JP2014178670A - フィルムミラー - Google Patents

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Abstract

【課題】砂塵に曝されても反射率の低下が抑制されるフィルムミラーを提供すること。
【解決手段】金属反射層付き樹脂基材と、ポリロタキサンを含有する表面被覆層とを有するフィルムミラー。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽光集光用に好適に用いることができるフィルムミラーに関する。
太陽光の反射装置には、太陽光による紫外線や熱、風雨、砂塵等に晒されるため、従来、ガラス製ミラーが用いられてきた。
しかしながら、ガラス製ミラーを用いる場合、輸送時に破損する問題や、ミラーを設置する架台に高い強度が要求されるため建設費がかさむといった問題があった。
このような問題を解決するために、近年では、ガラス製ミラーを樹脂製反射シート(フィルムミラー)に置き換えることが提案されている。
一方、フィルムミラー(特に太陽光集光用フィルムミラー)には、過酷な環境下で長時間使用されても、特性(反射率など)が低下し難いことが求められる。例えば、砂塵に曝されても反射率の低下が抑制されることが求められる。
このようななか、特許文献1の請求項1には、「基材上に反射層と最表面にハードコート層とを有する太陽熱発電用フィルムミラーにおいて、フッ素原子を有するレベリング剤が、前記最表面のハードコート層中の樹脂固形分の0.1質量%以上10質量%以下の割合で前記最表面のハードコート層に含まれていることを特徴とする太陽熱発電用フィルムミラー」が開示されている。特許文献1によると、このような態様とすることで耐傷性等に優れることが記載されている。
国際公開第2012/026312号
本発明者らが特許文献1を参照して、フッ素原子を有するレベリング剤を含むハードコート層を最表面に設けてフィルムミラーを製造したところ、砂塵試験後に反射率が大きく低下することが明らかとなった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、砂塵に曝されても反射率の低下が抑制されるフィルムミラーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、ポリロタキサンを含有する表面被覆層を設けることで、砂塵に曝されても反射率の低下が抑制されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 金属反射層付き樹脂基材と、ポリロタキサンを含有する表面被覆層とを有するフィルムミラー。
(2) 上記表面被覆層の厚みが、5μm以上である、上記(1)に記載のフィルムミラー。
(3) 上記表面被覆層中のポリロタキサンの含有量が、10質量%以上である、上記(1)または(2)に記載のフィルムミラー。
(4) 上記ポリロタキサンが、フッ素原子含有有機基を有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルムミラー。
(5) 上記表面被覆層中の上記フッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量が、0.5質量%以上30質量%未満である、上記(4)に記載のフィルムミラー。
(6) 太陽光集光用に用いられる上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルムミラー。
本発明によれば、砂塵に曝されても反射率の低下が抑制される(すなわち、砂塵耐性に優れる)フィルムミラーを提供することができる。
本発明のフィルムミラーの一実施態様を示す断面図である。 本発明のフィルムミラーの別の実施態様を示す断面図である。
本発明のフィルムミラーは、金属反射層付き樹脂基材と、ポリロタキサンを含有する表面被覆層とを有する。以下に、本発明のフィルムミラーについて説明する。
図1は、本発明のフィルムミラーの一実施態様の断面図である。
フィルムミラー100は、樹脂基材10と金属反射層12とを有する金属反射層付き樹脂基材20と、表面被覆層30とを有する。なお、通常、太陽光などの光は、表面被覆層30側から入射されて、金属反射層12表面上で反射する。
図1では、金属反射層付き樹脂基材20の金属反射層12上に表面被覆層30を有するが、図2に示すように、金属反射層付き樹脂基材20の樹脂基材10上に表面被覆層30を有してもよい。なお、図2に示すように、金属反射層付き樹脂基材20の樹脂基材10上に表面被覆層30を有する場合、金属反射層12上(金属反射層12の樹脂基材10を有する主面とは反対の主面上)に別の樹脂基材を有するのが好ましい。
以下に、フィルムミラーを構成する各層(金属反射層付き樹脂基材、表面被覆層など)について詳述する。
〔金属反射層付き樹脂基材〕
金属反射層付き樹脂基材は、樹脂基材の少なくとも一方の主面上に金属反射層が積層されたものであれば特に制限されない。
<樹脂基材>
樹脂基材は、金属反射層を積層できる樹脂基材であれば特に制限されない。
樹脂基材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド系樹脂;ポリエーテルサルフォン系樹脂;ポリエチレンサルファイド系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;スチレン系樹脂;セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂;等が挙げられる。
これらのうち、得られるフィルムミラーの耐候性の観点から、ポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂が好ましい。
樹脂基材の形状は平面状に制限されず、例えば、凹面状、凸面状などのいずれであってもよい。
樹脂基材の厚みはその形状によっても左右されるため特に限定されないが、樹脂基材が平面状である場合は、通常、25〜300μmであるのが好ましい。
<金属反射層>
金属反射層を構成する金属は特に制限されず、その具体例としては、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、In、Ga、Sn、Ge、Sb、Pb、Zn、Bi、Fe、Ni、Co、Mn、Tl、Cr、V、Ru、Rh、Ir、Al等が挙げられる。なかでも、得られるフィルムミラーの反射率の観点からから、Ag、NiまたはCuであることが好ましく、Agであることがより好ましい。
金属反射層を構成する金属がAg(銀)である場合、金属反射層中の銀の含有量は、金属反射層を構成する全金属に対して、30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることがさらに好ましく、95mol%以上であることが特に好ましく、100mol%であることが最も好ましい。
金属反射層の形状は特に制限されず、樹脂基材の主面の全てを覆う層であっても、一部を覆う層であってもよい。
金属反射層の厚みは特に制限されないが、フィルムミラーの反射率等の観点から、50〜500nmが好ましく、80〜300nmがより好ましい。
<金属反射層付き樹脂基材の製造方法>
金属反射層付き樹脂基材の製造方法は特に制限されないが、例えば、樹脂基材に対して公知の方法により金属反射層を形成する方法が挙げられる。
金属反射層を形成する方法としては、例えば、めっき法(無電解めっき、電気めっき)、金属錯体化合物を含有する溶液を塗布する方法(以下、「錯体塗布法」と略す。)、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。なかでも、樹脂基材と金属反射層との密着性の観点から、めっき法、錯体塗布方法が好ましい。
金属反射層付き樹脂基材の製造方法の好適な態様としては、例えば、(i)樹脂基材にプライマー層を形成し、(ii)形成したプライマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与し、(iii)めっき触媒またはその前駆体が付与されたプライマー層に対してめっきする方法、などが挙げられる。
上記方法により、例えば、樹脂基材と、金属反射層と、樹脂基材と金属反射層との間に配置されるプライマー層とを有する、金属反射層付き樹脂基材が得られる。
以下、上記(i)〜(iii)の各工程について詳述する。
(工程(i):プライマー層形成工程)
工程(i)は、樹脂基材にプライマー層を形成する工程である。
ここでプライマー層は、金属反射層付き樹脂基材における樹脂基材と金属反射層との間に配置される層であり、両者の密着性を高める層である。
プライマー層は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基および重合性基を有するポリマーを含む層に、加熱処理と光照射処理の少なくとも一方(以下、エネルギー付与ともいう)を施して得られる。
以下では、まず、使用されるポリマーについて詳述し、その後工程(i)の手順について詳述する。
