JP6864261B2 - 光電変換素子及び太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子及び太陽電池モジュールに関する。
近年、有機薄膜太陽電池(OPV)が盛んに検討されている。有機薄膜太陽電池の活性層は、通常、p型有機半導体化合物及びn型半導体化合物を含有して形成されるが、なかでも、p型有機半導体化合物とn型半導体化合物とが混合して形成されたバルクヘテロジャンクション型の活性層を用いた有機薄膜太陽電池が特に注目を集めている。
有機薄膜太陽電池の変換効率を高めるために、例えば非特許文献1には、p型有機半導体化合物、n型半導体化合物よりも長波長の光を吸収し、かつエネルギー準位的にカスケード構造となるような色素を添加して、p型有機半導体化合物とn型半導体化合物の界面に該色素を存在させることが提案されている。また、特許文献1及び非特許文献2には、活性層にp型有機半導体化合物の表面エネルギーとn型半導体化合物の表面エネルギーとの間の表面エネルギーを有する色素を添加することで変換効率を向上させた例が記載されている。
特開2014−154653号公報
APPLIED MATERIALS AND INTERFACES,2009,1,804−810 ADVANCED ENERGY MATERIALS,2011,1,588−598
有機薄膜太陽電池の実用化のためには、光劣化の少ない高い耐光性が求められる。しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2に記載されるように、p型有機半導体化合物とn型半導体化合物との界面に色素が存在することで初期効率は向上させられる一方で、十分な耐光性が得られない場合があることが判明した。
本発明は、上記問題を解決するものであり、高い耐光性を備えた光電変換素子又は太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、活性層が特定の色素を含有することにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有する光電変換素子であって、前記活性層は、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、色素と、を含有し、前記色素の表面エネルギーγ(M1)と、前記n型半導体化合物の表面エネルギーγ(M2)と、前記p型有機半導体化合物の表面エネルギーγ(M3)が下記数式(数1)又は下記数式(数2)の関係を満たし、かつ前記色素のイオン化ポテンシャルIp(M1)と前記n型半導体化合物のイオン化ポテンシャルIp(M2)が下記数式(数3)の関係を満たしていることを特徴とする光電変換素子。
γ(M1)>γ(M2)>γ(M3) ・・・(数1)
γ(M3)>γ(M2)>γ(M1) ・・・(数2)
Ip(M1)≧Ip(M2)−0.30[eV] ・・・(数3)
[2]前記色素の表面エネルギーγ(M1)と、前記n型半導体化合物の表面エネルギーγ(M2)との差が10mJ/cm2以上であることを特徴とする[1]に記載の光電変換素子。
[3]前記色素がアゾ系染料であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の光電変換素子を有する太陽電池モジュール。
本発明により、高い耐光性を備えた光電変換素子又は太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明に係る光電変換素子は、素子基板上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有する。
図1は、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を示す。図1に示すように、本発明に係る光電変換素子の一実施形態は、素子基板106上に、下部電極101と、バッファ層102と、活性層103と、バッファ層104と、上部電極105と、が順次形成された層構造を有する。
本発明において、下部電極とは、素子基板106側に積層される電極を意味し、上部電極とは、素子基板106をボトムとした際に、下部電極よりも上部に積層される電極を意味する。本発明においては、下部電極101及び上部電極105を合わせて一対の電極と称す場合がある。なお、一対の電極のうち、一方の電極は、活性層103で発生した電子を捕集する機能を有するカソードであり、他方の電極は、活性層103で発生した正孔を捕集する機能を有するアノードである。すなわち、下部電極101をカソードとする場合、上部電極105をアノードとし、下部電極101をアノードとする場合、上部電極105をカソードとすればよい。
また、上述の通り、図1の実施形態に係る光電変換素子は、下部電極101と活性層103との間、及び上部電極105と活性層103との間に、それぞれバッファ層を有する。なお、本発明においては、便宜上、下部電極101と活性層103との間のバッファ層102を下部バッファ層と称する場合があり、上部電極105と活性層103との間のバッファ層104を上部バッファ層と称す場合がある。
下部バッファ層102及び上部バッファ層104のうち、一方のバッファ層は、活性層103で発生した正孔の輸送効率を向上させる正孔取り出し層であり、他方のバッファ層は活性層103で発生した電子の輸送効率を向上させる電子取り出し層である。そのため、下部電極101をカソードとし、上部電極をアノードとする場合、下部バッファ層102を電子取り出し層とし、上部バッファ層104を正孔取り出し層とすることが好ましい。一方、下部電極101をアノードとし、上部電極をカソードとする場合、下部バッファ層102を正孔取り出し層とし、上部バッファ層104を電子取り出し層とすることが好ましい。なお、本発明においては、必ずしも下部バッファ層102及び上部バッファ層104の両方の層を有する必要はなく、少なくとも一方のバッファ層のみを有していてもよい。また、本発明に係る光電変換素子は、上記以外の別の層を任意で有していてもよい。以下、光電変換素子の各構成部材について説明する。
<1−1.素子基板106>
光電変換素子107を構成する各層は、通常、支持体となる素子基板106上に形成される。素子基板106の材料に特段の制限は無い。素子基板106の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料、樹脂材料、又はステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料が挙げられる。なかでも、取扱い性、及び太陽電池モジュールの設置の自由度の観点から素子基板106は樹脂材料により形成されていることが好ましい。
樹脂材料としては、限定されるわけではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂が挙げられる。
が挙げられる。
素子基板106の膜厚は、特段の制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。素子基板の膜厚が5μm以上であることは、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。
