方の端部において等しく(即ち、本発明の方法の実施において特に考慮すべき程度の誤差は発生しない)、どちらかの端部の一方のみについてrを測定するだけで、本発明の方法を実施することが可能である。ただし、一方の端部及び他方の端部において外半径rの値が大きく異なる場合は、より大きいrを示す端部のrを測定することが、不良発生の防止の見地から好ましい。
例えば外半径rは、径測定装置50(図2では破線により図示)を、図2に示すように巻回体40の端部に設置し、ここで測定を行うことにより求めることができる。一方外半径rは、もう一つの径測定装置(不図示)を、幅手方向の中央部に設置し、ここで測定を行うことにより求めることができる。
式(1)中の定数Xは、良好な巻き取りを行うことができる値を、光学フィルムごとに経験的に求めることもできるが、好ましくは、下記式(3):
式(3):X=σmax/E
で求めることができる。ここで、σmaxは光学フィルムに引張試験を行い、トラフが発生したときの引張応力(N/m)、Eは光学フィルムを構成する材料のヤング率(N/m)である。
本発明において、トラフとは、フィルムのある方向に引張荷重をかけたときに生じる畝状の構造である。トラフが生じたフィルムの、引張荷重の方向と垂直な面における断面は、波型の形状となる。
式(3)について、具体的に説明する。σmaxは、光学フィルムの適当な大きさのサンプルを用意し、それについて、トラフが発生するまで引張試験を行うことにより求めうる。例えば、適当な長さ及び幅を持つ矩形のフィルムを、幅方向に均等に荷重がかかるように長さ方向に引張り、引張荷重を徐々に高める。光学フィルム表面を目視で観察し、トラフが発生した時点の引張荷重を求める。かかる引張荷重を、フィルム断面積で除することにより、σmaxを求めることができる。
ヤング率Eは、光学フィルムを構成する材料のヤング率である。光学フィルムが、延伸フィルム等の異方性を有する材料からなる場合、当該フィルムについてのヤング率としては、材料の固有値を用いてもよいが、ヤング率測定用のサンプルを別途用いて、ヤング率測定のための引張試験を実施し、ヤング率を得ることが好ましい。
式(1)を満たすような、巻き取り張力、ナール構造の高さ、またはこれらの両方の調整は、具体的には、巻き取り途中の巻回体のh/rがXの値に近づいたら、巻き取り張力を低減するか、ナール構造の高さを低くするか、またはこれらの両方を行うことにより達成しうる。式(1)を変形すれば、下記(1’):
式(1’):h≦r
となるので、hの高さが、rXの値に近づいたときに、同様の制御を行ってもよい。以下において、rXの値は、許容しうるhの高さの上限という意味で、「許容端部高さ」という場合がある。
式(2)については、通常は、巻回体の製造の立ち上げにおいて、ナール構造の高さをある程度以上高く設定すれば、r>1.05Rとなった後において式(2)を満たした状態を維持しうる。但し、巻き取り張力、ナール構造の高さ、またはこれらの両方を極端に下げると、hが0.1以下となる可能性がある。その場合は、巻き取り張力、ナール構造の高さ、またはこれらの両方を上げて、0.1<h≦rXの範囲となるよう調整する。
巻き芯の外半径Rに制限はないが、通常30mm以上、好ましくは70mm以上であり、通常500mm以下、好ましくは200mm以下である。巻き芯の外半径Rを上記の下限以上とすることで、シワやトラフの発生が抑制された外観の良好な巻回体を得ることができる。また、上限以下とすることで、外径が小さく輸送効率に優れる巻回体とすることができる。
(引張張力)
巻回工程においてフィルムにかける引張張力即ち巻取張力の大きさは、好ましくは10N/m以上であり、好ましくは500N/m以下、より好ましくは300N/m以下、特に好ましくは150N/m以下である。巻取張力を前記範囲の下限値以上にすることにより、巻きズレを防止することができる。また、上限値以下にすることにより、光学フィルムのブロッキング及び巻回体の変形を防止できる。本発明の製造方法では、好ましくはこの範囲内で、式(1)及び式(2)を充足するよう巻き取り張力を調整する。
さらに、巻取張力は、巻き取り開始時点の張力に対して巻き取り完了時点の張力が小さくなるように、張力を線形的に次第に小さくなるように調整してもよい。このように巻取張力を次第に小さくすることを、張力テーパーを設けるという。また、巻き取り開始時点の張力に対する、巻き取り開始時点の張力と巻き取り完了時点の張力との差の比率を、巻取り張力のテーパー比率という。巻取り張力のテーパー比率は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下である。このように張力テーパーを設けることにより、巻回体内における径方向の応力を低く抑えることができる。本発明の製造方法では、好ましくはこの範囲内で、式(1)及び式(2)を充足するよう巻き取り張力を調整する。
巻回工程においては、必要に応じて、光学フィルムに対して接圧ロールによって接圧を付与しながら巻き取りを行ってもよい。この際、接圧の大きさは、好ましくは20N/m以上、より好ましくは30N/m以上、特に好ましくは40N/m以上であり、一方好ましくは200N/m以下、より好ましくは150N/m以下である。接圧を前記範囲の下限値以上にすることにより、巻きズレを防止することができる。また、上限値以下にすることにより、光学フィルムのブロッキング及び巻回体の変形を防止できる。
光学フィルムの巻き取り速度に制限はないが、好ましくは5m/分以上、より好ましくは10m/分以上であり、一方好ましくは150m/分以下、より好ましくは100m/分以下、特に好ましくは80m/分以下である。巻き取り速度を前記範囲の下限値以上にすることにより、製造効率を良好にできる。また、上限値以下にすることにより、空気の巻き込みを防止して巻回体の経時的な変形を防止できる。
(ナール構造)
本発明において、ナール構造とは、光学フィルムの表面に設けた凸状の構造である。本発明に用いられる光学フィルムでは、その両端部の領域内に、通常多数のナール構造が形成される。ナール構造の形成方法の例としては、光学フィルムに型を押し当てる方法、及びレーザー光照射による方法が挙げられる。
光学フィルムに型を押し当てる方法は、例えば、ナール構造の形状に対応した凹凸パターンを表面に有するロール状又はリング状の型(例えば、ローレット等)により行いうる。当該型を、光学フィルムの端部に押し当てることにより、当該凹凸パターンを転写し、光学フィルムにナール構造を付与することができる。この際、必要に応じて、光学フィルム及び/又は型を加熱した状態で当該操作を行うことができる。この、型を押し当てる方法では、ナール構造の高さの調整の自由度が低いが、併せて巻き取り張力の調整を適切に行うことにより、本発明の製造方法を行うことができる。
レーザー光照射による方法について説明すると、光学フィルムにレーザー光を照射すると、レーザー光が照射された場所において局所的に熱溶融又はアブレーションが生じる。このため、レーザー光が照射された場所では、光学フィルムに凸状又は凹状の変形が生じる。このような凸状又は凹状の変形を、ナール構造として利用することができる。レーザー光照射による方法では、光学フィルムに型を押し当てる方法に比べて、残留応力が残りにくいため、厚みの薄い光学フィルムにおいても破断を起こさずにナール構造を形成することが容易に行いうる。また、レーザー光照射による方法では、レーザー光の強度の調整により、ナール構造の高さを容易に調整し得るため、本発明において特に好ましい。
レーザー光を照射する時間は、好ましくは0.001ms以上、より好ましくは0.005ms以上、さらに好ましくは0.01ms以上であり、好ましくは0.5ms以下、より好ましくは0.3ms以下、さらに好ましくは0.1ms以下である。