プライマー層に使用されるポリマーには、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(以後、相互作用性基とも称する)および重合性基が含まれる。相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する基であり、金属反射層とプライマー層との密着性を高める役割を果たす。重合性基は、後述する加熱処理と光照射処理の少なくとも一方を施すことにより、架橋反応が進行し、プライマー層の強度を高めると共に、その一部が樹脂基材と反応して樹脂基材とプライマー層との密着性を高める役割を果たす。
重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、または、ポリマーと樹脂基材との間で化学結合を形成しうる官能基であればよい。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。なかでも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などが挙げられる。なかでも、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、なかでも、ラジカル重合反応性、合成汎用性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基がより好ましく、耐アルカリ性の観点から、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が更に好ましい。
相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する基であればその種類は特に制限されず、例えば、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、キナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホン酸塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフェート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、金属への吸着能が高いことから、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基またはシアノ基などの非解離性官能基がより好ましい。
ポリマー合成の容易性、および、樹脂基材と金属反射層との密着性の観点から、ポリマー中には下記式(1)で表されるユニット(繰り返し単位)、および、下記式(2)で表されるユニットが含まれることが好ましい。
式(1)中、R10は、水素原子またはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)を表す。
式(1)中、L2は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、置換若しくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
式(1)中、R11は、相互作用性基を表す。相互作用性基の定義、具体例および好適な態様は、上述のとおりである。
なお、ポリマー中においては、R11で表される相互作用性基の種類が異なる2種以上の式(1)で表されるユニットが含まれていてもよい。例えば、R11がイオン性極性基である式(1)で表されるユニットと、R11が非解離性官能基である式(1)で表されるユニットとが、ポリマー中に含まれていてもよい。
式(2)中、R12〜R15は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
12〜R15が、置換または無置換のアルキル基である場合、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。より具体的には、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、R12としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R13としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R14としては、水素原子が好ましい。R15としては、水素原子が好ましい。
式(2)中、L3は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基の具体例および好適な態様は、上記式(1)中のL2と同じである。
ポリマーの最好適範囲としては、下記式(A)で表されるユニットと、下記式(B)で表されるユニットと、下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体、下記式(A)で表されるユニットと下記式(B)で表されるユニットとを含む共重合体、下記式(A)で表されるユニットと下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体、などが挙げられる。
上記式(A)〜(C)中、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子、または、炭素数1〜4の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。X、Y、Z、およびUは、それぞれ独立して、単結合または2価の連結基を表す。L4、L5、およびL6は、それぞれ独立して、単結合または2価の連結基を表す。Wは、非解離性官能基からなる相互作用性基を表す。Vは、イオン性極性基からなる相互作用性基を表す。2価の連結基の具体例および好適な態様は、上記式(1)中のL2と同じである。
式(A)で表されるユニットにおいて、YおよびZは、それぞれ独立に、エステル基、アミド基、フェニレン基(−C64−)が好ましい。L4は、炭素数1〜10の置換または無置換の2価の有機基(特に、炭化水素基)であることが好ましい。
式(B)で表されるユニットにおいて、Wは、シアノ基またはエーテル基であることが好ましい。また、XおよびL5は、いずれも単結合であることが好ましい。
式(C)で表されるユニットにおいて、Vはカルボン酸基であることが好ましく、また、Vがカルボン酸基であり、且つ、L6がVと連結する部分において4員〜8員の環構造を含む態様が好ましく、更に、Vがカルボン酸基であり、且つ、L6の鎖長が6原子〜18原子である態様も好ましい。さらに、式(C)で表されるユニットにおいて、Vがカルボン酸基であり、且つ、UおよびL6が単結合であることも好ましい態様の1つである。なかでも、Vがカルボン酸基であり、且つ、UおよびL6のいずれも単結合である態様が最も好ましい。
式(A)〜式(C)で表されるユニットの含有量は、以下の範囲が好ましい。
すなわち、式(A)で表されるユニットと式(B)で表されるユニットと式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5〜50mol%:5〜40mol%:20〜70mol%であることが好ましく、10〜40mol%:10〜35mol%:20〜60mol%であることがより好ましい。
また、式(A)で表されるユニットと式(B)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット=5〜50mol%:50〜95mol%であることが好ましく、10〜40mol%:60〜90mol%であることがより好ましい。
さらに、式(A)で表されるユニットと式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合は、式(A)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5〜50mol%:50〜95mol%であることが好ましく、10〜40mol%:60〜90mol%であることがより好ましい。
この範囲にて、加熱処理または光照射処理によるポリマーの重合性の向上、プライマー層の抵抗値の低下、また耐湿密着力の向上などが達成される。
上記ポリマーを含む層の形成方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上記ポリマーを含む層形成用組成物を樹脂基材上に塗布して、必要に応じて乾燥処理を施して層を形成する方法が挙げられる。
上記ポリマーを含む層には、加熱処理と光照射処理の少なくとも一方が施される。上記ポリマーを含む層に実施される処理は、加熱処理および光照射処理の一方のみが実施されても、両者が実施されてもよい。また、両者の処理を実施する場合、別々の工程で実施してもよいし、同時に実施してもよい。
これらの処理を実施することにより、重合性基が活性化され、重合性基間および重合性基と樹脂基材との間で反応が進行し、樹脂基材上に密着したプライマー層が形成される。
加熱処理の条件は使用されるポリマーの種類に応じて最適な条件が選択されるが、なかでもプライマー層の架橋密度が高まり、フィルムミラーの耐侯性およびフレキシブル性が高まる点で、60〜150℃(好ましくは、80〜120℃)で0.1〜3時間(好ましくは、0.5〜2時間)処理することが好ましい。
