JP2014179374A - 太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】日陰ができても変換効率が低下しにくい、良好なダイオード特性を有するバイパスダイオード一体型の太陽電池を提供することを課題とする。
【解決手段】基板、太陽電池素子、バイパスダイオードとを有する太陽電池であって、前記太陽電池素子は下部電極層と、活性層と、上部電極層とが順に積層され、前記バイパスダイオードは第1の電極層と、有機半導体層と、第2の電極層とが順に積層されたショットキーバリアダイオードであり、前記有機半導体層のX線回折の最大ピークにより算出される半値幅が0.51度以上1.00度以下である太陽電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池に関する。さらに詳しくは太陽電池素子とバイパスダイオードを有する太陽電池に関する。
一般的に太陽電池は複数の太陽電池素子を直列に接続して構成される。しかしながら、このような太陽電池は一部の太陽電池素子が日陰になると、日陰になった太陽電池素子には直列に接続された他の太陽電池素子で発生した電圧が逆バイアスとして印加されてしまい、太陽電池全体の光電変換効率が低下してしまう。また、印加される逆バイアスにより、日陰となった太陽電池素子が破壊される場合もある。このような問題を解決するために、特許文献1及び特許文献2にはバイパスダイオード一体型の太陽電池が提案されている。
特開2005−268719号公報 特表2009−507379号公報
特許文献1には、バイパスダイオードにシリコン材料を用いたショットキーダイオードを用いることが提案されている。しかしながら、そのようなバイパスダイオードを太陽電池に用いると、太陽電池に日陰ができていない場合に、バイパスダイオードの逆バイアスリーク電流が大きくなる傾向があるために、太陽電池素子で発電した電力の一部を打ち消してしまい、その結果、太陽電池の変換効率が低下してしまうことがある。また、ダイオード特性を持たせるために、不純物のドーピングプロセスが必要になるために製造工程が複雑化してしまう。そのため、有機半導体化合物を用いたバイパスダイオードが望ましいと考えられるが、本発明者らの検討によると、使用する有機半導体化合物によっては、優れたダイオード特性を得ることができず、また、耐久性の低いバイパスダイオードとなってしまう可能性があることが判明した。
また、特許文献2には、太陽電池素子の正孔阻止層及び有機化合物材料を含む正孔キャリア層を含むpn接合型のバイパスダイオードが記載されている。しかしながら、正孔阻止層及び正孔キャリア層は移動度が低いために、オン電流の低いダイオードになってしまいバイパスダイオードとして使用するにはその特性が不十分である。また、特許文献2には、バイパスダイオードに、正孔阻止層及び正孔キャリア層との間に太陽電池素子の光活性層が配置された構造を有するpin接合型のダイオードを用いることも提案されているが、この構造の場合、整流性は向上するものの製造プロセスが複雑化してしまう。また、バイパスダイオードに光が当たると、バイパスダイオード自体の発電量が大きくなり、太陽電池で発生した電力を打ち消してしまい、太陽電池の変換効率が低下してしまう。また、この問題を避けるために、バイパスダイオードを遮光して、バイパスダイオードの発電を防ぐことも考えられるが、遮光により太陽電池の開口率が低下してしまう。
そこで、本発明は上記のような問題を解決し、日陰ができても変換効率が低下しにくい良好なダイオード特性を有するバイパスダイオード一体型の太陽電池を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、バイパスダイオードに特定の有機半導体化合物を用いたショットキーダイオードを用いることによって、本発明を達成するに至った。すなわち本発明は、以下を要旨とする。
[1]基板と、太陽電池素子と、バイパスダイオードとを有する太陽電池であって、前記太陽電池素子は下部電極層と、活性層と、上部電極層とが順に積層され、前記バイパスダイオードは第1の電極層と、有機半導体層と、第2の電極層とが順に積層されたショットキーバリアダイオードであり、前記有機半導体層のX線回折の最大ピークにより算出される半値幅が0.51度以上1.00度以下である太陽電池。
[2]前記基板と、前記太陽電池素子と、前記バイパスダイオードとが順に積層され、前記基板及び前記下部電極層の可視光波長領域における平均光透過率は各々30%以上であり、前記上部電極層及び前記第1の電極層のうち少なくとも一方の可視光波長領域における平均光透過率が30%未満である[1]に記載の太陽電池。
[3]前記基板と、前記バイパスダイオードと、前記太陽電池素子とが順に積層され、前記上部電極層の可視光波長領域における平均光透過率が30%以上であり、前記下部電極層及び前記第2の電極層のうち少なくとも一方の可視光波長領域における平均光透過率が30%未満である[1]に記載の太陽電池。
[4]前記基板と、前記太陽電池素子と、前記バイパスダイオードとが順に積層され、前記基板から前記第2の電極層までの可視光波長領域における平均光透過率が30%以上である[1]に記載の太陽電池。
[5]前記基板と、前記バイパスダイオードと、前記太陽電池素子とが順に積層され、前記基板から前記上部電極層までの可視光波長領域における平均光透過率が30%以上である[1]に記載の太陽電池。
本発明によれば、日陰ができても変換効率が低下しにくい、バイパスダイオード一体型の太陽電池を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る太陽電池の模式図である。 本発明の実施の形態に係る太陽電池の回路図である。 本発明の実施の形態に係る太陽電池の模式図である。 本発明の実施の形態に係る太陽電池の模式図である。 本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法のフローチャートである。 本発明に係る太陽電池の模式図である。 本発明に係る太陽電池の模式図である。
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその態様及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分、又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
図1は本発明の実施の形態に係るバイパスダイオードと太陽電池素子を有する太陽電池の模式図であり、図2はその回路図である。図1に示されるように、本発明の実施の形態に係る太陽電池は、少なくとも、基板21と、太陽電池素子28と、バイパスダイオード29とを有し、該太陽電池素子28は、下部電極層22と、活性層23と、上部電極層24とが順に積層され、該バイパスダイオード29は、第1の電極層25と、有機半導体層26と、第2の電極層27とが順に積層されたものである。また、図2に示すように各太
陽電池素子28は、各バイパスダイオード29と並列に接続される。なお、本発明に係る太陽電池が有する太陽電池素子28及びバイパスダイオード29の数は、これに限定されるわけではなく、その数は任意である。
<1.基板21>
基板21は太陽電池素子28、及びバイパスダイオード29の支持体となるものであり、基板21の材料(基板材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
基板21に用いることのできる好適な材料としては、石英、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。これらの中でも、ガラス;ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の合成樹脂、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料等が好ましい。なお、基板材料としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
