JP2014186984A - 電池用包装材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、耐薬品性コーティング層、基材層、接着層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなる電池用包装材料において、当該耐薬品性コーティング層として、熱硬化性樹脂と、硬化促進剤とを含有する樹脂組成物を使用することによって、短時間で硬化可能で、しかも電解液等に対する耐性を付与できる耐薬品性コーティング層を形成できる。
【選択図】なし
Description
に関する。
項1. 少なくとも、耐薬品性コーティング層、基材層、接着層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、
前記耐薬品性コーティング層が、熱硬化性樹脂と、硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする、電池用包装材料。
項2. 前記熱硬化性樹脂が、多環芳香族骨格及び/又は複素環骨格を有する熱硬化性樹脂である、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記硬化促進剤が、アミジン化合物、カルボジイミド化合物、ケチミン化合物、ヒドラジン化合物、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、及び第3級アミン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記バリア層が金属箔である、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 耐薬品性コーティング層、基材層、接着層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなる電池用包装材料の製造方法であって、
接着層を介して基材層とバリア層を積層させて、基材層、接着層、バリア層が順に積層された積層体を形成する第1工程、及び
前記第1工程で得られた積層体のバリア層上に、シーラント層を積層させる第2工程を含み、
前記第1工程の前、前記第1工程後且つ第2工程前、又は前記第2工程の後に、前記基材層において前記接着層を積層させる面とは反対側の面に、熱硬化性樹脂と、硬化促進剤とを含有する樹脂組成物を塗布し、加熱して硬化させることにより、耐薬品性コーティング層を形成することを特徴とする、電池用包装材料の製造方法。
項6. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、耐薬品性コーティング層1、基材層2、接着層3、バリア層4、及びシーラント層5をこの順に有する積層体からなる積層構造を有する。即ち、本発明の電池用包装材料は、耐薬品性コーティング層1が最外層になり、シーラント層5が最内層になる。電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層5同士を接面させて熱溶着することにより電池素子が密封され、電池素子が封止される。
[耐薬品性コーティング層1]
本発明の電池用包装材料において、耐薬品性コーティング層1は基材層2の表面コーティング層として最外層を形成する層である。耐薬品性コーティング層1は、熱硬化性樹脂と、硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成される。このように耐薬品性コーティング層1を、特定組成の樹脂組成物を硬化させて形成することにより、電解液、酸、アルカリ、有機溶剤等の薬品に対して優れた耐性を備え、しかも製造時に高温条件でのエージングを要することなく短時間で硬化させてリードタイムを短縮化することが可能になる。
耐薬品性コーティング層1の形成に使用される樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する。熱硬化性樹脂は、加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成して硬化するものであればよい。耐薬品性コーティング層1の形成に使用される熱硬化性樹脂として、具体的には、エポキシ樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。
耐薬品性コーティング層1の形成に使用される樹脂組成物は、硬化促進剤を含有する。このように、熱硬化性樹脂と共に、硬化促進剤を共存させることにより、優れた耐薬品性を備えさせるだけでなく、製造時に高温条件でのエージングを要することなく短時間で耐薬品性コーティング層1を硬化させて、リードタイムを短縮することも可能になる。
耐薬品性コーティング層1の形成に使用される樹脂組成物には、前述する成分の他に、必要に応じて、マット化剤、スリップ剤、溶剤、エラストマー等の他の添加剤が含まれてもよい。
耐薬品性コーティング層1の厚さについては、例えば、1〜5μm、好ましくは2〜4μmが挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、基材層2は最外層を形成する層である。基材層2を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層2を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
接着層3は、基材層2とバリア層4との間に、これらの層を接着させるために設けられる層である。
本発明の電池用包装材料において、バリア層4は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。バリア層4の材質としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔;酸化珪素、アルミナ等の無機化合物を蒸着したフィルム等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは金属箔、更に好ましくはアルミニウム箔が挙げられる。電池用包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明においてバリア層4として、軟質アルミニウム箔、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)箔等を用いることが好ましい。
