JP2020179890A - フィルムロール - Google Patents

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Abstract

【課題】擦り傷の発生を抑制したフィルムロールを提供する。【解決手段】巻き芯と、前記巻き芯に巻回された長尺の光学フィルムと、を含むフィルムロールであって、前記巻き芯の直径が200mm以上である、フィルムロール。光学フィルムは、ナール部を含むことが好ましい。また、光学フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルム上に設けられた易滑層と、を備えることが好ましい。また、前記光学フィルムは、樹脂層を備え、前記樹脂層は、脂環式構造含有重合体を含む、ことが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、フィルムロールに関する。
光学フィルム等のフィルムの製造に際しては、高い生産性を実現する観点から、フィルムを長尺フィルムとして製造し、これを円筒形の巻き芯の外表面に巻回してフィルムロールとすることが一般的に行われている(例えば特許文献1を参照)。
特開2015−189051号公報
フィルムロールは、通常、ラック等に積載されて搬送されるが、搬送中の振動等に起因して擦り傷が生じることがある。特に、フィルムの長手方向の全域に凹凸構造部(ナール部)を有するフィルムでは、フィルムの間に空気層が存在するため、振動等によりフィルムが動いて擦り傷が発生しやすい。
このような問題を解決するための対応策として、長手方向の全域において凹凸構造部を有さないフィルムを、タッチロールを用いて巻き芯に巻回して、フィルムロールを製造することが考えられる。しかしながら、このようなフィルムロールにおいては、その表面に、周方向に延在する帯状の凹部又は凸部(ゲージバンドともいう)が発生することがあった。
また、近年の光学フィルムの生産性の向上に伴い、巻き芯に巻回する光学フィルムの長さ(以下、「巻き長」ともいう)を、従来よりも長くすることが求められている。しかしながら、巻き長を長くすると、擦り傷等の発生が起こりやすくなるため、改善が求められていた。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、擦り傷の発生を抑制することができるフィルムロールを提供することにある。
上記課題を解決すべく、検討を行ったところ、従来の巻き芯を用いて、光学フィルムの巻き長を長くすると、巻き芯の上に巻回されるフィルム積層部が大きくなることに起因して、巻き芯の変形や擦り傷の発生が多くなるという知見が得られた。
更なる検討の結果、従来の巻き芯よりも直径が大きい巻き芯を用いることにより、光学フィルムの巻き長を長くした場合であっても上記課題を解決できるという知見が得られた。すなわち本発明は、以下に示す通りである。
〔1〕 巻き芯と、前記巻き芯に巻回された長尺の光学フィルムと、を含むフィルムロールであって、
前記巻き芯の直径が200mm以上である、フィルムロール。
〔2〕 前記光学フィルムは、ナール部を含む、〔1〕に記載のフィルムロール。
〔3〕 前記光学フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルム上に設けられた易滑層と、を備える、〔1〕または〔2〕に記載のフィルムロール。
〔4〕 前記光学フィルムは、樹脂層を備え、
前記樹脂層は、脂環式構造含有重合体を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のフィルムロール。
〔5〕 前記巻き芯は、前記光学フィルムが巻回される巻回部と、
前記巻回部の両端部に設けられ、前記巻回部よりも直径が小さい小径部と、を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のフィルムロール。
本発明によれば、擦り傷の発生を抑制することができるフィルムロールを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルムロールを模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るフィルムロールを模式的に示す側面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るフィルムロールに用いる巻き芯を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るフィルムロールを構成する光学フィルムを平面上に展開した状態を模式的に示す平面図である。 図5は、図4におけるY−Y線における断面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係るフィルムロールの製造方法において用いる巻取装置を模式的に示す側面図である。 図7は、実施例1に係るフィルムロールにおいて形成された凹凸構造部の平面形状を模式的に示す平面図である。 図8は、実施例のフィルムロールの評価試験で用いたラックの構成を模式的に示す正面図である。 図9は、図8のラックを模式的に示す側面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。長尺のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
[実施形態1]
本発明の一実施形態に係るフィルムロールについて図1〜図6を参照しながら説明する。
[1.フィルムロール]
図1は、本実施形態のフィルムロール10から、巻回方向における終端部側の光学フィルム100を一部巻き出した状態を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のフィルムロール10は、円筒状の巻き芯20と、巻き芯20に巻回された長尺の光学フィルム100と、を含む。以下の説明において、「光学フィルム」を単に「フィルム」ということがある。
図2は、本実施形態のフィルムロール10を模式的に示す側面図である。フィルムロール10の形状は、中心軸20Cを中心とする円筒形である。図2は、フィルムロール10を中心軸20Cに平行な方向から観察した側面図であるため、中心軸20Cは点により表される。フィルムロール10は、巻き芯20と、巻き芯20に巻回された長尺の光学フィルム100と、を備える。図2において、R0は小径部22の直径、R1は巻き芯20(巻回部21)の直径、R2はフィルム積層部100Aの厚み、R3はフィルムロール10の直径である。フィルム積層部100Aは、光学フィルム100を巻回して得られた巻き重ね構造を有している。そのため、フィルム積層部100Aに含まれる光学フィルム100間には、空気層(図示せず。)が存在しうる。
[2.巻き芯]
図3は本実施形態のフィルムロール10に用いる巻き芯20を模式的に示す断面図である。図3においてX1は、巻き芯20の長手方向に平行な方向である。
本実施形態の巻き芯20は、図3に示すように、光学フィルムが巻回される巻回部21と、巻回部21の両端部に設けられ、巻回部21よりも直径が小さい小径部22とを含む。このような態様の巻き芯20は、小径部22の直径を、既存のフィルムロールの巻き芯の直径と同じ大きさにすることにより、既存の設備や装置を使用することができ好適である。
巻回部21のX1方向の長さは、光学フィルム100の幅方向の寸法と同じか、光学フィルム100の幅方向の寸法より小さくしうる。小径部22は、巻き芯モーター210(図6を参照)からの駆動力を受ける部分であり、当該駆動力を受けることにより巻き芯20が周方向に回転する。
本発明において、巻き芯の直径とは、巻き芯の、光学フィルムが巻回される部分の直径のことをいう。本実施形態では巻回部21の直径が、巻き芯20の直径である。
巻き芯20の直径は、200mm以上である。従来の光学フィルム用の巻き芯は直径が80mm〜170mmであるので、本発明の巻き芯は従来の巻き芯よりも直径が大きい。本発明において、巻き芯20の直径は、好ましくは220mm以上、より好ましくは250mm以上であり、好ましくは500mm以下、より好ましくは400mm以下である。巻き芯20の直径が200mm以上であることにより、巻き芯20の上に巻回されるフィルム積層部100Aの厚みR2を従来の巻き芯よりも小さくし、これによりフィルム積層部100Aに含まれるフィルムが動くことに起因する擦り傷の発生を抑制することができる。巻き芯の直径が前記上限値以下であることにより、フィルムロールの大型化を抑制することができる。
[3.光学フィルム]
図4は、本実施形態のフィルムロール10を構成する光学フィルム100を上面100U側から見た様子を模式的に示す平面図である。図4に示すように、光学フィルム100は、ナール部120を含む。本実施形態においては、光学フィルム100の幅方向(図4の上下方向)の両端部に同じ形状のナール部120が設けられている。ナール部120が設けられている領域をナール領域120R,120Lという(図1を参照)。2つのナール領域120R,120Lの間のナール部が設けられていない領域は、平坦部110である。
本実施形態において、平坦部110は、フィルム100の幅方向の端縁から20mmよりも内側の領域に設けられていることが好ましく、該端縁から18mmよりも内側の領域に設けられていることがより好ましく、該端縁から15mmよりも内側の領域に設けられていることがさらに好ましく、該端縁から12mmよりも内側の領域に設けられていることがさらに好ましい。
