JP2009051100A - 積層体、およびその製造方法 - Google Patents

積層体、およびその製造方法 Download PDF

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健一 中西
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Abstract

【課題】熱硬化性樹脂と、ホットメルト性を有する熱可塑性樹脂とが強固に接着した積層体、およびその製造方法を実現する。
【解決手段】反応性官能基Aを有する熱硬化性樹脂からなる樹脂層と、反応性樹脂からなる接着層とからなる積層体であって、前記反応性樹脂は熱可塑性樹脂であり、かつ、前記反応性官能基A、または該反応性官能基Aが硬化する際に生成する生成官能基と化学的に反応する官能基Bを有することを特徴とする積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばテレビやパソコン等のディスプレイ表面などの保護用シートとして特に好適な積層体、およびその製造方法に関する。
基材の表面性能を向上させる方法として、従来、基材の表面を他の材質により表面改質したり、基材とエンジニアリングプラスチック(エンプラ)系材料とで多層積層体を形成させたりする試みがなされてきた。
また、ホットメルト性の樹脂(接着剤)を介して基材と該基材上に積層させたい他の材とを接着させた多層積層体も提案されている。ホットメルト性の接着剤は無溶剤型の接着剤であり、環境問題などの観点から近年、注目されている接着剤の一つである。
例えば、特許文献1には、エチレンとラジカル重合性酸無水物及びラジカル重合性酸無水物以外のラジカル重合性コモノマーからなる多元共重合体を有する感熱接着フィルム、および該感熱接着フィルムからなる接着層と基材層とを有する多層積層体が開示されている。
また、特許文献2には、ポリプロピレン樹脂を中間層とし、内層と外層がホットメルト樹脂層からなる3層以上の非通気性多層ホットメルトフィルムが開示されている。特許文献2によれば、ポリプロピレン樹脂を、ホットメルト樹脂を介して表皮材とポリウレタンからなる基材とに積層した多層積層体が得られる。
特開平8−217925号公報 特開平10−138418号公報
ところで、熱硬化性樹脂は、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、かつ安価であるため、基材の表面性能を向上させる材質として古くから使用されており、例えばテレビやパソコン等のディスプレイ表面(基材)などを保護するのに好適である。
しかしながら、このような熱硬化性樹脂は脆く、通常の接着剤を介して基材に貼合しても十分な接着強度が得られにくく、基材との密着性が不十分となり剥離しやすかった。特に、安価なポリオレフィン系樹脂からなる基材に、熱硬化性樹脂を強固に貼合させるのは困難であった。
また、特許文献1、2に記載されているようなホットメルト性の樹脂は、通常、熱可塑性樹脂であるため、熱硬化性樹脂に対しては接着性が不十分であった。そのため、ホットメルト性の樹脂を介して熱硬化性樹脂を基材に貼合しても、熱硬化性樹脂が基材から剥離しやすかった。
さらに、特許文献1、2に記載のフィルムは、自動車の内装材料を対象とし、基材と表皮材とを接着させるものであり、テレビやパソコン等のディスプレイ表面などの保護を目的とした、熱硬化性樹脂とホットメルト性の樹脂からなる積層体は報告されていない。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、熱硬化性樹脂と、ホットメルト性を有する熱可塑性樹脂とが強固に接着した積層体、およびその製造方法の実現を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ホットメルト性の樹脂として、熱硬化性樹脂に含まれる反応性官能基と化学的に反応する官能基を有する熱可塑性樹脂(反応性樹脂)を用い、かつ、反応性樹脂上に熱硬化性樹脂を塗布した後に該熱硬化性樹脂を硬化させて積層体とすることで、両者が化学的に反応して強固に接着することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の積層体は、反応性官能基Aを有する熱硬化性樹脂からなる樹脂層と、反応性樹脂からなる接着層とからなる積層体であって、前記反応性樹脂は熱可塑性樹脂であり、かつ、前記反応性官能基A、または該反応性官能基Aが硬化する際に生成する生成官能基と化学的に反応する官能基Bを有することを特徴とする。
ここで、前記反応性官能基Aがエポキシ基であることが好ましい。
また、前記反応性樹脂が、ポリオレフィン系重合体であることが好ましい。
さらに、前記官能基Bが、カルボン酸基、または酸無水物基であることが好ましい。
また、本発明の積層体の製造方法は、反応性樹脂上に、前記熱硬化性樹脂を含む塗布液を塗布した後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする。
ここで、前記反応性樹脂の融点以上の温度で前記熱硬化性樹脂を硬化させることが好ましい。
また、前記塗布液は、エポキシ樹脂100質量部と、該エポキシ樹脂100質量部に対して、20〜150質量部のエポキシ樹脂用硬化剤を含むことが好ましい。
さらに、前記エポキシ樹脂用硬化剤が、酸無水物基含有化合物であることが好ましい。
本発明によれば、熱硬化性樹脂と、ホットメルト性を有する熱可塑性樹脂とが強固に接着した積層体、およびその製造方法を実現できる。
また、本発明の積層体によれば、反応性樹脂を介して、高い接着強度を保持しつつ基材と熱硬化性樹脂とを貼合できる。