光照射処理の条件は使用されるポリマーの種類に応じて最適な条件が選択されるが、なかでもプライマー層の架橋密度が高まり、フィルムミラーの耐侯性およびフレキシブル性がより高まる点で、露光量は10〜8000mJ/cm2が好ましく、100〜3000mJ/cm2がより好ましい。露光波長は200〜300nmが好ましい。
なお、露光に使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。
なお、加熱処理または光照射処理後に、適宜、加熱処理または光照射処理後の組成物から未反応のポリマーを除去してもよい。除去方法としては、溶媒を使用する方法が挙げられ、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)などで除去することができる。
プライマー層の厚みは特に制限されないが、フィルムミラーの耐侯性およびフレキシブル性が優れる点で、0.05〜10μmが好ましく、0.3〜5μmがより好ましい。
(工程(ii):触媒付与工程)
触媒付与工程は、プライマー層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程である。本工程においては、めっき触媒またはその前駆体が、プライマー層中の相互作用性基に吸着する。例えば、めっき触媒前駆体として金属イオンを使用した場合は、金属イオンがプライマー層に吸着する。
めっき触媒またはその前駆体としては、後述する「工程(iii):めっき工程」における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒またはその前駆体は、めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
以下に、使用されるめっき触媒(例えば、無電解めっき触媒)またはその前駆体について詳述する。
無電解めっき触媒としては、無電解めっき時の活性核となり得るものが好ましい。例えば、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。なかでも、触媒能の高さから、PdまたはAgが好ましい。
無電解めっき触媒前駆体としては、化学反応により無電解めっき触媒となり得るものが好ましい。例えば、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンをプライマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてプライマー層に付与されることが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)Pd(OAc)n(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられる。なかでも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Cuイオン、Pdイオンが好ましい。
なお、無電解めっき触媒前駆体をめっき工程の前に還元させる場合、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と還元剤を活性化するためのpH調整剤が含有される場合が多い。
液全体に対する還元剤の濃度は、0.1〜10質量%が好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
なお、めっき触媒として、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒を使用してもよい。このような触媒としては、例えば、0価金属が挙げられ、より具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。なかでも、多座配位可能なものが好ましく、特に、相互作用性基に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
めっき触媒またはその前駆体をプライマー層に付与する方法としては、これらを含む溶液(例えば、金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液)を調製し、その分散液若しくは溶液をプライマー層上に塗布するか、または、その分散液若しくは溶液中にプライマー層が形成された樹脂基材を浸漬すればよい。
(工程(iii):めっき工程)
めっき工程は、めっき触媒またはその前駆体が付与されたプライマー層に対し、めっき処理を施すことで、金属反射層を形成する工程である。これにより、樹脂基材とプライマー層と金属反射層とを有する金属反射層付き樹脂基材が得られる。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっきが挙げられ、上記触媒付与工程でプライマー層に付与されためっき触媒またはその前駆体の機能によって、適宜選択することができる。つまり、本工程では、めっき触媒またはその前駆体が付与されたプライマー層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
以下、本工程において好適に行われるめっき処理について説明する。
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与されたプライマー層を備える樹脂基材を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与されたプライマー層を備える樹脂基材を、無電解めっき触媒前駆体がプライマー層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を洗浄して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬することが好ましい。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
本工程おいては、付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、めっき触媒またはその前駆体が付与されたプライマー層に対して、電気めっきを行うことができる。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、フィルムミラーの反射率が向上する理由から、銀が好ましい。
また、上述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、さらに、電気めっきを行ってもよい。
なお、めっきに用いる銀化合物としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、メタンスルホン酸銀、アンモニア銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。なかでも、フィルムミラーの反射率が向上する理由から、メタンスルホン酸銀が好ましい。
〔表面被覆層〕
表面被覆層は、ポリロタキサンを含有する。
本発明のフィルムミラーは、ポリロタキサンを含有する表面被覆層を有するため、砂塵に曝されても反射率の低下が抑制され、優れた砂塵耐性を示すものと考えられる。これは詳細には明らかではないが、ポリロタキサン特有の弾性挙動により、砂塵に曝された場合でも表面被覆層の変形が抑えられ(または変形しても変形が元に戻り)、また、金属反射層の変形も抑えられて(または変形しても変形が元に戻り)、結果として、反射率の低下が抑制されるものと考えられる。
<ポリロタキサン>
ポリロタキサンは、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に貫かれ、複数の環状分子が直鎖状分子を包接してなる擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)に、環状分子が遊離しないようにブロック基を配置した分子複合体である。
なお、本願において、ポリロタキサンとは、上記分子複合体に加えて、上記分子複合体同士が環状分子部分で架橋された架橋体、および、上記分子複合体と他のモノマーやポリマーとが重合した重合体を含む概念である。
(直鎖状分子)
ポリロタキサンを構成する直鎖状分子は、環状分子に包接され、非共有結合的に一体化することができる分子または物質であって、直鎖状のものであれば、特に制限されない。なお、本願において、「直鎖状分子」とは、高分子を含めた分子、およびその他上記の要件を満たす全ての物質をいう。
また、本願において、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、回転子である環状分子が回転可能、もしくは直鎖状分子上で環状分子が摺動移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。また、「直鎖」の長さは、直鎖状分子上で環状分子が摺動または移動可能であれば、その長さに特に制限はない。