本実施形態において、平坦部110の平均粗さSRaは、好ましくは5nm以上、より好ましくは7nm以上、さらに好ましくは9nm以上であり、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。平坦部110の平均粗さSRaを前記上限値以下とすることで、フィルムが滑ることによる巻ずれの発生を抑制することができ、平坦部110の平均粗さSRaを前記下限値以下とすることで、フィルム同士が接触しやすくなることによる擦り傷の発生を抑制することができる。ここで、フィルム100の平坦部110の表面粗さSRaは、市販の表面粗さ測定機、例えば小坂研究所社製の表面粗さ測定機「Surfcorder ET4000AK」を用いて、触針荷重50μN、測定長1mm四方、カットオフ0.8mmの条件で測定することができる。
[3.1.ナール部]
本実施形態において、ナール領域120R及び120L内に存在するナール部120は、図1及び図4に示すように、フィルム100の幅方向の端縁から離隔した位置に設けられている。また、本実施形態においてナール部は、光学フィルム100の巻回方向(長手方向)の始端から終端に至るまで設けられている。2つのナール領域120R,120Lの幅寸法A1は概ね同一であり、当該幅寸法A1は、光学フィルム100の巻回方向の始端から終端に至るまで一定の値とされる。
ナール部120は、フィルム100の幅方向の端縁から20mm以内の端部領域に設けられていることが好ましく、該端縁から18mm以内の端部領域に設けられていることがより好ましく、該端縁から15mm以内の端部領域に設けられていることがさらに好ましい。また、ナール部120が形成されているナール領域120L,120Rの幅寸法A1は、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることがさらに好ましい。ナール部が設けられている領域を上記範囲内とすることにより、座屈や巻ずれ等の発生を抑制することができる。
本実施形態において、ナール部120は、図4に示すように、4個のひし形が連結された形状単位を一つの単位としており、これが、フィルム長さ方向(巻回方向)に繰り返された形状である。ナール部120は所定の形状単位が繰り返される態様であることが、ナール部の面積の割合等の調整が容易であるという観点から好ましい。
図5は、光学フィルム100のナール部120を延在方向に垂直な面で切った断面(図4におけるY−Y断面)を模式的に示した図である。ナール部120は、凹部122と、凸部121とを備える。通常、凹部122は、レーザー光の照射による熱溶融又はアブレーションによって、樹脂が取り除かれた部分に相当し、また、凸部121は、前記のレーザー光の照射によって加熱されて流動化した樹脂が盛り上がった部分に相当する。凸部121が、周囲のフィルム100の面100Uよりも突出していることにより、このナール部120においてはフィルム100の実質的な厚みが厚くなっている。
図5において、100Lはフィルム100の下面、122Bは凹部122の底部、121Tは凸部121の頂部、Hは凸部121の高さである。本発明において、ナール部120の凸部121の高さHとは、凹凸構造が設けられていない光学フィルム100の上面100Uから凸部の頂部121Tまでの高さをいう。ナール部120の凸部の高さは、均一でもよく、不均一でもよい。ナール部120における凸部の高さは、例えば、三次元表面プロファイラー(ザイゴ社製「NewView5000」)を用いて測定することができる。
本実施形態において、ナール部120の凸部121の高さHの平均値は、1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは7μm以上であり、一方好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。ナール部120の凸部121の高さHの平均値を前記の下限値以上とすることによりフィルムの巻き取りの際に巻きずれを抑制することができ、当該高さHの平均値を前記の上限値以下とすることにより、巻き取ったロールにおける、ナール部が形成された部分とそれ以外の部分とにおける巻き径の差に起因するフィルムの変形を抑制することができる。
本実施形態においてナール部120の幅は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、特に好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.75μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。ナール部120の幅が、前記範囲の下限値以上であることにより、フィルム100の巻き取り時に、巻きずれを抑制できる。また、ナール部120の幅が、前記範囲の上限値以下であることにより、形状が崩れることなくナール部120を形成できる。
[3.2.光学フィルムの厚み]
光学フィルム100の平均厚みdfは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。平均厚みdfが上限値以下の薄いフィルムであっても、擦り傷の発生を有効に抑制することができ、本発明の効果が得られる。フィルムの厚みは、市販の測定器、例えばフィルムメトリクス社製の「F20−NIR」を用いて測定することができる。
光学フィルムの平均厚みdfと巻き芯の直径R1とは、擦り傷の発生を有効に抑制するという観点から、以下の関係を満たすことが好ましい。
0.00005≦Df/R1≦0.00035
Df/R1は、より好ましくは0.00008以上、さらに好ましくは0.0001以上であり、より好ましくは0.0003以下、より好ましくは0.00025以下である。
[3.3.光学フィルム]
本実施形態において、光学フィルムの構成は、特に限定されない。光学フィルムは、樹脂層を備えるフィルムとしうる。
[樹脂層]
樹脂層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、脂環式構造含有重合体を含む樹脂が特に好ましい。脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れる。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂に含まれる脂環式構造含有重合体は、重合体の構造単位中に脂環式構造を有する重合体であり、主鎖に脂環式構造を有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれを用いてもよい。また、脂環式構造含有重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数が前記の範囲に収まる場合に、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造含有重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択してもよく、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、光学フィルムの透明性および耐熱性を良好にできる。
脂環式構造含有重合体としては、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及び、これらの水素添加物を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン重合体は、透明性及び成形性が良好である。
ノルボルネン重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素添加物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体の開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体の付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。また、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合が可能な任意の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合が可能な任意の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合が可能な任意の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合が可能な任意の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、これらの開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
樹脂層を構成する樹脂に含まれる重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、光学フィルムの機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。
前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサンを用いて(但し、試料である重合体がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量である。