レーザー光としては、例えば、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、XeClエキシマレーザー、YAGレーザーの第3高調波若しくは第4高調波、YLF若しくはYVO4の固体レーザーの第3高調波若しくは第4高調波、Ti:Sレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、炭酸ガスレーザー等を使用してもよい。これらのレーザー光の中でも、高出力による生産性向上の観点から、炭酸ガスレーザーが好ましい。
レーザー光の出力は、好ましくは1W以上、より好ましくは5W以上、さらに好ましくは15W以上であり、好ましくは30W以下、より好ましくは25W以下である。レーザー光の出力を前記範囲の下限値以上にすることにより、レーザー光の照射量が不足するのを防止して、光学フィルムの表面に対してナール構造を安定して形成することができる。また、レーザー光の出力を前記範囲の上限値以下にすることにより、光学フィルムに貫通孔が生じるのを防止でき、また、レーザー光照射点の周辺の広い領域への熱的影響を抑制し、ナール構造が意図せず拡大するなどして、所望のナール構造が得られなくなることを防止できる。
レーザー光照射により形成したナール構造の高さは、モニター装置により容易にモニターできる。図3は、図1に示したナール構造モニター装置23及び24によるナール構造のモニターの例を、より具体的に示す斜視図である。図3に示す例では、部分的に図示される光学フィルム10は、矢印A31の方向に搬送されている。光学フィルム10の縁から所定の幅W2の範囲内に、幅手方向の端部が規定されている。この例において、下側の装置24は投光機であり、上側の装置23は受光機である。投光機24からは、モニター用レーザー光が矢印A32で示される方向に照射され、これが光学フィルム10を透過して受光機23に到達する。受光機23によりモニター用レーザー光の状態を観察することにより、ナール構造の高さを求めることができる。
図4は、モニター用レーザー光によるナール構造の高さの測定の原理を具体的に示す断面図である。図4において、投光機からのレーザー光は、矢印A32aの方向に進み、光学フィルム10に到達する。光学フィルム10の、ナール構造15が存在する部分を透過するレーザー光は、比較的大きな減衰を伴い、矢印A32cで示すように光学フィルム10から出射する。ナール構造15が存在しない部分を透過するレーザー光は、比較的少ない減衰を伴い、矢印A33bで示すように光学フィルム10から出射する。ナール構造の高さとモニター用レーザー光の減衰の程度には、一定の相関が見られる。したがって、高さが既知の、レーザー光照射により形成したナール構造を有する光学フィルムを用い、当該相関を予め測定しておくことにより、モニター用レーザー光の減衰を元に、ナール構造の高さを、インラインで非接触的に求めることができる。
ナール構造の高さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、一方好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。また、ナール構造の高さは光学フィルムの厚さに対して好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上であり、好ましくは100%以下、より好ましくは40%以下である。本発明の製造方法では、好ましくはこの範囲内で、式(1)及び式(2)を充足するようナール構造の高さを調整する。
さらに、ナール構造の高さは、巻き取り開始時点の高さに対して巻き取り完了時点の高さが小さくなるように、高さを線形的に次第に小さくなるように調整してもよい。このようにナール構造の高さを次第に小さくすることを、ナール構造高さテーパーを設けるという。また、巻き取り開始時点のナール構造の高さに対する、巻き取り開始時点の高さと巻き取り完了時点の高さとの差の比率を、ナール構造高さのテーパー比率という。ナール構造高さのテーパー比率は、好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上、特に好ましくは20%以上であり、好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、特に好ましくは50%以下である。このようにナール構造高さのテーパーを設けることにより、滑らかに巻回された巻回体を得ることができる。本発明の製造方法では、好ましくはこの範囲内で、式(1)及び式(2)を充足するようナール構造高さを調整する。
光学フィルムの、ナール構造を有する端部の幅W2(図2及び図3において矢印W2で示される幅)は、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上であり、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下である。一本の幅W2が、光学フィルムの全幅(図2の矢印W1で示される幅に相当する)に占める割合は、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上であり、好ましくは1.0%以下である。端部の幅を前記範囲の下限値以上とすることにより、巻回体の巻きずれを安定して防止できる。また、上限値以下とすることにより、光学フィルムの有効領域の大きさを広く確保して、製造コストを安価にできる。ここで、光学フィルムの有効領域とは、光学フィルムの、ナール構造が形成されていない領域である。
ナール構造は、かかる幅W2で規定される光学フィルムの両端部の領域内に、通常は光学フィルムの長手方向の全長にわたって形成される。ナール構造が形成された端部の領域では通常は透明性が損なわれる。しかし、端部より内側の領域の透明性は損なわれないので、この内側の領域は光学機能を有効に発揮しうる部分として用いることができる。
個々のナール構造の形状は、特に限定されないが、光学フィルムの面に垂直な方向から観察した際のその形状の例としては、ドット状の形状、及び線状の形状が挙げられる。レーザー光照射による方法で形成するナール構造は、通常、ドット状の形状のものとしうる。ドット状の形状のナール構造を端部に多数形成することにより、フィルムの強度を損ねずに、有効なブロッキング抑止効果を得ることができる。
端部領域におけるナール構造の配置は、ランダムでもよく、規則性をもって配置されていてもよい。ナール構造同士の間隔は、不均一であってもよく、均一であってもよい。端部の領域におけるナール構造の密度は、好ましくは5個/cm以上、より好ましくは10個/cm以上、特に好ましくは30個/cm以上であり、好ましくは100個/cm以下、より好ましくは80個/cm以下、特に好ましくは60個/cm以下である。ナール構造の間隔を前記範囲の下限値以上にすることにより、巻回時に重なった光学フィルム間に空間をつくることが容易になる。また、上限値以下にすることにより、ナール構造への応力集中によるクラックを抑制することができる。
光学フィルムの一方の端部と他方の端部とでの個々のナール構造及びその配置の態様は、同一であっても異なっていてもよいが、同一のナール構造を、対称に配置することにより、巻き取りの精度をより高めることができる。
(原理)
特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の製造方法により、良好な巻回体が得られる原理としては、例えば以下のものが考えられる。
一般的に、長尺のフィルムを巻き取る際には、フィルムの長手方向に引張張力をかける。引張張力は、図1に示したダンサーロール等の適切な手段により、フィルムの幅手方向に均一に付与する。図5は、そのような、長尺のフィルムに引張張力をかけた状態の例を概略的に示す模式図である。図5においては、光学フィルム10aを巻き取り巻回体40aとしているが、その際に付加される引張張力は、矢印A51で示されるように、フィルムの幅手方向のどの位置においても、フィルムの長手方向に平行である。