上記直鎖状分子としては、親水性ポリマー、例えばポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキサイド(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等および/またはこれらの共重合体など;疎水性ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂など;およびこれらの誘導体または変性体などを挙げることができる。
これらのうち、フィルムミラーの砂塵耐性がより優れる理由から、親水性ポリマーであることが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、またはポリプロピレンであることがより好ましく、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体であることがさらに好ましく、ポリエチレングリコールであることが特に好ましい。
上記直鎖状分子は、それ自体が高い破壊強度を有するのがよい。表面被覆層の破壊強度は、ブロック基と直鎖状分子との結合強度、環状分子と表面被覆層の他の成分との結合強度、環状分子同士の結合強度など、その他の因子にも依るが、直鎖状分子自体が高い破壊強度を有すれば、より高い破壊強度を提供することができる。
上記直鎖状分子は、その分子量が1,000以上、例えば1,000〜1,000,000、好ましくは5,000以上、例えば5,000〜1,000,000または5,000〜500,000、より好ましくは10,000以上、例えば10,000〜1,000,000、10,000〜500,000または10,000〜300,000であることが好ましい。
また、上記直鎖状分子は、環境への影響の観点から、生分解性分子であることが好ましい。
上記直鎖状分子は、その両末端に反応性基を有するのが好ましい。この反応性基を有することにより、ブロック基と容易に反応することができる。反応性基は、用いるブロック基に依存するが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基などを挙げることができる。
(環状分子)
ポリロタキサンを構成する環状分子は、上記直鎖状分子と包接可能な環状分子であれば、いずれの環状分子であっても用いることができる。
なお、本願において、「環状分子」とは、環状分子を含めた種々の環状物質をいう。また、本願において、「環状分子」とは、実質的に環状である分子または物質をいう。すなわち、「実質的に環状である」とは、英字の「C」のように、完全に閉環ではないものを含む意であり、英字の「C」の一端と多端とが結合しておらず重なった螺旋構造を有するものも含む意である。
上記環状分子として、例えば、種々のシクロデキストリン類(例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリンおよびグルコシルシクロデキストリン、これらの誘導体又は変性体など)、クラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、およびジシクロヘキサノクラウン類、並びにこれらの誘導体または変性体などを挙げることができる。
上記シクロデキストリン類およびクラウンエーテル類などは、その種類により環状分子の開口部の大きさが異なる。したがって、用いる直鎖状分子の種類、具体的には用いる直鎖状分子を円柱状と見立てた場合、その円柱の断面の直径、直鎖状分子の疎水性または親水性などにより、用いる環状分子を選択することができる。また、開口部が相対的に大きな環状分子と、相対的に直径が小さな円柱状の直鎖状分子を用いた場合、環状分子の開口部に2以上の直鎖状分子を包接することもできる。なかでも、環境への影響等の観点から、シクロデキストリン類(特にα−シクロデキストリン)であることが好ましい。
上記直鎖状分子に包接される環状分子の個数(包接量)は、環状分子がシクロデキストリンの場合、その最大包接量を1とすると、0.05〜0.60が好ましく、0.10〜0.50がさらに好ましく、0.20〜0.40がさらに好ましい。
上記環状分子がα−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン類である場合、フィルムミラーの防汚性が優れる理由から、シクロデキストリン類は水酸基の少なくとも1つが疎水性基によって置換(修飾)されたものであることが好ましい。
疎水性基の具体例として、例えば、アルキル基、ベンジル基、ベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基、フッ素原子含有有機基、不飽和二重結合基などが挙げられる。なかでも、フィルムミラーの防汚性がより優れる理由から、アシル基(特にアセチル基)またはフッ素原子含有有機基であることが好ましい。不飽和二重結合基の具体例は後述する不飽和二重結合基と同様である。
上記フッ素原子含有有機基は、フッ素原子を含有する1価の有機基であれば特に制限されない。なお、フッ素原子含有有機基は、フッ素原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子)を含んでいてもよい。
1価の有機基としては特に制限されず、その具体例としては、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、芳香族炭化水素基(例えば、アリール基)、複素環基(例えば、アゾール基、ピリジル基)などが挙げられる。
上記フッ素原子含有有機基は、フィルムミラーの防汚性がさらに優れる理由から、下記式(3)で表される基であることが好ましい。
上記式(3)中、R31は、フッ素原子を有するアルキル基を表し、その具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
上記式(3)中、R32は、分岐していてもよい1価の炭化水素基を表し、その具体例としては、炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられ、なかでも、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
上記式(3)中、L31およびL32の定義および具体例は、上述したL2と同じである。L31は、アルキレン基であることが好ましい。L32は、下記式(4)で表される基であることが好ましい。
上記式(3)中、*は結合位置を表す。
上記式(4)中、XaおよびXbは、それぞれ独立して、酸素原子または硫黄原子を表す。
上記式(4)中、*は結合位置を表す。
上記疎水性基による修飾度は、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数を1とすると、0.02以上(1以下)であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましく、0.06以上であることがさらに好ましい。
ここで、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数とは、換言すれば、修飾する前にシクロデキストリンが有していた全水酸基数のことである。修飾度とは、換言すれば、修飾された水酸基数の全水酸基数に対する比のことである。
(ブロック基)
ポリロタキサンを構成するブロック基は、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持する基であれば、いかなる基を用いてもよい。このような基として、例えば「嵩高さ」を有する基および/または「イオン性」を有する基などを挙げることができる。ここで、「基」というのは、分子基および高分子基を含めた種々の基を意味する。また、「イオン性」を有する基の「イオン性」と、環状分子の有する「イオン性」とが影響しあうことにより、例えば反発しあうことにより、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持することができる。
また、上記ブロック基は、上述のように、串刺し状になった形態を保持するものであれば、高分子の主鎖であっても側鎖であってもよい。ブロック基が高分子Aである場合、マトリクスとして高分子Aがありその一部にポリロタキサンが含まれる形態であっても、逆にマトリクスとしてポリロタキサンがありその一部に高分子Aが含まれる形態であってもよい。このように、種々の特性を有する高分子Aと組み合わせることにより、ポリロタキサンの特性と高分子Aの特性とを組み合わせて有する複合材料を形成することができる。
ブロック基の具体例としては、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類及びピレン類、並びにこれらの誘導体または変性体を挙げることができる。
ブロック基は上記疎水性基によって置換(修飾)されたものでもよい。
(ポリロタキサンの合成方法)
ポリロタキサンの合成方法は特に制限されないが、例えば、特許第2810264号公報や特許第3475252号公報に記載の方法などにより合成することができる。
具体的には、環状分子としてα−シクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコール、ブロック基として2,4−ジニトロフェニル基、疎水性基としてアセチル基、不飽和二重結合基としてアクリロイル基を用いた場合、例えば、以下のようにして合成することができる。