樹脂層に含まれる重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.2以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.5以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、コストを抑制することができる。また、上限値以下にすることにより、低分子量成分を減らすことができるので、緩和時間を長くできる。そのため、高温曝露時の配向緩和を抑制できるので、樹脂フィルム110の光学特性の安定性を高めることができる。
樹脂層を構成する樹脂における重合体の割合は、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは70重量%〜100重量%である。特に、樹脂層に含まれる樹脂として脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いる場合、当該樹脂に含まれる脂環式構造含有重合体の割合は、好ましくは80重量%〜100重量%、より好ましくは90重量%〜100重量%である。
樹脂層を構成する樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、重合体以外に任意の成分を含んでいてもよい。その任意の成分の例を挙げると、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤等が挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
樹脂層を構成する樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されうるものであり、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、好ましくは250℃以下である。ガラス転移温度がこのような範囲にある樹脂を用いることにより、光学フィルムの高温下での変形及び応力の発生を抑制できるので、耐久性を向上させることができる。
光学フィルム100は、1層のみ備える単層構造のフィルムであってもよく、2層以上を備える複層構造のフィルムであってもよい。また、光学フィルムは、延伸フィルムであってもよく、延伸されていないフィルムであってもよい。
光学フィルム100が複数構造を有するフィルムである場合、光学フィルム100は、前記の樹脂層に組み合わせて、任意の層を備えうる。任意の層としては、例えば、傷付防止性、反射防止性、帯電防止性、防眩性、防汚性、易滑性、易接着性等の特性の付与しうる機能層が挙げられる。これらの機能層は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂及びこれらの混合物等によって形成しうる。本発明では、光学フィルムが、樹脂層と、樹脂層の上に、易滑性を付与しうる機能層(易滑層)を備えていることが好ましい。易滑層は、上述の樹脂層を基材フィルムとして用い、当該基材フィルムの上に易滑層を形成するための組成物を塗布し硬化させることにより形成しうる。
[易滑層]
易滑層は、特に制限されないが、ポリウレタンと、このポリウレタンを架橋させうる架橋剤と、不揮発性塩基と微粒子と、を含むウレタン組成物の硬化物からなる層であることが好ましい。このようなウレタン組成物の硬化物からなる易滑層を用いることにより、フィルムロールの形状で保存及び運搬した場合であってもブロッキングの発生を抑制することができる。また、この易滑層は、優れた接着性を高湿度環境において長期間維持できる。
ウレタン組成物に含まれるポリウレタンとしては、例えば、(i)1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分と、(ii)ポリイソシアネート成分とを反応させて得られるポリウレタンを用いうる。
また、ポリウレタンとしては、例えば、前記(i)成分及び前記(ii)成分をウレタン化反応させて得たイソシアネート基含有プレポリマーを、鎖延長剤を用いて鎖延長し、水を加えて分散体とすることによって製造されるポリウレタンを用いうる。前記のプレポリマーは、前記(i)成分及び前記(ii)成分を、イソシアネート基過剰の条件下でウレタン化反応させることで得られうる。また、前記のウレタン化反応は、反応に不活性で水との親和性の大きい有機溶媒中で行いうる。さらに、前記プレポリマーの鎖延長の前には、該プレポリマーを中和させてもよい。また、イソシアネート基含有プレポリマーの鎖延長方法としては、イソシアネート基含有プレポリマーと鎖延長剤とを、必要に応じて触媒の存在下で反応させる方法が挙げられる。この際、鎖延長剤としては、水、水溶性ポリアミン、グリコール類などを用いうる。
前記(i)成分としては、ヒドロキシル基性の活性水素を有するものが好ましく、例えば1分子中に平均2個以上のヒドロキシル基を有する化合物が好ましい。(i)成分の具体例としては、(1)ポリオール化合物、(2)ポリエーテルポリオール、(3)ポリエステルポリオール、(4)ポリエーテルエステルポリオール、及び(5)ポリカーボネートポリオールが挙げられる。(1)〜(5)の化合物としては、国際公開第2018/123662号に記載のものを用いうる。
これらの(i)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記(i)成分と反応させる(ii)成分(即ち、ポリイソシアネート成分)としては、例えば、1分子中に平均2個以上のイソシアネート基を含有する化合物が挙げられる。この化合物は、脂肪族化合物でもよく、脂環式化合物でもよく、芳香族化合物でもよい。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、炭素原子数1〜12の脂肪族ジイソシアネートが好ましく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネート化合物としては、炭素原子数4〜18の脂環式ジイソシアネートが好ましく、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)などが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの(ii)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の(i)成分及び(ii)成分は、光学フィルムの用途に応じて適切なものを任意に選択して用いうる。中でも、(i)成分としては、加水分解し難い結合を有するものを用いることが好ましく、具体的には(2)ポリエーテルポリオール及び(5)ポリカーボネートポリオールが好ましく、中でも(2)ポリエーテルポリオールが特に好ましい。(i)成分として(2)ポリエーテルポリオールを用いたポリウレタンは「ポリエーテル系ポリウレタン」と呼ばれる。また、(i)成分として(5)ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタンは「ポリカーボネート系ポリウレタン」と呼ばれる。これらのポリエーテル系ポリウレタン及びポリカーボネート系ポリウレタンは、加水分解し難いエーテル結合又はカーボネート結合を有する。そのため、高湿度環境においてポリウレタンが劣化し難いので、易滑層の引っ張り弾性率の経時的な低下を抑制できる。したがって、高湿度環境における接着性の低下を効果的に抑制できる。
また、これらのポリウレタンは、その分子構造に酸構造を含んでいてもよい。酸構造を含むポリウレタンは、界面活性剤を使用せずに、若しくは界面活性剤の量が少なくても、水中に分散させることが可能であるので、易滑層の耐水性の改善が期待される。これを自己乳化型といい、界面活性剤が無くても分子イオン性のみで水中にポリウレタンの粒子が分散安定化しうることを意味する。また、酸構造を含むポリウレタンは、界面活性剤が不要又は少量で済むので、基材フィルムとの接着性に優れ、かつ高い透明性を維持できる。
酸構造としては、例えば、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)等の酸基などを挙げることができる。また、酸構造は、ポリウレタンにおいて側鎖に存在していてもよく、末端に存在していてもよい。酸構造は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
酸構造の量としては、ウレタン組成物における酸価として、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは25mgKOH/g以上であり、好ましくは250mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下である。酸価を前記範囲の下限値以上にすることによりポリウレタンの水分散性を良好にできる。また、上限値以下にすることにより、易滑層の耐水性を良好にすることができる。