なお、太陽電池において、素子基板106側を受光面とする場合、素子基板106は透光性を有することが好ましい。本発明において、透光性を有するとは可視光線透過率が40%以上であることを意味する。なお、素子基板106の可視光線透過率は70%以上であるとより多くの光を活性層103に到達させることができるために好ましい。素子基板106の可視光線透過率は、JIS R3106:1998に定義された方法により測定することができる。一方、太陽電池において、光電変換素子107の上部電極105側を受光面とする場合、素子基板106は透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。但し、窓等に太陽電池を設置する場合は、シースルー型の太陽電池とすることが好ましく、この場合、受光面に関わらず、素子基板106は透光性を有していることが好ましい。
<1−2.一対の電極(101、105)>
上述の通り、本発明に係る光電変換素子は、下部電極101及び上部電極105から構成される一対の電極を有する。
下部電極101及び上部電極105の形成材料は特段の制限はなく、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO);金、白金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム又はコバルト等の金属あるいはその合金が挙げられる。上記のなかでも、アノードは、比較的、仕事関数の大きな材料を用いて形成することが好ましく、カソードは比較的仕事関数の小さな材料を用いて形成することが好ましい。なお、光電変換素子が、下部バッファ層102及び/又は上部バッファ層104を有する場合、これらバッファ層材料を調整することにより、下部電極101及び上部電極105を同じ材料を使用して形成することもできる。
下部電極101及び上部電極105はそれぞれ単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
また、一対の電極のうち少なくとも一方の電極は透光性を有していることが好ましい。例えば、素子基板106側の太陽光の受光面とする場合、下部電極101は透光性を有していることが好ましく、上部電極105は透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。また、上部電極105側を太陽光の受光面とする場合は、上部電極105は透光性を有していることが好ましく、下部電極101は透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。なお、光電変換素子をシースルー型とする場合は、下部電極101及び上部電極105はともに透光性を有していることが好ましい。
透光性を有する電極とする場合、上述のような金属酸化物を用いて電極を形成すればよい。また、金属酸化物を含む層と薄い金属層とを積層させた構造であってもよい。
下部電極101及び上部電極105の膜厚は特段の制限はないが、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは、20nm以上であり、一方、通常2μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。
下部電極101及び上部電極105のシート抵抗は、特段の制限はないが、通常0.1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
下部電極101及び上部電極105の形成方法は、特段の制限はなく、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空成膜方法;又はナノ粒子や前駆体を含有する塗布液を塗布して成膜する湿式成膜法が挙げられる。
<1−3.活性層103>
活性層103は、p型有機半導体化合物とn型の半導体化合物とを含有し、光電変換が行われる層である。すなわち、光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収され、p型有機半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電荷が発生し、発生した電荷がアノード及びカソードから取り出される。なお、本発明において、活性層103は、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、が混合した層(混合層)であるバルクヘテロ型接合型の活性層であり、さらに、色素を含有する。
p型の有機半導体化合物は、特段の制限はなく、p型の低分子有機半導体化合物、p型の有機半導体オリゴマー、及びp型の有機半導体ポリマーが挙げられる。
p型の低分子有機半導体化合物は、特段の制限はないが、テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;ナフタロシアニン化合物;テトラセンやペンタセンのポリアセン等が挙げられる。
p型の有機半導体オリゴマーは特段の制限はないが、セキシチオフェン等のオリゴチオフェン又はこれら化合物を骨格として含む誘導体等が挙げられる。
p型の有機半導体ポリマーは、特段の制限はないが、ポリ(3−アルキルチオフェン)などを含むポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリトリアリルアミン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、チオフェン環又はチオフェン縮合環を含むポリマー等が挙げられる。より具体的には、国際公開第2011/016430号パンフレット、国際公開第2013/180243号パンフレット、日本国特開2012−191194号公報、国際公開第2017/047808号パンフレット等に記載される公知のp型有機半導体ポリマーが挙げられる。
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、例えば、フラーレン;フラーレン誘導体;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体;アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、n型ポリマー(n型高分子半導体材料)等が挙げられる。
これらのn型半導体化合物のなかでも、n型有機半導体化合物が好ましい。具体的には、フラーレン誘導体、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体又はn型高分子半導体材料が好ましく、フラーレン誘導体、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はn型高分子半導体化合物がより好ましく、フラーレン誘導体が特に好ましい。これらの化合物としては、特段の制限はないが、例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを使用することができる。なお、上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
活性層103中のp型有機半導体化合物とn型半導体化合物の割合は特段の制限はないが、p型有機半導体化合物100質量部に対するn型半導体化合物の量は、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、一方、500質量部以下であることがより好ましく、300質量部以下であることが特に好ましい。