しかしながら、フィルムにナール構造を付与した状態で巻き取りを行うと、巻き取りが進むに伴い、巻回体のフィルム幅手方向の端部の半径が相対的に増大する。図6は、そのような状態の例を概略的に示す模式図である。図6においては、光学フィルム10bを巻き取り巻回体40bとしているが、その際に付加される引張張力は、矢印A52で示されるように非平行な状態となり、その結果、トラフが生じ、巻回体に巻き取られたフィルムにシワを発生させうる。
このような非平行な引っ張り張力の不均一は、巻回体の中央部と端部とでの、巻き取られるフィルムの長さの差によるものである。具体的には、巻回体中央部において1回転で巻かれるフィルムの長さL1は2rπとなるのに対し、端部において一回転で巻かれるフィルムの長さLは2rπ=2(r+h)πとなり、その差ΔL=L−L1は2hπとなる。したがって、かかる差によるひずみ量は、ΔL/L1=h/rと見積もることができる。このひずみ量h/rを所定の値X以下に保つよう(即ち中央部外半径に対しての端部高さを所定の高さ以下とするように)巻き取り張力、前記ナール構造の高さ、またはこれらの両方を調整することにより、良好な巻き取りを達成することができる。そして、かかる所定の値Xは、トラフが発生するひずみ量としうる。したがって、光学フィルムのサンプルについての引張試験を行い、σmax値を求め、それに対応するひずみ量σmax/Eを、かかる値Xとして採用し、良好な巻回工程を達成しうる。
(光学フィルム:材料)
本発明の巻回体の製造方法で用いる光学フィルムは、通常、熱可塑性樹脂フィルムである。熱可塑性樹脂フィルムとは、熱可塑性樹脂で形成された層を少なくとも1層備えるフィルムを意味する。熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル樹脂、及びアクリル樹脂が挙げられる。中でも、液晶表示装置等の表示装置用のフィルムに求められる機械特性、耐熱性、透明度といった品質をバランス良く満たしている観点から、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、脂環式ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、主鎖及び側鎖の片方又は両方に脂環式構造を有する脂環式ポリオレフィン重合体を含む樹脂である。脂環式構造としては、例えば飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、シクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数が前記の範囲に収まる場合に、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性等の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式ポリオレフィン重合体における、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択してもよく、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式ポリオレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合を前記の範囲に収めることにより、光学フィルムの透明性及び耐熱性を良好にできる。
脂環式ポリオレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系重合体は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加重合体、又はそれらの水素化物;等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。ここで(共)重合体とは、重合体及び共重合体のことをいう。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、およびノルボルネン構造を有する単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、例えば、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素添加触媒を混合して、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって、得ることができる。
ノルボルネン系重合体の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系重合体の繰り返し単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このようなノルボルネン系重合体を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
脂環式ポリオレフィン重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選定されうる。脂環式ポリオレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、光学フィルムの機械的強度及び成型加工性が高度にバランスされ、好適である。ここで、前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(試料である重合体が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定した、ポリイソプレン又はポリスチレン換算の値である。
また、脂環式ポリオレフィン重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.2以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.5以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高めてコストを下げることができる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量を抑制して緩和時間の短い成分を減らすことができるので、高温曝露時の配向緩和を低減させることが可能となる。
光学フィルムを構成する樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した重合体以外に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例を挙げると、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、および抗菌剤などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。ただし、任意の成分の量は本発明の効果を損なわない範囲であり、重合体100重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。また、下限はゼロである。
光学フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されうるものであり、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、好ましくは250℃以下である。ガラス転移温度がこのような範囲にある樹脂のフィルムは、高温下での使用における変形及び応力が生じ難く、耐久性に優れる。
光学フィルムを構成する樹脂の光弾性係数Cの絶対値は、10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。ここで光弾性係数Cとは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、「C=Δn/σ」で表される値である。樹脂の光弾性係数Cの絶対値を前記の範囲に収めることにより、光学フィルムの面内レターデーションのバラツキを小さくできる。
