JP2014181811A - すべり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】フリクション低減効果を得ることができ、総和の流出油量を抑えることができるすべり軸受を提供する。
【解決手段】円筒を軸方向と平行に二分割した半割部材2・2を上下に配置したすべり軸受1であって前記下側の半割部材2の軸方向端部に、円周方向に細溝3を設け、細溝3の回転方向下流側端部は、回転方向下流側合わせ面に近接しており、前記回転方向下流側端部と回転方向下流側合わせ面とは連通しない位置に設定し、細溝3の回転方向上流側端部は、回転方向下流側端部よりも上流側であって、回転方向下流側合わせ面から回転方向上流側へ90度以下の角度で回転させた位置に設定したものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、すべり軸受の技術に関し、円筒を軸方向と平行に二分割した半割部材を上下に配置したすべり軸受の技術に関する。
従来、エンジンのクランクシャフトを軸支するための軸受であって、円筒形状を二分割した二つの部材を合わせる半割れ構造のすべり軸受が公知となっている。また、前記軸受の摺動面積を減らし、フリクション低減効果を得るために、前記軸受の幅を狭くする構造がある。しかし、軸受の幅を狭くすると、流出油量が増加していた。そこで、前記軸受の軸方向両端部に、全周に逃げ部分(細溝)を形成した軸受が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
特表2003−532036号公報
しかし、従来の全周に細溝を形成した軸受では、摺動面積減少により、負荷容量が低下し、良好な潤滑に必要な油膜厚さを確保することができず、且つ、総和の流出油量が多かった。
そこで、本発明は係る課題に鑑み、フリクション低減効果を得ることができ、総和の流出油量を抑えることができる軸受を提供する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、円筒を軸方向と平行に二分割した半割部材を上下に配置したすべり軸受であって前記下側の半割部材の軸方向端部に、円周方向に細溝を設け、
前記細溝の回転方向下流側端部は、回転方向下流側合わせ面に近接しており、前記回転方向下流側端部と回転方向下流側合わせ面とは連通しない位置に設定し、
前記細溝の回転方向上流側端部は、回転方向下流側端部よりも上流側であって、回転方向下流側合わせ面から回転方向上流側へ90度以下の角度で回転させた位置に設定したものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、油膜圧力の発生を妨げない程度の細溝を設けることで、摺動面積を減らしつつ、フリクション低減効果を得ることができ、かつ、総和の流出油量を抑えることができる。
また、細溝の回転方向下流側端部と合わせ面とが連通していないため、細溝加工時にバリが発生せず、加工が容易となる。また、細溝の回転方向下流側端部と合わせ面とが連通していないため、合わせ面付近の油膜圧力の低下が軽減されるため、下側の半割部材の上流側合わせ面と下流側合わせ面とを逆に組み付けた場合であっても最低限の油膜圧力を保持することができる。
本発明の実施形態に係るすべり軸受を示す正面図。 (a)本発明の実施形態に係るすべり軸受を構成する半割部材を示す平面図。(b)同じくA−A線断面図。(c)同じくB−B線断面図。 (a)本発明の実施形態に係る細溝を設けたすべり軸受の油膜圧力の勾配を示す三次元グラフ図(計算値)。(b)細溝を設けないすべり軸受の油膜圧力の勾配を示す三次元グラフ図(計算値)。(c)比較例に係る細溝を設けたすべり軸受の油膜圧力の勾配を示す三次元グラフ図(計算値)。 (a)下流側合わせ面と連通した細溝を有する半割部材を示す平面図。(b)同じくC−C線断面図。(c)同じくD−D線断面図。 下側の半割部材を逆に組み付けた場合のすべり軸受を示す正面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。なお、図1はすべり軸受1の正面図であり、画面の上下を上下方向、画面の手前方向及び奥方向を軸方向(前後方向)とする。
まず、第一の実施形態に係るすべり軸受1を構成する半割部材2について図1及び図2を用いて説明する。
すべり軸受1は円筒状の部材であり、図1に示すように、エンジンのクランクシャフト11のすべり軸受構造に適用される。すべり軸受1は、二つの半割部材2・2で構成されている。二つの半割部材2・2は、円筒を軸方向と平行に二分割した形状であり、断面が半円状となるように形成されている。本実施形態においては、半割部材2・2は上下に配置されており、左右に合わせ面が配置されている。クランクシャフト11をすべり軸受1で軸支する場合、所定の隙間が形成され、この隙間に対し図示せぬ油路から潤滑油が供給される。
図2(a)においては、上側および下側の半割部材2を示している。なお、本実施形態においては、クランクシャフト11の回転方向を図1の矢印に示すように正面視時計回り方向とする。また、軸受角度ωは、図2(b)における右端の位置を0度とし、図2(b)において、反時計回り方向を正とする。すなわち、図2(b)において、左端の位置の軸受角度ωが180度となり、下端の位置の軸受角度ωが270度となるように定義する。
上側の半割部材2の内周には円周方向に溝が設けられており、中心に円形の孔が設けられている。また、上側の半割部材2の左右に合わせ面が配置されている。
下側の半割部材2の内周の摺動面において、その軸方向の端部に細溝3が形成されている。