ポリウレタンに酸構造を導入する方法としては、例えば、ジメチロールアルカン酸を、前記(2)から(4)に記載した(i)成分の一部もしくは全部と置き換えることによって、予めポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等にカルボキシル基を導入する方法が挙げられる。ここで用いられるジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。ジメチロールアルカン酸は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ウレタン組成物において、ポリウレタンが含む酸構造の一部又は全部は、不揮発性塩基によって中和されている。酸構造が中和されていることにより、フィルムは、高温下に曝された熱履歴を有しても、光学材料としての特性を維持したり、任意の部材と強い接着力で接着したりすることが可能である。また、酸構造を中和しても、界面活性剤を使用せずに、若しくは界面活性剤の量が少なくても、ポリウレタンの粒子を水中に分散させることは可能である。
ポリウレタンが含む酸構造のうち、中和される酸構造の割合は、20%以上が好ましく、50%以上が特に好ましい。酸構造のうちの20%以上が中和されることにより、フィルムが高温下に曝された熱履歴を有しても、光学材料としての特性を維持したり、任意の部材と強い接着力で接着したりすることが可能である。
ポリウレタンは、架橋剤との反応を可能にするため、極性基を含むことが好ましい。極性基としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホ基などが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びアミノ基が好ましく、ヒドロキシル基及びカルボキシル基がより好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。ポリウレタン中の極性基の量は、好ましくは0.0001当量/1kg以上、より好ましくは0.001当量/1kg以上であり、好ましくは1当量/1kg以下である。
ポリウレタンとしては、水系ウレタン樹脂として市販されているものを用いてもよい。水系ウレタン樹脂は、ポリウレタン及び水とを含む組成物であり、通常、ポリウレタン及び必要に応じて含まれる任意の成分が水の中に分散している組成物である。水系ウレタン樹脂としては、例えば、ADEKA社製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井化学社製の「オレスター(登録商標)」シリーズ、DIC社製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン(WLS201,WLS202など)」シリーズ、バイエル社製の「インプラニール」シリーズ、花王社製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業社製の「サンプレン」シリーズ、第一工業製薬社製の「スーパーフレックス(登録商標)」シリーズ、楠本化成社製の「NEOREZ(ネオレッズ)」シリーズ、ルーブリゾール社製の「Sancure(登録商標)」シリーズなどを用いることができる。また、ポリウレタンは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ウレタン組成物において、ポリウレタンの状態は任意であり、粒子状になって分散していてもよく、溶媒等の他の成分に溶解していてもよい。ポリウレタンは、これらの状態の中でも、粒子状となって分散していることが多い。この場合、ポリウレタンの粒子の平均粒子径は、光学フィルムの光学特性の観点から、0.01μm〜0.4μmであることが好ましい。
[架橋剤]
架橋剤は、ポリウレタンが有する反応性の基と反応して結合を形成することにより、ポリウレタンを架橋させうる。この架橋により、易滑層の機械的強度、接着性及び耐湿熱性を向上させることができる。通常、架橋剤は、前記酸構造として含まれるカルボキシル基及びその無水物基、並びに、(i)成分と(ii)成分との反応後に未反応で残ったヒドロキシル基などのような、ポリウレタンに含まれる極性基と反応して架橋構造を形成しうる。
架橋剤としては、例えば、ポリウレタンが有する反応性の基と反応して結合を形成できる官能基を1分子内に2個以上有する化合物を用いうる。中でも、架橋剤としては、ポリウレタンが有するカルボキシル基又はその無水物基と反応しうる官能基を有する化合物が好ましい。
架橋剤の具体例を挙げると、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。また、架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。架橋剤としては、国際公開第2018/123662号に記載の架橋剤を用いうる。
前記の架橋剤の中でも、エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物が好ましく、エポキシ化合物が特に好ましい。エポキシ化合物を架橋剤として用いると、易滑層の接着性を特に大きく向上させることができる。また、カルボジイミド化合物を架橋剤として用いると、ウレタン組成物のポットライフを改善することができる。
[不揮発性塩基]
不揮発性塩基としては、ウレタン組成物を基材フィルムに塗布した後に乾燥させる際の処理条件下において、実質的に不揮発性である塩基が挙げられる。ここで実質的に不揮発性であるとは、通常、不揮発性塩基の減少分が80%以下であることをいう。また、ウレタン組成物を基材フィルムに塗布した後に乾燥させる際の処理条件としては、例えば、80℃で1時間放置することが挙げられる。このような不揮発性塩基は、ポリウレタンの酸構造を中和する中和剤として機能しうる。
不揮発性塩基としては、無機塩基を用いてもよく、有機塩基を用いてよい。中でも、沸点100℃以上の有機塩基が好ましく、沸点100℃以上のアミン化合物がより好ましく、沸点200℃以上のアミン化合物が特に好ましい。また、有機塩基は低分子化合物でもよく、重合体でもよい。
不揮発性塩基の例を挙げると、無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。また、有機塩基としては、例えば、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ[(2−ヒドロキシ)−1−プロピル]アミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパン水酸化カリウム、亜鉛アンモニウム錯体、銅アンモニウム錯体、銀アンモニウム錯体、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、3−ウレイドプロピルトリメトシキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシカルボン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタール酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、キノリン、ピコリン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イロプロパノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N−N−ジエタノールアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、アミノヘキシルエタノールアミン、アミノエチルプロパノールアミン、アミノプロピルプロパノールアミン、アミノヘキシルプロパノールアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−アミノエチル)−2−エチルイミダゾール、2−アミノイミダゾールサルフェート、2−(2−アミノエチル)−ベンゾイミダゾール、ピラゾール、5−アミノピラゾール、1−メチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−5−アミノピラゾール、1,3−ジメチル−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−3−メチル−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−メチル−4−アシノ−5−アミノピラゾール、1−イソプロピル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、3−メチル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、1−ベンジル−4−クロロ−5−アミノピラゾール、アミノ樹脂(例えば、1,3−ジメチル−4−クロロ−メラミン樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂等)などが挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
不揮発性塩基の量は、ポリウレタン100重量部に対して、通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは2重量部以上であり、通常30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。不揮発性塩基の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、十分な接着力を得ることができる。また、上限値以下にすることにより、ポリビニルアルコール製の偏光子の色抜けの防止ができる。