さらに、本発明の積層体は、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れる熱硬化性樹脂からなる樹脂層を有するので、特にテレビやパソコン等のディスプレイ表面などの保護用シートとして好適である。
また、本発明によれば、積層体中の反応性樹脂のホットメルト性を活かすことで、従来、貼合が困難であった基材(例えばポリオレフィン系樹脂からなる基材)に熱硬化性樹脂を容易に貼合させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、樹脂層と接着層とからなる。
(樹脂層)
樹脂層は、熱硬化性樹脂が硬化することで形成される。
本発明に用いられる熱硬化性樹脂は、反応性官能基Aを有する。反応性官能基Aとしては、エポキシ基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、ビニル基、イソシアネート基などが挙げられるが、中でも、接着性、および取り扱いやすさの点で、エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系エラストマーなどの三次元高分子を例示することができるが、これらの中でも反応性官能基Aとしてエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル化合物、多価カルボン酸のグリシジルエステル化合物、エポキシシクロヘキサン環を有する脂環式エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
積層体中において、樹脂層の厚さは、10〜1000μmが好ましく、50〜500μmがより好ましい。樹脂層の厚さが10μm未満であると、積層体になった際に、熱硬化性樹脂の性能が十分に発揮されにくくなる傾向にある。一方、樹脂層の厚さが1000μmを超えると、表面の平滑性を得るための成型加工が困難になる場合がある。
(接着層)
接着層は、反応性樹脂からなる。
本発明に用いられる反応性樹脂は、熱可塑性樹脂であり、前記反応性官能基A、または該反応性官能基Aが硬化する際に生成する生成官能基と、化学的に反応する官能基Bを有する。
官能基Bとしては、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、エポキシ基などが挙げられるが、中でも、基材との密着性、樹脂層との接着性、および取り扱いやすさの点で、カルボン酸基または酸無水物基が好ましい。また、官能基Bとしては、基材との密着性の点で、イオン化されたカルボン酸基であってもよい。
反応性樹脂としては、ポリオレフィン系重合体が好ましい。上述した官能基Bを有するポリオレフィン系重合体の具体例としては、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、エチレンと各種モノマーとのラジカル共重合体などが挙げられる。
ラジカル共重合体を構成する各種モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、反応性樹脂として、エチレンと上述した各種モノマーの共重合時に、(メタ)アクリル酸エステルやスチレンを共存させて共重合させた多元重合体:エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分鹸化物または完全鹸化物;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の部分イオン化物などを用いることもできる。
さらに、ポリオレフィン系重合体が、少なくとも上述した各種モノマーを構成成分とする場合、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレートなどの、不活性な官能基を有するモノマーからなる重合体(不活性重合体)をポリオレフィン系重合体と共に併用してもよい。不活性重合体が十分な相溶性を示す場合、反応性樹脂100質量%中、10〜90質量%の含有割合で不活性重合体を用いることも可能である。
また、反応性樹脂として、官能基Bを有さないポリオレフィン系重合体に、後変性により官能基Bを導入させた化合物を用いてもよい。官能基Bの導入割合は、化合物100質量%中、0.05〜25質量%が好ましい。
反応性樹脂の質量平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜1,000,000となるのが好ましい。反応性樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であれば、積層体を製造する際に反応性樹脂を容易に取り扱うことができる。
なお、反応性樹脂をシート状やフィルム状で用いる場合は、質量平均分子量が50,000〜400,000の反応性樹脂を用いるのが好ましい。
また、離型処理された基材を活用すれば、該基材上に塗布することで反応性樹脂を用いることができるので、このような場合は、質量平均分子量が10,000を超える程度のものであっても十分に使用することができる。
積層体中において、接着層の厚さは、積層体の使用目的により任意に設定できるが、例えば積層体をテレビやパソコン等のディスプレイ表面などの保護用シートとして用いる場合、5〜500μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。接着層の厚さが5μm未満であると、積層体になった際に、基材との接着性が不十分となる場合がある。一方、接着層の厚さが500μmを超えると、積層体を基材に貼合する際に、接着層が溶融するため積層体の平滑性を保つことが困難となる場合がある。
(積層体の製造方法)
上述した樹脂層と接着層とからなる積層体は、以下のようにして製造することができる。
まず、反応性樹脂(接着層)上に熱硬化性樹脂を含む塗布液を塗布する。その後、該熱硬化性樹脂を硬化させ、反応性樹脂上に樹脂層を形成させて積層体を製造する。