まず、後に行うブロック基の導入のために、ポリエチレングリコールの両末端をアミノ基に変性してポリエチレングリコール誘導体を得る。α−シクロデキストリンおよびポリエチレングリコール誘導体を混合して擬ポリロタキサンを調製する。調製に際して、最大包接量を1とした場合、包接量が1に対して、0.001〜0.6となるように、例えば混合時間を1〜48時間とし、混合温度を0℃〜100℃とすることができる。
一般に、ポリエチレングリコールの平均分子量20,000に対して、α−シクロデキストリンは、最大230個包装することができる。したがって、この値が最大包接量である。上記条件は、ポリエチレングリコールの平均分子量20,000を用いて、α−シクロデキストリンが平均60〜65個(63個)、すなわち最大包接量の0.26〜0.29(0.28)の値で包接するための条件である。α−シクロデキストリンの包接量は、NMR、光吸収、元素分析などにより確認することができる。
得られた擬ポリロタキサンを、DMFに溶解した2,4−ジニトロフルオロベンゼンと反応させることにより、ブロック基を導入したポリロタキサンを得る。
上述したシクロデキストリン類の疎水性基による修飾は、合成したポリロタキサンに対して行っても、ポリロタキサンを合成する前に予めシクロデキストリン類に対して行ってもよい。
疎水性基としてアセチル基による修飾を行う方法としては、例えば、無水酢酸を用いてシクロデキストリンの水酸基を修飾する方法などが挙げられる。
(ポリロタキサンの好適な態様)
ポリロタキサンは、フィルムミラーの防汚性が優れる理由から、環状分子に、アシル基(特にアセチル基)およびフッ素原子含有有機基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有するものであることが好ましく、フッ素原子含有有機基を有するものであることがより好ましく、アシル基(特にアセチル基)およびフッ素原子含有有機基を有するものであることがさらに好ましい。
表面被覆層中のポリロタキサンの含有量は、フィルムミラーの砂塵耐性がより優れる理由から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることがよりさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、表面被覆層中のフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量は、金属反射層付き樹脂基材と表面被覆層との密着性の観点、および、砂塵耐性がより優れる理由から、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%以上30質量%未満であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、10〜20質量%であることが特に好ましい。
ポリロタキサンの含有量は、NMR法(溶液NMR法、固体NMR法)や特開2010−261134号公報に記載のX線回折法などにより求めることができる。
なお、後述する環状分子に反応性基と重合性基の少なくとも一方を有するポリロタキサンを含む表面被覆層形成用組成物を用いて、これを硬化させて表面被覆層を形成する場合、表面被覆層中のポリロタキサンの含有量とは、使用した表面被覆層形成用組成物中の全固形分に対するポリロタキサンの含有量(質量%)を指す。
同様に、後述する環状分子に反応性基と重合性基の少なくとも一方を有するポリロタキサンを含む表面被覆層形成用組成物を用いて、これを硬化させて表面被覆層を形成する場合、表面被覆層中のフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量とは、使用した表面被覆層形成用組成物中の全固形分に対するフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量(質量%)を指す。
表面被覆層の厚みは、フィルムミラーの砂塵耐性がより優れる理由から、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、通常、100μm以下であり、50μm以下であることが好ましい。
<表面被覆層の形成方法>
金属反射層付き樹脂基材の金属反射層上または樹脂基材上に表面被覆層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ポリロタキサンを含む表面被覆層形成用組成物を金属反射層上または樹脂基材上に塗工する方法などが挙げられる。
(好適な態様)
表面被覆層を形成する方法の好適な態様としては、例えば、環状分子に反応性基を有するポリロタキサンと溶媒とを含む表面被覆層形成用組成物を、金属反射層上または樹脂基材上に塗布し、塗布した表面被覆層形成用組成物に加熱処理と光照射処理の少なくとも一方を施すことにより硬化させて、表面被覆層を形成する方法などが挙げられる。なお、加熱処理または光照射処理後に、適宜、加熱処理または光照射処理後の組成物から溶媒を使用して未反応の成分を除去してもよい。
塗布方法、加熱処理方法および光照射処理方法については、上述したプライマー層と同様である。
上記反応性基の具体例は、上述した直鎖状分子の反応性基と同様である。なかでも、水酸基(特にポリカプロラクトン基)または重合性基(架橋性基)であることが好ましく、重合性基であることがより好ましい。ここで、ポリカプロラクトン基は、*−(CO−C510O)n−H(*:結合位置、n:整数)で表される基である。重合性基の具体例は、上述したプライマー層と同様である。なかでも、不飽和二重結合基であることが好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基であることがより好ましい。
上述のとおり、表面被覆層形成用組成物に含まれるポリロタキサンは環状分子に不飽和二重結合基を有するポリロタキサンであることが好ましい。
環状分子に不飽和二重結合基を導入する方法としては、例えば、次に挙げる方法を用いることができる。すなわち、イソシアネート化合物などによるカルバメート結合形成による方法;カルボン酸化合物、酸クロリド化合物又は酸無水物などによるエステル結合形成による方法;シラン化合物などによるシリルエーテル結合形成による方法;クロロ炭酸化合物などによるカーボネート結合形成による方法などを挙げることができる。
カルバモイル結合を介して、不飽和二重結合基として(メタ)アクリロイル基を導入する場合、ポリロタキサンをDMSO、DMFなどの脱水溶媒に溶解し、イソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル化剤を加えることで行う。その他、エーテル結合やエステル結合を介して導入する場合、グリシジル基や酸クロライドなどの活性基を有する(メタ)アクリル化剤を用いることもできる。
環状分子が有する水酸基を不飽和二重結合基に置換する工程は、擬ポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。また、擬ポリロタキサンにブロック基を導入してポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。さらには、ポリロタキサンが環状分子に反応性基を有するポリロタキサンである場合、ポリロタキサン同士を反応させる工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。これらの2以上の時期に設けることもできる。置換工程は、擬ポリロタキサンにブロック基を導入してポリロタキサンを調製した後であって、ポリロタキサン同士を反応させる前に設けるのが好ましい。置換工程において用いられる条件は、置換する不飽和二重結合基に依存するが、特に制限されず、種々の反応方法、反応条件を用いることができる。
表面被覆層形成用組成物には重合性基を有するモノマーを添加してもよい。表面被覆層形成用組成物が重合性基を有するモノマーを含む場合、上記加熱処理または光照射処理により、表面被覆層形成用組成物に含まれるポリロタキサンとともに硬化して表面被覆層を形成する。
上記重合性基の具体例は、上述したプライマー層と同様である。
上記重合性基を有するモノマーとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、上記エステルのエチレンオキサイド変性体、ポリエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドなどが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
表面被覆層形成用組成物に使用される溶媒は特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶媒、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、この他にも、エーテル系溶媒、グリコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられる。