[微粒子]
ウレタン組成物は、微粒子を含むことが好ましい。ウレタン組成物が微粒子を含むことにより、そのウレタン組成物の硬化物によって形成される易滑層の表面粗さを大きくすることができる。これにより、易滑層の表面の滑り性を向上させることができるので、フィルムのブロッキングの防止、及び、フィルムを巻回する際のシワの発生の抑制が可能となる。
微粒子としては、無機粒子、有機粒子のいずれを用いてもよい。ただし、水分散性の粒子を用いることが好ましい。無機粒子の材料を挙げると、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物;炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウム等が挙げられる。また、有機粒子の材料を挙げると、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、シリカが好ましい。シリカの粒子は、シワの発生を抑制する能力及び透明性に優れ、ヘイズを生じ難く、着色が無いため、光学フィルムの光学特性に与える影響が小さい。また、シリカはウレタン組成物での分散性および分散安定性が良好である。シリカの粒子の中でも、非晶質コロイダルシリカ粒子が特に好ましい。二種類の微粒子を使用することにより、ヘイズの上昇を最小限に抑え、より効率的にシワの発生を抑制することができる。
微粒子の平均粒子径は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上であり、通常500nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である。粒子の平均粒子径を前記範囲の下限値以上にすることにより、易滑層の滑り性を効果的に高めることができる。また、前記範囲の上限値以下にすることにより、易滑層のヘイズを低く抑えることができる。
微粒子の量は、ポリウレタン100重量部に対し、通常1重量部以上、好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、通常50重量部以下、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。粒子の量を前記の範囲の下限値以上にすることにより、光学フィルムを巻回した場合にシワの発生を抑制できる。また、上限値以下にすることにより、光学フィルムの白濁の無い外観を維持できる。
[濡れ剤]
ウレタン組成物は、濡れ剤を含んでいてもよい。濡れ剤を用いることにより、ウレタン組成物を基材フィルムに塗布する際の塗布性を良好にでき、好ましい。
濡れ剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤や、フッ素系界面活性剤等を用いることができる。アセチレン系界面活性剤としては、例えば、エアープロダクツアンドケミカルズ社製サーフィノールシリーズ、ダイノールシリーズ等を用いることができる。また、フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC社製メガファックシリーズ、ネオス社製フタージェントシリーズ、AGC社製サーフロンシリーズ等を用いることができる。濡れ剤としては、重ね塗り性の観点から、アセチレン系界面活性剤を用いることが好ましい。
また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
濡れ剤の配合量は、ウレタン組成物(塗布液)の固形分量に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、通常5重量%以下、好ましくは4重量部以下、より好ましくは3重量%以下である。濡れ剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより十分な塗布性を得ることができる。また、上限値以下にすることにより、濡れ剤のブリードアウトを抑制でき、更には重ね塗り性を良好にできる。
[溶媒]
ウレタン組成物は、通常、溶媒を含む。溶媒としては、水又は水溶性の溶媒を用いる。水溶性の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。中でも、溶媒としては、水を用いることが好ましい。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の量は、ウレタン組成物の粘度を塗布に適した範囲にできるように設定しうる。通常は、溶媒の量は、ウレタン組成物の固形分濃度を所望の範囲に収められるように設定する。前記の所望の範囲は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。これにより、ウレタン組成物の取り扱い性及び塗布性を良好にできる。
[任意の成分]
ウレタン組成物は、前記の架橋剤に組み合わせて、硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、易滑層の形成に用いられる公知の硬化促進剤を用いうる。例えば、架橋剤としてエポキシ化合物を用いる場合、硬化促進剤としては、第3級アミン系化合物(4−位に3級アミンを有する2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基を有する化合物を除く)、三弗化ホウ素錯化合物などが好適である。また、硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤の量は、ポリウレタン100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.03重量部以上であり、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
ウレタン組成物は、前記の架橋剤に組み合わせて、硬化助剤を含んでいてもよい。硬化助剤としては、易滑層の形成に用いられる公知の硬化助剤を用いうる。硬化助剤の具体例を挙げると、キノンジオキシム、ベンゾキノンジオキシム、p−ニトロソフェノール等のオキシム・ニトロソ系硬化助剤;N,N−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系硬化助剤;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系硬化助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート系硬化助剤;ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン等のビニル系硬化助剤;等が挙げられる。また、硬化助剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
硬化助剤の量は、架橋剤100重量部に対して、通常1重量部以上、好ましくは10重量部以上であり、通常100重量部以下、好ましくは50重量部以下である。
ウレタン組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを含んでいてもよい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[ウレタン組成物の性状]
ウレタン組成物は、通常、流体状の組成物となっている。このウレタン組成物の粘度は、15mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることが特に好ましい。ウレタン組成物の粘度が前記範囲内にあると、基材フィルムの表面にウレタン組成物を均一に塗布することができる。ウレタン組成物の粘度の下限に特段の制限は無いが、好ましくは0.25mPa・s以上である。ここで、前記の粘度は、音叉型振動式粘度計により25℃の条件下で測定した値である。
ウレタン組成物の粘度は、例えば、ウレタン組成物における溶媒の割合及び粒子の粒径などによって調整できる。
[易滑層の製造方法]
易滑層は、前記のウレタン組成物の硬化物からなる層であることが好ましい。この易滑層は、通常、基材フィルム上に、接着剤の層等の他の層を介することなく、直接に設けられる。易滑層は、基材フィルムの片面にのみ設けてもよいし、両面に設けてもよい。ただし、易滑層を有するフィルムをロール状に巻回しやすいとの観点から、基材フィルムの片面にのみ易滑層を設けることが好ましい。易滑層は、基材フィルム上にウレタン組成物の膜を形成する工程と、このウレタン組成物の膜を硬化させる工程とを含む製造方法により、製造できる。
基材フィルム上にウレタン組成物の膜を形成する場合には、通常、塗布法を用いる。塗布法としては、公知の塗布法を採用しうる。具体的な塗布法としては、例えば、ワイヤーバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スライドコート法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
ウレタン組成物の膜を基材フィルム上に形成した後で、当該膜を形成するウレタン組成物を硬化させることにより、ウレタン組成物の硬化物からなる層として易滑層を得る。通常、ウレタン組成物は、溶媒を含むため、硬化させる際には溶媒を乾燥させて除去する。乾燥方法は任意であり、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥など任意の方法で行ってもよい。中でも、ウレタン組成物中において架橋反応等の反応を速やかに進行させる観点から、加熱乾燥によってウレタン組成物を硬化させることが好ましい。加熱乾燥を行なう場合、通常は、ポリウレタンの架橋反応が進行する。