反応性樹脂としては、予めフィルム状やシート状に成型したものを用いるのが好ましい。反応性樹脂の成型方法は特に制限されず、公知の方法によってフィルム状やシート状に成型できる。
また、熱硬化性樹脂を含む塗布液の塗布方法についても特に制限されず、ロールコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法等、公知の方法を用いることができる。
上述したように、熱硬化性樹脂を含む塗布液を反応性樹脂上に塗布することで、反応性樹脂に熱硬化性樹脂を構成する成分が十分に含浸することになる。そして、熱硬化性樹脂の硬化時に、熱硬化性樹脂の反応性官能基Aまたは該反応性官能基Aが硬化する際に生成する生成官能基と、反応性樹脂の官能基Bとが化学的に反応し、熱硬化性樹脂と反応性樹脂とが強固に接着した積層体が得られる。
なお、熱硬化性樹脂は、仮硬化させた後に硬化温度を上昇させて本硬化させるといった、多段階的に硬化させるのが一般的であるが、前記反応性官能基Aまたは生成官能基と、前記官能基Bとは、仮硬化の段階から化学的に反応を開始する。
熱硬化性樹脂を硬化させる際は、反応性樹脂の特性(ホットメルト性)を考慮し、反応性樹脂の融点以上の温度にて熱硬化性樹脂を硬化させる。反応性樹脂が溶融することで、反応性樹脂と熱硬化性樹脂とがより強固に接着した積層体が得られる。また、熱硬化性樹脂を反応性樹脂の融点以上の温度で硬化することにより、反応性樹脂界面と熱硬化性樹脂界面とが一部相溶することにより、熱硬化性樹脂に柔軟性を付与できるため、熱硬化性樹脂の脆さをも改善できる。
ただし、熱硬化性樹脂の仮硬化の段階において、反応性樹脂の融点以上の温度で仮硬化を行うと、仮硬化の段階から(すなわち、反応性官能基Aと官能基Bとが化学的に反応するのと同時に)反応性樹脂が溶融し始めるため、硬化中の熱硬化性樹脂中に溶融した反応性樹脂が混入し、熱硬化性樹脂と反応性樹脂との積層状態が不完全な積層体が得られる可能性がある。
従って、本発明では、仮硬化時は反応性樹脂の融点より低い温度で仮硬化させ、本硬化時に、反応性樹脂の融点以上の温度に昇温して本硬化させるのが特に好ましい。
また、積層体を製造する際には、熱硬化性樹脂を含む塗布液に硬化剤を配合させて、未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる。特に、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化剤としてエポキシ樹脂用硬化剤を用いるのが好ましい。
エポキシ樹脂用硬化剤としては、酸無水物基含有化合物、フェノール化合物、アミノ基含有化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
酸無水物基含有化合物の具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ドデセニル無水コハク酸、脂肪族二塩基酸無水物などが挙げられる。これらの酸無水物基含有化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール化合物の具体例としては、2,6−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[別名:ビスフェノールA]、2−(3−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[別名:ビスフェノールF]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン[別名:ビスフェノールS]、フェノール樹脂類(具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン共重合体樹脂等)などが挙げられる。これらのフェノール化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミノ基含有化合物の具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。これらのアミノ基含有化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イミダゾール系化合物の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物などが挙げられる。これらのイミダゾール系化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂用硬化剤の中でも、上述した反応性樹脂の融点以上の温度領域において、硬化温度を低く設定できる点で、酸無水物基含有化合物が好ましく、特に、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物等の脂環式酸無水物が耐光性の点で好ましい。
エポキシ樹脂用硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して20〜150質量部が好ましく、50〜120質量部がより好ましい。ポキシ樹脂用硬化剤の配合量が20質量部未満であると、反応性樹脂と熱硬化性樹脂との密着性が低下する場合がある。一方、エポキシ樹脂用硬化剤の配合量が150質量部を超えると、硬化不良となる場合がある。
本発明においては、熱硬化性樹脂を含む塗布液に硬化促進剤をさらに配合してもよい。硬化促進剤を配合することにより、硬化反応が円滑に促進する。