上述の通り、活性層103は、p型有機半導体化合物、及びn型半導体化合物の他に特定の色素を含有する。なお、本発明において、色素とは可視光に吸収を持ち、かつ電荷分離に直接寄与しない有機材料を意味するものとする。電荷分離に直接寄与しないとは、色素の吸収により生成された励起子による発電への寄与が実質的に無視できるという意味であり、活性層が色素を含有しない場合と比較して、活性層がp型有機半導体化合物及びn型半導体化合物からなる固形成分に対して1質量%の色素を含有する際の分光感度の積分値の増分が5%以下であることを意味するものとする。簡易的には色素添加前後における短絡電流密度の変化幅で評価することができる。
具体的に、活性層103は、色素の表面エネルギーγ(M1)と、n型半導体化合物の表面エネルギーγ(M2)と、p型有機半導体化合物の表面エネルギーγ(M3)が下記数式(数1)又は下記数式(数2)の関係を満たし、色素のイオン化ポテンシャルIp(M1)とn型半導体化合物のイオン化ポテンシャルIp(M2)とが下記数式(数3)の関係を満たす色素を含有する。
γ(M1)>γ(M2)>γ(M3) ・・・(数1)
γ(M3)>γ(M2)>γ(M1) ・・・(数2)
Ip(M1)≧Ip(M2)−0.3[eV] ・・・(数3)
活性層103が、上記数式を満たす色素を含有することにより、高い耐光性を備えた光電変換素子を提供できるものと考えられる。この理由について下記に説明する。
公知の日本国特開2014−154653号公報、又は“ADVANCED ENERGY MATERIALS,2011,1,588−598”では、色素を含有する活性層の例について記載されているが、いずれの公知文献においても、色素は、p型有機半導体化合物とn型半導体化合物の界面に存在することが好ましいことが記載されている。例えば、公知のADVANCED ENERGY MATERIALS,2011,1,588−598によれば、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、色素と、を含有する活性層において、p型有機半導体化合物の表面エネルギーがn型半導体化合物の表面エネルギーよりも大きく、色素の表面エネルギーがn型半導体化合物の表面エネルギーよりも小さければ、色素はn型半導体のドメインに存在することが記載されている。しかしながら、本発明においては、上記数式(数1)又は(数2)を満たすことにより、色素がn型半導体ドメインに多く存在するものと推定される。すなわち、従来とは異なり、本発明においては、色素はn型半導体化合物のドメインに偏析しており、当該色素がn型半導体化合物のドメインに偏析していることで光電変換素子の電子輸送能低下を防いでいると考えている。この理由は明らかではないが、下記の理由が考えられる。
有機薄膜太陽電池は光を吸収すると、活性層内部のn型半導体化合物に電子トラップが形成されてしまうために電子輸送能が低下し、蓄積したキャリアにより内部電場がスクリーニングされる。その結果、電荷取出し効率が悪くなってしまい、有機薄膜太陽電池の変換効率が徐々に低下してしまうと考えられている。しかしながら、本発明においては、上述の通り、n型半導体ドメインに偏析された色素が可視光を吸収することにより、形成された電子トラップが埋められると考えられる。ここで、本発明者らが鋭意検討を行った結果、色素とn型半導体化合物のイオン化ポテンシャルの関係が上記数式(数3)を満たすことで、色素分子が励起されて、n型半導体化合物に形成されたトラップをドーピングすることができる、あるいはドーピングした後にn型半導体の基底状態の電子を受け取り、色素自体の吸収も相まってn型半導体の励起状態に電子を励起することができると考えられる。その結果、高い耐光性を有する光電変換素子を提供できるものと考えられる。
なかでも、色素をよりn型半導体化合物ドメインに偏析させるために、色素の表面エネルギーγ(M1)と、n型半導体化合物の表面エネルギーγ(M2)との差は、10mJ/m2以上であることが好ましく、15mJ/m2以上であることがより好ましく、20mJ/m2以上であることがさらに好ましく、30mJ/m2以上であることが特に好ましく、一方、上限はないが、通常、60mJ/m2以下である。
また、上記数式(数1)及び上記数式(数2)の中でも、特に上記数式(数1)を満たすことが好ましい。この場合、色素の表面エネルギーは、35mJ/m2以上であることが好ましく、60mJ/m2以上であることが特に好ましく、一方、通常、100mJ/m2以下である。
なお、活性層103が複数のp型有機半導体化合物及び/又はn型半導体化合物を含有する場合、上記数式(数1)において、γ(M2)は、活性層103中のn型半導体化合物の中で、最も表面エネルギーの大きいn型半導体化合物の表面エネルギーを表し、γ(M3)は、活性層103中のp型有機半導体化合物の中で、最も表面エネルギーの大きいp型有機半導体化合物の表面エネルギーを意味するものとする。一方、上記数式(数2)においては、活性層103が複数のp型有機半導体化合物及び/又はn型半導体化合物を含有する場合、γ(M2)は、活性層103中のn型半導体化合物の中で最も表面エネルギーの小さいn型半導体化合物の表面エネルギーを表し、γ(M3)は、活性層103中のp型有機半導体化合物の中で最も表面エネルギーの小さいp型有機半導体化合物の表面エネルギーを意味するものとする。
また、活性層103が複数のn型半導体化合物を含有する場合、上記数式(数3)において、n型半導体化合物のイオン化ポテンシャルIp(M2)は上記数式(数1)又は(数2)において参照された表面エネルギーを有するn型半導体化合物のイオン化ポテンシャルを意味するものとする。
また、上述のドーピング効果を高めるために、上記数式(数3)の中でも、下記数式(数4)を満たすことがさらに好ましく、下記数式(数5)を満たすことが特に好ましい。
Ip(M1)≧Ip(M2)−0.25[eV] ・・・(数4)
Ip(M1)≧Ip(M2)−0.20[eV] ・・・(数5)
また、特段の制限はないが、下記数式(数6)を満たすことが好ましく、下記数式(数7)を満たすことがさらに好ましく、下記数式(数8)を満たすことが特に好ましい。
Ip(M2)+0.9[eV]≧Ip(M1)・・・(数6)
Ip(M2)+0.7[eV]≧Ip(M1)・・・(数7)
Ip(M2)+0.5[eV]≧Ip(M1)・・・(数8)
なお、本発明において、各化合物及び色素の表面エネルギーは、前記化合物及び前記色素の薄膜の上でのイオン交換水の接触角より、算出することができる。前記測定の方法としては、例えば、前記化合物及び前記色素の薄膜を形成し、大気下の室温(25℃)条件下において液滴法で測定したイオン交換水の接触角を測定する方法が挙げられる。接触角の測定には、例えば、全自動接触角計(協和界面科学株式会社製)を用いることができる。測定された接触角の結果から表面エネルギーを算出する。なお、イオン交換水は、例えば、純水製造装置(ADVANTEC社製、GSH−500)を用いて作製することができる。前記イオン交換水の温度25℃における抵抗率は17MΩ/cm以上にする。前記表面エネルギーは、従来公知の方法、例えば、Journal of Colloid and Interface Science;137;1990;304等を参考にして算出することができる。