加熱により樹脂を硬化させる場合、加熱温度は、溶媒を乾燥させてウレタン組成物中のポリマー成分を硬化させることができる範囲で適切に設定する。ただし、基材フィルムとして延伸フィルムを用い、且つ、当該基材フィルムに発現したレターデーションを変化させたくない場合には、加熱温度は、基材フィルムにおいて配向緩和が生じない温度に設定することが好ましい。具体的には、前記の加熱温度は、基材フィルムを形成する材料のガラス転移温度をTgとしたときに、好ましくは(Tg−30℃)以上、より好ましくは(Tg−10℃)以上であり、好ましくは(Tg+60℃)以下、より好ましくは(Tg+50℃)以下である。
また、ウレタン組成物の膜を基材フィルム上に形成する前に、基材フィルムの表面に改質処理を施し、基材フィルムと易滑層との密着性を向上させることが好ましい。基材フィルムに対する表面改質処理としては、例えば、エネルギー線照射処理及び薬品処理等が挙げられる。エネルギー線照射処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等が挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処理及びプラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が特に好ましい。また、薬品処理としては、例えば、ケン化処理、重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸等の酸化剤水溶液中に浸漬し、その後、水で洗浄する方法が挙げられる。
さらに、易滑層の表面には、親水化表面処理を施してもよい。易滑層の表面は、通常、光学フィルムを任意の部材と貼り合わせる際の貼り合せ面となるため、易滑層の表面の親水性を更に向上させることにより、光学フィルムと任意の部材との接着性を顕著に向上させることが可能である。
易滑層に対する親水化表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケン化処理、紫外線照射処理などが挙げられる。中でも、処理効率の点などからコロナ放電処理及びプラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理がより好ましい。また、プラズマ処理としては、大気圧プラズマ処理が好ましい。
[易滑層の厚み及び屈折率]
易滑層の厚みは、0.005μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましく、0.02μm以上が特に好ましく、また、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。易滑層の厚みが前記範囲内にあると、基材フィルムと易滑層との十分な接着強度が得られ、かつ、光学フィルムの反りなどの欠陥を無くすことができる。
光学フィルムが、基材フィルムと易滑層とを備える態様である場合、基材フィルムの厚みtと易滑層の厚みtとの比t/tは、0.0003以上が好ましく、0.0010以上がより好ましく、0.0025以上が特に好ましく、また、0.0100以下が好ましく、0.0080以下がより好ましく、0.0050以下が特に好ましい。これにより、光学フィルムの透明性を向上させることができる。ここで、光学フィルムが基材フィルム(樹脂層)を一層だけ備える場合には当該基材フィルム(樹脂層)の厚みが厚みtとなり、光学フィルムが基材フィルム(樹脂層)を二層以上備える場合にはそれらの基材フィルムの厚みの合計が厚みtとなる。また、光学フィルムが易滑層を一層だけ備える場合には当該易滑層の厚みが厚みtとなり、光学フィルムが易滑層を二層以上備える場合にはそれらの易滑層の厚みの合計が厚みtとなる。
光学フィルムが基材フィルムと易滑層とを備える態様である場合、基材フィルムと易滑層との界面屈折率差は、0.05以下であることが好ましい。界面屈折率差が前記範囲内にあると、光学フィルムを光が透過する際の光の損失を抑えることができる。界面屈折率差は、理想的には0としうる。
[その他の層]
光学フィルムは、基材フィルム(樹脂層)の易滑層とは反対側の表面に、任意の層を備えうる。任意の層の例を挙げると、反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、防眩層、防汚層、セパレーターフィルム等が挙げられる。
[4.フィルムロールの製造方法]
本実施形態のフィルムロールは、光学フィルムを調製する調製工程、及び調製した光学フィルムを巻き芯に巻き取る工程(巻取工程)を含む製造方法により製造しうる。
[4.1.光学フィルム調製工程]
光学フィルムの調製に際し、ナール部を付与する前のフィルムにナール部を付与する方法は、特に限定されず、ナール部形成のための既知の方法を採用しうる。かかる方法の例としては、レーザーを用いた凹凸構造(ナール)付与方法、及びエンボスロールを用いた凹凸構造付与方法が挙げられる。レーザーを用いた凹凸構造付与方法では、連続的に搬送されるフィルムの凹凸構造領域内の表面に、レーザーにより特定のパターンを描画する。それにより、フィルムの表面を部分的にレーザーで加熱し、かかる加熱によりフィルムの表面を変形させることができ、その結果、特定のパターンを有するナール部を形成しうる。エンボスロールを用いた凹凸構造付与方法では、周面に特定のパターンの凹凸構造を有するエンボスロールを用意し、連続的に搬送されるフィルムの凹凸構造領域内の表面に、当該エンボスロールの凹凸構造を転写し、それにより、特定のパターンを有するナール部を形成しうる。
本実施形態において、ナール部の付与は、光学フィルム100の長手方向の一端部から他端部(巻回方向の始端部から終端部)の全域に付与する。
[4.2.巻取工程]
本実施形態において、巻取工程は、巻き芯20及び(製造途中の)フィルムロールと接しないように配置したロール220を用いて、巻き芯20に光学フィルム100を巻き取る工程を含む。本実施形態では、図6に示す巻取装置200を用いて光学フィルム10の巻き取りを行う。
図6は巻取装置200を模式的に示した側面図である。巻取装置200は、長尺の光学フィルム100を巻き取って、フィルムロール10を得るための巻取装置である。巻取装置200は、巻き芯20と、巻き芯20用の回転駆動装置としての巻き芯モーター210と、ロール220と、ロール220用の位置調整装置としてのアーム230と、を備える。
ロール220は、巻き芯20及び製造途中のフィルムロール10に接しないようにアーム230によって位置を調整したものである。ロール220の位置は適宜調整可能であり、例えば巻き取り開始時や巻き取り終了時等のように、ロール220をタッチロールとして用いたい場合は、アーム230によって巻き芯20およびフィルムロール10に接する位置に調整しうる。
ロール220に供給された光学フィルム100は、ロール220に巻き掛けられる。このとき、ロール220は、自由に回転可能に設けられているので、巻き掛けられた光学フィルム100から与えられる摩擦力によって周方向に回転する。そして、このように回転するロール220によって、光学フィルム100は、巻き芯20へ案内される。ロール220には、必要に応じて、当該ロール220を回転させるための駆動力が与えられていてもよい。
巻き芯20は、巻き芯モーター210から与えられる駆動力により、周方向に回転している。そのため、ロール220に巻き掛けられた状態で巻き芯20へと案内された光学フィルム100は、ロール220から離れた後に、巻き芯20に巻き取られる。そして、巻き芯20に巻き取られた光学フィルム100により、フィルム積層部100Aを有するフィルムロール10が形成される。
巻取装置200においては、巻き芯20及び製造途中のフィルムロールと接しないように配置したロール220を用いているので、製造途中のフィルムロールの周面と光学フィルム100との間には空気が流入するようになっており、フィルム積層部100Aには、空気が含まれる。
巻取工程において、光学フィルム100を巻き芯20に巻き取る際の光学フィルム100の巻取張力は、好ましくは50N/m以上、より好ましくは70N/m以上、さらに好ましくは90N/m以上であり、好ましくは300N/m以下、より好ましくは200N/m以下、さらに好ましくは150N/m以下である。前記の巻取張力の単位「N/m」は、フィルムの幅1m当たりに加えられる力の大きさを表す。光学フィルム100の巻取張力を前記の範囲に収めることにより、フィルムロールにおける座屈や巻ずれ等の発生を効果的に抑制できる。光学フィルム100の巻取張力は、上記範囲において、製造途中のフィルムロール10の巻径に応じて値を任意に変化させてもよい。この場合、例えば、前記の巻取張力を、次第に小さくなるように変化させてもよく、次第に大きくなるように変化させてもよく、これらを組み合わせてもよい。
[5.本実施形態の作用・効果]
本実施形態のフィルムロールは、直径が200mm以上の巻き芯と、巻き芯に巻回された長尺の光学フィルムとを含む。本実施形態においては、巻き芯20の直径が、200mm以上であり、従来の光学フィルム用の巻き芯(直径が80mm〜170mm)よりも直径が大きい。本実施形態のフィルムロールは、従来の巻き芯よりも直径が大きい巻き芯20を含むので、巻き芯20の上に巻回されるフィルム積層部100Aの厚みR2を、従来の巻き芯の上に巻回した場合よりも小さくすることができる。巻き芯20に巻回される光学フィルム100の巻き長が長い場合でも、従来の巻き芯に巻回するよりも、本実施形態のフィルムロールが備える巻き芯に巻回したほうが、巻き芯の上に巻回されるフィルム積層部の厚みを小さくすることができる。