この中でも、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、カーボネート系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、トルエンが好ましい。
表面被覆層形成用組成物を硬化させる際には、ポリイソシアネート化合物などの硬化剤を使用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、およびこれらに水添した化合物、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアネートシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。
表面被覆層形成用組成物を硬化させる際には、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤などの重合開始剤を使用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類(1−ヒドロキシ−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロベンゾフェノンなど)、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾまたはジアゾ化合物などを用いることができる。
表面被覆層形成用組成物中の全固形分に対するポリロタキサンの含有量は、フィルムミラーの砂塵耐性がより優れる理由から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることがよりさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、表面被覆層形成組成物中の全固形分に対するフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量は、フィルムミラーの防汚性が優れ、また、砂塵耐性がより優れる理由から、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%以上30質量%未満であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、10〜20質量%であることが特に好ましい。
〔その他の層〕
本発明のフィルムミラーは、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線反射層、変色防止層などを有してもよい。
紫外線反射層としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)のような屈折率の異なる材料を2種類組み合わせて多層化した層などが挙げられる。
変色防止層に使用される材料としては、例えば、アミン、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物、チオ尿素、メルカプト基を有する化合物、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤などが挙げられる。
本発明のフィルムミラーは、表面被覆層と金属反射層付き樹脂基材との密着性が優れる理由から、表面被覆層と金属反射層付き樹脂基材との間に接着層を有するものであることが好ましい。
接着層に使用される接着剤の種類は、密着性を満足するものであれば特に限定されず、その具体例としては、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、耐候性の観点から、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、または、シリコーン系樹脂が好ましい。
接着層の厚みは、密着性、反射率等の観点から、0.01〜50μmであるのが好ましく、0.1〜20μmであるのがより好ましい。
〔用途〕
本発明のフィルムミラーは、種々の用途(例えば、ディスプレイの反射板や、照明用反射部材、太陽電池や太陽熱発電などの太陽光用部材)に使用することができる。なかでも、太陽光を集光する目的(太陽光集光用)において、好ましく使用できる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1:架橋性ポリロタキサンA)
100mlの三角フラスコにポリエチレングリコール(平均分子量20,000)4gおよび乾燥塩化メチレン20mlを入れてポリエチレングリコールを溶解した。この溶液をアルゴン雰囲気下におき、1,1’−カルボニルジイミダゾール0.8gを加え、引き続きアルゴン雰囲気下、室温(20℃)で6時間、攪拌、反応させた。
上記で得られた反応物を、高速攪拌したジエチルエーテル300mlに注いだ。10分間静置後、沈殿物を有する液を10,000rpmで5分間、遠心分離した。沈殿物を取り出し、40℃で3時間真空乾燥した。
得られた生成物を塩化メチレン20mlに溶解した。この液をエチレンジアミン10mlに3時間かけて滴下し、滴下後40分間攪拌した。得られた反応物をロータリーエバポレーターにかけ塩化メチレンを除去し、その後、水50mlに溶解し、透析チューブ(分画分子量8,000)に入れ、水中で3日間透析した。得られた透析物をロータリーエバポレーターで乾燥し、さらにこの乾燥物を塩化メチレン20mlに溶解し、ジエチルエーテル180mlで再沈させた。沈殿物を有する液を100,000rpmで5分間、遠心分離し、40℃で2時間真空乾燥して、ポリエチレングリコールビスアミン(数平均分子量2万)2.83gを得た。
上記ポリエチレングリコールビスアミン4.5gとα−シクロデキストリン18.0gとを水150mLに加え、80℃に加熱して溶解させた。その溶液を冷却し5℃で16時間静置した。生成した白いペースト状の沈殿を分取、乾燥した。
乾燥物を、2,4−ジニトロフルオロベンゼン12.0gとジメチルホルムアミド50gとの混合溶液に加えて室温で5時間攪拌した。その反応混合物にジメチルスルホキシド(DMSO)200mLを加えて溶解した後、水3750mLに注いで析出物を分取した。析出物を250mLのDMSOに再溶解した後、再び3500mLの0.1%食塩水へ注いで析出物を分取した。その析出物を水とメタノールで各3回ずつ洗浄後、50℃で12時間真空乾燥することで、ポリエチレングリコールビスアミンがα−シクロデキストリンに串刺し状に包接され、かつ両末端アミノ基に2,4−ジニトロフェニル基が結合したポリロタキサン2.0gを得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンa1とする。
得られたポリロタキサンa1について紫外光吸収測定及び1H−NMR測定を行い、α−シクロデキストリンの包接量を算出したところ、包接量は72個であった。
具体的には、紫外光吸収測定では、合成した包接化合物および2,4−ジニトロアニリンそれぞれの360nmにおけるモル吸光係数を測定することで、シクロデキストリンの包接量を算出した。また、1H−NMR測定では、ポリエチレングリコール部分の水素原子とシクロデキストリン部分の水素原子の積分比から算出した。
上記ポリロタキサンa1(1g)を塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。そこに無水酢酸6.7g、ピリジン5.2g、N,N−ジメチルアミノピリジン100mgを加え、室温にて一晩攪拌した。反応溶液をメタノールに流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離し乾燥させることで、シクロデキストリンの水酸基の一部がアセチル基で修飾されたポリロタキサン(1.2g)を得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンa2とする。
ポリロタキサンa2の1H−NMR測定を行い、アセチル基の導入量(修飾度)を算出したところ、75%であった。
上記ポリロタキサンa2(1g)を塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。そこにアクリル酸クロライド5.9g、ピリジン5.2g、N,N−ジメチルアミノピリジン100mgを加え、室温にて二晩攪拌した。反応溶液をメタノールに流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離し乾燥させることで、シクロデキストリンの水酸基がアクリロイル基およびアセチル基で修飾されたポリロタキサン(0.8g)を得た。得られたポリロタキサンを架橋性ポリロタキサンAとする。
架橋性ポリロタキサンAの1H−NMR測定を行い、アクリロイル基およびアセチル基の導入量(修飾度)を算出したところ、87%であった。すなわち、アクリロイル基の導入量(修飾度)は12%である。
(合成例2:架橋性ポリロタキサンB)
特開2005−306917号公報の段落[0025]に準ずる方法(α−シクロデキストリンとt−ブチルトリフルオロメタクリレートとのマイケル付加反応)でフッ素原子含有有機基(上記式(3)で表される基。ここで、L31:メチレン基、L32:−C(=O)O−基、R31:トリフルオロメチル基、R32:t−ブチル基である。)を導入したα−シクロデキストリン(フッ素原子含有有機基導入シクロデキストリン)を調製した。