また、本発明において、各化合物及び色素のイオン化ポテンシャル(IP)は市販のGaussian09プログラムを用いた量子化学計算により求めることが出来る。B3LYP/6−31G(d、p)で構造最適化して基底状態のエネルギー計算を行い、イオン化ポテンシャルを求めることができる。
また、色素は、活性層103中に存在するために、光電変換素子の製造プロセス中に揮発しないものが好ましい。そのため、色素の昇華温度は150以上であることが好ましい。
上述の条件を満たす範囲において、特段の制限はなく、色素としては、具体的に染料又は顔料が挙げられる。
染料としては、特段の制限はないが、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、シアニン系染料、トリアリールメタン系染料、ジピロメテン系染料、キサンテン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー25、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.バットブルー5、特開2002−14222号公報、特開2005−134759号公報、特開2010−191358号公報、特開2011−148950号公報に記載のもの等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
また、トリアリールメタン系染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー86、C.I.アシッドブルー88、C.I.アシッドブルー108、国際公開第2009/107734号パンフレット、国際公開第2011/162217号パンフレットなどに記載のものが挙げられる。
更に、シアニン系染料としては、例えば、国際公開第2011/162217号パンフレットに記載のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
ジピロメテン系染料としては、例えば、特開2008−292970号公報、特開2010−84009号公報、特開2010−84141号公報、特開2010−85454号公報、特開2011−158654号公報、特開2012−158739号公報、特開2012−224852号公報、特開2012−224849号公報、特開2012−224847号公報、特開2012−224846号公報などに記載のものが挙げられる。
キサンテン系染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド50、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289、特許第3387541号公報、特開2010−32999号公報、特許第4492760号公報、「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968年)326頁〜348頁に記載のものなどが挙げられる。
顔料としては特段の制限はないが、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、2種以上の顔料を組み合わせて色調を調整してもよい。なお、顔料の構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。無機顔料としては、特段の制限はないが、例えば、金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子が挙げられる。これらのナノ粒子の金属としては、金、銀、アルミニウム、ニッケル、コバルト等が挙げられる。
以下に、本発明に使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。 緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58を挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71を挙げることができる。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
上記の中でも、好ましい色素としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料又はトリアリールメタン系染料が挙げられ、アゾ系染料が特に好ましい。
活性層中のp型半導体化合物及びn型半導体化合物に対する色素の量は、特段の制限はないが、色素添加による耐光性向上効果を得るために、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1以上であることがさらに好ましく、0.3以上であることが特に好ましく、一方、色素によってn型半導体本来の電荷輸送性能が妨げられるのを防ぐために、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
なお、活性層103は、複数の色素を含有していてもよい。
活性層103の膜厚は特に限定されないが、膜の均一性を確保し電極間の短絡を防ぐために、通常50nm以上であり、好ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上であり、一方、内部抵抗を小さくして、効率良く電荷の拡散を行うために、通常1000nm以下であり、好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは400nm以下である。
活性層103の形成方法は、特段の制限はなく、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、色素と、溶媒と、を含有する活性層形成用塗布液を用いて湿式成膜法により形成することができる。なお、色素が活性層形成用塗布液に用いられる溶媒に不溶な場合は、予め色素を溶解する適切な溶媒に溶かしてから、p型半導体化合物及びn型半導体化合物を含有する液に加えることで活性層形成用塗布液を作製することができる。
湿式成膜法としては、特段の制限はなく、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
溶媒は、特段の制限はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、テトラリン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。なお、溶媒は1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。
なお、色素を溶解する溶媒としては、特段の制限はないが、活性層材料を適度に溶解するものが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が挙げられ、なかでも、エタノールが挙げられる。
塗布液中の、p型有機半導体化合物、n型半導体化合物及び色素の割合は特段の制限はなく、所望の活性層を得るために、適宜、調整すればよい。