基板材料として合成樹脂を用いる場合には、ガスバリア性に留意することが好ましい。基板21のガスバリア性が低すぎると、基板21を通過する外気により太陽電池素子28、及びバイパスダイオード29が劣化する可能性がある。このため、合成樹脂で基板を形成する場合、基板21の片側もしくは両側に、ガスバリア性を有する層(ガスバリア層)を形成することが好ましい。このガスバリア層としては、例えば、緻密なシリコン酸化膜等が挙げられる。別の方法としては、ガスバリアフィルムで太陽電池素子28、及びバイパスダイオード29をラミネートする方法も挙げられる。
なお、基板21側を太陽電池14の受光面とする場合は、基板21の可視光波長領域(360nm〜830nm)における平均光透過率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。なお、可視光波長領域における平均光透過率は、例えば、分光光度計を用いて測定することが出来る。一方で、図1において、バイパスダイオード29の第2電極層27側を太陽電池14の受光面とする場合は、基板21の可視光波長領域における平均光透過率に特段の制限はない。
また、基板21の形状に制限はないが、基板21が薄すぎると太陽電池素子28、及びバイパスダイオード29を保持する強度が不足する可能性があり、厚すぎるとコストが高く、重量が重くなり、さらには機械的な柔軟性が失われたりする可能性がある。そのため、基板21の厚さは、5μm以上であることが好ましく、20μm以上であることが特に好ましく、また、20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることが特に好ましい。
<2.バイパスダイオード29>
複数の太陽電池素子が直列に接続された太陽電池において、太陽電池の一部が日陰となり、一部の太陽電池素子に光が当たらない場合がある。光が当たらない太陽電池素子は電圧を発生することができず、直列に接続された他の太陽電池素子で発生した電圧が逆バイアスとして印加される。その結果、太陽電池の変換効率が大幅に低下してしまう。また、印加される逆バイアスが大きくなると、発電していない太陽電池素子が破壊されてしまう可能性もある。そこで、太陽電池素子と並列にバイパスダイオードを配置することによっ
て、一部の太陽電池素子が日陰になった場合でも、日陰になっている太陽電池素子に並列に接続されたバイパスダイオードを介して日陰になっていない太陽電池素子で発生した電力を取り出すことができ、太陽電池の変換効率が低下するのを防ぐことができる。具体的には、一部の太陽電池素子が日陰になると、日陰になった太陽電池素子に直列に接続された太陽電池素子で発生した電圧により、日陰になっている太陽電池素子に並列に接続されたバイパスダイオードがオン状態となる。そして、オン状態になったバイパスダイオードを介して、電力を取り出すことができる。なお、バイパスダイオードのオン電流は太陽電池で発生している電流値と同じになるため、このオン電流を得るために必要となるバイパスダイオードへの印加電圧が小さいほど、太陽電池全体の開放電圧は大きくなり変換効率の低下を防ぐことができる。一方で、太陽電池に日陰が出来ていない場合は、バイパスダイオードには逆バイアス電圧が印加されてオフ状態となる。このとき、ダイオードのオフ電流(リーク電流)が大きすぎるとモジュールのシャント抵抗が小さくなるため太陽電池の変換効率が低下する場合がある。
バイパスダイオードとしては、ホールと電子の両方のキャリアが電流に寄与するダイオードと、片方のキャリアのみ寄与するダイオードがあり、前者としてはpn接合型のダイオードやpin接合型のダイオードが挙げられ、後者としてはショットキーダイオードが挙げられる。本発明者らの検討によると、例えば、有機半導体化合物を使用したpn型の接合型ダイオードの場合、一対の電極間にp型半導体層及びn型半導体層を含む、少なくとも2層以上の有機半導体層が必要となる。しかしながら、ショットキーダイオードであれば、一対の電極間にp型半導体化合物又はn型半導体化合物を含む単層で形成することができるために、ショットキーダイオードはpn接合型等のダイオードと比較して、製造工程が簡易である。なお、有機半導体化合物を用いる場合、pn接合型ダイオードとして、p型半導体化合物とn型半導体化合物を混合した(バルクへテロジャンクション)単層を用いて形成することも考えられるが、ダイオードに良好な整流性を持たせるためには、別の層を設ける必要があるために製造プロセスの簡略化には至らない。また、上述の通り、有機半導体化合物を使用したpn接合型又はpin接合型のダイオードでは、少なくとも2種以上の有機半導体層が必要になるが、これらの有機半導体層を塗布法により製膜する場合、下部の有機半導体層が上部の有機半導体層を形成するための溶媒により侵されて、特性の優れたバイパスダイオードが得られにくい。また、このような問題を解決しようとすると、使用する材料や製造工程が制限されてしまう。また、バイパスダイオードも光が当たると発電し、バイパスダイオードで発生した電力は、太陽電池素子で発電した電力と逆方向に流れるために、太陽電池素子で発電した電力の一部を打ち消してしまい、太陽電池の変換効率が低下する場合がある。しかしながら、ショットキーダイオードの場合、pin接合型のダイオードと比較して、バイパスダイオードの発電量が極めて小さいので、太陽電池の変換効率が低下しにくくなる。そのため、本発明において、ショットキーダイオードをバイパスダイオードに使用することは極めて有効である。
以下、バイパスダイオードの各構成部材、及びその製造方法について詳細に説明する。
<2−1.第1の電極層25及び第2の電極層27>
バイパスダイオード29は第1の電極層25と、有機半導体層26と、第2の電極層27とを含むが、本発明において、第1の電極層25はバイパスダイオードを形成する電極のうち、基板に近い側の電極層を意味し、第2の電極層27とは第1の電極層25よりも基板21から遠い位置に配置されている電極層を意味する。
バイパスダイオード29をショットキーダイオードとするためには、第1の電極層25及び第2の電極層27のうち、一方の電極層と後述する有機半導体層26との間でショットキー接合を形成し、他方の電極層と該有機半導体層26との間でオーミック接合を形成する必要がある。なお、各電極層と有機半導体層がショットキー接合を形成するか、オーミック接合を形成するかは、p型のショットキーダイオード及びn型のショットキーダイ
オードにより異なるが、使用する第1の電極層25及び第2の電極層27の仕事関数と後述する有機半導体層26のHOMOレベル、又はLUMOレベルにより決まる。
第2の電極層27側から第1の電極層25側へのみホールが流れるp型ショットキーダイオードを作製するためには、第1の電極層25と該有機半導体層26との間でショットキー接合を形成し、第2の電極層27と該有機半導体層26との間にオーミック接合を形成すればよい。具体的には、第1の電極層25に、該有機半導体層26のHOMOレベルよりも、その差が0.5eV以上の浅い仕事関数を有する材料を用いることで、ショットキー接合を形成することができ、第2の電極層27に、該有機半導体層26のHOMOレベルに対してその差が0.5eV未満の浅い仕事関数を有する材料又は該有機半導体層26のHOMOレベルより深い仕事関数を有する材料を用いることで、オーミック接合を形成することができる。なお、第1の電極層25と該有機半導体層26がショットキー接合を形成する場合、第1の電極層25の仕事関数と該有機半導体層26のHOMOレベルとの仕事関数の差が小さすぎると、ダイオードがオフ状態になりにくいため太陽電池のシャント抵抗が小さくなり、太陽電池の効率が低下する傾向がある。一方で第1の電極層25の仕事関数と有機半導体層26のHOMOレベルの差が大きすぎると、ダイオードをオン状態にするために必要な電圧が大きくなってしまい、日陰が出来た際の太陽電池の効率低下が大きくなってしまう。