合成例1と同様の手順でポリエチレングリコールビスアミン(数平均分子量2万)2.83gを得た。
上記ポリエチレングリコールビスアミン4.5gと上記フッ素原子含有有機基導入シクロデキストリン0.8gとα−シクロデキストリン10.0gとを水150mLに加え、80℃に加熱して溶解させた。その溶液を冷却し5℃で16時間静置した。生成した白いペースト状の沈殿を分取、乾燥した。
乾燥物を、2,4−ジニトロフルオロベンゼン12.0gとジメチルホルムアミド50gの混合溶液に加えて室温で5時間攪拌した。その反応混合物にジメチルスルホキシド(DMSO)200mLを加えて溶解した後、水3750mLに注いで析出物を分取した。析出物を250mLのDMSOに再溶解した後、再び3500mLの0.1%食塩水へ注いで析出物を分取した。その析出物を水とメタノールで各3回ずつ洗浄後、50℃で12時間真空乾燥することで、ポリエチレングリコールビスアミンがフッ素原子含有有機基導入シクロデキストリンに串刺し状に包接され、かつ両末端アミノ基に2,4−ジニトロフェニル基が結合したポリロタキサン2.0gを得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンb1とする。
得られたポリロタキサンb1について紫外光吸収測定及び1H−NMR測定を行い、α−シクロデキストリンの包接量を算出したところ、包接量は72個であった。算出の方法は上述のとおりである。
合成例1と同様の手順で、上記ポリロタキサンb1にアセチル基を導入して、シクロデキストリンの水酸基の一部がアセチル基で修飾されたポリロタキサンを得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンb2とする。
合成例1と同様の手順で、上記ポリロタキサンb2にアクリロイル基を導入して、アクリロイル基、フッ素原子含有有機基およびアセチル基で修飾されたポリロタキサンを得た。得られたポリロタキサンを架橋性ポリロタキサンBとする。
架橋性ポリロタキサンBの1H−NMR測定を行い、アクリロイル基の導入量(修飾度)を算出したところ、12%であった。
(表面被覆層形成用組成物:組成物2〜8)
第1表に示す組成(質量部)の固形分とメチルエチルケトンとを混合して、表面被覆層形成用組成物である組成物2〜8(固形分率:20質量%)を調製した。
上記第1表に示される各成分は以下のとおりである。
・架橋性ポリロタキサンA:上述のとおり合成された架橋性ポリロタキサンA
・架橋性ポリロタキサンB:上述のとおり合成された架橋性ポリロタキサンB
・アクリレート:DPHA(日本化薬社製)
・重合開始剤:イルガキュア184(BASF社製)
<実施例1>
(プライマー層の形成)
PET支持体(A4300、東洋紡社製)上に、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液を、厚さ500nmになるようにスピンコート法により塗布し、80℃にて5分乾燥して塗膜を得た。
ここで、式(5)中の数値は各ユニットの割合(mol%)を表す。
式(5)で表されるアクリルポリマーの合成方法は以下のとおりである。
2Lの三口フラスコに酢酸エチル1L、2−アミノエタノール159gを入れ、氷浴にて冷却をした。そこへ、2−ブロモイソ酪酸ブロミド150gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、内温を室温(25℃)まで上昇させて2時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加して反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去することで原料Aを80g得た。
次に、500mLの三口フラスコに、原料A47.4g、ピリジン22g、酢酸エチル150mLを入れて氷浴にて冷却した。そこへ、アクリル酸クロライド25gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加し、反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去した。その後、カラムクロマトグラフィーにて、以下のモノマーM1を精製し20g得た。
500mLの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド8gを入れ、窒素気流下65℃まで加熱した。そこへ、上記で得たモノマーM1:14.3g、アクリロニトリル(東京化成工業(株)製)3.0g、アクリル酸(東京化成製)6.5g、V−65(和光純薬製)0.4gのN,N−ジメチルアセトアミド8g溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド41gを足し、室温まで反応溶液を冷却した。上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.09g、DBU54.8gを加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応溶液に70質量%メタンスルホン酸水溶液54gを加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、式(5)で表されるアクリルポリマー(重量平均分子量5.3万)を12g得た。
また、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液の調製法は以下のとおりである。
式(5)で表されるアクリルポリマー(7質量部)、1−メトキシ−2−プロパノール(74質量部)、水(19質量部)の割合で混合し、さらにこの混合溶液に対して、光重合開始剤(エサキュアKTO−46、ランベルディー社製)(0.35質量部)を添加して、攪拌混合し、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液を得た。
上記塗膜に対して、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用いて、254nmの波長で1000mJ/cm2の積算露光量にて照射を行い、プライマー層(厚み:500nm)を形成した。
なお、プライマー層から未反応のポリマーを除去するために現像を行った。具体的には、上記プライマー層付きPET支持体を1wt%炭酸水素ナトリウム水溶液中に5分間浸漬した。その後純水で洗浄した。
(金属反射層の形成)
次に、プライマー層付きPET支持体を1wt%硝酸銀水溶液中に5分間浸漬し、その後純水で洗浄して、無電解めっき触媒前駆体(銀イオン)が付与されたプライマー層付きPET支持体を得た。
さらに、得られたプライマー層付き樹脂基材を、0.14wt%のNaOHと0.25wt%のホルマリンとを含むアルカリ水溶液(pH12.5)(還元剤に該当)に1分間浸漬し、その後純水で洗浄して、還元金属(銀)が付与されたプライマー層付きPET支持体を得た。
次に、還元金属(銀)が付与されたプライマー層に対して、以下の電気めっき処理を行い、プライマー層上に厚み100nmの金属(銀)反射層を形成した。
電気めっき液として、ダインシルバーブライトPL50(大和化成社製)を用い、8M水酸化カリウムによりpH9.0に調整した。還元金属を表面にもつプライマー層付きPET支持体を、電気めっき液に浸漬し、0.5A/dm2にて15秒間めっきし、その後、純水で1分間掛け流しにより洗浄した。
(表面被覆層の形成)
セルム キー・ミクスチャーA1000(ポリカプロラクトン基で修飾されたポリロタキサン、アドバンスト・ソフトマテリアルズ社製)80質量部とヘキサメチレンジイソシアネート8質量部とメチルエチルケトン20質量部とを混合し、表面被覆層形成用組成物を調製した。調製した表面被覆層形成用組成物を組成物1とする。なお、組成物1の固形分の組成は、セルム キー・ミクスチャーA1000/ヘキサメチレンジイソシアネート=91/9(w/w)である。
上記組成物1を上記金属反射層上に、硬化後の表面被覆層の厚みが15μmになるようにアプリケーターで塗工した。その後、80℃で1時間加熱することによって硬化させて、表面被覆層を形成した。このようにしてフィルムミラーを製造した。
(ヘイズ)
得られたフィルムミラーについてC光源ヘイズを測定した。さらに、後述する砂塵試験を行い、砂塵試験後のC光源ヘイズを測定した。C光源ヘイズはヘイズメーター(日本電色工業社製)を用いて測定した。結果を第2表に示す。
(反射率)
得られたフィルムミラーについて反射率(375nm)を測定した。さらに、後述する砂塵試験を行い、砂塵試験後の反射率(375nm)を測定した。反射率は分光光度計(UV−3100PC、島津製作所製)を用いて測定した。結果を第2表に示す。
また、砂塵試験による反射率低下量(=初期の反射率−砂塵試験後の反射率)を算出し、以下の基準にしたがって評価した。結果を第2表に示す。実用上、AA、A、BまたはCであることが好ましい。
AA:反射率低下量が2.0%未満
A:反射率低下量が2.0%以上5.0%未満
B:反射率低下量が5.0%以上9.0%未満
C:反射率低下量が9.0%以上13.0%未満