また、活性層103の形成方法は上記に限定されず、例えば、p型有機半導体化合物及びn型半導体化合物とを含有する活性層上に、該活性層へ染み込むような溶剤を用いた上部バッファ層塗布液を用い、前記上部バッファ層塗布液へ色素を添加しておくことで、上部バッファ層塗布時に活性層中へ色素を添加することができる。通常、活性層のp型、n型半導体化合物は疎水性であることから、上部バッファ層塗布液は活性層を溶解しない親水性の溶媒を用いることが多い。この場合、上部バッファ層形成用塗布液の溶媒には、活性層103を形成するn型半導体化合物を適度に溶解する溶媒を含むことが好ましい。具体的には25℃におけるn型半導体化合物のそれぞれの溶解度が0.01mg/mL以上である溶媒を含むことが好ましい。このような溶媒として、例えば、親水性の溶媒と相溶性のある有機溶剤が挙げられ、なかでも、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、アセトンなどが挙げられる。なお、この場合、上部バッファ層用塗布液中の固形成分に対する色素濃度は、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが特に好ましく、一方、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。なお、本発明において、上部バッファ層塗布液に疎水性の溶媒を用いることも可能であり、その場合においてもn型半導体化合物を適度に溶解することが好ましい。
<1−4.バッファ層(下部バッファ層102、上部バッファ層104)>
上述の通り、本実施形態に係る光電変換素子は、下部電極101と活性層103との間に下部バッファ層102を有し、上部電極105と活性層103との間に上部バッファ層104を有する。
電子取り出し層の材料は、活性層103からカソードへ電子の取り出し効率を向上させる材料であれば特段の制限はないが、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソードと組み合わされた際にカソードの仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
正孔取り出し層の材料に特に限定は無く、活性層103からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物、ナフィオン、後述のp型半導体等が挙げられる。その中でも好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
下部バッファ層102及び上部バッファ層104の膜厚は、それぞれ、通常0.1nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。各バッファ層の膜厚が上記の範囲内であれば、活性層103から電荷が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
下部バッファ層102及び上部バッファ層104の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式塗布法等により形成することができる。
なお、バッファ層を塗布法により形成する場合、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程での塗布むら等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1−5.光電変換素子の製造方法>
図1に示される構成を有する光電変換素子107は、各層について説明した上述の方法に従い、素子基板106上に、下部電極101、下部バッファ層102、活性層103、上部バッファ層104、及び上部電極105を順次積層することにより作製することができる。
下部電極101及び上部電極105を積層した後に、光電変換素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する)。
アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子の各層間の密着性、例えば、下部バッファ層102と下部電極101及び/又は下部バッファ層102と活性層103の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上し得る。また、アニーリング処理工程により、活性層の自己組織化が促進され得る。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、活性層103内の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内で段階的な加熱を行ってもよい。
加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
本発明に係る光電変換素子を構成する各層は、特段の制限はなく、シート・ツー・シート(枚葉)方式、又はロール・ツー・ロール方式で形成することができる。
<2.太陽電池モジュール>
上述の実施形態に係る光電変換素子は、太陽電池モジュールとして使用することが好ましい。なお、太陽電池モジュールは、光電変換素子が水や酸素等により劣化するのを防止するために、ガスバリア層等により封止されていることが好ましい。また、光電変換素子で発電した電気を外部に取り出すために集電線を有していることが好ましい。
図2は、本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、太陽電池モジュールは、素子基板206及び光電変換素子207に加えて、ガスバリア層201、202と、封止層203、204と、集電線205と、を有している。
太陽電池モジュールを構成するガスバリア層201、202、封止層203、204、集電線205の材料及び積層方法等は特段の制限はなく、公知の技術を使用することができる。例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを使用することができる。なお、太陽電池モジュールの構成は、図2の構造に限定されるものではなく、光電変換素子により発電可能である限りにおいてどのような構造であってもよい。また、図2においては、素子基板206側(ガスバリア層201側)を太陽光の入射面としているが、本発明はこれに限定されず、光電変換素子207側(ガスバリア層202側)を太陽光の受光面としてもよい。
本発明に係る太陽電池モジュールの用途に特段の制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、建材用太陽電池、車両用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等が挙げられる。
なかでも、本発明に係る太陽電池モジュールは、建物や車両等の、窓、ドア、壁面、又は天井等のガラス等、パーティション等の被着体に貼り付けて使用することが好ましい。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。本実施例に記載の項目は以下の方法によって測定した。
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。分子量分布(PDI)は、Mw/Mnを表す。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定は以下の条件で行った。
カラム:PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm,内径7.5mm,長さ30cm)を2本直列に接続して使用 ポンプ:LC−10AT(島津製作所社製) オーブン:CTO−10A(島津製作所社製)