そのため、良好なダイオード特性を得るために、第1の電極層25は、該有機半導体層26のHOMOレベルに対してその差が0.52eV以上の浅い仕事関数を有していることが好ましく、その差が0.6eV以上の浅い仕事関数を有することがさらに好ましく、一方で、その差が1.2eV以下の浅い仕事関数を有することが好ましく、その差が1.0eV以下の浅い仕事関数を有することがさらに好ましい。一方で、上述のように、第2の電極層27が該有機半導体層26のHOMOレベルに対して、その差が0.5eV未満の浅い仕事関数を有していれば、第2の電極層27と該有機半導体層26とでオーミック接合を形成することができるが、この差が大きすぎると、ショットキー接合が形成されるために、ダイオードの整流性が悪くなる。そのため、良好なダイオード特性を得るために、第2の電極層27は、該有機半導体層26のHOMOレベルに対して、その差が0.4eV未満の浅い仕事関数を有することが好ましく、その差が0.3eV未満の浅い仕事関数を有することが特に好ましい。一方で、第2の電極層27の仕事関数が該有機半導体層26のHOMOレベルより深い場合には、第2の電極層27の仕事関数と該有機半導体層26のHOMOレベルの差に特段の制限は無く良好なオーミック接合を形成することができる。
第1の電極層25側から第2の電極層27側の方向へのみホールが流れるp型のショットキーダイオードを作製する場合は、上述した有機半導体層26のHOMOレベルに対する第1の電極層25及び第2の電極層27の仕事関数の位置関係を逆にすれば良い。
また、第1の電極層25側から第2の電極層27側へのみ電子を流すn型ショットキーダイオードを製造する場合は、第2の電極層27に該有機半導体層26のLUMOレベルに対して、その差が0.5eV以上の深い仕事関数を有する材料を用いることにより、第2の電極層27と該有機半導体層26との間でショットキー接合を形成し、第1の電極層25に、該有機半導体層26のLUMOレベルより浅い仕事関数を有する材料を用いるか、又は該有機半導体層26のLUMOレベルに対して、その差が0.5eV未満の深い仕事関数を有する材料を用いることで、オーミック接合を形成することで、ショットキーダイオードを作製することができる。なお、p型のショットキーダイオードで挙げた理由と同様の理由により、ショットキー接合を形成する場合、第2の電極層27は、該有機半導体層26のLUMOレベルに対して、その差が0.52eV以上の深い仕事関数を有していることが好ましく、その差が0.6eV以上の深い仕事関数を有していることがさらに好ましく、その差が1.2eV以下の深い仕事関数を有していることが好ましく、その差が1.0eV以下の深い仕事関数を有していることがさらに好ましい。また、上述のように、第1の電極層25に該有機半導体層26のLUMOレベルに対して、その差が0.5
eV未満の深い仕事関数を有する材料を用いることで、オーミック接合を形成することができるが、第1の電極層25は、該有機半導体層26のHOMOレベルに対して、その差が0.4eV未満の深い仕事関数を有することが好ましく、その差が0.3eV未満の深い仕事関数を有することが好ましい。一方で、第1の電極層25に該有機半導体層のLUMOレベルよりも浅い仕事関数を有する材料を用いてオーミック接合を形成している場合には、その差に特段の制限はなく、良好なオーミック接合を形成することができる。
一方で、第2の電極層27側から第1の電極層25側の方向へのみ電子が流れるn型のショットキーダイオードを作製する場合は、上述した該有機半導体層26のLUMOレベルに対する第1の電極層25と第2の電極層27の仕事関数の位置関係を逆にすれば良い。なお、該有機半導体層26のHOMOレベル及びLUMOレベル、並びに第1の電極層25及び第2の電極層27の仕事関数は、紫外線光電子分光(UPS)や光電子収量分光(PYS)を用いて求めることができる。
第1の電極層25及び第2の電極層27に用いられる材料は上記の条件を満たせば特段の制限はないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明酸化物半導体等が挙げられる。これらの中でも熱安定性や大気安定性が高く、成膜が容易であるという点からカルシウム、バリウム、アルミニウム、金、銀、白金、銅、透明酸化物半導体が好ましい。
第1の電極層25及び第2の電極層27の形成方法に特段の制限はないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法等が挙げられる。その他、金属インクや金属ペースト、低融点金属等を用いて塗布法により、金属電極を形成してもよい。
また、第1の電極層25及び第2の電極層27の膜厚に特段の制限はないが、膜厚が厚すぎると、機械的な柔軟性が失われ、また電極の形成に時間がかかり、さらにはコストが高くなる傾向があり、膜厚が小さすぎるとシート抵抗が高く、ダイオードの特性が悪くなる傾向がある。そのため、第1の電極層25及び第2の電極層の膜厚は、通常10nm以上、中でも50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることが特に好ましく、通常1000nm以下、中でも500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることが特に好ましい。
また、第1の電極層25及び第2の電極層27の電気導電率に特段の制限はないが、電気導電率が小さすぎると、好ましいシート抵抗とするための膜厚を大きくする必要があり、電気導電率が大きすぎるとパターニングした際、隣の電極とショートする確率が高くなる傾向がある。そのため、第1の電極層25及び第2の電極層の電気導電率は1S/cm以上であることが好ましく、10S/cm以上であることがさらに好ましく、10S/cm以上であることが特に好ましく、1010S/cm以下であることが好ましく、10S/cm以下であることがさらに好ましく、10S/cm以下であることが特に好ましい。
<2−2.有機半導体層26>
本発明に係るバイパスダイオードの半導体層には有機半導体化合物が含まれる。一般的に、シリコンを半導体層に用いたショットキーダイオードをバイパスダイオードとして利用することが知られているが、シリコンを用いたショットキーダイオードは、太陽電池に
日陰ができていない状態の逆バイアス印加時のリーク電流が大きくなる傾向がある。そのため、太陽電池素子で発電した電力の一部を打ち消してしまい、太陽電池の変換効率を低下させてしまう。さらに、シリコンを用いて半導体層を形成しようとすると、p型又はn型の電気特性を持たせるためにドーピングプロセスが必要となり、製造工程が複雑になる。一方で、本発明のように有機半導体層を用いたショットキーダイオードでは、太陽電池に日陰ができていない場合のリーク電流が小さく、さらには光が当たっても、ダイオード自体で発電が起こりにくい。そのため本発明において、有機半導体層を用いることは極めて重要である。
また、結晶子サイズの小さい有機半導体層を用いたバイパスダイオードは、ダイオードをオン状態にするために多くの電圧が必要になるために、太陽電池の変換効率が低下させる傾向があり、また、電荷移動度が小さいために、十分に高いオン電流を有するバイパスダイオードを提供することが困難な傾向がある。また、太陽電池は自然環境下で使用されることが想定されるが、結晶子サイズの小さい有機半導体層は熱に対する耐久性が低い傾向があるために、時間経過と共に、ダイオード特性が低下してしまう可能性がある。一方で、結晶子サイズが大きすぎる有機半導体層を用いてバイパスダイオードを製造すると、リーク電流が多くなり、バイパスダイオードとして機能しなくなる可能性がある。そのため、本発明に係るバイパスダイオードはX線回折の最大ピークにより算出される半値幅が0.51度以上、1.00度以下の結晶子サイズを有する有機半導体層が用いられる。なお、X線回折の最大ピークにより算出される半値幅とは、X線回折において、最高強度の半分の強度における幅であり、以下、単に半値幅と称す。