光学フィルムは、1層のみを備える単層構造のフィルムであってもよく、2層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。例えば、光学フィルムは、基材となる熱可塑性樹脂の層の片面又は両面に、易滑性、易接着性、帯電防止性等の特性の付与を目的としたコート層を備える複層構造のフィルムとしてもよい。この場合、コート層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂及びこれらの混合物等を用いうる。好ましい材料の具体例を挙げると、アクリル系重合体、ウレタン系重合体、エーテル系重合体、並びにこれらの各種重合体のカルボキシル基、アミノ基、メチロール基等の官能基変性重合体;ポリビニルアルコール系重合体又はその誘導体;エチレン−ビニルアルコール共重合体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、デキストリン等のでんぷん類;ポリビニルピロリドン、スルホイソフタル酸等の極性基を含有する共重合ポリエステル;ポリヒドロキシエチルメタクリレート又はその共重合体等のビニル系重合体;などが挙げられる。また、これらの材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの材料は、例えば水或いは有機溶媒に分散したコート液として基材となる熱可塑性樹脂の層の表面に塗布し、乾燥することにより製造しうる。また、コート液に必要に応じて任意の架橋剤を含ませることにより、コート層の耐久性を向上させることが可能である。
中でも、光学フィルムは、表面にコート層として易接着層を備えることが好ましい。易接着層を備える光学フィルムは、例えば偏光板等の他の光学フィルムに貼り付ける際の接着性が良好である。また、このような易接着層を備えるフィルムを巻き取って巻回体とした場合、一般にブロッキングを生じやすいが、本発明の製造方法で得た巻回体では、端部のナール構造によりブロッキングを抑制して保管時に欠陥を生じ難くできる。そのため、欠陥の発生の抑制という効果を有効に活用できる点でも、光学フィルムは易接着層を備えることが好ましい。
易接着層は、例えば、水系樹脂を含む層とすることが好ましい。水系樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびそれぞれの樹脂のエマルジョンなどが挙げられ、好ましくは水系ウレタン樹脂が挙げられる。
水系ウレタン樹脂は、ポリウレタンと、必要に応じてその他の成分とを含む。水系ウレタン樹脂に含まれるポリウレタンとしては、例えば、(i)1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分と(ii)多価イソシアネート成分とを反応させて得られるポリウレタン;または、上記(i)成分及び(ii)成分をイソシアネート基過剰の条件下で、反応に不活性で水との親和性の大きい有機溶媒中でウレタン化反応させてイソシアネート基含有プレポリマーとし、次いで、該プレポリマーを中和し、鎖延長剤を用いて鎖延長し、水を加えて分散体とすることによって製造されるポリウレタン;などが挙げられる。これらのポリウレタン中には酸構造(酸残基)を含有させてもよい。
イソシアネート基含有プレポリマーの鎖延長方法は公知の方法を採用しうる。例えば、鎖延長剤として、水、水溶性ポリアミン、グリコール類などを使用し、イソシアネート基含有プレポリマーと鎖延長剤とを、必要に応じて触媒の存在下で反応させてもよい。
前記(i)成分(すなわち、1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分)としては、特に限定されるものではないが、水酸基性の活性水素を有するものが好ましい。このような化合物の具体例としては、次の(1)〜(5)のようなものが挙げられる。
(1)ポリオール化合物:
ポリオール化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、2,5−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオールなどが挙げられる。
(2)ポリエーテルポリオール:
ポリエーテルポリオールとして、例えば、前記のポリオール化合物のアルキレンオキシド付加物;アルキレンオキシドと環状エーテル(例えばテトラヒドロフランなど)との開環(共)重合体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体;グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコールなどのグリコール類;などが挙げられる。
(3)ポリエステルポリオール:
ポリエステルポリオールとして、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸又はその無水物と、上記(1)で挙げられたようなエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオール、ネオペンチルグリコールなどのポリオール化合物とを、水酸基過剰の条件で重縮合させて得られたものなどが挙げられる。より具体的には、例えば、エチレングリコール−アジピン酸縮合物、ブタンジオール−アジピン縮合物、ヘキサメチレングリコール−アジピン酸縮合物、エチレングリコール−プロピレングリコール−アジピン酸縮合物、或いはグリコールを開始剤としてラクトンを開環重合させたポリラクトンジオールなどが挙げられる。
(4)ポリエーテルエステルポリオール:
ポリエーテルエステルポリオールとして、例えば、エーテル基含有ポリオール(例えば、前記(2)のポリエーテルポリオールやジエチレングリコール等)または、これと他のグリコールとの混合物を上記(3)で例示したようなジカルボン酸又はその無水物に加えてアルキレンオキシドを反応させてなるものなどが挙げられる。より具体的には、例えば、ポリテトラメチレングリコール−アジピン酸縮合物などが挙げられる。
(5)ポリカーボネートポリオール:
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、一般式HO−R−(O−C(O)−O−R)x−OH(ただし、式中、Rは炭素原子数1〜12の飽和脂肪酸ポリオール残基を示す。また、xは分子の繰り返し単位の数を示し、通常5〜50の整数である。)で示される化合物などが挙げられる。これらは、飽和脂肪族ポリオールと置換カーボネート(例えば、炭酸ジエチル、ジフェニルカーボネートなど)とを、水酸基が過剰となる条件で反応させるエステル交換法;前記飽和脂肪族ポリオールとホスゲンとを反応させるか、または必要に応じて、その後さらに飽和脂肪族ポリオールを反応させる方法;などにより得ることができる。
上記の(1)から(5)に例示したような化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記(i)成分と反応させる(ii)成分(即ち、多価イソシアネート成分)としては、例えば、1分子中に平均2個以上のイソシアネート基を含有する脂肪族、脂環族または芳香族の化合物を使用しうる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、炭素原子数1〜12の脂肪族ジイソシアネートが好ましく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、炭素原子数4〜18の脂環式ジイソシアネートが好ましく、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)などが挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、水系ウレタン樹脂のうちでポリウレタンが酸構造を含有するものは、界面活性剤を使用せずに、若しくは界面活性剤の量が少なくても、水中に分散させることが可能となるので、易接着層の耐水性が良くなることが期待される。これを自己乳化型といい、界面活性剤を使用すること無く分子イオン性のみで、水中にポリウレタン樹脂が分散安定化しうることを意味する。このような水系ウレタン樹脂を用いた易活性層は、界面活性剤が不要であるために、例えば脂環式構造含有重合体樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、およびポリエステル樹脂との接着性に優れ、かつ高い透明性を維持できるため、好ましい。