本発明に用いられる硬化促進剤としては、3級アミン系化合物、ホスフィン系化合物、オニウム塩、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物の具体例としては、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などが挙げられる。これらの3級アミン系化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ホスフィン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどが挙げられる。これらのホスフィン系化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オニウム塩の具体例としては、4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩などが挙げられ、4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。一方、4級ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。これらのオニウム塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イミダゾール系化合物としては、エポキシ樹脂用硬化剤の説明において先に例示したイミダゾール系化合物の中から、1種以上を選択して用いることができる。
硬化促進剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましい。硬化促進剤の配合量が0.1質量部未満であると、硬化促進の効果が得られにくくなる場合がある。一方、硬化促進剤の配合量が5質量部を超えると、熱硬化性樹脂を含む塗布液の安定性が低下することがある。
このようにして得られる本発明の積層体は、熱硬化性樹脂の反応性官能基Aまたは生成官能基と、反応性樹脂の官能基Bとが化学的に反応することで、通常、接着が困難であるところの熱硬化性樹脂と反応性樹脂(熱可塑性樹脂)とが強固に接着した積層体が得られる。
本発明の積層体は、接着層を構成する反応性樹脂の特性(ホットメルト性)により、基材上に接着できる。
基材としては、その材質は特に制限されず、例えば金属、ナイロン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、木材、紙、布等、様々な材質の基材を用いることができる。
従って、本発明によれば、反応性樹脂(接着層)を介して熱硬化性樹脂(樹脂層)と基材とを容易に貼合できる。特に、積層体の製造時に、反応性樹脂をシート状、フィルム状に成型しておけば、接着層上の樹脂層の形状もシート状、フィルム状になりやすいので、積層体をテレビやパソコン等のディスプレイ表面などの保護シートとして用いる場合に好適である。
また、従来、熱硬化性樹脂を貼合させることが困難であった、ポリオレフィン系樹脂からなる基材であっても、本発明によれば、熱硬化性樹脂を容易に、かつ強固に貼合させることができる。
さらに、本発明の積層体は、熱硬化性樹脂を反応性樹脂の融点以上の温度で硬化させて製造されるので、熱硬化性樹脂の脆さをも改善できる。従って、本発明によれば、熱硬化性樹脂を、反応性樹脂を介して十分な接着強度で基材に貼合でき、熱硬化性樹脂と基材との密着性を向上させるので、基材上の熱硬化性樹脂は剥離しにくくなる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中「部」とは「質量部」を示す。
各測定方法を以下に示す。
<接着性試験;接着強度および剥離状態>
積層体を基材(厚さ100μmのアルミニウム箔、または上質紙)に接着させて、その接着性を試験した。
まず、積層体の接着層(反応性樹脂面)を基材上に接触させ、170℃に設定した熱プレスで面圧2.5Kg/cm、30秒の条件で圧着した。接着後、23℃、相対湿度50%で24時間放置した後、25mm幅の試験片に切断した。
先の試験片を、引っ張り試験機((株)オリエンテック製、「UCT−1T」)にセットし、180度剥離試験(剥離速度:200mm/分、試験温度:25℃)を実施し、試験片の接着強度を求めた。また、180度剥離試験後の反応性樹脂(接着層)と熱硬化性樹脂(樹脂層)間の剥離状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
基材がアルミニウム箔の場合;
◎:反応性樹脂と熱硬化性樹脂間の界面剥離が0%。
○:反応性樹脂と熱硬化性樹脂間の界面剥離が0%超、20%未満。
△:反応性樹脂と熱硬化性樹脂間の界面剥離が20%以上、50%未満。
×:反応性樹脂と熱硬化性樹脂間の界面剥離が50%以上。
基材が上質紙の場合;
○:基材の破壊割合が90%以上、かつ、反応性樹脂と熱硬化性樹脂間の界面剥離が10%未満。
△:反応性樹脂と熱硬化性樹脂間の界面剥離が10%以上、50%未満。
×:反応性樹脂と熱硬化性樹脂間の界面剥離が50%以上。
<メルトフローレート(MFR)の測定>
日本工業規格JIS K 7210Aに準拠し、210℃、5kgの荷重にて、直径2mm、長さ8mmのノズルから1分間に吐出される樹脂量から、MFRを測定した。
以下、各実施例で用いた反応性樹脂を示す。
反応性樹脂1:無水マレイン酸グラフトエチレン系ランダムポリプロピレン(グラフト量:0.2質量%、MFR:3.5g/分、Tmp:148℃)。
反応性樹脂2:無水マレイン酸グラフトポリエチレン(グラフト量:0.1質量%、MFR:2.8g/分、Tmp:125℃)。
反応性樹脂3:エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸:8質量%、MFR:15g/分、Tmp:98℃)。
反応性樹脂4:エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸重合体(無水マレイン酸:2質量%、アクリル酸メチル:15質量%、MFR:20g/分、Tmp:85℃)。