そして、巻き芯の上に巻回されるフィルム積層部の厚みを小さくすることにより、振動等に起因する擦り傷の発生を抑制することができ、巻き芯にかかる負荷も低減される。その結果、本実施形態によれば、光学フィルムの巻き長を長くした場合であっても、振動等に起因する擦り傷の発生を抑制することができる。
ナール部を含むフィルムを巻回したフィルムロールでは、ナール部を含まないフィルムを巻回したフィルムロールよりも振動等に起因する擦り傷が発生しやすいが、本実施形態によれば、フィルム積層部100Aの厚みR2を従来の巻き芯の上に巻回した場合よりも小さくすることができるので、ナール部を含むフィルムを巻回したフィルムロールにおいても、振動等に起因する擦り傷の発生を抑制しうる。
易滑層を備えるフィルムを巻回したフィルムロールでは、フィルムの滑りがよいため、振動等に起因する擦り傷が発生しやすいが、本実施形態によれば、フィルム積層部100Aの厚みR2を従来の巻き芯の上に巻回した場合よりも小さくすることができるので、易滑層を備えるフィルムを巻回したフィルムロールにおいても、振動等に起因する擦り傷の発生を抑制しうる。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、他の樹脂よりもやわらかいため、脂環式構造含有重合体を含む樹脂層を備えるフィルムを巻回したフィルムロールでは、振動等に起因する擦り傷が発生しやすいが、本実施形態によれば、フィルム積層部100Aの厚みR2を従来の巻き芯の上に巻回した場合よりも小さくすることができるので、脂環式構造含有重合体を含む樹脂層を備えるフィルムを巻回したフィルムロールにおいても、振動等に起因する擦り傷の発生を抑制しうる。
さらに、本実施形態によれば、巻き芯20が光学フィルムが巻回される巻回部21と、巻回部21の両端部に設けられ、巻回部21よりも直径が小さい小径部22とを含むので、小径部22の直径を、既存のフィルムロールの巻き芯の直径と同じ大きさにすることにより、既存の装置や設備を使用することが可能である。
[6.フィルムの用途]
本実施形態のフィルムロールは、フィルムロールの状態で保存、運搬、取引等のハンドリングを行うことができる。本発明のフィルムロールから巻き出した光学フィルムの用途としては、位相差フィルム、偏光板保護フィルム、光学補償フィルムなどが挙げられる。
以下、本発明に係る実施例を説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[評価方法]
[1.擦り傷の発生の有無]
[1−1.振動試験]
(1−1−1)ラック
振動試験の際に用いるラックについて簡単に説明する。図8は各例で製造したフィルムロールを積載した状態のラックの正面図であり、図9は当該ラックの側面図である。
ラック1は、スチール製であって、図8及び9に示すように、底部にあるパレット4と、パレット4から上方に向かって立設する一対の支持枠体3,3と、ラック1の側面上部において一対の支持枠体3,3を連結する連結ロッド5,5と、を備える。パレット4の上面と、一対の支持枠体3,3と、連結ロッド5,5とに囲まれる収容空間に、各例で製造したフィルムロール10が積載される。パレット4は、上記収容空間を含む中空の直方体をなしており、ラック1にかかる荷重をうける土台として機能する。図8及び図9における8はパレット4の底板である。
ラック1は図9に示すように、フィルムロール10の巻き芯11の端部を収容する円筒部材受け部2と、当該円筒部材受け部2を開閉する開閉部材7と、を備える。円筒部材受け部2に巻き芯11の端部を収容した後、開閉部材7を閉じて係止金具7Aを係止させることにより、巻き芯11の端部は、円筒部材受け部2において、押え部材9とゴム製部材9Aとにより保持され、移動が規制される。
ラック1は、当て板部6を有し、当て板部6はフィルムロール10の側面を支持する支持面を有する当て板6Aと、当て板6Aの支持面とは反対側の背面から垂直に立設するベースプレート6Bと、スレッドボルト(図示せず)のねじ山部と螺合するナット6Cとを備える。ベースプレート6Bに形成されているボルト穴にスレッドボルトを通した後、ナット6Cを螺合することで、当て板部80を開閉部材34に固定することができるようになっている。本評価試験においては、当て板6Aは、フィルムロール10の側面を挟持する部材として機能する。フィルムロール10を積載していないラック1単体の重量は100kgである。
(1−1−2)振動試験
(1−1−1)で説明したラックに、各例で製造したフィルムロールを積載し、市販のランダム試験機(IMV社製、商品名「EMK1252/H15」)を用いて、ランダム振動試験を行った。ランダム振動試験を行うに際し、当て板6Aをフィルムロール10の側面に当接するように配してベースプレート6Bを固定した。ランダム振動試験の条件としては、フィルムロールを積載したラックに加わる最大加速度Gaが3.0Gとなる条件を採用した。具体的には、ランダム振動試験では、X軸方向に1時間、Y軸方向に1時間、及びZ軸方向に1時間の合計3時間にわたって、パワースペクトル密度0.4G2/Hzで、加振した。ランダム振動試験の間に、フィルムロールの巻き芯に加わった最大加速度Gbを測定したところ、2.0Gであった。最大加速度Gbは、ラックに積載したフィルムロールの巻き芯11に装着した加速度センサ(スリック社製のグラビティ ショック レコーダ「G−MEN DR 20」を用いて測定した。
[1−2.解体検査]
振動試験を行った後のフィルムロールから100mごとに樹脂フィルムを巻きだして10m長さの樹脂フィルムをサンプリングし、当該サンプリングしたフィルムを暗室で高輝度ライトにて反射検査にて全面にわたって検査し、擦り傷の有無を観察し、以下の基準により評価を行った。
A:擦り傷の発生無し
B:擦り傷の発生有り
[2.フィルムの平均厚みの測定]
フィルムの平均厚みは、フィルムメトリクス社製の「F20−NIR」を用いて測定した。フィルムの幅方向の中央部、及び、フィルム幅方向の縁から30mmの位置で、フィルムの厚みを、流れ方向にそれぞれ10点測定した。フィルム幅方向の中央部における測定値の平均値を、当該フィルムのフィルム幅方向の中央部の厚みとした。また、フィルム幅方向の縁から30mmの位置における測定値の平均値を、当該フィルムのフィルム幅方向の端部の厚みとした。さらに、こうして測定されたフィルム幅方向の中央部の厚みとフィルム幅方向の端部の厚みとの平均値を計算し、この平均値を当該フィルムの厚みとした。
[調製例1:易滑層用のコート液Aの調製]
ポリエーテル系ポリウレタンの水分散体(第一工業製薬社製「スーパーフレックス(登録商標)870」)をポリウレタンの量で100部と、架橋剤としてエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「デナコールEX521」)20部と、不揮発性塩基としてアジピン酸ジヒドラジド5部と、滑材としてシリカ粒子の水分散液(日産化学社製「スノーテックスMP2040」;平均粒子径200nm)をシリカ粒子の量で5部及びシリカ粒子の水分散液(日産化学社製「スノーテックスZL」;平均粒子径80nm)をシリカ粒子の量で8部と、濡れ剤としてアセチレン系界面活性剤(エアープロダクツアンドケミカルズ社製「ダイノール604」)を(コート液中の)固形分量に対して1.0重量%と、水とを配合して、固形分濃度が2%の液状のコート液Aを得た。
[製造例1:光学フィルムの製造]
(1−1.押出し工程)
ノルボルネン重合体を含む熱可塑性樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR」、ガラス転移温度126℃)のペレットを、100℃で5時間乾燥した。このペレットを、押出し機及びTダイを用いた溶融押出法によってフィルム状に成形して、平均厚みが79μmの熱可塑性樹脂フィルムからなる延伸前フィルムを得た。
(1−2.縦延伸工程)
製造された延伸前フィルムを、そのまま流れ方向に連続して搬送して、調整ロール間でのフロート方式を用いた縦延伸機に供給した。この縦延伸機において、140℃の温度で延伸前フィルムをフィルム長手方向に1.2倍に延伸して、縦延伸フィルムを得た。
(1−3.コート液Aの塗布工程)
(1−2)で製造した縦延伸フィルムを、さらに流れ方向へ連続して搬送して、2本のロールを備えたリバースコーターに供給した。このリバースコーターにおいて、縦延伸フィルムの片面に、調整例1で調製したコート液Aを塗布した。この際、コート液Aの塗布量は、当該コート液を乾燥させた後で得られるコート層の厚みが、横延伸工程の後において50nmとなるように調整した。また、コート液Aの塗布量の調整は、リバースコーターのロール回転数を調整することによって行った。
(1−4.横延伸工程)
(1−3)でコート液Aを塗布した縦延伸フィルムを、さらに流れ方向に連続して搬送して、テンター法を用いた横延伸機に供給した。この横延伸機において、延伸が開始される前に縦延伸フィルムを加熱して、縦延伸フィルムに塗布されたコート液Aを乾燥させた。これにより、縦延伸フィルムの表面に、コート層(易滑層)が形成された。その後、この横延伸機において、140℃の温度で縦延伸フィルムをフィルム幅方向に1.4倍に延伸して、位相差フィルム(光学フィルムB)を得た。得られた位相差フィルムは、樹脂層(基材フィルム)及びコート層(易滑層)を備え、平均厚みが50μmであった。