細溝3は下側の半割部材2に設けられる。本実施形態においては、細溝3は軸方向に並列して二本設けられている。細溝3の回転方向下流側端部は、クランクシャフト11の回転方向下流側合わせ面に近接しており、回転方向下流側端部と回転方向下流側合わせ面とは連通することなく設けられている。
詳細には、細溝3の回転方向下流側端部が、クランクシャフト11の回転方向下流側合わせ面がある180度よりも大きい軸受角度ω0に配置されている。すなわち、細溝3は、クランクシャフト11の回転方向下流側合わせ面(軸受角度ωが180度)よりも大きい軸受角度ωから軸受角度ωが正となる方向(反時計回り方向)に向けて円周方向に設けられる。
下側の半割部材2においては、図2(b)の右側の合わせ面が回転方向上流側合わせ面、図2(b)の左側の合わせ面が回転方向下流側合わせ面となる。
細溝3の長さlは、回転方向下流側端部(軸受角度がω0)から回転方向上流側端部(軸受角度がω1)までの長さに形成したものである。なお、軸受角度ω1は、ω0よりも大きく270度以下である。より詳細には、軸受角度ω1は、通常225度よりも大きく270度以下である領域に存在する。
細溝3は、図2(c)に示すように、軸受厚さDよりも浅い深さdとなるように形成されている。また、細溝3の幅はwとなるように形成されている。
細溝3は、半割部材2の内側面に切削加工を施すことにより設けられる。この際、回転方向下流側端部と下流側合わせ面とが連通しないことにより、バリが発生しない。すなわち、回転方向下流側端部と下流側合わせ面とが連通するように細溝3を設けた場合には、細溝3の回転方向下流側端部付近に切削加工の際に発生するバリが固着することがあり、バリ取り加工が必要となるが、回転方向下流側端部と下流側合わせ面とが連通しないことにより、バリが発生しないため、バリ取り加工を省くことが可能となる。
次に、細溝3を設けたすべり軸受1の油膜圧力の勾配について図3を用いて説明する。
半割部材2の軸方向端部に細溝3を設けたことにより、図3(a)に示すように、半割部材2の軸方向端部における圧力勾配を変化させることができる。すなわち、図3(b)に示す細溝3がない場合と比べて、細溝3において軸受端部から中央部へ向かって下降する圧力勾配の増加に伴って、油の吸い戻し量が増加し、総和の流出油量が抑制される。
また、本実施形態の比較対象となるすべり軸受101を図4に示す。
図4の(a)から(c)に示すように、比較対象となるすべり軸受101は、二つの半割部材102・102で構成されている。ここで、上側の半割部材102は本実施形態に係る半割部材2と同様の構成であるので説明を省略する。
図4(a)および図4(b)に示すように、下側の半割部材102の内周の摺動面において、その軸方向の端部に細溝103が形成されている。
細溝103の回転方向下流側端部は、図4(b)に示すように、クランクシャフト11の回転方向下流側合わせ面と連通するように設けられている。
このように構成した比較対象となるすべり軸受101の油膜圧力の勾配を図3(c)に示す。
図3(a)及び図3(c)を比較すると、比較対象となるすべり軸受101の油膜圧力の勾配と比べて、本実施形態に係るすべり軸受1の方が、下流側合わせ面付近の油膜圧力が高くなっている。
このため、図5に示すように、上側の半割部材2に対して、下側の半割部材2の上流側及び下流側の合わせ面を逆に組み付けた場合であっても、油膜圧力を最低限保持することができ、すべり軸受1の良好な潤滑に必要な油膜厚さを保持することができる。
以上のように、円筒を軸方向と平行に二分割した半割部材2・2を上下に配置したすべり軸受1であって前記下側の半割部材2の軸方向端部に、円周方向に細溝3を設け、細溝3の回転方向下流側端部は、回転方向下流側合わせ面に近接しており、前記回転方向下流側端部と回転方向下流側合わせ面とは連通しない位置に設定し、細溝3の回転方向上流側端部は、回転方向下流側端部よりも上流側であって、回転方向下流側合わせ面から回転方向上流側へ90度以下の角度で回転させた位置に設定したものである。
ここで、回転方向下流側合わせ面における軸受角度ωが180°であるから、回転方向上流側端部の軸受角度ω1は、180°<ω0<ω1≦270°となるように構成されている。
このように構成することにより、油膜圧力の発生を妨げない程度の細溝を設けることで、摺動面積を減らしつつ、フリクション低減効果を得ることができ、かつ、総和の流出油量を抑えることができる。
また、細溝3の回転方向下流側端部と合わせ面とが連通していないため、細溝3加工時にバリが発生せず、加工が容易となる。また、細溝3の回転方向下流側端部と合わせ面とが連通していないため、合わせ面付近の油膜圧力の低下が軽減されるため、下側の半割部材2の上流側合わせ面と下流側合わせ面とを逆に組み付けた場合であっても最低限の油膜圧力を保持することができる。
1 すべり軸受
2 半割部材
3 細溝
11 クランクシャフト

Claims (1)

  1. 円筒を軸方向と平行に二分割した半割部材を上下に配置したすべり軸受であって前記下側の半割部材の軸方向端部に、円周方向に細溝を設け、
    前記細溝の回転方向下流側端部は、回転方向下流側合わせ面に近接しており、前記回転方向下流側端部と回転方向下流側合わせ面とは連通しない位置に設定し、
    前記細溝の回転方向上流側端部は、回転方向下流側端部よりも上流側であって、回転方向下流側合わせ面から回転方向上流側へ90度以下の角度で回転させた位置に設定した、
    ことを特徴とするすべり軸受。
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