本発明の電池用包装材料において、接着層6は、バリア層4とシーラント層5を強固に接着させために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
[シーラント層5]
本発明の電池用包装材料において、シーラント層5は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される:
接着層3を介して基材層2とバリア層4を積層させて、基材層2、接着層3、バリア層4が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する第1工程、及び
前記第1工程で得られた積層体Aのバリア層4上に、シーラント層5を積層させる第2工程を含み、
前記第1工程の前、前記第1工程と第2工程の間、又は前記第2工程の後に、基材層2において接着層3を積層させる面とは反対側の面に耐薬品性コーティング層1の形成に使用される樹脂組成物を塗布し、加熱して硬化させる。
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
[電池用包装材料の製造]
二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)からなる基材層2の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)からなるバリア層4をドライラミネーション法により積層させた。具体的には、アルミニウム箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、バリア層4上に接着層2(厚さ4μm)を形成した。次いで、バリア層4上の接着層3と基材層2を加圧加熱貼合した後、40℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層2/接着層3/バリア層4の積層体を調製した。なお、バリア層4として使用したアルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。
硬化条件A:45℃で7日間
硬化条件B:170℃で60秒間
上記で得られた各電池用包装材料について、目視にてシワの発生の有無を確認し、電池用包装材料50枚当たり、シワが発生していた枚数の割合(熱ジワ不良率:%)を算出した。
上記で得られた各電池用包装材料の耐薬品性コーティング層上に、薬品(電解液、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、又はトルエン)を0.5ml滴下し、時計皿で被覆した。室温で3時間放置した後、薬品性コーティング層上の各薬品をガーゼで拭き取り、電池用包装材料の耐薬品性コーティング層表面の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:表面に痕跡が全く確認できなかった。
×:表面に白化、膨潤、剥離等の異常が確認された。
得られた結果を表2に示す。この結果から、耐薬品性コーティング層の形成に、熱硬化性樹脂と、硬化促進剤とを含有する樹脂組成物を使用することにより、短時間で硬化可能で、熱によるシワの発生を抑制でき、しかも、優れた耐薬品性を備えていることが確認された(実施例1〜5)。これに対して、耐薬品性コーティング層の形成に硬化促進剤を使用しなかった場合には、硬化時間を長く設定すると、優れた耐薬品性を備えるが、また加熱温度を高くして短時間で硬化させると、熱によるシワの発生を抑制できたが、耐薬品性が不十分であった(比較例1)。
なお、上記実施例及び比較例において、使用した熱硬化性樹脂の主剤や硬化剤、硬化促進剤は、同じ作用を持つ他の化合物に置換しても、同様の結果が得られることが確認できている。
2 基材層
3 接着層
4 バリア層
5 シーラント層
Claims (6)
- 少なくとも、耐薬品性コーティング層、基材層、接着層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、
前記耐薬品性コーティング層が、熱硬化性樹脂と、硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする、電池用包装材料。 - 前記熱硬化性樹脂が、多環芳香族骨格及び/又は複素環骨格を有する熱硬化性樹脂である、請求項1に記載の電池用包装材料。
- 前記硬化促進剤が、アミジン化合物、カルボジイミド化合物、ケチミン化合物、ヒドラジン化合物、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、及び第3級アミン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の電池用包装材料。
- 前記バリア層が金属箔である、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 耐薬品性コーティング層、基材層、接着層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなる電池用包装材料の製造方法であって、
接着層を介して基材層とバリア層を積層させて、基材層、接着層、バリア層が順に積層された積層体を形成する第1工程、及び
前記第1工程で得られた積層体のバリア層上に、シーラント層を積層させる第2工程を含み、
前記第1工程の前、前記第1工程後且つ第2工程前、又は前記第2工程の後に、前記基材層において前記接着層を積層させる面とは反対側の面に、熱硬化性樹脂と、硬化促進剤とを含有する樹脂組成物を塗布し、加熱して硬化させることにより、耐薬品性コーティング層を形成することを特徴とする、電池用包装材料の製造方法。 - 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
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