(1−5.ナール部形成工程)
(1−4)で製造した位相差フィルム(光学フィルムB)に、レーザー光を照射して図7に示すナール部120を形成した。詳しくは、ナール部は、位相差フィルムの易滑層
側の面の、フィルム幅方向の端縁からの距離が11.5mmの領域であって、端縁から1mm〜2mm離隔した領域に形成した。ここで、ナール領域の幅寸法A1は9.5mm〜10.5mmである。レーザー光の照射装置としては、CO2レーザー光照射装置(パナソニックサンクス社製「LP−430U」、レーザー波長10.6μm)を用いた。また、レーザー光の照射出力は、出力90%とした。
図7は、本製造例で形成されたナール部120の平面形状を模式的に示した平面図である。図7においては、ナール部120の寸法を示すため、位相差フィルムの長手方向及び幅方向の座標を示す。この座標の数値の単位は、ミリメートルである。ナール部120の凸部の高さの平均値は10μmであった。
レーザー光の照射は、図7に示すナール部120の平面形状を描くように、移動速度2000mm/sでレーザー光照射点を移動させながら行った。図7に示すナール部120の平面形状において、一点鎖線で囲んで示す角部Aは、いずれも、角度90°であった。また、ナール部120の平面形状において、角部A以外の非直線部(図7において破線で囲んで示す非直線部)Xの角度は、135°であった。前記のレーザー光の照射により、処理前の位相差フィルムの易滑層側の面には、フィルム長尺方向に4.2mmピッチで並んで、線状の凸部によって形作られた図7に示す平面形状を有する複数のナール部120が形成された。これにより、コート層(易滑層)及び熱可塑性樹脂層を備え、且つ、易滑層側の面に線状の凸部からなるナール部120を有する長尺状の位相差フィルムを得た。この長尺状の位相差フィルムは、幅方向の両端部にそれぞれ図7に示す形状のナール部120が設けられた光学フィルムAであり、2つのナール領域の間の平坦部の表面の平均粗さSRaは10nmである。光学フィルムAの平均厚みは50μmである。
[巻き芯A〜D]
巻き芯A〜Cとして、それぞれ、図1及び図3に示す形状の巻き芯であって、光学フィルムが巻回される巻回部21と、巻回部21の両端部に設けられた小径部22とを含む態様のものを用いた。
巻き芯Aの巻回部の直径R1は220mmで、小径部の直径R0が170mmである。
巻き芯Bの巻回部の直径R1は300mmで、小径部の直径R0は170mmである。
巻き芯Cの巻回部の直径R1は380mmで、小径部の直径R0は170mmである。
巻き芯Dは、円筒状の巻き芯であり、その直径R1は170mmである。
[実施例1]
図6に示す巻取装置に、巻き芯Aをセットし、製造例1で得られた長尺状の光学フィルムAを7800m、巻回してフィルムロールを製造した。フィルムの巻き取りは、巻取張力150N/mで行った。
得られたフィルムロールについて評価試験を行った。得られたフィルムロールの直径R3(製品直径)は743mmであり、フィルム積層部の厚みR2(製品外表面から巻き芯までの長さ)は262mmであった。
[実施例2]
実施例1において、巻き芯Aに代えて巻き芯Bを用いたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、フィルムロールを製造した。得られたフィルムロールについて、評価試験を行った。得られたフィルムロールの直径R3は769mmであり、フィルム積層部の厚みR2は235mmであった。
[実施例3]
実施例1において、巻き芯Aに代えて巻き芯Cを用いたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、フィルムロールを製造した。得られたフィルムロールについて、評価試験を行った。得られたフィルムロールの直径R3は804mmであり、フィルム積層部の厚みR2は212mmであった。
[実施例4]
実施例1において、光学フィルムAに代えて光学フィルムBを用いたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、フィルムロールを製造した。得られたフィルムロールについて、評価試験を行った。得られたフィルムロールの直径R3は740mmであり、フィルム積層部の厚みR2は260mmであった。
[実施例5]
実施例1において、巻き芯Aに代えて巻き芯Bを用いたこと、光学フィルムAに代えて光学フィルムBを用いたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、フィルムロールを製造した。得られたフィルムロールについて、評価試験を行った。得られたフィルムロールの直径R3は766mmであり、フィルム積層部の厚みR2は233mmであった。
[実施例6]
実施例1において、巻き芯Aに代えて巻き芯Cを用いたこと、光学フィルムAに代えて光学フィルムBを用いたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、フィルムロールを製造した。得られたフィルムロールについて、評価試験を行った。得られたフィルムロールの直径R3は801mmであり、フィルム積層部の厚みR2は211mmであった。
[実施例7]
実施例1において、巻き芯Aに代えて巻き芯Cを用いたこと、光学フィルムAを7800m巻回したことに代えて、光学フィルムBを9600m巻回したこと以外は実施例1と同じ操作を行って、フィルムロールを製造した。得られたフィルムロールについて、評価試験を行った。得られたフィルムロールの直径R3は869mmであり、フィルム積層部の厚みR2は245mmであった。
[比較例1]
実施例1において、巻き芯Aに代えて巻き芯Dを用いたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、フィルムロールを製造した。得られたフィルムロールについて、評価試験を行った。得られたフィルムロールの直径R3は725mmであり、フィルム積層部の厚みR2は278mmであった。
実施例及び比較例の評価結果を、表1及び表2に示す。表には実施例および比較例における、R1、R2、R3、光学フィルムの平均厚み(表中、「平均厚み」と記載)、巻き芯に巻回した光学フィルムの長さ(表中、「巻き長」と記載)、ナール部の有無、樹脂層の材料(表中「樹脂層の材料」と記載)、及び評価結果(擦り傷)を併せて示す。表1及び表2において、「COP」は環状オレフィン重合体を意味する。
表1及び2の結果から、直径が200mm以上の巻き芯を備えるフィルムロールでは、擦り傷の発生を抑制することができるということがわかった。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような実施形態であってもよい。
(1)上記実施形態では、光学フィルムの巻回方向における始端から終端部までナール部120を設けた光学フィルム100を含むフィルムロールを示したが、これに限定されない。光学フィルムは、ナール部を含まないものであってもよいし、巻回方向における一部にナール部を含むものであってもよい。
(2)上記実施形態では、光学フィルムが巻回される巻回部と、巻回部よりも直径の小さい小径部とを含む巻き芯を示したが、これに限定されない。巻き芯は、小径部を含まない円筒状の巻き芯であってもよい。
(3)上記実施形態では4個のひし形が連結された形状単位を一つの単位とするナール部を、フィルム幅方向の端部から離隔した位置に設けた例を示したが、ナール部の形状及びナール部を設ける位置はこれに限定されない。
10…フィルムロール
20…巻き芯
20C…巻き芯の中心軸
21…巻回部
22…小径部
100…光学フィルム
100A…フィルム積層部
100U…光学フィルムの上面
100L…光学フィルムの下面
110…平坦部
120…ナール部
120L,120R…ナール領域
121…凸部
121T…凸部の頂部
122…凹部
122B…凹部の底部
200…巻取装置
210…巻き芯モーター
220…ロール
230…アーム
A1…ナール領域の幅寸法
H…凸部の高さ
R0…小径部の直径
R1…巻き芯の直径
R2…フィルム積層部の厚み
R3…フィルムロールの直径

Claims (5)

  1. 巻き芯と、前記巻き芯に巻回された長尺の光学フィルムと、を含むフィルムロールであって、
    前記巻き芯の直径が200mm以上である、フィルムロール。
  2. 前記光学フィルムは、ナール部を含む、請求項1に記載のフィルムロール。
  3. 前記光学フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルム上に設けられた易滑層と、を備える、請求項1または2に記載のフィルムロール。
  4. 前記光学フィルムは、樹脂層を備え、
    前記樹脂層は、脂環式構造含有重合体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムロール。
  5. 前記巻き芯は、前記光学フィルムが巻回される巻回部と、
    前記巻回部の両端部に設けられ、前記巻回部よりも直径が小さい小径部と、を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムロール。
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