<実施例1>
厚さ50μmのフィルム状に成型した反応性樹脂1を、離型処理したPETフィルム(厚さ100μm)上に密着させた。次に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、「エピコート828」)100部、ヘキサヒドロ無水フタル酸70部、硬化促進剤(日本化学工業(株)製、「PX−4ET」)4部を混合した塗布液を、厚さが100μmになるように、反応性樹脂1上に塗布し、100℃×1時間、さらに150℃×1時間、加熱硬化させた。室温まで冷却した後、PETフィルムを剥離し積層体を得た。
得られた積層体を用いて接着性試験を実施した。結果を表1に示す。
<実施例2>
反応性樹脂1の代わりに反応性樹脂2を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、接着性試験を実施した。結果を表1に示す。
<実施例3>
反応性樹脂1の代わりに反応性樹脂3を用い、加熱硬化時間を「100℃×1時間、さらに150℃×1時間」から「80℃×2時間、さらに150℃×1時間」に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、接着性試験を実施した。結果を表1に示す。
<実施例4>
反応性樹脂1の代わりに反応性樹脂4を用い、加熱硬化時間を「100℃×1時間、さらに150℃×1時間」から「80℃×2時間、さらに150℃×1時間」に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、接着性試験を実施した。結果を表1に示す。
<実施例5>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂100部と、1,2−ジメチルイミダゾール(四国化成(株)製、「1,2DMZ」)10部を混合した塗布液を、厚さが100μmになるように、反応性樹脂1上に塗布し、100℃×1時間、さらに150℃×30分、加熱硬化させた以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、接着性試験を実施した。結果を表1に示す。
<比較例1>
反応性樹脂1の代わりに、厚さ50μmのフィルム状に成型したポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、接着性試験を実施した。結果を表1に示す。
<比較例2>
反応性樹脂1の代わりに、厚さ50μmのフィルム状に成型したエチレン−アクリル酸メチル共重合体(アクリル酸メチル:15質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、接着性試験を実施した。結果を表1に示す。
<比較例3>
加熱硬化条件を「100℃×1時間、さらに150℃×1時間」から「80℃×6時間」に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、接着性試験を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2009051100
表1から明らかなように、実施例で得られた積層体は、熱硬化性樹脂と反応性樹脂とが強固に接着し、基材に対して高い接着強度を示した。特に、エポキシ樹脂に対するエポキシ樹脂用硬化剤の配合量が適量な塗布液を用いた実施例1〜4は、接着強度が高く、剥離状態が特に良好であった。
一方、比較例で得られた積層体は、実施例に比べて熱硬化性樹脂と反応性樹脂との接着性が弱く、基材に対する接着強度も劣っていた。
本発明の積層体は、熱硬化性樹脂の脆さを改良することができ、従来にない薄さのシートを提供することができる。また、積層体中の反応性樹脂のホットメルト性により、金属、ナイロン、PET、木材、紙、布等の基材の上に容易に熱硬化性樹脂シート、フィルムを貼合することができる。
このような積層体は、テレビやパソコン等のディスプレイ表面などの保護用シートに好適である。

Claims (8)

  1. 反応性官能基Aを有する熱硬化性樹脂からなる樹脂層と、反応性樹脂からなる接着層とからなる積層体であって、
    前記反応性樹脂は熱可塑性樹脂であり、かつ、前記反応性官能基A、または該反応性官能基Aが硬化する際に生成する生成官能基と化学的に反応する官能基Bを有することを特徴とする積層体。
  2. 前記反応性官能基Aがエポキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記反応性樹脂が、ポリオレフィン系重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記官能基Bが、カルボン酸基、または酸無水物基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
    反応性樹脂上に、前記熱硬化性樹脂を含む塗布液を塗布した後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 前記反応性樹脂の融点以上の温度で前記熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記塗布液は、エポキシ樹脂100質量部と、該エポキシ樹脂100質量部に対して、20〜150質量部のエポキシ樹脂用硬化剤を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記エポキシ樹脂用硬化剤が、酸無水物基含有化合物であることを特徴とする請求項7に記載の積層体の製造方法。
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