酸構造としては、例えば、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基(−SOH)等の酸基などを挙げることができる。また、酸構造は、ポリウレタンにおいて側鎖に存在していてもよく、末端に存在していてもよい。酸構造は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
酸構造の量としては、水系ウレタン樹脂中の酸価として、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは25mgKOH/g以上であり、好ましくは250mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下である。酸価を前記範囲の下限値以上にすることにより樹脂の水分散性を良好にできる。また、上限値以下にすることにより、易接着層の耐水性を良好にできる。
ポリウレタンに酸構造を導入する方法としては、例えば、ジメチロールアルカン酸を、前記(2)から(4)に記載したグリコール成分の一部もしくは全部と置き換えることによって、予めポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等にカルボキシル基を導入する方法が挙げられる。ここで用いられるジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。ここで、ジメチロールアルカン酸は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、ポリウレタンが含む酸構造の一部又は全部は、中和することが好ましい。酸構造を中和することにより、水系ウレタン樹脂の水分散性を向上させることができる。酸構造を中和する中和剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基;などを挙げられる。ここで、中和剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタンの数平均分子量は、1,000以上が好ましく、より好ましくは20,000以上であり、1,000,000以下が好ましく、より好ましくは200,000以下である。
水系ウレタン樹脂として、市販されている水系ウレタン樹脂をそのまま使用してもよい。水系ウレタン樹脂としては、例えば、旭電化工業(株)製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井東圧化学(株)製の「オレスター」シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン」シリーズ、バイエル社製の「インプラニール」シリーズ、日本ソフラン(株)製の「ソフラネート」シリーズ、花王(株)製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業(株)製の「サンプレン」シリーズ、保土谷化学工業(株)製の「アイゼラックス」シリーズ、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス」シリーズ、ゼネカ(株)製の「ネオレッツ」シリーズなどを用いることができる。これらの水系ウレタン樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、易接着層は、粒子を含んでいてもよい。したがって、易接着層が水系樹脂により形成される場合、当該水系樹脂は粒子を含んでいてもよい。易接着層に粒子を含ませることにより、易接着層の表面に凹凸が形成され、それによって光学フィルムの表面粗さを所望の範囲にすることができる。
易接着層の機械強度を向上させる目的で、易接着層の製造に用いる水系樹脂には、更に架橋剤を含ませてもよい。架橋剤としては、水系樹脂に含まれる重合体が有する反応性基と反応する官能基を有する化合物を使用しうる。例えば、水系樹脂として水系ウレタン樹脂を用いる場合には、架橋剤として水系エポキシ化合物、水系アミノ化合物、水系イソシアネート化合物、水系カルボジイミド化合物、水系オキサゾリン化合物等を使用することが、材料の汎用性の観点から好ましい。この中でも、特に水系エポキシ化合物、水系アミノ化合物、水系オキサゾリン化合物を使用することが、接着性の観点から好ましい。
水系エポキシ化合物としては、水に溶解性があるか、又はエマルジョン化した、1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物を用いうる。水系エポキシ化合物の例を挙げると、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエーテル化によって得られるジエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モル以上とのエーテル化によって得られるポリエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエステル化によって得られるジエポキシ化合物等のエポキシ化合物;などが挙げられる。
水系アミノ化合物としては、水に溶解性があるか、又はエマルジョン化した、1分子当たり2個以上のアミノ基を有する化合物を用いうる。水系アミノ化合物の例を挙げると、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタール酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、グリコリック酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、メラミン樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。
水系イソシアネート化合物としては、水に溶解性があるか、又はエマルジョン化した、1分子当たり2個以上の非ブロック型のイソシアネート基若しくはブロック型のイソシアネート基を有する化合物を用いうる。非ブロック型のイソシアネート化合物としては、例えば、多官能イソシアネート化合物と一価又は多価のノニオン性ポリアルキレンエーテルアルコールとを反応させて得られる化合物が挙げられる。ブロック型イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルシクロヘキシルジイソシアネート(H6TDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジイソシアネート(TIDI)、1,12−ジイソシアネートドデカン(DDI)、2,4,−ビス−(8−イソシアネートオクチル)−1,3−ジオクチルシクロブタン(OCDI)、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、およびこれらのイソシアヌレート変性体、アダクト変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、並びに、これらの重合体で1分子当たり1個以上のイソシアネート基を有するものをポリオキシアルキレン基、カルボキシル基等で変性し、水溶性およびまたは水分散性にし、イソシアネート基をブロック剤(フェノール、ε−カプロラクタムなど)でマスクすることにより得られる化合物などが挙げられる。