検出器:示差屈折率検出器(島津製作所社製,RID−10A)及びUV−vis検出器(島津製作所社製,SPD−10A)
サンプル:試料1mgをクロロホルム(200mg)に溶解させた液1μL
移動相:クロロホルム
流速:1.0mL/min
解析:LC−Solution(島津製作所社製)
(光電変換素子の評価)
光電変換素子に4mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cm2のソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)、形状因子FF、光電変換効率PCE(%)を算出した。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm2)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
(各化合物の表面エネルギーの測定)
後述する色素1〜8及びp型の表面エネルギーを測定する方法を示す。色素1、2、5、6、7,8においては2質量%の水溶液を作製し、色素3、4においては2質量%のトルエン溶液を作製し、1000rpmで120秒間スピンコート法により成膜し、色素薄膜を得た。得られた色素薄膜の表面エネルギーを前述の方法にて大気下室温(25℃)条件下で測定した。得られた結果を表1に示す。また、同様の方法により、後述するp型有機半導体ポリマーであるナフトビスチアジアゾール単位及びベンゾジチオフェン単位を含むコポリマー及びn型半導体化合物であるPC61BMとPC71BMとの混合物2質量%トルエン溶液をそれぞれ作製し、表面エネルギーを測定した結果を表2に示す。
(各化合物のイオン化ポテンシャルの測定)
後述する色素1〜8及びn型半導体化合物に関して、B3LYP/6−31G(d、p)で構造最適化して基底状態のエネルギー計算を行い、市販のGaussian09プログラムを用いた量子化学計算により求めた。色素1〜8のイオン化ポテンシャルの値を表1に示す。また、n型半導体化合物であるPC61BMのイオン化ポテンシャル及びPC71BMのイオン化ポテンシャルの結果を表2に示す。
(活性層用塗布液P1の作製)
p型有機半導体ポリマーとして、公知の国際公開第2017/047808号パンフレットに記載の方法に基づき合成した重量平均分子量113,000のナフトビスチアジアゾール単位及びベンゾジチオフェン単位を含むコポリマーと、n型半導体化合物であるPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物とを、質量比が1:1.8となるように混合した。得られた混合物を、溶媒1mLに対して45mgとなるように窒素雰囲気中で溶媒に溶解させて活性層用塗布液P1を作製した。なお、溶媒はトルエンとテトラリンとの混合溶媒(体積比9:1)を使用した。
(活性層用塗布液P2の作製)
エタノール中に、下記式(1)で表わされる色素1を2質量%の固形分濃度となるように溶解させた溶液Q1を、活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素1の固形分濃度が0.3質量%となるように、上述の活性層用塗布液P1へ添加し活性層用塗布液P2を作製した。
Figure 0006864261
(活性層用塗布液P3の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素1の固形成分濃度が0.5質量%の濃度となるように、溶液Q1を活性層用塗布液P1へ添加した以外は活性層用塗布液P2と同様の方法により活性層用塗布液P3を作製した。
(活性層用塗布液P4の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素1の固形成分濃度が1.0質量%の濃度となるように、溶液Q1を活性層用塗布液P1へ添加した以外は活性層用塗布液P2と同様の方法により活性層用塗布液P4を作製した。
(活性層用塗布液P5の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素1の固形成分濃度が3.0質量%の濃度となるように、溶液Q1を活性層用塗布液P1へ添加した以外は活性層用塗布液P2と同様の方法により活性層用塗布液P5を作製した。
(活性層用塗布液P6の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素1の固形成分濃度が5.0質量%の濃度となるように、溶液Q1を活性層用塗布液P1へ添加した以外は活性層用塗布液P2と同様の方法により活性層用塗布液P6を作製した。
(活性層用塗布液P7の作製)
下記式(2)で表わされる色素2の固形分濃度が2質量%となるように、エタノール中に色素2を溶解させて溶液Q2を得た。この溶液Q2を、活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素2の固形分濃度が0.3質量%となるように活性層用塗布液P1へ添加し活性層用塗布液P7を作製した。
Figure 0006864261
(活性層用塗布液P8の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素2の固形成分濃度が0.5質量%の濃度となるように、溶液Q2を活性層用塗布液P1へ添加した以外は活性層用塗布液P7と同様の方法により活性層用塗布液P8を作製した。
(活性層用塗布液P9の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素2の固形成分濃度が1.0質量%の濃度となるように、溶液Q2を活性層用塗布液P1へ添加した以外は活性層用塗布液P7と同様の方法により活性層用塗布液P9を作製した。
(活性層用塗布液P10の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素2の固形成分濃度が3.0質量%の濃度となるように、溶液Q2を活性層用塗布液P1へ添加した以外は活性層用塗布液P7と同様の方法により活性層用塗布液P10を作製した。
(活性層用塗布液P11の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対する色素2の固形成分濃度が5.0質量%の濃度となるように、溶液Q2を活性層用塗布液P1へ添加した以外は活性層用塗布液P7と同様の方法により活性層用塗布液P11を作製した。
(活性層用塗布液P12の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対し下記式(3)で表わされる色素3の固形分濃度が1.0質量%となるように、色素3を活性層用塗布液P1へ添加し、活性層用塗布液P12を作製した。
Figure 0006864261
(活性層用塗布液P13の作製)
活性層用塗布液P1の固形分濃度に対し下記式(4)で表わされる色素4の固形分濃度が1.0質量%となるように色素4を活性層用塗布液P1へ添加し、活性層用塗布液P14を作製した。
Figure 0006864261
(上部バッファ層用塗布液H2の作製)