上記の結晶子サイズを有する有機半導体層を用いることにより、耐久性に優れ、十分に大きいオン電流を有するバイパスダイオードを提供することができる。なお、より耐久性を高め、十分に大きいオン電流を有するバイパスダイオードを提供するために、有機半導体層26の半値幅は0.512度以上であることがさらに好ましく、0.515度以上であることが特に好ましく、一方で、0.950度以下であることがさらに好ましく、0.900度以下であることが、特に好ましい。なお、本発明に係る有機半導体層26の半値幅は、X線源としてCu管球を使用し、out−of−planeで測定した回折パターンから、プロファイルフィッティング法(pseudo−Voigt関数)を用いて算出した値で定義する。
有機半導体層26に用いることのできる具体的な有機半導体化合物としては、得られる有機半導体層が上記の結晶子サイズを有し、且つ上述したように第1の電極層21及び第2の電極層27とショットキーダイオードを形成することが可能な化合物であれば、特段の制限はなく、低分子有機化合物又は高分子有機化合物を使用することができる。
p型ショットキーダイオードの有機半導体層26に用いることのできる低分子有機化合
物として、特段の制限はないが、具体的には、ナフタセン、ペンタセン又はピレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環及びベンゾチアゾール環のうち少なくとも一つ以上を含み、かつ合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体、等の大環状化合物等が挙げられる。中でも、ナフタセン、ペンタセン、ピレン等の縮合芳香族炭化水素、フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン(BP)等のポルフィリン化合物及びその金属錯体であれば、電荷移動度が良好なために好ましい。また、p型シ
ョットキーダイオードの有機活性層として用いることのできる高分子有機半導体化合物として、特段の制限はないが、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン又はポリアニリン等の共役ポリマー半導体;アルキル基やその他の置換基が置換されたオリゴチオフェン等のポリマー半導体;等が挙
げられる。また、二種以上のモノマー単位を共重合させた半導体ポリマーも挙げられる。共役ポリマーとしては、例えば、Handbook of Conducting Polymers,3rd Ed.(全2巻),2007、Materials Science and Engineering,2001,32,1−40、Pure Appl.Chem.2002,74,2031−3044、Handbook of THIOPHENE−BASED MATERIALS(全2巻),2009等の公知文献に記載されたポリマーやその誘導体、及び記載されているモノマーの組み合わせによって合成し得るポリマーを用いることができる。なかでも、ポリチオフェン等の共役ポリマー半導体が、電荷移動度が良好なために好ましい。
また、該有機半導体層26と、上述した第1の電極層25又は第2の電極層27との間に仕事関数の深いp型半導体材料の層を挿入することで、さらに良好なオーミック接合を形成することもできる。このようなp型半導体材料の層の例としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)といった導電性高分子、五酸化バナジウム、三酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステンなどの酸化物半導体などが挙げられる。
本発明の有機半導体層26に用いることのできるn型有機半導体化合物として、特段の制限はないが、具体的にはフラーレン化合物、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ等が挙げられる。
これらの中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドがより好ましい。また、n型の高分子半導体化合物としては、poly(benzobisimidazobenzophenanthroline)、:poly{[N,NO−bis(2−octyldodecyl)−1,4,5,8−naphthalenedicarboximide−2,6−diyl]−alt−5,50−(2,20−bithiophene)}、poly{[N,NO−bis(2−octyldodecyl)−3,4,9,10−perylenedicarboximide−1,6−diyl]−alt−5,50−(2,20−bithiophene)}等が挙げられる。
また、該有機半導体層26と、第1の電極層25又は第2の電極層27との間に仕事関数の浅いn型半導体材料の層を設けることで、より良好なオーミック接合を形成することができる。このようなn型半導体材料の層の例としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、又は酸化インジウム等の金属酸化物等が挙げられる。
なお、有機半導体層26はオン電流を大きくするため移動度が高いことが好ましい。具体的にはダイオードのオン電流として流れるキャリアの移動度が10−7cm/Vs以
上であることが好ましく、10−5cm/Vs以上であることがより好ましい。一方で
、キャリアの移動度が大きすぎるとリーク電流が大きくなるために、通常1000cm/Vs以下であり、100cm/Vs以下であることが好ましく、50cm/Vs以下であることが特に好ましい。
また、有機半導体層26の膜厚に特段の制限はないが、膜厚が小さすぎると、欠陥によりリークする可能性が高くなり、大きすぎると特性が悪くなる傾向がある。そのため、具体的には20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることが特に好ましく、1000nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることが特に好ましい。
また、低分子有機半導体化合物の製膜方法については、特段の制限はないが、蒸着法によって製膜する方法や低分子有機半導体化合物前駆体を塗布後に低分子有機半導体化合物に変換することで製膜法が挙げられる。塗布成膜できるというプロセス上の利点からは後者が好ましい。高分子有機半導体化合物の製膜法について、特段の制限はないが、塗布法が好ましい。塗布法については、任意の方法で行うことができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法などが挙げられる。
なお、同じ有機半導体化合物でも成膜方法や処理方法により結晶子サイズが異なるために半値幅は異なる。例えば、蒸着法で成膜する場合は、基板温度や蒸着レートを調整することにより、得られる有機半導体層の結晶子サイズを調製することができ、上記範囲の半値幅を有する有機半導体層を形成することができる。例えば、蒸着時の基板の表面温度を高くすることで半値幅は小さくなる傾向がある。また、蒸着レートを遅くすることでも半値幅が小さくなる傾向がある。また、塗布成膜する場合は、乾燥速度や膜厚を調整することによって、得られる有機半導体層の半値幅を調整することができる。また、いずれの場合も成膜後の加熱処理や溶媒処理によっても結晶性を調整することができる。なお、加熱処理の温度を高めると半値幅は小さくなる傾向がある。また、溶媒処理としては、直接、膜の上に塗布する方法や溶媒蒸気にさらす方法などが挙げられるが、特に、溶媒蒸気にさらす方法の場合は、溶媒の蒸気圧を高くしたり、或いは溶媒蒸気にさらす時間を長くすることにより、半値幅は小さくなる傾向がある。なお、溶媒に特段の制限はないが、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール又は2−ブトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又はN−メチルピロリドン(NMP)等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類等;エタノールアミン、ジエチルアミン又トリエチルアミン等のアミン類等;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類が挙げられる。なかでも好ましくは、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール又は2−ブトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又はN−メチルピロリドン(NMP)等のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はN,N−ジメチル