D:反射率低下量が13.0%以上
(砂塵試験)
砂塵試験は、JIS H 8503:1989に記載された「砂落とし磨耗試験方法」に準じて行った。
具体的には、得られたフィルムミラーを3cm角に切り出し、45度の角度からアルミナ粒子がフィルムミラーの表面被覆層に衝突するように固定した後、200gのアルミナ粒子を100cmの高さから自由落下させて衝突させた。
(動摩擦係数)
得られたフィルムミラーの表面被覆層について、JIS K 7125:1999に記載された摩擦係数試験方法に準じて、動摩擦係数を評価した。
具体的には、23℃、50%に調湿された部屋で、200gの錘を用い、100mm/minの速度で引っ張ったときの抵抗値から動摩擦係数を求めた。
(防汚性)
得られたフィルムミラーの表面被覆層について、マジックはじき性により防汚性を評価した。マジックはじき性があるものを防汚性に優れるものとして「A」と評価し、マジックはじき性が一部あるものを防汚性にやや優れるものとして「B」と評価し、マジックはじき性がないものを防汚性に劣るものとして「C」と評価した。
<実施例2>
実施例1と同様の手順に従って、金属(銀)反射層が形成されたPET支持体を得た。
次に、表面被覆層形成用組成物として上記組成物2を使用して表面被覆層を形成した。具体的には、組成物2を上記金属反射層上に、硬化後の表面被覆層の厚みが15μmになるようにアプリケーターで塗工した。その後、80℃で2分乾燥し、さらに、窒素パージ下でUV照射することによって硬化させて、表面被覆層を形成した。このようにしてフィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
<実施例3>
組成物2の代わりに組成物3を使用して表面被覆層を形成した以外は、実施例2と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
<実施例4>
組成物2の代わりに組成物4を使用して表面被覆層を形成した以外は、実施例2と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
<実施例5>
硬化後の表面被覆層の厚みが3μmになるようにアプリケーターで塗工した以外は、実施例4と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
<実施例6>
組成物2の代わりに組成物5を使用して表面被覆層を形成した以外は、実施例2と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
<実施例7>
組成物2の代わりに組成物6を使用して表面被覆層を形成した以外は、実施例2と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
<実施例8>
組成物2の代わりに組成物7を使用して表面被覆層を形成した以外は、実施例2と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
<実施例9>
組成物2の代わりに組成物8を使用して表面被覆層を形成した以外は、実施例2と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
<実施例10>
金属(銀)反射層が形成されたPET支持体に代えて、以下の手順で作製した銀反射層付きPET支持体Xを用いた以外は、実施例8と同様の手順に従って組成物7を使用して、フィルムミラーを製造した。
(銀錯体インク塗布液Aの調製)
2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルカルバメート32.5g、イソプロパノール48.5g、イソプロピルアミン5.0g、ジメチルアミノエタノール2.0g、および、酸化銀11.0gを混合して、1時間常温で撹拌した後、0.45μmのメンブレンフィルタでろ過し、銀錯体インク塗布液Aを調製した。
(銀錯体インクの塗布・焼成)
PET支持体(A4300、東洋紡製)上に、バーコート法により銀錯体インク塗布液Aを塗布し、165℃で2分間焼成して、膜厚120nmの銀反射層を形成することにより、銀反射層付きPET支持体Xを作製した。
<実施例11>
金属(銀)反射層が形成されたPET支持体に代えて、以下の手順で作製した銀反射層付きPET支持体Yを用いた以外は、実施例8と同様の手順に従って組成物7を使用して、フィルムミラーを製造した。
(銀錯体インク塗布液Bの調製)
2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルカルバメート65.0gを150.0gのイソプロパノールに溶解させた後、酸化銀20.0gを添加して、常温で2時間撹拌した。撹拌後の溶液に、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアミン2.5g、n−ブタノール85.0g、および、アミルアルコール50.0gを添加して撹拌した後、0.45μmのメンブレンフィルタでろ過し、銀錯体インク塗布液Bを調製した。
(銀錯体インクの塗布・焼成)
PET支持体(A4300、東洋紡製)上に、バーコート法により銀錯体インク塗布液Bを塗布し、165℃で2分間焼成して、膜厚120nmの銀反射層を形成することにより、銀反射層付きPET支持体Yを作製した。
<比較例1>
実施例1と同様の手順に従って、金属(銀)反射層が形成されたPET支持体を得た。
次に、リオデュラスLCH(東洋インキ社製)にフッ素系レベリング剤としてZX−049(富士化成工業社製)を樹脂固形分に対して0.1質量%となる量を添加し、表面被覆層形成用組成物を調製した。調製した表面被覆層形成用組成物を組成物X1とする。
上記組成物X1を上記金属反射層上に、硬化後の表面被覆層の厚みが15μmになるようにアプリケーターで塗工した。その後、80℃で2分乾燥し、さらに、窒素パージ下でUV照射することによって硬化させて、表面被覆層を形成した。このようにしてフィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第2表に示す。
なお、第2表中、「ポリロタキサンの含有量」は、表面被覆層形成用組成物中の全固形分に対するポリロタキサンの含有量(質量%)を指す。また、「フッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量」は、表面被覆層形成用組成物中の全固形分に対するフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量(質量%)を指す。
第2表から分かるように、表面被覆層にポリロタキサンを含有しない(フッ素原子を有するレベリング剤を含有する)比較例1と比較して、表面被覆層にポリロタキサンを含有する実施例1〜11は、いずれも砂塵試験後の反射率低下量が小さく、優れた砂塵耐性を示した。なかでも、表面被覆層の厚みが5μm以上である実施例1〜4および6〜11はより優れた砂塵耐性を示した。そのなかでも、表面被覆層中のポリロタキサンの含有量が10質量%以上である実施例1、2、4および6〜11はさらに優れた砂塵耐性を示した。
実施例1〜11の対比から、ポリロタキサンがフッ素原子含有有機基を有さない実施例1〜5よりも、ポリロタキサンがフッ素原子含有有機基を有する実施例6〜11の方が優れた防汚性を示した。なかでも、表面被覆層中のフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量が0.5質量%以上である実施例6〜8および10〜11はより優れた防汚性を示した。
実施例6〜11の対比から、表面被覆層中のフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量が50質量%以上である実施例6よりも、表面被覆層中のフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量が50質量%未満である実施例7〜11の方がより優れた砂塵耐性を示した。
100、200 フィルムミラー
10 樹脂基材
12 金属反射層
20 金属反射層付き樹脂基材
30 表面被覆層

Claims (6)

  1. 金属反射層付き樹脂基材と、ポリロタキサンを含有する表面被覆層とを有するフィルムミラー。
  2. 前記表面被覆層の厚みが、5μm以上である、請求項1に記載のフィルムミラー。
  3. 前記表面被覆層中のポリロタキサンの含有量が、10質量%以上である、請求項1または2に記載のフィルムミラー。
  4. 前記ポリロタキサンが、フッ素原子含有有機基を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  5. 前記表面被覆層中の前記フッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量が、0.5質量%以上30質量%未満である、請求項4に記載のフィルムミラー。
  6. 太陽光集光用に用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
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