水系カルボジイミド化合物としては、水に溶解性があるか、又はエマルジョン化した、1分子当たり2個以上のカルボジイミド結合(−N=C=N−)を有する化合物を用いうる。1分子当たり2個以上のカルボジイミド結合を有する化合物は、例えば、2分子以上のポリイソシアネートとカルボジイミド化触媒とを用いて、2個のイソシアネート基を脱炭酸反応させてカルボジイミド結合を形成させる方法によって得ることができる。1分子当たり2個以上のカルボジイミド結合を有する化合物を作製する際に使用されるポリイソシアネートおよびカルボジイミド化触媒は特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
水系オキサゾリン化合物としては、水に溶解性があるか、又はエマルジョン化した、1分子当たり2個以上のオキサゾリン基を有する化合物を用いうる。
これらの架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
易接着層が水系ウレタン樹脂で形成されている場合、架橋剤の量は、ポリウレタン100重量部に対して、固形分で、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは70重量部以下、より好ましくは65重量部以下である。このような配合にすることにより、易接着層の強度と、水系ウレタン樹脂の水分散体の安定性を両立できることが可能となる。
さらに、易接着層には、必要に応じて、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、架橋剤などを含ませてもよい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
易接着層の厚みは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が特に好ましく、また、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。前記範囲内にあると、光学フィルムの他の層と易接着層との十分な接着強度が得られ、かつ、光学フィルムの反りを防止することができる。
(光学フィルム:その他の特徴)
本発明に用いる光学フィルムは、延伸処理を施されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸処理を施された延伸フィルムであってもよい。中でも、光学フィルムは、延伸フィルムであることが好ましい。本発明の製造方法で得た巻回体によれば、通常、保管時におけるフィルム内の分子の配向緩和を小さくできる。そのため、延伸により光学フィルムに発現したレターデーションの保管時における変化を抑制して、配向緩和による欠陥を生じ難くできる。
本発明に用いる光学フィルムの用途の例としては、液晶表示装置に用いられる位相差板、視野角補償フィルム、及びそれらのフィルムの原反フィルムとしての延伸前フィルム、並びに、偏光板保護用フィルムが挙げられる。このような用途に用いる観点から、光学フィルム(ナール構造を有する端部を除く)は、1mm厚換算での全光線透過率が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、同様の観点から、光学フィルム(ナール構造を有する端部を除く)は、1mm厚でのヘイズが、0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることがより好ましい。
光学フィルムの面内レターデーションRe及び厚さ方向のレターデーションRthの値は、光学フィルムの用途によって異なる。光学フィルム(ナール構造を有する端部を除く)のレターデーションの具体的な値は、例えば、面内レターデーションReで10nm〜500nm、厚さ方向のレターデーションRthで−500nm〜500nmの範囲から、用途に応じて選択されうる。
光学フィルムの厚さは、機械的強度を高め、且つ円滑な巻き取りを可能とする観点から、1〜300μmであることが好ましい。光学フィルムの厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、一方好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
光学フィルムの幅は、巻回体としたときの経時的な欠陥を生じ難くできるという効果を顕著に発揮させる観点では、好ましくは500mm以上、より好ましくは1000mm以上であり、一方好ましくは5000mm以下、より好ましくは3000mm以下である。
巻回体の巻回数に制限は無いが、通常40回以上、好ましくは60回以上であり、通常27000回以下、好ましくは13000回以下である。
また、巻回体の外径に制限はないが、通常170mm以上、好ましくは200mm以上であり、通常2300mm以下、好ましくは1200mm以下である。
(光学フィルムの調製)
本発明の巻回体の製造方法に供する、ナール構造付与前の光学フィルムは、通常、フィルムの原料の樹脂をフィルム状に成形することにより調製される。光学フィルムの調製に際しては、必要に応じて、例えば、フィルム状に成形された樹脂の層上にコート層を形成する工程、フィルムを延伸する工程などの任意の工程を行うことができる。さらに、フィルムを調製する工程と、本発明の製造方法の工程(ナール構造付与工程及び巻回工程)とを、インラインで連続的に行い、効率的な製造を達成しうる。
樹脂を成形する工程では、任意の成形方法を用いうる。例えば、押出し法及び流延法を挙げることができ、押出し法が好ましい。押出し法は、溶融状態にした熱可塑性樹脂をTダイ等のダイから押し出して成形する方法である。
また、2層以上の層を有する複層構造の熱可塑性樹脂フィルムを製造する場合には、例えば、共押出し法、共流延法などにより成形を行ってもよく、中でも共押出し法が好ましい。共押出し法は、溶融状態にした複数の熱可塑性樹脂を押し出して成形する方法である。共押出し法は、製造効率の点、並びに、熱可塑性樹脂フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという点で、優れている。
共押出し方法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。これらの中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法にはフィードブロック方式およびマルチマニホールド方式がある。その中でも層の厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
前記のようにしてフィルム状に成形された熱可塑性樹脂の層は、そのまま光学フィルムとして用いてもよい。また、樹脂の層に加えてコート層を備える光学フィルムを製造する場合には、樹脂を形成して得られた樹脂の層の表面に、コート層を形成する工程を行いうる。コート層を形成する工程は、フィルムをナール構造付与工程に供する前の任意の時点で行いうる。
コート層を形成する場合、例えば、コート層の材料を溶媒に溶解又は分散させたコート液を用意し、このコート液を樹脂の層の表面に塗布し、乾燥させる。この際、溶媒としては、水を用いてもよく、有機溶媒を用いてもよい。また、コート液は必要に応じて架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤により、コート層の耐久性を向上させることができる。