アセトアミド(DMA)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類である。溶媒としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<3.太陽電池素子28>
本発明に太陽電池素子は少なくとも、下部電極層22と、活性層23と、上部電極層24とを有する。以下、その構成について詳細に説明する。
<3−1.下部電極層22及び上部電極層24>
本発明において、下部電極層22とは、上部電極層24よりも基板21に近い位置に配置された電極層を意味し、上部電極層24とは下部電極層22よりも基板21から離れた位置に配置された電極層であることを意味する。なお、上部電極層24及び下部電極層22は、どちらか一方の電極層が太陽電池素子28の陽極として用いられ、他方の電極層が太陽電池素子の陰極として用いられる。つまり、上部電極層24が陽極として用いられる場合、下部電極層22は陰極として用いられる。一方で、上部電極層24が陰極として用いられ、下部電極層22が陽極として用いられる。
陽極とは、正孔を捕集する電極である。陽極は、後述する活性層で電荷分離により生じた正孔を受け取る役割持つ。陽極の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。効率よく正孔収集を行なうためには、陽極の材料として、隣接する層と接触性のよい金属を用いることが好ましい。
陽極の材料として好適な材料を挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化スズ等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料等が挙げられる。その中でも陽極の材料として好適な例を挙げると、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛等の金属酸化物等が挙げられる。また、陽極を透明電極として形成する場合、その材料の好適な例としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜等が挙げられる。
正孔の捕集効率を向上させる観点からは、陽極の材料としては大きい仕事関数を有する材料を用いることが好ましく、このような材料としては例えば金、ITO等が挙げられる。また、陽極の厚さに制限はないが、通常10nm以上、中でも50nm以上、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下とすることが好ましい。陽極が厚すぎると、機械的な柔軟性が失われ、製造に時間がかかり、さらにはコストが高くなったりする可能性がある。また、薄すぎると直列抵抗が大きくなり太陽電池素子29の変換効率が低下する可能性がある。
陽極の形成方法に特段の制限はないが、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により基板上に形成することができる。また、陽極は、2層以上の積層構造を有してもよく、表面処理により特性(電気特性やぬれ特性等)が改良されていてもよい。陽極の材料としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陰極は、電子を捕集する電極である。陰極は、活性層での電荷分離により生じた電子を
受け取る役割を持つ。陰極に用いることができる材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。効率よく電子収集を行なうためには、陰極の材料として、隣接する層と接触性のよい金属を用いることが好ましい。
陰極の材料の好適な例を挙げると、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金が挙げられる。また、陰極を透明電極として形成する場合、陰極の材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜等が挙げられる。
電子の捕集効率を向上させる観点からは、陰極の材料としては小さい仕事関数を有する材料を用いることが好ましく、このような材料としては例えばアルミニウム等が挙げられる。
陰極の厚さに特段の制限はないが、陰極が薄すぎると直列抵抗が大きくなり太陽電池素子28の変換効率が低下する可能性があるために、10nm以上、中でも50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることが特に好ましい。また、陰極が厚すぎると、製造に時間がかかったりコストが高くなったりする可能性があるために、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下とすることがさらに好ましく、300nm以下であることが特に好ましい。
陰極の形成方法に制限はなく、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができる。また、陰極は、2層以上の積層構造を有してもよく、表面処理により特性(電気特性やぬれ特性等)が改良されていてもよい。また、陰極に用いる材料は1種のみを用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、図1に示される基板21側を太陽電池14の受光面とする場合、下部電極層22の可視光波長領域における平均光透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。一方で、図1において、太陽電池素子29の上部電極層24側を太陽電池の受光面とする場合、上部電極層24の可視光波長領域における平均光透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また、図1においては、下部電極層22と上部電極層24を設けているが、図3に示すように、バイパスダイオードの第1の電極層25に太陽電池素子28の上部電極層24の役割を兼用させることができれば、上部電極層24は省略してもよい。
<3−2.活性層23>
活性層23は光電変換が行われる層を指す。活性層23に用いることのできる材料として、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、又は単結晶シリコン、球状シリコン、又は微結晶シリコン等のシリコン系半導体、CIS、CIGS、及びGaAs等の化合物半導体、有機色素材料、及び有機半導体化合物を含んで形成することができる。これらの材料の中でも、有機半導体化合物を用いることが、生産性に優れるために好ましい。また、有機半導体化合物を活性層23に用いた太陽電池素子は、シリコン系半導体を活性層23に用いた太陽電池素子と比較して、太陽電池に日陰ができた際に、逆バイアスリーク電流が少ないために、大幅な変換効率の低下を防ぐことができる。以下、有機半導体化合物を活性層23に用いた例を示す。
有機半導体化合物を用いた活性層23は、p型半導体化合物及びn型半導体化合物が含まれる。なお、p型、n型とは、電気伝導に寄与するのが、正孔、電子のいずれであるかを示しており、材料の電子状態、ドーピング状態、トラップ状態に依存する。したがって、p型、n型は必ずしも明確に分類できない場合があり、同一物質でp型、n型両方の特性を示すものもある。