PEDOT:PSSの水分散液に、エタノール50質量%、イソプロピルアルコール20質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル10質量%を加えた2質量%のPEDOT:PSS分散液である上部バッファ層用塗布液H1に、固形成分であるPEDOT:PSSに対する濃度が10.0質量%となるように色素1を添加し、正孔取り出し層用塗布液である上部バッファ層用塗布液H2を作製した。
(上部バッファ層用塗布液H3の作製)
上部バッファ層用塗布液H1に、固形成分であるPEDOT:PSSに対する濃度が10.0質量%となるように色素2を添加し、上部バッファ層用塗布液H3を作製した。
(上部バッファ層用塗布液H4の作製)
上部バッファ層用塗布液H1に、固形成分であるPEDOT:PSSに対する濃度が10.0質量%となるように下記式(5)で表わされる色素5を添加し、上部バッファ層用塗布液H4を作製した。
Figure 0006864261
(上部バッファ層用塗布液H5の作製)
上部バッファ層用塗布液H1に、固形成分であるPEDOT:PSSに対する濃度が10.0質量%となるように下記式(6)で表される色素6を添加し、上部バッファ層用塗布液H5を作製した。
Figure 0006864261
(上部バッファ層用塗布液H6の作製)
上部バッファ層用塗布液H1に、固形成分であるPEDOT:PSSに対する濃度が10.0質量%となるように下記式(7)で表される色素7を添加し、上部バッファ層用塗布液H6を作製した。
Figure 0006864261
(上部バッファ層用塗布液H7の作製)
上部バッファ層用塗布液H1に、固形成分であるPEDOT:PSSに対する濃度が10.0質量%となるように下記式(8)で表わされる色素8を添加し、上部バッファ層用塗布液H7を作製した。
Figure 0006864261
<実施例1:光電変換素子の作製及び評価>
インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでイソプロパノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローでの乾燥及びUV−オゾン処理を行った。
アクリル酸亜鉛(和光純薬製)500mgをエタノール(和光純薬製)7.77gに溶解させ、この溶液を1時間撹拌した。その後、この溶液をガラス基板の上に2000rpmの速度によりスピンコートし、150度で5分加熱することにより、電子取り出し層である厚さ50nmの酸化亜鉛含有層を形成した。
電子取り出し層を形成したガラス基板をグローブボックスに持ち込み、窒素雰囲気下150℃で3分間加熱処理し、冷却後に上述のように作製した活性層用塗布液P2(0.06mL)を500rpmの速度にてスピンコートすることにより膜厚350nmの活性層を形成した。その後、この基板を140度で10分加熱した。
さらに、活性層上に、上部バッファ層用塗布液H1を1000rpmの速度でスピンコートし、その後150℃で10分加熱することにより上部バッファ層である正孔取り出し層を形成した。なお、得られた正孔取り出し層の膜厚は300nmであった。
次に、厚さ30nmのIZO膜、8nmの銀膜、及び40nmのIZO膜を真空スパッタ法により順次成膜することにより正孔取り出し層上に上部電極を形成し、5mm角の光電変換素子を作製した。
次に、窒素中において光電変換素子の周囲にUV硬化性樹脂を塗布し、その上部からガラス封止板を載せ、樹脂をUV硬化させて、光電変換素子を封止した。
上述の方法により得られた光電変換素子の光電変換効率(PCE)を測定した。また、光電変換素子の耐光性を評価するために、耐光性試験として、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cm2のソーラシミュレータで露光し、下記式に示すように変換効率の維持率が80%となった時間(T80)を算出した。得られた結果を表1に示す。なお、表1中において、T80(h)欄の数値は、変換効率の維持率が80%となった時間を表すが、T80(h)の欄が○となっているものは、500時間露光後も、変換効率の維持率が80%より大きくなっていることを意味する。すなわち、T80(h)の欄が○のものは、500時間露光した後でも、初期の変換効率の低下が少ない耐光性の高い光電変換素子であることを示している。
(変換効率の維持率)=((露光後の変換効率)/(初期の変換効率))×100
<実施例2:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P3を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例3:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P4を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、活性層が色素を含有しない場合の短絡電流密度に対する活性層が色素1を含有していた場合(活性層の固形成分に対して1質量%)の短絡電流密度の変化率は2.6%であった。
<実施例4:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P5を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例5:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P6を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例1:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P1を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例6:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P7を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例7:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P8を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例8:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P9を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、活性層が色素を含有しない場合の短絡電流密度に対する活性層が色素2を含有していた場合(活性層の固形成分に対して1質量%)の短絡電流密度の変化率は3.1%であった。
<実施例9:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P10を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例10:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P11を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例2:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P12を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、活性層が色素を含有しない場合の短絡電流密度に対する活性層が色素3を含有していた場合(活性層の固形成分に対して1質量%)の短絡電流密度の変化率は3.8%であった。