例えば、水系樹脂により易接着層を形成する場合、樹脂の層の表面に、コート液として水系樹脂を含む塗布液を塗布し、得られたコート液の膜を乾燥させることにより、易接着層を得る。例えば、易接着層をウレタン樹脂により形成する場合は、樹脂の層の表面に、水系ウレタン樹脂の水分散体を塗布し、乾燥させることにより、易接着層としてのウレタン樹脂層を形成してもよい。水系ウレタン樹脂の水分散体は、水系ウレタン樹脂が水に分散された液状の組成物であり、例えば、エマルション、コロイド分散系、水溶液などの形態としてもよい。
コート液の塗布方法は、特に限定されず、例えば、グラビアコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、スプレーコーター等のコーターを用いて塗布しうる。
また、コーターの下流側には、通常、樹脂の層上に塗布されたコート液を乾燥するためのオーブンが設置される。ただし、テンター或いはフロート方式の延伸装置を用いた製造方法では、コーターを延伸装置の直前に設置することによって、延伸装置が乾燥用オーブンを兼ねることが可能となる。
フィルムを延伸する工程を行なう場合、延伸する工程は、フィルムをナール構造付与工程に供する前の任意の時点で行いうる。したがって、フィルムを延伸する工程は、前記のコート層を形成する工程の前に行ってもよく、後に行ってもよい。
延伸方法は特に限定はされず、例えば一軸延伸法、二軸延伸法のいずれを採用してもよい。延伸方法の例を挙げると、一軸延伸法の例としては、フィルム搬送用のロールの周速の差を利用して縦方向(フィルム長手方向)に一軸延伸する方法;テンター延伸機を用いて横方向(フィルム幅方向)に一軸延伸する方法;等が挙げられる。また、二軸延伸法の例としては、固定するクリップの間隔を開いて、縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法;フィルム搬送用のロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップで把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法;などが挙げられる。さらに、例えば、縦方向又は横方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いて、フィルムの幅方向に対して任意の角度θ(0°<θ<90°)をなす方向に連続的に斜め延伸する斜め延伸法を用いてもよい。
延伸温度は、例えば、樹脂のガラス転移温度Tgを基準として、Tg〜Tg+20℃の範囲が好ましい。
フィルムの加熱方法に特に制限は無く、例えば、ロール間でのIR加熱方式、フロート方式等が挙げられる。中でも、光学フィルムの光学的な均一性を得る観点では、フロート方式の加熱方法が好ましい。特に、縦方向に延伸する場合にフロート方式を採用することが好ましい。
延伸倍率は、所望の光学特性が得られる適切な範囲に設定しうる。例えば、縦方向の延伸では、延伸倍率を1.1倍〜3.0倍の範囲に設定しうる。また、横方向の延伸では、延伸倍率を1.3倍〜3.0倍の範囲に設定しうる。
また、フィルムがコート層として易接着層を備える場合、ナール構造形成用のレーザー光の照射は、フィルムの易接着層側の面へ行うことが好ましい。これにより、光学フィルムをロール状に巻き取る際に、フィルム同士の密着を抑制することができる。
[用途]
本発明の製造方法により製造された巻回体は、光学フィルムを備える光学部材の製造に用いうる。例えば、本発明の巻回体から光学フィルムを繰り出し、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置における、光学部材の製造に用いることができる。巻回体から繰り出された光学フィルムは、表示装置及び光学部材において、位相差フィルム、偏光板の保護フィルム、偏光フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルム、集光フィルム、反射フィルム等として用いうる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
(製造例1:コート液Aの製造)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び冷却管を備えた反応器に、ポリエステルポリオールであるマキシモールFSK−2000(川崎化成工業社製;水酸基価56mgKOH/g)840部、トリレンジイソシアネート119部、及びメチルエチルケトン200部を入れ、窒素を導入しながら75℃で1時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却し、ジメチロールプロピオン酸35.6部を加え、75℃で反応させて、酸構造を含有するポリウレタンの溶液を得た。前記のポリウレタンのイソシアネート基(−NCO基)の含有量は0.5%であった。
次いで、このポリウレタンの溶液を40℃にまで冷却し、水1,500部、イソフタル酸ジヒドラジド(沸点224℃以上)120部(ポリウレタン100部に対し7部)を加え、ホモミキサーで高速撹拌することにより乳化を行った。この乳化液から加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、中和されたポリウレタンの水分散体を得た。この水分散体の固形分濃度は40%であった。
さらに、この水分散体を、含まれるポリウレタンが100部となる量だけ取り分けた。取り分けた前記の水分散体に、エポキシ化合物であるグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「デナコールEX−313」;エポキシ当量141g/eq)15部と、平均粒子径80nmのシリカ微粒子(日産化学工業社製「スノーテックスZL」)10部と、非イオン系界面活性剤として4,7−ジヒドロキシ−2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンのエチレンオキサイド付加物(日信化学工業社製「サーフィノール465」)と、水とを配合して、未硬化状態のウレタン樹脂として固形分濃度5%の液状の水系樹脂をコート液Aとして得た。ここで、非イオン系界面活性剤の添加量は、得られる水系樹脂に対し100ppmとなる量とした。
(実施例1)
脂環式構造含有重合体樹脂をフィルム形状に成形し、縦方向に延伸し、コート層を付与し、横方向に延伸し、ナール構造を付与し、巻き芯を中心にロール状に巻き取り巻回体を得る操作を、インラインで連続的に行った。その具体的な操作は、下記の通りである。
ノルボルネン系重合体を含む熱可塑性樹脂(商品名「ZEONOR1430」、日本ゼオン株式会社製、ヤング率E=2.5N/m)のペレットを100℃で5時間乾燥した後、常法により、厚さ100μmの未延伸フィルム(1)を、押出し機とTダイを用いて連続的に製造した。
未延伸フィルム(1)を、連続的に、調整ロール間でのフロート方式を用いた縦延伸機に供給し、140℃の温度で縦方向に1.2倍に延伸して、縦延伸フィルム(2)を得た。
縦延伸フィルム(2)を、連続的に、2本ロールのリバースコーターに供給した。このリバースコーターにおいて、縦延伸フィルム(2)の片面に、製造例1で得たコート液Aを塗布し、コート液Aの層を有する縦延伸フィルム(3)を得た。この際、コート液Aの塗布量は、コート液を乾燥させた後で得られるコート層の厚みが、横延伸後において90nmとなるように、リバースコーターのロール回転数を調整した。
コート液Aの層を有する縦延伸フィルム(3)を、連続的に、テンター法を用いた横延伸機に供給した。横延伸機で延伸が開始される前に縦延伸フィルム(3)が加熱されたことにより、縦延伸フィルムに塗布されたコート液Aが乾燥して、縦延伸フィルムの表面にコート層が形成された。その後、この横延伸機で、150℃の温度で前記の縦延伸フィルムを横方向に1.4倍に延伸し、二軸延伸フィルム(4)を得た。