p型の有機半導体化合物に特段の制限はないが、p型の低分子有機化合物、又はp型の高分子有機化合物が挙げられる。
p型の低分子有機半導体化合物の例としては、テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;ナフタロシアニン化合物;テトラセンやペンタセンのポリアセン;セキシチオフェン等のオリゴチオフェンおよびこれら化合物を骨格として含む誘導体が挙げられる。
また、p型の高分子有機半導体化合物の例としては、ポリ(3−アルキルチオフェン)などを含むポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリトリアリルアミン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。また、n型の有機半導体化合物の例として、フラーレン(C60、C70、C76);オクタアザポルフィリン;上記p型半導体のパーフルオロ体;ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物;及び、これら化合物を骨格として含む誘導体などが挙げられる。なお、活性層に含まれるn型の有機半導体化合物及びp型の有機半導体化合物は上記以外の公知の化合物を使用することができ、例えば、Solar Energy Materials&Solar Cells 96(2012)155−159、国際公開第2011/016430号又は特開2012−191194号公報、特開2012−167241号公報に記載の有機半導体材料を使用することができる。
少なくともp型の半導体およびn型の半導体が含有されていれば、活性層23の具体的な構成は任意である。活性層は単層で構成されていてもよく、2以上の層の積層によって構成されていてもよい。例えば、n型の半導体とp型の半導体とを別々の膜に含有させるようにしても良く、n型の半導体とp型の半導体とを同じ膜に含有させても良い。また、n型の半導体及びp型の半導体は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
活性層の具体的な構成例としては、p型有機半導体化合物とn型有機半導体化合物が層内で相分離した層(i層)を有するバルクヘテロ接合型、それぞれp型の有機半導体化合物を含む層(p層)とn型の有機半導体化合物を含む層(n層)が界面を有する積層型(ヘテロpn接合型)、ショットキー型およびそれらの組合せが挙げられる。これらの中でもバルクへテロ接合型およびバルクへテロ接合型と積層型を組み合わせた(p−i−n接合型)が高い性能を示すことから好ましい。
光電変換層のp層、i層、n層各層の厚みは、通常3nm以上、中でも10nm以上、また、通常500nm以下、中でも50〜300nmとすることが好ましい。層を厚くすることで光電流が増大する傾向にあり、薄くすることで直列抵抗が低下する傾向にある。
また、太陽電池素子28には、下部電極層22、上部電極層24及び活性層23以外の層も含まれていてもよい。例えば、下部電極層22が陽極であり、上部電極24が陰極の場合、下部電極層22と活性層23の間に正孔取り出し層が形成され、上部電極層24と活性層23の間に電子取り出し層が形成されていてもよい。一方で、下部電極層22が陰極であり、上部電極層24が陽極の場合は、下部電極層22と活性層23の間に電子取り出し層が形成され、上部電極層24と活性層23の間に正孔取り出し層が形成されていてもよい。
電子取り出し層とは活性層23から陰極へ電子の取り出し効率を向上させる層であり。電子取り出し層に使用することのできる材料に特段の制限はなく、無機化合物又は有機化
合物が挙げられる。無機化合物の材料としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型の酸化物半導体が挙げられる。また、有機化合物の材料としては、具体的には、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、又はホスフィンオキサイド化合物若しくはホスフィンスルフィド化合物等の第16族元素と二重結合を有するホスフィン化合物が挙げられる。
正孔取り出し層とは活性層23から正孔の取り出し効率を向上させる役割を有する。正孔取り出し層に使用可能な材料に特段の制限はないが、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリンなどに、スルホン酸及び/又はヨウ素などがドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、後述のp型半導体化合物等が挙げられる。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。さらに、金属等の薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。なお、電子取り出し層及び正孔取り出し層には上記以外の公知の化合物を使用してもよく、また公知の方法により形成することができる。具体的には、国際公開第2011/016430号、特開2012−191194号公報、又は特開2012−167241号公報に記載の化合物及び方法により形成することができる。
<4.太陽電池の製造方法>
次に、図1に示すバイパスダイオード一体型の太陽電池の製造方法について、図5(a)〜(e)を用いて説明する。なお、ここで説明する太陽電池の製造方法は本発明に係る実施の形態の一例であり、下記に示す製造方法に限定されるわけではない。なお、太陽電池を構成する各構成部材の材料や製造方法は上述した通りである。
図5(a)は基板21に下部電極層22を形成する工程である。下部電極層22はシャドウマスク等を用いてパターン形成してもよいし、下部電極層22を形成するための膜を製膜した後に、レーザーアブレーションやフォトリソグラフィー又はプラズマエッチング等によりパターニングを行い、下部電極層22を形成してもよい。
図5(b)は活性層23を形成する工程である。活性層23も下部電極層22と同様に、パターン形成してもよいし、活性層23を形成するための膜を製膜した後に、パターニングして形成すればよい。なお、活性層23は下部電極層22の一部が露出するように形成する必要がある。
図5(C)は上部電極層24、及び第1の電極層25を形成する工程である。上部電極層24は直列に接続された一方の太陽電池素子の下部電極層と接触するように形成する必要があり、上部電極層24上に第1の電極層25を形成する。なお、上部電極層24と第1の電極層25は、各々パターン形成してもよいし、製膜した後に、パターニングして形成してもよい。なお、第1の電極層25は、上部電極層24を形成した後に、パターン形成又は、製膜後にパターニングしてもよいし、上部電極層24を形成する膜を製膜した後に、第1の電極層25を形成する膜を製膜し、その後に、2層同時に、パターニングを行い、上部電極層24と第1の電極層25を形成してもよい。
また、上述の通り、第1の電極層25が太陽電池素子28の上部電極層24の役割を兼用する場合は、上部電極層24の形成工程は省略することができる。
図5(d)は有機半導体層26を形成する工程である。有機半導体層26も下部電極層
22と同様に、パターン形成してもよいし、有機半導体層26を形成する膜を製膜した後にパターニングを行うことにより形成してもよい。なお、有機半導体層26は、第1の電極層25の一部が露出するようにするように形成する必要がある。
図5(e)は第2の電極層27を形成する工程である。第2の電極層27も下部電極層22と同様に、パターン形成してもよいし、第2の電極層27を形成する膜を製膜した後に、パターニングを行い、形成することができる。なお、第2の電極層27は、直列に接続される2つの太陽電池素子のうち、図5(C)の製造工程において、下部電極層が上部電極層24に接続された太陽電池素子と逆側に位置する太陽電池素子の第1の電極層と接続するように形成する必要がある。