<比較例3:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P13を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、活性層が色素を含有しない場合の短絡電流密度に対する活性層が色素4を含有していた場合(活性層の固形成分に対して1質量%)の短絡電流密度の変化率は35.6%であった。
<実施例11:光電変換素子の作製・評価>
活性層用塗布液P2の代わりに活性層用塗布液P1を使用し、上部バッファ層用塗布液H1の代わりに上部バッファ層用塗布液H2を用いた以外は、実施例1と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。なお、得られた光電変換素子の活性層には色素が含有されていることが確認された。この理由としては、上部バッファ層形成用組成物中の色素が活性層中に浸透していたものと考えられる。得られた結果を表1に示す。
<実施例12:光電変換素子の作製・評価>
上部バッファ層用塗布液H2の代わりに上部バッファ層用塗布液H3を使用した以外は、実施例11と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた光電変換素子の活性層には色素が含有されていることが確認された。この理由としては、上部バッファ層形成用組成物中の色素が活性層中に浸透していたものと考えられる。得られた結果を表1に示す。
<実施例13:光電変換素子の作製・評価>
上部バッファ層用塗布液H2の代わりに上部バッファ層用塗布液H4を使用した以外は、実施例11と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた光電変換素子の活性層には色素が含有されていることが確認された。この理由としては上部バッファ層形成用組成物中の色素が活性層中に浸透していたものと考えられる。得られた結果を表1に示す。なお、活性層が色素を含有しない場合の短絡電流密度に対して、活性層が固形成分に対して色素5を1質量%含有する場合の短絡電流密度の変化率は5%以下であった。
<比較例4:光電変換素子の作製・評価>
上部バッファ層用塗布液H2の代わりに上部バッファ層用塗布液H5を使用した以外は、実施例11と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた光電変換素子の活性層には色素が含有されていることが確認された。この理由としては、上部バッファ層形成用組成物中の色素が活性層中に浸透していたものと考えられる。得られた結果を表1に示す。なお、活性層が色素を含有しない場合の短絡電流密度に対して、活性層が固形成分に対して色素6を1質量%含有する場合の短絡電流密度の変化率は5%以下であった。
<比較例5:光電変換素子の作製・評価>
上部バッファ層用塗布液H2の代わりに上部バッファ層用塗布液H6を使用した以外は、実施例11と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた光電変換素子の活性層には色素が含有されていることが確認された。この理由としては、上部バッファ層形成用組成物中の色素が活性層中に浸透していたものと考えられる。得られた結果を表1に示す。なお、活性層が色素を含有しない場合の短絡電流密度に対して、活性層が、固形成分に対して色素7を1質量%含有する場合の短絡電流密度の変化率は5%以下であった。
<比較例6:光電変換素子の作製・評価>
上部バッファ層用塗布液H2の代わりに上部バッファ層用塗布液H7を使用した以外は、実施例11と同様の方法により光電変換素子を作製し、同様の評価を行った。得られた光電変換素子の活性層には色素が含有されていることが確認された。この理由としては、上部バッファ層形成用組成物中の色素が活性層中に浸透していたものと考えられる。得られた結果を表1に示す。なお、活性層が色素を含有しない場合の短絡電流密度に対して、活性層が固形成分に対して色素8を1質量%含有する場合の短絡電流密度の変化率は5%以下であった。
Figure 0006864261
Figure 0006864261
表1の結果から分かるように、活性層中に色素が添加されていない比較例1により得られた光電変換素子に対して、活性層が特定の色素を含有している実施例1〜10により得られた光電変換素子は、高い耐光性を有することが分かる。また、実施例11〜13に示すように、特定の色素を含有する上部バッファ層用塗布液を用いて光電変換素子を作製した場合も、該色素が活性層中に浸透し、その結果、実施例1〜10と同様に高い耐光性を有する光電変換素子が得られることが分かる。この理由としては、活性層中において、該色素がn型半導体化合物のドメインに偏析しており、適切に電子トラップを補うことができたためであると考えられる。一方、比較例2及び3により得られた光電変換素子に関しては、p型有機半導体ポリマーとn型半導体化合物との界面に色素が多く存在することになり、実施例1〜13のような効果が得られなかったものと考えられる。また、比較例4〜6により得られた光電変換素子においては、色素がn型半導体ドメインに偏析しているものの、該色素のイオン化ポテンシャルの値が小さすぎるために実施例1〜13のような効果が得られなかったものと考えられる。
101 下部電極
102 下部バッファ層
103 活性層
104 上部バッファ層
105 上部電極
106、206 素子基板
107、207 光電変換素子
201、202 ガスバリア層
203、204 封止層
205 集電線

Claims (4)

  1. 一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有する光電変換素子であって、
    前記活性層は、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、色素と、を含有し、
    前記色素の表面エネルギーγ(M1)と、前記n型半導体化合物の表面エネルギーγ(
    M2)と、前記p型有機半導体化合物の表面エネルギーγ(M3)が下記数式(数1)又
    は下記数式(数2)の関係を満たし、かつ
    前記色素のイオン化ポテンシャルIp(M1)と前記n型半導体化合物のイオン化ポテ
    ンシャルIp(M2)が下記数式(数3)の関係を満たしていることを特徴とする光電変
    換素子。
    γ(M1)>γ(M2)>γ(M3) ・・・(数1)
    γ(M3)>γ(M2)>γ(M1) ・・・(数2)
    Ip(M1)≧Ip(M2)−0.30[eV] ・・・(数3)
  2. 前記色素の表面エネルギーγ(M1)と、前記n型半導体化合物の表面エネルギーγ(
    M2)との差が10mJ/ 2 以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素
    子。
  3. 前記色素がアゾ系染料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する太陽電池モジュール。
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