一方、この製造ラインとは別の製造ラインで、二軸延伸フィルム(4)と同一のフィルムを予め製造し、さらに裁断し、長さ100mm、幅10mmのサンプルを得た。このサンプルについて、長さ方向に荷重をかける引張試験を行ない、トラフが視認された時点の引張荷重を記録し、それをもとに、トラフが発生したときの引張応力σmax(N/m)を求めた。得られたσmaxの値及びフィルムのヤング率Eから、値Xを求めたところ、0.6%であった。
連続的に製造した二軸延伸フィルム(4)に、連続的に、フィルムの両端部にレーザーマーカーを用いてナール構造を付与し、ナール構造付き二軸延伸フィルム(5)を得た。それぞれの端部の幅は、フィルムの縁から10mmとした。得られたフィルム(5)の全幅W1は1330mm、フィルムの厚みは50μmであった。
ナール構造付き二軸延伸フィルム(5)を、連続的に、外半径が84mmの巻芯に、張力をかけながら連続して巻き取った。巻き取りの際のライン速度は、25m/分とした。巻き取り途中の巻回体について、フィルム幅手方向の中央部の外半径r、及びフィルムの幅手方向の両端部の外半径rをインライン投影寸法測定器(株式会社キーエンス製、商品名TM−065及びTM−3000)を用いて測定し、端部高さh値をモニターし、それに基づいて巻取張力及びナール構造高さを調整し、巻き取りを行ない、巻回体を製造した。
本実施例における巻取張力及びナール構造高さの調整は、具体的には、下記の通りとした。
巻き取り開始時の巻取張力を140N/m、ナール構造高さを5μmとして巻き取りを開始し、外半径rが115mmを超えたところで、端部高さhが許容端部高さrX(=(r×0.6)/100)に近づいたので、巻取張力を100N/mとした。外半径rが175mmになるまで巻き取りを行なった。その結果、良好な巻回体を得た。巻き取り中の巻き取り径r(mm)、許容端部高さ((0.6×r)/100)(mm)、張力(N/m)、ナール構造高さ(μm)及び端部高さh(mm)は下記表1の通りであった。
Figure 0006136256
(実施例2)
巻取張力及びナール構造高さの調整を、下記の通り変更した他は、実施例1と同様にして、巻回体を製造した。
実施例2においては、巻き取り開始時の巻取張力を140N/m、ナール構造高さを5μmとして巻き取りを開始し、外半径rが115mmを超えたところで、端部高さhが許容端部高さrX(=(r×0.6)/100)に近づいたので、ナール構造高さを2μmとした。外半径rが175mmになるまで巻き取りを行なった。その結果、良好な巻回体を得た。巻き取り中の巻き取り径r(mm)、許容端部高さ((0.6×r)/100)(mm)、張力(N/m)、ナール構造高さ(μm)及び端部高さh(mm)は下記表2の通りであった。
Figure 0006136256
(実施例3)
巻取張力及びナール構造高さの調整を、下記の通り変更した他は、実施例1と同様にして、巻回体を製造した。
実施例3においては、巻き取り開始時の巻取張力を140N/m、ナール構造高さを5μmとして巻き取りを開始し、端部高さhが許容端部高さrX(=(r×0.6)/100)に近づかないよう、張力テーパーを設けた。外半径rが175mmになるまで巻き取りを行なった。その結果、良好な巻回体を得た。巻き取り中の巻き取り径r(mm)、許容端部高さ((0.6×r)/100)(mm)、張力(N/m)、ナール構造高さ(μm)及び端部高さh(mm)は下記表3の通りであった。
Figure 0006136256
(実施例4)
巻取張力及びナール構造高さの調整を、下記の通り変更した他は、実施例1と同様にして、巻回体を製造した。
実施例4においては、巻き取り開始時の巻取張力を140N/m、ナール構造高さを5μmとして巻き取りを開始し、端部高さhが許容端部高さrX(=(r×0.6)/100)に近づかないよう、ナール構造高さテーパーを設けた。外半径rが175mmになるまで巻き取りを行なった。その結果、良好な巻回体を得た。巻き取り中の巻き取り径r(mm)、許容端部高さ((0.6×r)/100)(mm)、張力(N/m)、ナール構造高さ(μm)及び端部高さh(mm)は下記表4の通りであった。
Figure 0006136256
(比較例1)
巻取張力及びナール構造高さの調整を、下記の通り変更した他は、実施例1と同様にして、巻回体の製造を試みた。
比較例1においては、巻き取り開始時の巻取張力を140N/m、ナール構造高さを5μmとして巻き取りを開始し、そのままの巻き取り張力及びナール構造高さを維持した。外半径rが115mmを超えたところで、端部高さhが許容端部高さrX(=(r×0.6)/100)を超え、その時点で搬送中のフィルムにシワが発生した。外半径rが130mmになった時点で巻き取りを終了した。巻き取り中の巻き取り径r(mm)、許容端部高さ((0.6×r)/100)(mm)、張力(N/m)、ナール構造高さ(μm)及び端部高さh(mm)は下記表5の通りであった。
Figure 0006136256
(比較例2)
巻取張力及びナール構造高さの調整を、下記の通り変更した他は、実施例1と同様にして、巻回体の製造を試みた。
比較例2においては、巻き取り開始時の巻取張力を100N/m、ナール構造高さを8μmとして巻き取りを開始し、そのままの巻き取り張力及びナール構造高さを維持した。外半径rが100mmを超えたところで、端部高さhが許容端部高さrX(=(r×0.6)/100)を超え、その時点で搬送中のフィルムにシワが発生した。外半径rが115mmになった時点で巻き取りを終了した。巻き取り中の巻き取り径r(mm)、許容端部高さ((0.6×r)/100)(mm)、張力(N/m)、ナール構造高さ(μm)及び端部高さh(mm)は下記表6の通りであった。
Figure 0006136256
以上の結果から明らかな通り、本発明の要件を満たす調整を行った実施例においては、良好な巻回体を得ることができたのに対し、本発明の要件を満たす調整を行なわなかった比較例においては、シワが発生し良好な巻回体を得ることができなかった。
10、10a、10b:光学フィルム
21:ナール構造付与装置
22:ナール構造付与装置
23:ナール構造モニター装置(受光機)
24:ナール構造モニター装置(投光機)
30:張力付与装置
31:上流ロール
33:下流ロール
32:ダンサーロール
34:エアーシリンダー
34T:エアーシリンダーの先端
32S:ダンサーロールの軸
41:巻き芯
40、40a、40b:巻回体
50:径測定装置
51:透光部
52:受光部
53:光
41C:巻回体の軸
42:巻回体の端面
15:ナール構造

Claims (3)

  1. 長尺の光学フィルムの巻回体の製造方法であって、
    前記光学フィルムの少なくとも一方の面の幅手方向の両端部にナール構造を付与する工程、及び
    ナール構造が付与された前記光学フィルムを巻き芯を中心にロール状に巻き取る巻回工程
    を含み、
    前記巻回工程は、
    前記巻き芯の外半径R(mm)、巻き取り途中の巻回体のフィルムの幅手方向の中央部の外半径r(mm)、及び巻き取り途中の巻回体のフィルムの幅手方向の端部の外半径r(mm)が、少なくともr>1.05Rとなった後は、下記式(1)及び(2):
    式(1):h/r≦X
    式(2):h>0.1
    (ただし、
    h=r−rであり、
    Xは、下記式(3):
    式(3):X=σmax/E
    で求められる値であり、
    σmaxは光学フィルムに引張試験を行い、トラフが発生したときの引張応力(N/m )、Eは光学フィルムを構成する材料のヤング率(N/m である)
    を常に満たすように、前記巻回工程における巻き取り張力、前記ナール構造の高さ、またはこれらの両方を調整することを含む、光学フィルムの巻回体の製造方法。
  2. 前記光学フィルムの厚さが1〜300μmである、請求項記載の製造方法。
  3. 前記光学フィルムの幅が500〜5000mmである、請求項1または2記載の製造方法。
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