以上のようにして、本発明に係る太陽電池14を製造することができる。
なお、上述の通り、バイパスダイオード29も光が当たれば発電し、太陽電池素子28で発電した電力を打消し合う方向に電流が流れる。そのため、バイパスダイオードが発電してしまうと、太陽電池の変換効率が低下する傾向にある。しかしながら、本発明に係るバイパスダイオードは光が当たってもその発電量は少量である。そのため、本発明に係るバイパスダイオードをシースルー型の太陽電池に適用することは効果的である。具体的に、シースルー型の太陽電池にするためには、図1に示すように、基板21と、前記太陽電池素子28と、前記バイパスダイオード29とが順に積層された太陽電池28においては、基板21から第2の電極層27までの可視光波長領域における平均光透過率が30%以上になるようにすればよい。なお、基板21から前記第2の電極層27までの可視光波長領域における平均光透過率が30%以上とは、基板21から第2の電極層27を通る可視光領域における平均光透過率が30%以上であることを意味する。なお、可視光領域における平均光透過率は、例えば分光光度計を用いて測定することが出来る。また、上記の通り、本発明に係るバイパスダイオードは、光が当たってもほとんど発電しないが、バイパスダイオードでの発電をより抑えるために、図1に示されるように、基板21と、太陽電池素子28と、バイパスオード29とが順に積層された太陽電池14の場合、基板21及び下部電極層22の可視光波長領域における平均光透過率が各々30%以上であり、上部電極層24及び前記第1の電極層25のうち少なくとも一方の可視光波長領域における平均光透過率が30%未満であることが好ましい。なお、太陽電池がこのような構成であれば、基板21側を太陽電池14の受光面とし、受光した光が太陽電池素子28の上部電極層24又は第1の電極層25により遮断されるために、バイパスダイオードに光が当たるのを防ぐことができ、バイパスダイオードでの発電を抑制することができる。なお、バイパスダイオードにおける発電抑制効果をさらに高めるためには、上部電極層24及び前記第1の電極層25のうち少なくとも一方の可視光波長領域における平均光透過率は20%未満であることがさらに好ましく、15%以下であることが特に好ましい。
また、図1においては、基板21と、太陽電子素子28と、バイパスダイオード29とが順に積層された太陽電池14を示したが、本発明に係る太陽電池14はこの構成に限定されるわけではない。例えば、図4に示されるように基板21と、バイパスダイオード29と、太陽電池素子28とが順に積層された太陽電池であってもよい。
なお、図4の構成の場合、基板21から上部電極層24までの可視光波長領域における平均光透過率が30%以上とすることでシースルー型の太陽電池とすることができる。
一方で、この構成の場合、シースルー型の太陽電池でない限り、前記上部電極層24の可視光波長領域における平均光透過率が30%以上であり、前記下部電極層22及び前記第2の電極層27のうち少なくとも一方の可視光波長領域における平均光透過率が30%未満であることが好ましい。太陽電池14をこのような構成とすることで、上部電極層24側を太陽電池14の受光面とし、受光した光が下部電極層22又は前記第2の電極層27により遮断されるために、バイパスダイオード29に光が当たるのを防ぐことができ、
バイパスダイオード29におけるわずかな発電さえも抑制することができる。その結果、太陽電池14の効率の低下を防ぐことができる。なお、バイパスダイオードでの発電の抑制効果をさらに高めるために、下部電極層22及び第2の電極層27のうち少なくとも一方の可視光波長領域における平均光透過率が20%未満であることがさらに好ましく、15%未満であることが特に好ましい。
また、図1においては、一つの太陽電池素子28に対して一つのバイパスダイオード29が並列に接続された構成を示したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、設計変更可能である。例えば、直列に接続された複数の太陽電池素子28に対して、一つのバイパスダイオード29のみが並列に接続された太陽電池であってもよい。
また、本発明に係る太陽電池は、上記の構成部材以外に、他の構成部材を含んでいてもよい。具体的には、図6に示すように、基板、太陽電池素子及びバイパスダイオードの積層構成体(以下、積層構成体と称す場合がある)6、以外に、耐候性保護フィルム1、紫外線カットフィルム2、ガスバリアフィルム3、ゲッター材フィルム4、封止材5、封止材7、ゲッター材フィルム8、ガスバリアフィルム9、バックシート10等を有していてもよい。なお、これらの構成部材は必要に応じて、任意で使用すればよい。
例えば、バックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシートなどの防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。なお、これらの封止材5、バックシート10及び各種フィルムの材料、形状、性能及び積層方法等については、いずれも国際公開第2011/016430号、特開2012−191194号公報、又は特開2012−167241号公報に記載の通りである。
<5.用途>
上述した太陽電池14の用途に制限はなく任意である。なお、太陽電池はそのまま用いてもよいし、図7に示すように、太陽電池14を基材12に張り付けて、使用場所に設置して用いてもよい。具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用した場合、この板材の表面に複数の太陽電池14を設けて太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルを建物の外壁などに設置して使用すればよい。
基材12は太陽電池14を支持する支持部材である。基材12を形成する材料としては、例えば、ガラス、サファイア又はチタニアなどの無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネンなどの有機材料;紙又は合成紙などの紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウムなどの金属に絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたものなどの複合材料などが挙げられる。なお、基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、これら有機材料あるいは紙材料に炭素繊維を含ませ、機械的強度を補強させてもよい。
本発明の太陽電池を適用する分野の例を挙げると、例えば、国際公開第2011/016430号、特開2012−191194号公報、又は特開2012−167241号公報にあるように、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池などに用いて好適である。
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に限定されるものではない。
(実施例1)
第1の電極層としてインジウムスズ酸化物(ITO)が155nmが堆積したガラス基板上に、界面活性剤を加えた超純水による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄した後に、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。その後に、第1の電極層上にテトランベンゾポルフィリン(以下、BPと称す)を真空蒸着法により、100nm蒸着し、有機半導体層を形成した。なお、蒸着は、基板温度を室温とし、蒸着レートを0.1nm/秒で行った。その後、有機半導体層上に、第2の電極層として真空蒸着法により、アルミを80nm製膜し、5mm角のショットキーダイオードを作製した。作製したショットキーダイオードの電流電圧特性は、ソースメータ2400型(ケースレーインスツルメンツ社製)により、窒素雰囲気下で電流電圧特性を測定した。具体的に電流電圧特性は、−1Vの逆バイアスを印加した時の電流密度の絶対値と1Vの順バイアスを印加した時の電流密度の絶対値の比(J(1V)/J(−1V))
及び、5mA/cmの電流密度を得るために必要な順バイアス電圧V (at J=5mA/cm) (V)を測定した。更に、耐熱性試験として、グローブボックス中にて、65度
で1時間加熱した後に、上記と同様に電流電圧特性も測定した。その結果を表1に示す。
また、ITOが成膜されたガラス基板上に、上記と同様の条件で、BPを100nm蒸着して、XRDサンプルを作製し、out−of−planeX線回折(XRD)を測定し、最大回折ピークから実施例1に係るBPの半値幅を見積もった。なお、半値幅はプロファイルフィッティング法(pseudo−Voigt関数)で算出した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において有機半導体層を以下のように形成した以外は実施例1と同様の方法でショットキーダイオード、及びXRD測定用サンプルを作成した。
レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT、Rieke Metals社製)を1.0重量%の濃度でオルトジクロロベンゼン(アルドリッチ社製)に溶解した。次に、得られた溶液を、80℃で窒素雰囲気中、1時間スターラーで攪拌混合した。その後、窒素雰囲気下でITO上に、該溶液をスピンコート(400rpm)で塗布し、ホットプレートで120度、5分、さらに、160度、15分間加熱することで、約100nmの有機半導体層を形成した。なお、作製したダイオードの電流電圧特性、及び有機半導体層の半値幅は実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表1及び表2に示す。
(比較例1)
BPを100nm蒸着した後に、210度20分加熱し、結晶化させた以外は実施例1と同様の方法でショットキーダイオード、及びXRD測定用サンプルを作成した。なお、作製したダイオードの電流電圧特性、及び有機半導体層の半値幅は実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表1及び表2に示す。なお、実施例1とは異なり、65度で1時間加熱した後の電流電圧特性も測定は行わなかった。
(比較例2)
有機半導体層を以下のように作製した以外は実施例1と同様の方法でショットキーダイオード、及びXRD測定用サンプルを作成した。PDPPTPT(poly[{2,5−bis(2−hexyldecyl)−2,3,5,6−tetrapydro−3,6−dioxopyrrolo[3,4−c]pyrrole−1,4−diyl}−alt−{[2,2‘−(1,4−phenylene)bisthiophene]−5,5’−diyl]})(ADVANCED ENERGY MATERIALS 201
0, 22, E242−E246)を1.0重量%の濃度でクロロベンゼン(関東化学社製)に溶解した。次に得られた溶液を、80℃で窒素雰囲気中、1時間スターラーで攪拌混合した。その後、窒素雰囲気下でITO上に、前記溶液をスピンコート(400rpm)で塗布し、約100nmの有機半導体層を形成した。
なお、作製したダイオードの電流電圧特性、及び有機半導体層の半値幅は実施例1と同様の方法で測定した。得られた結果を表1及び表2に示す。
なお、実施例1とは異なり、65度で1時間加熱した後の電流電圧特性も測定は行わなかった。
J(1V)/J(−1V)値はダイオードの順バイアス側と逆バイアス側に1V電圧を
印加した時の絶対値の電流値の比を表す。この値が大きいことは、ダイオードのオン電流とオフ電流の比が大きいことを意味し、ダイオードの整流性が良好であることを意味する。すなわち、この比が大きなバイパスダイオードを太陽電池に用いると、太陽電池に日陰ができていない場合でも、バイパスダイオードにより電力が消費されにくく、太陽電池の変換効率が低下しにくくなる傾向がある。一方でV値は、一部の太陽電池素子に日陰ができ、太陽電池素子が発電しない場合に、バイパスダイオードをオン状態にするために必要な印可電圧を表す。すなわち、V値が小さいことは、バイパスダイオードをオン状態にする際に失われる電圧が小さく、太陽電池の変換効率が低下しにくいことを意味する。
表1に示すように、実施例1及び2に係るショットキーダイオードは、比較例1及び2のショットキーダイオードと比較して、J(1V)/J(−1V)の絶対値の比が大きい
ため、良好な整流性を有するバイパスダイオードとして期待できる。更に、実施例1及び2のショットキーダイオードのV値は十分に低いために、バイパスダイオードとして用いた場合に、太陽電池の変換効率は低下しにくい。さらに、実施例1及び2のショットキーダイオードは、65度加熱した後も、J(1V)/J(−1V)値、及びV値は特性の変
化がなく、耐久性の高いショットキーダイオードといえる。
一方で、比較例1に係るショットキーダイオードは、J(1V)/J(−1V)値が小
さいために、良好な整流性が得られていない。そのため、バイパスダイオードとして用いると、太陽電池に日陰ができていない場合に、太陽電池の変換効率が低下してしまう。また、比較例2のショットキーダイオードは、V値が非常に高いために、バイパスダイオードをオン状態にする際に必要な印可電圧が高くなってしまう。このため、太陽電池に日陰が出来た場合に、失われる電圧が非常に大きくなる。
上述の通り、本発明に係るショットキーダイオードは、ダイオードとしての特性が非常に高く、さらには耐久性にも優れるために、太陽電池に適したショットキーダイオードといえる。
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 積層構成体
10 バックシート
12 基材
14 太陽電池
21 基板
22 下部電極層
23 活性層
24 上部電極層
25 第1の電極層
26 有機半導体層
27 第2の電極層
28 太陽電池素子
29 バイパスダイオード

Claims (5)

  1. 基板と、太陽電池素子と、バイパスダイオードとを有する太陽電池であって、
    前記太陽電池素子は下部電極層と、活性層と、上部電極層とが順に積層され、
    前記バイパスダイオードは第1の電極層と、有機半導体層と、第2の電極層とが順に積層されたショットキーバリアダイオードであり、
    前記有機半導体層のX線回折の最大ピークにより算出される半値幅が0.51度以上1.00度以下である太陽電池。
  2. 前記基板と、前記太陽電池素子と、前記バイパスダイオードとが順に積層され、
    前記基板及び前記下部電極層の可視光波長領域における平均光透過率は各々30%以上であり、前記上部電極層及び前記第1の電極層のうち少なくとも一方の可視光波長領域における平均光透過率が30%未満である請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記基板と、前記バイパスダイオードと、前記太陽電池素子とが順に積層され、
    前記上部電極層の可視光波長領域における平均光透過率が30%以上であり、
    前記下部電極層及び前記第2の電極層の少なくとも一方の可視光波長領域における平均光透過率が30%未満である請求項1に記載の太陽電池。
  4. 前記基板と、前記太陽電池素子と、前記バイパスダイオードとが順に積層され、
    前記基板から前記第2の電極層までの可視光波長領域における平均光透過率が30%以上である請求項1に記載の太陽電池。
  5. 前記基板と、前記バイパスダイオードと、前記太陽電池素子とが順に積層され、
    前記基板から前記上部電極層までの可視光波長領域における平均光透過率が30%以上である請求項1に記載の太陽電池。
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